JP3103686B2 - 多層回路基板 - Google Patents

多層回路基板

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JP3103686B2 JP04259919A JP25991992A JP3103686B2 JP 3103686 B2 JP3103686 B2 JP 3103686B2 JP 04259919 A JP04259919 A JP 04259919A JP 25991992 A JP25991992 A JP 25991992A JP 3103686 B2 JP3103686 B2 JP 3103686B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層回路基板、特にガ
ラス−セラミックスの絶縁層を誘電体層として利用し
て、特に、内部に容量発生パターンを備えた多層回路基
板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の構成集積回路等に用いられる
多層回路基板には、電気絶縁性、機械的強度及び熱伝導
性などを考慮して、絶縁層としてアルミナを主成分とし
たものが多用されている。しかしながら、アルミナを主
成分としてた絶縁層は、多層回路基板の焼結工程で、1
400〜1650℃の高温で焼成しなければならないた
め、多層回路基板の内部の配線導体は、タングステンや
モリブデンなどの高融点金属材料に限られていた。この
ような高融点金属材料は、比抵抗が高いために配線抵抗
が高くなり、信号伝播速度が速い電子回路や高周波回路
に適さなかった。
【0003】そこで、絶縁層として、ガラスフリットに
アルミナなどの無機物フィラーを添加して、900℃前
後で焼成可能な低温焼成基板材料が用いられている。こ
れにより、内部配線導体として、金、銀、銅などの低抵
抗の金属材料が使用でき、信号伝播速度が速い電子回路
や高周波回路が実現できる。
【0004】しかし、内部に所定配線導体のみを形成す
るのであれば、実用性が高いものの、この絶縁層を誘電
体層として利用して、内部に容量を形成する場合、基板
材料の誘電率の温度特性が考慮されていないため、温度
特性的に充分満足する容量が形成できなかった。即ち、
ガラス成分は、硼珪酸ガラスやアルミノ酸ガラスであ
り、無機物フィラーはアルミナ粉末が多用されていた。
これらのガラスやアルミナは、誘電率の温度特性が正で
あり、当然焼結された回路基板も誘電率の温度特性が正
となる。仮に、多層回路基板の内部にL−Cの共振回路
を形成すると、温度の変化によって容量が変動してしま
い、安定したL−Cの共振回路が形成できないことにな
る。
【0005】絶縁層の誘電率温度特性を制御するため
に、絶縁層を構成する無機物フィラーとして、アルミナ
粉末とともに、負の誘電率温度係数をもつチタニア(T
iO2)粉末を添加して、絶縁層の誘電率温度特性を平
坦化しようとする提案があった(特開平4−82297
号)。
【0006】これによれば、ガラス成分やアルミナの誘
電率の温度特性を補償するチタニアの添加により、多層
回路基板内部に容量成分を形成しても、周囲の温度変化
に対して安定な容量特性が得られる基板となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようなガラスフリットと無機物フィラーとして、アルミ
ナ粉末及びチタニア粉末とを混合した絶縁層を有する多
層回路基板では、焼成後、基板の色調が黄色に変色して
しまい、しかも、その変色の度合いが焼成炉の条件など
によって非常に敏感に現れてしまい、外観検査などによ
る品質保証を難しくする。
【0008】また、多層回路基板の表面に厚膜抵抗体膜
やその内部に厚膜抵抗体膜を形成した場合、基板中のチ
タニアが抵抗体膜中に拡散してしまい、抵抗の温度特性
を負にシフトさせてしまうという決定的な問題が発生し
てしまう。
【0009】このため、上述のように、無機物フィラー
としてアルミナ粉末及びチタニア粉末とを混合した絶縁
層を有する多層回路基板の使用用途には制限があった。
【0010】さらに、チタニアの他に、チタン酸カルシ
ウム、スズ酸ストロンチウムなどが挙げられるが、何れ
の材料も、焼成過程で、ガラスなどと反応したりして、
結晶構造が維持できず、多層回路基板の誘電率温度特性
を安定に補償できなたった。
【0011】本発明の目的は、上述の問題点に鑑みて案
出したものであり、その目的は、基板の変色がなく、ま
た、絶縁層の誘電率温度特性を安定化して、さらに基板
の表面などに厚膜抵抗体膜を形成しても、安定した抵抗
特性が得られる多層回路基板を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明は、ガラス成分
及び無機物フィラーから成る絶縁層を複数積層して成
り、内部に金系、銀系又は銅系導体材料から成る所定配
線パターン及び容量発生パターンを、表面に厚膜抵抗体
膜をそれぞれ有する多層回路基板であって、前記無機物
フィラーは、誘電率の温度特性が負である無機物材料に
アルミナをコーティングした粉末から成ることを特徴と
する多層回路基板である。
【0013】
【作用】以上のように、本発明によれば、絶縁層の材料
がガラス成分及び無機物フィラーから構成されているた
め、比較的低温(〜1000℃)で焼結可能であるた
め、内部配線パターンや容量発生パターンを比低抵の小
さい金、銀、銅などの金属材料を用いることができる。
【0014】また、無機物フィラーとして、負の温度特
性を有する無機物材料が、アルミナとともに添加されて
いるため、絶縁層の温度特性が平坦化されるため、無機
物フィラーをそのまま添加した場合の問題点、即ち、基
板の変色、焼成による結晶構造の崩れなどを有効防止で
き、内部に容量発生パターンを形成して、安定した温度
特性の容量を得ることができる。
【0015】さらに、多層回路基板の表面及び内部に厚
膜抵抗体膜を形成した場合には、その負の温度特性を有
する無機物材料がアルミナによってコーティングされた
粉末を用いるので、絶縁層を焼成してしも負の温度特性
を有する無機物材料が基板中に拡散することが少なく、
これにより、厚膜抵抗体膜中に負の誘電率温度特性を有
する無機物材料が拡散して、厚膜抵抗体膜の抵抗温度特
性を負にシフトさせることがなくなり、安定した抵抗特
性を有する厚膜抵抗体膜が得られる。
【0016】また、絶縁基板の誘電率の制御が容易とな
る。このため、例えば、多層回路基板内部にマイクロス
トリップラインを形成した時に、波長短縮率を考慮し
て、絶縁層の誘電率を制御することにより、マイクロス
トリップラインを極小化させることができる。
【0017】以上のように、絶縁層の誘電率温度特性を
安定化して、さらに基板の表面に厚膜抵抗体膜を形成し
ても、安定した抵抗特性が得られ、実用性の高い多層回
路基板となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の多層回路基板を図面に基づい
て詳説する。図1は、本発明の多層回路基板の断面構造
を示す。図において、10は多層回路基板であり、1は
複数の絶縁層1a、1b・・・を積層した基板本体であ
り、2は絶縁層1a、1b・・・間に形成された所定内
部配線パターンであり、3は絶縁層1a、1b・・・間
に形成された容量発生パターンであり、4はビアホール
導体であり、5は表面配線パターンであり、6は厚膜抵
抗体膜である。
【0019】基板本体1は、ガラス−セラミックスから
成る複数の絶縁層1a、1b・・・と、該絶縁層1a、
1b・・・間に配置された金系、銀系、または銅系の導
体から成る所定内部配線パターン2、容量発生パターン
3と、該絶縁層1a、1b・・・を貫くビアホール導体
4とから構成されている。これにより、基板本体1内に
は、容量成分を含む所定回路の一部が形成されることに
なる。
【0020】基板本体1の主面には、金系、銀系、また
は銅系の導体から成る所定表面配線パターン5及び厚膜
抵抗体膜6が形成され、これらが、ビアホール導体4を
介して、内部配線パターン2や容量発生パターン3と電
気的に接続され、全体として、所定回路が達成されるこ
とになる。尚、図には、記載していないが、表面には保
護膜が形成され、必要に応じてICチップや、チップ電
子部品などが搭載されている。
【0021】ここで、基板本体1の内部に形成される容
量は、例えば、図中の絶縁層1cを挟むように配置され
た所定対向面積を有する容量発生パターン3間で発生す
るものであり、図では、さらに、絶縁層1dを挟むよう
に配置された容量発生パターン3間でも所定容量が発生
する。
【0022】絶縁層1a、1b・・・は、結晶化ガラ
ス、非晶質ガラスなどのガラス成分と、温度特性が負の
誘電率を有する無機物材料、例えばチタニア(Ti
2 )の表面にアルミナをコーティングした粉末を含む
無機物フィラーとから構成されている。ガラス成分の構
成比率は40〜90重量%であり、無機物フィラーの構
成比率は10〜60重量%である。無機物フィラーが1
0重量%未満であると、焼結した基板本体1の強度が低
下してしまう。一方60重量%を越えると焼結後の基板
本体1中のガラス成分が不足するため、緻密な回路基板
が達成されない。尚、好ましくは無機物フィラーの構成
比率は30〜50重量%であり、その残部がガラス成分
となるようにすることである。
【0023】上述のガラス成分は、誘電率が正の温度特
性を有する硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラスなどの低
融点ガラスが例示できる。また、無機物フィラーは、基
板本体1の強度を考慮して添加アルミナ粉末と、ガラス
成分及びアルミナの正の誘電率温度特性を補償する誘電
率が負の温度特性を有する例えばチタニア、チタン酸カ
ルシウム、チタン酸ストロンチウム、スズ酸ストロンチ
ウムなどから選ばれる少なくとも1種類の第2の無機物
フィラーがさらに添加されている。
【0024】ここで重要なことは、誘電率が負の温度特
性を有する第2の無機物フィラー、例えばチタニア、チ
タン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、スズ酸ス
トロンチウムは、アルミナ、好ましくはαアルミナによ
ってコーティングされている粉末を用いることである。
【0025】このように、アルミナによってコーティン
グされた誘電率が負の温度特性を有する第2の無機物フ
ィラーを用いることにより、基板本体を1000℃程度
の温度で焼成によっても、第2の無機物フィラーがガラ
ス成分と反応したり、固溶したりすることがなく、無機
物フィラーの結晶構造が崩れることがなく、誘電率の温
度特性の改善効果が顕著となる。
【0026】また、絶縁層間に形成する内部配線パター
ン2や容量発生パターン3を構成する導体材料の特性に
影響を与えることがなく、また、基板本体1の表面に形
成する表面配線パターン5や厚膜抵抗体膜6の特性に影
響を与えることがない。
【0027】さらに、ガラス成分と接触する無機物フィ
ラーが実質的にアルミナとなるので、基板本体1の強度
が維持できる。
【0028】尚、第2の無機物フィラーとしてアルミナ
コーティング処理を施さないチタニアを用いると、基板
本体1上に形成する厚膜抵抗体膜6に酸化ルテニウム、
六硼化ランタン、酸化スズなどを用いると、これらの厚
膜抵抗体膜6に半導体的伝導性を付与し、抵抗体の温度
特性が負にシフトしてしまう。また、第2の無機物フィ
ラーとしてアルミナコーティング処理を施さないチタン
酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、スズ酸ストロ
ンチウムを用いると、これらの結晶構造が強固でないた
め、焼結時にガラス成分と反応してしまい、焼結後にお
いては、この結晶構造を留めることができず、誘電率温
度特性を0に近く、且つ平坦化することができない。
【0029】これに対して、本発明のようにアルミナコ
ーティング処理を施したチタニア、チタン酸カルシウ
ム、チタン酸ストロンチウム、スズ酸ストロンチウムを
用いることにより、上述のように、ガラス成分との反応
を防止し、基板中への拡散が有効に防止でき、また、例
えばチタニア単体を添加した基板のような焼成後の基板
の変色がなく、外観上安定した色調の基板となる。
【0030】また、絶縁層1a、1b・・・の誘電率を
バリエーションを多く取りたいため、誘電率が負の温度
特性の無機物フィラーの誘電率を100以上にすること
が好ましい。この材料としては、スズ酸ストロンチウム
の誘電率が−129であり、好ましい第2の無機物フィ
ラーと言える。
【0031】また、絶縁層1a、1b・・・の焼結時
に、焼結異常を観察で目視できるように、白色系の無機
物フィラー、例えばチタン酸ストロンチウムが好ましい
第2の無機物フィラーと言える。
【0032】尚、絶縁層1a、1b・・・として、ガラ
ス成分、アルミナ粉末、誘電率が負の温度特性の無機物
フィラーの他に、酸化剤などを必要に応じて添加しても
構わない。
【0033】次に、本発明の多層回路基板の製造方法を
説明する。
【0034】まず、絶縁層1a、1b・・・となる結晶
化又は非晶質の低融点ガラスフリット、アルミナ粉末、
アルミナコーテイングされた誘電率が負の温度特性の第
2の無機物フィラーを用意する。アルミナコーテイング
された誘電率が負の温度特性の第2の無機物フィラー
は、ゾルゲル法を用いて、例えばチタニアに対して、ア
ルミナアルコキシドの加水分解によりコーティング膜を
形成し、熱処理することにより形成する。
【0035】これらのガラス成分とアルミナ粉末、アル
ミナコーティングされたチタニアと有機バインダー(例
えばポリメタクリレート樹脂)と、可塑剤(例えばジブ
チルフタレート)と溶剤(例えばメチルエチルケトン)
と、他の添加剤(例えば消泡剤)とを所定割合で混合し
て、これをボールミルを用いて24〜72時間程度混練
して均質なスラリーを調整する。このスラリーを脱泡処
理した後、例えばドクターブレード法などの公知の方法
で50〜300μm程度の厚みのグリーンシートを形成
する。
【0036】次に得られたグリーンシートの表面にビア
ホール導体4となる穴をパンチ加工を行い、ビアホール
導体4の充填及び内部配線パターン2、容量発生パター
ン3を印刷する。尚、ビアホール導体4の充填は、内部
配線パターン2、容量発生パターン3を印刷した後に行
っても構わない。
【0037】内部配線パターン2、容量発生パターン3
用導体ペーストは、金、銀、銅及びその合金のうちから
選ばれた少なくとも1種類の金属を主成分とする導体ペ
ーストが用いられる。これらの内部配線パターン2、容
量発生パターン3及びビアホール導体4が形成されたグ
リーンシートを、各絶縁層1a、1b・・・の層構成を
考慮して、順次積層して、熱圧着などで基板本体1とな
る積層体を形成する。
【0038】このように得られた積層体を焼成する。先
ず、第1段階で、積層体に含まれる有機物を、ガラス成
分の軟化点以下の温度、例えば500℃前後で除去す
る。次の段階で、ガラス成分、アルミナ粉末、アルミナ
コーティングされた第2の無機物フィラーから成る絶縁
層1a、1b・・・、及び内部配線パターン2、容量発
生パターン3、ビアホール導体4の一体焼結を行う。こ
の焼成温度は、絶縁層1a、1b・・・のガラス成分や
内部配線パターン2などの導体材料の融点によって決定
されるが、800〜1050℃の温度で行われる。焼成
雰囲気は、内部配線パターン2の導体材料によって決定
される。これにより、焼結された基板本体1が達成され
る。
【0039】得られた基板本体1上に、表面配線パター
ン5、厚膜抵抗体膜6を形成する。
【0040】厚膜抵抗体膜6は、表面配線パターン5の
焼きつけ雰囲気などによって決定されるが、非酸化性雰
囲気で焼成する場合には、六硼化ランタン、酸化スズな
どを主成分とする抵抗体ペーストを用いて形成される。
また、酸化性雰囲気で焼成する場合には、酸化ルテニウ
ムを主成分とする抵抗体ペーストを用いて形成される。
【0041】尚、表面配線パターン5は、銀系導体(銀
又は銀合金)や銅系(銅又は銅合金)を用いることがで
きるが、耐マイグレーション性などを考慮して、銅系材
料が好ましい。
【0042】(実験例)第2の無機物フィラーとして、
アルミニウムイソプロキシド1000gをイソプロピル
アルコール3000gに溶解し、これにチタニア粉末を
600g加える。さらに水を900g徐々に加えアルミ
ニウムイソプロキシドを加水分解する。
【0043】得られた粉末を乾燥し、1200℃で熱処
理し、アルミナコーティングされたチタニア粉末を得
た。
【0044】ガラスフリットとして、酸化珪素51モル
%、酸化アルミニウム19モル%、酸化マグネシウム1
9モル%、酸化亜鉛8モル%、酸化硼素3モル%(それ
に相当する硼酸)を混合し、約1600℃で溶解した
後、水中に投下し急冷することによりガラスを得た。得
られたガラスをアルミナボールとともにアルミナポット
に入れ、湿式粉砕して乾燥した。これにより平均粒径2
〜3μmの結晶化ガラスフリットを得た。
【0045】次に、表1に示す割合で、結晶化ガラスフ
リット、アルミナコーティングしたチタニア粉末、アル
ミナ粉末とを混合した。但し、アルミナの配合量とは、
アルミナ粉末の量とアルミナコーティング膜の量の合計
であり、チタニアの配合量とは、アルミナコーティング
されたチタニア粉末中のチタニアの量である。それの混
合物をアルミナボールとともに、アルミナポットに入
れ、ボールミル混合した後に乾燥して、多層回路基板用
組成物を得た。
【0046】得られた多層回路基板用生成物1000g
に対して、アクリル樹脂100gと可塑剤70g及びト
ルエン400gを加えてスラリーを作成し、このスラリ
ーに真空脱泡処理を施した。
【0047】次に、スラリーを用いて、ドクターブレー
ド法により厚さ200μmのグリーンシートを作成し
た。そして、このグリーンシートを10枚積層してホッ
トプレスし、得られた積層耐を870℃1時間焼成して
多層の基板本体を作成した。
【0048】得られた基板本体の両面にインジウム−ガ
リウムの導体膜を形成し、JIS2141に準拠して、
Qメーターにより1MHzで誘電率を計測した。
【0049】同様にして、アルミナコーティングしたス
ズ酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウムを表1に
示した割合で多層の回路基板を作成した。
【0050】比較例として負の誘電率温度特性を有する
第2の無機物フィラーを添加しない多層回路基板用組成
物を表1に示す割合で作成した。
【0051】
【表1】
【0052】比較例では、比誘電率も6.5と小さく、
また誘電率温度特性も実質的な使用範囲(25〜80
℃)で130ppm/℃とプラス側に大きい材料である
のに対して、何れの実験例において、比誘電率が8.5
を越え、さらに誘電率温度特性も基板の内部に容量を形
成するにあたり、実用的な範囲である±60ppm/℃
以下となることがわかる。
【0053】特に、絶縁層1a、1b・・・の誘電率の
温度特性が±60ppm/℃であることより、多層回路
基板の内部に容量発生パターン3を形成して所定容量を
得るようにしても、その容量は周囲の温度変化に対して
も安定した容量が維持できる。
【0054】さらに、比誘電率を従来以上に比誘電率を
高めることができることにより、例えば容量発生パター
ン3の面積を小型化しても、充分な値の容量が得られ、
さらに、図1に示すマイクロストリップ線路パターン7
を基板本体1内部に形成する場合にも、小型化された線
路パターン7が達成され、波長短縮率に応じて、誘電率
が負の温度特性を有する第2の無機物フィラーの材料、
及び配合量を制御することにより、一層のマイクロスト
リップラインを極小化させることができる。
【0055】また、第2の無機物フィラーのアルミナコ
ーディング膜が、ゾルゲル法によって形成され、特に、
1200℃以上に処理されたアルミナ膜で構成されてい
るため、このアルミナがα−アルミナであること、基板
の焼結温度(〜1050℃)以上の処理温度で形成され
ていることにより、回路基板中、又は基板表面に第2の
無機物フィラー成分が拡散することがないため、基板本
体1の内部配線パターン2、容量発生パターン3、ビア
ーホール導体4及び表面配線パターン5、厚膜抵抗膜6
などに、第2の無機物フィラーを添加した悪影響を及ぼ
すことが一切なく、例えば基板本体1の表面の厚膜抵抗
体膜6の抵抗温度特性を変化させることが一切ないもの
となる。
【0056】尚、上述の実施例では、内部に容量発生パ
ターン3、マイクロストリップ線路パターン7を形成し
た多層回路基板1を例示したが、その他にコイルパター
ンを基板本体1の内部又は基板本体1の表面に形成し
て、内部に形成した容量成分とともにL−C共振回路を
作成するなど、種々の回路網に広く使用できる。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低温焼
成され、内部配線導体として、金、銀、銅などの貴金属
材料を具備した多層回路基板であって、多層の基板本体
を構成する絶縁層が、ガラス成分、アルミナ成分、さら
にアルミナがコーティングされた誘電率が負の温度特性
を有する第2の無機物フィラーを混合して構成されてお
り、基板の誘電率の温度特性を小さく、且つ平坦化する
ことができるため、基板本体内に容量発生パターンを形
成して容量成分を内装することができる。
【0058】また、誘電率が負の温度特性を有する第2
の無機物フィラーが安定したアルミナによってコーティ
ングされているため、焼成後の基板の変色が防止でき、
特に、基板の表面及び内部に形成した厚膜抵抗体膜の抵
抗温度特性に影響を与えることがない。
【0059】よって、基板内部に容量成分を内装するこ
とができるため、内部配線パターンの引き回しの制約が
減少して、さらに、安定した特性の厚膜抵抗体膜を形成
することができるため、表面配線パターンの実装密度が
向上し、全体として、小型化された多層回路基板が達成
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層回路基板の断面構造を示す図であ
る。
【符号の説明】
10・・・・・・多層回路基板 1・・・・・・基板本体 1a、1b・・・・絶縁層 2・・・・・・内部配線パターン 3・・・・・・容量発生パターン 4・・・・・・ビアホール導体 5・・・・・・表面配線パターン 6・・・・・・厚膜抵抗体膜 7・・・・・・マイクロストリップ線路パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/46 H01G 4/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス成分及び無機物フィラーから成る絶
    縁層を複数積層して成り、内部に金系、銀系又は銅系導
    体材料から成る所定配線パターン及び容量発生パターン
    、表面に厚膜抵抗体膜をそれぞれ有する多層回路基板
    であって、 前記無機物フィラーは、誘電率の温度特性が負である無
    機物材料アルミナコーティングした粉末から成るこ
    とを特徴とする多層回路基板。
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