JP3103862U - 電子カルテ医療システム装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 医療行為の補助的な手助けとなるコンピュータによる医療システム装置を提供し、なおかつ、システム装置の単純化と処理の高速化を目的とする。
【解決手段】 コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、選択された診療内容に対して、(1)前記選択された診療内容についてしなければならない事項、(2)前記選択された診療内容についてしてはならない事項、を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
【選択図】 図2
【解決手段】 コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、選択された診療内容に対して、(1)前記選択された診療内容についてしなければならない事項、(2)前記選択された診療内容についてしてはならない事項、を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
【選択図】 図2
Description
本考案は、医療行為および関連する業務を直接的あるいは間接的に援助するコンピュータ処理システム装置に関する。
現在、あらゆる分野にコンピュータが浸透している。医療分野においても、その例外ではない。たとえばコンピュータグラフィックを用いて脳や心臓などを3次元映像としてディスプレイ画面上に映し出し、病名の解明や治療に役立ている。
またインターネットなどのコンピュータ通信の発達によって、通信による遠隔医療も提案されている。たとえば、コンピュータのディスプレイ画面やテレビ画面などに患者の患部を映し出し、医師の遠隔指示による治療が行われている。また、救急車内から病人の病状や患部をテレビ映像として病院に待機している医師のもとに送り、医師が映像をみながら救急車内の関係者に指示を出し、応急処置を施すというものがある。ただし現在行われている多くは、コンピュータ通信である必要はなく、映像と音声が双方向通信できる装置があればよいという程度のものである。
図1は、インターネットに掲載の『お医者さん支援データベース・メディカルテ』(http://www1.con.ne.jp/〜medical/)のシステムフローチャートである。電子カルテを介して受付業務から会計業務までを患者の医療情報を一括管理している。このメディカルテでは、過去の検査、処方を時系列で表示し、問診機能を備え、病名、検査名等を随時検索が行える。また、ネットワークで情報を共有使用が可能であり、情報の開示機能を備えている。このように、メディカルテの特徴は電子カルテとレセプト機能を兼ね備えていることである。
一方、問診から検査、治療・処置を目的とした『医科歯科医療支援システム』がある。このシステムでは、受付業務、会計業務(レセプト)、データの保存、情報の開示を行う電子カルテシステムであるが、単に電子カルテを目的としたものではなく、医師への治療・処置の支援、治療・処置中に入力したデータの電子カルテへのデータコピー機能などを備えている。このシステムは、あらゆる病名、あらゆる治療・処置を対象にしたシステムであるが、現在のところ、歯科を中心とした医療支援となっている。
従来の電子カルテの特徴は、真正性、見読性、保存性の3要素を確保したうえ、入力の操作性の向上とセキュリティに重点が置かれている。その多くは、手書きのカルテから電子化されたカルテへの移行である。カルテを電子化することによって得られる特徴を生かした機能としては、情報検索のスピード化、統計処理、会計処理、情報の共有化、情報開示機能強化などが付加されている。しかし、基本的にはカルテをもとに情報の加工が中心となっている。レセプト機能もその一環といえるものである。
古くからコンピュータによる医療支援が、数多く提案されてきた。その一つに、症状から病名を決定し、なおかつその治療・処置を決定しようとする試みがある。しかし、完全な形での、言い換えれば完全にコンピュータが自動診断する形態の、医療支援ソフトウェアはまだ完成していない。その一因として、医学における病名やその治療・処置は多岐にわたっているために、すべてを網羅することは現在のコンピュータ能力で対処するには難しいことが挙げられる。
仮にすべての医療事項を網羅できたとしても、またコンピュータの処理能力が要求するシステムに対応できたとしても、症状だけで単純に病名を決定し、かつその病名の治療法が画一的に決定できるほど、医療行為は単純ではない。そのため、病名の決定、治療・処置、その事後処理等を決定するアルゴリズムを確立することができないのが現状である。
医師の業務の中で、患者の病歴をまとめること(以下、病歴要約作成)は最も手間がかかる事務的な作業である。しかも、紹介状作成において患者の病歴をまとめることは、特に迅速な対応が求められている。この病歴要約作成は、すべての診療記録(いわゆるカルテ)に目を通し、その中から重要と判断される内容を選び出し、転記してまとめるという作業で行われている。
また、診療記録の媒体を電子化(デジタル化)しても、作業としては同様である。したがって、電子化した診療記録をサーバーに集中管理したり、磁気ディスクに保存して複数の医療機関でデータの共有化を図ったとしても、実際の診療行為に最も必要となる病歴要約が共有化されるわけではなく、患者の医療機関の間の移動に伴い、診療要約(紹介状)の代用となるものではない。
本考案が解決しようとする課題は、電子カルテを単にレセプトやデータの保存の道具だけとしての利用の仕方ではなく、医師の医療行為の補助的な手助けとなるコンピュータによる医療システム装置を提供し、なおかつ、システムの単純化と処理の高速化を目的とした、電子カルテ医療システム装置を開発することである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載された本考案では、コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、選択された診療内容に対して、(1)前記選択された診療内容についてしなければならない事項、(2)前記選択された診療内容についてしてはならない事項、を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置とする。
請求項2に記載された考案は、コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、症状に対応する疾患名を選択し、治療方針を選択する際に、(1)前記選択された疾患について処置しなければならない事項、(2)前記選択された疾患について禁止される事項、を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置である。
請求項3に記載された考案は、コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、症状に対応する疾患名を選択する際に、(1)前記症状に対して、頻度の高い順に疾患名を表示する表示装置、および、治療方針を選択する際に、(2)前記選択された疾患について処置しなければならない事項、(3)前記選択された疾患について禁止される事項を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置である。
請求項4に記載された考案は、コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、慢性疾患名を選択し、治療方針を選択する際に、(1)前記選択された慢性疾患について処置しなければならない事項、(2)前記選択された慢性疾患について専門医に紹介する時期を示す事項(3)前記選択された慢性疾患のフォローアップFAQを必要に応じて表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置である。
請求項5に記載された考案は、コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、選択された診療内容に対して、(1)前記選択された診療内容についてしなければならない事項、(2)前記選択された診療内容についてしてはならない事項、(3)前記選択された診療内容について、保険内容に関する事項を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置である。
本考案の装置の医療行為に対するアシストは、すべての医療行為を網羅するのではなく、頻度の高い疾患に絞り込み、診察、検査、処置に対して行ってはいけない行為(DON’T事項)、しなければならない行為(DO事項)、問診、診察、検査時のコツ、さらには慢性期の患者に対する処置など、医療の限られた範囲に絞り込んでいる点が特徴的である。
初診から診察および事後処理までを一貫して管理・アシストするコンピュータによる医療システム装置において、来院する初診の患者に対して、頻度の高い疾患を表示一覧表として表示し、医師に病名を選択させる手段、診察、処置に当たっては、医師がしなければならない行為(DO事項)、やってはいけない行為(DON’T事項)、および問診・検査の要点等を表示し、医師に対して再チェックを促す手段を備えたクイックマニュアル機能付き電子カルテ医療システム装置とする。
頻度の高い疾患をデータベースに登録しておき、問診時、その疾患名を画面に表示し、医師が診察時に表示された疾患を選ぶことによって、それに対する疾患に対応するクイックマニュアルが参照できる形態にする。このときの表示する疾患は、通常診察に訪れる患者(来院患者)の8割程度がカバーできるものを予め選択して登録しておく。具体的には、通常の来院患者の8割をカバーできる疾患は20程度である。
一方、慢性期の患者の診察に対して、慢性期にチェックしなければならない事項、専門医に紹介する時期のタイミング、慢性疾患フォローアップのFAQ等を適時に参照することができる手段を備えたアシスト機能付き電子カルテ医療システム装置を用意する。
また、診察の結果、病名に対する検査や薬の処方する際に、診断時と同様に、DO事項、DON’T事項により、医師の注意を促すとともに、診察結果を要求する患者に対しては必要な情報を提示する。提示の仕方は、直接医師による画面表示して直接説明する方法と、カルテを印刷して患者に渡す手段を備える。薬の情報としては、薬価、効能、効果、容量、副作用とその頻度、その他添付文書の概要をクイック表示し、処方をアシストする。
病院と患者との間で多いトラブルとして治療費がある。このような問題を解決するために、本考案では保険でどの程度の検査や治療が行えるかを、電子カルテの保険項目から割り出して決定する。検査を行うかどうかの判断基準として、保険の種別と年齢を加味する。この場合、年齢とくに高齢者を対象に重点的にチェックする。
上記のクイックマニュアル機能、アシスト機能によって選択した内容は、切り取って電子カルテに貼り付けることによって、電子カルテ作成の補助手段を提供する。
日常診療の診療記録作成時に、今後とも参考にすべき病態の変化が発生したとき、また、重要と判断される検査結果などを追記する機能を設ける。診察時に、その日の記録のうち病歴要約に追加しておくべき部分を反転選択し、「要約追記ボタン」を押すだけで自動的に、病歴要約に追記されるという機能である。この要約は追記していくという方法で経時的にテキストデータとなる。後日、紹介状作成などで病歴要約が必要となったときには、それまでの診療記録をすべて参照するという手間が省け、迅速な事務処理が可能となる。
本考案の内容を具体的に説明する。図2は、本考案のカバーする業務フローを示している。基本的には、
問診→受付→診察→オーダーリング→会計(レセプト)→薬剤
という一連の流れになっている。オーダーリングは検査依頼、薬剤処方、栄養指導、入院手続き、会計等へのオーダーである。この流れ自体はごく一般的なものであるが、診察、検査、薬剤処方においては、クイックマニュアル機能、照会機能、アシスト機能によって医師の医療行為をサポートする。
問診→受付→診察→オーダーリング→会計(レセプト)→薬剤
という一連の流れになっている。オーダーリングは検査依頼、薬剤処方、栄養指導、入院手続き、会計等へのオーダーである。この流れ自体はごく一般的なものであるが、診察、検査、薬剤処方においては、クイックマニュアル機能、照会機能、アシスト機能によって医師の医療行為をサポートする。
受付処理では新患登録(患者マスターデータベースへの登録)、初診受付、再診受付を行う。診療では、電子カルテの入力、サポートシステム(クイックマニュアル、アシスト)、各種照会、診察/薬剤等のオーダーリングを行う。会計(レセプト)は、既存のソフトウェアを利用することも可能である。外部検査では電子カルテと検査依頼内容を外部検査機関に提示する。このとき、デジタルデータフォーマット開示されたものを前提とする。介護看護では、結果データの収集を行う。経営統計では、各種提示データをもとに経営状態を示す統計資料を作成する。なお、外部検査、介護看護、経営統計は本考案の中には含まれない。
患者が初めて病院あるいは医院に訪れたとき、すなわち初診時、受付で予診表(アンケート用紙)に患者の氏名、住所、アレルギー、病歴、来院目的等を入力する。また医師は問診・診療で体温、血圧、脈拍などの、予診表の補助項目を記録する。医師の口頭による問診時、画面に頻度の高い疾患を表示し、予診表と口頭問診から疾患(病名)を選択して決定する。ここで表示される疾患は考えられるすべての疾患ではなく、来院患者の8割方がカバーできる範囲である。数にして約20の疾患である。
したがって、この範疇にない疾患に対しては、医師はその場で直接疾患を手入力するか、あるいは問診表に手書きで記入し、のちに電子カルテに登録する。もちろん、病名一覧表を表示して選択する方法も可能である。この場合は、通常、50音順に病名を並べて選択しやすい形態にする。
疾患を選択後、それに対応するクイックマニュアルがある場合には、クイックマニュアルボタンが点灯し、そのボタンをクリックすると、クイックマニュアルが表示される。クイックマニュアルには、
(1)せねばならない行為(DO事項、検査、処置)
(2)やってはいけない行為(DON’T事項)
(3)問診および検査のコツ
等が表示され、医師に対して再チェック行為を促す。
(1)せねばならない行為(DO事項、検査、処置)
(2)やってはいけない行為(DON’T事項)
(3)問診および検査のコツ
等が表示され、医師に対して再チェック行為を促す。
一方、慢性期の患者の診察に対しても同様な機能が付いていて、疾患(病名)を入力すると、それに対応するアシストボタンが点灯する。このボタンをクリックすると、クイックマニュアルと同様に、
(1)慢性期にチェックすべき項目
(2)専門医に紹介するタイミング
(3)慢性疾患のフォローアップFAQ
が表示され、医師への医療行為のアシスト(助言)をする。このアシスト項目の表示は、アシストボタンをクリックすることによって適時に参照することができる。
(1)慢性期にチェックすべき項目
(2)専門医に紹介するタイミング
(3)慢性疾患のフォローアップFAQ
が表示され、医師への医療行為のアシスト(助言)をする。このアシスト項目の表示は、アシストボタンをクリックすることによって適時に参照することができる。
薬の処方、検査についても同様に、DO項目、DON’T項目を用意しておき、アシストボタンのクリックによってアシスト内容が表示される。この場合、各アシスト内容は、薬名、検査名と対応させた形でデータベースが作られている。具体的には、図3以下で説明する。
図3は、本考案の電子カルテ医療システム装置のシステム構成を概念的に示した図である。クイックマニュアルDB、アシストDB、病名DB、電子カルテDBはサーバーが一括管理し、各診療室、検査室、受付とはLAN接続されている(DB:データベース)。図ではアシストDBを一つにしてあるが、実際には慢性期患者用DB、薬DB、検査DBなどに細分される。なお、作図DBは人体の各部位図を用意したデータベースであり、肝臓、腎臓、胃などの図がイメージデータとして登録されている。また、病名DBはすべての病名が登録されたデータベースであり、医師が病名をキー入力しなくても、画面に病名を表示し、選択して病名を電子カルテに入力することができるように用意されたものである。
本考案の装置では疾患を絞り込むことによって、データベースの軽量化と処理速度のアップを図っている。図4は、疾患とクイックマニュアルおよびアシスト事項、薬とその説明文の関連を示す図である。(1)はクイックマニュアルDB、(2)は慢性期アシストDB、(3)検査DB、(4)は薬DBである。疾患(病名)テーブル、慢性期疾患テーブル、検査テーブル、薬テーブルを親とし、その下にそれぞれ子テーブルであるクイックマニュアルテーブル、アシストテーブル、効能テーブルが配置されている。もちろん、親テーブルと子テーブルを一体化して、それぞれの疾患名や検査名をキーにテーブルアクセスする形態でもよいが、変更のしやすさ、拡張性、将来性を考慮すると、図に示した形態が好ましい。
たとえば将来、クイックマニュアルの内容やアシスト内容をより詳細に記述するような場合には、さらに階層を深くするだけで、簡単に拡張することができる。実施例では、主訴(患者訴える症状あるいは医師の見た目による症状)を前段階とした、3階層のクイックマニュアルDBを挙げる。また、病名DBに対しても同様なクイックマニュアルやアシスト文を用意する場合には、同じ構造のテーブルを下の階層に追加するだけで、機能を拡張することができる。
親テーブルと子テーブルの関連は、ポインタによって連結している。たとえば、図5はクイックマニュアルDBの親と子の関連を示したもので、親である疾患テーブルの疾患Aに属する子テーブルであるクイックマニュアルテーブルがポインタPaでアクセスできる。初診時、来院患者の頻度の高い疾患として疾患一覧表が表示されるが、そのとき、医師が疾患Aを選択すると、クイックマニュアルボタンが点灯する。もし、対応するクイックマニュアルがない場合には、クイックマニュアルボタンは点灯しない。
電子カルテは、受付や各診療室で共有することができる。この共有の仕方には直接サーバー内の電子カルテを参照/更新を行う方法と、診察の対象となる患者の電子カルテを各室のコンピュータのワークファイル(ワークDB)にコピーして取り扱い、使用後(とくに更新があったあと)はサーバーの電子カルテDBに戻す方法である。どちらの方法を採用するにしても、取り扱い中の電子カルテは他で同時アクセスできないようにする(排他使用)。本考案ではこの点の取り扱い方法は請求項の範疇にはないが、後者の例で説明する。
初診時、電子カルテは受付処理で作成される。また再来患者の場合には、個々の電子カルテが存在するから、その電子カルテも同時にワークDBにコピーして、医師が病歴として参照できるようにする。クイックマニュアル機能やアシスト機能は、診療画面でサポートされる。診療画面で医師が選んだ疾患や注意事項、薬さらに医師が記述した項目を電子カルテにコピー(カット&ペースト)することによって、電子カルテの更新が行える。この場合、診療室ではワークDBのワークカルテに記述され、それをサーバーに戻すと、電子カルテDBの対応する電子カルテが更新される。
実施の形態で述べた内容を、応用例も含め、より具体的に説明する。図6は、本考案の電子カルテ医療システム装置におけるクイックマニュアルDBの変形例である。この例では、疾患テーブルの前段階のテーブルとして主訴テーブルを用意している。すなわち、主訴すなわち患者の訴える症状を主訴テーブルとして持ち、主訴テーブルから疾患をポイントする形態にしてある。来院患者の患者の訴える症状の大半がこの中に収められる。具体例を図7に示す。この例では約30の症状が収められている。この症状から“胸痛”を選択すると、胸痛で考えられる疾患が登録されている疾患テーブルが画面に表示される。
図8は、疾患テーブルに登録されている具体的な疾患(病名)である。本考案の主旨からすれば、頻度の高い疾患だけでもよいが、見逃すと危険な疾患や希な疾患も登録しておくと、疾患の見落としや危険度の高い疾患に対する手遅れ防止などに役立てることができる。この場合、見逃すと高い疾患を、「7日以内に急変して死亡する可能性のある疾患」と定義する。なお、図6の疾患テーブルでは“危険度”を表す項目のみを設けてあるが、図8に示すように頻度の高い疾患、見逃すと危険な疾患、希な疾患などの区分も危険度に含めておけば、画面表示の際にどの区分に入る疾患がわかるようにすることもできる(たとえば、危険度=0:頻度の高い疾患、1:見逃すと危険な疾患、2:希な疾患、とすることも可)。いずれにしろ、危険度の高い疾患に対しては、太字表示あるいは色分け表示をして、危険な疾患であることを医師に知らせる。
医師が“狭心症”を選択すると、その疾患に対するクイックマニュアルが存在するときには、画面上のクイックマニュアルボタンを点灯させる。このボタンが点灯している場合、ボタンをクリックすると、疾患に対応するクイックマニュアルが表示される。図9は、狭心症に対応するクイックマニュアルの内容例である。ここには診断のコツ、問診のコツ、検査項目、専門医紹介の時期等が記述されている。クイックマニュアルは初診時のみ表示できるものであるが、医師がクイックマニュアルボタンをクリックしなければ表示されず、バイパスすることができる。
次に慢性期の疾患についての具体例を挙げる。図10は“慢性期にチェックすべき項目”、図11は“慢性疾患フォローアップのFAQ”の疾患例である。内容的には両者はほぼ同等なものであるが、図12の例のように、慢性期疾患DBには慢性期疾患テーブルにチェック項目用とFAQ用に分けて登録しておき、それぞれのアシストテーブルをポイントできるようにする。アシストがある場合には、アシストボタンが点灯する。このアシストボタンをクリックと、アシストテーブルに登録されているアシスト文書が表示される。
図13は、喘息に対する慢性期にチェックすべき項目コンテンツの一例であり、図14は高血圧に対する慢性疾患フォローアップのFAQコンテンツの一例(一部)である。チェック項目には、外来治療の目標、検査、入院および専門医紹介時期、DOおよびDON’Tなどの内容が盛り込まれている。FAQには、Q&A形式で医療行為に関する内容が盛り込まれており、医師がすべてを記憶しておけない医療の細部にわたる内容が中心となっている。
FAQはすべてを読む必要もないし、また手っとり早く引き出せることが重要になる。この実施例では単純なQ(質問)とA(答)を単純なテーブル形式で引き出せるようにしてあるが、QとAとテーブルを分離し、Qを選択する形でデータベースを作成するなどの工夫も可能である。画面表示ではQのみを一覧表示し、参照したいQをクリックすることによって、その詳細コンテンツが呼び出せるようにする。
図12で示した形態でもこのような処理を記述することができるが、FAQに対してはQとAを分離した方がプログラム記述やデータ管理では優れている。本考案ではデータベースの構造まで踏み込まないので、データベースの設計、プログラム記述については開発者裁量に任せる。本考案において大事なことは、FAQを設けておき、医師が慢性疾患について知りたいときに、知りたい内容がすぐに引き出せるシステムを用意しておくことである。
本考案の装置を用いると画面との対話で操作が具現化される。図15は、標準の診療画面である。初診時には、疾患一覧表が表示される。ここで選んだ疾患や、医師の所見やそれ以降に行うべき医療方針などが内容がSOAPの文中にコピーされる。なおSOAPとは、患者の訴え(S:Subjective)、医師の診察所見(O:Objective)、医師の下した評価(A:Assessment)、その結果としての診療方針(P:Plan)を意味する。この内容が、電子カルテに登録される。画面の例では、Sは「体がだるい。疲れやすい。左頬首の後ろ前身倦怠感がある。今朝から」とあり、Pは「血液検査と尿検査と抗体検査」となっている。医師の所見(A)と評価(O)はこの段階では記されていない。医師が患者を診療する際に、まずこの画面からスタートする。たとえばメニューバーの問診アイコンをクリックするば、問診ようの画面が表示され、過去の問診内容を表示したり、これから行う口頭問診の結果などが入力できる。
従来の電子カルテは、真正性、見読性、保存性の3要素を確保したうえで、入力操作の向上およびセキュリティに重点が置かれてきた。これに対して、本考案では、従来の電子カルテの特徴である真正性、見読性および保存性を確保したうえで、医師のアシストと診療リスクの回避が可能である。
医師へのアシスト装置といえば、以前から話題になっている医療支援システム、すなわち医療支援エキスパートシステムがある。このシステムは、医療データベースによって医師が行ってきた診断をコンピュータに肩代わりさせようとするものである。したがって、すべての医療事項をデータベースに押し込めることによって、漏れなく医療診断を可能にしようとしている。しかし現実的には、いまだ完全な形の医療支援システム(診察項目から病気名の決定や処方・処置・検査方針の決定)を完成させているものはない。それというのも、病気やその診断、さらにはそれに伴う医療行為は一義的に決まるものでないし、または項目数(症状、疾患<病名>、検査等)は多すぎ、有機的に機能するデータベースを構築することや、それを処理するプログラムの開発が難しく、また処理時間が多く掛かるという問題点を抱えている。
これに対して、本考案の電子カルテ医療システム装置では、外来患者を対象にしたものではあるが、外来患者の8割方をカバーする疾患に絞って重点的に処理する方法によって、データベースの軽減、処理時間の短縮化を可能にし、医師の負荷を軽減することに成功している。また本考案では、あってはならない医療ミス、医師の度忘れの防止あるいは記憶しきれない医療知識を適時提供することによって、医師のアシストを可能にしている。さらに、医療行為において重要な診療上のリスクを注意事項として表示することによって、重大な見落としのない診療が行えるようにしている点も、従来にない視点からの医療支援を可能にしている。
患者と病院側との間でトラブルの多いものとして治療費がある。とくに保険が効かない治療や検査を行ったために、患者に多大な経済的負担を負わせ、トラブルとなるケースが多い。この場合、医師が、保険の有効範囲の判断を誤ったことが原因であることも少なくない。本考案では、施そうとする治療や検査が保険の対象かどうかを考慮しているために、上記のトラブルの回避、患者への経済的負担の軽減を可能にしている。
Claims (5)
- コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、選択された診療内容に対して、(1)前記選択された診療内容についてしなければならない事項、(2)前記選択された診療内容についてしてはならない事項、を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
- コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、症状に対応する疾患名を選択し、治療方針を選択する際に、(1)前記選択された疾患について処置しなければならない事項、(2)前記選択された疾患について禁止される事項、を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
- コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、症状に対応する疾患名を選択する際に、(1)前記症状に対して、頻度の高い順に疾患名を表示する表示装置、および、治療方針を選択する際に、(2)前記選択された疾患について処置しなければならない事項、(3)前記選択された疾患について禁止される事項を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
- コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、慢性疾患名を選択し、治療方針を選択する際に、(1)前記選択された慢性疾患について処置しなければならない事項、(2)前記選択された慢性疾患について専門医に紹介する時期を示す事項(3)前記選択された慢性疾患のフォローアップFAQを必要に応じて表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
- コンピュータにより診療を支援する電子カルテ医療システム装置において、選択された診療内容に対して、(1)前記選択された診療内容についてしなければならない事項、(2)前記選択された診療内容についてしてはならない事項、(3)前記選択された診療内容について、保険内容に関する事項を表示する表示装置を備えたことを特徴とする電子カルテ医療システム装置。
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JP2007328740A (ja) * | 2006-06-09 | 2007-12-20 | Olympus Medical Systems Corp | 医療情報管理装置 |
JP2021170286A (ja) * | 2020-04-17 | 2021-10-28 | 株式会社アルム | 遠隔診療支援システム |
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2004
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Cited By (2)
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JP2007328740A (ja) * | 2006-06-09 | 2007-12-20 | Olympus Medical Systems Corp | 医療情報管理装置 |
JP2021170286A (ja) * | 2020-04-17 | 2021-10-28 | 株式会社アルム | 遠隔診療支援システム |
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