JP3112505B2 - 難燃性シート - Google Patents

難燃性シート

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JP3112505B2
JP3112505B2 JP03148067A JP14806791A JP3112505B2 JP 3112505 B2 JP3112505 B2 JP 3112505B2 JP 03148067 A JP03148067 A JP 03148067A JP 14806791 A JP14806791 A JP 14806791A JP 3112505 B2 JP3112505 B2 JP 3112505B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系樹脂ま
たは特定の反応性化合物を含むポリオレフィン系樹脂お
よび無機難燃剤からなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組
成物からなる基材シート上に耐摩耗性および/または耐
熱性を有する基材を設けた耐摩耗性および/または耐熱
性に優れた難燃シートに関するものであり、より詳しく
は、高度の難燃性を有するとともに、燃焼時にハロゲン
ガスなどの有毒ガスの発生がなく、特に耐摩耗性および
/耐熱性に優れ、且つ安全性、可撓性、機械的特性、耐
薬品性、電気的特性などにも優れているので、自動車、
電車やバス等の車両、航空機、船舶、家屋、工場などの
床材、壁材などの内装材、建築現場等のカバー材などと
して利用することができる難燃性シートに関するもので
あり、特に耐シガレット性等の耐熱性、耐摩耗性に優れ
るために床用シートとして好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車、電車やバス等の車両、航
空機、船舶、家屋、工場などの床材、壁材などの内装材
としてポリ塩化ビニル(PVCと略す)からなる基材の
上に耐摩耗性および/または耐熱性を有する架橋PVC
を設けた難燃性シートが知られている。しかし、上記P
VC系難燃性シートは難燃性はあるものの、PVC系難
燃性シートは重く、また残留塩化ビニルモノマーや可塑
剤による毒性の問題や、長年使用すると可撓性がなくな
るばかりでなく、燃焼時においては有毒ガスを発生する
などの問題を有しているので、近年、これらの難燃性シ
ートを代替する毒性の問題がなく、軽量で、且つ長期に
亘り安定して使用できるものが要望されつつある。上記
PVCの替わりにポリオレフィンを使用すれば軽量化を
計ることができるが、ポリオレフィン単体では易燃性で
あり、ポリオレフィンにハロゲン系難燃剤等の有機難燃
剤を含有せしめた樹脂組成物を使用すると軽量化や難燃
性は達成することができるが、上記PVCと同様にハロ
ゲン系難燃剤等の有機難燃剤は燃焼時に有毒ガスを発生
するいう問題を有している。したがって、これらを解決
し、かつ安全上の問題もないような、軽量で、長期に亘
り安定して使用できるような、耐熱性および/または耐
摩耗性に優れたポリオレフィン系難燃性シートの開発が
要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、鋭意検討してなされたものであって、ポリオレフィ
ン系樹脂または特定の反応性化合物を含むポリオレフィ
ン系樹脂および無機難燃剤からなる樹脂組成物を用いた
シートを形成し、その上に耐摩耗性および/または耐熱
性に優れた基材を設けた構成の難燃シートとすることに
より、機械的強度、電気的特性、可撓性、成形加工性、
耐シガレット性などの耐熱性、耐摩耗性等に優れ、燃焼
時にハロゲンガスなどの有毒ガスが発生したり、ドリッ
ピングを生じたりすることがないハロゲンフリーの無公
害型の高度の難燃性を有するポリオレフィン系難燃性シ
ートまたは該難燃性シートを提供しようとするものであ
る。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明の第1発明は、下記
(A)および(B)を含むポリオレフィン系樹脂組成物
からなるシートと、可撓性を有し、かつ耐摩耗性および
/または耐熱性を有するハードコート層とからなる難燃
性シートである。 ポリオレフィン系樹脂組成物: (A)超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン (LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレ ン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EP DM)、エチレン−ブテン−1共重合体ゴムなどのオレフィン系ゴム、エチレン −酢酸ビニル共重合体などのエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−( メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などのエチレン−α,β−不飽和カ ルボン酸またはその誘導体との共重合体などの軟質ポリオレフィン系重合体(A 1)(A)あるいはa1 :カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基 含有モノマー、a2 :エポキシ基含有モノマー、a3 :ヒドロキシル基含有モノ マー、a4 :アミノ基含有モノマー、a5 :アルケニル環状イミノエーテル誘導 体、a6 :多官能モノマー、a7 :不飽和有機チタネート化合物、a8 :不飽和 有機シラン化合物から選ばれた少なくとも1種の反応性化合物を含むポリオレフ ィン系樹脂(A2)または軟質ポリオレフィン系重合体(A1)とポリオレフィ ン系樹脂(A2)を含む樹脂組成物 100重量部と、 (B)無機難燃剤 10〜200重量部 本発明の第2発明は、請求項1記載の難燃性シートにお
いて、軟質ポリオレフィン系重合体(A1)がエチレン
−アクリル酸エチル共重合体(EEA)あるいはエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であり、ポリオレフ
ィン系樹脂(A2)がグラフト変性ポリオレフィン系樹
脂からなり、特に耐シガレット性、耐摩耗性に優れ、電
車などの床材に好適な難燃性シートである。
【0005】本発明の(A)成分であるポリオレフィン
系樹脂(A1)としては、超低密度ポリエチレン、高圧
法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中
密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン
共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1共重合体ゴムなど
のオレフィン系ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体な
どのエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などのエ
チレン−α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体と
の共重合体などのエチレン系(共)重合体、ポリプロピ
レン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピ
レン系重合体、ポリブテン系重合体等が挙げられる。こ
れらの中でも超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高
圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)などの密度が0.86〜0.94 g/c
m3のエチレン(共)重合体、エチレン−プロピレン共重
合体ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体ゴム(EPDM)、エチレン−ブテン−1共重合
体ゴムなどのオレフィン系ゴム、エチレン−酢酸ビニル
共重合体(EVA)などのエチレン−ビニルエステル共
重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル共重合体などのエチレン−α,β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体などの軟質ポリオレフィ
ン系重合体およびこれらを主成分とする組成物または混
合物が難燃剤や充填剤などの受容性や相溶性などの観点
から好ましい。
【0006】上記超低密度ポリエチレン(VLDPE)
とは、密度が0.86〜0.910 g/cm3 であり、かつ直鎖状低
密度ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体
ゴムとの中間の性状を示すポリエチレンを指す。例えば
密度0.860 〜0.910 g/cm3 、示差走査熱量測定法(DS
C)による最大ピーク温度(Tm )60℃以上、かつ好
ましくは沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状
を有する特定のエチレン−α−オレフィン共重合体であ
り、少なくともチタンおよび/またはバナジウムを含有
する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる
触媒を用いて重合され、直鎖状低密度ポリエチレンが示
す高結晶部分とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
が示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特
徴である機械的強度、耐熱性などと、後者の特徴である
ゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存して
おり、本発明に用いるときは極めて有用である。該α−
オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン
−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
【0007】本発明のオレフィン系ゴムとしては、エチ
レン−プロピレン−ジエンランダム共重合体ゴム、エチ
レン−プロピレンランダム共重合体ゴムが特に好まし
い。この二つのゴムは、他のゴム状物質に比べて熱可塑
性にすぐれ、溶融混練による分散が容易であり、SB
R、イソプレンゴム、ニトリルゴムあるいはブタジエン
ゴム等と比較すると独特の臭気を有しない点、あるいは
ペレット状で入手できるために、配合する際の計量や取
扱いが容易であり、かつ組成物製造装置の形式について
も選択の自由度が大きいことなど、操作上の利点を有す
ることが挙げられる。上記エチレン−プロピレン−ジエ
ンランダム共重合体ゴムのジエン成分については、エチ
リデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−
シクロヘキサジエン等いずれも使用できる。またこれら
のゴム状物質のムーニー粘度(ML1+4 100 ℃)は10
〜100、好ましくは(ML1+4100 ℃)20〜90の
範囲である。ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が10以
下のものを使用すると、耐衝撃性の改良効果がほとんど
得られず、ムーニー粘度(ML1+4 100 ℃)100以上
のものであると、該無機難燃剤との分散が悪くなる恐れ
を生じる。
【0008】本発明のプロピレン系あるいはブテン系軟
質ポリオレフィンはチーグラー系触媒を用いて製造され
るプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ブテ
ン−1−α−オレフィンランダム共重合体などであり低
結晶性乃至非結晶性ポリオレフィンである。
【0009】さらに本発明においては、イソブテンゴ
ム、ブタジエンゴム、1,2-ポリブタジエンゴム、スチレ
ン−ブタジエンランダム共重合体ゴム、クロロプレンゴ
ム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体ゴム等を添加して使用しても良い。
【0010】本発明のエチレン−ビニルエステル共重合
体は、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成
分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸
ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステア
リン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエ
ステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に
好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができ
る。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニル
エステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和
単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好まし
い。
【0011】本発明のエチレン―α,β−不飽和不飽和
カルボン酸またはその誘導体との共重合体としては、エ
チレン−α,β−不飽和不飽和カルボン酸共重合体、エ
チレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、
それらの金属塩、アミド、イミド等が挙げられるが、好
ましくは高圧ラジカル重合法で製造されるエチレン50
〜99.5重量%、α,β−不飽和不飽和カルボン酸も
しくはエステル0.5〜50重量%、および他の共重合
可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合
体が好ましい。
【0012】上記のα,β−不飽和カルボン酸もしくは
エステルの具体的な例としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸等の不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、
メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、
アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、
アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、
アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アク
リル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、マレイン
酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステ
ル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチル
エステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシ
ジル等の不飽和カルボン酸エステル類を挙げることがで
きる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アク
リル酸アルキルエステルを挙げることができる。更に好
ましくはアクリル酸エチルを挙げることができる。
【0013】金属塩としてはナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、マグ
ネシウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。
【0014】上記の共重合体の具体例としては、エチレ
ン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン
−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル
酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル
共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリ
ル酸エチル共重合体などあるいはこれらの金属塩(アイ
オノマー)等が挙げられる。これらの共重合体は混合し
て使用しても良い。とりわけエチレン−ビニルエステル
共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸または
その誘導体との共重合体等の含酸素軟質ポリオレフィン
系樹脂が難燃性の相乗効果が著しいことから好ましい。
上記含酸素軟質ポリオレフィン系樹脂が無機系難燃剤を
配合したとき高度な難燃性を示す理由は明確ではない
が、燃焼時において無機系難燃剤との相乗効果によるも
のと考えられる。
【0015】本発明の反応性化合物を含むポリオレフィ
ン系樹脂組成物とは、a1:カルボン酸基、カルボン酸
エステル基または酸無水基含有モノマー、a2:エポキ
シ基含有モノマー、a3 :ヒドロキシル基含有モノマ
ー、a4:アミノ基含有モノマー、e:アルケニル環状
イミノエーテル誘導体、a5:多官能モノマー、a7:不
飽和有機チタネート化合物、a8:不飽和有機シラン化
合物から選ばれた少なくとも1種の反応性基を含むポリ
オレフィン系樹脂(A2)またはその樹脂組成物100
重量部と、無機難燃剤(B)30〜200重量部を含む
樹脂組成物からなるものである。
【0016】本発明の反応性基を含むポリオレフィン系
樹脂とは、オレフィンと上記モノマーの少なくとも1種
との2元または多元共重合体、ポリオレフィン系樹脂に
該モノマーの少なくとも1種をグラフト変性したグラフ
ト変性体、ポリオレフィン系樹脂に該モノマーの少なく
とも1種を含浸させた熱可塑性樹脂組成物を包含するも
のであるが、操作が簡便で、かつ効果的で、安価な方法
であることからグラフト変性体が最も好ましい。
【0017】上記反応性基a1:カルボン酸基、カルボ
ン酸エステル基または酸無水基含有モノマーとは、マレ
イン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,
β-不飽和ジカルボン酸,アクリル酸、メタクリル酸、
フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不
飽和モノカルボン酸,あるいはこれらα,β- 不飽和ジ
カルボン酸または不飽和モノカルボン酸のエステルまた
は無水物が挙げられる。
【0018】a2:エポキシ基含有モノマーとしては、
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタ
コン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸
モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリ
シジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジル
エステルおよびα−クロロアリル、マレイン酸、クロト
ン酸、フマ−ル酸等のグリシジルエステル類またはビニ
ルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テル、グ
リシジルオキシエチルビニルエ−テル、スチレン−p−
グリシジルエ−テルなどのグリシジルエ−テル類、p−
グリシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましい
ものとしてはメタクリル酸グリシジル、アリルグリシジ
ルエ−テルを挙げることができる。
【0019】a3:ヒドロキシル基含有モノマーとして
は、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】a4:アミノ基含有モノマーとしては、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有モノマー
が挙げられる。
【0021】a5:アルケニル環状イミノエーテル誘導
体としては、以下の構造式(化1)で表される物であ
り、
【化1】 [ここでnは1、2及び3であり、好ましくは2及び
3、より好ましくは2である。またR1 ,R2 ,R3
RはそれぞれC1 〜C12の不活性なアルキル基及び/ま
たは水素を示し、アルキル基にはそれぞれ不活性な置換
基があってもよい] ここでいう不活性とはグラフト反
応やその生成物の機能に悪影響を及ぼさないことを意味
する。またRはすべて同一である必要はない。好ましく
はR1 =R2 =H,R3 =HあるいはMe,R=Hすな
わち、2−ビニル及び/または2−イソプロペニル−2
−オキサゾリン、2−ビニル及び/または2−イソプロ
ペニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン
である。これらは単独でも混合物でもよい。この中でも
特に2−ビニル及び/または2−イソプロペニル−2−
オキサゾリンが好ましい。
【0022】a6:多官能モノマーとしては、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート等に代表される多官能性メタクリレートモノマー
類、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、
ジアリルフタレート、ビニルブチラート等に代表される
多官能性ビニルモノマー類、N,N'-m- フェニレンビスマ
レイミド、N,N'- エチレンビスマレイミドに代表される
ビスマレイミド類、P-キノンジオキシム等のジオキシム
類等が挙げられる。
【0023】a7:不飽和チタネート化合物としてはテ
トライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタ
ネート、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタネー
ト、チタンラクテートアンモニウム塩等が挙げられる。
【0024】a8:不飽和シラン化合物としてはビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシランなどが
挙げられる。
【0025】上記モノマーの少なくとも1種をポリオレ
フィン系樹脂にグラフト変性するときには架橋剤の存在
下に、無溶媒または溶媒中で行うことが望ましい。該架
橋剤としては、ヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオ
キシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、
ケトンペルオキシド等の有機過酸化物、ジヒドロ芳香族
化合物、硫黄等の加硫剤から選ばれた少なくとも1種が
挙げられる。
【0026】グラフト変性されるポリオレフィン系樹脂
としては、特に限定されるものではない。例えば、前記
反応性基を含むポリオレフィン系樹脂単独で無機系難燃
剤と配合した組成物とする場合には、該反応性基を含む
ポリオレフィン系樹脂を本質的に軟質ポリオレフィン系
樹脂とすることが好ましい。また、反応性基を含むポリ
オレフィン系樹脂と他の軟質ポリオレフィン系樹脂とブ
レンドした樹脂組成物と無機系難燃剤と配合する場合に
おいては、反応性基を含むポリオレフィン系樹脂は、必
ずしも軟質ポリオレフィン系樹脂で構成する必要はな
く、高・中密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の結晶
性の高い樹脂で構成してもよく、特に密度0.91〜
0.97g/cm3 のエチレン−α−オレフィン共重合
体が好ましく使用される。
【0027】上記反応性基の反応またはグラフト量は、
樹脂成分に対して0.01〜20重量%、好ましくは
0.1〜15重量%の範囲で用いられる。本発明の変性
に供される軟質ポリオレフィン系樹脂または反応性基を
含むポリオレフィン系樹脂とブレンドされる軟質ポリオ
レフィン系樹脂としては、前記ポリオレフィン系樹脂
(A1)の少なくとも1種から適宜選択される。
【0028】本発明の(B)成分の無機難燃剤として
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、
ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウ
ム、酸化スズの水和物、硼砂などの無機金属化合物の水
和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウ
ム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリ
ブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アンチモ
ン、赤リン等が挙げられる。これらは1種でも2種以上
を併用しても良い。この中でも特に、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハ
イドロタルサイトからなる群から選ばれた少なくとも1
種が難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0029】また、チャー(炭化層)を助成するために
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機金属
水和物と赤リンまたはフェノール樹脂コーティング赤リ
ン、カ−ボンブラック、硼酸塩等の少なくとも1種と併
用することが好ましい。上記赤リン等のチャー形成助剤
の配合量は、無機系難燃剤に対して、0.5〜20重量
%位の範囲で添加することが望ましい。またこれら無機
系難燃剤の粒径は種類によって異なるが、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム等においては平均粒径20
μm以下が好ましい。
【0030】上記無機系難燃剤の配合量は樹脂成分10
0重量部に対して10〜200重量部、好ましくは50
〜150重量部の範囲である。該難燃剤の量が10重量
部未満では燃焼効果が小さく、200重量部を超えると
機械的強度・伸びが低下し、可撓性が失われて脆くな
り、かつ低温特性も悪化する。
【0031】また本発明では無機系充填剤と難燃剤とを
併用することにより、難燃剤の添加量を減少させること
もできるし、他の特性を付与させることもできる。本発
明で用いられる無機充填剤としては、粉粒体、平板状、
針状、球状または中空状および繊維状等が挙げられ、具
体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カ
ルシウム、珪酸カルシウム、クレー、珪藻土、タルク、
アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属粉、三酸化ア
ンチモン、グラファィト、炭化珪素、窒化珪素、シリ
カ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボンブラック
などの粉粒状充填剤、雲母、ガラス板、セリサイト、パ
イロフィライト、アルミフレークなどの金属箔、黒鉛な
どの平板状もしくは鱗片状充填剤、シラスバルーン、軽
石などの中空状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、グラフ
ァィト繊維、ウィスカー、金属繊維、シリコーンカーバ
イト繊維、アスベスト、ウォラストナイトなどの鉱物繊
維等の例を挙げることができる。
【0032】これらの添加量は樹脂成分100重量部に
たいして、100重量部程度まで適用される。上記添加
量が100重量部を超えると基材の衝撃強度等の機械的
強度が低下するので好ましくない。
【0033】本発明において、前記無機系難燃剤もしく
は無機充填剤等を使用する場合、該難燃剤や充填剤の基
をステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸
またはその金属塩、パラフィンワックス、ポリエチレン
ワックスまたはそれらの変性物、有機ボラン等で被覆す
るなどの表面処理を施すのが好ましい。
【0034】本発明で用いる樹脂組成物に対して、その
特性を損なわない範囲で傷付き白化防止剤を添加しても
良い。該傷付き白化防止剤としては、鉱油、ワック
ス、パラフィン類、高級脂肪酸およびそのエステル、
アミドもしくは金属塩、シリコーン、多価アルコー
ルの部分的脂肪酸エステルまたは脂肪酸アルコール、脂
肪酸、脂肪酸アミノ、脂肪酸アミド、アルキルフェノー
ル若しくはアルキルナフトールアルキレンオキサイド付
加物の少なくとも1種から選択される。上記傷付き白化
防止剤の中でも、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、高級脂肪酸アミドおよび高級脂肪酸変性シリコンオ
イルなどのシリコンが好ましく、特に高級脂肪酸アミド
は安価であることから経済的にも有利である。
【0035】本発明において、樹脂組成物の物性を損な
わない範囲で、しかもその使用目的に応じて、有機フィ
ラー、酸化防止剤、滑剤、有機あるいは無機系顔料、紫
外線防止剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、核
剤等を添加してもよい。
【0036】本発明の基材とは、例えばアルミニウム、
鋼、鉛、チタン及びこれらの合金などの金属類、セラミ
ックス、ガラス、FRP等の非金属類、ポリウレタン等
の異種合成樹脂樹脂、熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポリ
カーボネート、ポリエステル等のエンジニアリングプラ
スチック類、天然あるいは合成ゴム、天然あるいは合成
繊維や皮革類、各種塗料、有機あるいは無機系ハードコ
ーティング、あるいはこれらを組み合わて使用すること
ができる。
【0037】特にハードコート層を設けることが好まし
い。該ハードコート剤としては、アクリル系樹脂やウレ
タン変性アクリル系樹脂を主剤とした紫外線硬化型、シ
リコーン系樹脂を主剤とする熱硬化型等のハードコート
剤等が挙げられる。
【0038】基材中に、耐摩耗性、耐熱性、可撓性、機
械的特性などを向上させるために各種の有機又は無機添
加剤、充填剤などを配合してもよく、また基材の外観を
良くしたり商品価値を上げるため顔料、染料、香料、等
を配合したり、塗布、噴霧などしてもよい。
【0039】これらの基材の形態は、フィルム、シー
ト、板、箔、布、織物、メッキ、膜、塗膜、コーティン
グなどがあるが、いずれでもよい。基材の厚さ、量など
も特に限定されるものではなく、難燃性樹脂組成物から
なる基材に対して耐摩耗性および耐熱性を付与するのに
充分なものであればよく、さらに望ましくは基材を設け
ることによって基材の可撓性、機械的特性、難燃性など
も向上するようにデザインするのがよい。 これらの基
材を難燃性樹脂組成物からなる基材上に設ける方法とし
ては、ラミネート法、接着剤を用いて貼付する方法、塗
装法、塗布法、浸漬法、流動浸漬法、メッキ法、メタラ
イジング法、化学的または物理的蒸着法、電気泳動法、
溶射法、粉末融着法等あるいはこれらを組み合わせた方
法等を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。難燃性樹脂組成物からなる基材の表面を機械
的あるいは化学的に表面処理したり、接着剤を塗布した
りして上記の基材の接着性を向上させてもよい。
【0040】本発明において、樹脂組成物からなる基材
上に設けられる基材としては耐摩耗性および耐熱性に優
れており、さらに望ましくは可撓性、機械的特性、難燃
性をも有するような材料を使用することができる。この
場合の耐摩耗性とは人間、荷物、車、靴その他と難燃シ
ートの基材が繰り返し接触しても傷が付いたり、損耗し
たり、難燃シート基材と基材とが剥離したりしないよう
な充分な耐摩耗性を有しているということであり、耐熱
性とは湯、タバコの火などと難燃シートの基材が接触し
ても焦げたり、焼けたり、膨れを生じたり、難燃シート
基材と基材とが剥離したりしないという意味である。
【0041】本発明の耐摩耗性に優れた難燃シートを製
造するには、先ず反応性基を含むポリオレフィン系樹
脂、無機難燃剤、必要に応じて無機充填剤、添加剤等を
配合し、これらを通常のタンブラー等でドライブレンド
して作ったり、あるいはバンバリーミキサー、加圧ニー
ダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等の通常の混練
機で溶融混練して均一に分散したものを公知の溶融プレ
ス法、溶融押出法などによってシートを製造した後、上
記基材を設けても、あるいはシートを製造する際に同時
に基材を設けてもよい。難燃シートの厚さ、巾、長さな
どは特に限定されるものではない。長尺ものを製造して
から適宜切断してタイル状としたり、長尺ものを適宜切
断して電車やバス、飛行機、家屋などの床や壁に合わせ
た所定の大きさにしても、あるいは始めから特定の大き
さのものを作ってもよい。本発明の耐摩耗性および耐熱
性に優れた基材を設けた難燃性シートの裏面に基布、織
物、接着層などを更に積層してもよく、また、発泡体な
どを積層するとクッション性などを付与することもでき
る。
【0042】本発明においては以下の実施態様を包含す
る。 (1)前記ポリオレフィン系樹脂(A1)が超低密度ポ
リエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチ
レン−α,β−不飽和カルボン酸もしくはそのエステル
共重合体およびその金属塩、オレフィン系ゴム、プロピ
レン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン
−1ランダム共重合体からなる群から選択されてなる少
なくとも一種である請求項2に記載の難燃シート。 (2)無機系難燃剤が無機金属化合物の水和物である請
求項1および2に記載の難燃シート。 (3)前記無機金属化合物の水和物が水酸化マグネシウ
ムおよび/または水酸化アルミニウムである請求項1お
よび2に記載の難燃シート。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく述べる
が、本発明の要旨を逸脱しない限り、これらの実施例に
限定されるものではない。 [使用樹脂および材料] (A)成分のポリオレフィン系樹脂: A−1; エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)[EA
含有量=15重量%、MFR=0.75g/10分、商
品名;日石レクスロンA1150 日本石油化学(株)
製] エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)[VA含有量
=10重量%、MFR=1.0g/10分、商品名;日
石レクスロンV260 日本石油化学(株)製] A−2; 日石NポリマーAM1720M[日本石油化学(株)
製] (B)成分の無機難燃剤: B−1; 水酸化マグネシウム[Mg(OH)2 、商品名;キスマ
5BG[協和化学(株)製] 水酸化アルミニウム[商品名;ハイジライトH−32T
X 昭和軽金属(株)製]
【0044】[試料作成法]A、B成分をドライブレン
ドし、押出機により均一混練する。このノンハロゲン難
燃材料から2mm厚さのシートをプレスにて成形する。
さらに、このシートにハードコートインク[商品名;ダ
イヤビームUR4502 三菱レーヨン(株)製]を塗
付した後、UVで硬化した。このシートについて試験し
た結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】[試験法](1)引張強度(UTS)およ
び伸び(%) 厚さ1mmの試料から3号ダンベルで打ち抜いた試験片
で、テンシロンを用いて引張速度200mm/分の速度で
測定した。 (2)酸素指数(O.I) JIS K7201に準拠して行った。 (3)耐シガレット性 火のついたタバコをシートの上に置き、上から押し潰し
てシートの焦げ目を観察し判定した。 (4)耐摩耗性 テーバー式摩耗試験機を用い、H22の摩耗輪、荷重2
Kg、1000回転後の摩耗量を測定した。
【0047】
【発明の効果】上記のように、本発明は、ポリオレフィ
ン系樹脂または特定の反応性化合物を含むポリオレフィ
ン系樹脂、とりわけ好ましくは軟質または含酸素軟質ポ
リオレフィン系樹脂を用い、それに無機難燃剤を配合し
た樹脂組成物を用いたシートで形成し、その上に耐摩耗
性および/または耐熱性に優れた基材を設けた構成の難
燃シートとすることにより、高度の難燃性を付与し、機
械的強度、電気的特性、可撓性、成形加工性などが低下
することなく、耐摩耗性および耐熱性の優れた難燃シー
トとすることができる。また特定の反応性基を有するポ
リオレフィン系樹脂と無機難燃剤とをカップリングさせ
ることにより、燃焼時にドリッピングが発生せず、且つ
加工性、可撓性、機械的特性、電気的特性などを飛躍的
に向上させ、安全上の問題がないハロゲンフリーの無公
害型の高度の難燃性を付与することができたものと推考
される。このような優れた特性を有する本発明の難燃性
シートは、自動車、電車やバス等の車両、船舶、航空
機、一般家屋、腐食ガス量を規定している原子力研究所
をはじめとした各種発電プラント、化学、鉄鋼、石油等
のプラント、また、繊維、電気、電子、建築、土木等の
分野でなどの高度な難燃性を要求される場所での床材、
壁材、カバー用材などとして利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−35449(JP,A) 特開 昭62−10151(JP,A) 特開 平1−172440(JP,A) 特開 平2−55751(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)および(B)を含むポリオレフ
    ィン系樹脂組成物からなるシートと、可撓性を有し、か
    つ耐摩耗性および/または耐熱性を有するハードコート
    層とからなる難燃性シート。 ポリオレフィン系樹脂組成物: (A)超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン (LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレ ン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EP DM)、エチレン−ブテン−1共重合体ゴムなどのオレフィン系ゴム、エチレン −酢酸ビニル共重合体などのエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−( メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などのエチレン−α,β−不飽和カ ルボン酸またはその誘導体との共重合体などの軟質ポリオレフィン系重合体(A 1)あるいはa1 :カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基含有モ ノマー、a2 :エポキシ基含有モノマー、a3 :ヒドロキシル基含有モノマー、 a4 :アミノ基含有モノマー、a5 :アルケニル環状イミノエーテル誘導体、a 6 :多官能モノマー、a7 :不飽和有機チタネート化合物、a8 :不飽和有機シ ラン化合物から選ばれた少なくとも1種の反応性化合物を含むポリオレフィン系 樹脂(A2)または軟質ポリオレフィン系重合体(A1)とポリオレフィン系樹 脂(A2)を含む樹脂組成物 100重量部と、 (B)無機難燃剤 10〜200重量部
  2. 【請求項2】軟質ポリオレフィン系重合体(A1)がエ
    チレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)あるいは
    エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であり、ポリ
    オレフィン系樹脂(A2)がグラフト変性ポリオレフィ
    ン系樹脂からなり、特に耐シガレット性、耐摩耗性に優
    れ、電車などの床材に好適な請求項1記載の難燃性シー
    ト。
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