JP3107976B2 - 難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物

Info

Publication number
JP3107976B2
JP3107976B2 JP06194559A JP19455994A JP3107976B2 JP 3107976 B2 JP3107976 B2 JP 3107976B2 JP 06194559 A JP06194559 A JP 06194559A JP 19455994 A JP19455994 A JP 19455994A JP 3107976 B2 JP3107976 B2 JP 3107976B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cyclic olefin
curable resin
catalyst system
weight
crosslinked polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06194559A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0841177A (ja
Inventor
陽一 吉田
建孔 山田
善一郎 遠藤
Original Assignee
帝人メトン株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 帝人メトン株式会社 filed Critical 帝人メトン株式会社
Priority to JP06194559A priority Critical patent/JP3107976B2/ja
Publication of JPH0841177A publication Critical patent/JPH0841177A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3107976B2 publication Critical patent/JP3107976B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタセシス重合による
難燃性架橋重合体組成物、該難燃性架橋重合体組成物の
製造方法および該製造方法によって該難燃性架橋重合体
組成物を得るための硬化性樹脂組成物に関する。更に詳
しくは、力学的および熱的特性を何等低下することの無
い難燃性架橋重合体組成物、該難燃性架橋重合体組成物
の製造方法および該製造方法によって該難燃性架橋重合
体組成物を得るための硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン化合物の二重結合をオレ
フィンメタセシス(複分解)触媒系により開環重合せし
め、単量体から一挙に架橋重合体の成形物を得る技術が
開発された(例えば、特開昭58−129013号公報
参照)。この技術は、例えば環状オレフィンを含有する
組成物(本明細書においては、このようなメタセシス重
合可能な環状オレフィンを含有する組成物を硬化性樹脂
組成物と呼ぶ)であってオレフィンメタセシス重合触媒
系の触媒成分(以下、オレフィンメタセシス重合触媒系
の触媒成分を触媒成分と呼ぶ)を含むものとオレフィン
メタセシス重合触媒系の活性化剤成分(以下、オレフィ
ンメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を活性化剤成分
と呼ぶ)を含む硬化性樹脂組成物とを別々に調製したも
のを混合し金型内で重合を行い架橋重合体組成物である
成形物を得るものであり、具体的には、反応射出成形
(RIM:Reaction Injection Molding)法、注型法、
レジンインジェクション法といった名前で呼ばれ、豊富
な石油化学原料から1段で大型成形物が容易に得られる
ことおよびその成形物は剛性と耐衝撃性のバランスのよ
い優れた物性を有している点で工業的に価値がある。
【0003】しかしながら、このようにして生成する架
橋重合体組成物は主として炭化水素より成るため、炭化
水素特有の燃焼性を有し着火すると連続燃焼するため用
途が限定される。
【0004】熱硬化性重合体やそのような重合体を含む
組成物用の難燃剤については既に多く知られているが、
熱硬化性重合体の1種であるメタセシス反応による重合
体を含む架橋重合体組成物にはこれらの難燃剤が必ずし
も適当であるとは言えない。その理由は、それらの難燃
剤が架橋重合体組成物を得るための重合を阻害し、成形
に際して充分な物性を持った成形物が得られなくなった
り、多量の難燃剤を硬化性樹脂組成物中に含ませるた
め、その粘度が高くなり、RIM法で金型内へ硬化性樹
脂組成物を充填するのに大きなエネルギーが必要となっ
たり、金型内における硬化性樹脂組成物の流動性が低下
する結果金型内での流れに均一性が無くなり充填できな
い箇所(充填不良)が起こったりするためである。
【0005】この欠点を解消するため、メタセシス重合
が起こり熱硬化重合体が形成される過程で硬化性樹脂組
成物が金型内を流れるのに好都合な組成を見出そうとし
て、これまでにオレフィンメタセシス重合触媒系を使用
する環状オレフィン重合で用いるための難燃剤がいくつ
か特許出願されている。例えば以下のものである。
【0006】a)特開昭61−255912号 ジシクロペンタジエンおよび固体難燃剤からなる組成で
あり、該固体難燃剤が、環状ホスファゼンのブロモフェ
ノキシ誘導体またはアリールオキシ誘導体と、N,N´
−エチレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)、臭
素化ポリスチレン、デカブロモジフェニルオキシド、テ
トラブロモキシレン、臭素化ポリ(酸化フェニレン)も
しくはオクタブロモジフェニルオキシドのいずれかの臭
素化芳香族化合物との組み合わせ、 b)特開昭62−273211号 1種またはそれ以上のメタセシス重合可能なシクロオレ
フィン単量体、赤リンおよび少なくとも1種の臭素化芳
香族化合物を含有する組成物、 c)特開昭63−189453号 (1)ジシクロペンタジエン重合体、(2)アルミニウ
ム、アンチモン、モリブデンおよびチタンから選ばれる
金属の酸化物の少なくとも1種、(3)アンモニウム化
合物および金属アミンから選ばれるガス発生物質、およ
び場合により、(4)臭素化環状有機化合物、塩素化脂
肪族化合物、塩素化脂環式化合物およびそれらの混合物
からなる群から選ばれるハロゲン化有機化合物を含有す
るジシクロペンタジエン重合体組成物、などである。
【0007】しかし、上記特許のいずれもが得られた架
橋重合体組成物の難燃性や原料である硬化性樹脂組成物
の流動特性のみに言及し、得られた架橋重合体組成物の
特性、特に剛性や耐衝撃性などの力学特性までは言及し
ていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環状オレフ
ィンのメタセシス重合反応を妨げることなく、又射出後
の金型内で硬化性樹脂組成物の流れの問題もなく、そし
て特に架橋重合体組成物の特長である剛性と耐衝撃性を
保持し、かつ燃えにくい架橋重合体組成物(硬化成形
物)を与える新しい手段を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、反応射出
成形で難燃性架橋重合体組成物を得るための組成、特に
力学的および熱的特性を何等低下することがなく難燃性
を有する架橋重合体組成物を得るための組成に関し鋭意
検討を進めたところ、特定のハロゲン化ポリスチレンと
特定の金属酸化物とを含有させることにより、目的とす
る難燃性架橋重合体組成物を得ることを見出した。この
組合わせにすると、先行の特開昭63−189453号
にあるようなガス発生物質の含有は不要であり、かつ架
橋重合体組成物の物性の低下も見られない事、更に、こ
の目的のため使用する硬化性樹脂組成物は粘度が低く、
例えばRIM法での成形で良好な金型内の流れを実現す
るために通常要求される3000センチポイズ以下の値
が得られること、が判明し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、 (a)環状オレフィンをメタセシス重合してなる架橋重
合体組成物において、該環状オレフィンにアンチモン、
アルミニウム、ジルコニウム、硼素から選ばれる金属の
酸化物の少なくとも1種を分散させ、かつハロゲン化ポ
リスチレンを溶解させた状態でメタセシス重合したこと
を特徴とする難燃性架橋重合体組成物。 (b)複数の反応体流のうち1つの流れが活性化剤成分
を含有し、もう1つの流れが触媒成分を含有し、かつ該
複数の反応体流の少なくとも1つがメタセシス重合可能
な環状オレフィンを含有する該複数の反応体流を混合し
重合させるにあたり、該重合反応を、(1)該環状オレ
フィンに溶解したハロゲン化ポリスチレンおよび(2)
アンチモン、アルミニウム、ジルコニウム、硼素の群か
ら選ばれる金属の酸化物の少なくとも1種であって該環
状オレフィンに分散させたものの存在下でおこなうこと
を特徴とする難燃性架橋重合体組成物の製造方法、およ
び、 (c)(1)メタセシス触媒系で重合可能な環状オレフ
ィン化合物および(2)該環状オレフィンに溶解可能な
ハロゲン化ポリスチレンならびに/または(3)アンチ
モン、アルミニウム、ジルコニウム、硼素の群から選ば
れる金属の酸化物の少なくとも1種を含有することを特
徴とする、上記(b)の製造方法に使用される硬化性樹
脂組成物に関する。
【0011】本発明で使用する環状オレフィン化合物と
してはメタセシス重合触媒系により重合可能であればい
ずれも包含される。かかる化合物の具体例としては、シ
クロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共二量
体、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、
5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネ
ン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、1、4−メタノ
オクタヒドロナフタレン、ジメタノヘキサヒドロナフタ
レン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、エチレン−ビ
ス(5−ノルボルネン)等を挙げることができる。その
うちでも、ジシクロペンタジエンを50重量%以上含む
ものがよく、さらに好ましくは、ジシクロペンタジエン
と0〜25重量%の上記の他の単量体とを用いて、ジシ
クロペンタジエンホモポリマー或いはジシクロペンタジ
エンコポリマーとするのがよい。
【0012】本発明に使用されるハロゲン化ポリスチレ
ンは、ポリスチレンをハロゲン化すること或いはハロゲ
ン化スチレンを重合することにより得られる。好ましい
ハロゲン化ポリスチレンは臭素化ポリスチレンである。
【0013】ハロゲン化ポリスチレン自体にはメタセシ
ス重合を阻害する性質はないが、ハロゲン化するときに
使う薬剤から由来する鉄或いは燐化合物などが残存する
とメタセシス重合を阻害するので、充分精製されたもの
を使用する必要がある。
【0014】本発明に使用されるハロゲン化ポリスチレ
ンは、使用する環状オレフィンに溶解する必要がある。
不溶性のハロゲン化ポリスチレンを使用すると、難燃性
も物性も不十分なものとなり、好ましくない。溶解とは
この組成物を成形する際の組成物の温度、濃度で溶解し
ていることである。
【0015】まず溶解するためには、本発明に使用され
るハロゲン化ポリスチレンは架橋構造を有していないこ
とが必須である。溶解性、粘性、また物性を低下させな
い点から好ましい分子量は、GPC(ガスパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算
分子量で500以上、3000以下であり、好ましくは
600以上、2500以下である。
【0016】ハロゲン化ポリスチレン中のハロゲンは塩
素または臭素であり、ハロゲン化ポリスチレン中のハロ
ゲン重量割合は、30〜80%であることが好ましい。
本発明中の架橋重合体組成物中の該ハロゲン化ポリスチ
レンの割合は、目的とする難燃性の程度によるが、通常
1〜40wt.%である。
【0017】本発明に使用されるアンチモン、アルミニ
ウム、ジルコニウム、硼素から選ばれる金属の酸化物の
少なくとも1種は、難燃効果を高める上で重要な役割を
果たしている。かかる金属酸化物の具体例としては、酸
化アンチモン(三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモ
ン、五酸化二アンチモン)、酸化アルミニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化ほう素等があげられる。
【0018】本発明で使用する上記の金属酸化物は、環
状オレフィン化合物に一般的に溶解しないので、難燃効
果を効率良く発揮するためにはできるだけ細粒状のもの
が好ましい。特に325メッシュ篩を通過するのに充分
な小さいサイズ、即ち約44ミクロンより小さい最大寸
法を有しているものが好ましく使われる。また細粒体を
使うことにより得られる架橋重合体組成物の特性も均一
になる。
【0019】金属酸化物の量は、金属酸化物の金属原子
とハロゲン化ポリスチレン中のハロゲン原子とが原子数
比で、1:0.5〜5の範囲で使用される。
【0020】金属酸化物は、それ自身および/またはそ
の中に含まれる不純物によってメタセシス重合触媒系に
よる重合を遅延または阻害する可能性がある。さらに、
先に述べたようにハロゲン化ポリスチレンの場合もその
中に含まれる不純物によってはメタセシス重合触媒系に
よる重合を遅延または阻害する可能性がある。
【0021】そこで、本発明で金属酸化物やハロゲン化
ポリスチレンを加える場合の好ましい製造方法の1つと
しては、3つ以上の流れを採用し、第1、第2の流れは
それぞれ触媒成分、活性化剤成分を含有し、その他の流
れには触媒成分および活性化剤成分のいずれも含有させ
ず、金属酸化物および/またはハロゲン化ポリスチレン
を含有させる方法がある。例えば、金属酸化物を第3の
流れに分散させ、ハロゲン化ポリスチレンを第4の流れ
に溶解させることや、金属酸化物とハロゲン化ポリスチ
レンを共に第3の流れに含ませるも本発明の製造方法の
好ましい実施態様の1つである。このように、金属酸化
物および/またはハロゲン化ポリスチレンと触媒成分ま
たは活性化剤成分との接触が回避できる場合には、精製
されていない金属酸化物やハロゲン化ポリスチレンを使
用できるようになり、経済的にも好ましい。
【0022】金属酸化物および/またはハロゲン化ポリ
スチレン(その中にある不純物も含めて)がメタセシス
重合触媒系による重合を遅延または阻害しないか、遅延
または阻害してもその程度が許容できる場合には、その
許容される片方または両方を、触媒成分または活性化剤
を含有する第1もしくは第2の流れまたはその両方に添
加することも可能であり、さらに、3つ以上の流れがあ
る場合には第3以降の流れに添加することも可能であ
る。具体的には、触媒成分を含有する流れおよび/また
は活性剤成分を含有する流れにハロゲン化ポリスチレン
を溶解させ、触媒成分も活性剤成分も含有しない流れに
金属酸化物を分散させることも好ましい実施態様の1つ
である。
【0023】本発明で用いられる活性化剤成分は、周期
律表第I〜第III族の金属のアルキル化物を中心とす
る有機金属化合物、特にアルキル錫、アルキルアルミニ
ウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物、ア
ルキル亜鉛化合物が好ましく、具体的には塩化ジエチル
アルミニウム、ジ塩化エチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオク
チルアルミニウム、テトラブチル錫、トリブチル錫ハラ
イド、ジエチル亜鉛などを挙げることができる。
【0024】本発明の活性化剤成分には調節剤を使うこ
とが好ましく、かかる調節剤としてはルイス塩基類が一
般に用いられ、就中エーテル類、エステル類、ニトリル
類などが用いられる。具体例としては安息香酸エチル、
ブチルエーテル、ジグライム、アセトニトリル、ノルボ
ルネン骨格を含むエーテル類、エステル類、ニトリル類
などを挙げることができる。
【0025】一方、メタセシス重合触媒系における触媒
成分は、タングステン、モリブデン、レニウム、タンタ
ル等の化合物が一般に用いられる。
【0026】本発明においては上記触媒成分と活性化剤
成分とを急激に混合することにより環状オレフィン化合
物のメタセシス重合が開始され、架橋重合体組成物であ
る成形物が一挙に得られるように工夫されている。
【0027】本発明による架橋重合体組成物には、実用
にあたってその特性を改良または維持するために、各種
添加剤を配合することができる。かかる添加剤として
は、充填剤、顔料、酸化防止剤、光安定化剤、高分子改
良剤などがある。この様な添加剤は、本発明の架橋重合
体組成物が成形されて後は添加することが不可能である
から、添加する場合には予め硬化性樹脂組成物に添加し
ておく必要がある。
【0028】添加剤としての補強材または充填剤は、曲
げモジュラスを向上するのに効果がある。かかるものと
してはガラス繊維、ガラスビーズ、雲母、カーボンブラ
ック、ウオラストナイト等を挙げることができる。これ
らをいわゆるシランカップリング剤などによって表面処
理したものが好適に用いられる。
【0029】また本発明の架橋重合体組成物には、酸化
防止剤を添加しておくことが好ましく、そのなかでもフ
ェノール系またはアミン系の酸化防止剤が好ましい。添
加方法は予め硬化性樹脂組成物中に加えておくことでお
こなわれる。酸化防止剤の具体例は、2,6−ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、N,N´−ジフェニル−p−
フェニレンジアミン、テトラキス[メチレン(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタ
ン等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は架橋重合体の
10〜0.1重量部が好ましい。
【0030】また、本発明による架橋重合体組成物に
は、他の重合体を添加することができる。添加方法とし
ては本発明の反応体流の少なくとも1つに添加すること
で行われる。重合体添加剤の効果の1つは、本発明に係
る硬化性樹脂組成物の粘度を調節するものであり、他の
効果は架橋重合体組成物である成形物の物性、特に耐衝
撃性を高めるものである。かかる重合体添加剤として
は、粘度調節用には本発明の反応を阻害せず、本発明の
反応体流に溶解すればいかなるものでも使用できるが、
成形物の耐衝撃性を向上させるにはエラストマーの添加
が特に効果がある。かかる目的に用いられるエラストマ
ーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックゴム、
ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレ
ン−プロピレン−ジエンターポリマー、ニトリルゴムな
どの広範なエラストマーを挙げることができる。
【0031】本発明の架橋重合体組成物は前記した如く
重合と成形を同時に行うことによって製造され、反応を
多少遅延できる場合は前もって全てを混合したプレミッ
クスを金型内に流入せしめるレジンインジェクション方
式も採用できるが、生産性の点からは先のRIM方式の
方が好ましい。しかしいずれの場合も金型内への注入圧
力は比較的低圧であり、従って安価な成形金型を使用す
ることが可能である。また、金型内の重合反応が始まる
と反応熱によって金型内の温度は急速に上昇し短時間に
重合反応が終了する。またポリウレタンRIMと異な
り、本発明の架橋重合体組成物は金型からの離脱が容易
であり、特別の離型剤を必要としない場合が多い。
【0032】本発明の架橋重合体組成物である成形物
は、表面に酸化層ができることによってポリウレタンや
エポキシ等の一般に使用される塗料の付着性は良好であ
る。
【0033】
【実施例】本発明をさらに以下の実施例で説明するが、
実施例は説明のためであり、これによって限定されるも
のでない。
【0034】実施例においての難燃性は、厚さ3mmの
試験片を使い、UL(UnderwritersLaboratory)の耐炎
性試験規格に従い、94−V0の試験をした結果であ
る。
【0035】[参考例]触媒成分および活性化剤成分と
して次のものを準備調製した。 (1)タングステン系の触媒成分調製法:六塩化タング
ステン 1モル、t−ブタノール 0.25モル、ノニ
ルフェノール 1.2モルおよびアセチルアセトン 2
モルを窒素雰囲気下トルエン中に逐次投入し反応させ、
全体で2リットルにした。 (2)活性化剤成分:トリオクチルアルミニウム 0.
91モル、ジオクチルアルミニウムアイオダイド 0.
16モル、調節剤としてジグライム3.2モルを窒素雰
囲気下DCP(ジシクロペンタジエン)に加え全体を1
リットルにした。
【0036】[実施例1]次の組成の硬化性樹脂組成物
を調製した。 溶液A(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 797重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 31重量部 タングステン系の触媒成分 12重量部 ブロム化ポリスチレン 155重量部 (ポリスチレン換算分子量1000、 ブロム含有量67wt.%) 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 3重量部 ヘキサクロロキシレン 2重量部 溶液B(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 788重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 31重量部 ブロム化ポリスチレン 155重量部 (ポリスチレン換算分子量1000、 ブロム含有量67wt.%) 活性化剤成分 26重量部 溶液C(スラリー) DCP(ジシクロペンタジエン) 481重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 19重量部 三酸化二アンチモン 500重量部 本発明に係る添加物であるブロム化ポリスチレンと三酸
化二アンチモンを多量に含有するにも拘わらず各溶液の
粘度は30℃において、溶液Aが310センチポイズ、
溶液Bが310センチポイズ、溶液Cが900センチポ
イズと低い値であった。
【0037】上記硬化性樹脂組成物を使用し、RIM成
形機の混合ヘッドで溶液A:溶液B:溶液C=1.0
0:1.00:0.273(重量比)の割合の流れを混
合し金型内に射出して硬化させることにより、縦500
mm、横500mm、厚さ3mmの板状成形物を得た。
この板状成形物からサンプルを切出し物性測定を行った
結果を後掲の表1に示した。
【0038】[比較例1]次の組成の硬化性樹脂組成物
を調製した。デカブロモジフェニルオキサイドは溶液A
中に不溶物として存在した。 溶液A(スラリー) DCP(ジシクロペンタジエン) 572重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 23重量部 タングステン系の触媒成分 11重量部 デカブロモジフェニルオキサイド 198重量部 三酸化二アンチモン 74重量部 NH4BF4 113重量部 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 8重量部 ヘキサクロロキシレン 1重量部 溶液B(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 939重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 37重量部 活性化剤成分 24重量部 上記硬化性樹脂組成物を使用し、RIM成形機の混合ヘ
ッドで溶液A:溶液B=1.00:1.00(重量比)
の割合いの流れを混合し金型内に射出することにより、
縦500mm、横500mm、厚さ3mmの板状成形物
を得た。この板状成形物からサンプルを切出し物性測定
を行った結果を後掲の表1に示した。
【0039】[実施例2]次の組成の硬化性樹脂組成物
を調製した。 溶液A(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 924重量部 エチリデンノルボルネン 12重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 40重量部 タングステン系の触媒成分 12重量部 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 6重量部 ヘキサクロロキシレン 2重量部 溶液B(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 900重量部 エチリデンノルボルネン 36重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 40重量部 活性化剤成分 24重量部 溶液C(スラリー) DCP(ジシクロペンタジエン) 388重量部 エチリデンノルボルネン 12重量部 ブロム化ポリスチレン 420重量部 (ポリスチレン換算分子量1000、 ブロム含有量67wt.%) 三酸化二アンチモン 180重量部 30℃における粘度は、溶液Aが310センチポイズ、
溶液Bが310センチポイズであり、溶液Cは本発明に
係る添加物であるブロム化ポリスチレンと三酸化二アン
チモンを多量に含有するにも拘わらず430センチポイ
ズであった。
【0040】上記硬化性樹脂組成物を使用し、RIM成
形機の混合ヘッドで溶液A:溶液B:溶液C=1.0
0:1.00:1.08(重量比)の割合の流れを混合
し金型内に射出し硬化させることにより、縦500m
m、横500mm、厚さ3mmの板状成形物を得た。こ
の板状成形物からサンプルを切出し物性測定を行った結
果を後掲の表1に示した。
【0041】[比較例2]ポリスチレン換算分子量が1
000のブロム化ポリスチレン(ブロム含有量67w
t.%)を使用する代わりにポリスチレン換算分子量が
20万のブロム化ポリスチレン(ブロム含有量68w
t.%)を使用する以外は実施例1と同一の組成の硬化
性樹脂組成物を調製した。このブロム化ポリスチレンは
DCP(ジシクロペンタジエン)に溶解せず分散した状
態であった。
【0042】上記硬化性樹脂組成物を使用し、RIM成
形機の混合ヘッドで溶液A:溶液B:溶液C=1.0
0:1.00:0.273(重量比)の割合の流れを混
合し金型内に射出して硬化させることにより、縦500
mm、横500mm、厚さ3mmの板状成形物を得た。
この板状成形物からサンプルを切出し物性測定を行った
結果を後掲の表1に示した。
【0043】[比較例3]難燃剤を含有しない架橋重合
体組成物を製造するため、次の組成の硬化性樹脂組成物
を調製した。 溶液A(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 929重量部 エチリデンノルボルネン 12重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 40重量部 タングステン系の触媒成分 11重量部 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 6重量部 ヘキサクロロキシレン 2重量部 溶液B(均一溶液) DCP(ジシクロペンタジエン) 906重量部 エチリデンノルボルネン 36重量部 SBR(スチレンブタジエンゴム) 40重量部 活性化剤成分 18重量部 上記硬化性樹脂組成物を使用し、RIM成形機の混合ヘ
ッドで溶液A:溶液B=1.00:1.00(重量比)
の割合いの流れを混合し金型内に射出することにより、
縦500mm、横500mm、厚さ3mmの板状成形物
を得た。この板状成形物からサンプルを切出し物性測定
を行った結果を表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明で得られる成形物(架橋重合体組
成物)は難燃性を有し、機械的特性にも優れており、電
気、電子機器のハウジング、各種運搬機器の部材など大
型の成形物を中心に広範な用途に使用できる。
【0046】すなわち、従来の方法(例えば特開昭63
−189453号)では、難燃性は向上するが、機械的
特性、熱的特性の低下は避けられないのに対し、本発明
では、これらの性能の低下は見られない。しかもガス発
生物質の使用を必要としないので生産コストが低下す
る。
【0047】例えば上述の実施例と比較例を対比すれば
明らかなごとく、本発明からの成形物の物性は難燃剤を
加える前と何等変わりなく優れ、かつ難燃性を付与され
ている。また熱劣化促進テストの結果も優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−223115(JP,A) 特開 平5−155989(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の反応体流のうち1つの流れがメタ
    セシス触媒系の活性化剤成分を含有し、もう1つの流れ
    がメタセシス触媒系の触媒成分を含有し、更にもう一つ
    の流れが、アンチモン、アルミニウム、ジルコニウム、
    硼素の群から選ばれる金属の酸化物の少なくとも1種で
    あって環状オレフィンに分散させたものと環状オレフィ
    ンに溶解したハロゲン化ポリスチレンとを含有すると同
    時にメタセシス触媒系の活性化剤成分およびメタセシス
    触媒系の触媒成分を含有せず、かつ当該三つの反応体流
    の少なくとも1つがメタセシス重合可能な環状オレフィ
    ンを含有する該複数の反応体流を混合し、重合させるこ
    とを特徴とする難燃性架橋重合体組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数の反応体流のうち1つの流れがメタ
    セシス触媒系の活性化剤成分を含有し、もう1つの流れ
    がメタセシス触媒系の触媒成分を含有し、この二つの流
    れの少なくとも一方が環状オレフィンに溶解したハロゲ
    ン化ポリスチレンを含有し、更にもう一つの流れが、ア
    ンチモン、アルミニウム、ジルコニウム、硼素の群から
    選ばれる金属の酸化物の少なくとも1種であって環状オ
    レフィンに分散させたものを含有すると同時にメタセシ
    ス触媒系の活性化剤成分とメタセシス触媒系の触媒成分
    と環状オレフィンに溶解したハロゲン化ポリスチレンと
    を含有せず、かつ、当該三つの反応体流の少なくとも2
    つがメタセシス重合可能な環状オレフィンを含有する該
    複数の反応体流を混合し、重合させることを特徴とする
    難燃性架橋重合体組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化ポリスチレンがブロム化ポリ
    スチレンであり金属酸化物が酸化アンチモンであること
    を特徴とする請求項1または2記載の方法
  4. 【請求項4】(1)メタセシス触媒系で重合可能な環状
    オレフィンおよび(2)該環状オレフィンに溶解可能な
    ハロゲン化ポリスチレンならびに/または(3)アンチ
    モン、アルミニウム、ジルコニウム、硼素の群から選ば
    れる金属の酸化物の少なくとも1種を含有することを特
    徴とする、請求項1記載の製造方法に使用される硬化性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化ポリスチレンがブロム化ポリ
    スチレンであり、金属酸化物が酸化アンチモンであるこ
    とを特徴とする請求項4記載の硬化性樹脂組成物。
JP06194559A 1994-07-28 1994-07-28 難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3107976B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06194559A JP3107976B2 (ja) 1994-07-28 1994-07-28 難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06194559A JP3107976B2 (ja) 1994-07-28 1994-07-28 難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11095499A Division JP3205314B2 (ja) 1999-04-19 1999-04-19 難燃性架橋重合体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0841177A JPH0841177A (ja) 1996-02-13
JP3107976B2 true JP3107976B2 (ja) 2000-11-13

Family

ID=16326553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06194559A Expired - Fee Related JP3107976B2 (ja) 1994-07-28 1994-07-28 難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3107976B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0841177A (ja) 1996-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3763842B2 (ja) イミド遷移金属錯体メタセシス触媒
JPH0819316B2 (ja) ジシクロペンタジエン重合体組成物およびその製造方法
JPS6049012A (ja) 熱硬化したジシクロペンタジエン系ポリマー発泡体
JP2663273B2 (ja) エチレン基材の官能ポリマーと多環オレフィンポリマーとからなるアロイの製法および重合性多環オレフィン混合物
JP3107976B2 (ja) 難燃性架橋重合体組成物の製造方法およびそれに用いる硬化性樹脂組成物
JP3205314B2 (ja) 難燃性架橋重合体組成物
JP2815416B2 (ja) ブレンド重合体成型物の製造方法および反応性溶液の組合せ
CN114835556A (zh) 一种含溴降冰片烯衍生物及其制备方法、阻燃型聚双环戊二烯材料
JP2801286B2 (ja) 重合体成型物の製造方法
JP3109175B2 (ja) 架橋重合体の製造方法
US5069943A (en) Process for producing modified molded polymer article
US5171776A (en) Use of chlorinated polymers to increase the hdt and tg of dicyclopentadiene polymers
JPS63260921A (ja) 耐衝撃性架橋重合体成型物の製造方法
JPH0778114B2 (ja) 架橋重合体成型物の製造方法および反応性溶液の組合せ
JPH01204924A (ja) 架橋重合体成型物の製造方法
JPS63222824A (ja) 反応射出成形法
JPS6312612A (ja) 架橋重合体成形物の製造方法及び成形材料原料
JPH0791370B2 (ja) 重合体成型物の製造方法
JP2765933B2 (ja) 反応射出成形法
JPH0791371B2 (ja) 重合体成型物の製造方法
JPH01138222A (ja) 架橋重合体成型物の製造方法
JPH01304115A (ja) 架橋重合体成型物、その製造方法及び反応性溶液の組合せ
JPH02269759A (ja) 重合体成型物の製造方法および反応性溶液の組合せ
JPH02269733A (ja) 可塑化重合体成型物の製造方法および反応性溶液の組合せ
JPH0778115B2 (ja) 架橋重合体成型物の製造方法および反応性溶液の組合せ

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070908

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080908

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080908

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090908

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090908

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100908

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 12

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 12

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130908

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees