JP3117292B2 - 耐腐食疲労性を改善したスチ−ルコ−ド - Google Patents
耐腐食疲労性を改善したスチ−ルコ−ドInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ゴム製品の補強用に
使用されるスチ−ルコ−ドの耐腐食性を改善する技術に
関するものである。
使用されるスチ−ルコ−ドの耐腐食性を改善する技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】吸水性ポリマ−(以下SAPという)の
利用例として、ゴムに混合した水膨潤シ−ル材が、又、
SAPをテ−プ状に加工した止水材を光ケ−ブルや電力
ケ−ブル等に利用することが提案されている。しかし、
ゴム製品中に埋設されてこれを補強するゴム補強用スチ
−ルコ−ドにSAPを応用し、その耐腐食疲労性を改良
した例は見当たらない。
利用例として、ゴムに混合した水膨潤シ−ル材が、又、
SAPをテ−プ状に加工した止水材を光ケ−ブルや電力
ケ−ブル等に利用することが提案されている。しかし、
ゴム製品中に埋設されてこれを補強するゴム補強用スチ
−ルコ−ドにSAPを応用し、その耐腐食疲労性を改良
した例は見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ゴム製品補強用に使用
されるスチ−ルコ−ドの素線は、減面率が90%以上の
伸線加工を受けるので、素線の表層部には残留引張応力
が存在しており、そのために耐腐食疲労性が低下してゴ
ム製品の耐久性が損なわれるという問題点があった。
されるスチ−ルコ−ドの素線は、減面率が90%以上の
伸線加工を受けるので、素線の表層部には残留引張応力
が存在しており、そのために耐腐食疲労性が低下してゴ
ム製品の耐久性が損なわれるという問題点があった。
【0004】この問題を解決するために、特開昭57−
149578号公報では、鋼素線表面に残留圧縮応力が
均一に分散されたスチ−ルコ−ドが提案されているが、
鋼素線或いはスチ−ルコ−ドの製造工程中に強加工を行
うために断線を引き起こすという問題があった。
149578号公報では、鋼素線表面に残留圧縮応力が
均一に分散されたスチ−ルコ−ドが提案されているが、
鋼素線或いはスチ−ルコ−ドの製造工程中に強加工を行
うために断線を引き起こすという問題があった。
【0005】更に、タイヤ等のゴム製品の使用中に発生
する貫通傷や亀裂から、ゴム中に埋設されたスチ−ルコ
−ド内部の隙間に水分が浸入して鋼素線を錆びさせ、ゴ
ム製品の耐久性が低下するという問題点がある。
する貫通傷や亀裂から、ゴム中に埋設されたスチ−ルコ
−ド内部の隙間に水分が浸入して鋼素線を錆びさせ、ゴ
ム製品の耐久性が低下するという問題点がある。
【0006】この問題を解決するために、スチ−ルコ−
ドの隣合う素線の間に隙間があるような構造のスチ−ル
コ−ドが使用されているが、かかるオ−プン構造のスチ
−ルコ−ドでは小さい応力でも伸び易いためにスチ−ル
コ−ド内部にゴムが十分浸入しがたいという問題があ
り、又、最密構造よりも素線の本数を減らした構造のス
チ−ルコ−ドでは、撚性状が不良になりやすいために耐
疲労性が低下するという問題がある。
ドの隣合う素線の間に隙間があるような構造のスチ−ル
コ−ドが使用されているが、かかるオ−プン構造のスチ
−ルコ−ドでは小さい応力でも伸び易いためにスチ−ル
コ−ド内部にゴムが十分浸入しがたいという問題があ
り、又、最密構造よりも素線の本数を減らした構造のス
チ−ルコ−ドでは、撚性状が不良になりやすいために耐
疲労性が低下するという問題がある。
【0007】又、潤滑油或いは防錆油等にてスチ−ルコ
−ドを構成する鋼素線の表面に被覆した保護膜を形成す
るという方法も試みられたが、長寿命化する品質に対し
て十分ではない。
−ドを構成する鋼素線の表面に被覆した保護膜を形成す
るという方法も試みられたが、長寿命化する品質に対し
て十分ではない。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の問題
を解決するために次のような手段を採用したものであ
る。即ち、直径0.1〜0.4mmの鋼素線を撚り合わ
せてなるゴム製品補強用スチ−ルコ−ドにおいて、内層
を構成する鋼素線表面又は内層ストランド表面に潤滑油
等の有機皮膜を形成させ、次いでその上にSAPを付着
させるか、或いは潤滑油とSAPとを混合したペ−スト
による有機皮膜を形成させ、スチ−ルコ−ド内部の空隙
にSAPを存在させることにより水の拡散を防止してス
チ−ルコ−ドの耐腐食疲労性を改善するものである。
を解決するために次のような手段を採用したものであ
る。即ち、直径0.1〜0.4mmの鋼素線を撚り合わ
せてなるゴム製品補強用スチ−ルコ−ドにおいて、内層
を構成する鋼素線表面又は内層ストランド表面に潤滑油
等の有機皮膜を形成させ、次いでその上にSAPを付着
させるか、或いは潤滑油とSAPとを混合したペ−スト
による有機皮膜を形成させ、スチ−ルコ−ド内部の空隙
にSAPを存在させることにより水の拡散を防止してス
チ−ルコ−ドの耐腐食疲労性を改善するものである。
【0009】前記のSAPは吸水倍率が好ましくは50
倍以上のものであって、一方、前記した直径0.1〜
0.4mmの鋼素線にあっては、例えば炭素含有量が
0.70〜0.90重量%であり、最終パテンティング
からの伸線減面率が90%以上の直径0.1〜0.4m
mの鋼素線である。
倍以上のものであって、一方、前記した直径0.1〜
0.4mmの鋼素線にあっては、例えば炭素含有量が
0.70〜0.90重量%であり、最終パテンティング
からの伸線減面率が90%以上の直径0.1〜0.4m
mの鋼素線である。
【0010】
【作用】図1〜図3は夫々本発明の各例を示すスチ−ル
コ−ド1の断面図を示す。図にあって、2は外層(シ−
ス)、3は内層(コア)であって、4はその内外層間の
内部空間である。尚、符号5にて示すのがSAP、6は
鋼素線である。
コ−ド1の断面図を示す。図にあって、2は外層(シ−
ス)、3は内層(コア)であって、4はその内外層間の
内部空間である。尚、符号5にて示すのがSAP、6は
鋼素線である。
【0011】このように、SAP5は外層(シ−ス)2
と内層3との間に存在し、ここに浸入してきた水分を吸
収して水を捕獲し膨潤するものであり、このため、スチ
−ルコ−ド1内部の空間を目詰まりさせてしまい、浸入
水を最小限に食い止めることができ、スチ−ルコ−ド1
とゴムとの接着不良や錆の発生によるスチ−ルコ−ド1
の強力低下を防止できることにある。
と内層3との間に存在し、ここに浸入してきた水分を吸
収して水を捕獲し膨潤するものであり、このため、スチ
−ルコ−ド1内部の空間を目詰まりさせてしまい、浸入
水を最小限に食い止めることができ、スチ−ルコ−ド1
とゴムとの接着不良や錆の発生によるスチ−ルコ−ド1
の強力低下を防止できることにある。
【0012】SAPとしては澱粉にアクリル酸をグラフ
ト重合したポリマ−、ビニルアルコ−ルとアクリル酸の
共重合体、無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸ナ
トリウム架橋体等であり、良好な効果を得るためには吸
水倍率が大きく、吸水したポリマ−は一定の形状を保つ
ゲルになるものが水分の伝達を防止する上で好ましいも
のと言える。
ト重合したポリマ−、ビニルアルコ−ルとアクリル酸の
共重合体、無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸ナ
トリウム架橋体等であり、良好な効果を得るためには吸
水倍率が大きく、吸水したポリマ−は一定の形状を保つ
ゲルになるものが水分の伝達を防止する上で好ましいも
のと言える。
【0013】ただし、鋼素線表面のSAPはゴムとスチ
−ルコ−ドとが接着する部分には付着させないようにす
るべきであり、スチ−ルコ−ドの外周面にSAPを付着
させることは、ゴムとスチ−ルコ−ドとの接着性に悪影
響を与えることとなり好ましくない。
−ルコ−ドとが接着する部分には付着させないようにす
るべきであり、スチ−ルコ−ドの外周面にSAPを付着
させることは、ゴムとスチ−ルコ−ドとの接着性に悪影
響を与えることとなり好ましくない。
【0014】従って、この発明においてはゴムとの接着
に影響のない2層以上の層撚りスチ−ルコ−ド或いは複
撚りスチ−ルコ−ドの内層を構成する鋼素線又は内層ス
トランドに適用すること以外に、単撚りスチ−ルコ−ド
や最外層にこの発明の有機皮膜処理を適用することも可
能であるが、この場合には、ゴムとスチ−ルコ−ドが接
触する部分のSAPは除去することが必要で、表面にS
APを存在させず、スチ−ルコ−ドの内部空隙にのみS
APを存在させることが肝要である。
に影響のない2層以上の層撚りスチ−ルコ−ド或いは複
撚りスチ−ルコ−ドの内層を構成する鋼素線又は内層ス
トランドに適用すること以外に、単撚りスチ−ルコ−ド
や最外層にこの発明の有機皮膜処理を適用することも可
能であるが、この場合には、ゴムとスチ−ルコ−ドが接
触する部分のSAPは除去することが必要で、表面にS
APを存在させず、スチ−ルコ−ドの内部空隙にのみS
APを存在させることが肝要である。
【0015】鋼素線に潤滑油等を塗布するのは、鋼素線
の錆の発生を防止すると共に、粉末のSAPが付着しや
すいようにするためであり、このことから潤滑油は或程
度粘稠であることが望ましい。又、潤滑油等はSAPに
吸収された水分による錆の発生から鋼素線を守る油膜と
して作用する。かかる潤滑油等は、潤滑油、防錆剤を含
む潤滑油、ゴムの加工性を改善するために使用されるプ
ロセス油が使用され、これらの油に粘度を増すための増
粘剤や粘着性を増すための粘稠剤を添加することもでき
る。
の錆の発生を防止すると共に、粉末のSAPが付着しや
すいようにするためであり、このことから潤滑油は或程
度粘稠であることが望ましい。又、潤滑油等はSAPに
吸収された水分による錆の発生から鋼素線を守る油膜と
して作用する。かかる潤滑油等は、潤滑油、防錆剤を含
む潤滑油、ゴムの加工性を改善するために使用されるプ
ロセス油が使用され、これらの油に粘度を増すための増
粘剤や粘着性を増すための粘稠剤を添加することもでき
る。
【0016】
【実施例】以下実施例によって本発明のスチ−ルコ−ド
を更に詳細に説明する。3+9構造のスチ−ルコ−ドに
ついて説明すると、ラノリン誘導体添加のペトロラタム
型防錆剤、例えば東洋薬化学株式会社製の商品名(Ce
Bo#601)とSAP、例えばポリアクリル酸ナトリ
ウム架橋体である株式会社日本触媒製の商品名(アクア
リックCA ML10)の粉末を混合したペ−ストの適
量(50〜1000mg/m2 )をブラスめっきされた
鋼素線3本に塗布した後撚り合わせて内層(コア)と
し、次いでその外側に9本のブラスめっきされた鋼素線
を配置するように撚り合わせてこの発明のスチ−ルコ−
ドAとなした。
を更に詳細に説明する。3+9構造のスチ−ルコ−ドに
ついて説明すると、ラノリン誘導体添加のペトロラタム
型防錆剤、例えば東洋薬化学株式会社製の商品名(Ce
Bo#601)とSAP、例えばポリアクリル酸ナトリ
ウム架橋体である株式会社日本触媒製の商品名(アクア
リックCA ML10)の粉末を混合したペ−ストの適
量(50〜1000mg/m2 )をブラスめっきされた
鋼素線3本に塗布した後撚り合わせて内層(コア)と
し、次いでその外側に9本のブラスめっきされた鋼素線
を配置するように撚り合わせてこの発明のスチ−ルコ−
ドAとなした。
【0017】他のこの発明の実施例として、ブラスめっ
きされた鋼素線3本を撚り合わせて内層(コア)とした
後、この内層にラノリン誘導体添加のペトロラタム型防
錆油の適量(50〜1000g/m2 )を塗布し、次い
でSAP例えばポリアクリル酸ナトリウム架橋体の粉末
を付着させ、その外側に9本のブラスめっきされた鋼素
線を配置するように撚り合わせてもよい。
きされた鋼素線3本を撚り合わせて内層(コア)とした
後、この内層にラノリン誘導体添加のペトロラタム型防
錆油の適量(50〜1000g/m2 )を塗布し、次い
でSAP例えばポリアクリル酸ナトリウム架橋体の粉末
を付着させ、その外側に9本のブラスめっきされた鋼素
線を配置するように撚り合わせてもよい。
【0018】この発明の更に他の例として、SAPとし
て(アクアリックCS 7S)の粉末を防錆油と混合し
たペ−ストを付着させてスチ−ルコ−ドBとし、比較例
として潤滑油のみを塗布したスチ−ルコ−ドC、及び鋼
素線の表面に何も被覆していないスチ−ルコ−ドDを従
来例とした。
て(アクアリックCS 7S)の粉末を防錆油と混合し
たペ−ストを付着させてスチ−ルコ−ドBとし、比較例
として潤滑油のみを塗布したスチ−ルコ−ドC、及び鋼
素線の表面に何も被覆していないスチ−ルコ−ドDを従
来例とした。
【0019】得られたこれらのスチ−ルコ−ドを2枚の
未加硫ゴムシ−トの間にはさみ、加熱加圧下で加硫し複
合体とした。この複合体の端部を裁断しスチ−ルコ−ド
が露出した断面を有する試験片を作成し、次いでこの試
験片を10%の食塩水に一定時間浸漬した後、ゴムから
コ−ドを取り出し、コア、シ−スにおける接着不良長さ
を測定した。その結果を図4に示す。接着不良長さ指数
が100とは、資料長の全長にわたって接着不良が存在
していることを表している。
未加硫ゴムシ−トの間にはさみ、加熱加圧下で加硫し複
合体とした。この複合体の端部を裁断しスチ−ルコ−ド
が露出した断面を有する試験片を作成し、次いでこの試
験片を10%の食塩水に一定時間浸漬した後、ゴムから
コ−ドを取り出し、コア、シ−スにおける接着不良長さ
を測定した。その結果を図4に示す。接着不良長さ指数
が100とは、資料長の全長にわたって接着不良が存在
していることを表している。
【0020】この図から、本発明のスチ−ルコ−ドA及
びBにあっては、接着不良長さが極めて低いことが証明
されたが、スチ−ルコ−ドのコアに表面処理を施してい
ない従来のコ−ドDにあっては、食塩水に6時間浸漬し
た状態で既に接着不良指数が100となってしまってお
り、コアの表面に防錆油を付着させたスチ−ルコ−ドC
にあっても、極く早い時期に接着不良長さ指数が大きく
なってしまった。
びBにあっては、接着不良長さが極めて低いことが証明
されたが、スチ−ルコ−ドのコアに表面処理を施してい
ない従来のコ−ドDにあっては、食塩水に6時間浸漬し
た状態で既に接着不良指数が100となってしまってお
り、コアの表面に防錆油を付着させたスチ−ルコ−ドC
にあっても、極く早い時期に接着不良長さ指数が大きく
なってしまった。
【0021】他の評価法として、前記の複合体からコ−
ド一本をコ−ドの外周にゴムを付けるように切り出し、
ハンタ−試験機を用いて耐腐食疲労性について評価し
た。その試験条件は、蒸留水にて曲率半径82mmで回
転曲げを行い、所定回転数を与えた後、コアストランド
の破断個所数を調査した。調査は3回繰り返して行い平
均の破断個所数を調べた。結果を表1に示す。
ド一本をコ−ドの外周にゴムを付けるように切り出し、
ハンタ−試験機を用いて耐腐食疲労性について評価し
た。その試験条件は、蒸留水にて曲率半径82mmで回
転曲げを行い、所定回転数を与えた後、コアストランド
の破断個所数を調査した。調査は3回繰り返して行い平
均の破断個所数を調べた。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】この表から、本発明によって得られたスチ
−ルコ−ドA、Bはコアストランドの破断個所は極めて
少ないものであるのに対し、スチ−ルコ−ドC及びDに
あっては破断個所が多く問題点があることがわかった。
この事は、逆に言えば、本発明にあっては従来のスチ−
ルコ−ドの欠点を改良したものであるということができ
る。
−ルコ−ドA、Bはコアストランドの破断個所は極めて
少ないものであるのに対し、スチ−ルコ−ドC及びDに
あっては破断個所が多く問題点があることがわかった。
この事は、逆に言えば、本発明にあっては従来のスチ−
ルコ−ドの欠点を改良したものであるということができ
る。
【0024】ここで、3+9構造のスチ−ルコ−ドで本
発明のスチ−ルコ−ド1の製造法を具体的に述べると、
図5にあって、直径が0.23mmのブラスめっきされ
た鋼素線6の製造伸線工程において、最終ダイス7を通
過した素線6を防錆油8とSAP5とを混合したペ−ス
ト9が満たされた槽10内に導き、適量のペ−スト9が
鋼素線6の表面に付着するような孔径を有するダイス1
1を通過させ、次いでこのようにして得た鋼素線6を3
本撚り合わせてコアストランドとした後、SAP5が付
着していない直径0.23mmのブラスめっきされた鋼
素線9本をコアストランドの周囲に配置するように撚り
合わせてこの発明のスチ−ルコ−ド1を得る。
発明のスチ−ルコ−ド1の製造法を具体的に述べると、
図5にあって、直径が0.23mmのブラスめっきされ
た鋼素線6の製造伸線工程において、最終ダイス7を通
過した素線6を防錆油8とSAP5とを混合したペ−ス
ト9が満たされた槽10内に導き、適量のペ−スト9が
鋼素線6の表面に付着するような孔径を有するダイス1
1を通過させ、次いでこのようにして得た鋼素線6を3
本撚り合わせてコアストランドとした後、SAP5が付
着していない直径0.23mmのブラスめっきされた鋼
素線9本をコアストランドの周囲に配置するように撚り
合わせてこの発明のスチ−ルコ−ド1を得る。
【0025】又、図6に基づいて別の製造法を述べる
と、直径が0.23mmのブラスめっきされた鋼素線6
の製造伸線工程において、最終ダイス7を通過した素線
6を防錆油8が満たされた槽12内に導き、次いで更に
ダイス131 及び132 を通してSAP5の入った槽1
4に導く。このようにして防錆油8とSAP5を鋼素線
6の表面に付着させ、振動プ−リ−15にて過剰のSA
P5を除去する。このようにして得た鋼素線6を3本撚
り合わせてコアストランドとした後、SAP5が付着し
ていない直径0.23mmのブラスめっきされた鋼素線
9本をコアストランドの周囲に配置するように撚り合わ
せてこの発明のスチ−ルコ−ド1を得る。
と、直径が0.23mmのブラスめっきされた鋼素線6
の製造伸線工程において、最終ダイス7を通過した素線
6を防錆油8が満たされた槽12内に導き、次いで更に
ダイス131 及び132 を通してSAP5の入った槽1
4に導く。このようにして防錆油8とSAP5を鋼素線
6の表面に付着させ、振動プ−リ−15にて過剰のSA
P5を除去する。このようにして得た鋼素線6を3本撚
り合わせてコアストランドとした後、SAP5が付着し
ていない直径0.23mmのブラスめっきされた鋼素線
9本をコアストランドの周囲に配置するように撚り合わ
せてこの発明のスチ−ルコ−ド1を得る。
【0026】尚、図示はしないが、前記のダイス13
1 、132 を一つのものとし、槽12及び槽14を連結
することも可能である。更に別法としては、コアストラ
ンド或いは素線にロ−ラ−にて塗布することにより防錆
油を塗布し、次いでSAP槽内にこれを導くことによっ
て防錆油とSAPとを表面に付着させることも可能であ
る。
1 、132 を一つのものとし、槽12及び槽14を連結
することも可能である。更に別法としては、コアストラ
ンド或いは素線にロ−ラ−にて塗布することにより防錆
油を塗布し、次いでSAP槽内にこれを導くことによっ
て防錆油とSAPとを表面に付着させることも可能であ
る。
【0027】更に、この発明による単撚り構造のスチ−
ルコ−ドの製造方法、例えば1×5×0.23について
説明すると、直径0.23mmのブラスめっきされた鋼
素線5本を上記と同様の方法で防錆油とSAPとを混合
したペ−ストを塗布した後、撚線機で撚り合わせてスチ
−ルコ−ドとし、次いでスチ−ルコ−ドをブラシロ−ル
間に通過させることにより表面に付着しているSAPを
除去して製品とした。
ルコ−ドの製造方法、例えば1×5×0.23について
説明すると、直径0.23mmのブラスめっきされた鋼
素線5本を上記と同様の方法で防錆油とSAPとを混合
したペ−ストを塗布した後、撚線機で撚り合わせてスチ
−ルコ−ドとし、次いでスチ−ルコ−ドをブラシロ−ル
間に通過させることにより表面に付着しているSAPを
除去して製品とした。
【0028】
【発明の効果】この発明によれば、コ−ド内部に空隙を
有するスチ−ルコ−ドの耐食性を著しく向上することが
できるので、従来のゴム浸入性スチ−ルコ−ドに伴う欠
点のないゴム物品補強用スチ−ルコ−ドを提供できるこ
ととなったものである。
有するスチ−ルコ−ドの耐食性を著しく向上することが
できるので、従来のゴム浸入性スチ−ルコ−ドに伴う欠
点のないゴム物品補強用スチ−ルコ−ドを提供できるこ
ととなったものである。
【図1】図1は本発明のスチ−ルコ−ドの断面図であ
る。
る。
【図2】図2は本発明の他の例を示すスチ−ルコ−ドの
断面図である。
断面図である。
【図3】図3は本発明の更に別例を示すスチ−ルコ−ド
の断面図である。
の断面図である。
【図4】図4は接着試験結果を示すグラフである。
【図5】図5は内層素線へのSAP付着装置の例を示す
ものである。
ものである。
【図6】図6は内層素線へのSAP付着装置の他の例を
示すものである。
示すものである。
1‥‥スチ−ルコ−ド、 2‥‥外層(シ−ス)、 3‥‥内層(コア)、 4‥‥空間、 5‥‥SAP、 6‥‥鋼素線、 7‥‥最終ダイス、 8‥‥防錆油、 9‥‥ペ−スト、 10‥‥槽、 11‥‥ダイス、 12‥‥槽、 13‥‥ダイス、 14‥‥槽、 15‥‥振動プ−リ−。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−231884(JP,A) 特開 平4−154401(JP,A) 特開 昭50−69347(JP,A) 特開 平3−234867(JP,A) 実開 昭60−169294(JP,U) 国際公開85/2210(WO,A1) 「ワイヤロープ便覧」昭和42年10月15 日発行(白亜書房)第74−77頁、第104 −107頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D07B 1/00 - 9/00
Claims (3)
- 【請求項1】 直径0.1〜0.4mmの鋼素線を撚り
合わせてなるゴム製品補強用スチ−ルコ−ドにおいて、
スチ−ルコ−ドを構成する鋼素線の少なくとも1本の表
面に潤滑油等の有機被覆処理が施されており、かつ各素
線間の空隙に吸水性ポリマ−が存在していることを特徴
とする耐腐食疲労性を改善したスチ−ルコ−ド。 - 【請求項2】 前記吸水性ポリマ−は吸水倍率が50倍
以上である請求項第1項記載の耐腐食疲労性を改善した
スチ−ルコ−ド。 - 【請求項3】 炭素含有量が0.70〜0.90重量%
であり、最終パテンティングからの伸線減面率が90%
以上の直径0.1〜0.4mmの鋼素線を撚り合わせて
なるゴム製品補強用スチ−ルコ−ドにおいて、スチ−ル
コ−ドを構成する鋼素線の少なくとも1本の表面に潤滑
油等の有機被覆処理が施されており、かつ各素線間の空
隙に吸水倍率が50倍以上の吸水性ポリマ−が存在して
いることを特徴とする耐腐食疲労性を改善したスチ−ル
コ−ド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21565592A JP3117292B2 (ja) | 1992-07-21 | 1992-07-21 | 耐腐食疲労性を改善したスチ−ルコ−ド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21565592A JP3117292B2 (ja) | 1992-07-21 | 1992-07-21 | 耐腐食疲労性を改善したスチ−ルコ−ド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0649786A JPH0649786A (ja) | 1994-02-22 |
JP3117292B2 true JP3117292B2 (ja) | 2000-12-11 |
Family
ID=16675992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21565592A Expired - Fee Related JP3117292B2 (ja) | 1992-07-21 | 1992-07-21 | 耐腐食疲労性を改善したスチ−ルコ−ド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3117292B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04240891A (ja) * | 1991-01-25 | 1992-08-28 | Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd | 電子タンバリン |
EP3109038A1 (de) * | 2015-06-26 | 2016-12-28 | Phoenix Conveyor Belt Systems GmbH | Fördergurt mit einem zugträger aus seilen |
KR20230055186A (ko) * | 2021-10-18 | 2023-04-25 | 넥센타이어 주식회사 | 타이어 벨트 고무 조성물 및 이를 포함하는 타이어 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10213289A1 (de) * | 2001-03-30 | 2002-11-14 | Yokohama Rubber Co Ltd | Elastomer-und-Stahlkord-Verbundwerkstoff und Prozess zur Herstellung desselben |
JP4015379B2 (ja) | 2001-06-01 | 2007-11-28 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム補強用スチールコード、ゴム補強用スチールコードの製造方法、および、空気入りタイヤ |
-
1992
- 1992-07-21 JP JP21565592A patent/JP3117292B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「ワイヤロープ便覧」昭和42年10月15日発行(白亜書房)第74−77頁、第104−107頁 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04240891A (ja) * | 1991-01-25 | 1992-08-28 | Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd | 電子タンバリン |
EP3109038A1 (de) * | 2015-06-26 | 2016-12-28 | Phoenix Conveyor Belt Systems GmbH | Fördergurt mit einem zugträger aus seilen |
KR20230055186A (ko) * | 2021-10-18 | 2023-04-25 | 넥센타이어 주식회사 | 타이어 벨트 고무 조성물 및 이를 포함하는 타이어 |
KR102620796B1 (ko) * | 2021-10-18 | 2024-01-05 | 넥센타이어 주식회사 | 타이어 벨트 고무 조성물 및 이를 포함하는 타이어 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0649786A (ja) | 1994-02-22 |
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