JP3111783B2 - アクチュエータ用圧電磁器組成物 - Google Patents

アクチュエータ用圧電磁器組成物

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JP3111783B2 JP05298123A JP29812393A JP3111783B2 JP 3111783 B2 JP3111783 B2 JP 3111783B2 JP 05298123 A JP05298123 A JP 05298123A JP 29812393 A JP29812393 A JP 29812393A JP 3111783 B2 JP3111783 B2 JP 3111783B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電磁器組成物に関
し、さらに詳しく述べるならば、アクチュエータのよう
な圧電素子において有利に用いることのできる圧電磁器
組成物に関する。本発明による圧電磁器組成物は、従来
の圧電磁器組成物と比較して、高負荷荷重下での変位低
下率が抑制されると共に、高負荷荷重下での変位量が向
上する。
【0002】
【従来の技術】圧電磁器組成物についての研究はかなり
以前から行われており、またかかる圧電磁器組成物を利
用した製品は多岐にわたりかつさまざまな分野において
広く用いられている。このような圧電磁器組成物を利用
した製品としては、例えば、セラミックフィルタ、ガラ
ス遅延線、超音波応用振動子、圧電ブザー、圧電点火ユ
ニット、超音波モータ、圧電ファン、圧電センサ、及び
圧電アクチュエータ等を挙げることができる。ここで、
圧電アクチュエータは、圧電現象を介して発生する変位
及び力を機械的駆動源として利用するものであり、特に
最近、メカトロニクスの分野において注目されてきてい
るものの1つである。この圧電アクチュエータは、圧電
効果を利用した固体素子であるため、磁性体にコイルを
巻いた構成を有する従来の電磁式アクチュエータと比較
して、消費電力が少ない、応答速度が速い、変位量が大
きい、発熱が少ない、寸法及び重量が小さい、等の優れ
た特徴を有している。
【0003】上記のような圧電素子に用い得るものとし
て、種々のタイプの圧電磁器組成物が公知である。例え
ば、昭和35年に発行された特許第275421号に記載され
たPZT系セラミックスに単純酸化物を点火する技術か
ら始まって、数多くの圧電磁器組成物が公知となってい
る。米国特許第 2,911,370号は、PZT系セラミックス
にニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、希土類金属等の
元素を添加したり、Pbの一部をストロンチウム(S
r)、カルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属の元素
で置換したりして、得られる組成物の圧電定数及び誘電
率を高めることを教示している。特開昭62−298192号公
報は、アクチュエータ素子に用いられる圧電磁器組成物
として、Pb(Zrx Tiy )O3 の基本組成を有する
ものを教示しており、この組成物がアクチュエータ用材
料として使用可能な圧電歪定数を有し、かつ誘電損失が
極めて低いものであることを報告している。
【0004】さらに、特開平4−260662号公報は、Pb
0.89-xSr0.11Bax (Zr a Tib Sbc )O3(式中、0.01≦x
≦0.04、0.545 ≦a≦0.555 、0.445 ≦b≦0.455 、0.
005 ≦c≦0.015 、a+b+c=1である)の組成を有
する、圧電特性が高く、特にキュリー温度の高い、自動
車の圧電アクチュエータ用として適した圧電磁器組成物
を教示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、圧電材料である
PZTをアクチュエータ等に利用する場合、負荷荷重が
小さい条件において使用されるものがほとんどであっ
た。しかし、自動車部品のような高負荷荷重下で使用し
た場合、従来の圧電材料はその変位量が大きく低下する
傾向にあり、その性能を十分に生かすことができなかっ
た。このように、圧電体の変位量とそれに加えられる負
荷荷重は相反するものであった。
【0006】本発明は、従来の圧電体の有する前記の如
き欠点を解消し、高負荷荷重下での変位低下率が低く、
かつ高負荷荷重下での変位量が高いアクチュエータ用圧
電磁器組成物を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成すべく鋭意研究の結果、PZT系組成物におい
て、Ti成分の一部をIn又はFeで置換することによ
り、得られたPZT材料の高荷重負荷時の変位低下率が
抑制され、かつ高荷重負荷時の絶対的変位量が向上する
ことを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の圧電磁器組成物は、下
式により表される組成: Pb1-a-b Baa Srb (Zr1-x-y Tix-z Inz
y ) O3 (上式において、0.01≦a≦0.025 0.05≦b≦0.15 0.40≦x≦0.50 0.005≦y≦0.15 0.002≦z≦0.005 である) 及び Pb1-a-b Baa Srb (Zr1-x-y Tix-t Fet
y ) O3 (上式において、0.01≦a≦0.025 0.05≦b≦0.15 0.40≦x≦0.50 0.005≦y≦0.15 0.003≦t≦0.007 である) を有することを特徴とするものである。
【0009】本発明の圧電磁器組成物は、従来の圧電磁
器組成物、すなわち式、Pb1-a-bBaa Srb (Zr
1-x-y Tix Sby ) O3 (式中において、0.01≦a≦
0.025 、0.05≦b≦0.15、0.40≦x≦0.50、そして0.00
5 ≦y≦0.15である)で表される組成物において、Ti
成分の一部をIn又はFeで置換したものである。In
及びFeの置換量はそれぞれ 0.002〜0.005 モル及び
0.003〜0.007 モルである。置換量がこの範囲にない
と、所望の効果が得られず、すなわち高負荷荷重下での
変位量の低下率が大きくなり、高負荷荷重下での絶対変
位量が小さくなる。
【0010】本発明の圧電磁器組成物は、特に自動車の
圧電アクチュエータ用として、及びその他の圧電素子用
としても利用することができる。例えば、圧電アクチュ
エータは、公知の方法を用いて、例えば圧電材料の薄板
を2枚張り合わせてバイモルフ型構造とすることによ
り、又は圧電材料の薄板を数十〜数百枚積層し、かつそ
の1枚1枚を厚み方向の分極が逆になるように交互に積
層固着させて積層型構造とすることにより製造すること
ができる。
【0011】
【作用】上記のようにPBZ中のTiの一部をIn又は
Feで置換することにより、得られる圧電体の結晶粒径
が微細化し緻密化し、その結果強度が増す。そして機械
的品質係数Qm が向上し、さらに抗電界が高くなる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を下記実施例により更に詳細に
説明するが、本発明はこれらに制限されるものではな
い。
【0013】実施例1 Pb0.87Ba0.016 Sr0.11(Zr0.55Ti0.44-zIn
z Sb0.01)O3 で表される組成物を与えるように、原
料PbO、SrCO3 、BaCO3 、ZrO2、Sb2
5 及びTiO2 を所定量計量し、さらにz=0.002 、
0.003 及び0.005 モルを与えるようにIn2 3 を計量
し、これらをボールミルにおいて40時間湿式混合した。
次いで得られた混合粉末を乾燥後、800 ℃において2時
間仮焼し、再度ボールミルにおいて48時間粉砕し、乾燥
した。
【0014】こうして得られた粉末に、バインダとして
PVA(ポリビニルアルコール)を1.5 重量%加え、10
00kg/cm2の成形圧力において直径20mm、厚さ1mmの円板
に成形した。これを1200℃において1時間焼結すること
によりIn置換量の異なる各圧電素子ペレットを製造し
た。
【0015】このペレットの両面に常法により銀電極を
焼付け、100 ℃のシリコンオイル中でDC3kV/cm の電圧
を印加して分極処理を行った。
【0016】得られたそれぞれの圧電ペレットに0〜25
MPa の荷重を加えながら、0〜800Vの電圧を印加し、レ
ーザ変位計(LDV) を用いてその変位量を測定した。この
結果を図1に示す。
【0017】図1より明らかなように、Inの添加によ
り荷重下での変位低下率が向上した。すなわち、荷重25
MPa のときにその低下率が従来品(Inを含まないも
の)が73%であるのに対し、In添加 0.2モル%では58
%に、In添加 0.3モル%では53%に、In添加 0.5モ
ル%では56%にそれぞれ向上した。さらに、荷重25MPa
のときのその絶対変位量は、従来品(Inを含まないも
の)が0.22μm であるのに対し、In添加 0.3モル%で
は0.28μm に向上した。
【0018】実施例2 Pb0.87Ba0.016 Sr0.11(Zr0.55Ti0.44-zFe
z Sb0.01)O3 で表される組成物を与えるように、原
料PbO、SrCO3 、BaCO3 、ZrO2、Sb2
5 及びTiO2 を所定量計量し、さらにz=0.003 、
0.005 及び0.007 モルを与えるようにFe2 3 を計量
し、実施例1と同様の方法により圧電素子ペレットを製
造した。
【0019】この分極処理した圧電素子ペレットを、実
施例1と同様の方法によりその変位量を測定した。この
結果を図2に示す。
【0020】図2より明らかなように、Feの添加によ
り荷重下での変位低下率が向上した。すなわち、荷重25
MPa のときにその低下率が従来品(Feを含まないも
の)が73%であるのに対し、Fe添加 0.3モル%では70
%に、Fe添加 0.5モル%では63%に、Fe添加 0.7モ
ル%では66%にそれぞれ向上した。さらに、荷重25MPa
のときのその絶対変位量は、従来品(Feを含まないも
の)が0.22μm であるのに対し、Fe添加 0.5モル%で
は0.28μm に向上した。
【0021】
【発明の効果】本発明の圧電磁器組成物は、従来の圧電
磁器組成物と比べ、高負荷荷重下での変位低下率が抑制
されると共に、高負荷荷重下での変位量が向上する。ま
た、本発明の圧電磁器組成物は材料強度が増し、変位低
下が抑制されるため耐久性が高められる。さらに変位低
下が抑制されるため、駆動電圧が安定し、従って駆動回
路の容量を小さくすることができ、小型・低コスト化が
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】In添加量変化による荷重下での圧電体の変位
量を示すグラフである。
【図2】Fe添加量変化による荷重下での圧電体の変位
量を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−69723(JP,A) 特開 平7−48172(JP,A) 特開 平6−326372(JP,A) 特開 昭62−298192(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/49 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式により表される組成: Pb1-a-b Baa Srb (Zr1-x-y Tix-z Inz
    y ) O3 (上式において、0.01≦a≦0.025 0.05≦b≦0.15 0.40≦x≦0.50 0.005≦y≦0.15 0.002≦z≦0.005 である) を有することを特徴とするアクチュエータ用圧電磁器組
    成物。
  2. 【請求項2】 下式により表される組成: Pb1-a-b Baa Srb (Zr1-x-y Tix-t Fet
    y ) O3 (上式において、0.01≦a≦0.025 0.05≦b≦0.15 0.40≦x≦0.50 0.005≦y≦0.15 0.003≦t≦0.007 である) を有することを特徴とするアクチュエータ用圧電磁器組
    成物。
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