JP4240483B2 - 紙幣処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、紙幣を識別して収納する紙幣処理装置に係わり、例えば、パチンコ機やスロットマシン等(以下、「遊技機」と総称する)が設置されている遊技場に設置され、遊技機間に配設される紙幣処理装置に関する。
一般に、パチンコホールのような遊技場では、遊技者の便宜を図るため、遊技機が多数設置された領域(「島」とも称する)において、隣接する遊技機間に、パチンコ球やコイン(遊技媒体)を貸し出すための縦長状の遊技媒体貸出装置が設置されている。この遊技媒体貸出装置は、各遊技機間に固定設置されるフレームに装着されており、対応する挿入口を通じて紙幣、硬貨、プリペイドカード等が挿入されることにより、例えば遊技媒体の貸し出しを促す信号を遊技機に送信する。
具体的には、前記遊技媒体貸出装置は、挿入された紙幣の有効性を識別する紙幣識別装置(ビルバリユニット)と、投入された硬貨の有効性を識別する硬貨識別装置(コインセレクタユニット)と、プリペイドカードやICカードなどの記録媒体を取り込んで記録情報を読み取ったり情報を書き込んだりするための記録媒体処理装置(カード処理ユニット)と、前記各装置を制御するとともに、遊技媒体の貸し出しを促す信号を遊技機に送信する制御部と、電源部とを有している。
また、上記した紙幣識別装置は、一般的に、挿入された紙幣を識別する紙幣識別部を備え、紙幣識別部で有効と判定した紙幣を搬送する紙幣搬送機構と、搬送された紙幣を収容する紙幣収容部(金庫)とともに紙幣処理装置を構成しており、紙幣を識別した後、その紙幣を紙幣収容部へ搬送して収容するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
実開平7−23757号
通常、上記した紙幣処理装置は、隣合う遊技者同士が窮屈な思いをしないように、遊技機間に確保された不利用空間を使用することを前提としており、上記した特許文献1に開示されているように、紙幣を識別して搬送する紙幣搬送機構と、紙幣を収容する紙幣収容部とが、不利用空間を満たすように遊技媒体貸出装置の幅方向に並設された状態となっている。このため、紙幣収容部の収容スペースも少なく、かつ限られたスペースを利用して紙幣を多数収容する構造にすることが難しい。
一方、遊技機の種類や遊技場における遊技機設置条件等の様々な要因により、遊技機間の距離をなるべく近づけて遊技場における遊技機の設置台数を増やしたいというニーズがあることを考えると、紙幣処理装置の幅をできる限り小さくして、遊技機間の限られたスペース内に紙幣処理装置をコンパクトに収納し、更には、回収作業の手間を考慮して、多数の紙幣を効率良く収容できるようにすることが望まれる。
本発明は、上記した事情に着目してなされたものであり、限られた設置スペースを有効利用して、紙幣を効率良く、多数収容することを可能にする紙幣処理装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載された紙幣処理装置は、紙幣挿入口に挿入された紙幣の有効性を判別する紙幣識別部と、紙幣を起立させた状態で収容する紙幣収容ケースと、前記紙幣識別部で有効と判別された紙幣を前記紙幣収容ケースに向けて起立状態で搬送する搬送機構と、前記紙幣収容ケースに起立状態で搬送された紙幣の上方部分に当て付いて、積層される紙幣を紙幣収容ケースの一面側に押し込む上部押し込み機構とを有し、前記搬送機構は、前記紙幣識別部内に突出して紙幣識別部内の紙幣に接触する搬送位置と、紙幣識別部内から退避する退避位置との間で揺動する搬送ローラを有し、前記上部押し込み機構は、前記搬送ローラと一体で揺動して紙幣の上部領域の表面に当て付くフラップ板を備え、前記フラップ板は、前記搬送ローラが前記搬送位置に位置されて紙幣が前記搬送機構によって搬送されるとき、前記紙幣収容ケース内で積層状態にある紙幣の上方部分に当て付いて、新たに搬送される紙幣の搬入スペースを形成し、かつ搬入スペースに紙幣が搬入された後は、前記搬送ローラの前記退避位置への揺動に伴って、搬入された紙幣の上部領域を乗り越えることを特徴とする。
このような構成の紙幣処理装置では、紙幣識別部で有効と判断された紙幣は、起立した状態で、搬送機構を介して紙幣収容ケースに向けて搬送される。そして、紙幣収容ケース内に導入された紙幣は、その上方部分が上部押し込み機構によって、紙幣収容ケースの一面側に押さえ付けられるようになり、結果として、順次導入されてくる紙幣は、起立した状態で、紙幣収容ケースの一面側に押さえ付けられながら積層収容されて行く。このように、幅方向に起立して積層収容されるため、その収容枚数を最大限確保することが可能となる。また、上部押し込み機構に、上記したようなフラップ板を用いることで、紙幣を紙幣収容ケースに導入するときは、確実に導入スペースを確保するため、ジャムなどが生じることはなく、安定した状態で紙幣を導入しつつ、多数の紙幣を収容することが可能となる。
また、請求項2に記載された紙幣処理装置は、前記紙幣収容ケースに起立状態で搬送された紙幣の下方部分に当て付いて、積層される紙幣を紙幣収容ケースの一面側に押し込む下部押し込み機構を有することを特徴とする。
このように、上部押し込み機構に加えて、下部押し込み機構を配設したことで、起立した状態の紙幣を、安定して紙幣収容ケースの一面側に押し込むことが可能となり、安定して収容枚数を増加させることができる。
本発明の構成によれば、限られた設置スペースを有効利用して、紙幣を効率良く、多数収容することを可能にする紙幣処理装置が得られる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、遊技機間に設置される遊技媒体貸出装置の一部を構成する紙幣処理装置1を示している。なお、この実施形態では、紙幣処理装置1の下側(図では途中で破断されて示されていない)に、遊技媒体貸出装置を構成する他の装置、例えば硬貨識別装置、記録媒体処理装置、電源装置等が設けられているが、紙幣処理装置1がこれらの他の装置と別個に構成されても良く、また、遊技機間以外の他の空間に紙幣処理装置1が単独もしくは前記他の装置と共に設置されても良いことは言うまでもない。
図1に示されるように、紙幣処理装置1は、紙幣を垂直状態(起立状態)で内部に引き込んで識別する紙幣識別部2と、紙幣識別部2の下側に設けられ且つ識別された紙幣を垂直状態のまま収容する紙幣収容部4とを備えている。
紙幣識別部2は、垂直状態の紙幣が挿入される紙幣挿入口6と、紙幣挿入口6に挿入された紙幣を垂直状態のまま搬送して内部に引き込む第1の搬送機構8(図2および図3参照)とを有している。この場合、紙幣挿入口6は、紙幣処理装置1のハウジングケース1aの前面に縦長のスリットとして形成されており、1枚分の紙幣を受け入れることができる幅を有している。
また、第1の搬送機構8は、図3に明確に示されるように、互いに対向する一対の駆動側および従動側ローラアセンブリ8A,8Bから成る。これらのローラアセンブリ8A,8Bは、その間で紙幣を挟持しつつ、駆動側ローラアセンブリ8Aの後述する搬送ベルト10を紙幣に摩擦接触させて回転させることにより、搬送ベルト10の長手方向に沿って紙幣を搬送する。
具体的には、駆動側ローラアセンブリ8Aは、紙幣の挿入方向(図1及び図2に矢印で示される方向)に沿って延び且つ紙幣挿入口6を通じて挿入される紙幣と摩擦接触する一対の無端状の搬送ベルト(歯付きベルト)10,10を有している。これらの搬送ベルト10,10は、協働して紙幣搬送経路を形成するとともに、上下方向(紙幣の挿入方向に対して垂直な方向)に離間して平行に延びており、紙幣の挿入方向に沿って配置された複数のローラ(歯車)12a,12bに掛渡されている(噛み合わされている)。更に具体的には、各搬送ベルト10は、1つの駆動ローラ12aと、紙幣の挿入方向に沿って互いに離間する複数の従動ローラ12bとに掛渡されており、駆動ローラ12aの回転に伴って回転駆動される。この場合、上下で隣り合う各搬送ベルト10,10の従動ローラ12b,12b同士は、上下に延びる共通の固定シャフト13に回転可能に支持されている。すなわち、本実施形態では、上下方向に沿って延び且つ紙幣の挿入方向に沿って互いに離間する複数の固定シャフト13がハウジングケース1aに固定されており、各固定シャフト13には、対応する別個の搬送ベルト10をそれぞれ支持する一対の従動ローラ12b,12bが互いに離間して回転可能に支持されている。
これに対し、上下方向で隣り合う各搬送ベルト10,10の駆動ローラ12a,12a同士は、上下方向に延びる共通の回転シャフト14に固定されている。回転シャフト14はハウジングケース1aに回転可能に支持されており、回転シャフト14の一端は、互いに噛み合う複数の歯車から成るギヤ列15を介して、第1の搬送用モータM1(図2及び図4の(a)参照)の回転軸に結合されている。したがって、第1の搬送用モータM1を駆動させると、第1の搬送用モータM1の回転軸が回転し、その回転力は、ギヤ列15を介して回転シャフト14に伝達されて駆動ローラ12aを回転させ、駆動ローラ12aに掛渡された(噛合された)搬送ベルト10を回転させる。
一方、従動側ローラアセンブリ8Bは、駆動側ローラアセンブリ8Aの各ローラ12a,12bと対向する複数の従動ローラ22を有している。これらの従動ローラ22は、駆動側ローラアセンブリ8Aにおける従動ローラ12bと同様の形態で、複数の共通の固定シャフト23に回転可能に支持されており、駆動ローラ12aおよび従動ローラ12bとの間で紙幣を挟持しつつこれを搬送することできる。
なお、固定シャフト23は、駆動側ローラアセンブリ8A(したがって、駆動側ローラアセンブリ8Aを支持するハウジングケース1a)に対して回動可能なフレーム11(図4参照)に支持されている。また、このフレーム11は、後述する第2の搬送機構30の搬送ローラ対32の揺動動作に連動して駆動側ローラアセンブリ8Aに対し回動できるように、ハウジングケース1aに支持されている。そして、フレーム11が回動することにより、従動側ローラアセンブリ8Bは、その従動ローラ22が駆動側ローラアセンブリ8Aの駆動ローラ12aおよび従動ローラ12bとの間で紙幣を挟持し得る挟持位置(図3の円形の枠内に実線で示される位置)と、その従動ローラ22が駆動側ローラアセンブリ8Aの駆動ローラ12aおよび従動ローラ12bから離間して紙幣の挟持状態を解除し得る退避位置(図3の円形の枠内に一点鎖線で示される位置)との間で回動可能となっている。
また、図2に示されるように、紙幣識別部2は、紙幣識別部2に対する紙幣の搬入・搬出を検出する第1のセンサS1と、紙幣を識別するための複数の第2のセンサS2とを紙幣搬送経路に沿って有している。本実施形態において、これらのセンサS1,S2は、例えば反射型の光センサであり、ハウジングケース1aに支持された制御基板38(図2および図3参照)上に実装されたCPUに接続されている。
また、紙幣収容部4は、紙幣搬送経路の下方に設けられた紙幣収容ケース40と、紙幣識別部2で識別された紙幣を垂直状態のまま紙幣収容ケース40へと下側に搬送する第2の搬送機構30とを有している。
前記紙幣収容ケース40は、紙幣識別部2に向けて上側に開口する上側開口部40aと、前方に向けて開口する前側開口部40bとを有する断面が略矩形状の箱体で構成されている。また、紙幣収容ケース40の前縁部の両側には、紙幣収容ケース40内に束状に収容された紙幣をケースの外側から指で摘むことができるように、略円弧状の切り欠き40cが形成されている。
また、紙幣収容ケース40とハウジングケース1aとの間には、付勢バネ47が介挿されている。この付勢バネ47は、紙幣収容ケース40とハウジングケース1aとを連結するとともに、紙幣収容ケース40をハウジングケース1aの外側へと突出させる方向で常時付勢している。
また、紙幣収容ケース40の前側開口部40bの前方には、前側開口部40bと対向して前面扉43が設けられている。この前面扉43は、その下縁部が支軸49を介してハウジングケース1aに回動可能に取り付けられており、付勢バネ47の付勢力に抗して紙幣収容ケース40をハウジングケース1a内に押込みつつ前側開口部40bを閉じる閉位置(図2および図8に実線で示される位置)と、前側開口部40bをハウジングケース1aの前方に向けて開放する開位置(図10に一点鎖線で示される位置)との間で支軸49を中心に回動可能となっている。
なお、前面扉43は、その閉位置において、上縁部に設けられた係止フック43aがハウジングケース1aの係止部50に係脱可能に係止されるようになっている。また、係止フック43aと係止部50との係止状態は、ハウジングケース1a内に取付固定されたドアロック解除ソレノイド52によって解除されるようになっている。
また、図2および図3に明確に示されるように、紙幣識別部2で識別された紙幣を垂直状態のまま紙幣収容ケース40へと下側に搬送する第2の搬送機構30は、複数(本実施形態では、3つ)の搬送ローラ対32を有している。各搬送ローラ対32は、駆動ローラ55と、紙幣識別部2内に突出可能な従動ローラ56と、駆動ローラ55および従動ローラ56に掛け渡された駆動ベルト57とから成る。この場合、駆動ベルト57は、紙幣識別部2内への従動ローラ56の突出時に、紙幣識別部2内の紙幣と摩擦接触してこれを下側に搬送するようになっている。
なお、第2の搬送機構30による紙幣の案内方法は、必ずしも、紙幣を厳密に垂直状態に維持して紙幣収容ケース40へ搬送するよう構成されていなくても良く、多少、湾曲した経路で紙幣収容ケース40に向けて搬送するような構成であっても良い。また、紙幣収容ケース40への搬送経路は、紙幣収容ケースでの収容枚数が多くなるように、紙幣収容ケース40の端部領域から導入するように構成しておくことが好ましい。
上記した各搬送ローラ対32の駆動ローラ55は、共通の回転軸58に取り付けられている。この回転軸58は、図4の(b)に示されるように、複数の歯車から成るギヤ列60を介して、第2の搬送用モータM2の回転軸に結合されている。したがって、第2の搬送用モータM2を駆動させると、第2の搬送用モータM2の回転軸が回転し、その回転力は、ギヤ列60を介して回転軸58に伝達されて各搬送ローラ対32の駆動ローラ55を回転させ、駆動ローラ55に掛渡された駆動ベルト57を回転させる。
また、各搬送ローラ対32は、従動ローラ56を紙幣識別部2内に突出させるべく、図示しない揺動機構により駆動ローラ55の中心軸を中心に揺動できるようになっている。具体的には、各搬送ローラ対32は、従動ローラ56を紙幣識別部2内に突出させて駆動ベルト57の上側部位を紙幣識別部2内の紙幣に摩擦接触させる搬送位置(図3に一点鎖線で示される位置)と、紙幣挿入口6を通じた紙幣識別部2内への紙幣の導入を妨げないように従動ローラ56を紙幣識別部2内から退避させる退避位置(図3に実線で示される位置)との間で揺動する。
なお、各搬送ローラ対32を揺動させる前記揺動機構は、従動側ローラアセンブリ8Bのフレーム11に連結されている。これにより、前記退避位置から前記搬送位置への搬送ローラ対32の揺動動作に連動して、従動側ローラアセンブリ8Bのフレーム11が回動し、従動側ローラアセンブリ8Bが前記挟持位置から前記退避位置へと移動される(駆動側ローラアセンブリ8Aと従動側ローラアセンブリ8Bとによる紙幣の挟持状態が解除される)ようになっている。この場合、揺動機構は、前記第2の搬送用モータM2によって駆動されても良いし、別途設置された駆動源によって駆動するようにしても良い。
また、紙幣収容部4は、紙幣収容ケース40内に既に収容されている紙幣B(または紙幣の束B’・・・図3参照)を紙幣収容ケース40の片側(一面側)に押込んで、各搬送ローラ対32によって搬送される紙幣の搬送経路の下側の紙幣収容ケース40内に紙幣の落下スペースS(図3参照)を形成するための押込み手段を備えている。具体的に、この押込み手段は、紙幣収容ケース40内の紙幣の上側部位をケース40の片側に押込んで、ケース40内の上側部分に紙幣を受けるための空間を形成する第1の押込み機構(上部押し込み機構)と、紙幣収容ケース40内の紙幣の下側部位をケース40の片側に押込んで、ケース40内の下側部分に紙幣を受けるための空間を形成する第2の押込み機構(下部押し込み機構)とから成る。
前記第1の押込み機構は、第2の搬送機構30によって搬送されてくる紙幣を、紙幣収容ケース40の一面側に押さえ付けるものであれば良く、本実施形態の構成では、各搬送ローラ対32に結合されて各搬送ローラ対32と一体で揺動する例えば1枚のフラップ板62を有している。このフラップ板62は、紙幣収容ケース40の長手方向に沿って延びるとともに、搬送ローラ対32の揺動に伴って紙幣収容ケース40内の紙幣の上縁部に当接し或いはこれを乗り越えることができ、それにより、紙幣収容ケース40内の紙幣の上側部位をケース40の片側に押込んでケース40内の上側部分に紙幣を受けるための空間を形成することができるようになっている(これについては、後述する)。
また、前記第2の押込み機構は、紙幣収容ケース40に搬送されてくる紙幣の下側部位に当て付いて、前記第1の押し込み機構と協働して紙幣全体を紙幣収容ケース40の一面側に押さえ付けるように構成されたものであり、本実施形態の構成では、紙幣収容ケース40内の紙幣の下側部位をケース40の片側に向けて連続的に叩き付けて押込む複数の押込体65から構成されている。
これらの押込体65は、回転する本体65aの周囲に複数のブレード65bを有して成り、本体65aの回転に伴ってブレード65bを紙幣に対して連続的に当て付けることにより、紙幣をケース40の片側に押込み続けるようになっている。なお、第2の押込み機構は、円柱状の単なる回転ローラであっても構わないが、本実施形態のように回転体の周方向に複数のブレードを有する押込体65によって形成することで、搬送ローラ対32の搬送に伴なう紙幣のケース底面への落下を障害無く円滑に行なえるため、好ましい。
また、本実施形態において、押込体65は、紙幣収容ケース40の外側で且つ紙幣収容ケース40の長手方向に沿って所定間隔で配置されており、紙幣収容ケース40の下側部位に形成された複数の切り欠き状の開口70を通じて紙幣収容ケース40内の紙幣と当接するようになっている。更に、本実施形態において、開口70は、押込体65と協働して、付勢バネ47の付勢力に伴うハウジングケース1aからの紙幣収容ケース40の突出量を規制する規制手段を構成するようになっている。すなわち、付勢バネ47の付勢力によってハウジングケース1aから紙幣収容ケース40が所定量突出すると、開口70の一端縁70aが押込体65に当接し、それにより、紙幣収容ケース40のそれ以上の突出が規制されるようになっている。
また、本実施形態において、押込体65の回転は、第2の搬送機構(搬送ローラ対32)の搬送動作と連動するようになっている。具体的には、各押込体65が共通の回転軸72に取り付けられており、この回転軸72は、ベルト・プーリ機構75を介して、第2の搬送機構30の回転軸58に連結されている。したがって、回転軸58が回転すると、ベルト・プーリ機構75を介して回転軸72が回転され、それに伴って、各押込体65が回転駆動される。
なお、上記した第1の搬送用モータM1、及び第2の搬送用モータM2は、制御基板38に接続されており、各センサS1,S2からの検知信号、及び制御基板38に実装されたCPUの制御動作によって、その回転(駆動、停止)が制御される。
次に、図5〜図10を参照しながら、上記構成の紙幣処理装置1の動作について詳しく説明する。
まず、図5に示されるように紙幣Bを垂直に立てた起立状態で紙幣挿入口6に挿入すると、紙幣Bが第1のセンサS1によって検知される。本実施形態においては、紙幣挿入口6を通じて紙幣Bが挿入されると、例えば第1のセンサS1がONされる。第1のセンサS1がONされると、第1の搬送用モータM1が駆動され、紙幣挿入口6を通じて挿入された紙幣Bが搬送ベルト10によって紙幣識別部2内へと導入される。この時、第2の搬送機構30の搬送ローラ対32は、紙幣挿入口6を通じた紙幣識別部2内への紙幣Bの導入を妨げないように従動ローラ56を紙幣識別部2内から退避させた退避位置に回動されている(図5の(b)参照)。
また、以上のようにして搬送ベルト10により紙幣Bを搬送していく間、第2のセンサS2は、紙幣の種類や真偽を識別する。そして、図6に示されるように紙幣Bが紙幣識別検知の終端位置(例えば、紙幣Bの後端が第2のセンサS2を通り過ぎた直後の位置)に達すると、それが第2のセンサS2によって検知され、第1の搬送用モータM1の駆動が停止される。ここで、第2のセンサS2からの検知信号によって紙幣Bが不適正な紙幣であることが制御基板38の識別部によって判別されると、第1の搬送用モータM1の逆転駆動によって紙幣Bが紙幣挿入口6を通じて紙幣処理装置1の外部に吐き出される。一方、第2のセンサS2からの検知信号によって紙幣Bが適正な紙幣であることが前記識別部によって判別されると、第1の搬送用モータM1が所定量逆転駆動され、紙幣Bが図7に一点鎖線で示される収容待機位置に位置決めされる(この時点で第1の搬送用モータM1の駆動が停止される)。
なお、このように紙幣Bを一度収容待機位置に戻す理由は、第2のセンサS2によって紙幣Bを検知するために紙幣識別部2内で紙幣Bを搬送ベルト10によって搬送するべき搬送距離と、紙幣Bの長さにほぼ相当するコンパクトな紙幣収容部4の長手方向寸法(奥行き寸法)とに差があるためである。そのため、第2のセンサS2による紙幣Bの識別が終了した時点で、紙幣収容部4の紙幣収容ケース40の上側開口部40aに紙幣Bを挿入できるように、紙幣Bを一度収容待機位置に戻して、上側開口部40a上に紙幣Bを位置合わせする必要がある。
以上のような収容待機位置に対する紙幣Bの位置決め状態は、例えば第2のセンサS2によって検知されており、その検知信号により、前記制御基板38のCPUは、前記揺動機構を介して各搬送ローラ対32を搬送位置に回動させる(図7の(b)参照)とともに、第2の搬送モータM2を駆動させる。
第2の搬送モータM2が駆動すると、各搬送ローラ対32の駆動ベルト57が回転駆動するとともに、ベルト・プーリ機構75を介して押込体65も回転し、これにより、紙幣収容ケース40内に既に収容されている紙幣束B’の下側部位がケース40の片側に押込まれて、ケース40内の下側部分に紙幣Bを受けるための空間が形成される。
また、各搬送ローラ対32が搬送位置に回動されると、従動ローラ56が紙幣識別部2内に突出して、駆動ベルト57の上側部位が紙幣識別部2内の収容待機位置に位置する紙幣Bに摩擦接触するとともに、搬送ローラ対32と一体のフラップ板62により、紙幣収容ケース40内に既に収容されている紙幣束B’の上側部位がケース40の片側に押込まれ(フラップ板62は、搬送ローラ対32の搬送位置への移動に伴って、図7の(b)に一点鎖線で示される位置から実線で示される位置へと移動する)、ケース40内の上側部分に紙幣Bを受けるための空間が形成される。
すなわち、上記した押込体65の回転、及びフラップ板62の回動動作によって、紙幣収容ケース40の他面側には、新たに導入する紙幣のために、大きな導入空間が形成されるようになる。従って、このような導入空間が形成されることで、紙幣は、ジャム等を生じることなく、スムーズに紙幣収容ケース内に導入されるようになる。
また、このように各搬送ローラ対32が搬送位置へ回動すると、それに連動して、従動側ローラアセンブリ8Bのフレーム11も回動して、従動側ローラアセンブリ8Bが前記挟持位置から前記退避位置へと移動し、駆動側ローラアセンブリ8Aと従動側ローラアセンブリ8Bとによる紙幣Bの挟持状態が解除される。したがって、収容待機位置に位置する紙幣Bは、ローラアセンブリ8A,8Bから何ら拘束を受けることなく、紙幣Bと摩擦接触して回転する各搬送ローラ対32の駆動ベルト57により、図8に示されるように紙幣収容ケース40内へと下側に搬送される。この時、紙幣Bは、フラップ板62上に沿って搬送され(図8の(b)参照)、フラップ板62と押込体65とによって確保された紙幣収容ケース40内の空間S内にスムーズに引き込まれていく。そして、紙幣Bと搬送ローラ対32との摩擦接触状態が解除されると、紙幣Bは、押込体65によってケース40内の下側部分に紙幣Bを受けるための空間が確保されていることから、障害無く円滑にケース40の底面へと落下することができる(図9の(b)参照)。
また、以上に引き続いて、次の紙幣Bが紙幣挿入口6に挿入されると、それが第1のセンサS1によって検知され、その検知信号に基づいて、各搬送ローラ対32が搬送位置から退避位置へと移動される。この時、搬送ローラ対32と一体のフラップ板62は、前述した動作によってフラップ板62上に沿って落下した紙幣Bの上縁部に当接して(図9の(c)参照)これを乗り越え(図9の(d)参照)、次の紙幣束押し込み動作に備える。
そして、紙幣収容ケース40内に収容された紙幣を回収する場合には、例えば、無線式のロック解除コントローラによって、ドアロック解除ソレノイド52に対してロック解除信号を送信することで、前面扉43の上縁部に設けられた係止フック43aとハウジングケース1aの係止部50との係止状態を解除すれば良い。両者の係止状態が解除されることにより、前面扉43は開放することが可能となり、前面扉43を開放することで、紙幣収容ケース40は規制がなくなって、前記付勢バネ47の付勢力によってハウジングケース1aの外側に突出してくる(図10の一点鎖線参照)。
この場合、紙幣収容ケース40の突出量は、前述した規制手段、すなわち紙幣収容ケース40に形成した開口70の一端縁70aが、押込体65に当接することにより規制される。そして、前方に部分的に突出した紙幣収容ケース40の切り欠き40cを通じて紙幣を摘み、前側開口部40bから紙幣を引き出せば、紙幣収容ケース40内から紙幣を容易に回収することができる。
以上説明したように、本実施形態の紙幣処理装置1では、紙幣識別部2で有効と判断された紙幣は、起立した状態で、第2の搬送機構30を介して紙幣収容ケース40に向けて搬送される。そして、紙幣収容ケース40内に導入された紙幣は、その上方部分が上部押し込み機構(フラップ板62等)によって、紙幣収容ケースの一面側に押さえ付けられるようになり、結果として、順次導入されてくる紙幣は、起立した状態で、紙幣収容ケース40の一面側に押さえ付けられながら積層収容されて行く。このように、紙幣は、幅方向に起立して積層収容されてゆくため、その収容枚数を最大限確保することが可能となる。
この場合、前記フラップ板62は、紙幣が第2の搬送機構30によって搬送されるとき、積層状態にある紙幣の上方部分に当て付いて、新たに搬送される紙幣の搬入スペースを形成し、かつ搬入スペースに紙幣が搬入された後は、搬入された紙幣の上部領域を乗り越えるように揺動して、再び最上の紙幣に当て付く状態に戻るようになる。すなわち、紙幣を紙幣収容ケース40に導入するときは、確実に導入スペースを確保するため、ジャムなどが生じることはなく、安定した状態で紙幣を導入しつつ、多数の紙幣を収容することが可能となる。
また、本実施形態の構成では、上記した上部押し込み機構に加え、下部押し込み機構(押込体65等)を配置したことにより、起立した状態の紙幣を、安定して紙幣収容ケースの一面側に押し込むことが可能となり、収容枚数を増加させることが可能となる。
さらに、上記した実施形態の紙幣処理装置では、紙幣識別部2と紙幣収容ケース40が上下方向に並設され、紙幣収容ケース40の上面に、第2の搬送機構30を介して紙幣を受け入れる上側開口40aを形成し、紙幣識別部2で有効とされた紙幣を、そのまま下方に送り込む構成としているので、紙幣収容ケース40を紙幣処理装置の幅方向全体に設置することが可能となり、紙幣処理装置の幅を狭く(設置スペースを小型化)しつつ、紙幣を最大限収容することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態以外にも、例えば、以下のように構成して実施することが可能である。
本発明は、紙幣を起立状態にして、紙幣収容ケース40の一面側に押し込むように構成されたものであれば良く、具体的な押し込み方法の構成については、適宜変形することが可能である。また、紙幣を搬送する搬送機構、搬送機構を駆動する駆動手段、動力伝達機構等の構成についても、適宜変形することが可能である。
本発明の紙幣処理装置は、各種遊技機の間に設置される以外にも、紙幣を取扱う各種の装置、例えば、各種の自動販売機のような外部装置内に設置することが可能である。
本発明に係る紙幣処理装置の一実施形態を示す斜視図。 紙幣処理装置の内部構成を示す側面図。 紙幣処理装置の内部構成を示す正面図。 (a)は紙幣を導入する第1の搬送機構の構成を示す図、(b)は紙幣を紙幣収容ケースに搬送する第2の搬送機構の構成を示す図。 (a)は、紙幣挿入口に紙幣を導入した際の状態を示す側面図、(b)はその正面図。 (a)は、紙幣識別部内に紙幣が導入された状態を示す側面図、(b)はその正面図。 (a)は、紙幣識別部内に紙幣が導入され、下方に搬送される直前の状態を示す側面図、(b)はその正面図。 (a)は、紙幣識別部内に導入された紙幣が下方の紙幣収容ケースに向けて搬送される状態を示す側面図、(b)はその正面図。 (a)は紙幣収容ケースに紙幣が搬送される状態を示す側面図、(b)〜(d)は紙幣の押し込み動作を順に示す図。 紙幣収容ケースに収容された紙幣を取り出す状態を示す側面図。
符号の説明
1 紙幣処理装置
1a ハウジングケース
2 紙幣識別部
6 紙幣挿入口
8 第1の搬送機構
30 第2の搬送機構
40 紙幣収容ケース
43 前面扉
62 フラップ板

Claims (2)

  1. 紙幣挿入口に挿入された紙幣の有効性を判別する紙幣識別部と、
    紙幣を起立させた状態で収容する紙幣収容ケースと、
    前記紙幣識別部で有効と判別された紙幣を前記紙幣収容ケースに向けて起立状態で搬送する搬送機構と、
    前記紙幣収容ケースに起立状態で搬送された紙幣の上方部分に当て付いて、積層される紙幣を紙幣収容ケースの一面側に押し込む上部押し込み機構と、
    を有し、
    前記搬送機構は、前記紙幣識別部内に突出して紙幣識別部内の紙幣に接触する搬送位置と、紙幣識別部内から退避する退避位置との間で揺動する搬送ローラを有し、
    前記上部押し込み機構は、前記搬送ローラと一体で揺動して紙幣の上部領域の表面に当て付くフラップ板を備え、
    前記フラップ板は、前記搬送ローラが前記搬送位置に位置されて紙幣が前記搬送機構によって搬送されるとき、前記紙幣収容ケース内で積層状態にある紙幣の上方部分に当て付いて、新たに搬送される紙幣の搬入スペースを形成し、かつ搬入スペースに紙幣が搬入された後は、前記搬送ローラの前記退避位置への揺動に伴って、搬入された紙幣の上部領域を乗り越えることを特徴とする紙幣処理装置。
  2. 前記紙幣収容ケースに起立状態で搬送された紙幣の下方部分に当て付いて、積層される紙幣を紙幣収容ケースの一面側に押し込む下部押し込み機構を有することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
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