JP7084095B2 - 電子カルテ - Google Patents
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Description
審査支払機関は、医師からの請求を審査した上で支払いの可否を決定するが、従来この請求は書面で行われていた。近年、省力化、処理の迅速化、ペーパレス化の観点から電子的な手続きで処理が行えるよう各種の整備が進められており、医師にも電子カルテの使用および電子カルテに基づいた診療報酬の請求が奨励されている。
しかしながら、町医者、風邪医者と称される開業医の場合、医師一人が診察しなければならない患者の数は、風邪やインフルエンザ等の流行期間は一日に200~300人以上に及ぶことがある。この場合、一時間あたり30人程度を診察しなければならず、全ての診察ごとに前述した事項をカルテに記載しなくてはならない。単純な言い方をすると、一つのカルテを2分程度で記載しなければならず、この2分で主訴を聴き、所見を形成し、病名の特定と重篤度の評価に基づいて治療方針を決定し、必要な処置をしなければならない。
例えば、糖尿病を有する成人患者は、同じ生活習慣病と称される高血圧、脂質異常症、痛風、脂肪肝といった長期治療を要する疾患群を併存して有していることがきわめて多い。
気管支喘息を有する小児の患者は、その病因として体質的なアトピー素因がきわめて強く関わっているために、同様にアトピー素因が原因として強く関わっているアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患群を併発していることがきわめて多い。
このように、長期にわたって治療と管理を継続する必要性のある患者の場合、一度の診察において、複数の疾患群に対して治療と管理をすることが極めて多いという実情がある。
開業医の外来診療においては、風邪などの一過性に発症治癒する急性疾患の診療に加えて、地域に住む上記のような長期の治療と管理を必要とする疾患群の定期的な診察が、外来診療時間帯の中で多くの時間を占めることになる。もちろん、そのような慢性疾患患者も、慢性疾患をもたない患者と同じような確率で風邪などの急性疾患に罹患する。そのような状況下においても、診察時には急性疾患に対する診療(治療、処置、投薬、指導)と同時に多種類の慢性疾患に対する診療も行う必要がある。
そして、慢性疾患の場合には、それらひとつひとつに対しての現状の評価とそれに応じた治療方針の記録が医学的に求められる。慢性疾患におけるカルテの記録内容として、疾患単位で病名とそれに対する評価及び治療方針を最低限記載しておくことで、第三者が見た場合であってもカルテの内容から複数の疾患をもっていたとしても、どのような疾患でありどのような治療内容なのか容易に把握できるようになる。
同時に全ての慢性疾患におけるこうした記載が診療報酬の審査対象となる。さらにそれら一つ一つの疾患に対する医療判断が適切であったか等について争いの対象になることもある。それゆえ、多種類の慢性疾患を有する患者の場合には、それらすべての慢性疾患に関する現状評価、治療方針の記載が求められる。
一方、一般的な内科開業医が対応する必要のある頻度の高い主な慢性疾患、すなわち開業医の外来診療時間内に扱わなければならないもので、かつその時間の多くを占めることになる慢性疾患は、実際には30~40種類に限定される。それゆえに、頻度の高い慢性疾患を選定し、各々に対して「現状評価」と「治療方針」とを定型文、語句として一覧表示できるように準備しておき、その中から選択されたものが自動入力されるように予め作成しておくことによって、電子カルテにおける情報入力の時間を大幅に短縮、効率よく記録することができるようになる。そうすることによって、限られた診療時間の中において本来時間をかけるべき患者との対話や時間を有効に使うことができるようになり、質の高い診療サービスを提供できるとともにカルテ情報の記載内容を充実させることができるという効果を有することになる。
本発明は当該事情に鑑み発明されたものであって、特に慢性疾患と称される罹患頻度の高い疾患について、情報の入力を効率よく短時間で行うことができる電子カルテの提供を課題とするものである。
プログラムを実行するCPUを有した演算処理手段、前記プログラムの実行によって画像を表示するディスプレイ、操作指示および情報を入力するための入力手段を有した電子カルテであって、
個々の疾患名ごとに診療情報を入力可能に構成した入力欄を生成可能に構成するとともに、
複数の疾患名に対応する前記入力欄若しくは複数の疾患名に対応する前記入力欄および当該疾患名に関連した情報を入力する入力欄をグループ化するとともに、
前記グループ化した複数の入力欄を一括して生成する指示手段を設けたことを特徴とする。
前記入力欄に情報を入力する際、アクティブ化された入力欄に応じた定型文が予め選択可能に表示されるように構成したことを特徴とする。
前記入力欄に対する入力の終了に伴って当該入力欄を消滅させるとともに、入力欄に対する入力が行われた情報を前記診療情報入力ウインドウに表示するように構成したことを特徴とする。
本実施の形態に係る電子カルテは、コンピュータおよびコンピュータによって実行されるプログラムによって構成されるものである。コンピュータは、プログラムを実行するCPU等から構成された演算処理手段、プログラムの実行結果を出力するディスプレイ等の出力デバイス、情報や操作指示を入力する入力手段として機能する各種の入力デバイス等によって構成される。本実施の形態における最適な入力デバイスは、タブレットボード若しくはタッチ式の画面を用いて入力することができるタッチペン等のペン型入力デバイスとキーボード、マウス等である。タッチペンの検知方法は、感圧式、静電検知方式等何れの方法であっても良い。なお、各種医療機器のデータも取り込み可能であるが、本実施例では説明を省略する。
本実施の形態に係る電子カルテは、上記各種の情報を記録するとともに、外観的には診療録としての体裁を整えたフォーマットで文字、記号、画像、映像等の情報をディスプレイに表示するものである。また、検査オーダー、処方、画像・検査結果参照といったオーダエントリ機能、前述したレセプトの作成に必要な情報を出力する機能や医事会計機能等を有している。
患者が来院することが多いクリニックでは、診察室において医師が患者と対面しながら主訴を聴き記録するところから診療が開始される。主訴とは、患者本人若しくは付き添い者からの説明によって得られる病状や体調、病状の時経的な変化、その他診断に必要な情報のことである。
電子カルテは、患者の診察時に様々な情報を入力し記録するものであるが、慢性疾患と称される疾患を複数有した患者については、疾患ごとの効率よい短時間での情報入力と、情報の入力漏れを防ぐ作用を有していることが好ましい。メインウインドウW0の略中央には、診療情報入力ウインドウW1が配置され、診療情報入力ウインドウW1の右隣には機能選択ウインドウKが隣接して設けられている。
GUIグループKgは、タブKm1~Km6のそれぞれに対応して設けられているものであり、図2はタブKm1に対応したGUIグループkg1を表している。
例えば、GUIグループkg1の中から「慢疾方針」と表示されているGUI(慢疾方針)k1を選択すると、図3に示した入力ウインドウのセット(以下「入力セット」という)Ws1と、この入力セットWs1に隣接した右側の領域に定型文カテゴリ(Y1、Y2・・・)を一覧表示した定型文カテゴリ欄Yと、選択された定型文カテゴリ(Y1、Y2・・・)に応じた定型文(T1a、T1b、T1c・・・)を表した定型文群T(T1、T2、T3・・・)が表示される。
診療情報入力ウインドウW1に情報を入力するには、第1に機能選択ウインドウKのメニューバーKmの中から、入力する情報に応じたタブを選択する。メニューバーKmには一例として「基本」Km1、「P/α」Km2、「記載」Km3、「検処」Km4、「病薬」Km5、「書他」Km6と表示した6種類のタブを設けているので、この中から任意のタブをマウス等の入力デバイスによって選択する。
第2に、選択したタブに応じて表示されるGUIの中から必要な項目(GUI)(k1~)を選択する。図3はメニューバーKmの「基本」(タブ)Km1に対応したGUIグループKg1の中に表示された「慢疾方針」と表示された項目(GUI)(k1)が選択された状態を表している。一例としてGUIによって「慢疾方針」と表示された項目k1を選択すると、項目k1に対応した入力セットWs1が診療情報入力ウインドウW1上に生成される。入力セットWs(Ws1、Ws2、Ws3・・・)は、GUIグループKgの中に表示された項目(GUI)に設定されている場合に、入力セットとして表示される。
具体的には、機能選択ウインドウKのメニューバーKmの中からタブ(基本)Km1を選択し、このタブ(基本)Km1に対応して表示されるGUIグループKg1中に表示されている項目の中からGUI(慢患方針)k1を選択し決定する。GUI(慢患方針)k1の選択が決定されると、入力セットWs1が診療情報入力ウインドウW1上に生成される。
また、入力セットWs1には、「Plan」γ1と表示した入力欄γ1aと「特定疾患療養指導」γ2と表示した入力欄γ2aも同時に生成されるようになっている。
図5は、既に糖尿病(P3)の入力欄への入力が終わり、さらにBA-Plan(P5)の入力欄への入力が終わった状態を表している。図5に表されているように、BA-Plan(P5)の入力欄を選択した場合には、定型文カテゴリ欄Yに表示されている「アセスメント&プラン」Y1に分類されたカテゴリ「具体的指示/吸入」Y1fがデフォルトとして選択され、この選択に伴って表示される定型文群Tの中から「Symbicort2p x 2回/日」といった任意の定型文を選択することで同じ文言が入力される。
慢性疾患は定義どおり、その治療と管理は長期にわたるものであることが多い。その中でも「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」など生活習慣病と称される慢性疾患や脳梗塞や心臓病に関しては、日常生活上の注意を医師が患者に説明、促すことが医学的に必要であるばかりでなく、そのような医師の指導に対して診療報酬の請求内容として設定されている。その内容のカルテ記載は審査支払期間に対する医療費の請求を行う上で不可欠なものであり、明確に詳しく記載しなくてはならない。
慢性疾患のうち「特定疾患療養指導」を請求できる疾患が診療報酬点数表において定められている。例えば「高血圧」の場合には、医師が患者に対して日常生活上の指導をした場合にはその記録をすることが求められており、GUI(慢疾方針)k1の選択による入力欄の自動生成によって各慢性疾患の「評価および治療方針」の記録とともに済ませることができるように、Ws1に含めて自動生成されるように設定してある。
すなわち、「慢疾方針」GUIを構成する15項目の慢性疾患に対する評価とおよび治療方針を入力した後に続けて、キーボードによる自由記述が可能な入力頻度の多い「Plan」γ1と「特定疾患療養指導」γ2を入力できるように構成し、機能選択ウインドウKからさらに別のGUIを選択するという追加クリック作業の回数を減らすことで、間断無く入力作業を続けることができるようになっている。
診療情報入力ウインドウW1に書き込まれた項目は、いずれかの部分をタッチ若しくはマウスでクリックすることで瞬時に入力欄がアクティブ化され、同時に初期設定の「定型文・語句の一覧」が起動し追記、修正等が可能になる。また、診療情報入力ウインドウW1に書き込まれた項目は、マウスによる右クリックで表示されるメニュー操作によって削除可能になっている。
もちろん、すべての入力欄は文言の選択によって自動入力することができるものであり、キーボードを使用して文字や記号を入力し編集することができるエディタとして構成されている。
診療情報入力ウインドウW1上における表示は、頭にPを付けた慢性疾患の表示位置をαを付けた慢性疾患よりも上位に配置されるように設定している。
このように、入力欄の位置に応じてウインドウW2が配置されるのは瞬時に入力欄の位置を視覚的に確認しやすくするためであり、視認性の良さに合わせて脳に対しての無駄な刺激や違和感を与えず文言の選択入力作業を効率よく行わせる効果を有している。
入力欄の項目名にαを付けたもの(α1~α4)は、「評価および治療方針」入力欄ウインドウに対する定型文・語句リストは多くの場合、「→・・・・」という治療方針のみの内容になっている。表記された項目名の文字情報自体が、診断名かつ評価を兼ねるので、「評価および治療方針」入力欄ウインドウに対する定型文・語句リストは多くの場合、「→・・・・」という治療方針のみを記載している。
カルテは診療中に患者の病状の経時的な変化であったり、病歴であったり、頻繁に過去に遡って参照することにより、診療における思考を助けるためのものでもある。デジタル化された文字が整然と並んでいる場合、特に文字量が多くなればなるほど、記載情報を視覚的に取得して瞬時に内容を把握することが困難になる。特に、各疾患に関する「評価および治療方針」の内容に関しては、できる限り一見して内容を把握できるようにすべき情報記載部分であるために、必要がない場合にはできるかぎり文字数を限定し、さらにスペースや記号を使用することで、視認性を高めるようにしてある。
画像z1は機能選択ウインドウKのタブKm1の中央に設けているGUI(Figures)k3を選択することによって、画像z2は同タブKm1の左上端に設けているGUI(記載set)k4(図2参照)を選択することによって診療情報入力ウインドウW1に呼び出し表示できるようになっている。
画像z1、z2は頻繁に使用されるものであるためタブKm1以外のタブによって表示される他のGUIグルーブ内の同じ位置に画像z1、z2を呼び出し可能なGUI(記載set)k4とGUI(Figures)k3を設けている。
このように、適宜必要な定型文カテゴリ欄Yに列記されている定型文カテゴリ(Y1、Y2・・・)の選択、定型文群T(T1、T2、T3・・・)に表示される定型文(T1a、T1b、T1c・・・)の選択を繰り返し短時間で効率よく情報を入力できるようになっている。
前述した例においては、機能選択ウインドウKにおいて、「慢疾方針」と表示されているGUI(慢疾方針)k1を選択すると、複数の入力項目をセットにした入力セットWs1が診療情報入力ウインドウW1上に生成される。これに対して、GUIグループkg2は、個別の入力項目を生成するようになっている。具体的には、GUI(P1 高血圧)k4を選択するとP1高血圧に関する単一の入力欄が生成される。
上記診療情報入力ウインドウW1上に表示された入力情報を再編集する場合には、表示されている文字情報をマウス等を使用してクリック選択すると再度入力欄が開き、修正、追加などの編集が可能になる。また、入力情報自体の全削除も項目ごとに可能である。
このように構成することにより、個々の疾患毎に入力欄を生成するという操作を省くことができ、複数の疾患を有している場合に電子カルテの操作に要する時間を削減することができる。さらに、合併症を発症しやすい疾患もあることから、関連する疾患のチェックリストとしての機能も果たすことができ、診療の質を高めるとともに医療事故の軽減にも効果がある
さらに一括入力が可能な項目であっても、逐次個別に入力欄を生成して入力することが可能であり、一括入力といった画一的な使用方法に限定されることなく、状況や目的に応じて使い方を選択でき、使い勝手のよい電子カルテを提供できるものとなっている。
k1 GUI(慢疾方針)
k2 GUI(+BACVAR)
k3 GUI(Figures)
k4 GUI(P1 高血圧)
Kg1~Kg6 GUIグループ
Km メニューバー
Km1~Km6 タブ
T(T1、T2、T3・・・) 定型文群
T1a、T1b、T1c 定型文
T2a 定型文(自宅血圧測定指示)
W0 メインウインドウ
W1 診療情報入力ウインドウ
W2 ウインドウ
Ws(Ws1) 診療情報入力ウインドウセット(入力セット)
Ws1 入力セット
Ws2 入力セット
x1a~x15a 入力欄
Y 定型文カテゴリ欄
Y1、Y2、Y3 定型文カテゴリ
Y1d 定型文カテゴリ(内服主投薬方針)
Y1f 定型文カテゴリ(具体的指示/吸入)
Y3a 定型文カテゴリ(高血圧)
z1、z2 画像
H1 編集エディタウインドウ
Claims (2)
- プログラムを実行するCPUを有した演算処理手段、前記プログラムの実行によって画像を表示するディスプレイ、操作指示および情報を入力するための入力手段を有した診療に関する情報の記録を目的とした電子カルテであって、
前記ディスプレイの画面上に表示されるメインウインドウ内に、前記診療に関する情報の入力と当該入力した診療に関する情報の表示を行わせる診療情報入力ウインドウを配置し、
前記診療に関する情報の項目を特定する項目名の表示と当該項目名に対応した情報の入力欄を有した単一の入力項目を前記診療情報入力ウインドウ上に生成し表示させるプログラムの実行を指示する文字若しくは記号を含む画像として構成したGUIと、
前記診療に関する情報の項目を特定する複数の項目名と当該複数の項目名にそれぞれ対応した情報の入力欄を有した複数の入力項目を前記診療情報入力ウインドウ上に一括して生成し表示させるプログラムの実行を指示する文字若しくは記号を含む画像として構成したGUIを設け、
前記入力項目の入力欄に対する入力の終了に伴って当該入力欄を前記診療情報入力ウインドウから消滅させ、当該入力欄に入力された情報および当該入力欄に対応する項目名を前記診療情報入力ウインドウに表示し記録するように構成したことを特徴とする電子カルテ。 - 前記入力欄に情報を入力する際、アクティブ化された入力欄に応じた定型文が予め選択可能に表示されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の電子カルテ。
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2020
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