JP3114406B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JP3114406B2
JP3114406B2 JP04347489A JP34748992A JP3114406B2 JP 3114406 B2 JP3114406 B2 JP 3114406B2 JP 04347489 A JP04347489 A JP 04347489A JP 34748992 A JP34748992 A JP 34748992A JP 3114406 B2 JP3114406 B2 JP 3114406B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に要求されるヨー
モーメントを得るべく車輪への駆動力配分を制御する車
両用駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、左右輪への駆動力配分を左右のオ
リフィスの開度調整により独立に制御する一対の回転差
感応型継手を用いた車両用駆動力制御装置としては、例
えば、特開平4−185539号公報(特願平2−31
4814号)に記載のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両用駆動力制御装置にあっては、エンジンから所
定の駆動力伝達があることを前提として左右の駆動輪へ
の駆動力を配分する装置であるため、エンジンからの駆
動力がゼロ付近の走行状態においては、旋回するのにハ
ンドルを切った時、その旋回を助ける左右駆動力配分を
行なおうとしても、入力されるトルクがゼロでは配分の
しようがないという問題があった。
【0004】この結果、エンジン駆動力がゼロ付近の走
行状態では、車両に要求されるヨーモーメントに対して
実ヨーモーメントが離れていても制御できず、左右駆動
力配分制御で目指す旋回性能が達成できる走行状態がエ
ンジン駆動力が所定以上である時に限られてしまう。
【0005】本発明は、上記課題に着目してなされたも
ので、その目的とするところは、車両に要求されるヨー
モーメントを得るべく車輪への駆動力配分を制御する車
両用駆動力制御装置において、エンジン駆動力がゼロ付
近の走行状態でも最適な旋回性能を達成することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の車両用駆動力制御装置では、要求ヨーモーメン
トに基づく基準駆動力に対し検出駆動力の不足を判断し
た場合、その不足分を補う方向に駆動源の発生駆動力を
制御する駆動力制御手段を設け、エンジン駆動力がゼロ
付近の走行状態でも要求ヨーモーメントを得る駆動力配
分制御を確保する構成とした。
【0007】即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、車両に要求されるヨーモーメントを設定する要求ヨ
ーモーメント設定手段aと、前記要求ヨーモーメント設
定手段aにより設定したヨーモーメントを得るように駆
動源bが発生する駆動力の車輪c,dへの配分を制御す
る駆動力配分制御手段eと、前記駆動源bの発生駆動力
を検出する駆動力検出手段fと、前記要求ヨーモーメン
トに基づいて基準駆動力を設定する基準駆動力設定手段
gと、前記駆動力検出手段fからの検出駆動力が前記基
準駆動力設定手段gからの基準駆動力を満足するか否か
を判断する駆動力判断手段hと、前記駆動力判断手段h
にて検出駆動力の不足を判断した場合、その不足分を補
う方向に前記駆動源bの発生駆動力を制御する駆動力制
御手段iとを備えている。
【0008】以下、態様例を列挙する。
【0009】(1) 前記駆動源bとして、エンジン及び変
速機を用い、前記駆動力制御手段iを、エンジン出力と
変速機の変速比の少なくともいずれか一方を制御する手
段とする。
【0010】(2) 前記駆動力検出手段fを、エンジンブ
レーキ状態を検出する手段とし、前記駆動力制御手段i
を、エンジンブレーキ状態を検出した時、エンジンブレ
ーキ力を制御する手段とする。
【0011】(3) 前記変速機として、自動変速機を用
い、前記駆動力制御手段iを、エンジンブレーキ状態を
検出した時、自動変速機のシフトダウンを行ない、より
大きなエンジンブレーキ力を発生させる制御を行なう手
段とする。
【0012】(4) 前記駆動力配分制御手段eを、左右輪
への駆動力配分を左右のオリフィスの開度調整により独
立に制御する一対の回転差感応型継手を用い、中,低速
域では、旋回モーメントを補うように外輪のオリフィス
をロックし、内輪のオリフィス開度調整により駆動力配
分を制御し、高速域では、アンダーモーメントを発生す
るように内輪のオリフィスをロックし、外輪のオリフィ
ス開度調整により駆動力配分を制御する手段とする。
【0013】(5) 前記要求ヨーモーメント設定手段a
を、操舵角度と操舵角速度から運転者が要求しているヨ
ーモーメントMを推定する手段とし、前記基準駆動力設
定手段gを、中,低速域では、ヨーモーメントMと内輪
トルクTiから基準駆動力Tsを、 Ts=2×(Ti+r・M/L) r;タイヤ半径、
L;トレッド で計算し、高速域では、ヨーモーメントMと外輪トルク
Toから基準駆動力Tsを、 Ts=2×(To+r・M/L) で計算する手段とする。
【0014】
【作用】車両走行時、駆動力検出手段fにおいて、駆動
源bの発生駆動力が検出され、基準駆動力設定手段gに
おいて、車両に要求されるヨーモーメントを設定する要
求ヨーモーメント設定手段aからの要求ヨーモーメント
に基づいて基準駆動力が設定される。
【0015】そして、駆動力検出手段fからの検出駆動
力が基準駆動力設定手段gからの基準駆動力を満足する
か否かを判断する駆動力判断手段hにおいて、検出駆動
力が十分であると判断された場合には、駆動力制御手段
iによる制御を行なうことなく、駆動力配分制御手段e
において、要求ヨーモーメント設定手段aにより設定し
たヨーモーメントを得るように駆動源bが発生する駆動
力の車輪c,dへの配分が制御される。
【0016】一方、駆動力判断手段hにおいて、検出駆
動力が不足であると判断された場合には、駆動力制御手
段iにおいて、駆動力の不足分を補う方向に駆動源bの
発生駆動力が制御され、駆動力配分制御手段eにおい
て、要求ヨーモーメント設定手段aにより設定したヨー
モーメントを得るように駆動源bが発生する駆動力の車
輪c,dへの配分が制御される。
【0017】従って、エンジン駆動力がゼロ付近の走行
状態でも、駆動源bの発生駆動力を補う制御が併せて行
なわれることで、要求ヨーモーメントを得る駆動力配分
制御が確保されることになる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0019】まず、構成を説明する。
【0020】図2は本発明実施例の車両用駆動力制御装
置を示す全体システム図である。
【0021】図2において、1はエンジンであり、エン
ジン駆動力は、自動変速機2→プロペラシャフト3→ド
ライブギア4→リングギア5へと伝達され、左後輪6L
(車輪cに相当)へは、第1制御型回転差感応継手7L
→左ドライブシャフト8Lを介して伝達され、右後輪6
R(車輪dに相当)へは、第2制御型回転差感応継手7
R→右ドライブシャフト8Rを介して伝達される。左右
前輪9L,9Rは、従動輪であり、ステアリングホイー
ル10への操作により操舵される。なお、エンジン1及
び自動変速機2は駆動源bに相当する。
【0022】前記エンジン1の吸気系には、主吸気管2
1にアクセルペダル22への踏み込み量に応じて開閉す
るメカスロットルバルブ23が設けられ、バイパス吸気
管24に外部からの制御指令により駆動するスロットル
モータ25でバルブ開度の制御ができるモータスロット
ルバルブ26が設けられている。
【0023】前記制御型回転差感応継手7L,7Rは、
プロペラシャフト3と左右のドライブシャフト8L,8
Rのそれぞれの間に設けられ、入出力回転差発生時にド
ライブピストンを往復動させ、この往復動に伴って吐出
する作動油の流出規制をオリフィスにより行なうことで
伝達トルクを発生する継手で、外部からの制御指令によ
り駆動するステッピングモータ27L,27Rでオリフ
ィス開口面積を独立に制御できるようにしていて、この
制御により入出力回転差に対する制御ゲインの異なる二
次関数的な伝達トルク特性の選択が左右輪で独立に行な
える。
【0024】前記スロットルモータ25及びステッピン
グモータ27L,27Rは、コントローラ28からの制
御指令により駆動制御され、このコントローラ28に
は、エンジン回転数センサ40,スロットル開度センサ
41,ATコントローラ42,操舵角センサ43,車速
センサ44,入力軸回転数センサ45,左後輪回転数セ
ンサ46,右後輪回転数センサ47,左オリフィス開度
センサ48,右オリフィス開度センサ49,横加速度セ
ンサ50等から入力情報がもたらされる。
【0025】図3は制御型回転差感応継手7L,7Rを
示す断面図である。
【0026】図3において、11は共通カムハウジング
で、リングギア5が固定され、左右の内面にカム面11
L,11Rが形成されている。12L,12Rはロータ
で、左右のドライブシャフト8L,8Rにそれぞれスプ
ライン結合されている。13L,13Rはドライブピス
トンで、ロータ12L,12Rとカムハウジング11と
の相対回転に伴って前記カム面11L,11Rに摺接し
ながら往復動する。14L,14Rはシリンダ室で、ド
ライブピストン13L,13Rの往復動により体積変化
する。15L,15Rは吐出油路で、シリンダ室14
L,14Rに連通する。16L,16Rはスプールで、
吐出油路16L,16Rの端部に配置される。17L,
17Rは可変オリフィスで、スプール16L,16Rの
ストローク位置によりオリフィス開度が変更される。1
8L,18Rはレギュレータ油路で、シリンダ室14
L,14Rとはワンウェイバルブを介して連通する。1
9L,19Rはスプール室で、スプール16L,16R
が設けられる。20L,20Rはアキュムレータ室で、
レギュレータ油路18L,18R及びスプール室19
L,19Rと連通する。また、30L,30Rはステッ
ピングモータ27L,27Rのモータ軸、31L,31
Rはフォーク、32L,32Rはスライダ、33L,3
3Rはニードルベアリング、34L,34Rはスラスト
プレート、35L,35Rはピン、36L,36Rはプ
ッシュロッドである。
【0027】次に、作用を説明する。
【0028】[駆動力制御作動]図4はコントローラ2
8で所定の制御周期毎に行なわれる駆動力制御作動の流
れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて
説明する。
【0029】ステップ60では、エンジン回転数Ne,
スロットル開度Th,ギア位置Gp,操舵角θs,車速
V,入力軸回転数N1,左後輪回転数NL,右後輪回転
数NR,左オリフィス開度θL,右オリフィス開度θR
が読み込まれる。
【0030】ステップ61では、エンジン回転数Neと
スロットル開度Thとエンジンマップからエンジントル
クTeが検出され、このエンジントルクTeと変速機ギ
ア比im(ギア位置Gp)とファイナルギア比ifとか
ら下記の式により入力トルクT1が演算される(駆動力
検出手段fに相当)。
【0031】ステップ62では、操舵角θsと操舵角θ
sの時間微分値である操舵角速度dθsによる演算で要
求ヨーモーメントMが推定される。この要求ヨーモーメ
ントMは、操舵角θsが大きい程、また、操舵角速度d
θsが大きい程、大きな値で与えられる(要求ヨーモー
メント設定手段aに相当)。
【0032】ステップ63では、車速Vが中,低速域と
高速域とのしきい値である設定車速V0以下かどうかが
判断される。
【0033】ステップ64では、V≦V0の中,低速域
との判断と旋回方向判断に基づいて内輪トルクTiが推
定される。この内輪トルクTiの推定は、内輪側の制御
型回転差感応継手7Lまたは7Rの入出力回転差(NL
−N1またはNR−N1)とオリフィス開度θLまたは
θRとが検出されているので、これらの検出値と継手の
伝達トルク特性により精度良く推定される。
【0034】ステップ65では、必要入力トルクTs
が、内輪トルクTiと要求ヨーモーメントMとタイヤ
rとトレッドLにより下記の式で演算される(基準駆動
力設定手段gに相当)。
【0035】 Ts=2×(Ti+r・M/L) …(1) ステップ66では、V>V0の高速域との判断と旋回方
向判断に基づいて外輪トルクToが内輪トルクTiと同
様の手法で精度良く推定される。
【0036】ステップ67では、必要入力トルクTs
が、外輪トルクToと要求ヨーモーメントMとタイヤ
rとトレッドLにより下記の式で演算される(基準駆動
力設定手段gに相当)。
【0037】 Ts=2×(To+r・M/L) …(2) ここで、左右駆動力差による発生モーメントMは、外輪
駆動力Fo(外輪トルクTo)、内輪駆動力Fi(内輪
トルクTi)とすると、 M=L/2(Fo−Fi) =L/2(To/r−Ti/r) また、Ts=To+Tiなので、この2式から、Toを
消去すると上記(1) 式が得られ、Tiを消去すると上記
(2) 式が得られる。
【0038】ステップ68では、入力トルクT1が必要
入力トルクTs以上であるかどうかが判断される(駆動
力判断手段hに相当)。
【0039】ステップ69では、T1<Tsと判断され
た時、必要入力トルクTsと入力トルクT1のトルク差
ΔTが演算される。
【0040】ステップ70では、トルク差ΔTが得られ
る制御指令がスロットルモータ25に出力され、モータ
スロットルバルブ26が開かれ、不足分のエンジン駆動
力を補う(駆動力制御手段iに相当)。
【0041】ステップ71では、T1≧Tsと判断され
た時、図5に示すフローチャートにしたがって通常の左
右駆動力配分制御が行なわれる(駆動力配分制御手段e
に相当)。
【0042】[左右輪駆動力配分制御作動]図5はメイ
ンルーチンである図4のステップ71で行なわれるサブ
ルーチンによる左右駆動力配分制御作動の流れを示すフ
ローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0043】ステップ80では、操舵角θs,横加速度
Yg,車速V,左オリフィス開度θL,右オリフィス開
度θRが読み込まれる。
【0044】ステップ81では、操舵角θsや横加速度
Ygに基づいて車両走行状態が直進走行かどうかが判断
される。
【0045】ステップ82では、ステップ81での直進
判断に基づいて両オリフィス開度θL,θRを全閉にす
る制御指令がステッピングモータ27L,27Rに対し
て出力される。
【0046】ステップ83では、旋回内輪と旋回外輪と
を決めるために旋回方向が操舵角θsや横加速度Ygに
基づいて判断され、この判断により左オリフィス開度θ
Lと右オリフィス開度θRが内輪オリフィス開度θiと
外輪オリフィス開度θoとして設定される。例えば、左
旋回時には、θi=θL,θo=θRとなる。
【0047】ステップ84では、横加速度Ygと車速V
により旋回半径Rが下記の式により演算される。
【0048】R=V2 /Yg ステップ85では、ステップ84で演算された旋回半径
Rに基づいて左右輪回転差ΔNSが図6のマップにより
参照され、旋回時に許容する左右輪回転差ΔNSが設定
される。例えば、図6において、旋回半径R1の時、Δ
NS=ΔNS1に設定される。
【0049】ステップ86では、車速Vが中,低速域と
高速域とのしきい値である設定車速V0以下かどうかが
判断される。
【0050】ステップ87では、V≦V0の中,低速域
判断に基づき、外輪オリフィス開度θoを全閉とし、内
輪オリフィス開度θiを左右輪回転差ΔNSの時に入力
トルクT1の1/2のトルクが得られるオリフィス開度
とする制御指令がステッピングモータ27L,27Rに
対して出力される。例えば、図7において、左右輪回転
差ΔNSの時、θi=θ3 とされる。
【0051】つまり、中,低速走行時には旋回外輪側の
オリフィスをロックし、左右輪回転差ΔNSが生じるわ
ずかな時間の過渡状態で内外輪トルク差により車両重心
位置回りにオーバステア方向のモーメントを作用させ、
回頭性を補うオーバモーメント制御が行なわれる。
【0052】ステップ88では、V>V0の高速域判断
に基づき、内輪オリフィス開度θiを全閉とし、外輪オ
リフィス開度θoを左右輪回転差ΔNSの時に入力トル
クT1の1/2のトルクが得られるオリフィス開度とす
る制御指令がステッピングモータ27L,27Rに対し
て出力される。
【0053】つまり、高速走行時には旋回内輪側のオリ
フィスをロックし、左右輪回転差ΔNSが生じるわずか
な時間の過渡状態で内外輪トルク差により車両重心位置
回りにアンダーステア方向のモーメントを作用させ、旋
回安定性を高めるアンダーモーメント制御が行なわれ
る。
【0054】[エンジン駆動力が十分な走行時]エンジ
ン駆動力が十分な走行時であって、入力トルクT1が必
要入力トルクTs以上である時には、図4のフローチャ
ートにおいて、ステップ60〜ステップ67→ステップ
68→ステップ71へと進む流れとなり、エンジン駆動
力の制御が行なわれることなく、ステップ71では、図
5に示す通常の左右駆動力配分制御が行なわれる。
【0055】そして、この左右駆動力配分制御により旋
回半径Rによる左右輪回転差ΔNSを許容するという差
動機能を発揮しながら、中,低速旋回時には、外輪側の
オリフィスをロックするオーバモーメント制御により旋
回回頭性の向上が図られ、高速旋回時には、内輪側のオ
リフィスをロックするというアンダーモーメント制御に
より旋回安定性が図られるというように、左右駆動力配
分の独立制御により高い旋回性能が達成される。
【0056】[エンジン駆動力がゼロ付近の走行時]エ
ンジン駆動力がゼロ付近の走行時であって、入力トルク
T1が必要入力トルクTs未満の時には、図4のフロー
チャートにおいて、ステップ60〜ステップ67→ステ
ップ68→ステップ69→ステップ70→ステップ71
へと進む流れとなり、ステップ69及びステップ70で
は、入力トルクT1を少なくとも必要入力トルクTsま
で高めるエンジン駆動力の制御が行なわれ、ステップ7
1では、図5に示す通常の左右駆動力配分制御が行なわ
れる。
【0057】従って、エンジン駆動力がゼロ付近の走行
時であっても、エンジン駆動力を増大させる制御が行な
われることで、通常の左右駆動力配分制御が確保され、
上記のように、左右駆動力配分の独立制御により高い旋
回性能が達成される。
【0058】ここで、エンジン駆動力がゼロ付近の走行
時にエンジン駆動力を増大させることは、運転者の意思
(アクセル踏み込みを行なっていない)に反することに
なるが、運転者は旋回しようとして操舵を行なっている
状況にあり、走行抵抗も大きく車速が落ちる状態となっ
ているため、ある程度のエンジン駆動力の増大は、違和
感とならず問題はない。
【0059】次に、効果を説明する。
【0060】(1)要求ヨーモーメントMに基づく必要
入力トルクTsに対し入力トルクT1の不足を判断した
場合、その不足分を補う方向にエンジン1の発生駆動力
を増大制御する駆動力制御を行ない、エンジン駆動力が
ゼロ付近の走行状態でも要求ヨーモーメントMを得る左
右駆動力配分制御を確保する装置としたため、エンジン
駆動力がゼロ付近の走行状態でも最適な旋回性能を達成
することができる。
【0061】(2)駆動力配分制御において、左右後輪
6L,6Rへの駆動力配分を左右のオリフィスの開度調
整により独立に制御する一対の制御型回転差感応型継手
7L,7Rを用い、中,低速域では、旋回モーメントを
補うように外輪のオリフィスをロックし、内輪のオリフ
ィス開度調整により駆動力配分を制御し、高速域では、
アンダーモーメントを発生するように内輪のオリフィス
をロックし、外輪のオリフィス開度調整により駆動力配
分を制御する装置としたため、中,低速域での旋回回頭
性の向上と高速域での旋回安定性の向上との両立を図る
ことができる。
【0062】加えて、駆動力配分手段として温度依存性
が小さく特性予測が正確な制御型回転差感応型継手7
L,7Rを用いいるため、オリフィス開度調整制御に
必要な情報である内輪トルクTiと外輪トルクToを、
トルクセンサを用いることなく精度良く推定することが
できる。
【0063】(3)操舵角θsと操舵角速度dθsから
要求ヨーモーメントMを推定し、中,低速域では、要求
ヨーモーメントMと内輪トルクTiから必要入力トルク
Tsを、Ts=2×(Ti+r・M/L)で計算し、高
速域では、要求ヨーモーメントMと外輪トルクToから
必要入力トルクTsを、Ts=2×(To+r・M/
L)で計算する装置としているため、運転者の要求が反
映された要求ヨーモーメントMと必要入力トルクTsを
得ることができる。
【0064】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0065】例えば、実施例では、駆動力配分制御手段
として、左右駆動力配分制御を行なう例を示したが、左
右制動力(負の駆動力)配分制御を行なうものでも、前
後駆動力配分制御を行なうものにも適用できる。前後駆
動力配分制御の場合、ステア特性としては、前輪側への
駆動力配分が大きい程アンダーステアとなり、後輪側へ
の駆動力配分が大きい程オーバステアとなる。
【0066】実施例では、アクセル操作に伴う正の駆動
力についての駆動力制御例を示したが、エンジンブレー
キ、すなわち、負の駆動力についての駆動力制御であっ
ても良い。具体的には、ブレーキスイッチ(エンジンブ
レーキ状態検出手段)によりブレーキオンが検出される
と、必要エンジンブレーキ力を計算し、これを達成する
ようにエンジントルクダウン制御と自動変速機のダウン
シフト制御の少なくとも一方を行なうと共に、上記いず
れかの駆動力配分制御を行なうようにする。
【0067】また、ブレーキオンでなくて、アイドルス
イッチ(エンジンブレーキ状態検出手段)にてアクセル
オフを検出した時に、前記エンジンブレーキ力制御を実
行するようにしても良い。さらに、アクセル開度センサ
にて、アクセル開放速度を検出し、開放速度大の時には
エンジンブレーキ力制御を、開放速度小の時にはエンジ
ントルク増大制御を行なうようにしても良い。
【0068】実施例では、駆動力制御として補助スロッ
トル制御の例を示したが、燃料制御や点火時期制御やA
ACバルブ制御等で行なっても良い。
【0069】実施例装置では、エンジン駆動力の増大制
御に制限を加えていないが、運転者に違和感を与える可
能性を解消するためにエンジン駆動力の増大量を制限し
たり、必要入力トルクTsの算出にあたって、演算値か
ら所定値を差し引いた値を必要入力トルクTsとして用
いることでエンジン駆動力の増大制御の頻度を低下させ
るようにしても良い。
【0070】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1記載
の本発明にあっては、車両に要求されるヨーモーメント
を得るべく車輪への駆動力配分を制御する車両用駆動力
制御装置において、要求ヨーモーメントに基づく基準駆
動力に対し検出駆動力の不足を判断した場合、その不足
分を補う方向に駆動源の発生駆動力を制御する駆動力制
御手段を設け、エンジン駆動力がゼロ付近の走行状態で
も要求ヨーモーメントを得る駆動力配分制御を確保する
構成としたため、エンジン駆動力がゼロ付近の走行状態
でも最適な旋回性能を達成することができるという効果
が得られる。
【0071】請求項2記載の本発明にあっては、駆動源
として、エンジン及び変速機を用い、駆動力制御手段
を、エンジン出力と変速機の変速比の少なくともいずれ
か一方を制御する手段としたため、容易に駆動力の制御
を行なえる。
【0072】請求項3記載の本発明にあっては、駆動力
検出手段を、エンジンブレーキ状態を検出する手段と
し、駆動力制御手段を、エンジンブレーキ状態を検出し
た時、エンジンブレーキ力を制御する手段としたため、
エンジンブレーキがかかる旋回走行状態においても最適
な旋回性能を得ることができる。
【0073】請求項4記載の本発明にあっては、変速機
として、自動変速機を用い、駆動力制御手段を、エンジ
ンブレーキ状態を検出した時、自動変速機のシフトダウ
ンを行ない、より大きなエンジンブレーキ力を発生させ
る制御を行なう手段としたため、既存の自動変速機制御
系を利用してエンジンブレーキ制御を行なうことができ
る。
【0074】請求項5記載の本発明にあっては、駆動力
配分制御手段を、左右輪への駆動力配分を左右のオリフ
ィスの開度調整により独立に制御する一対の回転差感応
型継手を用い、中,低速域では、旋回モーメントを補う
ように外輪のオリフィスをロックし、内輪のオリフィス
開度調整により駆動力配分を制御し、高速域では、アン
ダーモーメントを発生するように内輪のオリフィスをロ
ックし、外輪のオリフィス開度調整により駆動力配分を
制御する手段としたため、中,低速域での旋回回頭性の
向上と高速域での旋回安定性の向上との両立を図ること
ができるし、オリフィス開度調整制御に必要な情報であ
る内輪トルクと外輪トルクを、トルクセンサを用いるこ
となく精度良く推定することができる。
【0075】請求項6記載の本発明にあっては、要求ヨ
ーモーメント設定手段を、操舵角度と操舵角速度から運
転者が要求しているヨーモーメントMを推定する手段と
し、基準駆動力設定手段を、中,低速域では、ヨーモー
メントMと内輪トルクTiから基準駆動力Tsを、 Ts=2×(Ti+r・M/L) r;タイヤ半径、
L;トレッド で計算し、高速域では、ヨーモーメントMと外輪トルク
Toから基準駆動力Tsを、 Ts=2×(To+r・M/L) で計算する手段としたため、運転者の要求が反映された
要求ヨーモーメントMと基準駆動力Tsを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用駆動力制御装置を示すクレーム
対応図である。
【図2】実施例の車両用駆動力制御装置が適用された後
輪駆動車を示す全体制御システム図である。
【図3】実施例の車両用駆動力制御装置の制御型回転差
感応継手が内蔵されたリアディファレンシャル部を示す
断面図である。
【図4】実施例の車両用駆動力制御装置のコントローラ
で行なわれる駆動力制御作動の流れを示すフローチャー
トである。
【図5】実施例の車両用駆動力制御装置のコントローラ
で行なわれる左右駆動力配分制御作動の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図6】旋回半径に対する左右輪回転差特性マップ図で
ある。
【図7】オリフィス開度をパラメータとする入出力回転
差に対する伝達トルクマップ図である。
【符号の説明】
a 要求ヨーモーメント設定手段 b 駆動源 c 車輪 d 車輪 e 駆動力配分制御手段 f 駆動力検出手段 g 基準駆動力設定手段 h 駆動力判断手段 i 駆動力制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 41/04 B60K 17/16 B60K 23/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に要求されるヨーモーメントを設定
    する要求ヨーモーメント設定手段と、 前記要求ヨーモーメント設定手段により設定したヨーモ
    ーメントを得るように駆動源が発生する駆動力の車輪へ
    の配分を制御する駆動力配分制御手段と、 前記駆動源の発生駆動力を検出する駆動力検出手段と、 前記要求ヨーモーメントに基づいて基準駆動力を設定す
    る基準駆動力設定手段と、 前記駆動力検出手段からの検出駆動力が前記基準駆動力
    設定手段からの基準駆動力を満足するか否かを判断する
    駆動力判断手段と、 前記駆動力判断手段にて検出駆動力の不足を判断した場
    合、その不足分を補う方向に前記駆動源の発生駆動力を
    制御する駆動力制御手段と、 を備えていることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用駆動力制御装置に
    おいて、 前記駆動源として、エンジン及び変速機を用い、 前記駆動力制御手段を、エンジン出力と変速機の変速比
    の少なくともいずれか一方を制御する手段としたことを
    特徴とする車両用駆動力制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の車両用駆
    動力制御装置において、 前記駆動力検出手段を、エンジンブレーキ状態を検出す
    る手段とし、 前記駆動力制御手段を、エンジンブレーキ状態を検出し
    た時、エンジンブレーキ力を制御する手段としたことを
    特徴とする車両用駆動力制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の車両用駆動力制御装置に
    おいて、 前記変速機として、自動変速機を用い、 前記駆動力制御手段を、エンジンブレーキ状態を検出し
    た時、自動変速機のシフトダウンを行ない、より大きな
    エンジンブレーキ力を発生させる制御を行なう手段とし
    たことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4記載の車両用駆動力
    制御装置において、前記駆動力配分制御手段を、左右輪
    への駆動力配分を左右のオリフィスの開度調整により独
    立に制御する一対の回転差感応型継手を用い、中,低速
    域では、旋回モーメントを補うように外輪のオリフィス
    をロックし、内輪のオリフィス開度調整により駆動力配
    分を制御し、高速域では、アンダーモーメントを発生す
    るように内輪のオリフィスをロックし、外輪のオリフィ
    ス開度調整により駆動力配分を制御する手段としたこと
    を特徴とする車両用駆動力制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5記載の車両用駆動力
    制御装置において、 前記要求ヨーモーメント設定手段を、操舵角度と操舵角
    速度から運転者が要求しているヨーモーメントMを推定
    する手段とし、 前記基準駆動力設定手段を、中,低速域では、ヨーモー
    メントMと内輪トルクTiから基準駆動力Tsを、 Ts=2×(Ti+r・M/L) r;タイヤ半径、
    L;トレッド で計算し、高速域では、ヨーモーメントMと外輪トルク
    Toから基準駆動力Tsを、 Ts=2×(To+r・M/L) で計算する手段としたことを特徴とする車両用駆動力制
    御装置。
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