JP3113033B2 - 放射性溶液中のルテニウム及びテクネチウムの分離方法並びにそれを用いた使用済核燃料再処理プロセス - Google Patents

放射性溶液中のルテニウム及びテクネチウムの分離方法並びにそれを用いた使用済核燃料再処理プロセス

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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies

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  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射性溶液中から放射性
核種であるルテニウム(Ru)およびテクネチウム(T
c)を分離する方法、並びにそれを用いた使用済核燃料
の再処理プロセスに関する。
【0002】
【従来の技術】RuとTcはUやPuの核分裂により比
較的多量に生成する。Ruは半減期が40日及び1年の
103 Ru及び106 Ruの存在により比放射能が高く、短
期的な被曝の主要因となる。一方、Tcは半減期21万
年の99Tcの存在により長期的な被曝の主要因となる。
したがって、いずれも放射性廃液から除去することが望
ましいと考えられている。しかし、放射性溶液中におい
て、Ruは種々錯イオンを形成し、Tcは陰イオンにな
り、共に安定に存在するため、分離除去が比較的難し
い。
【0003】従来、放射性溶液からRuやTcを分離す
る方法としては、特開昭62−172298号公報また
は特開平1−215727号公報にそれぞれ記載のよう
に、RuとTcをそれぞれ別の方法で分離することが考
えられていた。
【0004】また、従来、使用済核燃料の再処理プロセ
スにおいては、原子力工業、第35巻、第9号、9ペー
ジから23ページ(1989)に記載のように、溶液中
(特に、溶媒抽出工程の前段階における溶液中)からの
RuやTcの分離除去のための特別な配慮はなされてい
なかった。そのため、U,Pu精製工程においてRuや
Tcを除去するために多くの化学操作及び装置を設ける
必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、放射
性溶液中から比較的分離が困難なRuとTcとを効果的
に分離除去する方法を提供することにある。また、該方
法を使用済核燃料再処理プロセスに適用することによ
り、同再処理プロセスにおいて多くの化学操作及び装置
を必要とする精製工程を省略し、再処理プロセスの簡略
化及び再処理コストの低減化を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本発明は請求項1ないし5の夫々に記載の、放射性溶液
中のRuおよびTcの分離方法を提供し、また、それを
利用した請求項6ないし9の夫々に記載の使用済核燃料
の再処理プロセスを提供する。
【0007】
【作用】放射性溶液からTcを分離するときにRu等の
貴金属元素は触媒として働き、分離効率を向上させる作
用をすることが多い。本発明の方法はこの事を利用す
る。
【0008】すなわち、請求項2又は6の如く、Tcお
よびRuを同時に還元析出させれば、その場合、先に還
元析出したRu等の貴金属元素は金属触媒として働くの
で、Tcの析出速度及び析出率を大幅に向上させる。T
cより先に析出したRu等の貴金属元素は、Tcの吸着
剤としても作用する。また、TcおよびRuは還元析出
での凝集沈殿効果によって相互に析出沈殿物を凝集させ
て溶液からの除去効率を向上させる。
【0009】また、請求項4又は8の如く、溶媒抽出に
よりTcとRuを同時に分離除去すれば、この場合に
も、Ru等の貴金属元素は触媒として働き、溶媒抽出効
率を向上させる。また、RuとTcとが錯体や錯イオン
を形成して、溶媒抽出で分離しやすい形態に変化するよ
うに相互に作用する。
【0010】また請求項3又は7の如く、揮発によりT
cとRuとを同時に分離除去すれば、この場合にもRu
とTcは揮発形態への変換、揮発物あるいはミストへの
同伴を促進する方向に相互に作用する。
【0011】放射性溶液からTcとRuを同時に還元析
出させるには、SiCおよびメタノールを放射性溶液に
添加するとよい。放射性溶液中に添加したSiCは、電
子と見かけ上正孔とを溶液中に放出する。放出された電
子はTcやRu等の貴金属元素イオンを金属に還元して
SiC表面に析出させる。この際、析出したRu等の貴
金属はTcの析出を触媒的に促進する。メタノールは正
孔による逆反応(貴金属のイオンへの酸化反応)を防止
し、還元を助長する作用を果たす。
【0012】請求項6ないし8記載の使用済核燃料再処
理プロセスによれば、U,Pu精製工程での溶媒抽出回
数及び装置を大幅に低減させる。
【0013】使用済核燃料再処理プロセスにおいてRu
とTcの同時還元析出を行わせるには、請求項9の如
く、U,Pu及び核分裂生成物を含む溶解液中にSiC
とメタノールを添加するとよい。U,Pu及び核分裂生
成物を含む溶液中に添加したSiCは、放射線の作用に
より電子と見かけ上正孔を溶液中に放出する。放出され
た電子はTcおよびRu等の貴金属元素イオンを金属に
還元してSiC表面に析出させる。この際、メタノール
は正孔による逆反応(貴金属のイオンへの酸化反応)を
防止し、還元を助長する作用を果たす。
【0014】請求項3又は7の実施においては、酸化機
構を用いて溶液中のRuイオンを揮発性形態(RuO
4 )に変換する作用をし、昇温機構を用いてRu及びT
cイオンの揮発性形態(RuO4 及びTc27 または
MTcO4 (MはH、NH4 、アルカリ金属またはR
u))への変換及び揮発性形態の気相への移行を促進す
る作用をする。請求項4又は8の実施においては、原子
価調整機構を用いて溶液中のTcを含む貴金属元素イオ
ンを抽出溶媒中に移行しにくい形態に変換する作用をす
る。
【0015】
【実施例】実施例1 放射性溶液からRuとTcとを還元析出により同時に分
離除去する場合の実施例について図1により説明する。
RuとTcを含む放射性溶液51中に半導体触媒である
炭化ケイ素(SiC)粉末52と還元助剤であるメタノ
ール53を添加して数10分から数時間放置する。撹拌
装置55を用いれば放置時間を短縮できる。この際、放
射線の作用により(又は放射線量が低い場合には必要に
応じ紫外光を作用させることにより)、SiCの価電子
帯の電子が伝導帯に励起され、見かけ上正孔が価電子帯
に残る。電子と正孔はともにSiC粉末表面から溶液中
に放出され、電子は金属への還元電位の高いRu等の貴
金属元素イオンを金属へ還元し、これをSiC粉末表面
に析出させる。TcイオンもTc金属あるいはTcO2
への還元電位が比較的高いため、金属あるいは二酸化物
へ還元されて析出する。この際、先に析出したRu等の
貴金属は触媒作用によりTcの還元析出を促進する。ま
た、この析出したRu等の貴金属はその表面にTcを析
出させて析出物の回収を容易にする。一方、正孔はメタ
ノールにより消費され、これにより、正孔による逆反応
(析出した金属のイオンへの酸化反応)が防止される。
TcとRuを表面に析出させたSiC粉末は、一般的に
用いられる固形分除去装置54により溶液中から除去さ
れる。これにより、処理後の放射性溶液56は短期的及
び長期的被曝の原因となるRuおよびTcが除去される
ものとなる。
【0016】以上、本実施例によれば、先に析出したR
uがTcの析出触媒として作用するので、Tcの析出効
率を向上できる。また、析出物をSiC粉末上に集めら
れるので、RuおよびTcの溶液からの除去効率を向上
できる。
【0017】実施例2 本発明の第2の実施例として、清澄工程でRu等の貴金
属元素及びTcを同時に還元析出することにより除去す
る使用済核燃料再処理プロセスを図2により説明する。
原子炉から取り出された使用済核燃料は燃料集合体を解
体し、被覆管ごと燃料ピンを長さ数cmの小片に剪断す
る。再処理プロセスの溶解工程で溶解装置に装加された
小片は、硝酸により燃料部分のみ溶解される。溶解され
なかった被覆管部分はハルとして溶液中から除去され
る。U,Puや核分裂生成物(FP)を含む硝酸溶液
(燃料溶解液)は次の清澄工程へ移される。清澄工程
は、本来、燃料を溶解した際の不溶解性残渣固形物を除
去するための工程である。
【0018】本実施例では、清澄工程において、清澄装
置中の溶液に半導体触媒である炭化ケイ素(SiC)粉
末と還元助剤であるメタノールを添加して数10分から
数時間放置する。この際、放射線の作用によりSiCの
価電子帯の電子が伝導帯に励起され、見かけ上正孔が価
電子帯に残る。電子、正孔ともにSiC粉末の表面から
溶液中に放出され、電子は金属への還元電位の高いRu
等の貴金属元素イオンを金属へ還元し析出させる。Tc
イオンもTc金属あるいはTcO2 への還元電位が比較
的高いため、金属あるいは二酸化物TcO2 へ還元され
析出する。電子によるこれらのイオンの還元速度は速
く、また実施例1と同様に、先に析出したRuによりT
cの析出が促進される。この様に還元によりRu等の貴
金属およびTc金属あるいはその二酸化物がSiC表面
に析出する。一方、正孔はメタノールにより消費され逆
反応が防止される。Ru等の貴金属元素およびTcを表
面に析出させたSiC粉末は、不溶解性残渣とともに清
澄工程の固形分除去装置により溶液中から除去される。
上記の還元析出では、RuとTcは効率的にSiC表面
に析出するので除去効率は向上する。
【0019】TcおよびRu等の貴金属元素が除去され
てそれ以外のFPおよびU,Puを含む硝酸溶液は、次
に、清澄工程から抽出工程(溶媒抽出工程)に移され
る。この溶媒抽出工程では、抽出溶媒(リン酸トリブチ
ル)にUとPuが抽出され、他方、FPは該溶媒に抽出
されないことによって、U,PuとFPとの分離が実施
される。FPから分離されたU,Puは、溶媒抽出工程
でU,Pu側に移行しやすいRuやTcが上記清澄工程
での除去により存在していないので、精製工程を経由せ
ずに、あるいは従来の再処理精製工程に比較して大幅に
小規模な精製工程を経由して、燃料としてと再使用され
る。
【0020】以上、本実施例によればRuとTcの分離
除去効率を、RuおよびTcそれぞれの単独分離除去処
理の場合に比較して、大幅に向上できる。また、Ruと
Tcを同時に除去するので分離プロセスの簡略化も図る
ことができる。
【0021】また、本実施例によれば溶媒抽出工程で
U,Puとともに溶媒(リン酸トリブチル)側に移行し
やすいRu,Tcを溶媒抽出工程より前の清澄工程で溶
液(U,Puストリーム)から同時に除去しているの
で、U,Puの精製工程を削除あるいは大幅に低減でき
る。Ru,Tcの溶液からの除去は従来の使用済核燃料
再処理プロセスで採用されている清澄工程で実施してい
るため、工程を増加させる必要がない。また、抽出溶媒
との接触の前に、溶媒劣化の要因となる放射線量を低下
でき、溶媒分解触媒であるRuを系外に除去しているの
で、溶媒抽出工程での溶媒劣化を抑制でき、廃棄物処理
工程の負担軽減と廃棄物発生量の低減が可能となる。さ
らに、UとPuを相互に分離する際のPuの還元助剤と
して添加されるヒドラジンを分解するTcが予め除去さ
れているので、UとPuの相互の分離効率を向上でき、
還元剤および還元助剤の添加量を低減できる。メタノー
ルは速やかに炭酸ガス等に分解されるので、廃棄物量増
加の要因とはならない。以上のことより、使用済核燃料
再処理プロセスの簡略化と再処理コストの低減化の効果
がある。
【0022】上記実施例においては還元助剤としてメタ
ノールを用いたが、還元助剤としては、他のアルコール
類や、メタノールと同程度の酸化に対する酸化還元電位
を有する物質を用いても同様の効果を奏する。この還元
助剤としてガス成分や水に分解できる物質(例えば、メ
タノール、エタノール、シュウ酸、酢酸など)を用いれ
ば廃棄物発生量の増加を抑制できる。また、上記実施例
においてはSiCとメタノールをTcおよびRu等の貴
金属元素の還元用の添加剤として選んだが、これらの元
素の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する添加剤
を用いても該元素は金属固形分として溶液中に析出する
ので、同様の効果がある。この場合も、還元助剤として
ガス成分や水に分解できる物質を用いれば廃棄物発生量
の増加を抑制できる。
【0023】上記実施例においては使用済核燃料再処理
プロセスの清澄工程でTcおよRu等の貴金属元素イオ
ンを還元しているが、溶解工程、あるいは溶解工程と清
澄工程の中間など、溶媒抽出工程の前の工程であれば、
還元操作の実施により同様の効果を達成することができ
る。
【0024】実施例3 本発明の第3の実施例として、溶解工程でRu及びTc
を揮発により同時に除去する使用済核燃料再処理プロセ
スについて図3により説明する。使用済核燃料剪断片を
硝酸で溶解する溶解工程において、RuイオンをRuO
4 へ酸化する酸化剤を添加する。酸化剤としては4価の
Ceなど、酸化還元電位がRuO4 への酸化還元電位よ
り高い物質が使用できる。また、溶液中の亜硝酸を除去
したり、溶液中に酸素ガスを吹き込むことによってもR
uO4 への酸化が可能である。酸化により生じたRuO
4 は揮発性であり、容易に気相中に移行するので、容易
に除去される。よって、RuO4 への酸化効率が本実施
例の一つの重要なポイントとなるが、硝酸濃度と温度を
高くすることにより酸化効率を向上させることができ
る。Tcを揮発除去するためには、U,Pu溶液を数1
00℃に加熱すると共にTcを揮発しやすい形態Tc2
7 またはMTcO4 (MはH,NH4 ,アルカリ金属
またはRu)に変化させる。そのためには、硝酸濃度を
上げるか又はMの濃度を上げる等の操作を行うのがよ
い。
【0025】RuとTcを別々に揮発除去する場合に比
較して、両者を同時に揮発除去する本実施例において
は、RuとTcの上記錯体形成による揮発形態への変化
ならびに揮発物への両者の相互同伴効果があるので、R
uおよびTcの除去効率が向上する。溶解工程でRuお
よびTcを溶液中から上記の如く同時に除去した後、溶
液は清澄工程に移されて共存する不溶性残渣を除去さ
れ、抽出工程(溶媒抽出工程)でU,PuからFPを分
離する。
【0026】以上、本実施例によればRuとTcの分離
除去効率を、RuおよびTcそれぞれの単独分離除去処
理の場合に比較して、大幅に向上できる。RuとTcを
同時に除去するので分離プロセスの簡略化も図ることが
できる。
【0027】また、本実施例によれば、溶媒抽出工程で
U,Puとともに溶媒に移行しやすいRu及びTcを溶
媒抽出工程より前に予め溶液中から除去できるので、精
製工程を大幅に短縮できる。また、RuおよびTcの除
去には従来の溶解工程を利用することができるので、余
計な工程を追加する必要がない。さらに、溶媒抽出工程
における溶媒劣化要因であるRuを溶媒と接触する前に
除去しているので、溶媒再生工程及び廃棄物処理工程の
負担を軽減でき、廃棄物発生量を低減できる。これらの
ことにより、従来の使用済核燃料再処理プロセスよりも
プロセスを簡略化でき、コストを低減できる効果があ
る。
【0028】上記実施例では溶解工程でRu及びTcを
揮発除去しているが、再処理プロセス中の溶媒抽出工程
の前であればどの工程で揮発除去しても同様の効果があ
る。
【0029】なお、気相へ移行したRu及びTcは従来
の再処理プロセスのオフガス処理工程で除去されるので
再処理プラント汚染の恐れはない。また、Ruのオフガ
スからの除去は金属メッシュフィルターで効率的に行う
ことができる。
【0030】実施例4 本発明の第4の実施例として、共除染工程(UとPuの
両者を溶媒抽出によってFP(核分裂生成物)から分離
する工程)でRu及びTcをU,Puストリームから除
去する使用済核燃料再処理プロセスについて図4により
説明する。使用済核燃料の溶解、清澄工程は従来の再処
理プロセスと同じである。本実施例では、Ru及びTc
を再処理溶媒中に抽出されにくい形態に変換することに
よって、共除染工程でほとんどのRu及びTcをU,P
uストリームから除去する。この形態変換を行う方法と
しては錯形成と原子価調整が挙げられる。
【0031】まず、錯形成による形態変換方法について
説明する。Ruは溶液中でニトロシル錯体(RuN
3+)の形で存在し、この錯体に配位する塩基の種類に
より再処理溶媒への分配係数が決まる(この分配係数が
大きい程Ruが再処理溶媒へ移行しやすい)。配位塩基
としては硝酸根(NO3 -)、亜硝酸根(NO2 -)、水酸
根(OH- )及び他の陰イオンが考えられるが、溶媒へ
の分配係数は硝酸根、亜硝酸根、水酸根、錯陰イオンを
形成する陰イオンの順番に小さくなる。水酸根を配位す
るためには溶液のpHを高くする必要があり、pH上昇
によりU,Puも抽出されにくくなるので、水酸根配位
は現実的方法ではない。よって、Ruを再処理溶媒中に
抽出されにくい形態に変換する方法としては、溶液中に
NOX ガスを吹き込む等の手段で溶液中の亜硝酸濃度を
上昇させ亜硝酸根をRuのニトロシル錯体に配位させる
方法、あるいはU,Puよりもニトロシル錯体との錯形
成定数の大きい陰イオン(例えば、シュウ酸イオン、炭
酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン又はTcO4 -イオ
ンなど)を添加する方法が有効である。他方、Tcは溶
液中でTcO4 -として存在し、ZrやU,Pu(特にZ
r)と溶媒に抽出されやすい化合物を形成するので、溶
媒抽出の際、U,Puストリームに移行しやすい。した
がって、Tcを再処理溶媒中に抽出されにくい形態に変
換する方法としては、ZrやU,PuよりTcO4 -との
錯形成定数の大きい陽イオンを添加する方法、あるいは
UやPuよりZrとの錯形成定数の高い陰イオン(シュ
ウ酸イオン等)を添加する方法が有効である。以上の錯
形成の際、陽イオンのRuと陰イオンのTcとの錯イオ
ンを形成させる方法、すなわち、Ruを4価の状態に変
換しTcと錯イオンを形成させる方法が特に有効である
ことがわかった。
【0032】以上のようにしてRuおよびTcを抽出溶
媒中に抽出されにくい形態に変換することより、共除染
工程でRuとTcを同時にU,Puストリームより除去
することができるので、Ru及びTcのU,Puからの
分離効率は向上する。
【0033】一方、原子価調整による形態変換方法とし
ては、Ruが2価、Tcが7価で存在することから、こ
れを他の原子価に調整する酸化還元剤を添加する方法が
有効である。この場合、実施例1及び2に記載したよう
にRuおよびTcを同時に還元する方法が効果的であ
り、Ru及びTcの相乗効果により還元効率が向上す
る。
【0034】以上のいずれかの方法あるいは2種類以上
の方法を組み合わせることによって、TcおよびRuを
溶媒に抽出されにくい形態に変換することにより、使用
済核燃料再処理プロセスの共除染工程においてU,Pu
から効率的にRu及びTcが分離される。
【0035】本実施例によれば、Ru及びTcが効率的
にU,Puから分離できる。また、U,Puの精製工程
を削減でき、溶媒劣化を低減できるので、使用済核燃料
再処理プロセスの簡略化と再処理コストの低減化の効果
がある。
【0036】実施例5 本発明の第5の実施例を、使用済核燃料再処理の設備、
装置の面から図5により説明する。その原理は実施例2
と同じである。燃料供給装置17から供給された使用済
核燃料は溶解槽18において硝酸供給槽19から供給さ
れた硝酸により溶解される。溶解溶液は還元吸着槽21
に移され、ここで、還元助剤(メタノール)添加槽22
及びSiC添加槽30から夫々供給された還元助剤(メ
タノール)及びSiC粉末の作用により溶液中のRu等
の貴金属イオン及びTcは金属あるいは酸化物に還元さ
れ析出する。SiC粉末表面に還元析出した該金属と酸
化物は、固液分離装置23において溶液より除去され、
固形分受槽24に一時保管される。Ru等の貴金属及び
Tcを除去した溶液は、ミキサーセトラー25において
溶媒供給槽26から供給されたりん酸トリブチル溶媒と
接触し、有機相と水相に分離される。この際、溶液中の
U,Puは有機相とともに有機相受槽27へ、他方、核
分裂生成物は水相とともに効率的に水相受槽28へ移行
する。
【0037】本実施例によれば、Ru及びTcを同時に
高効率で溶液から除去できる。また、溶媒抽出装置(ミ
キサーセトラー25)よりも前の装置において非常に効
率的に溶液中よりRu等の貴金属及びTcを除去できる
ので、U,Puの精製工程をほとんど省略することがで
き、溶媒の劣化を大幅に防止できる。また、Tcに起因
するUとPuの分離効率低下も防止できる。このことよ
り、使用済核燃料再処理プロセスの効率向上と簡略化及
び再処理コストの低減化を可能にできる効果が得られ
る。本実施例では、溶媒抽出装置としてミキサーセトラ
ーを用いたが、パルスカラム等他の装置を用いても同様
の効果がある。
【0038】実施例6 本発明の第6の実施例として、放射性廃液からの核燃料
物質の回収プロセスに本発明を適用した場合について図
6により説明する。核燃料物質を含む放射性廃液に還元
剤としてのSiC粉末と還元助剤としてのメタノール、
及び陰イオン交換体を添加して、廃液中のRu等の貴金
属及びTcを還元析出により同時に固相に移行させ溶液
より除去する。陰イオン交換体は還元析出が仮に十分で
なかった場合のバックアップ用である。その後、溶液中
の核燃料物質をリン酸トリブチル等の溶媒で抽出して有
機相中に移行させ、残った核分裂生成物より効果的に分
離する。本実施例によれば、放射性廃液中より単純かつ
効率的に純粋な核燃料物質を回収できる効果がある。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、放射性溶液からのRu
及びTcの分離効率を向上することができる。また、使
用済核燃料再処理プロセスの効率化と簡略化及び再処理
コストの低減化が可能となる効果がある。また、放射性
廃液からの核燃料物質の回収のプロセスについても、プ
ロセスの効率向上と簡略化及びコストの低減化をを可能
にできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射性溶液からのRu及びTcの
分離方法の一実施例を示す図、
【図2】本発明による使用済核燃料再処理プロセスの一
実施例を示す図、
【図3】本発明による使用済核燃料再処理プロセスの他
の実施例を示す図、
【図4】本発明による使用済核燃料再処理プロセスの更
に他の実施例を示す図、
【図5】本発明による使用済核燃料再処理プロセスの設
備の一実施例を示す図、
【図6】本発明による放射性廃液からの核燃料物質回収
プロセスの一実施例を示す図。
【符号の説明】
1…溶解工程 2…清澄工程 3…溶媒抽出工程 4…使用済核燃料 5…硝酸 6…ハル 7…SiC,メタノール 8…Tcを含む貴金属 9…抽出溶媒 10…核分裂生成物 11…U,Pu 17…燃料供給装置 18…溶解槽 19…硝酸供給槽 21…還元吸着槽 22…還元助剤添加槽 30…SiC添加槽 23…固液分離装置 24…固形分受槽 25…ミキサーセトラ
ー(溶媒抽出装置) 26…溶媒供給槽 27…有機相受槽 28…水相受槽 29…弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−26195(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/06 G21C 19/46 G21F 9/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性溶液中に含まれるルテニウム(R
    u)及びテクネチウム(Tc)を相互作用下で同時に該
    溶液中から分離除去することを特徴とする放射性溶液中
    のRu及びTcの分離方法。
  2. 【請求項2】 放射性溶液中に含まれるRuおよびTc
    の同時の分離除去は、放射性溶液中のRuおよびTcを
    同時に還元析出させることによりなされることを特徴と
    する請求項1記載の放射性溶液中のRu及びTcの分離
    方法。
  3. 【請求項3】 放射性溶液中に含まれるRuおよびTc
    の同時分離除去は、溶液中のRuおよびTcを、夫々、
    揮発性の化学形態に同時に変換して揮発させることによ
    りなされることを特徴とする請求項1記載の放射性溶液
    中のRu及びTcの分離方法。
  4. 【請求項4】 放射性溶液中に含まれるRuおよびTc
    の同時分離除去は、溶液中のRuおよびTcを、夫々、
    有機溶媒に抽出されにくい化学形態に同時に変換した
    後、放射性溶液を有機溶媒と接触させることによってな
    されることを特徴とする請求項1記載の放射性溶液中の
    Ru及びTcの分離方法。
  5. 【請求項5】 放射性溶液中に還元助剤としてのアルコ
    ール類と還元剤としてのSiCとを添加して、放射性溶
    液中のRu及びTcを同時にSiC表面に還元析出させ
    ることを特徴とする請求項2記載の放射性溶液中のRu
    及びTcの分離方法。
  6. 【請求項6】 使用済核燃料の溶解工程、清澄工程およ
    び溶媒抽出工程よりなる使用済核燃料再処理プロセスに
    おいて、溶媒抽出工程より前の溶解工程、清澄工程また
    は溶解工程と清澄工程との中間工程にて、使用済核燃料
    溶解液中のRuおよびTcを同時に還元析出させて該溶
    液から分離除去することを特徴とする使用済核燃料再処
    理プロセス。
  7. 【請求項7】 使用済核燃料の溶解工程、清澄工程およ
    び溶媒抽出工程よりなる使用済核燃料再処理プロセスに
    おいて、溶媒抽出工程より前の溶解工程、清澄工程また
    は溶解工程と清澄工程との中間工程にて、使用済核燃料
    溶解液中のRuおよびTcを、夫々、揮発性の化学形態
    に同時に変換して揮発させて該溶液から同時に分離除去
    することを特徴とする使用済核燃料再処理プロセス。
  8. 【請求項8】 使用済核燃料の溶解工程、清澄工程およ
    び溶媒抽出工程よりなる使用済核燃料再処理プロセスに
    おいて、溶媒抽出工程中の共除染工程の最初の段階また
    は共除染工程より前の工程にて、使用済核燃料溶解液中
    のRuおよびTcを、夫々、共除染工程での溶媒に抽出
    されにくい化学形態に同時に変換し、共除染工程におい
    RuおよびTcの溶媒への移行を防止することを特徴
    とする使用済核燃料再処理プロセス。
  9. 【請求項9】 使用済核燃料溶解液中に還元剤としての
    SiCと還元助剤としてのアルコール類を添加して該溶
    解液中のRuおよびTcを同時にSiC表面に還元析出
    させることを特徴とする請求項6記載の使用済核燃料再
    処理プロセス。
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