JP3113472B2 - 記録材料の発色剤層形成用塗布液 - Google Patents

記録材料の発色剤層形成用塗布液

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JP3113472B2 JP05309722A JP30972293A JP3113472B2 JP 3113472 B2 JP3113472 B2 JP 3113472B2 JP 05309722 A JP05309722 A JP 05309722A JP 30972293 A JP30972293 A JP 30972293A JP 3113472 B2 JP3113472 B2 JP 3113472B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にカーテン塗布法で
記録材料の発色剤層を形成するために適した、発色剤を
内包するマイクロカプセルを含む塗布液に関する。
【0002】
【従来の技術】溶媒に溶解された電子供与性発色剤(以
下、「発色剤」と言うことがある)を内包するマイクロ
カプセルと電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」と言う
ことがある)とを含み、発色剤と顕色剤との反応により
発色像が形成することを利用した記録材料は古くから知
られており、広く利用されている。
【0003】このような記録材料は、感圧記録材料と感
熱記録材料とに大別される。感圧記録材料は、これに圧
力を加えて発色剤を内包するマイクロカプセルを破壊し
て、発色剤と顕色剤とを反応させることにより発色像を
形成させることを利用したもので、発色剤を内包するマ
イクロカプセルからなる発色剤層(以下、「発色剤層」
と言うことがある)と、顕色剤を含む顕色剤層(以下、
「顕色剤層」と言うことがある)とを別々の支持体の表
面又は支持体の別の表面に形成し、発色剤層と顕色剤層
とを接触させて使用するノーカーボン紙型記録材料と、
支持体の同一表面上に発色剤を内包するマイクロカプセ
ルと顕色剤とを含む自己発色層を設けた、所謂、自己発
色型感圧記録材料(又は、プレスタイプ紙、セルフコン
テインド紙)と呼ばれるものとがある。
【0004】ノーカーボン紙型記録材料は、発色剤層を
支持体(一般に紙である)の片面に形成して上用紙と
し、支持体の片面に発色剤層を形成しその反対側の面に
顕色剤層を形成して中用紙とし、顕色剤層を支持体の片
面に形成して下用紙とし、発色剤層と顕色剤層とを接触
させて使用される。
【0005】また、自己発色型感圧記録材料は、自己発
色層が設けられた面に圧力を加えると、マイクロカプセ
ルが破壊されて発色剤と顕色剤とが反応して自己発色層
に発色像が形成されるので、自己発色型感圧記録材料の
自己発色層の上に普通紙を載せて普通紙の上から筆記
具、タイプ等で文字等の画像を記録し、感圧記録材料の
自己発色層に発色像を形成する場合、自己発色型感圧記
録材料の自己発色層にインキリボンを使用しないで直接
タイプ、プリンタ等により印字して発色像を形成する場
合、OCR用の印字をする場合等に用いられている。更
に、複数枚のコピーを作る場合、支持体の一方の面に自
己発色層を設け、その反対側の面に発色剤層を形成した
自己発色型感圧記録材料を、支持体の片面に発色剤層を
設けその反対側の面に顕色剤層を設けた中用紙又は支持
体の片面に顕色剤層を設けた下用紙と組み合わせて使用
されることもある。自己発色型感圧記録材料の自己発色
層としては、発色剤を内包するマイクロカプセルを含む
発色剤層と顕色剤を含む顕色剤層とが重層されている二
層タイプと、同一層内に発色剤を内包するマイクロカプ
セルと顕色剤とを含む一層タイプとがある。
【0006】上記マイクロカプセルを含む感熱記録材料
としては、例えば、特開昭63−265682号及び特
開平1−105782号公報に記載されているような、
発色剤を内包するマイクロカプセルと顕色剤とを含む感
熱層を支持体上に形成した感熱記録材料がある。このマ
イクロカプセルを含む感熱記録材料は、OHP用に設計
できるとか多色の感熱記録材料に設計できる等の利点を
有するものである。
【0007】このような記録材料の発色剤を内包するマ
イクロカプセルを含む発色剤層は、発色剤を内包するマ
イクロカプセルを含む塗布液を支持体上に塗布し、乾燥
することによって形成される。この塗布方法として、例
えば、特開昭57−39985号公報に記載されている
ようなカーテン塗布方法が知られている。
【0008】カーテン塗布方法は、塗布液の単層の自由
落下垂直カーテンを形成し、これを横方向に連続走行し
ているウエブ上に塗布して薄層の塗膜を形成する方法で
あり、高速で表面性の優れた薄層の塗膜が得られると共
に、圧力−濃度特性が著しく改良されるという効果を奏
するものである。
【0009】一方、記録材料の発色剤層に含ませる電子
供与性発色剤を内包するマイクロカプセルとしてポリウ
レタンウレア壁を使用したマイクロカプセルは、ゼラチ
ンによるコアセルベーション法のマイクロカプセルに比
べて、高濃度カプセルが得られること、カプセルの耐水
性が優れていること、カプセル化を短時間で行うことが
できること等の特長を有することが知られている。この
ポリウレタンウレア壁を有するマイクロカプセルの耐溶
剤性、耐圧性、着色性を更に改良するために、多価イソ
シアネートとアミンのアルキレンオキサイド付加物及び
電子供与性発色剤を疎水性液体に溶解した溶液を、保護
コロイド及び界面活性剤を含む親水性液体中に乳化分散
した後、乳化分散液中に多価アミンを添加し、疎水性液
滴をポリウレタンウレア膜で被覆したマイクロカプセル
を含む分散液の製造法が提案されている(特開平2−2
057号公報)。
【0010】通常、上記の製造法で得られたマイクロカ
プセル分散液に更に水溶性バインダー、ラテックス系バ
インダー、カプセル保護剤などを添加して、記録材料の
発色剤層形成用塗布液が調製される。この塗布液には、
マイクロカプセルのポリウレタンウレア壁を形成するた
めの原料の一成分として添加した多価アミンのうち未反
応のものが残っている。本発明者は、上記のような多価
アミンが含有されている、発色剤を内包するポリウレタ
ンウレア壁のマイクロカプセルを含む発色剤層形成用塗
布液を、カーテン塗布法によって支持体上に塗布するこ
とを試みたところ、カーテンの液膜の安定性が劣り、長
時間に亙り塗布操作を行うとカーテン液膜に孔があく現
象(以下、「液膜ハジキ現象」ということがある)が起
こり、そのために均一な塗布面状が得られ難いことを見
出した。また、発色剤層形成用塗布液中の界面活性剤の
含有量を増加させると、液膜ハジキ現象を防ぐことはで
きるが、形成した発色剤層の表面にオフセット印刷によ
り印刷した場合、印刷の仕上がり状態(着肉)が悪くな
り印刷インキの濃度が薄くなるという問題点があること
を見出した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カー
テン塗布法により塗布して、印刷適性の優れた塗膜を均
一な塗布面状で形成させることができる、発色剤を内包
するマイクロカプセル及び多価アミンを含む発色剤層形
成用の塗布液を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、壁形成剤の一
成分として多価アミンを用いて形成したポリウレタンウ
レア壁を有し、電子供与性発色剤を内包するマイクロカ
プセル、上記多価アミン、及び全固形分に対して、0.
2〜1.0重量%のアニオン性界面活性剤と0.1〜8
重量%のアクリル酸系ポリマーのアルカリ金属塩とを含
むことを特徴とする記録材料の発色層をカーテン塗布法
で形成するための塗布液にある。
【0013】本発明の好適な態様は下記の通りである。
【0014】次に、本発明の記録材料の発色層をカーテ
ン塗布法で形成するための塗布液について説明する。
【0015】本発明の記録材料の発色剤層形成用塗布液
は、前記のようなノーカーボン紙型記録材料、自己発色
型記録材料のような感圧記録材料や、発色剤含有マイク
ロカプセルを含む感熱記録材料の、少なくとも発色剤を
内包するマイクロカプセルを含む層を特に好ましくはカ
ーテン塗布方法により形成するために使用される塗布液
である。
【0016】本発明に於ける発色剤を内包するポリウレ
タンウレア壁のマイクロカプセルは特に限定されない
が、例えば、特開平2−2057号公報に記載されてい
るようなマイクロカプセルであることが好ましい。
【0017】上記発色剤としては、トリフェニルメタン
フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジ
ン系化合物、インドリルフタリド系化合物、インドリル
アザフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ロ
ーダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合
物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物等を挙
げることができる。
【0018】上記のような発色剤を内包するポリウレタ
ンウレア壁のマイクロカプセルは、多価イソシアネート
とアミンのアルキレンオキサイド付加物及び電子供与性
発色剤を疎水性液体に溶解した溶液を親水性液体中に乳
化分散した後、乳化分散液中に多価アミンを添加し、疎
水性液滴をポリウレタンウレア膜で被覆することによっ
て調製することができる。
【0019】多価イソシアネートは分子内に二個以上の
イソシアネート基を有する化合物であり、アミンのアル
キレンオキサイド付加物はアミンのアミノ基部分の水素
原子の少なくとも一個がアルキレンオキサイドで置換さ
れた化合物であって、これらは従来マイクロカプセルの
ポリウレタンウレア壁を形成するための原料として知ら
れている。
【0020】上記のポリウレタンウレア壁のマイクロカ
プセルを製造する際に使用する多価アミンは、分子中に
−NH−基又は−NH2 基を二個以上有する化合物であ
って、親水性液体に可溶性のものである。多価アミンの
具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタ
ミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメ
チレンジアミン等のような脂肪族アミン、o−フェニレ
ンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノナフタ
レン、キシリレンジアミン等の芳香族アミンを挙げるこ
とができる。多価アミンは、単独で使用しても二種以上
を併用してもよい。
【0021】多価アミンの使用量は、多価イソシアネー
トの使用合計重量に対して0.5〜100重量%、特に
2〜50重量%であることが好ましい。
【0022】この多価アミンは、多価イソシアネートと
アミンのアルキレンオキサイド付加物及び発色剤を疎水
性液体に溶解した溶液を親水性液体中に乳化分散した
後、乳化分散液中に添加する。
【0023】上記の発色剤を溶解するための疎水性液体
としては、天然又は合成油を単独で又は混合して用いる
ことができる。このような溶媒の例としては、灯油、パ
ラフィン、ナフテン油、アルキル化ビフェニル、アルキ
ル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフ
タレン、ジアリールアルカン、フタル酸エステル等を挙
げることができる。
【0024】上記の親水性液体としては、一般に保護コ
ロイド及び/又は界面活性剤の水溶液を用いる。界面活
性剤としては、例えば、カルボン酸塩型、スルホン酸塩
型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型等のアニオ
ン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型、アミン塩
型、ピリジニウム塩型、ベンジルハライド型等のカチオ
ン界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコ
ール脂肪酸エステル型等の非イオン界面活性剤、ベタイ
ン型、スルホベタイン型、イミダゾリン型等の両性界面
活性剤等を挙げることができる。本発明の塗布液により
形成される塗膜(発色剤層)の耐熱性が向上するので、
アニオン性界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤は
カプセルを形成した後に添加してもよい。
【0025】本発明の塗布液中の界面活性剤の量は、
布液中の全固形分に対して0.2〜1.0重量%である
ことが好ましい。塗布液中の界面活性剤の量が、上記の
範囲よりも少ないとマイクロカプセルの分散性が低下
し、上記の範囲よりも多いと、この塗布液を使用して形
成した塗膜(発色剤層)の表面にオフセット印刷により
印刷した場合に印刷の仕上り状態が悪くなり、印刷適性
の劣る塗膜になる傾向がある。
【0026】マイクロカプセルの体積平均粒径は、1〜
20μm、特に2〜8μmであることが好ましい。
【0027】上記のようにして製造した発色剤を内包す
るマイクロカプセルを含む液中には、マイクロカプセル
のポリウレタンウレア壁の形成に関与しなかった余分の
多価アミンが含まれている。更に、塗布適性を向上させ
るためにカプセル化後に添加されたアニオン性界面活性
剤が含まれている。このアニオン性界面活性剤として
は、脂肪酸石鹸、金属石鹸、硫酸化油、ロート油、アル
キル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ
ールエーテル硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルカノール
アミド硫酸エステル塩、アルキルスルフィン酸塩、アル
キルベンゼンスルフォン酸塩(ドデシルベンゼンスルフ
ォン酸塩)、アルキルアリールスルフォン酸塩、ジアル
キルスルフォコハク酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミ
ドスルフォン酸塩、アルキル硫酸塩等を挙げることがで
きる。
【0028】本発明の塗布液中には、更に、全固形分に
対して0.1〜8重量%のアクリル酸系ポリマーのアル
カリ金属塩が含まれている。
【0029】このアクリル酸系ポリマーのアルカリ金属
塩は、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される単位
を50モル%以上、好ましくは80モル%以上含むポリ
マーのアルカリ金属塩であることが好ましい。アクリル
酸系ポリマーの好ましい例としては、アクリル酸又はメ
タクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とメタクリル酸
とのコポリマー、全モノマーの50モル%以上、好まし
くは80モル%以上のアクリル酸及び/又はメタクリル
酸と、残りのアクリル酸又はメタクリル酸と共重合可能
なエチレン性二重結合を有するモノマー、例えば、エチ
レン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン
等とから得られるコポリマーを挙げることができる。ま
た、アルカリ金属塩としてはナトリウム、カリウム等を
挙げることができる。アクリル酸系ポリマーのアルカリ
金属塩の分子量は、約5,000〜約400,000の
広範囲であってよい。
【0030】このようなアクリル酸系ポリマーのアルカ
リ金属塩は、市販品(例えば、第一工業製薬株式会社
製、商品名「シャロール」)として容易に入手すること
ができる。
【0031】発色剤を内包するポリウレタン壁のマイク
ロカプセル、及びマイクロカプセル壁形成剤の一成分で
ある多価アミンを含むカーテン塗布用塗布液中に、アク
リル酸系ポリマーのアルカリ金属塩を含有させることに
よって、カーテン液膜の安定性が著しく向上し、長時間
塗布操作を行っても液膜ハジキ現象が生じ難くなる。前
記のように、発色剤を内包するマイクロカプセルを含む
塗膜の耐熱性を向上させる点から、この塗布液中にアニ
オン性界面活性剤を含有させることが好ましいのである
が、多価アミンを含む塗布液中にアニオン性界面活性剤
を含有させると液膜ハジキ現象が生じ易くなる傾向があ
る。しかしながら、本発明の塗布液は、これにアニオン
性界面活性剤を含有させてもカーテン液膜の安定性が著
しく向上し、液膜ハジキ現象を防止することができるも
のである。
【0032】本発明の塗布液中の全固形分の含有量は1
0〜60重量%であることが好ましい。また、本発明の
塗布液の粘度は25℃で20〜500センチポアズであ
ることが好ましい。
【0033】上記のような発色剤を内包するマイクロカ
プセルを含む塗布液を、前記のような自己発色型感圧記
録材料やマイクロカプセルを含む感熱記録材料を製造す
るために使用する場合には、この塗布液に更に顕色剤を
含有させてもよい。この顕色剤としては、感圧記録材料
及び感熱記録材料の技術分野で公知のものを使用するこ
とができ、その具体例としては例えば、酸性白土、活性
白土、アタパルジャイト、ゼオライト、ベントナイト、
カオリンのような粘土物質、芳香族カルボン酸の金属
塩、フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0034】本発明の塗布液は、当該技術分野でよく知
られているカーテン塗布方法(例えば、特開昭57−3
9985号公報に記載されている方法)により支持体
(ウエブ)上に塗布することができる。支持体として
は、一般に使用されている、上質紙、中質紙、マシンコ
ート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジン
コーティッド紙、プラスチックフィルム等を挙げること
ができる。
【0035】カーテン塗布方法の概要は次の通りであ
る。内部にポケットを有し下端に高精度のスリットを有
する給液タンクに塗布液を供給し、スリットから塗布液
を自由落下させて垂直カーテンを形成させる。この自由
落下垂直カーテンはその下をほぼ水平に連続走行してい
るウエブに衝突し、ウエブの表面に塗布されて塗膜が形
成される。垂直カーテンの幅はウエブの幅よりも広くな
るように形成され、ウエブに塗布されない塗布液は循環
使用される。また、移動するウエブに同伴する空気流を
遮断して、垂直カーテンが空気流により乱されることの
ないように装置が構成されている。垂直カーテンの塗布
液流量は一般に1〜3g/cm・秒であることが適当で
あり、ウエブの走行速度は350〜2000m/分であ
ることが適当である。
【0036】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明する。
【0037】[実施例1]発色剤としてクリスタルバイ
オレットラクトン6.5gとベンゾイルロイコメチレン
ブルー1.5gとをジイソプロピルナフタレン100g
に溶解した。得られた油性液にイソパラフィン(出光石
油化学株式会社製、商品名「IPソルベント」)50
g、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(日本ポリウレタン株式会社製、商品名「ミリオネ
ートMTL」)10g、ヘキサメチレンジイソシアネー
トのビウレット体(住友バイエルウレタン株式会社製、
商品名「スミジュールN3200」)5g及びエチレン
ジアミンのブチレンオキサイド付加物(エチレンジアミ
ンに対するブチレンオキサイドの付加モル数16.8モ
ル、分子量1267)3.0gを溶解して、一次溶液を
調製した。
【0038】次に、水135gにポリビニルアルコール
15gをステンレススチール製容器中で加熱溶解して二
次溶液を調製した。二次溶液を激しく攪拌しながら、こ
れに上記一次溶液を注いで水中油滴型エマルジョンを形
成させた。平均油滴サイズが6.0μmになったところ
で攪拌を弱め、次いでこのエマルジョン中に80℃のテ
トラエチレンペンタミンの0.5重量%水溶液100g
を添加した後、系の温度を80℃にまで上昇させ、この
温度で120分間維持してカプセル分散液を調製した。
【0039】このようにして得られたカプセル分散液を
20℃に冷却し、これにポリビニルアルコールの10重
量%水溶液を100g、カルボキシ変性SBRラテック
ス(48重量%)を固形分量で20g、デンプン粒子
(平均粒径15μm)を50g、及びポリアクリル酸ナ
トリウム(第一工業製薬株式会社製、商品名「シャロー
ルAN144PD」、分子量約140,000)を液中
の全固形分に対して固形分で0.5重量%添加した。次
いで水を添加して固形分濃度を30重量%に調整し、こ
れに更にアニオン性界面活性剤としてアルキルベンゼン
スルフォン酸ナトリウムを液中の全固形分に対して0.
4重量%添加して、発色剤含有マイクロカプセル塗布液
を調製した。
【0040】間隙0.5mmのスリットを有するカーテ
ンコーターを用いて、上記のようにして得られた塗布液
を供給ヘッドに供給し、高さ15cmの自由落下垂直カ
ーテンを形成し、800m/分の速度で連続走行してい
る坪量50g/m2 の紙に、固形分塗布量が4g/m2
になるように塗布し、塗膜を乾燥して、感圧複写紙用マ
イクロカプセルシートを製造した。
【0041】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、下記の方法により塗布面状及び印刷適性を評価
した。その結果を表1に示す。
【0042】[塗布面状]マイクロカプセルシートの塗
膜に、面状検査用スプレーを噴霧して塗布面状を目視判
定する。判定結果は下記の記号で表す。 AA:塗布むらの発生無し。 BB:僅かに塗布むらが発生しているが、実用上問題無
し。 CC:塗布むらの発生有り。
【0043】[印刷適性]マイクロカプセルシートの塗
膜の上に、オフセット印刷を施し、印刷の仕上がり状態
(着肉)を目視判定する。判定結果は下記の記号で表
す。 AA:インキ濃度が濃く着肉が良好である。 BB:着肉がやや不良であるが、実用上問題無し。 CC:インキ濃度が薄く着肉が不良である。
【0044】[実施例2]ポリアクリル酸ナトリウム
(「シャロールAN144PD」)の添加量を液中の全
固形分に対して固形分で0.1重量%に変えた他は、実
施例1に於けると同様にして感圧複写紙用マイクロカプ
セルシートを製造した。
【0045】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0046】[実施例3]ポリアクリル酸ナトリウム
(「シャロールAN144PD」)の添加量を液中の全
固形分に対して固形分で5重量%に変えた他は、実施例
1に於けると同様にして感圧複写紙用マイクロカプセル
シートを製造した。
【0047】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0048】[比較例1]ポリアクリル酸ナトリウム
(「シャロールAN144PD」)の添加量を液中の全
固形分に対して固形分で0.05重量%に変えた他は、
実施例1に於けると同様にして感圧複写紙用マイクロカ
プセルシートを製造した。
【0049】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0050】[比較例2]ポリアクリル酸ナトリウム
(「シャロールAN144PD」)の添加量を液中の全
固形分に対して固形分で10重量%に変えた他は、実施
例1に於けると同様にして感圧複写紙用マイクロカプセ
ルシートを製造した。
【0051】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0052】[比較例3]ポリアクリル酸ナトリウムの
代わりに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(三洋化
成工業株式会社製、「ケミスタットSA−9」、平均分
子量:約20,000)を液中の全固形分に対して固形
分で0.5重量%添加した他は、実施例1に於けると同
様にして感圧複写紙用マイクロカプセルシートを製造し
た。
【0053】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0054】[比較例4]ポリアクリル酸ナトリウムの
代わりに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ナショ
ナルスターチ社製、「バーサTL500A」、平均分子
量:約500,000)を液中の全固形分に対して固形
分で0.5重量%添加した他は、実施例1に於けると同
様にして感圧複写紙用マイクロカプセルシートを製造し
た。
【0055】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0056】[比較例5]ポリアクリル酸ナトリウムを
添加しなかった他は、実施例1に於けると同様にして感
圧複写紙用マイクロカプセルシートを製造した。
【0057】得られたマイクロカプセルシートの塗膜に
ついて、実施例1に於けると同じ方法により塗布面状及
び印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。
【0058】
【表1】 表1 ────────────────────── 塗布面状 印刷適性 ────────────────────── 実施例1 AA AA 実施例2 BB AA 実施例3 BB AA ────────────────────── 比較例1 CC AA 比較例2 CC AA 比較例3 CC AA 比較例4 CC AA 比較例5 CC AA ──────────────────────
【0059】
【発明の効果】本発明の記録材料の発色剤層形成用塗布
液は、発色剤を内包するマイクロカプセルと、カプセル
の壁形成用材料として使用した多価アミンを含有するに
もかかわらず、カーテン塗布法により塗布して、印刷適
性の優れた塗膜を均一な塗布面状で形成することができ
るという顕著に優れた効果を奏する塗布液である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁形成剤の一成分として多価アミンを用
    いて形成したポリウレタンウレア壁を有し、電子供与性
    発色剤を内包するマイクロカプセル、上記多価アミン、
    及び全固形分に対して、0.2〜1.0重量%のアニオ
    ン性界面活性剤と0.1〜8重量%のアクリル酸系ポリ
    マーのアルカリ金属塩とを含むことを特徴とする記録材
    料の発色層をカーテン塗布法で形成するための塗布液。
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