JP3116589B2 - 車両用暖房装置 - Google Patents

車両用暖房装置

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JP3116589B2 JP04246294A JP24629492A JP3116589B2 JP 3116589 B2 JP3116589 B2 JP 3116589B2 JP 04246294 A JP04246294 A JP 04246294A JP 24629492 A JP24629492 A JP 24629492A JP 3116589 B2 JP3116589 B2 JP 3116589B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンを冷却する冷
却水を利用して車室内の暖房を行なう車両用暖房装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】車両用暖房装置たる自動車用暖房装置と
しては、エンジンを冷却する冷却水を暖房器たるヒータ
コアに供給して、このヒータコアにより加熱した空気を
車室内に送り込んで暖房を行なう構成のものが主流にな
ってきている。
【0003】ところが、例えば、ディーゼルエンジン車
のように、エンジンの発熱量が少なくてエンジンを冷却
する冷却水が充分に加熱されない場合には、暖房能力が
不足する問題があり、このような場合の対策として、従
来では、特開平2−254010号公報に開示されてい
るように、エンジンからヒータコアに供給される冷却水
を加熱する熱発生器を設けるようにしたものが考えられ
ている。
【0004】この熱発生器は、エンジンの動力をベルト
伝達機構及び電磁クラッチを介してケースに支承された
シャフトに伝達し、ケース内に発熱室を設けて、その発
熱室の外周に前記冷却水を通すようにし、更に、発熱室
内に前記シャフトによって回転されるロータを配置する
とともに、その発熱室内にシリコンオイルからなる粘性
流体を収納し、そして、ロータの回転により粘性流体に
剪断力を作用させて熱を発生させ、その発生熱により発
熱室外周を流通する冷却水を加熱するようにした構成で
ある。そして、この熱発生器を動作させる必要のないと
きには、電磁クラッチを切るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、特開平
2−254010号公報に開示された熱発生器を用いた
自動車用暖房装置についての性能試験を種々の条件下で
実施したところ、エンジンからの冷却水の温度が低いと
きには、電磁クラッチにすべりが発生したり、或いは、
ベルト伝達機構のベルトにすべりが発生したり等して、
駆動手段たる電磁クラッチ,ベルト伝達機構に支障が生
ずるという問題があることを発見した。
【0006】本発明者らが、その原因を追求したとこ
ろ、冷却水の温度が或る温度未満となるような低い領域
になると、粘性流体の粘性が極めて高くなって、駆動負
荷が著しく大になるためであると判明した。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、エンジンからの冷却水を粘性流体を
用いた加熱器によって加熱するようにした構成であって
も、加熱器を駆動する駆動手段が過負荷になることがな
い車両用暖房装置を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用暖房装置
は、エンジンを冷却した冷却水が供給されて車室内の暖
房を行なう暖房器を設け、駆動力が与えられることに基
づき剪断力が作用されて熱を発生する粘性流体を内部に
有し、その発生熱により前記暖房器に供給される冷却水
を加熱する加熱器を設け、この加熱器に駆動力を与える
駆動手段を設け、前記加熱器と熱交換される冷却水の温
度が低い間、前記駆動手段をその駆動負担が小となるよ
うに制御する制御手段を設ける構成に特徴を有する。
【0009】
【作用】本発明の車両用暖房装置によれば、通常暖房時
は、エンジンからの冷却水は加熱器の粘性流体の発生熱
により加熱された後暖房器に供給されるようになるが、
エンジンからの冷却水の温度が低い間は、駆動手段はそ
の駆動負担が小となるように制御されるので、冷却水の
温度が低くて加熱器の駆動負荷が大になっても、駆動手
段が過負荷になることはない。
【0010】
【実施例】以下、本発明を自動車用空調装置に適用した
一実施例につき、図面を参照しながら説明する。先ず、
図1に従って、全体の構成について述べる。
【0011】エンジン1は、車両例えばディーゼルエン
ジン車のもので、内部には冷却水が流通されるようにな
っている。このエンジン1の第1の冷却水流出口1aは
配管2を介して熱動形切換バルブ3の流入口3aに連結
され、この切換バルブ3の第1の流出口3bは配管4を
介してラジエータ5の冷却水流入口5aに連結され、こ
のラジエータ5の冷却水流出口5bは配管6を介してエ
ンジン1の冷却水流入口1bに連結されており、そし
て、切換バルブ3の第2の流出口3cは配管7を介して
配管6の途中部位に連結されている。
【0012】この場合、熱動形切換バルブ3は、配管2
を介して流入するエンジン1からの冷却水の温度を検出
し、これが所定温度以上の高温度のときには、流入口3
aを第1の流出口3bに連通させて冷却水をラジエータ
5に供給し、所定温度未満の低温度のときには、流入口
3aを第2の流出口3cに連通させて冷却水を配管7に
供給してラジエータ5をバイパスさせるようになってい
る。
【0013】一方、エンジン1の第2の冷却水流出口1
cは配管8を介して後述する加熱器9の冷却水流入口9
aに連結され、この加熱器9の冷却水流出口9bは電磁
バルブ10を有する配管11を介して暖房器たるヒータ
コア12の冷却水流入口12aに連結され、このヒータ
コア12の冷却水流出口12bは配管13を介して配管
6の途中部位に連結されている。
【0014】前記ヒータコア12は、ダクト14内に配
設されている。又、ダクト14内には、送風機15が配
設されているとともに、図示はしないが、冷凍サイクル
の冷却器及び温度調節器たるエアミックスダンパが配設
されている。そして、送風機15からの風は、冷凍サイ
クルの冷却器により冷却された後、ヒータコア12によ
り加熱されてダクト14に連通された吹出口から車室内
に供給されるようになっているが、この場合、エアミッ
クスダンパの調節に応じて冷却器により冷却されて吹出
口に向かう風とヒータコア12により加熱されて吹出口
に向かう風との割合が調節されることによって、吹出口
から吹出される風の温度制御が行なわれるようになって
いる。
【0015】尚、エアミックスダンパが「最大冷房運
転」に調節された場合には、電磁バルブ10が通電され
て閉塞するようになっている。
【0016】さて、加熱器9は、特開平2−25401
0号公報に開示された熱発生器と同一構成をなすもので
ある。即ち、ケースにシャフト9cが支承され、そのケ
ース内に熱発生室が形成されているとともに、その熱発
生室内にシャフト9cによって回転駆動されるロータが
配置され、更に、熱発生室内にシリコンオイルからなる
粘性流体が収納され、そして、熱発生室の外周には冷却
水流入口9aから流入し且つ冷却水流出口9bから流出
する冷却水が流通するようになっている。
【0017】ベルト伝達機構16は、エンジン1の動力
シャフト1dに取付けられた駆動プーリ16aと、加熱
器9のシャフト9cに取付けられた従動プーリ16b
と、これらの間に掛渡されたベルト16cとから構成さ
れている。そして、図示はしないが、従動プーリ16b
とシャフト9cとの間には駆動手段たる電磁クラッチが
設けられており、この電磁クラッチが通電されると、従
動プーリ16bとシャフト9cとが連結されるようにな
っている。
【0018】即ち、加熱器9は、電磁クラッチが通電さ
れると、エンジン1を駆動源としてベルト伝達機構16
及び電磁クラッチを介して回転動力がシャフト9cに伝
達されることにより動作するものであり、その動作は、
シャフト9cでロータが回転されることにより熱発生室
内の粘性流体に剪断力が作用し、粘性流体が内部エネル
ギーの増加及び摩擦により熱を発生し、この発生熱によ
り熱発生室の外周を流通する冷却水を加熱するというも
のである。
【0019】水温センサ17は、配管8に取付けられ
て、エンジン1からの冷却水の温度を検出するもので、
冷却水温度TWを示す検出信号を出力する。加熱器スイ
ッチ18は、常にはオフされ、加熱器9の動作が必要な
ときに手動操作によりオンされるようになっている。そ
して、水温センサ17の検出信号及び加熱器スイッチ1
8のオン信号は制御手段たるECU19の入力ポートに
与えられるようになっている。ここで、ECU19は、
後述するように動作するもので、温度センサ17の検出
信号及び加熱器スイッチ18のオン信号に基づいて電磁
クラッチを通断電制御するようになっている。
【0020】次に、本実施例の作用につき、図2のフロ
ーチャートをも参照して説明する。この場合、ECU1
9は、空調装置の制御及びその他の制御を行なうもので
あるが、説明を簡素化するために、図2には「加熱器運
転ルーチン」のみを抽出して示している。
【0021】ECU19は、「加熱器運転ルーチン」に
移行すると、先ず、「加熱器スイッチオン?」の判断ス
テップS1となり、ここでは、加熱器スイッチ18がオ
ンされているか否かを判断するもので、もし、加熱器ス
イッチ18がオフされていた場合には、「NO」と判断
してリターンする。加熱器9の運転が必要ということ
で、加熱器スイッチ18がオンされていた場合には、E
CU19は、判断ステップS1で「YES」と判断して
「最大冷房運転?」の判断ステップS2に移行する。
【0022】ECU19は、この判断ステップS2で
は、ダクト14内のエアミックスダンパが「最大冷房運
転」に調節されているか否かを判断するもので、「YE
S」と判断した場合には、リターンする。即ち、エアミ
ックスダンパが「最大冷房運転」に調節されている場合
には、電磁バルブ10が閉塞されてヒータコア12にエ
ンジン1からの冷却水は供給されないので、加熱器9を
動作させる必要がないのである。そして、ECU19
は、この判断ステップS2で「NO」と判断した場合に
は、「冷却水温度検出(TW)」の入力ステップS3に
移行し、ここでは、温度センサ17の検出信号から冷却
水温度TWを読取り、「TW<TL(30゜C)?」の
判断ステップS4に移行する。
【0023】ECU19のメモリ(図示せず)には、下
限設定温度TL(例えば30℃)と上限設定温度TH
(例えば80℃)とが予め設定されて記憶されている。
これにより、ECU19は、判断ステップS4では、冷
却水温度TWが下限設定温度TL(例えば30℃)未満
か否かを判断するもので、「NO」(TW≧TL)と判
断した場合には、「TW>TH(80℃)?」の判断ス
テップS5に移行する。そして、ECU19は、この判
断ステップS5では、冷却水温度TWが上限設定温度T
H(例えば80℃)を超えているか否かを判断するもの
で、「NO」(TW≦TH)と判断した場合には、「電
磁クラッチ通電」の出力ステップS6に移行する。
【0024】ECU19は、この出力ステップS6で
は、従動プーリ16bとシャフト9cとの間に設けられ
た電磁クラッチに通電するようになり、従動プーリ16
bがシャフト9cに連結される。従って、エンジン1を
冷却した後冷却水流出口1c及び配管8を経て冷却水流
入口9aから加熱器9内に流入した冷却水は、加熱室9
内の粘性流体の発生熱により加熱され、しかる後、冷却
水流出口9b,配管11,電磁バルブ10を経て冷却水
流入口12aからヒータコア12内に流入する。そし
て、ヒータコア12内に流入した冷却水は、そのヒータ
コア12の周囲を通る風と熱交換して冷却され、更に、
冷却水流出口12b,配管13,16を経て冷却水流入
口1bからエンジン1内に戻されるようになる。
【0025】エンジン1の発熱量が多くなって水温セン
サ17が検出する冷却水温度TWが上限設定温度TH
(例えば80℃)を超えるようになった場合には、EC
U19は、判断ステップS5に移行したときに「YE
S」と判断して「電磁クラッチ断電」の出力ステップS
7に移行する。これにより、ECU19は、従動プーリ
16bとシャフト9cとの間の電磁クラッチを断電して
従動プーリ16bとシャフト9cとを遮断するようにな
り、加熱器9の動作は停止される。従って、冷却水は、
配管8を経て加熱器9内に流入しても、加熱器9によっ
て加熱されることはない。
【0026】さて、ECU19が「TW<TL(30
℃)?」の判断ステップS4に移行した場合において、
水温センサ17が検出する冷却水温度TWが下限設定温
度TL(例えば30℃)未満であるときには、ECU1
9は、この判断ステップS4で「YES」と判断して直
ちに「電磁クラッチ断電」の出力ステップS7に移行す
るようになる。従って、加熱器9は、それまで動作を停
止していた場合には更に動作停止を継続し、又、それま
で動作していた場合には動作を停止するようになる。
【0027】このように、本実施例によれば、エンジン
1を冷却した後加熱器9内に流入する冷却水の温度TW
が下限設定温度TL(例えば30℃)未満のように低い
間は、加熱器9の動作を停止させるようにした。従っ
て、加熱器9内の粘性流体の粘性が極めて大で駆動負荷
が著しく大である場合に加熱器9を無理に動作させるこ
とはなくなり、ベルト伝達機構16のベルトにすべりが
発生したり、或いは、ベルト伝達機構16の従動プーリ
16bと加熱器9のシャフト9cとの間に設けられた駆
動手段たる電磁クラッチにすべりが発生したりするよう
な支障は何ら生じない。
【0028】勿論、冷却水温度TWが下限設定温度TL
以上で且つ上限設定温度TH(例えば80℃)以下の場
合、即ち、エンジン1の発熱量が少ない場合には、加熱
器9が動作してエンジン1からの冷却水を加熱するの
で、充分な暖房能力を得ることができる。
【0029】そして、エンジン1からの冷却水の温度T
Wが上限設定温度THを超えている場合には、エンジン
1の発熱量のみで充分に暖房能力があると判断して加熱
器19の動作を停止させるようにしたので、不必要に動
力を消費することを防止することができる。
【0030】尚、上記実施例では、エンジン1を駆動源
として加熱器9を動作させるようにしたが、例えば、駆
動源として電動モータを用いるようにしてもよく、この
場合には、駆動手段を兼用する電動モータによって、加
熱器9のシャフト9cを、冷却水温度TWが下限設定温
度TL以上で且つ上限設定温度TH以下のときには、高
速度で回転させ、冷却水温度TWが下限設定温度TL未
満のときには、トルクの大なる低速度で回転させるよう
にしてもよい。
【0031】従って、冷却水温度TWが下限設定温度T
L未満の低い間においては、加熱器9の動作を停止させ
るか、或いは、低速度で動作させるかのように、駆動手
段の駆動負担が小となるように制御すれば、充分に目的
を達成することができるものである。
【0032】又、上記実施例では、水温センサ17によ
って冷却水温度TWを検出して、これが下限設定温度T
L未満のときに加熱器9の動作を停止させるようにした
が、エンジン1の始動時からタイマ回路を設定時間動作
させて、そのタイマ回路の動作中は加熱器9の動作を停
止させるようにしてもよく、この場合には、外気温度セ
ンサを設けて、この外気温度センサが検出する外気温度
に応じてタイマ回路の設定時間を変更するようにしても
よい。
【0033】更に、上記実施例では、加熱器として特開
平2−254010号公報に開示された熱発生器を用い
るようにしたが、代りに、例えば、ギアポンプ或いは油
圧ポンプを用い、内部にシリコンオイルからなる粘性流
体を収納した上で吸入口及び吐出口を閉塞した状態で動
作させることにより粘性流体に熱を発生させ、そして、
そのギアポンプ或いは油圧ポンプの外周に冷却水を流通
させる構成のものも考えられる。
【0034】その他、本発明は上記実施例に限定される
ものではなく、例えば、自動車用空調装置のみならず車
両用暖房装置全般に適用できる等、要旨を逸脱しない範
囲内で適宜変形して実施し得ることは勿論である。
【0035】
【発明の効果】本発明の車両用暖房装置は、以上説明し
た通り、エンジンから暖房器に供給される冷却水を粘性
流体の発生熱により加熱する加熱器を設けた構成のもの
で、エンジンからの冷却水の温度が低い間は、前記加熱
器の駆動手段をそ駆動負担が小となるように制御するよ
うにしたので、駆動手段が過負荷になることを防止でき
るという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成説明図
【図2】作用説明用のフローチャート
【符号の説明】
1はエンジン(駆動源)、9は加熱器、12はヒータコ
ア(暖房器)、16はベルト伝達機構、17は水温セン
サ、19はECU(制御手段)を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンを冷却した冷却水が供給されて
    車室内の暖房を行なう暖房器と、 駆動力が与えられることに基づき剪断力が作用されて熱
    を発生する粘性流体を内部に有し、その発生熱により前
    記暖房器に供給される冷却水を加熱する加熱器と、 この加熱器に駆動力を与える駆動手段と、 前記加熱器と熱交換される冷却水の温度が低い間、前記
    駆動手段をその駆動負担が小となるように制御する制御
    手段とを具備してなる車両用暖房装置。
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