JP3100299B2 - 硬貨選別装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子式キャッシュレジ
スタからの指令等により釣銭を自動的に払出す釣銭自動
払出装置や自動販売機等に利用される硬貨選別装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来の釣銭自動払出装置に利用された硬
貨選別装置の一例を図４及び図５を用いて説明する。な
お、図４はかかる硬貨選別装置の要部を示す平面図であ
り、図５は図４中Ａ−Ａ線に沿った断面図である。

【０００３】従来のこの種の硬貨選別装置は、硬貨搬送
路１の一側部に、路面１ａからほぼ垂直に突出した選別
基準面２ａを有する選別基準部材２が固着されていると
ともに、硬貨搬送路１に前記選別基準面２ａを基準にし
て各種硬貨の大きさに適合した複数の硬貨選別孔３が硬
貨搬送方向Ｎに沿って一列に穿設されている。ここで、
選別基準面２ａから各硬貨選別孔３の縁までの距離は一
定である。

【０００４】また、硬貨搬送路１の両端上方に一対のプ
ーリ（不図示）が設けられており、これらプーリ間に搬
送ベルト４が硬貨搬送方向Ｎに向かって前記選別基準面
２ａに近付くように斜めに掛け回されている。

【０００５】上記搬送ベルト４の上方にはベルト支持板
５が取付けられている。また、このベルト支持板５の先
端下側には上記搬送ベルト４に沿って糸巻き形状をなす
複数の回転体６が回転自在に取付けられている。そし
て、各回転体６の窪み部６ａに搬送ベルト４が係合して
おり、各回転体６は搬送ベルト４の横ずれを防止し、ベ
ルト支持板５は搬送ベルト４の上昇を規制している。

【０００６】しかして、駆動手段（不図示）によりいず
れか一方のプーリを回転させて搬送ベルト４を図４中矢
印Ｍ方向に回動させると、搬送ベルト４と硬貨搬送路１
の路面１ａとの間に挟まれた硬貨７が、搬送ベルト４に
よって路面１に押し付けられながら縁を選別基準面２ａ
に当接させて１枚ずつ硬貨搬送方向Ｎに搬送される。こ
の状態で、硬貨７の直径よりも幅の大きい硬貨選別孔３
の上まで搬送されると、硬貨７は当該硬貨選別孔３から
落下する。かくして、硬貨７を選別するようになってい
た。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
この種の硬貨選別装置においては、各回転体６の回転軸
６ａは硬貨搬送路１の路面１ａに対して平行に取付けら
れていた。このため、搬送ベルト４と路面１ａとの間に
挟まれた硬貨７は搬送ベルト４を路面１ａに対して垂直
な方向に押し上げようとし、このときのベルト支持板５
の板バネ作用による反発力が硬貨７を硬貨搬送路１に押
付ける力となるが、この押圧力は硬貨搬送面１に対して
垂直な方向のみにかけられていた。従って、硬貨７を選
別基準面２ａの方向に寄せる力は搬送ベルト４の斜行に
よる力だけであり、硬貨７が連続して搬送された場合
は、搬送ベルト４による押圧力が低下するので硬貨７を
選別基準面２ａの側に寄せる力が弱まり、硬貨７の縁が
選別基準面２ａから外れたまま硬貨選別孔３まで搬送さ
れて、正確な選別が行えなくなる場合があった。

【０００８】本発明はこのような事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、搬送ベルトによっ
て硬貨搬送路の路面に押付けられながら搬送される硬貨
の縁を確実に選別基準面に当接させながら硬貨選別孔ま
で搬送させることができ、硬貨選別精度の向上を図り得
る硬貨選別装置を提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、硬貨搬送路の
一側部に路面からほぼ垂直に突出した選別基準面を有す
る選別基準部材を固着するとともに、硬貨搬送路に選別
基準面を基準にして各種硬貨の大きさに適合した複数の
硬貨選別孔を硬貨搬送方向に沿って一列に穿設し、硬貨
搬送路の両端上方に設けられた一対のプーリ間に掛け回
された搬送ベルトによって硬貨を硬貨搬送路の路面に押
付けるとともに当該硬貨の縁を選別基準面に当接させな
がら搬送して該当する硬貨選別孔から落下させることに
より各種硬貨を選別する硬貨選別装置において、搬送ベ
ルトによる硬貨の押圧方向に対して硬貨搬送路の路面を
幅方向に傾斜させ、この傾斜により下側になった側部に
選別基準面を形成したものである。

【００１０】

【作用】このような手段を講じた本発明の硬貨選別装置
であれば、硬貨は搬送ベルトによって硬貨搬送路の路面
に押付けられながら搬送されるが、搬送ベルトによる硬
貨の押圧方向に対して硬貨搬送路の路面が幅方向に傾斜
し、この傾斜により下側になった側部に選別基準面が形
成されているので、搬送ベルトによる硬貨の押圧力は路
面に対して垂直な硬貨を路面に押し付ける力と路面に対
して水平で選別基準面に硬貨を押し当てる力とに分割さ
れる。この結果、硬貨はその縁を確実に選別基準面に当
接させながら搬送される。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の硬貨選別装置を釣銭自動払出
装置に適用した一実施例について図１乃至図３を用いて
説明する。なお、図２はこの実施例に係る釣銭自動払出
装置の外観斜視図、図３は一部切欠平面図、図１は図３
のＢ−Ｂ矢視断面図である。

【００１２】図２及び図３に示すように、この実施例に
係る釣銭自動払出装置は、前端が開口した箱形の本体ケ
ース２の内部に本体部３を設けている。この本体部３は
本体ケース２の前端から引き出せるようになっており、
本体ケース２の前端から突出した部分にフロントカバー
４が設けられている。上記フロントカバー４の上面右端
部には硬貨投入口５が形成されており、上面左端部には
硬貨払出口６が形成されている。また、上記フロントカ
バー４の上面中央部にはキーボード７及び表示部８が設
けられている。

【００１３】本体部３には、図３に示すように、硬貨投
入口５から投入された各種硬貨を選別する硬貨選別装置
９と、この硬貨選別装置９によって選別された各種硬貨
を種別に収納する硬貨収納部１０と、紙幣等を収納する
ドロワ１１とが設けられている。

【００１４】硬貨選別装置９は、硬貨投入口５から投入
された硬貨を一層一列状態に規制してフロントカバー４
の後側に取込む取込みベルト１２と、この取込みベルト
１２により一層一列状態でフロントカバー４の後側に取
込まれた硬貨を先端側の前記硬貨収納カセット１０の上
方位置まで案内する硬貨搬送路１３と、前記硬貨搬送路
１３の後端側他側部に固着され、路面からほぼ垂直に突
出したガイド面１４ａを有するガイド部材１４と、前記
硬貨搬送路１３の先端側一側部に固着され、路面からほ
ぼ垂直に突出した選別基準面１５ａを有する選別基準部
材１５と、前記硬貨搬送路１３に前記選別基準面１５ａ
を基準にして硬貨搬送方向Ｎに沿って一列に穿設された
複数の硬貨選別孔１６と、硬貨搬送機構部１７とによっ
て構成される。

【００１５】因みに、各硬貨選別孔１５ａは各種硬貨の
大きさにそれぞれ適合した孔で、硬貨搬送路１３の後端
側から先端側に向かって幅の小さい順に穿設されてい
る。また、選別基準面１５ａから各硬貨選別孔１６の縁
までの距離は一定である。

【００１６】前記硬貨搬送機構部１７は、前記硬貨搬送
路１３の先後両端部上方に設けられた一対のプーリ１８
ａ，１８ｂ間に掛け回された断面が円形形状をなす搬送
ベルト１９と、搬送モータ２０と、この搬送モータ２０
の回転軸２０ａに取付けられたタイミングプーリ２１と
一方のプーリ１７ｂを駆動する回転軸（不図示）に取付
けられたタイミングプーリ（不図示）との間に掛け回さ
れたタイミングベルト２２とによって構成される。

【００１７】搬送ベルト１９の上方にはベルト支持板２
３（図１参照）が取付けられている。また、このベルト
支持板２３の先端下側には上記搬送ベルト１９に沿って
糸巻き形状をなす複数の回転体２４（図１参照）が回転
自在に取付けられている。そして、各回転体２４の窪み
部２４ａに搬送ベルト１９が係合している。これによ
り、各回転体２４は搬送ベルト１９の横ずれを防止し、
ベルト支持板２３は搬送ベルト１９の上昇を規制してい
る。

【００１８】ここで、図３に示すように、搬送ベルト１
９は硬貨搬送方向Ｎに向かって前記選別基準面１５ａに
近付くように斜めに掛け回されている。

【００１９】また、図１に示すように、硬貨搬送路１３
における選別基準部材１５の固着部位は幅方向に傾斜し
ており、その下側の側部に上記選別基準部材１５が固着
されている。一方、各回転体２４の回転軸２４ｂは水平
である。

【００２０】なお、硬貨収納部１０に金種別に収納され
た硬貨は、電子式キャッシュレジスタからの指令等によ
り駆動する周知の硬貨排出機構によって選択的に硬貨払
出口６に払出されるようになっている。

【００２１】このように構成された本実施例の釣銭自動
払出装置においては、硬貨投入口から投入された硬貨２
５は、搬送ベルト１２により一層一列状態に規制されて
フロントカバー４の後側の硬貨搬送路１３に搬送され
る。このとき、搬送モータ２０がオンし、このモータの
回転力が搬送モータ２０の回転軸２０ａに取付けられた
タイミングプーリ２１、タイミングベルト２２、一方の
プーリ１８ｂを駆動する回転軸に取付けられたタイミン
グプーリを経由して該プーリ１８ｂに伝達され、搬送ベ
ルト１９が図３中矢印Ｍ方向に回転する。これにより、
硬貨搬送路１３に導かれた硬貨２５は、搬送ベルト１９
によって硬貨搬送路１３の路面に押し付けられながらガ
イド部材１４のガイド面１４ａに沿って搬送され、さら
に、選別基準部材１５の選別基準面１５ａに沿って搬送
されて、該当する硬貨選別孔１６から落下し、硬貨収納
部１０に金種別に収納される。

【００２２】ところで、搬送ベルト１９と硬貨搬送路１
３の路面１３ａとの間に挟まれた硬貨２５は、搬送ベル
ト１９を路面１３ａに対して垂直な方向に押し上げよう
とし、このときのベルト支持板２３の板バネ作用による
反発力が硬貨２５を硬貨搬送路１３に押付ける力Ｆとな
る。ここで、硬貨搬送路１３における選別基準部材１５
の固着部位は幅方向に傾斜しており、各回転体２４の回
転軸２４ｂは水平であるので、押圧力Ｆは硬貨搬送路１
３の路面に垂直で硬貨２５を路面に押し付ける力Ｆ１
と、硬貨搬送路１３の路面に水平で硬貨２５を前記選別
基準面１５ａに押し当てる力Ｆ２とに分割される。しか
も、搬送ベルト１９は硬貨搬送方向Ｎに向かって前記選
別基準面１５ａに近付くように斜めに掛け回されてい
る。

【００２３】従って、搬送ベルトによる硬貨の押圧力が
搬送路の路面に対して垂直な方向にしか作用しない従来
に比べて、硬貨２５を選別基準面１５ａの側に寄せる力
が大きくなるので、連続して硬貨２５が搬送されたこと
により搬送ベルト１９による硬貨２５の押圧力が弱まっ
た場合でも、硬貨２５を確実に選別基準面１５ａに当接
させながら硬貨選別孔１６まで搬送することができる。
よって、搬送硬貨の位置ずれによる誤選別を防止できる
ので、硬貨選別精度の向上を図り得る。

【００２４】なお、前記実施例では搬送ベルト１９を硬
貨搬送方向Ｎに向かって選別基準面１５ａに近付くよう
に斜めに掛け回したが、硬貨搬送方向Ｎに平行に掛け回
しても、従来に比べて硬貨２５を選別基準面１５ａの側
に寄せる力が大きいので、本発明の効果を奏し得る。

【００２５】また、前記実施例では、各回転体２４の回
転軸２４ｂを水平としたが、硬貨搬送路１３の傾斜と逆
向きに傾けてもよい。この場合、前記実施例に比べて硬
貨２５を選別基準面１５ａの側に寄せる力がより大きく
なり、確実性が増す。

【００２６】この他、本発明の硬貨選別装置を自動販売
機等の硬貨取扱装置に適用する等、本発明の要旨を逸脱
しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。

【００２７】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、搬
送ベルトによる硬貨の押圧方向に対して硬貨搬送路の路
面を幅方向に傾斜させ、この傾斜により下側になった側
部に選別基準面を形成したので、搬送ベルトによって硬
貨搬送路の路面に押付けられながら搬送される硬貨の縁
を確実に選別基準面に当接させながら硬貨選別孔まで搬
送させることができ、硬貨選別精度の向上を図り得る硬
貨選別装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の硬貨選別装置を釣銭自動払出装置に適
用した一実施例の要部断面図。

【図２】同実施例における釣銭自動払出装置の外観斜視
図。

【図３】同実施例における釣銭自動払出装置の一部切欠
平面図。

【図４】従来の硬貨選別装置の要部を示す平面図。

【図５】図４中Ａ−Ａ線に沿った断面図。

【符号の説明】

１…釣銭自動払出装置 ９…硬貨選別装置 １３…硬貨搬送路 １５…選別基準部
材 １６…硬貨選別孔 １７…硬貨搬送機
構部 １８ａ，１８ｂ…プーリ １９…搬送ベルト ２０…搬送モータ ２３…ベルト支持
板 ２４…回転体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 硬貨搬送路の一側部に路面からほぼ垂直
   に突出した選別基準面を有する選別基準部材を固着する
   とともに、前記硬貨搬送路に前記選別基準面を基準にし
   て各種硬貨の大きさに適合した複数の硬貨選別孔を硬貨
   搬送方向に沿って一列に穿設し、前記硬貨搬送路の両端
   上方に設けられた一対のプーリ間に掛け回された搬送ベ
   ルトによって硬貨を前記硬貨搬送路の路面に押付けると
   ともに当該硬貨の縁を前記選別基準面に当接させながら
   搬送して該当する硬貨選別孔から落下させることにより
   各種硬貨を選別する硬貨選別装置において、 前記搬送ベルトによる硬貨の押圧方向に対して前記硬貨
   搬送路の路面を幅方向に傾斜させ、この傾斜により下側
   になった側部に前記選別基準面を形成したことを特徴と
   する硬貨選別装置。