JP3106521U - 機能性パルプモールド成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本考案は、通気性、吸湿性、吸液性、耐溶剤性、耐油性、染色性、印刷性、接着性、加工性、素材回収性又は廃棄処理性を向上させると共に、用いられた機能性物質の機能も充分に発現させることができる機能性パルプモールド成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーを用いて所定形状に成形してなるパルプモールド成形体1において、このパルプモールド成形体には、機能性物質である活性炭の粉末3が担持されてなることを特徴とする機能性パルプモールド成形体。
【選択図】図3
【解決手段】紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーを用いて所定形状に成形してなるパルプモールド成形体1において、このパルプモールド成形体には、機能性物質である活性炭の粉末3が担持されてなることを特徴とする機能性パルプモールド成形体。
【選択図】図3
Description
本考案は、紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーを用いて所定形状に成形してなるパルプモールド成形体に機能性物質である活性炭の粉末が担持されてなり、環境に穏やかで、しかも安全性が極めて高く、したがって、生活分野、産業分野及び環境分野等の多分野において大きく貢献、利用される機能性パルプモールド成形体に関する。
20世紀の化学・技術の進歩に機能性材料、特に高分子材料が果たした役割が非常に大きいことは、疑いようのないところである。
高分子材料は、電気絶縁性、誘電性、軽量性等に優れた機能特性を持ち、更に、安価で且つ板、管、繊維、薄膜など種々の形状に加工できる成形加工性にも優れていることから、最近では、機械的強度、耐熱性の飛躍的向上を図ったエンジニアリングプラスチックの出現や、複合材料の開発により、高分子類の航空、宇宙、自動車、機械材料等への使用が実現化されている。
近年では、特殊な機能を持つプラスチック製品の研究開発に多くの努力が払われており、高分子材料に種々の添加物を混入することにより、特殊な機能を付与したプラスチック製品や、耐熱性樹脂や通気性フィルム、情報産業分野での感光性、導電性高分子更に、医療分野での臓器や生体膜に近い機能を持つ高分子などが注目を集めており、多彩な展開が期待されている。
現在まで、このようなプラスチック製品は多岐に亘って研究されており、例えば、高分子材料を成形・加工する際に、忌避剤、脱臭剤、乾燥剤、吸湿剤、香料等の種々の薬剤を配合し、これらの薬剤の機能を付与したプラスチック製品が様々な分野で使用されている。
このような結果、現在、高分子材料を用いた製品(プラスチック製品等)が非常に多くなり、終戦直後は年産1万トン程度であったプラスチック製品は、異常ともいえる成長率によって、現在年産500万トンを超えるに至っており、我々の生活周辺においても、種々のプラスチック製品が豊富に存在し、日常生活と密接に関係している。
ところで、高分子材料に機能性物質を担持してなるプラスチック製品には、担持された機能性物質のうち、当該プラスチック製品の表面近くに存在するもののみ活性であり、プラスチック製品の中程に埋没した機能性物質については、全くと言って良いほど機能しておらず、混練した機能性物質の大部分が無駄になるといった問題、即ち、添加した機能性物質(例えば薬剤)の利用効率(薬剤効率)が悪いといった問題がある。
又、高分子材料からなるプラスチック製品は、廃棄物の中から各プラスチックを純粋な状態で分別し、取り出すことが困難であるため、回収・再利用が極めて困難であり、又、微生物によって分解されず、空気中、水中などでも安定で、分解したり溶解したりし難く、長期に亘って原形をとどめ、環境中に半永久的に残存するため、埋め立て処分等をすることが好ましくなく、更に、燃焼させると高熱を出し、焼却炉内を傷めたり、空気を多量に必要としたり、ダイオキシンなどの有毒ガスを発生したり、更に、コークス化したりして、完全燃焼が困難となるので、安易に焼却処分等もできないのである。
プラスチック製品の使用量が増加するにつれて、廃棄物(ゴミ)の中のプラスチック量が増大するのは当然であり、環境問題やゴミ処理問題の改善のための規制が厳しくなってきている昨今では、このようなプラスチックゴミの処理問題の解決は、避けようのない課題であり、これらプラスチック製品に替わる機能性材料の開発が強く求められている。
従って、今後、21世紀の化学・技術開発については、環境問題やゴミ処理問題をふまえた研究が不可欠であり、特に、このような高分子材料に替わる素材の研究を最優先させるべきである。
この点につき、本考案者は、紙パルプ原料を水に分散させて液状のパルプスラリーとし、これを所定の形状の金型に貼り付けた金網で抄き上げ乾燥することによって、所定形状に成形してなるパルプモールド成形体が、前記プラスチック製品に替わるものとして着目し、これに機能性物質を担持することにより、前記高分子材料からなるプラスチック製品の欠点を解消できる極めて優れたものと成り得るとの知見を得た。
即ち、本考案者は、製造工程上、繊維が網目状に絡み合った構造を有するパルプモールド成形体に機能性物質を担持させることにより、パルプモールド成形体の表面付近に存在する機能性物質のみならず、パルプモールド成形体の内部に包含された機能性物質についても活性を発現させてその機能の効率を向上させることができるとの知見を得たのである。
又、本考案者は、パルプモールド成形体が、紙パルプ原料からなることから、素材回収性及び廃棄処理性に優れ、取り扱いが簡便で、二次公害の発生がなく、環境に悪影響を与えることがないとの知見も得たのである。
更に、本考案者は、紙パルプ原料からなるパルプモールド成形体は、材料自体の性質上、通気性、吸湿性、吸液性、耐溶剤性、耐油性、染色性、印刷性、接着性、加工性に優れるとの知見も得た。
本考案は、これらの知見に基づき完成されたものであり、通気性、吸湿性、吸液性、耐溶剤性、耐油性、染色性、印刷性、接着性、加工性、素材回収性又は廃棄処理性を向上させると共に、用いられた機能性物質の機能も充分に発現させることができる機能性パルプモールド成形体を提供することを目的とする。
本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、前記目的を達成するために、紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーを用いて所定形状に成形してなるパルプモールド成形体において、このパルプモールド成形体には、機能性物質である活性炭の粉末が担持されてなることを特徴とするものである。
本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、各種、機能性物質、特に、機能性物質である活性炭の粉末を担持させるための担持体として、前記パルプモールド成形体を用いた点、に最も大きな特徴を有するのである。
この点においては、高分子材料からなるプラスチック製品に機能性物質を担持させた場合と比較すると、その利点を容易に理解することができる。
即ち、高分子材料からなるプラスチック製品は、廃棄物の中から各プラスチックを純粋な状態で分別し、取り出すことが困難であるから、回収・再利用が極めて困難であり、又、微生物によって分解されず、空気中、水中などでも安定で、分解したり溶解したりし難く、長期に亙って原形をとどめ、環境中に半永久的に残存するため、埋め立て処分などを行うことが好ましくなく、更に、燃焼させると高熱を出し、焼却炉内を傷めたり、空気を多量に必要としたり、有毒ガスを発生したり、更に、コークス化したりして、完全燃焼が困難であるため焼却処分等も好ましくないのである。
又、高分子材料に機能性物質を混練した後、これを各種プラスチック製品に成形した場合には、担持された機能性物質のうち、当該プラスチック製品の表面近くに存在するもののみ活性であり、プラスチック製品の中程に埋没した機能性物質については、全くと言って良いほど機能しておらず、混練した機能性物質の大部分が無駄になるといった問題もある。
これに対して、本考案においては、担持体としてパルプモールド成形体を用いているため、当該パルプモールド成形体の表面近傍に存在する機能性物質のみならず、パルプモールド成形体の中程に埋没した機能性物質についても充分に活性を発現するのであり、担持した機能性物質の全てがその機能を充分に発現できるのである。
又、パルプモールド成形体はその性質上、通気性、吸湿性、吸液性、耐溶剤性、耐油性、染色性、印刷性、接着性、加工性を有する極めて優れた素材であるため、高分子材料からなるプラスチック製品では到底達成できない優れた機能を発現させることができる。
更に、パルプモールド成形体は紙パルプ原料からなることから、素材回収性に優れ、故紙回収ルートは全国的に確立しているので、回収率が著しく高い結果、回収・再利用が容易であり、又、廃棄処理性に優れることから、埋め立て処分や焼却処分も問題なくできるため、使用後の取り扱いが簡便で、しかも二次公害の発生がなく、環境に悪影響を与えることがないのである。
本考案は、前記技術的思想を基に完成されたものであり、以下、本考案を詳細に説明する。
本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、例えば紙パルプ原料を水に分散させて液状のパルプスラリーとし、これを所定形状の金型に貼り付けた金網で抄き上げ乾燥することによって、所定形状に成形してなるものであるが、前記紙パルプ原料としては、現在製紙工業で使用されている主なパルプを用いることができる。
具体的には、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ又は古紙パルプ等が挙げられるのであり、この他にも麻パルプ、リンダーパルプ、わらパルプ又は合成パルプ等の非木材パルプを用いることができる。
そして、これらのパルプ原料を水で分散させたものがパルプスラリーとなる。
このパルプスラリーからパルプモールド成形体を成形する手段としては、特に限定されるものではなく、公知の成形手段を適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば複数の穴を開けた金型の表面に金網を張り、前記金型にパルプスラリーを流し込んだ後に、金網の裏から水と空気を引き抜いてパルプスラリーを金網の表面に付着させ、乾燥した後に金網から剥がして成形する手段や、高濃度のパルプスラリーを凸凹の金型でプレスして成形する手段等を挙げることができる。
そして、一般的に使用されているパルプモールド成形体を成形する装置としては、他面成形機、成形型上下動成形機、反転式成形機、上下動反転式成形機、ロータリー式成形機及び予備乾燥付成形機等を挙げることができるが、本考案においては、これらの成形装置を成形体の形状に応じて適宜選択して使用することができる。
ところで、このパルプモールド成形体においては、機能性物質が担持されてはいないので、当該パルプモールド成形体には機能性物質を担持させる必要があるが、この機能性物質の担持方法としては、機能性物質の活性を損なうものでなければ特に限定されるものではない。
具体的には、例えば前記パルプモールド成形体の一部ないし全部には、機能性物質である活性炭の粉末或いはその分散液を塗工し、活性炭など機能性物質を担持させてなるものが挙げられる。
この方法によれば、既存のパルプモールド成形体に機能性物質を塗工(例えば印刷)等を行うことができるため、機能性パルプモールド成形体に求められる強度に応じたパルプモールド成形体を適宜使用することができるといった利点がある上、既存の成形設備・施設を用いることができるので望ましい。
又、本考案において、前記パルプモールド成形体の一部ないし全部に機能性物質を担持させる他の方法としては、例えばパルプモールド成形体の一部ないし全部には、機能性物質である活性炭の粉末などを圧入し、担持させてなるものも挙げられる。
この方法は、例えば複数の穴を開けた金型の表面に金網を張り、前記金型にパルプスラリーを流し込んだ後や流し込みつつ、その上に機能性物質である活性炭、更に所望により他の機能性物質を分散、添加し、次いで、金網の裏から水と空気を引き抜いてパルプスラリーと共に、機能性物質を金網の表面に付着させ、乾燥した後に金網から剥がして成形してなるもの、或いは高濃度のパルプスラリーを凸凹の金型でプレスして成形するにあたり、当該高濃度のパルプスラリーを凸凹の金型に流し込んだ後、その上に機能性物質である活性炭、更に所望により他の機能性物質を分散、添加し、次いで、これを成形してなるものや、機械的に機能性物質である活性炭をパルプモールド成形体に圧着するもの等が挙げられる。
更に、本考案において、前記パルプモールド成形体の一部ないし全部に機能性物質を担持させる他の形態としては、例えばパルプモールド成形体の一部ないし全部に形成された粘着層に機能性物質である活性炭の粉末などを担持させてなるものが挙げられる。
この場合においては、粘着層の粘着力を利用して機能性物質である活性炭の粉末、更に所望により他の機能性物質を粘着、固定するものであり、これによって、機能性物質が担持されるだけでなく、粘着層の表面が機能性物質で被覆されるので、粘着層を設けたことによる弊害、たとえばゴミや塵を吸着するなどの弊害が発生しないのである。
そして、本考案において、粘着層が機能性物質の機能を充分に発現させるために、多孔質の粘着層を用いるのが好ましく、この多孔質の粘着層としては特に限定されるものではないが、ホットメルト系の粘着剤をメルトブロー方式で積層したものが多孔質の割合が高いので最も望ましい。
ところで、本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、特に、以下に説明するものが最も望ましい。
即ち、本考案においては、紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーに機能性物質である活性炭の粉末を分散、配合してなるものを所定形状に成形してなるものが最も望ましい。
本考案において、このように構成された機能性パルプモールド成形体は、パルプモールド成形体のほぼ全体に亘って均一に機能性物質を分散することができるので、当該機能性物質の機能を充分に発揮できる利点を有する。
この場合、添加する機能性物質(後述する活性炭以外の機能性物質を含む場合は全機能性物質)の量は、紙材料の種類、或いは作成後の機能性パルプモールド成形体に求められる強度によって、適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的には、紙材料100重量部に対して、機能性物質5〜100重量部程度であることが好ましく、特に、7.5〜80重量部とするのが好ましい。
本考案において、機能性物質の配合割合が、紙材料100重量部に対して、5重量部未満では少な過ぎて当該機能性物質の機能を充分に発揮できないので好ましくなく、一方、100重量部を超えると、機能性物質の効果に限界が生じるだけでなく、成形体の強度や経済性に課題が発生するので好ましくない。
ところで、本考案においては、前記した機能性物質である活性炭の粉末に、更に他の機能性物質が混合されてなる機能性パルプモールド成形体も好ましく、このように構成すると、この他の機能性物質が発現するので一層望ましい。
この機能性物質としては、前記機能性パルプモールド成形体の用途、利用方法に応じて、脱臭剤、消臭剤、殺菌剤、抗菌剤、防黴剤、脱酸素剤、吸水剤、小動物忌避剤、殺虫剤又は芳香剤等を、機能性物質である活性炭と共に、併用しても良く、これによって、各種機能の向上を実現できるのである。
この具体的な機能性物質の例としては、例えば、脱臭作用及び/又は吸水作用を有する吸着剤や犬、猫、ネズミ、鳥、虫等の小動物を忌避する作用を有する小動物忌避剤を挙げることができる。
前記小動物忌避材としては、既知の小動物忌避剤を用いることができるので、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば橙皮油、レモン油、ベルガモット油、ういきょう油、松葉油、ハッカ油、テレビン油、樟脳油等の如き柑橘類の精油、リモネン等の如きテルペン類、カラシ又はわさび等或いはこれらに含まれる辛味成分(カプサイシンや安息香酸デナトニウム等)、その他、木酢油、天然ゴム、ケロシン、カプリンアルデヒド、カプリルアルデヒド、シラトール、酢酸、タンニン、植物抽出油等を挙げることができるのであり、本考案においては、これらの物質から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができる。
又、前記吸着剤としては、変性し難く、水分や臭い成分を吸着・保持する物質であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば酸化カルシウムや酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属や遷移金属の酸化物、水酸化物或いは塩化物、更に、シリカゲル、ゼオライト、パーライト、パーミキュライト、アルミナ、活性炭又は活性白土等を挙げることができるのであり、本考案においては、これらの物質から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができる。
又、本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいては、所望により、前述の機能性物質を担持させる手段を併用して用いても良いのである。
本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいて、機能性物質である活性炭は、その吸着・浄化効果、保水・保肥効果、遠赤外線照射効果、マイナスイオン発生効果及び調湿効果等を有し、環境に穏やかで、しかも無害且つ安全性が極めて高い上、故紙の回収・再利用ルートは全国的に確立されて回収率が著しく高く、したがって、生活分野、産業分野及び環境分野等の多分野において大きく貢献、利用される。
従って、本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、その製造工程は確立されて種々の形状に成形できるのであり、その用途は多岐にわたるため、本考案においては、その用途を一概に限定することはできないが、具体的には、例えば当該機能性パルプモールド成形体が、鶏卵や青果物などの食品を梱包・保護するための食品用トレイ、活性炭の抗菌・殺菌作用を利用した食品容器、製品の仕切り固定体、工業製品のトレイ、ガラス瓶や電化製品などの工業製品を梱包、保護するための緩衝体、植物栽培用の植木鉢、育苗ポット、衛生陶器、招き猫などの縁起物、犬張子などの魔除・安産製品、又は犬、猫、鳥、虫等の小動物を忌避する作用を有する小動物忌避体等が挙げられる。
又、本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、このような成形体に成形されることによってその担持された機能性物質の機能を充分に発現できるのであり、しかも従来の発泡スチロールが用いられていた分野において、当該発泡スチロールに代えて、この機能性パルプモールド成形体を用いることができるので、再生・再利用が可能になる上、環境を破壊しないので最も望ましいのである。
本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいては、前記構成を有し、当該機能性パルプモールド成形体がパルプで形成されて多孔質であるから、表面部の機能性物質だけでなく、当該成形体の内部に埋没した機能性物質も充分に機能を発現する結果、添加した機能性物質が極めて有効に利用されるなどの効果を奏するのである。
又、本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいては、当該機能性パルプモールド成形体がパルプで形成されているから、当該パルプの回収・再利用が極めて容易であり、又、微生物によって分解され易く、空気中、水中などでも分解したり溶解したりする結果、環境に穏やかで、埋め立て処分等を行うことができるうえ、燃焼させても焼却炉内を傷めることがなく、しかも焼却の際にダイオキシン等の有毒ガスを発生することもなく、安全・衛生性等の観点からも極めて優れるなどの効果を奏するのである。
更に、本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいて、パルプモールド成形体は、紙パルプ原料からなることから、故紙の回収・再利用ルートは全国的に確立されて回収率が著しく高く、したがって、素材回収性及び廃棄処理性に優れ、取り扱いが簡便で、二次公害の発生がなく、環境に悪影響を与えることがないなどの効果を奏するのである。
本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいては、機能性物質である活性炭が、その吸着・浄化効果、保水・保肥効果、遠赤外線照射効果、マイナスイオン発生効果及び調湿効果等を有し、しかも原料紙パルプとの関連において、環境に穏やかで、無害且つ安全性が極めて高い上、生活分野、産業分野及び環境分野等の多分野において大きく貢献、利用されるなどの効果を奏するのである。
加えて、本考案に係る機能性パルプモールド成形体おいては、紙パルプ原料からなるパルプモールド成形体が、材料自体が有する良好な通気性、吸湿性、吸液性、耐溶剤性、耐油性、染色性、印刷性、接着性、加工性、素材回収性又は廃棄処理性が発現するので、各種用途に有効に利用できるなどの効果を奏するのである。
又、本考案に係る機能性パルプモールド成形体においては、このような成形体に成形されることによってその担持された機能性物質の機能を充分に発現できるのであり、しかも従来の発泡スチロールが用いられていた分野において、当該発泡スチロールに代えて、この機能性パルプモールド成形体を用いることができるので、再生・再利用が可能になる上、環境を破壊しないのでこの点からも有用であるなどの効果を奏するのである。
以下、本考案を実施例に基づき詳細に説明するが、本考案はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1は、本考案の機能性パルプモールド成形体1においてその一部を示す要部断面図であり、この場合、この機能性パルプモールド成形体1は、紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーに機能性物質3を分散、配合することによって、パルプモールド成形体2に機能性物質3を担持させてなるものである。
図2は、本考案の他の機能性パルプモールド成形体1においてその一部を示す要部断面図であり、この機能性パルプモールド成形体1は、パルプモールド成形体2の表面に形成された多孔質粘着層4に機能性物質3を分散して当該パルプモールド成形体2に該機能性物質3を担持させてなるものである。
この場合、この多孔質粘着層4はホットメルト系の粘着剤をメルトブロー方式で形成したものである。
この場合、この多孔質粘着層4はホットメルト系の粘着剤をメルトブロー方式で形成したものである。
前記機能性物質3として以下のものを用いた。
即ち、機能性物質3としてヒノキチオールを含浸してなる活性炭を用いた。
そして、図示しないが、複数の穴を開け、且つ植木鉢の形状をした金型の表面に金網を張り、前記金型にパルプスラリーを流し込みつつ、その上に活性炭とヒノキチオールとから成る機能性物質3を分散、添加し、次いで、金網の裏から水と空気を引き抜いてパルプスラリーと共に、機能性物質3を金型の表面に付着させ、乾燥した後に金網から剥がして成形することにより、図3に示す、植木鉢としての本考案の機能性パルプモールド成形体1を得た。
この場合、パルプ原料100重量部に対し、活性炭とヒノキチオールとから成る機能性物質3が30重量部となるように設計した。
即ち、機能性物質3としてヒノキチオールを含浸してなる活性炭を用いた。
そして、図示しないが、複数の穴を開け、且つ植木鉢の形状をした金型の表面に金網を張り、前記金型にパルプスラリーを流し込みつつ、その上に活性炭とヒノキチオールとから成る機能性物質3を分散、添加し、次いで、金網の裏から水と空気を引き抜いてパルプスラリーと共に、機能性物質3を金型の表面に付着させ、乾燥した後に金網から剥がして成形することにより、図3に示す、植木鉢としての本考案の機能性パルプモールド成形体1を得た。
この場合、パルプ原料100重量部に対し、活性炭とヒノキチオールとから成る機能性物質3が30重量部となるように設計した。
この植木鉢に、ハーブ(バジル)を植えつけた後、二週間経過後の状態を観察した。
比較例1として、発泡スチロールで形成した植木鉢を用い、実施例1と同様にハーブ(バジル)を植えつけた後、二週間経過後の状態を観察した。
又、比較例2として、機能性物質を担持していないパルプモールド成形体製の植木鉢を用い、実施例1と同様にハーブ(バジル)を植えつけた後、二週間経過後の状態を観察した。
二週間経過後の状態を目視により観察したところ、比較例1の発泡スチロール製植木鉢と、比較例2の機能性物質を担持していないパルプモールド成形体製の植木鉢については、植えつけたハーブ(バジル)に、小さな虫がたくさん付いていることが確認された。
これに対して、実施例1の機能性パルプモールド成形体からなる植木鉢に植えつけたハーブ(バジル)には、殆んど虫は付いていないことが確認された。
又、実施例1の植木鉢に植えつけたハーブ(バジル)と比較例1・2の植木鉢に植えつけたハーブ(バジル)とのハーブ(バジル)の成長状態を比較したところ、実施例1の植木鉢に植えつけたハーブ(バジル)の方がその高さや繁りの状態において、2割程度高く、しかも繁りの状態も良好であることが認められた。
この理由については、明確ではないが、機能性物質である活性炭にチッ素、リン酸、カリ等の栄養素が保持され、この保持された栄養素が徐々に滲み出してハーブ(バジル)に効率良く吸収された為と解される。
図示しないが、複数の穴を開け、且つ青果物トレイの形状をした金型の表面に金網を張り、前記金型にパルプスラリーを流し込みつつ、その上に活性炭から成る機能性物質3を分散、添加し、次いで、金網の裏から水と空気を引き抜いてパルプスラリーと共に、機能性物質3を金型の表面に付着させ、乾燥した後に金網から剥がして成形することにより、図4に示す、青果物トレイとしての本考案の機能性パルプモールド成形体1を得た。
この場合、パルプ原料100重量部に対し、活性炭から成る機能性物質3が30重量部となるように設計した。
この場合、パルプ原料100重量部に対し、活性炭から成る機能性物質3が30重量部となるように設計した。
この青果物トレイに果物(ハウス温州みかん 和歌山県産)13個を入れ、これを6月18日〜6月28日の10日間、弊社試験室(温度26℃〜31℃)に放置後の状態を観察した。
比較例3として、発泡スチロールで形成した青果物トレイを用い、実施例2と同様に果物(ハウス温州みかん 和歌山県)を入れた後、実施例2と同条件下で、弊社試験室に放置後の状態を観察した。
又、比較例4として、機能性物質を担持していないパルプモールド成形体製の青果物トレイを用い、実施例2と同様に果物(みかん)を入れた後、実施例2と同条件下で、弊社試験室に放置後の状態を観察した。
10日間放置後の状態を目視により観察したところ、比較例3の発泡スチロール製の青果物トレイに入れた果物(みかん)のうち8個が、当該トレイに接触していた部分において「傷み」や「黴」が発生していることが確認された。
又、比較例4の活性炭を担持していない通常のパルプモールド成形体製の青果物トレイに入れた果物(みかん)については、そのうち5個が当該トレイに接触していた部分において「傷み」や「僅かに黴」が発生していることが確認された。
一方、実施例2の機能性パルプモールド成形体からなる青果物トレイに入れた果物(みかん)については、全く「傷み」が発生していないことが確認された。
このように、実施例2のものと比較例3・4のものとを比較すると、実施例2のものが著しく優れた結果がでた理由については、以下の理由によるものと解される。
即ち、比較例3及び比較例4のものは、温州みかんの放置中に当該温州みかんから植物ホルモンの一種であるエチレンガスが発生し、このエチレンガスが温州みかんの追熟を促進して傷口ができると共に、この傷口には糖分を多量に含む果汁が存在して黴が発生し易くなった為と解される。
これに対して、実施例2のものは、温州みかんの放置中に発生した植物ホルモンの一種であるエチレンガスが速やかに機能性物質である活性炭に吸収される結果、当該温州みかんの追熟が防止されるので、黴が発生し難いだけでなく、この活性炭から照射される遠赤外線効果によって、黴の発生が抑制されたり、抗菌・殺菌作用が発現した為と解される。
図示しないが、複数の穴を開け、且つ卵パックの形状をした金型の表面に金網を張り、前記金型にパルプスラリーを流し込みつつ、その上に活性炭から成る機能性物質3を分散、添加し、次いで、金網の裏から水と空気を引き抜いてパルプスラリーと共に、機能性物質3を金型の表面に付着させ、乾燥した後に金網から剥がして成形することにより、図5に示す、卵パックとしての本考案の機能性パルプモールド成形体1を得た。
この場合、パルプ原料100重量部に対し、活性炭から成る機能性物質3が30重量部となるように設計した。
この場合、パルプ原料100重量部に対し、活性炭から成る機能性物質3が30重量部となるように設計した。
この卵パックに生み立ての卵(和歌山県産)10個を入れ、これを5月28日〜6月28日の1カ月間、弊社試験室(温度24.5℃〜30℃)に放置後、卵を割って「臭い」や「黄身」の状態を観察した。
比較例5として、発泡スチロールで形成した卵パックを用い、実施例3と同様にこの卵パックに生み立ての卵(和歌山県産)10個を入れた後、実施例3と同条件下で、弊社試験室に放置後、卵を割って「臭い」や「黄身」の状態を観察した。
又、比較例6として、機能性物質を担持していないパルプモールド成形体製の卵パックを用い、実施例3と同様にこの卵パックに生み立ての卵(和歌山県産)10個を入れた後、実施例3と同条件下で、弊社試験室に放置後、卵を割って「臭い」や「黄身」の状態を観察した。
1カ月間放置後の割った卵の「臭い」や「黄身」の状態を観察したところ、比較例5の発泡スチロール製の卵パックに入れた卵は全て硫化水素の臭いがすると共に、黄身が崩れていることが確認された。
又、比較例6の活性炭を担持していない通常のパルプモールド成形体製の卵パックに入れた卵については、比較例5のものと比較すると良好であったが、硫化水素の臭いあり、又、黄身が崩れているのが確認された。
一方、実施例3の機能性パルプモールド成形体からなる卵パックに入れた卵については、臭いが、全く感じられないものとごく僅かに感じられるものとが存在しており、又、黄身の状態については少し皺がよる程度であることが確認された。
このように、実施例3のものと比較例5・6のものとを比較すると、実施例3のものが著しく優れた結果がでたが、その理由としては、比較例5・6のものについては卵から腐敗ガスが発生し、この腐敗ガスが一層卵の腐敗を促進するのに対して、実施例3のものについては、発生した腐敗ガスを活性炭が速やかに吸収して当該腐敗ガスによる卵の腐敗を抑制すると共に、活性炭によって照射される遠赤外線効果によっても、抗菌・殺菌作用などによって、卵の腐敗が抑制されたものと解される。
1 機能性パルプモールド成形体
2 パルプモールド成形体
3 機能性物質
4 多孔質粘着層
2 パルプモールド成形体
3 機能性物質
4 多孔質粘着層
Claims (8)
- 紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーを用いて所定形状に成形してなるパルプモールド成形体において、このパルプモールド成形体には、機能性物質である活性炭の粉末が担持されてなることを特徴とする機能性パルプモールド成形体。
- パルプモールド成形体の一部ないし全部には、機能性物質である活性炭の粉末或いはその分散液を塗工し、活性炭など機能性物質を担持させてなる請求項1に記載の機能性パルプモールド成形体。
- パルプモールド成形体の一部ないし全部には、機能性物質である活性炭の粉末を圧入し、担持させてなる請求項1に記載の機能性パルプモールド成形体。
- パルプモールド成形体の一部ないし全部に形成された粘着層に機能性物質である活性炭の粉末を担持させてなる請求項1に記載の機能性パルプモールド成形体。
- 粘着層が多孔質粘着層である請求項4に記載の機能性パルプモールド成形体。
- 紙パルプ原料及び/又はパルプスラリーに機能性物質である活性炭の粉末を分散、配合してなるものを所定形状に成形してなることを特徴とする機能性パルプモールド成形体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の機能性パルプモールド成形体には、機能性物質である活性炭の粉末に更に他の機能性物質が含浸及び/又は混合されてなる機能性パルプモールド成形体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の機能性パルプモールド成形体が、鶏卵や青果物などの食品を梱包・保護するための食品用トレイ、食品容器、製品の仕切り固定体、工業製品のトレイ、ガラス瓶や電化製品などの工業製品を梱包、保護するための緩衝体、植物栽培用の植木鉢、育苗ポット、衛生陶器、招き猫などの縁起物、犬張子などの魔除・安産製品又は犬、猫、鳥、虫等の小動物を忌避する作用を有する小動物忌避体である請求項1に記載の機能性パルプモールド成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004004082U JP3106521U (ja) | 2004-07-09 | 2004-07-09 | 機能性パルプモールド成形体 |
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JP2004004082U JP3106521U (ja) | 2004-07-09 | 2004-07-09 | 機能性パルプモールド成形体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3175985B1 (de) | 2011-06-24 | 2017-11-29 | Smurfit Kappa Hoya Papier und Karton GmbH | Fasererzeugnis für verpackungen |
JP7562101B2 (ja) | 2021-03-10 | 2024-10-07 | レンゴー株式会社 | 鉢物出荷用の包装材 |
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2004
- 2004-07-09 JP JP2004004082U patent/JP3106521U/ja not_active Expired - Fee Related
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