JP3103261B2 - 木造軸組建築物の壁用断熱材 - Google Patents

木造軸組建築物の壁用断熱材

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JP3103261B2 JP3761094A JP3761094A JP3103261B2 JP 3103261 B2 JP3103261 B2 JP 3103261B2 JP 3761094 A JP3761094 A JP 3761094A JP 3761094 A JP3761094 A JP 3761094A JP 3103261 B2 JP3103261 B2 JP 3103261B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は木造軸組建築物の壁用断
熱材に関し、特に壁の柱と柱の間に圧挿して用いる合成
樹脂製の板状軟質発泡体からなる断熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】木造枠軸組建築物の壁を構築する際、通
常、主柱と主柱の間や、主柱間に設けた間柱と間柱の間
や主柱と間柱の間等に断熱材を挿入して断熱施工し、そ
の上から壁板等で覆って形成する工法が公知である。上
記の断熱材としてはグラスウールや板状発泡体等が使用
されている。
【0003】上記の発泡体からなる断熱材として、例え
ば実公昭63−10010号公報の第1欄23行〜第2
欄6行に記載されているように、板状発泡体に突出部を
設けたもの、端部を傾斜させたもの、幅方向の中央部に
たわみ用の切り込みを設けたもの、端部に緩衝材を貼着
したもの、V字状溝を設けたり裏面材を積層したもの等
が公知である。また、上記公報には圧縮弾性率と曲げ弾
性率を特定したスキン層を有する独立気泡発泡体の表面
から裏面側に向けて裏面までは到らないが板の幅寸法を
2分する切り込みを設けたものが開示されている。ま
た、実公昭63−43290号公報には軟質板状発泡体
の略中央部にたわみ用切り込みと端部に1cm以下の間
隔で多数条平行に配した切り込みとを設けたものが開示
されている。
【0004】ところで、隣合う柱の間の間隔は各柱の中
心間の距離が同じになるように設計されている。そして
間柱の幅は主柱の幅と比較して狭く形成されているた
め、主柱と主柱の間、主柱と間柱の間又は主柱と主柱の
間の内寸法は全て異なり3種類の柱間内寸法が存在す
る。そのため、従来、発泡体やグラスウール等の断熱材
を施工するには、ある一定の幅寸法の断熱材を種々の内
寸法に応じた幅寸法に施工現場で切断して使用したり、
又、内寸法に応じた幅寸法の異なる断熱材を数種類準備
して施工する等していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、幅寸法
の異なる複数の種類の断熱材を使用することは、資材管
理が煩雑になるという不具合がある。一方、ある一定大
きさの断熱材を1種類のみ使用して、施工者が現場で断
熱材を各種幅寸法に加工する場合、単なる板状の発泡体
を現場で正確な幅寸法に切断加工することは施工作業の
効率が著しく低下し、又、実際には現場で正確な寸法に
切断加工するのは非常に困難であり、形状が不正確にな
ったり寸法精度の低いものしか得られない。従って、柱
と断熱材との密着力が不十分となり、良好な断熱性能が
発揮できないという問題があった。
【0006】また、実公昭63−43290号公報に記
載の発泡体は、1cm以下の間隔で多数条平行に配した
端部の切り込みによって幅寸法の調整が可能であるが、
このような端部付近の狭い領域に多数の切り込みを設け
た発泡体の場合、次のような問題が生じてしまう。 切り込みを多数条設けた側は発泡体の独立気泡が破壊
され圧縮強度が低下し切り込みのない側(残余部側)と
比べ反発弾性が異なり、断熱材の切り込みを設けた側の
幅方向の中央が柱間に圧挿した後にへこみ平面性が低下
してしまったり、又、断熱材の柱への密着力が低下して
柱−柱間での断熱材の支持が不十分になって柱の間から
断熱材がずり落ちたりしてしまう不具合がある。その結
果、断熱材を施工した上から壁板を貼った場合に、壁板
と断熱材との間に空隙が形成されてしまい断熱性能が低
下する虞れが生じる。 多数のスリットが端部付近に存在すると切り間違いを
生じ易い。仮に断熱材の幅寸法を所定寸法よりも長く切
断してしまった場合には短く切断すればよいが、誤って
所定の寸法よりも短い幅寸法に切断してしまった場合に
は使用不可能になってしまう。 多数のスリットを断熱材の端面から内側に深く設けれ
ば幅調整量は大きくなるが、スリットが多くなると上記
したような反りや反発弾性の低下等が大きくなって物性
が低下してしまうため、スリットを内側に深く設けて幅
調整量を大きくするのには限界があり、幅調整量が大き
い場合には十分対応できない。本発明は上記従来技術の
欠点を解消するためのものであり、木造軸組建築物の壁
の断熱施工を行う際に、1つの幅寸法の断熱材で各種の
柱間寸法への断熱施工が可能であり、資材管理が容易で
且つ施工性や断熱性にも優れた断熱材を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の木造軸組建築物
の壁用断熱材は、(1)標準幅が105〔mm〕の主柱
と標準幅24〔mm〕の間柱とを有する木造軸組建築
物の主柱と主柱の間、主柱と間柱の間又は間柱と間柱の
間に圧挿される合成樹脂の板状軟質発泡体からなる断熱
材であって、間柱と間柱の間の内寸法をA〔mm〕とし
た場合、断熱材の幅寸法がa〔mm〕に形成され、断熱
材の幅方向の一方の側の端部からb〔mm〕の距離に断
熱材の長手方向に沿って幅のない切り込みから成るスリ
ットPが設けられ、更に断熱材の幅方向の他方の端部か
らc〔mm〕の距離に断熱材の長手方向に沿って幅のな
い切り込みから成るスリットQが設けられ、 a=A+(0.5〜15) b=(A−40.5)+(0.5〜15) c=(A−81)+(0.5〜15) であることを特徴とする。又本発明のもう一つの木造軸
組建築物の壁用断熱材は (2)標準幅が105〔mm〕の主柱と標準幅30
〔mm〕の間柱とを有する木造軸組建築物の主柱と主柱
の間、主柱と間柱の間又は間柱と間柱の間に圧挿される
合成樹脂の板状軟質発泡体からなる断熱材であって、間
柱と間柱の間の内寸法をA〔mm〕とした場合、断熱材
の幅寸法がa〔mm〕に形成され、断熱材の幅方向の一
方の側の端部からb〔mm〕の距離に断熱材の長手方向
に沿って幅のない切り込みから成るスリットPが設けら
れ、更に断熱材の幅方向の他方の端部からc〔mm〕の
距離に断熱材の長手方向に沿って幅のない切り込みから
成るスリットQが設けられ、 a=A+(0.5〜15) b=(A−37.5)+(0.5〜15) c=(A−81)+(0.5〜15) であることを特徴とする。
【0009】上記(1)又は(2)の木造軸組建築物の
壁用断熱材において、(3)スリットPとスリットQと
の間に、断熱材の長手方向に沿ってスリットRを設ける
ことが好ましい
【0010】また、上記(3)のスリットRは断熱材の
幅方向の略中心に設けることが好ましい。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。図1は本発明の断熱材の1例を示す外観斜視
図であり、図2は本発明の断熱材の他の例を示す外観斜
視図であり、図3は本発明の断熱材の使用例を示す幅方
向水平断面図であり、図4は断熱材の使用例を示す平面
図である。
【0012】図1に示すように本発明の断熱材1は、合
成樹脂の板状軟質発泡体からなり、幅寸法a〔mm〕の
断熱材1の幅方向の一方の側の端部からb〔mm〕の距
離に、断熱材の長手方向に沿ったスリットPとが設けら
れ、更に断熱材1の幅方向の他方の端部からc〔mm〕
の距離に断熱材1の長手方向に沿ったスリットQが、予
め設けられている。尚、本発明の断熱材に用いられる発
泡体は実質的に独立気泡の発泡体であり、スリットP及
びスリットQは幅のない切り込みとして形成され、断熱
材1はそのままの状態(切断前)であっても又、スリッ
トP、Qから切断した後であっても、優れた断熱性を備
える。
【0013】図3及び図4に示すように、本発明の断熱
材1は壁の主柱3と主柱3との間、主柱3と間柱2との
間、間柱2と間柱2との間に圧挿して断熱施工を行う際
に用いられる断熱材である。本発明の壁用断熱材の幅寸
法a及びスリットPとスリットQを設ける位置(b、
c)は、間柱2の標準幅Fと主柱3の標準幅Eに応じて
間柱2と間柱2の間の内寸法Aに応じて決定する。
【0014】本発明の請求項1の発明は、主柱3の標準
幅Eが105〔mm〕、間柱2の標準幅Fが24〔m
m〕の場合であり、上記のa、b及びcとA及びBとの
関係は下記式(1)〜(3)の通りである。 a=A+(0.5〜15) ・・・・(1) b=(A−40.5)+(0.5〜15)・・・・(2) c=(A−81)+(0.5〜15) ・・・・(3) 上記のa、b、cは、より好ましくは下記式(4)〜
(6)の通りである。 a=A+(2〜13) ・・・・(4) b=(A−40.5)+(2〜13)・・・・(5) c=(A−81)+(2〜13) ・・・・(6)
【0015】又、本発明の請求項2の発明は、主柱3の
標準幅Eが105〔mm〕、間柱2の標準幅Fが30
〔mm〕の場合であり、上記のa、b及びcとA及びB
との関係は下記式(7)〜(9)の通りである。、 a=A+(0.5〜15) ・・・・(7) b=(A−37.5)+(0.5〜15)・・・・(8) c=(A−81)+(0.5〜15) ・・・・(9) 上記のa、b、cは、より好ましくは下記式(10)〜
(12)の通りである。 a=A+(2〜13) ・・・・(10) b=(A−37.5)+(2〜13) ・・・・(11) c=(A−81)+(2〜13) ・・・・(12)
【0016】即ち、請求項1と2の相違は、間柱2の標
準幅の相違によるものである。断熱材1の幅寸法aは、
図3(イ)及び図4に示すように間柱2−間柱2間の内
寸法Aに対して0.5〜15mmの範囲で幅寸法が大き
く形成されたものであり、幅寸法aの断熱材はそのまま
の状態で間柱2と間柱2との間に圧挿する場合に使用さ
れる。
【0017】上記のbは断熱材1の一方の端部からスリ
ットPまでの距離を示しており、幅寸法a〔mm〕とし
て形成されている断熱材を現場でスリットPから切断す
ることで幅寸法b〔mm〕の断熱材が得られる。この幅
寸法bの断熱材は、図3(イ)及び図4に示すように主
柱3と間柱2間の内寸法Bに対して.5〜15mmの範
囲で幅寸法が大きく形成されたものであり、幅寸法bの
断熱材(1b)は間柱2と主柱3の間に圧挿する場合に
使用される。
【0018】上記のcは断熱材1の他方の端部からスリ
ットQまでの距離を示しており、幅寸法a〔mm〕とし
て形成されている断熱材を現場でスリットQから切断す
ることで幅寸法c〔mm〕の断熱材が得られる。この幅
寸法cの断熱材(1c)は図3(ロ)及び図4に示すよ
うに、主柱3−主柱3間の内寸法Cに対して2〜15m
mの範囲で幅寸法が大きく形成されたものであり、幅寸
法cの断熱材(1c)は主柱3の間に圧挿する場合に使
用される。
【0019】上記のa〜cの数値は各柱間(間柱−間柱
間、主柱−間柱間、主柱−主柱間)の各内寸法に対して
+0.5〜15mmの範囲に形成されているが、この数
値範囲を外れて+0.5未満の場合には柱との間の密着
力が不十分となり、又、+15mmを越えると柱間の内
寸法に対してそれぞれの断熱材の幅寸法が大きくなりす
ぎて圧挿が困難になり作業性が低下する。このように、
幅寸法aは間柱−間柱間、幅寸法bは主柱−間柱間、幅
寸法cは主柱−主柱間の内寸法に対応する幅寸法である
ため、スリットP、Qから切り取るだけで、それぞれの
柱間の内寸法に正確に対応した幅寸法の断熱材が得ら
れ、合成樹脂の軟質発泡体の弾性によって、木材間への
圧挿を確実に行い且つ施工後断熱材を確実に保持して、
1枚の断熱材で3つの内寸法の柱間の断熱施工を行うこ
とができる。a〜cの数値を各内寸法に対して2〜13
〔mm〕の範囲となるようにした場合には、作業性の向
上と断熱材の保持を更に良好なものとすることができ
る。
【0020】尚、木造軸組建築物において、図3及び図
4に示すように、主柱3の中心と主柱3の中心間及び間
柱2の中心と間柱2の中心間の距離Xはいずれも一定で
あり、どの柱の間であっても455〔mm〕に形成され
ている。又、本発明において、主柱の標準幅E、間柱の
標準幅F、間柱と間柱間の内寸法A、主柱と間柱間の内
寸法B、主柱と主柱間の内寸法Cはいずれも設計値であ
る。また、本発明において断熱材の幅方向とは柱と直交
する方向であり、断熱材の長手方向とは柱の長手方向に
沿った方向を言う。
【0021】本発明の断熱材においてスリットP、Q
は、通常の取扱では断熱材が該スリットから簡単に分離
しないが人の手で折り曲げてちぎったりすれば、該スリ
ットから容易に分離することができ、且つ切断面が角材
や柱等にフィットするように形成するのが好ましい。具
体的には、板状軟質発泡体の一方の表面から裏面側に向
けて垂直に切り込みを入れ、該切り込みが裏面側には到
達しないように残余部を形成する。残余部の厚み(断熱
材の厚み−スリットの深さ)は発泡体の材質や厚み等に
応じて適宜調整すればよいが、好ましくは0.5〜10
mm更に好ましくは1〜7mmに形成する。
【0022】本発明の断熱材1は図2に示すように、ス
リットPとスリットQとの間に他のスリットRを設けて
もよい。スリットRは断熱材を角材間又は柱間に圧挿す
る場合に折り曲げ易くして挿入を更に容易にするために
用いられる。このスリットRはスリットP、Qと同様
に、板状軟質発泡体の一方の表面から裏面側に向けて垂
直に直線状に切り込みを入れ、切り込みが裏面に到達し
ないように残余部を形成したものが用いられる。またス
リットRは断熱材を折り曲げて柱間への挿入を助けるも
のであれば、直線状の切り込みに限らず、断面を曲線
状、斜線状、折れ線状、曲線と折れ線とを組み合わせた
形状や、複数条としたり断続的に設けることもできる。
スリットRはスリットPとスリットQの間に設ければよ
いが、断熱材1の幅方向の略中心付近に設けるのが好ま
しい。
【0023】スリットRをスリットP、Qと同様の切り
込みとして設ける場合、各スリットの深さは、上記した
スリットP、Qと同様の深さに形成される。又、スリッ
トの深さは異ならしめてもよく、その場合スリットP、
Qを深く形成し、スリットRは浅く形成するのが好まし
い。このように形成した場合、断熱材をスリットPやス
リットQから切断する際に誤ってスリットRから切断し
てしまうのを防止できる。
【0024】本発明の断熱材1の長さdや厚みe等は特
に限定されないが、長さdは900〜2000mm、厚
みeは20〜100mm程度に形成するのが好ましい。
【0025】木造軸組建築物の壁の設計寸法例と該寸法
に応じた好ましい断熱材の諸寸法との関係を下記の表1
に示す。表1の単位は全て〔mm〕である。
【0026】
【表1】
【0027】本発明において使用される合成樹脂の板状
軟質発泡体とは、柔軟性を有し圧縮可能であり発泡板を
曲げた場合に破断や欠損しにくく、断熱材の幅寸法より
も小さい間隔の柱間に圧縮して挿入可能であって、且つ
反発弾性を有し柱間に圧挿した場合に断熱材の端部と柱
が密着する性質を有するものである。
【0028】合成樹脂の板状軟質発泡体は、ポリオレフ
ィン系樹脂或いはゴム成分を含有するポリスチレン系樹
脂等を、押出発泡成形或いはビーズ発泡成形のいずれか
により成形したものが好ましい。特にピーズ発泡成形体
の方が全体に均一な強度の発泡体が得られるため、より
好ましい。これは、押出発泡成形体は成形時に押出方向
(長手方向)該方向と直交する方向(幅方向)より
く引き延ばされることで幅方向の強度がやや低下し、部
材間に圧挿した後に経時的に反発力が低下して部材間の
保持が不十分となる虞れがあるが、これに対しビーズ発
泡成形体は方向性が無く全体に均一な強度が得られ柱間
で断熱材を長期間確実に保持し良好な断熱性能を維持す
ることができるためである。
【0029】上記のポリオレフィン系樹脂の基材樹脂と
しては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン
と炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ブテン三元共重合体等から選択される
1種、若しくは2種以上の混合物、又はこれらを主成分
とする共重合体、若しくは混合物を挙げることができ
る。上記した基材樹脂のなかでも、プロピレン成分が9
0〜99重量%、エチレン成分が1〜10重量%のラン
ダム共重合体が好ましい。これらのポリオレフィン系樹
脂は無架橋のものであっても、架橋したものであっても
良い。又、ポリオレフィン系樹脂にエチレン−プロピレ
ンラバー、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等のゴム成
分を25重量%程度まで混合してもよい。
【0030】又、ゴム成分を含有するポリスチレン系樹
脂は基材樹脂にブレンド又は共重合によりゴム成分を
0.5〜20重量%含有せしめたものが用いられる。上
記の基材樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、ジ
メチルスチレン等のスチレン系ビニルモノマーを主構成
単位とする重合体や、更に他のモノマー、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸もしくはこれらのエステル、アクリ
ロニトリル、アクリルアミド、メタクリルニトリル、無
水マレイン酸との共重合体したもの等が挙げられる。一
方ゴム成分は、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン
ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン等をブ
レンドしたり、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン
等のモノマー又はオリゴマーを上記の基材樹脂を構成す
るモノマー(他のモノマーも含めて)所定の重量比で共
重合して用いる。
【0031】上記の基材樹脂には水酸化マグネシウム、
炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー等の無機物を
5〜40重量%混合したものを用いても良く、これによ
って建材用として重要な準不燃性、耐熱性を向上させる
ことができる。また、上記基材樹脂には臭素系化合物や
リン系化合物等の難燃剤を3〜15重量%加えることが
好ましい。
【0032】ビーズ発泡により発泡体を製造するには、
例えば基材樹脂に必要に応じ各種添加剤等を含有せしめ
た混合物から発泡粒子を製造し、該発泡粒子を断熱材の
所定形状に形成した閉鎖し得るが密閉し得ない成型用の
金型内に充填し、発泡粒子間の空隙を埋め発泡粒子どう
しが融着可能な温度の水蒸気により発泡粒子を加熱して
粒子相互を融着せしめ、しかる後冷却することによって
型通りに成形された発泡体が得られる。発泡粒子には必
要に応じて無機ガス又は無機ガスと揮発性発泡剤との混
合ガスにより加圧熟成して粒子内に所定の内圧を付与す
ることもある。
【0033】発泡粒子の製造には例えば次の〜等の
手段が用いられる。 基材樹脂を押出機で溶融混練した後、ストランド状に
押し出し、次いで冷却後、適宜長さに切断するか、或い
は適宜長さに切断後、冷却する等の手段で先ずペレット
状の樹脂粒子を製造し、得られた樹脂粒子を密閉容器内
で発泡剤の存在下で水等の分散媒に分散させ、該樹脂粒
子の軟化温度以上の温度に加熱して樹脂粒子内に発泡剤
を含浸させ、しかる後容器の一端を開放し、容器内圧力
を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら樹脂粒子と
水とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気下(通常は大気
圧下)に放出して樹脂粒子を発泡せしめて発泡粒子を製
造する方法、 ゴムを含有するポリスチレン系樹脂の場合には、a)
モノマーをオートクレーブで重合する際に発泡剤を添加
して重合し発泡剤を含有する球状の樹脂粒子を形成し、
該樹脂粒子を未発泡の状態でオートクレーブから取り出
し蒸気等で樹脂粒子を加熱して発泡させて予備発泡粒子
を得る、b)モノマーを重合して球状の樹脂粒子を得た
後、該樹脂粒子にオートクレーブ内で発泡剤を含浸した
後未発泡の状態で発泡剤を含有する樹脂粒子をオートク
レーブから取り出し蒸気で加熱して発泡させて予備発泡
粒子を得る方法等、 更に高発泡倍率の発泡粒子を得る場合には上記の発泡
剤含浸と発泡工程を複数回繰り返して行う(多段発
泡)。特にポリオレフィン系樹脂を基材樹脂として使用
した場合には上記の手段を用いると高発泡倍率の粒子が
容易に得られる。又ポリスチレン系樹脂の場合には1段
発泡でも高発泡倍率の発泡粒子が容易に得られる。 発泡粒子を製造するための基材樹脂は、前述したよう
に無架橋のものであっても架橋したものであっても良い
が、架橋ポリオレフィン系樹脂の発泡粒子を製造する場
合には、無架橋の樹脂で上記樹脂粒子を製造し該樹脂粒
子に適宜手段を施して架橋樹脂粒子とし、これを発泡せ
しめて架橋樹脂の発泡粒子を得る。
【0034】樹脂粒子を発泡させるための発泡剤として
は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブ
タン、シクロヘキサン、トリクロロフロロメタン、ジク
ロロジフロロメタン、クロロフロロメタン、トリフロロ
メタン、1,2,2,2 −テトラフロロエタン、 1−クロロ−
1,1 −ジフロロエタン、1,1 −ジフロロエタン、 1−ク
ロロ−1,2,2,2 −テトラフロロエタン等の揮発性発泡剤
や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機ガス系
発泡剤を用いることができる。なかでもオゾン層の破壊
がなく且つ安価な無機ガス系発泡剤が好ましく、特に窒
素、空気、二酸化炭素を主成分とするものが好ましい。
また、揮発性発泡剤と無機ガス系発泡剤の混合発泡剤も
樹脂粒子の発泡倍率制御の容易さの点で好ましい。更
に、発泡剤の使用量は、通常樹脂粒子100重量部当
り、2〜50重量部であり、窒素、空気を発泡剤として
使用する場合は20〜60kgf/cm2 ・Gの圧力範
囲内で容器内に圧入されるものとし、これら発泡剤の使
用量は得ようとする発泡粒子の発泡倍率と発泡温度との
関係で適宜選定される。樹脂粒子を分散させるための分
散媒としては、樹脂粒子を溶解しないものであれば良
く、このような分散媒としては例えば水、エチレングリ
コール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げ
られるが、通常は水が使用される。
【0035】このような手段において、樹脂粒子を分散
媒に分散せしめて発泡温度に加熱するに際し、樹脂粒子
相互の融着を防止するために融着防止剤を用いることが
できる。融着防止剤としては水等に溶解せず、加熱によ
って溶融しないものであれば無機系、有機系を問わず使
用可能であるが、一般には無機系のものが好ましい。無
機系の融着防止剤としては、カオリン、タルク、マイ
カ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウ
ム等の粉体が好適である。また、分散助剤としてドデシ
ルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリ
ウム等のアニオン系界面活性剤を好適に使用することも
できる。尚、上記融着防止剤としては平均粒径0.001
〜100μm、特に0.001〜30μmのものが好まし
く、融着防止剤の添加量は樹脂粒子100重量部に対
し、通常は0.01〜10重量部が好ましい。また、界面
活性剤は樹脂粒子100重量部当たり、通常0.001〜
5重量部添加することが好ましい。
【0036】また、樹脂粒子と分散媒とを容器内より低
圧の雰囲気下に放出して発泡せしめるときの発泡温度
は、一般に使用する樹脂の種類(架橋されているか否か
も含む)や、発泡剤の種類と使用量とで異なるが、一例
を示すと、樹脂として無架橋のポリオレフィン系樹脂粒
子を用い、発泡剤として無機ガス系のものを使用する場
合は、当該樹脂の融点−5℃以上で融点+15℃以下、
特に融点−3℃以上で融点+10℃以下であるのが好ま
しい。また、架橋ポリオレフィン系樹脂粒子を無機ガス
系発泡剤及び/又は有機揮発性発泡剤を使用して発泡さ
せる場合は、架橋前の融点以上で、その融点+80℃以
下であるのが好ましい。更に、発泡温度にまで加熱する
際の昇温温度は1〜10℃/分、特に2〜5℃/分であ
るのが好ましい。尚、発泡性の樹脂粒子と分散媒とを容
器内より放出する雰囲気は、容器より低圧であればよい
が、通常は大気圧下である。また、上述の樹脂の融点と
は示差走査熱量計によってサンプル約3〜6mgを10
℃/分の昇温速度で220℃まで加熱し、その後10℃
/分の降温速度で約50℃まで冷却し、再度10℃/分
の速度で220℃まで昇温した時に得られるDSC曲線
における吸熱ピーク(固有ピーク)の頂点の温度であ
る。
【0037】本発明の断熱材に用いられる発泡体の密度
は基材樹脂の種類等に応じて適宜選択されるが、通常
0.005〜0.050g/cm3 であり、より好まし
くは0.007〜0.015g/cm3 である。この範
囲であればより良好な柔軟性、強度等を発揮することが
できる。尚、密度が0.025g/cm3 未満の場合に
は、柔軟になりすぎてしまい部材との密着性は良いが強
度が低下し、特に0.005g/cm3 未満になると強
度が劣る。一方、密度が0.050g/cm3 を超える
場合には、柔軟性に劣るため密着性が低下する。
【0038】本発明の断熱材は上記のように形成した板
状の発泡体の所定位置に通常カッター等で切り込みを入
れて各スリットを形成することで得られる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1の
木造軸組建築物の壁用断熱材は、合成樹脂の板状軟質発
泡体から形成し幅寸法をa〔mm〕=A+(0.5〜1
5)とし、断熱材の幅方向の一方の側の端部からb〔m
m〕=(A−40.5)+(0.5〜15)の距離に断
熱材の長手方向に沿ってスリットPを設け、更に断熱材
の幅方向の他方の端部からc〔mm〕=(A−81)+
(0.5〜15)の距離に断熱材の長手方向に沿ってス
リットQを設けたことで、本発明の断熱材を各スリット
に沿って切断するだけで幅寸法aの断熱材に加えて幅寸
法b及び幅寸法cの断熱材が容易に得られる。この3種
類の幅寸法の断熱材は、標準幅が105〔mm〕の主柱
と、標準幅が24〔mm〕の間柱とを有する壁の3種類
の柱間の内寸法に正確に対応した幅寸法であるため、従
来のように、幅寸法の異なる断熱材を柱間の距離に応じ
て複数準備する必要がない。更に断熱材の切断加工はス
リットに沿って行えばよいため、現場で手又はカッター
等で容易に且つ正確な寸法に切断を行うことができる。
その結果、施工性に優れ、更に断面形状の良好なものが
得られるため、断熱材が柱間に良く密着し優れた断熱性
を長期にわたり維持できる。又、スリットは必要最小限
しか設けられていないため、反発弾性等の物性が表裏面
で変化して平面性が低下することによる断熱性の低下等
の不具合もない。
【0040】又、本発明の請求項2の断熱材は、木造軸
組建築物の壁用断熱材は、合成樹脂の板状軟質発泡体か
ら形成し幅寸法をa〔mm〕=A+(0.5〜15)と
し、断熱材の幅方向の一方の側の端部からb〔mm〕=
(A−40.5)+(0.5〜15)の距離に断熱材の
長手方向に沿ってスリットPを設け、更に断熱材の幅方
向の他方の端部からc〔mm〕=(A−81)+(2〜
15)の距離に断熱材の長手方向に沿ってスリットQを
設けたことで、本発明の断熱材を各スリットに沿って切
断するだけで幅寸法aの断熱材に加えて幅寸法b及び幅
寸法cの断熱材が容易に得られる。この3種類の幅寸法
の断熱材は、標準幅が105〔mm〕の主柱と標準幅3
0〔mm〕の間柱とを有する壁の3種類の柱間の内寸法
に正確に対応した幅寸法c、b、aの断熱材が得られ、
請求項1の断熱材と同様に、幅寸法の異なる断熱材を柱
間の距離に応じて複数準備する必要がなく、断熱材の切
断加工を現場で手又はカッター等でスリットに沿って容
易に且つ正確な寸法に切断を行うことができ、施工性に
優れ、更に断面形状の良好なものが得られ、断熱材が柱
間に良く密着し優れた断熱性を長期にわたり維持でき
る。又、スリットは必要最小限しか設けられていないた
め、反発弾性等の物性が表裏面で変化して平面性が低下
することによる断熱性の低下等の不具合もない。同様に
施工性に優れ良好な断熱性を維持できる。
【0041】又、上記の請求項1又は請求項2の断熱材
のスリットPとスリットQとの間に断熱材の長手方向に
沿ってスリットRを設けた場合には、該スリットRから
折り曲げて柱間への圧挿を更に容易におこなうことがで
きる。上記のスリットRを断熱材の幅方向の略中心に設
けた場合には、より確実に上記の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱材の1例を示す外観斜視図であ
る。
【図2】本発明の断熱材の他の例を示す外観斜視図であ
る。
【図3】本発明の断熱材の使用例を示す幅方向水平断面
図であり。
【図4】断熱材の使用例を示す平面図である。
【符号の説明】
1・・・断熱材 2・・・間柱 3・・・主柱 P、Q、R・・・スリット A・・・間柱−間柱間の内寸法 B・・・間柱−主柱間の内寸法 C・・・主柱−主柱間の内寸法 E・・・主柱の標準幅 F・・・間柱の標準幅 a・・・断熱材の幅寸法 b・・・断熱材の幅方向の一方の端部からスリットPま
での距離 c・・・断熱材の幅方向の他方の端部からスリットQま
での距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/76 - 1/80

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標準幅が105〔mm〕の主柱と標準幅
    が24〔mm〕の間柱とを有する木造軸組建築物の主柱
    と主柱の間、主柱と間柱の間又は間柱と間柱の間に圧挿
    される合成樹脂の板状軟質発泡体からなる断熱材であっ
    て、間柱と間柱の間の内寸法をA〔mm〕とした場合、
    断熱材の幅寸法がa〔mm〕に形成され、断熱材の幅方
    向の一方の側の端部からb〔mm〕の距離に断熱材の長
    手方向に沿って幅のない切り込みから成るスリットPが
    設けられ、更に断熱材の幅方向の他方の端部からc〔m
    m〕の距離に断熱材の長手方向に沿って幅のない切り込
    みから成るスリットQが設けられ、 a=A+(0.5〜15) b=(A−40.5)+(0.5〜15) c=(A−81)+(0.5〜15) であることを特徴とする木造軸組建築物の壁用断熱材。
  2. 【請求項2】 標準幅が105〔mm〕の主柱と標準幅
    が30〔mm〕の間柱とを有する木造軸組建築物の主柱
    と主柱の間、主柱と間柱の間又は間柱と間柱の間に圧挿
    される合成樹脂の板状軟質発泡体からなる断熱材であっ
    て、間柱と間柱の間の内寸法をA〔mm〕とした場合、
    断熱材の幅寸法がa〔mm〕に形成され、断熱材の幅方
    向の一方の側の端部からb〔mm〕の距離に断熱材の長
    手方向に沿って幅のない切り込みから成るスリットPが
    設けられ、更に断熱材の幅方向の他方の端部からc〔m
    m〕の距離に断熱材の長手方向に沿って幅のない切り込
    みから成るスリットQが設けられ、 a=A+(0.5〜15) b=(A−37.5)+(0.5〜15) c=(A−81)+(0.5〜15) であることを特徴とする木造軸組建築物の壁用断熱材。
  3. 【請求項3】 スリットPとスリットQとの間に、断熱
    材の長手方向に沿ってスリットRが設けられている請求
    項1又は2記載の木造軸組建築物の壁用断熱材。
  4. 【請求項4】 スリットRが断熱材の幅方向の略中心に
    設けられている請求項3記載の木造軸組建築物の壁用断
    熱材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01227717A (ja) * 1988-03-04 1989-09-11 Noboru Kakumoto 厨子柱

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