JP3111983U - 住宅の基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】大地震に遭遇したとしても、建物の倒壊を免れることができる住宅の基礎構造を提供する。
【解決手段】住宅の基礎構造は、建物の周囲および部屋割部に設置した鉄筋を埋設した逆T字形の基礎と、この基礎の上端にアンカーボルトで固設された土台梁とから構成されているものが多い。本考案の基礎構造は、基礎1を鉄筋を埋設した逆T字形のブロック状の基礎片1a,1b,1cによって構成し、建物の周囲および部屋割部に複数の開口部2を設けた不連続なものとしている。そして、土台梁3を基礎1の上端に横架し土台梁3の上部側でアンカーボルト4に弾性部材5を介装して固定している。大地震時は、基礎片1a,1b,1cが地盤の移動に従ってそれぞれ移動することで、土台梁3への衝撃をかわすとともに捩れを防止して破損を防止する。
【選択図】 図1

Description

本考案は、主として木造住宅の基礎構造に係わり、特に大地震に遭遇したときに、建物の倒壊を免れることができる住宅の基礎構造に関するものである。
木造住宅の基礎構造は、柱が立設される建物の周囲と部屋割部に連続して設置される鉄筋を埋設した逆T字形の布基礎と、この布基礎の上端にアンカーボルトで固設された土台梁とから構成されているものが多い。この基礎構造は、建物を連続した基礎全体で支持するので大きな荷重に対しても強く、耐久性も十分あるが、地震時には、地震動が布基礎上の土台梁を介して建物全体に直接伝達されることとなる。
近年、震度6〜7クラスの大地震が各所で発生し、住宅の多くが倒壊している。その原因は、筋交いなど耐震要素の不足や老朽化といった建物自身にある場合が多いが、基礎の損壊によるものも少なくなかった。すなわち、布基礎は建物の周囲と一体の連続した剛体であり、地震動に対しては基礎全体の剛性で対抗することとなり、また、捩れに対して弱いので、大地震に遭遇すると大きく損傷し、その結果建物が倒壊してしまっている。
そこで、近年は一般住宅にも基礎と建物の間に免震手段を設けることが検討され、種々の免震手段が開発されている。住宅用の免震手段は、一般に、基礎と建物の縁を切り建物の重量を支持する支承と、地震時に揺れて移動した建物を基に戻す復元装置と、過大な変形を押さえるダンパーとで構成している。
大地震の発生が近いと言われる近年、免震手段を備えた住宅はかなり脚光を浴びているが、布基礎に免震手段を設けることは簡単ではなく、しかも多大な費用を必要とする。また、地震時に免震手段が正常に作動するようにときどきメンテナンスを行う必要がある。さらに、免震手段は横揺れの地震の場合には有効であるが、地震動は一様ではなく、メカニズムの詳細は未だ解明されていない。考案者は、過去に大地震に遭遇し、住宅の倒壊を目撃したが、そのときの地震動は縦揺れや横揺れといったものではなく、まるで、波が押し寄せるごとく地盤が波打って襲来するものであった。
したがって、多大の費用をかけて免震手段を設けたからといって、大地震に遭遇した場合に、これが機能して建物の倒壊を免れることができるとは限らない。
そこで本考案は、費用の嵩む免震手段を用いずに、大地震に遭遇したときに、建物の倒壊を免れることができる住宅の基礎構造を提供することを目的としている。
本考案の基礎構造は、上記の目的を達成するため次の手段を採った。すなわち、建物の周囲および部屋割部に設置した鉄筋を埋設した逆T字形の基礎と、該基礎の上端にアンカーボルトで固設された土台梁とからなる住宅の基礎構造において、該基礎は長手方向の複数の箇所に開口部を有する不連続なものとし、該土台梁は該基礎の上端に横架し土台梁の上部側で該アンカーボルトに弾性部材を介装して固定したことを特徴としている。
開口部を設ける位置は長手方向に連続している所、すなわち、建物周囲の四隅以外の任意の位置に設けることができ、換気口や配管を通すための配管口と兼用してもよい。なお、柱が立設される位置はできるだけ避けた方がよい。
開口部の大きさや数は特に限定しない。基礎は開口部を有することによって不連続なものとなり、独立したブロック状の基礎片が配置された状態となる。そして、各基礎片は土台梁によって連結されている。
この基礎は、現場施工によらず、工場などで造った基礎片を設置してもよい。この場合、基礎片を標準化しておけば、予め造って置くことができ、工期を大幅に短縮することが可能となる。
基礎の地下部分はできるだけ深くするのが望ましい。そして、基礎を設置する面は、割栗で締固める。望ましくは、請求項2に記載のように、基礎で囲まれる床下部も割栗を敷設して締固めて平坦とし、該床下部の地表まで(埋戻し部)は砕石を埋設するとよい。
また、請求項3に記載のように、床下部に格子状に組んだ鉄筋網を配設し、これを基礎内に埋設された鉄筋と連結してもよい。なお、この場合鉄筋網には、捨コンを施工しない。したがって、鉄筋網および基礎から突出させた鉄筋は防錆の処理を十分に行う必要がある。
アンカーボルトは、間隔をあけて2本設けるのが望ましい。また、弾性部材はコイルバネまたは防振ゴムが一般的である。なお、弾性部材は、基礎と土台梁の間ではなく、土台梁の上に設ける。
本考案の基礎構造は、上記のように、基礎を長手方向の複数の箇所に開口部を有する不連続なものとし、土台梁をその上部側で該アンカーボルトに弾性部材を介装して固定したので、大地震による地震動が基礎を直撃しても、土台梁は破壊されず建物の倒壊を免れることができる。すなわち、基礎は従来の布基礎のように、剛性のある一体のものではないので、大きな地震動を受けたとき、基礎を構成する基礎片が地盤の移動に従ってそれぞれ移動することで、土台梁への衝撃をそらすとともに捩れが防止され、破損を防止する。
その結果、建物の倒壊を防止することができる。例えば、波が押し寄せるように地震動が襲来した場合でも、土台梁が破損することなくイカダのように揺れ動き、その上に構築された建物を保護する。
また、土台梁は、その上端で弾性部材を介して固定されているので、建物の荷重は土台梁を介して基礎が直に支持する。したがって、通常時は弾性部材には負荷がかからないので、損傷することがなく耐久性がある。そして、地震のときには、制震土台として機能するとともに、基礎片が移動し易いように機能する。
さらに、請求項2に記載のように、基礎を設置する面は、基礎で囲まれる床下部も割栗を敷設して締固めて平坦とし、床下部は地表まで砕石を埋設すれば、砕石がクッションの役目をはたすので、地震動の基礎へ与える衝撃を緩和させることができ、土台梁への衝撃をさらに低減させることができる。
また、請求項3に記載のように、床下部に格子状に組んだ鉄筋網を配設し、これを基礎に埋設された鉄筋と連結すれば、常時は、基礎が一体となっているので強固なものとなり耐久性の高いものとなる。そして、大地震時には鉄筋網の一部が破壊されて基礎片が移動することにより土台梁の破損を防止する。
なお、本考案は基礎に開口部を複数設けたので、床下部の通気性を良好なものとするとともに、結露が防止されるという付随的な効果もある。
本考案の実施の形態を、添付図面に示した本考案の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
本考案の住宅の基礎構造の実施例を、図1〜図4に基づいて説明する。
図1は住宅の基礎構造の地表から上に出た部分の基礎を示す斜視図で、図2は、図1のAA視における基礎構造の断面図である。
基礎1は、建物の周囲と部屋割部に設けられ、長手方向の複数の箇所に開口部2が設けられている。
すなわち、基礎1は建物の周囲に設置される基礎片1a,1bと部屋割部に設置される基礎片1cとから構成され、各基礎片1a,1b,1cは、それぞれ開口部2によって遮断され独立したものとなっている。
基礎片1aは、L字形をしており建物の周囲のコーナー部に位置し、基礎片1bはT字形をしており建物の周囲の中間部分に位置し、また、基礎片1cは、十字形をしており部屋割部に位置している。
開口部2は、長さ方向が50〜200mmであり、基礎1の長手方向に3カ所と、幅方向に2カ所、全部で13カ所設けている。なお、開口部2は上部に柱が位置しない位置である。
基礎片1a,1b,1cは、図2に示すように逆T字形であり、内部には鉄筋11が埋設され、上部にはアンカーボルト4が付設されている。このアンカーボルト4は図3に示すように所定の間隔で2本をセットとして設けられ、基礎片1a,1b,1cそれぞれに少なくとも2セット付設されている。
また、基礎1の高さは、地表より上は300〜400mmほどとし、地下部分は通常の布基礎の場合よりかなり深く500〜600mmとしている。
基礎1を設置する面および基礎1で囲まれた床下面は割栗15を敷設し締固めて平坦にしている。そして、床下面は地表まで(埋戻し部)砕石16が埋設されている。
基礎片1a,1b,1cの上端には土台梁3が横架されアンカーボルト4によって固定されている。この固定は、図3に示すように、土台梁3を貫通した2本のアンカーボルト4に弾性部材5(ここでは、コイルバネを使用している)をそれぞれ介装し、その上からこの2本のアンカーボルト4が貫通する座板6を装着してナット7で締結している。なお、図3において、8は座金で土台梁3を保護するための金具である。ここでは、座板6と同様のものとしたが、アンカーボルト4それぞれに設けるようにしたものでもよい。
このように構成されているので、建物は、土台梁3を介して基礎片1a,1b,1cによってしっかりと支持される。そして、大地震のときは、基礎片1a,1b,1cがそれぞれ地盤の動きに逆らわずに揺すられ移動し、土台梁の破損を防止する。この実施例では基礎片1a,1b,1cの埋設高さを大きくして、埋戻しに砕石を充填しているので、地震動が基礎1を直撃したときの緩衝効果が大きく、かつ、弾性部材5を介して土台梁3を固定しているので、土台梁3および建物への衝撃は大幅に軽減される。
次に、請求項3の考案の実施例を図4に基づいて説明する。
図4は基礎構造の一部を示す斜視図で、鉄筋の配置を示すものである。
基礎1および土台梁3の取付状態は、上記の実施例と同じであり、これに鉄筋を格子状に組んだ鉄筋網12が配設されている。すなわち、鉄筋網12は、割栗15を敷設し平坦に締固められた上面に設けられ、基礎片1a,1b,1cに埋設された鉄筋11と連結されている。そして、基礎片1a,1b,1cの鉄筋11は開口部2によって遮断され連続したものではないが、鉄筋網12は全体に遮断されることなく連続して配置されている。なお、鉄筋網12にはコンクリート(捨コン)を施工していない。このため、鉄筋網12および基礎1から水平方向へ出る鉄筋2は、防錆塗料を施すなど防錆のための処理を行っている。防錆処理の代わりに表面を樹脂で固めるなどの手段によってもよい。
このように構成されているので、大地震時には基礎全体に連結された鉄筋網が地震動に対抗して土台梁への衝撃を緩和し、さらなる衝撃に対しては鉄筋網が破壊されることによって基礎を移動可能にし、その結果土台梁の破損を防止する。
なお、基礎構造を上記のいずれにするかは、その住宅に想定される地震の大きさや地盤状態によって決めればよい。
本考案の実施例の基礎構造を示すもので、地表から上の基礎全体を示す斜視図である。 同 A−A視断面図である。 同 土台梁の取付状態を示す斜視図である。 同 配筋状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 基礎
1a,1b,1c 基礎片
2 開口部
3 土台梁
4 アンカーボルト
5 弾性部材
6 座板
7 ナット
8 座金
11 鉄筋
12 鉄筋網
15 割栗
16 砕石

Claims (3)

  1. 建物の周囲および部屋割部に設置した鉄筋を埋設した逆T字形の基礎と、該基礎の上端にアンカーボルトで固設された土台梁とからなる住宅の基礎構造において、該基礎は長手方向の複数の箇所に開口部を有する不連続なものとし、該土台梁は該基礎の上端に横架し土台梁の上部側で該アンカーボルトに弾性部材を介装して固定したことを特徴とする住宅の基礎構造。
  2. 前記基礎を設置する面は、基礎で囲まれる床下部も割栗を敷設して締固めて平坦とし、該床下部は地表まで砕石で埋設したことを特徴とする請求項1記載の住宅の基礎構造。
  3. 前記床下部に格子状に組んだ鉄筋網を配設し、該鉄筋網は前記基礎内に埋設された鉄筋と連結されていることを特徴とする請求項2記載の住宅の基礎構造。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5725464B1 (ja) * 2014-02-10 2015-05-27 有限会社山橋建設 水害時浮上建築物及びその建築方法
JP2016084697A (ja) * 2014-10-27 2016-05-19 有三 三好 家屋の免震構造、及び同構造を備える木造免震住宅
CN106988593A (zh) * 2017-05-03 2017-07-28 东南大学 一种房屋救生结构及设有该房屋救生结构的救生房屋

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