JP3108448B2 - 試料水平ゴニオメ−タのセッティング方法 - Google Patents

試料水平ゴニオメ−タのセッティング方法

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JP3108448B2
JP3108448B2 JP03043952A JP4395291A JP3108448B2 JP 3108448 B2 JP3108448 B2 JP 3108448B2 JP 03043952 A JP03043952 A JP 03043952A JP 4395291 A JP4395291 A JP 4395291A JP 3108448 B2 JP3108448 B2 JP 3108448B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、X線回折装置に用い
られる試料水平ゴニオメ−タのセッティング方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図3は、従来の試料水平ゴニオメ−タの
動作とそのセッティング方法を示す正面図である。
(A)は試料水平ゴニオメ−タの動作を示す。X線管2
と発散スリット3はX線管支持台4に搭載されていて、
このX線管支持台4は、水平に延びるゴニオメ−タ回転
中心線6を中心として回転できる。X線検出器8と受光
スリット9は検出器支持台10に搭載されていて、この
検出器支持台4もゴニオメ−タ回転中心線6を中心とし
て回転できる。試料軸16には試料ホルダ−14が取り
付けられ、この試料ホルダ−14に試料12が取り付け
られる。試料12のX線回折パタ−ンを測定するとき
は、試料12を水平に静止した状態で、X線管支持台4
を図3において時計方向に、検出器支持台10を反時計
方向に同期して回転させる。すなわち、X線管支持台4
を水平状態から時計方向に角度θだけ回転させると、検
出器支持台10も水平状態から反時計方向に同一の角度
θだけ回転するようになっている。X線管2の焦点5か
ら出射されたX線は試料12の表面で回折して、X線検
出器8で検出される。
【0003】一般によく知られたX線回折ゴニオメ−タ
は、回転中心線が鉛直方向に延びていて、試料は、その
表面が鉛直面と平行になるように配置される。そして、
X線管を静止しておいて、試料とX線検出器とを1対2
の角度比で回転させている。このような横型のゴニオメ
−タでは、試料ホルダ−から落下しやすい試料や液体試
料などを測定する場合に不都合なので、特に、この種の
試料に対しては上述のような試料水平ゴニオメ−タが利
用される。
【0004】図3の(B)と(C)は、この試料水平ゴ
ニオメ−タのセッティング方法を示す。セッティングと
は、X線光学系の光軸を正しく調整する作業をいう。
(B)は、発散スリット3と回転中心線6と受光スリッ
ト9とを通る直線上にX線管2の焦点5を正しく位置決
めする作業を示す。この作業のときには、試料軸16に
は何も取り付けない。X線管2とX線検出器8とをそれ
ぞれ角度ゼロの位置(水平状態)にして、X線管2をX
線管支持台4に対して矢印18の方向に微小移動させ
る。そして、X線検出器8が最大強度を示した位置でX
線管2を位置決めする。
【0005】図3の(C)は、(B)で定めた角度ゼロ
の光軸と試料表面とを同一平面に合わせる作業を示す。
そのためには、試料軸16にセッティング治具20を取
り付ける。このとき、このセッティング治具20の基準
面が実質的に水平になるようにする。そして、試料軸1
6を、ゴニオメ−タ回転中心線6の回りに微小角度範囲
で回転させ、X線検出器8が最大強度を示した位置で試
料軸6の角度を位置決めする。これにより、X線管2と
X線検出器8の角度がゼロのときのX線の光軸と、セッ
ティング治具20の基準面とが同一平面上にきたことに
なる。すなわち、試料軸に試料ホルダ−を取り付けたと
きは、X線管2とX線検出器8の角度がゼロのときのX
線の光軸と、試料表面とが同一平面上にくることになる
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のセッテ
ィング方法は、図3の(B)の作業では試料軸16に何
も取り付けないようにし、これに対して、(C)の作業
では試料軸16にセッティング治具20を取り付ける必
要がある。したがって、(B)の作業から(C)の作業
に移るときにセッティング治具20の取り付け作業が必
要になる。このため、一連のセッティング作業を自動化
するためには、このセッティング治具の取り付け作業が
ネックとなっていた。
【0007】この発明の目的は、試料水平ゴニオメ−タ
において、セッティング治具を取り付けたままで一連の
セッティング作業ができるようなセッティング方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、X線回折装
置に用いられる試料水平ゴニオメ−タをセッティングす
る方法において、次の段階を備えている。 (a)貫通孔とその両側に形成された基準面とを備える
セッティング治具を試料軸に取り付ける段階。 (b)セッティング治具の基準面を水平に保ち、X線源
からX線検出器に至る光軸が一直線になるようにX線源
とX線検出器を配置するとともに前記光軸を水平面から
傾斜させる段階。 (c)X線源から出たX線を、発散スリットとセッティ
ング治具の貫通孔と受光スリットとを通過させてX線検
出器で検出し、その検出強度が最大になるように、前記
光軸と交差する方向にX線源の位置を調整する段階。 (d)X線源からX線検出器に至る光軸を水平にして、
セッティング治具の基準面を実質的に水平に保った状態
で、セッティング治具をゴニオメ−タ回転中心線の回り
に微小角度範囲で回転させて、X線検出器の検出強度が
最大となるように試料軸の角度を調整する段階。
【0009】
【作用】この発明のセッティング方法によれば、試料軸
にセッティング治具を取り付けたままで、X線源の位置
調整と試料軸の角度調整を行うことができる。X線源の
位置調整を行うときには、X線がセッティング治具の貫
通孔を通過できるように、X線光学系の光軸を水平面か
ら傾ける。一方、試料軸の角度調整を行うときは、X線
がセッティング治具の基準面をかすめることができるよ
うに、X線光学系の光軸を水平にする。試料水平ゴニオ
メ−タでは、X線源とX線検出器をゴニオメ−タ回転中
心線の回りに広い角度範囲で回転できるので、上述のよ
うにX線光学系を水平面から傾けるのは容易である。
【0010】
【実施例】図1は、この発明のセッティング方法の一実
施例を示す正面図である。図1において、図3と同じ部
分には同じ符号を付けてある。図1の(A)は、X線源
の位置調整の段階を示す正面図である。試料軸16には
セッティング治具22を取り付けておく。このセッティ
ング治具22は、図2によく示すように、円形の貫通孔
24と、その両側に形成された基準面26,28とを備
えている。試料水平ゴニオメ−タでは、試料の回折測定
の作業中には試料軸16は静止しており、試料軸16の
試料ホルダ−取付面17は下を向いて水平を保ってい
る。ただし、試料軸16の試料ホルダ−取付面17と、
X線光学系との間の角度調整のときだけ、試料軸16は
微小角度範囲で回転できるようになっている。
【0011】図1の(A)に戻って、セッティング治具
22の基準面を水平にした状態で、X線光学系を水平面
から傾ける。すなわち、X線管支持台4を水平面から角
度αだけ上方に回転し、一方で、検出器支持台10を水
平面から角度αだけ下方に回転する。この実施例ではα
は30°にしてある。このとき、発散スリット3とゴニ
オメ−タ回転中心線6と受光スリット9とが一直線上に
来る。この状態で、X線管2をX線管支持台4に対して
矢印18の方向(すなわち、光軸と交差する方向)に動
かして、X線検出器8での検出強度が最大になるところ
を探す。このとき、X線は図1の(B)に拡大して示す
ように、セッティング治具22の貫通孔24を通過する
ことになり、セッティング治具22はX線の妨げにはな
らない。検出強度が最大になる位置が求まったら、その
位置でX線管2を停止する。これにより、発散スリット
3と受光スリット9とを結ぶ直線上にX線管2の焦点5
が正しく位置決めされる。
【0012】図1の(C)は、X線光学系を角度ゼロに
した場合の光軸と、セッティング治具の基準面とを合わ
せる作業を示す。この作業は、換言すれば、X線光学系
を角度ゼロにした場合の光軸と、試料軸の試料ホルダ−
取付面とを合わせる作業である。この場合は、X線管支
持台4と検出器支持台10とを水平(すなわち回転角度
をゼロ)にする。そして、セッティング治具22を、図
1の(D)に拡大して示すように、ゴニオメ−タ回転中
心線6の回りに微小角度範囲で回転して、セッティング
治具22の基準面26、28をかすめて通過してくるX
線をX線検出器8で測定する。そして、その検出強度が
最大になる位置で試料軸16を停止する。これにより、
X線光学系を角度ゼロにした場合の光軸と、セッティン
グ治具22の基準面26、28とが同一平面上に位置決
めされた。
【0013】以上のセッティング作業は、試料軸16に
セッティング治具22を取り付けてからは、回転部材の
回転とX線強度の検出だけを所定の手順で実施すればよ
いので、セッティング治具22を取り付けたあとのセッ
ティング作業を自動化することができる。
【0014】このようにして、セッティング作業が終了
したら、試料軸16からセッティング治具22を取り外
して、試料ホルダ−を取り付け、図3の(A)に示すよ
うに所定の回折測定を行う。
【0015】なお、図1の(C)の状態において、セッ
ティング治具22をたとえば90°回転させると、X線
はセッティング治具22の貫通孔24を通過できる。し
たがって、このようにセッティング治具22を回転させ
れば、セッティング治具22を取り付けたままで、かつ
X線光学系を水平に保ったままで、図1の(A)と同様
にX線管の位置調整が可能となる。しかしながら、セッ
ティング治具22を微小角度範囲以上に回転させるよう
にするには、従来の試料水平ゴニオメ−タに試料軸回転
用の機構を新たに設ける必要がある。これに対して、こ
の実施例のようにX線光学系の光軸を傾斜させる場合に
は、X線管支持台4の回転機構と検出器支持台10の回
転機構とをそのまま利用すればよく、従来の試料水平ゴ
ニオメ−タの回転機構を変更する必要がない。
【0016】この発明は上述の実施例に限定されず、次
のような変更が可能である。 (1)図1の(A)において、X線管支持台4を水平位
置より下方に、検出器支持台10を水平位置より上方に
同一角度だけ回転してもよい。 (2)図1の(A)において、水平面からの傾斜角αは
30°に限らず、セッティング治具22の貫通孔24を
X線が通過できる範囲で、任意の角度とすることができ
る。
【0017】
【発明の効果】この発明のセッティング方法によれば、
試料軸にセッティング治具を取り付けたままで、X線源
の位置調整と試料軸の角度調整とを行うことができる。
したがって、セッティング作業の途中でセッティング治
具を取り外す必要がなく、一連のセッティング作業を自
動化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法の一実施例を示す正面図であ
る。
【図2】セッティング治具の斜視図である。
【図3】従来の試料水平ゴニオメ−タの動作とそのセッ
ティング方法を示す正面図である。
【符号の説明】
2 X線管 3 発散スリット 5 X線焦点 6 ゴニオメ−タ回転中心線 8 X線検出器 9 受光スリット 16 試料軸 22 セッティング治具 24 貫通孔 26、28 基準面
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/20 - 23/207

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折装置に用いられる試料水平ゴニ
    オメ−タのセッティング方法において、貫通孔とその両
    側に形成された基準面とを備えるセッティング治具を試
    料軸に取り付ける段階と、セッティング治具の基準面を
    水平に保ち、X線源からX線検出器に至る光軸が一直線
    になるようにX線源とX線検出器を配置するとともに前
    記光軸を水平面から傾斜させる段階と、X線源から出た
    X線を、発散スリットとセッティング治具の貫通孔と受
    光スリットとを通過させてX線検出器で検出し、その検
    出強度が最大になるように、前記光軸と交差する方向に
    X線源の位置を調整する段階と、X線源からX線検出器
    に至る光軸を水平にして、セッティング治具の基準面を
    実質的に水平に保った状態で、セッティング治具をゴニ
    オメ−タ回転中心線の回りに微小角度範囲で回転させ
    て、X線検出器の検出強度が最大となるように試料軸の
    角度を調整する段階とを備えることを特徴とするセッテ
    ィング方法。
  2. 【請求項2】 X線源からX線検出器に至る光軸を水平
    面から傾斜させる段階において、X線源を水平位置より
    上方に配置し、X線検出器を水平位置より下方に配置す
    ることを特徴とする請求項1記載のセッティング方法。
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