JP3117387B2 - 半導体素子収納用パッケージ - Google Patents

半導体素子収納用パッケージ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体素子を収容するた
めの半導体素子収納用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体素子、特に半導体集積回路
素子を収容するための半導体素子収納用パッケージは通
常、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成
り、その上面略中央部に半導体集積回路素子を収容する
ための凹部及び該凹部周辺より上面にかけて導出された
タングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉
末から成るメタライズ配線層を有する絶縁基体と、半導
体集積回路素子を外部電気回路に電気的に接続するため
に前記メタライズ配線層に銀ロウ等のロウ材を介し取着
された外部リード端子と、蓋体とから構成されており、
絶縁基体の凹部底面に半導体集積回路素子を接着剤を介
して接着固定するとともに該半導体集積回路素子の各電
極をボンディングワイヤを介してメタライズ配線層に接
続し、しかる後、絶縁基体上面に蓋体を封止材を介して
接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る容器内部に半導体
集積回路素子を気密に収容することによって最終製品と
しての半導体装置となる。
【0003】尚、前記絶縁基体に蓋体を接合させる封止
材としては一般に酸化鉛56.0乃至66.0重量%、酸化ホウ
素4.0 乃至14.0重量%、酸化珪素1.0 乃至6.0 重量%、
酸化ビスマス0.5 乃至5.0 重量%、酸化亜鉛0.5 乃至3.
0 重量%を含むガラス成分にフィラーとしてのコージェ
ライト系化合物を9.0 乃至19.0重量%、チタン酸鉛系化
合物を10.0乃至20.0重量%添加したガラスが使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の半導体素子収納用パッケージにおいては、絶縁基体
に蓋体を接合させる封止材の軟化溶融温度が約450 ℃程
度であること、近時の半導体集積回路素子は高密度化、
高集積化に伴って耐熱性が低下してきたこと等から絶縁
基体と蓋体とを封止材を介して接合し、絶縁基体と蓋体
とから成る絶縁容器内部に半導体集積回路素子を気密に
収容する場合、封止材を溶融させる熱が内部に収容する
半導体集積回路素子に作用して半導体集積回路素子の特
性に劣化を招来させ、半導体集積回路素子を正常に作動
させることができないという欠点を有していた。
【0005】そのため、最近では半導体素子収納用パッ
ケージとして絶縁基体と蓋体とを接合させ、絶縁容器の
内部を気密に封止する封止材として軟化溶融温度が400
℃以下のものが要求されるようになってきた。
【0006】
【発明の目的】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は絶縁基体と蓋体とから成る絶縁容器内部
に半導体集積回路素子を、該半導体集積回路素子に特性
の劣化を招来することなく気密に封止し、半導体集積回
路素子を長期間にわたり正常に作動させることができる
半導体素子収納用パッケージを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は絶縁基体と蓋体
とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とから成
る容器内部に半導体素子を気密に収容する半導体素子収
納用パッケージであって、前記封止材が酸化鉛30.0乃至
50.0重量%、フッ化鉛10.0乃至20.0重量%、酸化ビスマ
ス3.0 乃至13.0重量%、酸化ホウ素1.0 乃至5.0 重量
%、酸化亜鉛1.0乃至5.0 重量%を含むガラス成分にフ
ィラーとしてのチタン酸鉛系化合物を25.0乃至45.0重量
%添加したガラスから成ることを特徴とするものであ
る。
【0008】
【作用】本発明の半導体素子収納用パッケージによれ
ば、絶縁基体と蓋体とを接合させる封止材として、酸化
鉛30.0乃至50.0重量%、フッ化鉛10.0乃至20.0重量%、
酸化ビスマス3.0 乃至13.0重量%、酸化ホウ素1.0 乃至
5.0 重量%、酸化亜鉛1.0乃至5.0 重量%を含むガラス
成分にフィラーとしてのチタン酸鉛系化合物を25.0乃至
45.0重量%添加した軟化溶融温度が約320 ℃と低いガラ
スを使用したことから絶縁基体と蓋体とを封止材を介し
て接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る絶縁容器内部に
半導体集積回路素子を気密に収容する際、封止材を溶融
させる熱が内部に収容する半導体集積回路素子に作用し
ても半導体集積回路素子に特性劣化を招来させることは
なく、その結果、半導体集積回路素子を長期間にわたり
正常に作動させることが可能となる。
【0009】
【実施例】次に本発明を添付図面に基づき詳細に説明す
る。図1は本発明の半導体素子収納用パッケージの一実
施例を示し、1は絶縁基体、2は蓋体である。この絶縁
基体1と蓋体2とで半導体集積回路素子3を収容するた
めの絶縁容器4が構成される。
【0010】前記絶縁基体1はその上面中央部に半導体
集積回路素子3を収容する空所を形成するための凹部1
aが設けてあり、該凹部1a底面には半導体集積回路素
子3がガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着固
定される。
【0011】前記絶縁基体1は酸化アルミニウム質焼結
体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体等の
電気絶縁材料から成り、例えば酸化アルミニウム質焼結
体から成る場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マ
グネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機
バインダー、溶剤等を添加混合して泥漿物を作るととも
に該泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法
等によりシート状に成形してセラミックグリーンシート
(セラミック生シート)を得、しかる後、前記セラミッ
クグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに
これを複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成するこ
とによって製作される。
【0012】また前記絶縁基体1は凹部1a周辺から上
面にかけて複数個のメタライズ配線層5が被着形成され
ており、該メタライズ配線層5の凹部1a周辺部には半
導体集積回路素子3の各電極がボンディングワイヤ6を
介して電気的に接続され、また絶縁基体1の上面に導出
された部位には外部電気回路と接続される外部リード端
子7が銀ロウ等のロウ材を介して取着されている。
【0013】前記メタライズ配線層5は半導体集積回路
素子3の各電極を外部電気回路に接続する際の導電路と
して作用し、タングステン、モリブデン、マンガン等の
高融点金属粉末により形成されている。
【0014】前記メタライズ配線層5はタングステン、
モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末に適当な有機
溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを従来周知
のスクリーン印刷法等の厚膜手法を採用し、絶縁基体1
となるセラミックグリーンシートに予め印刷塗布してお
くことによって絶縁基体1の凹部1a周辺から上面にか
けて被着形成される。
【0015】尚、前記メタライズ配線層5はその表面に
ニッケル、金等の良導電性で、且つ耐蝕性及びロウ材と
の濡れ性が良好な金属をメッキ法により1乃至20μm
の厚みに層着させておくと、メタライズ配線層5の酸化
腐食を有効に防止することができるとともにメタライズ
配線層5とボンディングワイヤ6との接続及びメタライ
ズ配線層5と外部リード端子7とのロウ付けを極めて強
固となすことができる。従って、前記メタライズ配線層
5の酸化腐食を防止し、メタライズ配線層5とボンディ
ングワイヤ6との接続及びメタライズ配線層5と外部リ
ード端子7とのロウ付けを強固となすにはメタライズ配
線層5の表面にニッケル、金等を1乃至20μmの厚み
に層着させておくことが好ましい。
【0016】また一方、前記メタライズ配線層5にロウ
付けされる外部リード端子7は内部に収容する半導体集
積回路素子3を外部電気回路に接続する作用を為し、外
部リード端子7を外部電気回路に接続することによって
内部に収容される半導体集積回路素子3はボンディング
ワイヤ6、メタライズ配線層5及び外部リード端子7を
介し外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0017】前記外部リード端子7は鉄ーニッケルーコ
バルト合金や鉄ーニッケル合金等の金属材料から成り、
該鉄ーニッケルーコバルト合金等のインゴット(塊)に
圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法
を施すことによって所定の板状に形成される。
【0018】前記外部リード端子7はまたその表面にニ
ッケル、金等から成る良導電性で、且つ耐蝕性に優れた
金属をメッキ法により1乃至20μmの厚みに層着させ
ておくと、外部リード端子7の酸化腐食を有効に防止す
ることができるとともに外部リード端子7と外部電気回
路との電気的接続を良好となすことができる。そのため
前記外部リード端子7はその表面にニッケル、金等をメ
ッキ法により1乃至20μmの厚みに層着させておくこ
とが好ましい。
【0019】更に前記外部リード端子7が取着された絶
縁基体1はその上面に蓋体2が封止材8を介して接合さ
れ、これによって絶縁基体1と蓋体2とから成る容器4
内部に半導体集積回路素子3が気密に収容される。
【0020】前記封止材8は酸化鉛30.0乃至50.0重量
%、フッ化鉛10.0乃至20.0重量%、酸化ビスマス3.0 乃
至13.0重量%、酸化ホウ素1.0 乃至5.0 重量%、酸化亜
鉛1.0乃至5.0 重量%を含むガラス成分にフィラ
ーとしてのチタン酸鉛系化合物を25.0乃至45.0重量%添
加したガラスで形成されおり、該酸化鉛、フッ化鉛、酸
化ビスマス等から成る封止材8はその軟化溶融温度が32
0 ℃と低く、そのため封止材8を加熱溶融させ、絶縁基
体1と蓋体2とから成る絶縁容器4内部に半導体集積回
路素子3を気密に収容する際、封止材8を溶融させる熱
が内部に収容する半導体集積回路素子3に作用しても半
導体集積回路素子3に特性劣化を招来させることはな
く、その結果、半導体集積回路素子3を長期間にわたり
正常に作動させることが可能となる。
【0021】尚、前記封止材8はそれを構成する酸化鉛
(PbO)が30.0重量%未満であるとガラスの軟化溶融
温度が高くなり、封止材8を介して絶縁容器4を気密封
止する際、封止材8を軟化溶融させる熱によって半導体
集積回路素子3に特性劣化が招来してしまい、また50.0
重量%を越えると封止材8の耐薬品性が劣化し、絶縁容
器4 の気密封止の信頼性が大きく低下する。従って、前
記酸化鉛(PbO)はその量が30.0乃至50.0重量%の範
囲に特定される。
【0022】またフッ化鉛(Pb)F2 はその量が10.0
重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、
封止材8を介して絶縁容器4を気密封止する際、封止材
8を軟化溶融させる熱によって半導体集積回路素子3に
特性劣化が招来してしまい、また20.0重量%を越えると
封止材8の耐薬品性が劣化し、絶縁容器4の気密封止の
信頼性が大きく低下する。従って、前記フッ化鉛(P
b)F2 はその量が10.0乃至20.0 重量%の範囲に特定
される。
【0023】また酸化ビスマス(Bi2 3 )はその量
が3.0 重量%未満であると封止材8の軟化溶融温度が高
くなり、封止材8を介して絶縁容器4を気密封止する
際、封止材8を軟化溶融させる熱によって半導体集積回
路素子3に特性劣化が招来してしまい、また13.0重量%
を越えると封止材8の結晶化が進んで流動性が劣化し、
絶縁容器4 の気密封止が困難となる。従って、前記酸化
ビスマス(Bi2 3 )はその量が3.0 乃至13.0重量%
の範囲に特定される。
【0024】また酸化ホウ素(B2 3 )はその量が1.
0 重量%未満であると封止材8の熱膨張係数が絶縁基体
1や蓋体2の熱膨張係数と合わなくなり、また5.0 重量
%を越えると封止材8の耐薬品性が劣化し、絶縁容器4
の気密封止の信頼性が大きく低下する。従って、前記酸
化ホウ素(B2 3 )はその量が1.0 乃至5.0 重量%の
範囲に特定される。
【0025】また酸化亜鉛(ZnO)はその量が1.0 重
量%未満であると封止材8の耐薬品性が劣化し、絶縁容
器4の気密封止の信頼性が大きく低下してしまい、また
5.0重量%を越えると封止材8の結晶化が進んで流動性
が劣化し、絶縁容器4 の気密封止が困難となる。従っ
て、前記酸化亜鉛(ZnO)はその量が1.0 乃至5.0 重
量%の範囲に特定される。
【0026】更にフィラーとて添加されるチタン酸鉛系
化合物はその量が25.0重量%未満であると封止材8の熱
膨張係数が絶縁基体1や蓋体2の熱膨張係数と合わなく
なり、また45.0重量%を越えると封止材8の流動性が劣
化し、絶縁容器4の気密封止が困難となる。従って、前
記フィラーとして添加されるチタン酸鉛系化合物はその
量が25.0乃至45.0重量%の範囲に特定される。
【0027】かくしてこの半導体素子収納用パッケージ
によれば、絶縁基体1の凹部1a底面に半導体集積回路
素子3をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着
固定するとともに半導体集積回路素子3の各電極をメタ
ライズ配線層5にボンディングワイヤ6を介して電気的
に接続し、しかる後、絶縁基体1の上面に蓋体2を封止
材8を介して接合させ、絶縁基体1と蓋体2とから成る
容器4内部に半導体集積回路素子3を気密に収容するこ
とによって最終製品としての半導体装置が完成する。
【0028】尚、本発明は上述の実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種
々の変更は可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明の半導体素子収納用パッケージに
よれば、絶縁基体と蓋体とを接合させる封止材として、
酸化鉛30.0乃至50.0重量%、フッ化鉛10.0乃至20.0重量
%、、酸化ビスマス3.0 乃至13.0重量%、酸化ホウ素1.
0 乃至5.0 重量%、酸化亜鉛1.0 乃至5.0 重量%を含む
ガラス成分にフィラーとしてのチタン酸鉛系化合物を2
5.0乃至45.0重量%添加した軟化溶融温度が約320 ℃と
低いガラスを使用したことから絶縁基体と蓋体とを封止
材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る絶縁容
器内部に半導体集積回路素子を気密に収容する際、封止
材を溶融させる熱が内部に収容する半導体集積回路素子
に作用しても半導体集積回路素子に特性劣化を招来させ
ることはなく、その結果、半導体集積回路素子を長期間
にわたり正常に作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・絶縁基体 2・・・・・・蓋体 3・・・・・・半導体集積回路素子 4・・・・・・絶縁容器 8・・・・・・封止材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基体と蓋体とを封止材を介して接合さ
    せ、絶縁基体と蓋体とから成る容器内部に半導体素子を
    気密に収容する半導体素子収納用パッケージであって、
    前記封止材が酸化鉛30.0乃至50.0重量%、フッ化鉛10.0
    乃至20.0重量%、酸化ビスマス3.0 乃至13.0重量%、酸
    化ホウ素1.0 乃至5.0 重量%、酸化亜鉛1.0 乃至5.0 重
    量%を含むガラス成分にフィラーとしてのチタン酸鉛系
    化合物を25.0乃至45.0重量%添加したガラスから成るこ
    とを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
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