JP3115885B2 - 酸素分離用の膜 - Google Patents

酸素分離用の膜

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JP3115885B2
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/10Supported membranes; Membrane supports
    • B01D69/108Inorganic support material

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、大気中から酸素を分離、濃縮または稀薄化
するための酸素分離膜に関する。さらに詳しくは、ビニ
ルイミダゾールおよびビニルピリジンよりなる群より選
ばれた少くとも1種の含窒素ビニル化合物と、スチレ
ン、メタクリル酸エステル、N−アルキル置換アクリル
アミドおよびN−アルキル置換メタクリルアミドよりな
る群より選ばれた少くとも1種のビニル化合物との共重
合体およびピケットフェンスポルフィリンからなる分離
活性層を多孔質ガラス上に有することを特徴とする酸素
分離用の膜に関する。
〔従来の技術〕
従来、ポリマー膜を用いて酸素を含む混合気体から酸
素を分離、濃縮または稀薄化することは行われている。
しかしながら、ポリマー膜単独で酸素を選択性良く分離
するには限界があるので、酸素を選択的に配位する金属
錯体を膜中に導入して酸素の選択性を高める試みが行わ
れている。
金属錯体を導入した酸素分離膜については液体膜では
ベンドリサーチ社(Bend Research Inc.)の研究者によ
り、酸素と窒素の透過係数比で表わされる選択率 が約30の膜が特開昭59−12707号公報およびジヤーナル
・オブ・メンブレン・サイエンス(Journal of Membran
e Science)第31巻第15乃至89頁(1987年)に報告され
ているが、実際には室温付近では が経時的に低下してしまう。
実用的な観点からは酸素分離膜としては固体膜が望ま
しいのであるが、金属錯体含有固体膜を用いた酸素分離
膜については、アイデアとしては古くよりいわれている
ものの実験的に促進輸送が確認された例は極めて少な
い。特に、実用上は大気中から酸素を濃縮することが必
要であり、そのためには大気中の酸素分圧に相当する16
cmHg以上で促進輸送されることが必要であるが、このよ
うな例は皆無といっても過言ではない。この分野では、
西出、土田らが、下記式〔I〕 で表される、可逆的に酸素を吸脱着することが知られて
いるいわゆるCo(II)ピケットフェンスポルフィリン
〔ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサ
エティー(Journal of the American Chemical Societ
y)第100巻第9号第2761頁(1978年)〕と1−メチルイ
ミダゾールをポリブチルメタクリレート中に分散した平
膜を用いて酸素分離を行った例を特開昭62−17130号
公報およびマクロモレキュールズ(Macromolecules)
第20巻第2号第417頁(1987年)に発表している。しか
し、いずれの例も膜中のピケットフェンスポルフィリン
の濃度が低く、実用的な酸素供給圧力である16cmHg以上
の圧力では酸素と窒素の透過速度比で表わされる酸素選
択率 は低い。また、ピケットフェンスポルフィリン錯体を高
濃度で含有する固体膜では、膜の強度が低下してしまう
ので、当該固体膜単独での酸素分離膜としての使用は困
難である。
酸素分離膜において、透過速度を向上するためには膜
厚を薄くすることが必要であるが、膜厚を薄くすると膜
の強度がさらに低下してしまい、実用的な膜にはなり得
ない。このような問題を解決するためには多孔質膜を基
膜としてこの上にピケットフェンスポルフィリン錯体を
高濃度に含有する固体膜を形成して、酸素分離活性層を
有する複合膜を製造することが必要となる。
なお、多孔質ガラスをガス分離膜として使用した例と
しては、多孔質ガラスをそのまま水素もしくはヘリウム
の分離に用いた例が特開昭58−115001号公報に、また多
孔質ガラスの細孔内表面を官能基を有するシランカップ
リング剤や金属アルコキシドで修飾した例が特開昭64−
90015号公報、特開平1−310713号公報、特開平1−310
714号公報に示されているがいずれも多孔質の高透過性
ガス分離膜として使用するものである。
すなわち、多孔質ガラス上に有機高分子よりなる分離
活性層を複合化した例はこれまでに知られておらず、多
孔質ガラス上に酸素配位能を有する錯体を含む固体膜か
らなる分離活性層を複合化した酸素分離膜は全くない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は以上のような従来技術の問題点を解決するた
めに、多孔質膜を基膜としてこの上に安定な金属錯体を
高濃度に含有する固体膜を形成して、大気中の酸素分圧
に相当する16cmHg以上の酸素供給圧力でも酸素選択性に
優れた酸素分離膜を製造することである。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、高濃度にピケットフェンスポル
フィリン錯体を含有する固体膜の多孔質膜表面への複合
化方法を鋭意検討した。しかしながら、有機材料よりな
る多孔質膜の多くは、ポルフィリン化合物の溶媒となる
極性溶媒により細孔構造が変性されるものが多く使えな
かった。またポリテトラフルオロエチレン製多孔質膜の
ような極性溶媒に対して安定な多孔質膜を使った場合、
ピンホールの無い複合膜を形成することが困難で、高い を示すものは得られなかった。
そこで本発明者らは、高 を示す複合膜を可能とする多孔質基膜を見い出すべく、
さらに広範な種類の多孔質材料について検討を行ったと
ころ、基膜として多孔質ガラスを用い、さらに固体膜の
マトリックスポリマーとしてはビニルイミダゾールおよ
びビニルピリジンよりなる群より選ばれた少なくとも1
種の含窒素ビニル化合物と、スチレン、メタクリル酸エ
ステル、N−アルキル置換アクリルアミドおよびN−ア
ルキル置換メタクリルアミドよりなる群より選ばれた少
くとも1種のビニル化合物との共重合体を用いると目的
とする高 を示す複合膜が得られることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
すなわち、本発明は、ビニルイミダゾールおよびビニ
ルピリジンよりなる群より選ばれた少くとも1種の含窒
素ビニル化合物と、スチレン、メタクリル酸エステル、
N−アルキル置換アクリルアミドおよびN−アルキル置
換メタクリルアミドよりなる群より選ばれた少くとも1
種のビニル化合物との共重合体(以下“共重合I"とい
う。)およびピケットフェンスポルフィリンからなる分
離活性層を多孔質ガラス上に有することを特徴とする酸
素分離用の膜に関する。
多孔質ガラスが高濃度キャリヤー含有固体膜用の多孔
質基膜として有効な理由は明らかではないが、多孔質ガ
ラスの細孔構造や表面構造が共重合体Iおよびピケット
フェンスポルフィリンとからなる高濃度キャリヤー含有
固体膜をピンホール無く保持するのに適していたためと
推定される。
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において使用されるピケットフェンスポルフィ
リンとは、ポルフィリン環平面に対して同じ側に複数本
の立体障害基が立った構造の錯体を表わし、その例とし
ては下記の一般式〔II〕で表わされるような錯体が挙げ
られる。
〔式中Mは鉄、コバルト、マンガンより選ばれる2価の
遷移金属であり、鉄、コバルトが好ましく、コバルトが
特に好ましい。
A1,A2,A3およびA4はそれぞれR1,R2,R3およびR4とフェ
ニル基との連結基であり、−CONH−,−O−を表わし、
−CONH−が好ましい。R1,R2,R3およびR4は炭素数が3か
ら30の炭化水素基またはその置換体である。R1,R2,R3
よびR4中の炭素数は好ましくは4から21であり、特に好
ましくは4から13である。
R1,R2,R3およびR4がA1,A2,A3およびA4に連結する部分
の炭素原子の構造は第1級、第2級、第3級炭素のいず
れであってもよいが、分枝構造が好ましく、特に第3級
炭素構造が好ましい。なお、R1,R2,R3およびR4の置換基
としては、炭素数が1から30、好ましくは1から20のア
ルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基
あるいは塩素やフッ素のようなハロゲン原子が挙げられ
る。
一般式〔II〕の化合物において、A1,A2,A3およびA4
配向方向としてはA1,A2,A3およびA4がポルフィリン環平
面に対して全て同じ側にある、いわゆるαααα体が好
ましい。
一般式〔II〕の化合物は一般式〔I〕の化合物と同様
の方法またはケミストリー・レターズ(Chemistry Lett
ers)1983年第1387頁、特開昭62−108893号公報、特開
昭62−267233号公報、特公昭61−47845号広報、特公昭6
3−5033号公報、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedr
on Letters)第36巻第3071頁(1969年)、ジャーナル・
オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(Jour
nal of the American Chemical Society)第97巻第226
頁(1975年)および同第94巻第3986頁(1972年)等に記
載の方法を応用して合成できる。
R1,R2,R3およびR4の具体例としては、−(CH210OCH
3,−(CH218OCH3,−C(CH3(CH210OH, −C(CH33,−CH(CH32,−C(CH32CH2CH2CH3
どが挙げられる。
一般式〔II〕の化合物の具体例としては、下記の一般
式〔III〕で表わされる化合物である。
(式中、Mは2価のコバルトまたは鉄を表わす)。
本発明において使用される共重合体は固有粘度が0.1
から10dl/gのものが好ましく、0.5から8dl/gのものが更
に好ましく、0.8から5dl/gのものが特に好ましい。固有
粘度は低すぎると生成した膜の強度が低くなり、高すぎ
ると製膜用原液の粘度が高くなり、薄膜の生成が困難に
なる。
本発明において使用される含窒素ビニル化合物の具体
例としては、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリ
ジン、2−ビニルピリジンが挙げられる。
また、これら含窒素ビニル化合物と共重合させるビニ
ル化合物としては、一般式〔IV〕 (式中、R5は炭素数1から8の炭化水素基またはそのフ
ッ素原子置換体を表し、これらはエーテル基を含んでい
てもよい。R5の好ましい具体例としてはメチル基、エチ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル
基、−CH(CF32, または一般式〔V〕 (式中、R6は水素原子またはメチル基、R7,R8はそれぞ
れ独立に水素原子または炭素数1から8のアルキル基で
ある。R7,R8の好ましい具体例としては、メチル基、エ
チル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル
基が挙げられる。)あるいはスチレンが使用される。こ
れらのビニル化合物は、一種類のみが使用されてもよい
し、複数種類使用されてもよい。
また、共重合体Iの該含窒素ビニル化合物の含量は、
1から99モル%が好ましく5から99モル%がより好まし
く、10から99モル%が特に好ましい。該含窒素ビニル化
合物の含量が、1モル%未満である場合は膜中の酸素吸
脱着可能なピケットフェンスポルフィリン含量が低くな
り、充分な が得られない。
イミダゾール基またはピリジン基とピケットフェンス
ポルフィリン錯体のモル比としては、通常は1〜30、好
ましくは1〜20、特に好ましくは2〜10の範囲が使用さ
れる。この比が1未満の場合には、酸素吸脱着能を示す
ピケットフェンスポルフィリン錯体の量が少くなるし、
30を越えると、固体膜中のピケットフェンスポルフィリ
ンの濃度が低くなり過ぎるので好ましくない。
本発明に使用される共重合体Iとピケットフェンスポ
ルフィリン錯体よりなる固体膜中におけるピケットフェ
ンスポルフィリンの含量としては、通常は0.05mol/kg〜
0.7mol/kg、好ましくは0.1mol/kg〜0.6mol/kg、特に好
ましくは0.2mol/kgから0.5mol/kgの範囲が使用される。
具体的には、例えば一般式〔I〕のピケットフェンス
ポルフィリンの場合には、通常は、5重量%〜70重量
%、好ましくは10重量%〜60重量%、特に好ましくは20
重量%〜50重量%の範囲が使用される。
固体膜中におけるピケットフェンスポルフィリン錯体
濃度が低すぎると高い酸素選択性は期待出来ないし、ま
た高すぎると固体膜がもろくなりヒビ割れ等の欠陥が生
じやすくなるので好ましくない。
本発明で使用される多孔質ガラスはBET法によって求
めた細孔容積の極大値VMを与える細孔径RMが1〜100nm
の範囲、好ましくは1〜50nmの範囲にあり、特に好まし
くは1〜10nmの範囲にあり、かつ細孔容積が1/2 VMとな
る細孔の孔径が0.5RMから1.5RM、好ましくは0.8RMから
1.2RM、特に好ましくは0.9RMから1.1RMの範囲にある細
孔を有する多孔質ガラスである。RMが100nmより大きす
ぎるか、細孔容積が1/2 VMとなる細孔径が1.5RMより大
きくなると、ピンホールが生成し易くなり、高い が得られなくなる。逆にRMが1nmより小さすぎるか、細
孔容積が1/2 VMとなる細孔径が0.5RMより小さくなる
と、酸素透過速度が低下し、実用的でなくなる。
なお、多孔質ガラスの形状は、平板状でも中空糸状で
もよいが、中空糸状の方が、複合膜の耐圧が高く、また
コンパクトで高表面積の酸素分離膜モジュールが可能と
なるので好ましい。
本発明の酸素分離膜は多孔質ガラス上に、共重合体I
またはピケットフェンスポルフィリンのいずれか一方を
先に塗布し、次いで他方を塗布するか、あるいは両方を
同時に塗布することにより分離性活性層を生成すること
により製造することができる。
以上のようにして作製された本発明の複合膜は、ピケ
ットフェンスポルフィリン含量が高いにもかかわらず、
複合膜の内側と外側の差圧が76cmHg前後でも安定して使
用でき、実用的にも充分な強度を有する。
叉、本発明の複合膜は、供給ガスの酸素分圧が16cmHg
(大気中の酸素分圧)前後の酸素分圧、あるいは76cmHg
前後の酸素分圧のような実用的に意義のある高酸素分圧
での酸素分離に対しても高い酸素選択性を示す。さら
に、ベンド・リサーチ社の例で示したように、酸素吸脱
着能を示す錯体の多くは、酸素雰囲気下で急速にその酸
素吸脱着能を失ってしまうが、本発明の複合膜中のピケ
ットフェンスポルフィリン錯体は、酸素雰囲気下でも極
めて安定であり、長期間安定した酸素吸脱着能を維持す
る。
このように本発明の複合膜は、高い酸素分離能と実用
的な強度、安定性を備えた高性能酸素分離膜を可能とす
るものである。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明の内容を説明するが、本
発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、
以下の製膜操作は特に記載が有る場合を除き乾燥窒素下
で行った。
合成例1 メソ−テトラ(o−ニトロフェニル)ポルフィリン
(以後“CP1"という)の合成を以下のごとく行った。
酸素1を還流させ、この中にo−ニトロベンズアル
デヒド51.7g(0.342mol)を加えて溶解させた。次にピ
ロール25ml(0.36mol)を滴下した。還流下で20分反応
後、CHCl3を加えて放冷した。これを水冷、続いて氷冷
して結晶を析出させた。生成した結晶を吸引濾過により
濾集し、CHCl3で洗浄した。真空乾燥後の収量は10.2g
(0.0128mol、収率15%)であった。
合成例2 メソ−テトラ(o−アミノフェニル)ポリフィリン
(以後“CP2"という)の合成を以下のごとく行った。
濃塩酸210mlに合成例1で合成したCP1を4.16g(5.23m
ol)溶解後、SnCl2・2H2Oを18.1g加え、65〜75℃に急速
に昇温した。65〜75℃で25分反応後、30%アンモニア水
200mlで中和した。この溶液にCHCl3を加えてCHCl3層に
抽出した。CHCl3層はエバポ濃縮し、アンモニア水で洗
浄後2回水洗した。これを無水Na2SO4で脱水後CHCl3
エバポレーターでゆっくり濃縮すると結晶が生成した。
この結晶を濾別後、メタノールで洗浄した。収量2.8g
(4.2mmol/g、収率80%)であった。生成物のNMRスペク
トルは文献〔ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミ
カル・ソサエティー(Journal of the American Chemic
al Society)第100巻第9号第2761頁(1978年)〕と一
致した。
合成例3 合成例2で合成したCP2はフェニル基の回転による回
転異性体の混合物(ポルフィリン環平面のどちら側にア
ミノ基が存在するかにより、αααα−、αααβ−、
ααββ−、αβαβ一体の4種の混合物)を含む。
そこで、全てのアミノ基がポルフィリン環平面に対し
て同じ側にある、いわゆるαααα体を分離した。
CP2 3.18gをCHCl3に溶解し、シリカゲルカラムに仕込
んだ。まずCHCl3で展開した。流出液の着色が淡赤色と
なるまでCHCl3でカラムを展開した後、CHCl3/エーテル
=1/1で着色が非常に薄くなるまで展開した。その後ア
セトン/エーテル=1/1を用いてαααα体を流出させ
た。αααα体を含む留分をエバポレーターで乾固し
た。更にこれをCHCl3に溶解して2段目のシリカゲルカ
ラムに仕込み、ベンゼン/エーテル=1/1で流出液の着
色が非常に薄くなるまで展開した。純粋なαααα体は
アセトン/エーテル=1/1で溶離させた。水浴に浸した
エバポレーターで溶媒を留去して固体を得た。収量1.22
g(収率38.2%)。TLCは単一スポットを示した。
合成例4 合成例3で得たαααα体CP2にピバリン酸クロリド
を反応させてαααα体メソ−テトラ(o−ピバルアミ
ドフェニル)ポルフィリン(以後“CP3"という)を合成
した。
αααα体CP2 1.22g(1.8mmol/g)をCHCl322mlに溶
解後(カラム流出液をそのまま用いたときはアセトン−
エーテル溶媒となる)ピリジン0.7mlを加え、ピバリン
酸クロリド0.7mlを温度が上りすぎないよう注意しなが
ら滴下した。この混合溶液を3hrs攪拌後、終夜放置し
た。反応液をエバポレーターで濃縮後アンモニア水で洗
浄し、次に2回水洗した。無水Na2SO4上で乾燥後ロータ
リーエバポレーターで濃縮した。これをシリカゲルカラ
ム(CHCl3充填)に仕込み、CHCl3/エーテル=4/1を展開
溶媒として精製した。収量0.41g(0.41mmol、収率23
%)。
生成したCP3は1680cm-1にアミドの吸収を示し、NMRの
測定結果は文献〔ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・
ケミカル・ソサエティー(Journal of the American Ch
emical Society)第100巻第9号第2761頁(1978年)〕
と一致した。
合成例5 合成例4で得たCP3へのCoの導入を行った。反応中に
ピケットが回転しないよう温度に十分注意して反応を行
った。全操作はN2中で行った。
CP3 0.41g(0.41mmol)、無水CoCl20.42g(3.2mmol)
及び2,6−ルチジン0.13ml(11mmol)を32mlのTHFに溶解
し、N2下50℃で54.5時間反応させた。Co導入の進行状況
はCP3の紫外可視スペクトルの消失と、これに対応して
生成する式〔I〕で示したCP3のCo錯体(以下“CPP"と
いう)に基づく吸収帯(526,412nm)の生成を追跡して
モニターした。反応生成物をエバポレーターで十分乾燥
後、ベンゼンを加えてアルミナカラム(10cmφ×25cm、
ベンゼン充填)に仕込み、ベンゼン/エーテル溶媒で展
開した。収量0.37g(収率85%)。
上記操作をくり返して実施例に必要な量のCPPを得
た。
実施例1 1−ビニルイミダゾール8.5g、メタクリル酸メチル21
g、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)0.1gをガラ
スアンプルに仕込み、3回凍結、脱気を繰返した後、ア
ンプルを熔封して、80℃で17時間重合した。生成した重
合体をアセトンに溶解後ヘキサンに注ぐ方法で再沈精製
した。精製した重合体(以後“PI"という)の組成をNMR
で測定した結果、1−ビニルイミダゾールとメタクリル
酸メチルの比はmol比で24:76であった。また、トルエン
溶液にしてPIの粘度を測定したところ、固有粘度0.9dl/
gであった。
次いで、直径が1mm、肉厚が140μmで、BET法によっ
て求めた細孔容積の極大値VMを与える細孔径RMが4nm、
かつ細孔容積が1/2VMとなる細孔の孔径が3.8nm(即ち0.
95RM)及び4.2nm(即ち1.05RM)にある細孔を有する多
孔質ガラス管の一端をエポキシ接着剤(チバガイギー社
製アラルダイトTM)で接着して封じ、PI 5gをクロロホ
ルム100mlに溶解した溶液に、該多孔質ガラス管をエポ
キシ接着剤で封じていない端から溶液が管中に入らない
ように注意しながら浸漬した。3分間浸漬した後、窒素
雰囲気下で溶媒を蒸発させて、PIを保持した多孔質ガラ
ス管(以下“PG1"という)を得た。
次に、同様にして一般式〔I〕で示したCo(II)ピケ
ットフェンスポルフィリン(合成例5で得た“CPP")1g
をクロロホルム10mlに溶解した溶液に、PIを保持した多
孔質ガラス管を、エポキシ接着剤で封じていない端から
溶液が管中に入らないように注意しながら浸漬した。20
秒間浸漬した後、窒素雰囲気下で溶媒を蒸発させて、PI
とCPPとを保持した多孔質ガラス管(以下“PG2"とい
う)を得た。
PG1及びPG2の酸素分離性能の測定は以下のごとくして
行った。即ち、ガスの透過速度の測定は測定する管状の
膜(PG1及びPG2)の内側と外側を真空に脱気後、外側に
透過速度を測定すべきガスである酸素又は窒素を76cmHg
となるまで導入し、内側に透過してくるガスの量を圧力
計により測定した。
その結果、PG1の酸素透過速度Q02は4.2×10-8(cm3/c
m2・s・cmHg)、酸素と窒素の透過速度の比で表される
選択率 は5.4、PG2のQo2は6.4×10-9(cm3/cm2・s・cmHg)、 は12であり、PG1に比べてPG2では大幅な の向上が認められた。
また、PG2の断面を光学顕微鏡で観察した結果、着色
したCPP層は多孔質ガラス表面にのみ形成されており、
細孔内にはほとんど入っていないことが明らかとなっ
た。
さらに、PG2の断面を電子プローブ微小部分析法(EPM
A)を用いて分析した結果、CPPの厚み方向の濃度分布は
活性層内ではほぼ一定(約30重量%)であった。即ち、
CPPはPIの界面のみでなく、活性層の全領域で濃く導入
されており、活性層全体が酸素輸送に寄与できることが
わかった。
実施例2〜5 第1表に示す種々の構造の共重合体と合成例5で得た
CPPを実施例1のPG2と同様にして保持した多孔質ガラス
の酸素分離能を測定した。その結果を第1表に示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/28 B01D 71/40 B01D 71/44 B01D 69/02 B01D 69/10 C07D 403/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニルイミダゾールおよびビニルピリジン
    よりなる群より選ばれた少くとも1種の含窒素ビニル化
    合物と、スチレン、メタクリル酸エステル、N−アルキ
    ル置換アクリルアミドおよびN−アルキル置換メタクリ
    ルアミドよりなる群より選ばれた少くとも1種のビニル
    化合物との共重合体およびピケットフェンスポルフィリ
    ンからなる分離活性層を多孔質ガラス上に有することを
    特徴とする酸素分離用の膜
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