JP5725464B1 - 水害時浮上建築物及びその建築方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような地域では、昔から建築物は周囲の地上レベルから嵩上げした土台の上に建てられている場合もある。この場合、通常の水害時には洪水は土台の上まで達すること無く、建築物は浸水を免れる。
一方、周囲の地上レベルに建築する建築物の洪水対策として、洪水の時などに水上に浮かぶ浮上建築物が先行技術文献に多数提案されている。これらの浮上建築物は浮き部材の上に建築物が設置されており、浮き部材は建築物の地下室であったり、発砲材であったり、台船型浮体などが用いられている。これらの浮上建築物は、一連の伸長可能な支柱等よって基礎等に固定されたりしている。
特許文献3の発明品は、水による浮力が働いた時に、建築物が水平に保たれるかどうかや、実際に浮上するかどうかの確認が出来ないため、洪水時に建築物が浮上するかどうか不明である。
特許文献4の発明品は、建築物の前後左右が対称で重量バランスが取れていなければならず、例えば、水による浮力が働いても、建築物の重量バランスが取れていなければ、建築物が水平に保たれずに傾くため、建築物から案内柱に対してローラを有していたとしても、重量物である建築物の傾きによってはローラと案内柱が強く擦れ、大きな摩擦力により浮上しない事が起こる。また、建築物の重量バランスが取れているかどうかの確認・検証手段が無く、実際に浮上するかどうかも水害が来るまで不明である。
また、水面に対する水平度を確認する水位計や浮力調整装置を有しないので、水平度をチェックする事が出来ない。また、水に浮かべたときに水平度が確保されていない場合でも、アンカーポールを付けた状態ではアンカーポール内の摩擦により水平度が確保されるので、アンカーポールが邪魔をして水に浮かべたときの水平度を確認できない。このため、水害時に建築物が水上に浮上するか不明である。さらに、通常の建築物では不必要な大きなプール型基礎が必要である。
本発明は、従来技術における問題点を解決すべく発明したものであり、特別な設備や装置を必要とせずに、水上に浮かべた状態で建築物の水平度を確認したり、任意の時に建築物が水上に浮くことを確認でき、アンカーポールや土台梁を基礎に固定して耐震強度を向上させると共に、水害時に確実に浮上できる水害時浮上建築物及びその建築方法を提供するものである。
例えば、水害時浮上建築物の前後左右に浮力調整装置と水位計が取付けられている。浮力調整装置の前後左右の水タンクF,B,L,Rは、夫々のバルブを介してポンプに接続されている。前の水位計が後ろの水位計に対して床面からの指示値が小さければ、前の床面が後ろの床面よりも水面から高い所に位置しているのが判る。前後左右の水タンクF,B,L,Rが最初水で万杯にされている場合、ポンプを稼動して後に水タンクBのバルブを開けて水タンクB内の水を排出して軽くし、浮力を増大して後の床面を持ち上げる。後の水位計と前の水位計の床面からのレベルが同じになったところでBのバルブを閉じてポンプを止める。このような作業を繰り返し、前後左右の水位計の床面からのレベルを合わす事により建築物の水平度が確保される。水位計は水面を基準にしているので、最初に水位計を設置するときに水位計設置場所間の高低差を設定しておけば、精度の高い水平度を確保できる。浮体の量を少なくしたい、あるいはより大きな浮力を得たい場合は、前後左右の水タンクF,B,L,Rを最初空にしておけば良い。この場合、前記説明の水を排出する代わりに水を注入すると読み替えれば、同様に建築物の水平度を調整、確保できる。
この時、台座梁は基礎との固定を解除し、また、アンカーポールとアンカーポール内蔵柱の摩擦が浮力に影響しないようにアンカーポールも基礎との固定を解除してフリーにして実施する。
本発明の第三の水害時浮上建築物は、アンカーポールと土台梁は基礎の側壁に固定して建築し、建築物完了後にアンカーポールと土台梁を基礎の側壁の固定から解除し、容器形状の基礎の内側空間に水を注入して建築物を浮上させ、浮力調整装置、水位計等で建築物の水平度を調整確認した後、水を排水してアンカーポールと土台梁を基礎の側壁に再度固定するように建築している。このため、建築物完成後に建築物の固定を開放した状態で実際に水に浮かべて水平度を調整し、その後、アンカーポールと土台梁を基礎の側壁に再度固定するので、水上に浮上した時の建築物の水平度は確実に確保され検証されているので、水害時にはスムースに、確実に浮上することが出来る。
なお、前記では建築物完成後に水平度を調整しているが、家財等を搬入した後や建築物の増改築後などに、前記同様に水平度を調整しても良いし、水平度の確認の必要性が生じる任意の時に前記の方法で水平度を確認、調整することが出来る。
また、数年ないし数十年に一度は、水害時浮上建築物の浮上性能や水上浮上時の水平度点検をするのが望ましい。
どを必要としないので、水害時浮上建築物を安価に製作でき、建築物が建っているその場所で実際に水上浮上実証検証することが出来る。建築物はアンカーポールの他に土台梁でも基礎に固定されているので、耐震性にも優れており、水害前には土台梁の固定は容易に外すことが出来るので、安心、安全な水害時浮上建築物を得ることができる。
図2〜図4に示すように、建築物1の基礎の側壁20の上面には水平に建築物1の土台となる土台梁4が設けられている。アンカーポール内蔵柱3の内側下端部には柱ガイド14が、外周側下端部には取付板8が溶接されており、この取付板8に土台梁4をボルト・ナット10で締め付けてアンカーポール内蔵柱3と結合している。土台梁4はアテ板44を介して基礎の側壁20に埋設されたアンカー28にナット29で締付けたり、または、L形の締付具45等で固定される。通常、アンカーポール内蔵柱3以外の柱は、土台梁4の上に載せて構成する。アンカーポール9の下端にはアンカーポール固定板11が溶接されており、このアンカーポール固定板11を基礎の側壁20に埋め込まれたアンカー25にボルト締めして固定する。また、アンカーポール9の上端にはアンカーポール内蔵柱3を挿入した後、柱ガイド15が取付けられる。基礎は鉄筋コンクリートで作られ、側壁20、底面21を有し、側壁20には通風口22、底面21には排水ピット23が設けられている。
建築物1の屋内には、床面から水面の水位を計測する水位計40が水タンク30の設置箇所近辺に設置される。水位計40の設置箇所は水タンク30の近辺に限定せず、水平度を出来るだけ精度よく計測できるように、建築物1の出来るだけ離れた3箇所以上に設置してもよい。
また、水タンク30の水を給排水するポンプ31も建築物1の屋内に設置され、図5に示すように、各水タンク30からバルブ34を介して配管33が接続されており、水タンク30内の水を排出したり、逆に水タンク30内に水を給水したり出来るようになっている。水タンク30の上端部には、水タンク30内を大気圧に保つようにバルブ34を介して外気と接続する配管35が設けられている。ポンプ31は、水害時に浸水しない屋外の高所に設置してON、OFFをコントロールできるコントローラーを屋内に設置しても良い。
浮体2は重量に比較して大きな浮力を得ること出来る物品であれば特に限定しない。一般的には発泡スチロールあるいは空気を密封したPETボトル等を網籠等に入れて構成しているので、その重量に比較して非常に大きな浮力を得ることが出来る。
し、その後ナット26を外しただけで外力を加えていないので、鉛直度は確保されている。次に、基礎の側壁20の上面より水が溢れるまで基礎内の空間24に水を封入していく。アンカーポール9は基礎に固定されており、建築物1は水平度が確保されているので、水面の上昇と共に建築物1はアンカーポール内蔵柱3がアンカーポール9にガイドされて鉛直方向に浮上を続ける。即ち、水害時の建築物1の状態を模擬している。
このため、水害時に水流が発生しても、アンカーポール9が鉄筋コンクリート製の基礎の側壁20に埋め込んだアンカー25にアンカーポール固定板11を介して固定されているので、建築物1は流されることは無い。また、浮体2も金網等に収納して土台梁3等固定されているので流される心配は無い。
水害で流れてきた水は、やがて流れ去るが、この場合も建築物1は前記アンカーポール9によって水平方向への移動は阻止され、水位の低下と共に建築物1は複数のアンカーポール内蔵柱3がアンカーポール9にガイドされて、鉛直方向に水平度を保ったまま鉛直
方向に下降し、元の位置に復帰する。
基礎の内部空間24に流れ込んだ水はポンプ等で排水するが、底面21はゆるい傾斜を持たせて排水ピット23に繋がっているので、最後の水は排水ピット23に集まり完全に排水することが出来る。
この後、土台梁4を基礎の側壁20に固定すれば元の状態に復元される。
本発明の水害時浮上建築物100は一般建築物と外観、敷地面積等も遜色なく、経済的に建築することが出来、水害地域に居住する人達に安全な生活を提供できる。
2 浮体
3 アンカーポール内蔵柱
4 土台梁
5 床
8 取付板
9 アンカーポール
9A 四角柱のアンカーポール
9B H形鋼のアンカーポール
10 ボルト・ナット
11 アンカーポール固定板
14 柱ガイド
15 柱ガイド
17 外壁
18 内壁
20 基礎の側壁
21 基礎の底面
22 通風口
23 排水ピット
24 基礎の内部空間
25 アンカー
26 ナット
27 通風口蓋
28 アンカー
29 ナット
30 水タンク
30F 前部の水タンク
30B 後部の水タンク
31 ポンプ
32 バルブ
33 配管
34 バルブ
35 配管
40 水位計
40F 前部の水位計
40B 後部の水位計
41 浮子
45 L形の締付具
46 ハンドル
47 締付板
100 水害時浮上建築物
Claims (3)
- 台風、豪雨や河川氾濫等の水害に対し、床構造の下に水圧で建築物を浮上させる浮体を取付け、
前記建築物の柱のうちの複数本を、管形状でその内部に鉛直下方に伸張するアンカーポールを内蔵するアンカーポール内蔵柱とし、
前記建築物の基礎は側壁と底面とを備えた容器形状として前記浮体を収納し、前記建築物の土台を構成する土台梁と前記アンカーポールを前記基礎の側壁に固定し、
前記建築物が浮上した時、水面からの高さを計測できる水位計と水平度を調整できる浮力調整装置を有し、
前記建築物は水位が所定以上に上昇した時に浮上し、
前記建築物の水流による流動をアンカーポールで阻止するようにした、
ことを特徴とする水害時浮上建築物。
- 容器形状の基礎の内側空間に水を注入し、建築物を浮上させることが出来るようにしたことを特徴とする請求項1記載の水害時浮上建築物。
- アンカーポールと土台梁を基礎の側壁に固定して建築し、建築物完成後にアンカーポールと土台梁を基礎の側壁の固定から解除し、容器形状の基礎の内側空間に水を注入して前記建築物を浮上させ、浮力調整装置、水位計で前記建築物の水平度を調整確認した後、水を排水してアンカーポールと土台梁を基礎に再度固定するようにすることを特徴とする請求項1または請求項2記載のいずれか1つの水害時浮上建築物の建築方法。
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2014
- 2014-02-10 JP JP2014023161A patent/JP5725464B1/ja active Active
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