JP3112458B2 - 摩擦無段変速装置 - Google Patents

摩擦無段変速装置

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JP3112458B2
JP3112458B2 JP01012874A JP1287489A JP3112458B2 JP 3112458 B2 JP3112458 B2 JP 3112458B2 JP 01012874 A JP01012874 A JP 01012874A JP 1287489 A JP1287489 A JP 1287489A JP 3112458 B2 JP3112458 B2 JP 3112458B2
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達夫 川瀬
義明 中川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、摩擦無段変速装置、例えば遠心送風機や
遠心圧縮機、ラジアルタービン等の羽根車のような高速
回転体を駆動する軸を無段変速する装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】 従来の摩擦無段変速装置としては例えば特公昭48−18
414号(第11図)や特公昭57−13221号(第12図参照)が
提案されている。
【0003】 前者の摩擦無段変速装置は、第11図の如く、円錐部1
と円錐台形部2を有する転動体3に対し、円錐台形部2
を出力軸4のコーン5と押圧リング6で挾持し、円錐部
2に入力軸7の入力リング8を接触させた構造になって
おり、押圧リング6が転動体3に加える法線力Fとトラ
クション係数μと回転半径rとの積μrFでトルクが伝達
される。
【0004】 トラクション係数μは通常0.1以下であるため、大き
なトルクを伝達するためには法線力Fを大きくするか法
線力Fの作用する回転半径rを大きくするしかない。
【0005】 しかし、回転半径rを大きくすると装置が大型化する
という問題が生じるため、実際には法線力Fを大きくす
るしかない。
【0006】 法線力Fが作用する転動体3の面が入出力軸4、7の
軸線に対して45゜以上の角度を持つため、法線力Fの角
度αは45゜以下になって法線力Fの軸方向成分Faは0.71
F〜Fの範囲となる。
【0007】 この軸方向成分Faは軸受で支持しなければならないか
ら大きなトルクを伝達するためには大きなスラスト力を
受けることのできる軸受が必要となる。逆に言えば、押
圧リング6を支持する軸受のスラスト負荷容量によって
伝達トルクが制限されてしまうことになる。
【0008】 次に、後者の摩擦無段変速装置は、第12図に示すよう
に、転動体11の円錐部11a下面に入力リング129を接触さ
せ、円軸部11bに出力リング13を接触させ、更に円錐部1
1aの表面に変速リング14を接触させ、転動体11に作用す
る入力リング12、出力リング13、変速リング14の要素か
らの外力が釣り合う構造になっている。
【0009】 上記のような変速装置は、転動体11が入力リング12に
よって受ける荷重ベクトル及び転動体11が出力リング13
によって受ける荷重ベクトルが何れも入出力軸線に対し
て大きな角度(90゜に近い角度)を持っているため、法
線力の軸方向成分は比較的小さく、入出力軸受に作用す
るスラスト力もさほど大きくない。
【0010】 しかし、変速リング14の移動によって、出力リング13
と転動体11の接触点にスピンが発生する構造であるか
ら、接触面積を小さくする必要がある。
【0011】 ここで、接触面積とは、円軸部11bと出力リング13と
の接触部の面積(ヘルツ接触面積となる)のことであ
る。
【0012】 上記のような構造では、変速リング14が転動体11の中
心に近い位置にあるとき、(図12の実線の位置)、出力
リング13と円軸部11bとの接触部は、上部から下方に移
動する。
【0013】 従って、変速リング14の移動に伴って円軸部11bと出
力リング13の接触点が接触域内で僅かに移動する。この
接触部の面積が大きいと、接触部に発生する回転ベクト
ル、即ち、スピンによってトルク損失が発生し、伝達効
率を悪化させる。
【0014】 特に出力リング13は高速回転側であり、寿命時間の増
大を図るために接触面積を増す必要があるにも拘らず、
機構上の問題から接触面積が制限され、従って寿命延長
が図れないという欠点がある。
【0015】 また、第11図と第12図で示した従来の変速装置が共通
し持っている欠点は、転動体の公転及び自転速度が増大
すると遠心力、ジャイロモーメントが生じ、これが力の
バランスをくずすか、あるいは接触応力を増大させるこ
とにより、遠心圧縮機等の羽根車を駆動させるような高
速に用いる用途には不向きであった。
【0016】 この発明の課題は、上記のような欠点を解消するため
になされたものであり、遠心送風機、遠心圧縮機、ラジ
アルタービン等の羽根車を高速に回転させることがで
き、遊星コーン接触部において伝達効率の低下がなく、
疲労寿命の延長が図れ、かつ入出力軸軸受の寿命延長と
全体の小型化を同時に満足させることができる摩擦無段
変速装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明
は、入力軸及び出力軸を同軸線上に配置し、入力軸から
出力軸に至る摩擦伝動系上に、自転すると同時に入出力
軸線まわりに公転自在となる遊星コーンを複数個設け、
前記複数の遊星コーンを囲むように、軸方向に移動可能
な変速リング及び入力リングを設け、変速リングを入出
力軸線方向に移動させることにより変速が行なわれるよ
うに配置し、入力リングと遊星コーンの接触点及び変速
リングと遊星コーンの接触点をそれぞれ点接触とし、上
記入力リングと遊星コーンの接触点における遊星コーン
母線に対する法線と、変速リングと遊星コーンの接触点
における遊星コーン母線に対する法線とが、遊星コーン
の重心をはさむ配置となり、かつ、変速リングと遊星コ
ーンの接触点における遊星コーン母線に対する法線が、
入出力軸線方向に対して垂直方向から作用するように形
成され、前記遊星コーンと出力軸との接触部が線接触と
なり、しかも遊星コーン自転軸と入出力軸線の二つの軸
線及び遊星コーンと出力軸との線接触部の延長線が一点
近傍に集まるように形成し、遊星コーンと出力軸との線
接触部に作用する法線力が遊星コーンの重心に対し、入
力リングと遊星コーンの接触点に生じる法線力と同じ側
に存在するようにした構成を採用したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を添付図面の第1図乃至第10
図に基づいて説明する。
【0019】 第1図乃至第5図に示す第1の例において、第1図は
変速装置の全体構造を示し、第2図はその摩擦伝動部を
示している。
【0020】 以下、変速装置を増速機として説明する。従って、21
は入力軸、22は出力軸となる。
【0021】 入力軸21と出力軸22は、同軸線上にあるようケース23
で回動自在に支持され、入力軸21の内端に入力リング24
が設けられ、入力リング24と出力軸22の間に複数個の遊
星コーン25が配置されている。
【0022】 入力軸21と入力リング24の間に、カム26とカムディス
ク27の間にリテーナ28で保持されたボール29を介在さ
せ、補助ばね30を縮設して構成した調圧カム機構31を設
けたが、入力軸21と入力リング24は一体化してもよく、
何れにしても入力軸21と入力リング24は同軸心状で回転
数は同じである。
【0023】 遊星コーン25は保持器32で等間隔に保持され、円錐台
形部25aが出力軸22のコーン22aと接触し、中間円錐台形
部25bが入力リング24と接触し、入力軸21から出力軸22
に動力を伝達する際は、遊星コーン25の自転軸まわりに
自転すると共に、入出力軸21、22のまわりに公転するよ
うになっている。
【0024】 変速リング(変速手段)33は、遊星コーン25の円錐形
部分25cに接触する状態で、入出力軸21、22の軸方向に
移動自在となるよう配置され、ケース23との間に設けた
ラック34とピニオン35から成る送り機構36を操作して遊
星コーン25上をスライドさせることにより、第2図に示
すように、遊星コーン25との接触部c点の遊星コーン自
転軸に対する半径rcを変えて無段変速を行なう。
【0025】 上記変速リング33は回転しない構造が最も簡単である
が、入出力軸21、22のまわりに回転させても問題はな
い。
【0026】 また、保持器32は、ころがり軸受の保持器と同様に遊
星コーン25を等間隔に保持するのが主たる役目であり、
遊星コーン25に作用する外力を支える機能を優先的に与
えていない。
【0027】 第2図に示すように、入力リング24と遊星コーン25と
の接触点aを入出力軸21、22の軸線から離れた遊星コー
ン25の外周部に配置し、接触点aにおいて、遊星コーン
25の母線に対する法線の延長線が遊星コーン25の重心G
の入力軸21側を通るようにする(第3図参照)。
【0028】 変速リング33と遊星コーン25との接触点cにおいて、
遊星コーン25の母線に対する法線は、入出力軸21、22の
軸線に対して、垂直でかつ遊星コーン25の重心Gの出力
軸22側、即ち入力リング24の接続点aの法線が通る反対
側を通るように配置する。
【0029】 なお、変速リング33はその変速域内で入出力軸21、22
の軸線に平行に移動するが、どの位置においても上記の
条件は満足するようにする。
【0030】 前記出力軸22のコーン22aと遊星コーン25の円錐台形
部25aとの接触部bは線接触であり、接触部bを延長し
た線、入出力軸21、22の軸線、遊星コーン25の自転軸を
延長した線の三本の軸線はでき得るかぎり、第2図のよ
うに一点Pで交わるような構成をとる。
【0031】 この変速機を高速で回転させると、遊星コーン25は自
転すると同時に公転を行うので遊星コーン25の重心Gに
は遠心力とジャイロモーメントが作用する。遊星コーン
25にはこの他入力リング24、変速リング33、出力軸22か
らもその接触部において、法線力、接線力(トラクショ
ン力)が作用する。遊星コーン25が飛び出したりしない
ためには、これらの力が釣り合っていなければならな
い。遊星コーン25に作用する遠心力、ジャイロモーメン
ト、接触部における法線力の力のベクトル及びモーメン
トを第3図に示す。同図においてF1は接触部bにおける
法線力である。実際は接触部bは線接触であるため、単
一の力のベクトルとはならず第4図に示すような接触応
力分布を形成するが簡単にするため応力P1を積分してF1
で表してある。
【0032】 入力リング24との接触点a、法線ベクトルF2とその傾
き角β、出力軸22との接触部b、法線ベクトルF1とその
傾き角α、変速リング33との接触点c、遊星コーン25の
質量、重心位置、慣性モーメントの各パラメータによっ
て多少の違いはあるが、荷重ベクトルF1、F2、F3の各々
の方向と遊星コーン25重心位置の相対的配置を上記した
如く、変速リング33と遊星コーン25の接触点cにおける
遊星コーン母線に対する法線と入力リング24と遊星コー
ン25の接触点aにおける遊星コーン母線に対する法線と
が遊星コーン25の重心Gをはさみ、遊星コーン25の自転
軸、入出力軸21、22の軸線の二つの軸線及び遊星コーン
25と出力軸22との線接触部bの延長線が一点近傍に集ま
り、かつ遊星コーン25と出力軸22との接触部bが線接触
をし、かつ、遊星コーン25と出力軸22との接触部bに作
用する法線力が遊星コーン25の重心Gに対し、入力リン
グ24と遊星コーン25の接触点aに生じる法線力と同じ側
に存在するように設計すれば、これらの力F1、F2、F3
Fc及びモーメントMgを釣り合わせることが可能である。
【0033】 ここで、遊星コーン25と出力軸22との接触部bに作用
する法線力を、遊星コーン25の重心Gに対して入力リン
グ24と遊星コーン25の接触点aに生じる法線力と反対側
に存在させることも考えられるが、実際に運転可能なも
のを設計して製作した場合、上記したように、遊星コー
ン25の重心Gに対し、接触部bに作用する法線力を接触
点aに生じる法線力と同じ側に存在させないと、実際の
運転は困難になる。
【0034】 なぜならば、1分間に数万回転できるようにするため
には、遊星コーン25のジャイロモーメントが非常に大き
くなること、また、大きな動力を伝達するため入力軸21
からの法線力が大さくなり、遊星コーン25の重心回りの
モーメントとして、 左回転である遊星コーン25のジャイロモーメント 左回転の入力リング24からの法線力 と、左回転が支配的となり、遊星コーン25と出力軸22と
の接触部bに作用する法線力が遊星コーン25の重心Gに
対して入力リング24と遊星コーン25の接触点aに生じる
法線力と反対側に作用すると、その力も遊星コーン25を
左回転させるモーメントとなり、これに対向する右回り
モーメントを作る法線力は、変速リング33からの力F3の
みとなり、モーメントのバランスが取れなくなってしま
い、現実的には、遊星コーン25の重心Gに対し、接触部
bに作用する法線力を接触点aに生じる法線力と同じ側
に存在させないと、高速回転できないことになる。
【0035】 また、遊星コーン25の重心回りのモーメントを考えた
とき、左回りのモーメントは、 (1)遊星コーン25のジャイロモーメントMg (2)入力リングからの法線力F2 であり、一方、右回りのモーメントは、 (3)変速リング33からの法線力F3 (4)出力軸2 2からの法線力F1 でバランスできるが、この(4)の出力軸22からの法線
力F1を逆に左回りのモーメントが作用するようにする
と、左回りモーメントが大きくなり、結果的に変速リン
グ33からの法線力F3の力が非常に大さくなって、変速リ
ング313と遊星コーン25の接触部に過大な面圧が作用し
て、疲労寿命の点で装置そのものの寿命が短くなるとい
う問題が生じ、従って、上述したように、遊星コーン25
の重心Gに対し、接触部bに作用する法線力を接触点a
に生じる法線力と同じ側に存在させないと、高速回転で
の運転が不可能となる。
【0036】 第5図は変速リング33が遊星コーン25の先端側に移動
し、変速比を変えた場合であるが、この場合も各接触部
の力及び遠心力、ジャイロモーメントの大きさが変わる
だけで、各々の力を釣り合わせることが可能である。
【0037】 遊星コーン25に作用する接線力の釣り合いに関して
は、トラクション係数等の影響によりスキューがない状
態で釣り合いがとれるとは限らず、スキューを生じさせ
ることになるが、遊星コーン25は入力リング25及び変速
リング33内周で運動するため、接線力が釣り合うところ
で遊星コーン25自転軸が傾斜して運動することが考えら
れる。この場合、設計によっては保持環32に力が作用す
る場合もあり得る。
【0038】 また、入力リング24と遊星コーン25との間に作用する
法線力F2の軸方向成分Fa2が入力軸21の軸受にスラスト
荷重として作用する。遊星コーン25の自転軸に対する遊
星コーン25の中間円錐台形部25bの母線の勾配は、機構
上の制約がないので任意に設定でき、従って法線力F2
角度βは適度に小さくできるので軸方向成分Fa2も小さ
くでき、入力軸21の軸受の寿命の延長を図ることができ
る。
【0039】 前記出力軸22と遊星コーン25との間に作用する法線力
F1の軸方向成分Fa1が出力軸22の軸受にスラスト荷重と
して作用する。入力リング24の場合と同様に法線ベクト
ルF1の傾きαは機構上の制約がなく任意に設定できるの
で軸方向成分Fa1も小さくでき出力軸22の軸受の寿命延
長あるいは軸受の小型化を図ることができる。
【0040】 また出力軸22と遊星コーン25の接触部bは線接触で、
かつ入出力軸21、22の軸線及び遊星コーン25の自転軸の
延長線とほぼ同じ点で交わるため、接触面積を大きくし
て接触部bの接触応力を低下させ疲労寿命の延長を図っ
ても、接触部bにスピンを生じることなく伝達効率を低
下させることがない。
【0041】 以上のように、各接触部a、b、cの設計上、従来技
術のように、伝達効率、接触部の寿命、入出力軸軸受の
寿命の間に相矛盾するような構成がないため遊星コーン
25の接触部において伝達効率の低下なく疲労寿命の延長
が図れ、かつ入出力軸21、22の軸受の寿命延長あるいは
小型化を同時に満足させることができる。
【0042】 次に、第6図乃至第10図に示す第2の例について説明
する。なお、第2の例において、第1図乃至第5図で示
した第1の例と同一部分については、同一符号を付すこ
とによって説明に代える。
【0043】 この第2の例は、出力軸22と遊星コーン25との線接触
部を複数個所に分割した点が第1の例と相違し、その他
は同様の構造になっている。
【0044】 線接触部の分割は、出力軸22のコーン25a側か遊星コ
ーン25の円錐台形部25a側の何れか一方あるいは両方の
中央部近傍に溝を設けることにより、接触部b1とb2に分
割している。
【0045】 図示の場合、出力軸22のコーン22aに溝を設け、接触
部を二箇所としているが、分割数は自由に選択できる。
【0046】 この第2の例において遊星コーン25に作用する遠心
力、ジャイロモーメント、接触部における法線力の力の
ベクトル及びモーメントを第8図に示す。F1、F′
それぞれ接触部b1、b2において生じる法線力であるが実
際はb1、b2は線接触であるため、単一の力のベクトルと
はならず第9図に示すような接触応力分布を形成する。
ここでは説明上簡単にするため応力p1、p2を積分して
F1、F′で表してある。
【0047】 遊星コーン25と出力軸22の接触部b1、b2を複数か所に
分割する理由を以下に述べる。尚説明では図示のように
分割数は2箇所としている。遊星コーン25には入力リン
グ24から法線力F2、変速リング33からの法線力F3、遊星
コーン25の重心Gに作用する遠心力Fc及びジャイロモー
メントMgが作用するが、遊星コーン25を釣り合わせるた
めには、これらの合力を支えるように遊星コーン25と出
力軸22の接触部b1、b2で法線力が生じなければならな
い。ところがこの接触部b1、b2は接触応力を緩和するた
め線接触としてあり、接触部の幾何学的形状、例えばク
ラウニングの曲率、表面粗さ、形状誤差等によって接触
応力分布が影響を受ける。すなわち接触部の形状によっ
て線接触部の合力の作用点が異なり、法線力F2、F3
Fc、ジャイロモーメント、Mgに釣り合わせることができ
なくなる可能性がある。この接触部b1、b2のように2箇
所に分割すると接触応力は大きくなるが荷重の作用点が
2箇所できることになる。
【0048】 法線力の作用点が2箇所であるため法線力F2、F3
Fc、ジャイロモーメント、Mgと釣り合うような反力を形
成する自由度が増え、形状誤差による接触応力の合力の
作用点の少々の移動があっても遊星コーン25を釣り合わ
せることが可能である。もちろん遊星コーン25と出力軸
22の接触部の分割は2箇所に限定する必要はなく、3箇
所、あるいは4箇所でも可能である。
【0049】 すなわち遊星コーン25と出力軸22の接触部b1、b2を分
割するのは、その接触部の製作精度を緩めコスト低減を
もたらすことになる。
【0050】 法線力ベクトルF1、F′と遊星コーン25の重心Gと
の関係は、法線力F′は遊星コーン25の重心Gの法線
力F2側、F3側のいずれを通ってもよいが、法線力F1
F′の合力が遊星コーン25の重心Gに対し、入力リン
グ24と遊星コーン25の接触点に生じる法線力F2と同じ側
に存在するようになっている。
【0051】 入力リング24との接触点a、法線ベクトルF2とその傾
き角β、出力軸22との接触部b1、b2、法線ベクトルF1
F′とその傾き角α、変速リング33との接触点c、遊
星コーン25の質量、重心位置、慣性モーメントの各パラ
メータによって多少の違いはあるが、荷重ベクトルF1
F′、F2、F3の各々の方向と遊星コーン25の重心位置
の相対的配置を上記の位置関係に設計すれば、これらの
力F1、F′、F2、F3、Fc及びモーメントMgを釣り合わ
せることが可能である。
【0052】 第10図は変速リング33が遊星コーン25の先端側に移動
し、変速比を変えた場合であるが、この場合も各接触部
の力及び遠心力、ジャイロモーメントの大きさが変わる
だけで、各々の力を釣り合わせることが可能である。
【0053】 なお、入力軸軸受の寿命延長、出力軸軸受の寿命延
長、軸受の小型変化等については、第1の例と同様の効
果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、同軸線上に配置し
た入力軸から出力軸に至る摩擦伝動系上に遊星コーンを
自転と公転が自在となるよう設け、遊星コーンを囲むよ
うに変速手段及び入力リングを設け、変速手段と遊星コ
ーンの接触点を点接触とし、変速手段と遊星コーンの接
触点における遊星コーン母線に対する法線と、入力リン
グと遊星コーンの接触点における遊星コーン母線に対す
る法線とが遊星コーンの重心をはさむようにし、遊星コ
ーンの自転軸、入出力軸軸線の二つの軸線及び遊星コー
ンと出力軸との線接触部の延長線が一点近傍に集まり、
遊星コーンと出力軸の接触部に作用する法線力が、遊星
コーンの重心に対して入力リングと遊星コーンの接触点
に生じる法線力と同じ側に存在し、かつ、変速手段と入
力リングの遊星コーンに対する法線力が、入出力軸線方
向に対して垂直方向から作用するように形成したので、
遊星コーンに作用する力を釣り合わせことができ、遊星
コーンの公転による遠心力、ジャイロモーメントを予め
設計で考慮すれば、高速回転においても動作可能とな
り、送風機、遠心圧縮機、ラジアルタービン等の羽根車
を無段変速によって高速に回転っさせることができる。
【0055】 また、入力軸軸受と出力軸軸受の寿命延長と小型化を
図ることができる。
【0056】 更に、遊星コーンと出力軸の接触部を線接触とし、入
出力軸軸線及び遊星コーン自転軸の延長線と略同じ点で
交わるようにしたので、接触面積を大きくして接触部の
接触応力を低下させ疲労寿命の延長を図っても接触部に
スピンを生じることがなく、伝達効率を低下させること
がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る摩擦無段変速装置の第1の例を示す全体
の縦断面図
【図2】 同上における摩擦伝動部の拡大断面図
【図3】 遊星コーンに作用するベクトル及びモーメントの説明図
【図4】 遊星コーンに対する出力軸の接触応力分布を示す説明図
【図5】 図3における変速時のベクトル及びモーメントの説明図
【図6】 変速装置の第2の例を示す全体の縦断面図
【図7】 同上における摩擦伝動部の拡大断面図
【図8】 同上の遊星コーンに作用するベクトル及びモーメントの
説明図
【図9】 図8の変速時のベクトル及びモーメントの説明図
【図10】 図8の変速時のベクトル及びモーメントの説明図
【図11】 従来の摩擦無段変速装置を示す第1の例の縦断面図
【図12】 同第2の例を示す縦断面図
【符号の説明】
21……入力軸 22……出力軸 23……ケース 24……入力リング 25……遊星コーン 33……変速リング
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−67668(JP,A) 特開 昭47−23770(JP,A) 特公 昭57−13221(JP,B2) 特公 昭48−18414(JP,B1) 特公 昭41−20168(JP,B1) 特公 昭40−4886(JP,B1) 実公 昭41−25209(JP,Y1) 実公 昭41−729(JP,Y1) 実公 昭41−728(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 15/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力軸及び出力軸を同軸線上に配置し、入
    力軸から出力軸に至る摩擦伝動系上に、自転すると同時
    に入出力軸線まわりに公転自在となる遊星コーンを複数
    個設け、前記複数の遊星コーンを囲むように、軸方向に
    移動可能な変速リング及び入力リングを設け、変速リン
    グを入出力軸線方向に移動させることにより変速が行な
    われるように配置し、入力リングと遊星コーンの接触点
    及び変速リングと遊星コーンの接触点をそれぞれ点接触
    とし、上記入力リングと遊星コーン接触点における遊星
    コーン母線に対する法線と、変速リングと遊星コーンの
    接触点における遊星コーン母線に対する法線とが、遊星
    コーンの重心をはさむ配置となり、かつ、変速リングと
    遊星コーンの接触点における遊星コーン母線に対する法
    線が、入出力軸線方向に対して垂直方向から作用するよ
    うに形成され、前記遊星コーンと出力軸との接触部が線
    接触となり、しかも遊星コーン自転軸と入出力軸線の二
    つの軸線及び遊星コーンと出力軸との線接触部の延長線
    が一点近傍に集まるように形成し、遊星コーンと出力軸
    との線接触部に作用する法線力が遊星コーンの重心に対
    し、入力リングと遊星コーンの接触点に生じる法線力と
    同じ側に存在するようにした摩擦無段変速装置。
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