JP3102088U - 獣害防護柵 - Google Patents

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憲之 寺本
弘充 常喜
成元 山中
敬浩 井上
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Abstract

【課題】電気設備等の設置は全くすることなく、そのため保守点検費等の無駄が削除され、網の支持手段を改良することにより網に取り付いた侵入獣の動きを付従にし、かつ害獣に恐怖感をも生じさせて退去するに至らしめ、害獣の侵入を完全に防ぐことの出来る害獣防護柵を得る。
【解決手段】所定間隔を有して列設した境界支柱4の上部に、隣接する支柱間に亘ってアーチ状弾性梁5を架け渡し、前記列設した境界支柱の一側に、頂部に弾性ポール9を有する内側支柱を配し、前記境界支柱の側面からアーチ状弾性梁を被って境界支柱に支持した防獣ネット6、6’を内側支柱側に延長し、その延長部端縁を内側支柱の弾性ポールで支えてなる獣害防護柵1とした。
【選択図】図1

Description

本考案は、猪,猿,等の害獣が耕作地に侵入し作物を荒らすのを防止するために、耕作地の周囲に設置する獣害防護柵であって、特に猿が柵を乗り越えて侵入するのを防止するのに対し有効に用いることが出来るものである。
山間地内の耕作地にあっては、猿や猪その他による耕作地への侵入で作物が荒される被害が日常茶飯事である。このため、耕作地の周囲に網をめぐらせ侵入を阻止しようとするが、網は破られ或いは乗り越えられ目的を達することは難しい。
そこでその防護策として網の編成時に網の一部に導電性素材を使用し通電することにより、網の導電性部分に猿等が触れた際にショックを与えるもの(特許文献1参照)、或いは網上に裸電線を少なく共2本張りめぐらせ、同電線に触れた猿に衝撃電流を流す(特許文献2参照)、更には侵入防止柵に猿の手指が触れた際に、手指に痛覚刺激を与えるような刺状体を設けたもの(特許文献3参照)、張り巡らせた網の下部網目を小さくして小動物の侵入を防ぐようにしたもの(特許文献4参照)などが考えられたが、設置費用、保守費に問題があり、また、完全に害獣の侵入を阻止することは難しかった。
実開平6−19483号公報 特許2619209号公報 実用登録第3089032号公報 特開2001−78648号公報
本考案は上記の点に鑑みて、電気設備等の設置は全く必要なく、そのための保守点検費等の支出を必要としないもので、網の支持手段を改良することにより網から侵入しようとした害獣の動きを不自由にし、かつ害獣に恐怖感をも生じさせて退去するに至らしめ、害獣の侵入を完全に防ぐことの出来る害獣防護柵を得ることを課題とする。
請求項1記載の考案にあっては、所定間隔を有して列設した境界支柱の上部に、隣接する支柱間に亘ってアーチ状弾性梁を架け渡し、前記列設した境界支柱の一側に、頂部に弾性ポールを有する内側支柱を配し、前記境界支柱の側面からアーチ状弾性梁を被って境界支柱に支持した防獣ネットを内側支柱側に延長し、その延長部端縁を内側支柱の弾性ポールで支えてなる獣害防護柵とした。
請求項2記載の考案にあっては、上記獣害防護柵において、防獣ネットの延長部端縁にはロープを通し、該ロープと弾性ポールとを固定した。
請求項3記載の考案にあっては、前記請求項1記載の獣害防護柵において境界支柱の側面に垂下した防獣ネットは、その接地部分においては境界支柱とは離し、傾斜した状態に張設した対猪用の強力ネットとした。
請求項4記載の考案にあっては、前記請求項1記載の獣害防護柵に、所定間隔ごとに地部と異なる色の糸を縦方向に入れたネットを用いている。
請求項5記載の考案にあっては、前記請求項1記載の獣害防護柵に、隣接する境界支柱間の区画に張設するネットを異色のものとしている。
本考案獣害防護柵は、害獣特に猿が防獣ネットに取り就いて、それを乗り越えようとしたときに、防獣ネットは、猿の体重により弾性ポール及びアーチ状弾性梁が屈曲し、防獣ネットは不安定に揺動し、猿の動きを阻害する。そのため猿は恐怖心を生じ防獣ネットから退去することになる。即ち、防獣ネットは境界支柱内部に延びる延長部分が弾性ポールによって弾性的に支持されているために、有る程度猿の動きに順応した動きをし、不動状態に固定されたネットに比して獣害の動きに応動して害獣をゆるすことになり、害獣を威嚇する効果を発揮する。また弾性的にネットが支持されているのでネットに加えられる破断力は吸収されネットが破損される率が低い。
本考案害獣防護柵は施工場所を限定されることがなく、規模の大小にかかわらず設置することが出来、かつ、境界支柱を立て網を張るだけで良く、誰でもが簡単に施工できる特徴を有する。
本考案獣害防護柵は、使用するネットに所定間隔ごとにネットの地の色と異なる色糸を挿入し、或は所定長さごとにネットの色を変える等のマーキングが施されているために、現地で獣害防護柵を設置する際に、支柱間に張るネットの長さに誤りなく固定出来、ネットの弛み或は緊張等をなくして設置することが出来る。
本考案を実施するための最良の形態につき以下に説明する。
図1は本考案獣害防護柵1の断面図、図2は同正面図である。本考案獣害防護柵1は野外2において耕作地3を囲って設けるが、耕作地3の周囲に適宜間隔で境界支柱4,4……を立てる。境界支柱4,4……は単管パイプを用い、支柱4の頂部には隣接する境界支柱4,4間にアーチ状弾性梁5を架け渡す。アーチ状弾性梁5は2本の境界支柱4,4の間で上方に突出した状態に屈曲しアーチを画いている。アーチ状弾性梁5の弾性により境界支柱4,4の側圧に対する耐性を強化すると共に後述する防獣ネット6,6’を張設固定するための柱連結パイプ7を境界支柱4,4間に架け渡す。
一方、境界支柱4,4の中央位置にあって、境界支柱4,4から離れた耕作地3内に位置して内側支柱8,8……を境界支柱4,4……と同一スパンで立てる。内側支柱8は、反境界支柱4,4……側にそり返った状態で立っている。そして内側支柱の頂部には弾性ポール9を取り付け、弾性ポール9の先端には隣接する弾性ポール9,9……間に亘って前記の防獣ネット6の端縁を固定する。そして、前記防獣ネット6の端縁に備えたロープ10を引き絞ることで、境界支柱4の頂部から耕作地3の内側にかけて防獣ネット6が弾性ポール9の弾性によって耕作地3側に引かれて屋根状に展開される。
境界支柱4の外側即ち野外2側に垂下している防獣ネット6’は、地中に打ち込んだアンカー11で端部が止められている。尚、上記境界支柱4の外側に設ける網は猪などの中型獣に襲われた際に破損等生じないように下部のみ強固な網を使用するか或いは強固な猪用の網等で更にその上を覆った二重網とすることが好ましい。
上記強固な網として使用出来る網にステンレス糸を編み込んだもの或いは高強力ポリエチレンフィラメント製のもの等が優れ、対猪用として12cm目程度の網目のものを、猿用としては4.5cm目程度のものを用いることが出来る。
前記防獣ネット6,6’は、境界支柱4,4……に添って張られ、また、弾性ポール9,9……の先端に固定されているが、防獣ネット6,6’自体は伸張性を有するものであるため、前記柱等へのネット固定時に、ややもするとネットを伸張状態に或は逆に弛ませた状態に固定する事態が生ずる。
そのために、ネットの所定長さごとにマーキングを施すことが考えられる。例えば、第1に図3Aに示す如く、所定長さごとに(この長さはネットを支持する柱と柱の間隔に相当する長さとしても良い)、目印となる糸12を、ネットの地の色と異なる色で縦方向即ち柱と同方向に入れることで、柱と目印を合わせてネットを張り、前記の不具合をなくすことが出来る。
また、第2に上記目印の色糸挿入にかえて、図3Bに示す如く所定長さごとにネット6の地の色を変えることとしても同等の効果を発揮できる。
本考案獣害防護柵は上記の如き構成を有している。今、猿が耕作地に侵入しようとしたとする。野外2に居た猿は耕作地3に侵入しようとして境界支柱4の外側に垂下している防獣ネット6に取り付き、それを登る。
然し、境界支柱4の上部はアーチ状弾性梁5によって防獣ネット6は支えられているためにアーチ状弾性梁5は猿の体重によって撓り不安定となり、猿に恐怖心を起させる。更にアーチ状弾性梁5を通過しようとすると、弾性ポール9,9間に屋根状に張られた防獣ネット6上に乗ることになり、更に、安定度を欠き、猿の体重により弾性ポール9は上下に大きく反発動しネット6を揺らすため、猿は防獣ネット6を上昇出来なくなり、退去することになる。また、猪などの中型獣の場合、境界支柱の外側の、地表に近い部分の防獣ネット6’の猿網の外に猪用のものを重ねれば猪により猿網まで破損されることがなく長期使用することが出来るようになる。
長さ1.8mの単管パイプ製の内側支柱8に、長さ2.7mの弾性ポール9を地面まで差し込み固定し、弾性ポール9を有する内側支柱8とする。弾性ポール9の先端部を防獣ネット6(猿用ヘキサネット・登録商標)の端縁部に固定し、防獣ネット6を境界支柱4から遠ざけるよう耕作地3内方に引っ張り上げるようにして内側支柱8の先端側を傾けて土中に差し込む。その後防獣ネット端部ロープ10を引き絞ることで、防獣ネット6によりテント型網屋根が作られる。柱連結用パイプ7には防獣ネット6’(猪用)を結束バンドで固定し、防獣ネット6’を耕作地3の外側に垂下し、下端は折り返しを付けてアンカー11で固定している。防獣ネット6’の素材としては例えば超高分子量ポリエチレン繊維(ダイニーマ・登録商標)の如きものを使用するのが好ましい。
上記構造の防獣ネットを2年間に亘り2個所に設置した結果は表1の通りであった。尚、表1中の猪の侵入は幼獣の網の噛みちぎりによる侵入であった。
Figure 0003102088
本考案獣害防護柵の縦断面図。 同正面図。 A,Bはマーキングを施したネットの第1,第2の例の正面図。
符号の説明
1 獣害防護柵
2 野外
3 耕作地
4 境界支柱
5 アーチ状弾性梁
6,6’ 防獣ネット
7 柱連結用パイプ
8 内側支柱
9 弾性ポール
10 防獣ネット端ロープ
11 アンカー
12 糸

Claims (5)

  1. 所定間隔を有して列設した境界支柱の上部に、隣接する支柱間に亘ってアーチ状弾性梁を架け渡し、前記列設した境界支柱の一側に、頂部に弾性ポールを有する内側支柱を配し、前記境界支柱の側面からアーチ状弾性梁を被って境界支柱に支持した防獣ネットを内側支柱側に延長し、その延長部端縁を内側支柱の弾性ポールで支えてなる獣害防護柵。
  2. 防獣ネットの延長部端縁にはロープを通し、該ロープと弾性ポールとを固定したことを特徴とする請求項1記載の獣害防護柵。
  3. 境界支柱の側面に垂下した防獣ネットは、その接地部分においては境界支柱とは離し、傾斜した状態に張設した対猪用の強力ネットとしたことを特徴とする請求項1記載の獣害防護柵。
  4. 防獣ネットの所定間隔ごとに地部と異なる色の糸を縦方向に入れたことを特徴とする請求項1記載の獣害防護柵。
  5. 境界支柱間の区画に張設する防獣ネットは、隣接する境界支柱間の区画に張設する防獣ネットを異色のものとしたことを特徴とする請求項1記載の獣害防護柵。
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