以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1〜図3は本実施形態に係る紙幣処理装置の構成を示す図であり、図1は全体構成を示す斜視図、図2は図1に示す蓋体を開放した状態を示す図、図3は内部構成を示す平面図である。
紙幣処理装置1は、例えば、パチンコ機等(図示せず)の遊技機間に設置される遊技媒体貸出装置に設置可能に構成されている。この場合、遊技媒体貸出装置には、紙幣処理装置1の上側又は下側に他の装置(例えば、硬貨識別装置、記録媒体処理装置、電源装置など)が設置されているが、紙幣処理装置1は、これらの他の装置と一体化されていたり、別個に構成されていても良い。あるいは、遊技機間以外の他の空間に紙幣処理装置1が単独もしくは前記他の装置と共に設置されていても良い。そして、このような紙幣処理装置1に紙幣が挿入され、挿入された紙幣の有効性が判断されると、その紙幣価値に応じた遊技媒体の貸出処理、記録媒体への書き込み処理等が行なわれる。
図1および図2に示されるように、紙幣処理装置1は、直方体状に形成された筐体1aを備えており、この筐体1aが図示しない遊技媒体貸出装置の係止部に装着される。筐体1aの前面(露出側になる面)1bには、紙幣処理領域3が形成されている。この紙幣処理領域3は、スリット状に開口して紙幣Pが投入される紙幣挿入口3Aと、紙幣挿入口3Aに隣接するように形成され且つ紙幣Pを積層収容した載置トレイ(紙幣収容部)60を排出可能にする開閉可能なシャッタ91とを備えている。この場合、紙幣Pは、その短い辺を縦方向にした状態(起立状態)で矢印D1方向に沿って紙幣挿入口3Aに挿入される。
図3に明確に示されるように、筐体1a内には、挿入される紙幣Pの有効性を識別する紙幣識別部5と、挿入される紙幣Pを搬送する紙幣搬送機構7とが設けられている。紙幣識別部5は、紙幣挿入口3Aの挿入方向D1における近傍位置に設置されており、紙幣搬送機構7は、紙幣識別部5から挿入方向D1に沿った領域に亘って設置されている。この場合、紙幣搬送機構7は、挿入される紙幣Pを挟持しながら搬送する機能を備えており、紙幣Pの長手方向の長さよりも短い領域、好ましくは紙幣挿入口3Aの挿入方向D1における近傍位置において、紙幣Pの長さの半分以下の範囲内に収まる大きさに構成されている。
なお、紙幣搬送機構7の下流側には、紙幣搬送機構7の下流側ローラ対によって排出される紙幣Pをそのまま摺動させる紙幣押し込み領域10が設けられている。この紙幣押し込み領域10は、前記下流側ローラ対から排出された紙幣Pを何の規制も無く排出方向と直交する方向である矢印D2方向に向けてそのままの状態で移送できるように、紙幣Pの大きさと略同一の大きさを備えている。このように、紙幣押し込み領域10は紙幣搬送機構7の下流側に位置しており、この紙幣押し込み領域10を挟むようにして、筐体1aの一方側には紙幣押圧機構30が、他方側には載置トレイ60がそれぞれ設けられている(図2参照)。すなわち、紙幣搬送機構7の搬送駆動によって押し込み領域10に排出された紙幣Pは、後述するように、紙幣押圧機構30の押圧プレートによって矢印D2方向に向けてそのまま押圧され、載置トレイ60に対して順次に積層収容される。
特に図3に明確に示されるように、紙幣搬送機構7は、紙幣挿入方向D1に沿って延在し、所定間隔おいて設置される一対の搬送ベルト17a,17bを備えている。各搬送ベルト17a,17bは、その一端が紙幣挿入口3A側において内部フレーム1dに回転可能に支持される支軸18に取り付けられたテンションローラ18a,18bに巻回されており、他端が、紙幣識別部5の奥側において内部フレーム1dに回転可能に支持される支軸19に取り付けられたテンションローラ19a,19bに巻回されている。
支軸19は、内部フレーム1dに配設された搬送モータ20によって回転駆動されるようになっている。すなわち、支軸19は、搬送モータ20の駆動軸に固定されるギヤ20Gと、このギヤ20に噛合し且つ支軸19の端部に固定されるギヤ19Gとを介して、回転駆動されるようになっている。搬送モータ20は、後述する制御手段によって正転/逆転するように駆動制御され、紙幣搬送機構7の駆動源としての機能を有する。
なお、前述した各テンションローラ18a,18bおよびテンションローラ19a,19bにはそれぞれ、ピンチローラ21a,21bおよびピンチローラ22a,22bが当接している(図2参照)。すなわち、紙幣挿入口3Aに挿入された紙幣Pは、搬送ベルト17a,17bとこれに当接するピンチローラ21a,21bおよび22a,22bとに挟持された状態で搬送され、最終的にピンチローラ22a,22bと搬送ベルト17a,17bとの間のニップ部を介して紙幣押し込み領域10に排出される。
紙幣識別部5はセンサ基板5Aを備えており、このセンサ基板5Aには、支軸18よりも紙幣挿入口3A側部分に、紙幣挿入センサ25が設けられている。この紙幣挿入センサ25は、例えば光学式のセンサによって構成されており、紙幣挿入口3Aに紙幣Pが挿入されたことを検知する。そして、紙幣挿入センサ25によって紙幣Pの挿入が検知されると、後述する制御手段が搬送モータ20を紙幣送り方向に回転駆動(正転駆動)する。
また、センサ基板5Aには、支軸18と支軸19との間に、紙幣識別センサ26が設けられている。この紙幣識別センサ26は、紙幣搬送機構7によって搬送される紙幣Pに対して光を照射するよう光学式のセンサによって構成されている。紙幣識別センサ26は、紙幣挿入方向D1と直交する方向に沿って複数箇所設置されており、紙幣Pからの反射光や透過光によって得られる検知データを後述する制御手段のCPUに送る。そして、CPUは、予めROMに記憶されている正規の紙幣についてのデータと前記検知データとを比較し、紙幣の有効性について判断を行なう。
前述したように、紙幣押し込み領域10に対して筐体1aの一方側には、紙幣押圧機構30が設けられている。この紙幣押圧機構30は、筐体1aに対して開閉可能な蓋体31と、蓋体31に設けられ且つ蓋体31が筐体1aに対して閉じられた状態で紙幣押し込み領域10に紙幣Pが位置した際にその紙幣Pを矢印D2方向に向けて押圧する板状の押圧プレート32と、この押圧プレート32を駆動するプレート駆動モータ33とを備えている。
以下、図4〜図7を参照して、紙幣押圧機構30の構成について説明する。なお、これらの図において、図4は、蓋体31に対して押圧プレート32を開放した状態を示す図、図5は、プレート駆動モータ33およびその減速機構37の構成を示す図、図6は、蓋体31に対する押圧プレート32の連結機構の構成を示す図(制御回路基板等は省略してある)、図7(a)および(b)は、押圧プレート32の動作を示す図であり、(a)は非押圧状態、(b)は押圧状態を示す図である。
押圧プレート32は、紙幣Pと略同程度の大きさを備えており、押圧プレート32の一端側の裏面と蓋体31の他端側の裏面とを連結するリンク部材35により、矢印D2方向に向けて移動可能となるように蓋体31に支持されている(図6参照)。リンク部材35の両端部はそれぞれ、蓋体31および押圧プレート32に設けられた支軸31A,32Aを介して回動可能に軸支されており(すなわち、押圧プレート32が蓋体31の片側でのみ支持された状態となっている)、このようなリンク部材35により、押圧プレート32は、図6および図7に示すように、蓋体31に対して近接/離間するように支持されている。
図4に示されるように、プレート駆動モータ33は、蓋体31の裏面に設置されており、プレート駆動モータ33が回転駆動して後述する押し下げアーム38が回動することにより押圧プレート32が矢印D2方向に往復駆動されるようになっている。
具体的には、蓋体31の裏面には、プレート駆動モータ33の回転を減速して押圧プレート32側に伝達する減速機構(ギヤトレイン)37と、減速機構37の最終ギヤ37aによって回動駆動される押し下げアーム38とが設けられている(図4および図5参照)。この押し下げアーム38は、基端部に最終ギヤ37aが装着されることで、基端部を中心に回動駆動されるようになっており、その先端部には、係合突起38aが装着されている。そして、この係合突起38aは、押圧プレート32の裏面に取着された突部材32aに形成された長溝32bに係合しており、押し下げアーム38が基端部を中心に回動駆動して係合突起38aが長溝32bに沿って変位することにより、押圧プレート32が矢印D2方向に沿って平行を保持したまま往復駆動される。なお、押圧プレート32の平行な往復動を良好に維持するため、押圧プレート32を1箇所で押圧する押し下げアーム38は、45°以上回動しないようになっている。また、突部材32aは、図4に示すように、リンク部材35に形成された開口35aを介して露出しており、リンク部材35の動作と干渉しないように設置されている。
押圧プレート32は、押圧方向(D2方向)に向けて所定の長さ垂下するような形状となっており、その両側には長手方向に沿ってフランジ(張り)32cが形成されている。これにより、押圧プレート32は、押し下げアーム38によって押し下げ方向に駆動された際、後述する載置トレイ60の開口部に入り込むと共に、ある程度開口部に入り込んだ際に、これらの両フランジ32cが後述する載置トレイ60の係止爪61cに当接し、それ以上載置トレイ60の開口部に入り込めないようになっている(図9参照)。また、このようなフランジ32cを設けておくことで、押圧プレート32は、リンク部材35によって片側しか支持されていないにも拘らず、フランジ32cと前記係止爪61cとの当接により最終的に紙幣Pと平行になって且つ紙幣Pに対し均一な押圧力を長手方向に沿って作用させることができるとともに、押し下げアーム38による平行保持にも拘わらず前後方向で生じ得る若干の傾きが補正され、紙幣Pをその状態(皺、折れ、撓み等)に依らず載置トレイ60内に確実に格納することが可能になる。
また、本実施形態では、紙幣処理装置1における各種の駆動機構の駆動を制御する制御回路基板(制御手段を構成する)40を蓋体31の裏面に装着している。この制御回路基板40には、押し下げアーム38の回動量を検知する光学式のセンサ(回動検知センサ)42が接続されており(図4および図5参照)、押し下げアーム38の回動量、すなわち、押圧プレート32の押し下げ量が所定の閾値に達したときに、プレート駆動モータ33の駆動を停止制御するようになっている。このため、プレート駆動モータ33に不必要な負荷が作用することが防止される。
図2および図3に示すように、紙幣押し込み領域10に対して筐体1aの他方側には載置トレイ60が設けられている。この載置トレイ60は、押圧プレート32によって押圧される紙幣Pを順次に積層収容するように構成されている。以下、図8および図9を参照して載置トレイ60の構成について説明する。
載置トレイ60は、底壁61aとこの底壁61aの両側に形成された側壁61bとを具備する本体61を有している。本体61の両側壁61b間には、紙幣束を載置する載置プレート62が設けられており、この載置プレート62は、本体61の底壁61aとの間に設置される付勢バネ63によって押圧付勢されている。また、両側壁61bの開口側端部には、収容される紙幣Pの長手方向に沿って延在する一対の係止爪61cが内側に突出形成されている。これらの係止爪61cは、図8(a)および図9(a)に示すように、紙幣搬送機構7を介して紙幣押し込み領域10に排出される紙幣と、本体61内に収容されている紙幣束との間を仕分けする機能を有している。すなわち、紙幣押し込み領域10に排出された紙幣Pが押圧プレート32によって押圧されると、この紙幣Pは、図9(b)に示すように係止爪61cによって中央がたわみながら載置プレート62上に移送され、係止爪61cを乗り越えた段階で図8(b)および図9(c)に示すように付勢バネ63の付勢力に抗して載置プレート62上に載置される。そして、押圧プレート32が初期位置に戻ると、載置プレート62上に積層収容された紙幣束は、前記付勢バネ63の付勢力によって、その両端部が前記一対の係止爪61cに当て付けられる。これにより、載置プレート62に積層収容される最上の紙幣と押圧プレート32との間には図9(a)に示すように隙間Rが形成され、結果的に仕分けが成される。なお、前記隙間Rは、紙幣搬送機構7を介してその後に排出される紙幣Pを受けるためのものであり、この隙間Rに送り込まれた紙幣Pは、前述したように、初期位置にある押圧プレート32の駆動により載置トレイ60内へと積層収容される。
なお、前記隙間Rは、余り広くなりすぎると、紙幣Pに皺がある場合などにジャムが発生する原因となり、狭くなりすぎると、安定して紙幣Pが送り込めなくなってしまう。具体的に、前記隙間Rの好ましい寸法範囲は3〜5mm程度であり、紙幣押し込み領域10においてこのような隙間Rが形成されるように、紙幣押圧機構30および載置トレイ60を配設しておくことが好ましい。
また、本実施形態において、載置トレイ60の本体61に積層収容される紙幣Pは、押圧付勢される載置プレート62および係止爪61cによって保持されるようになっており、このような構成により、紙幣束の前端側が露出するようになっている(図8の(b)参照)。このため、後述するように、載置トレイ60が駆動されて、その前端側が筐体1aの前面1bから突出すると、載置プレート62上に積層収容された紙幣束の先端部が露出した状態になる(図15参照)ことから、作業者は、容易に紙幣束を手前に引き抜いて回収作業を行なうことが可能となる。
具体的に、本体61(載置プレート62)の長手方向の長さ(紙幣載置面の長さ)は、図8(b)に示すように、挿入される紙幣Pの長さよりも短く形成されていることが好ましい。このように載置プレートの62の長さが短くなることで、そこに積層収容されている紙幣束は、上面の先端側及び下面の先端側が露出した状態になることから、作業者は、紙幣束を容易に摘んで引き抜くことが可能となる。また、このように構成することで、作業者は、SUS等、金属で形成される載置プレート62に指を接触させることが無くなり、回収作業時の安全性の向上が図れる。また、図8に示すように、載置プレート62の先端縁の中央に凹部62aを形成しておいても良く、このような構成においても、紙幣束を掴み易くなり、上記したような作用効果が得られるようになる。
なお、本体61の両側壁61bの先端側には、筐体1aと対向する部位に、所定の範囲に亘って、紙幣挿入方向に延在する切欠部61dが形成されている。このような切欠部61dを形成しておくことにより、後述するシャッタ機構によってシャッタ91が開放され且つ載置トレイ60が突出方向に駆動された際、開放状態にあるシャッタ91と本体61との干渉を無くすことができ、効果的にスペースの効率化を図ることができる。なお、載置トレイ60には、紙幣Pの存在を検知するための紙幣検知センサ128(図14のブロック図参照)が載置プレート62上に設けられていても良い。
次に、図3および図10を参照しながら、載置トレイ60を駆動する載置トレイ駆動機構70について説明する。
載置トレイ駆動機構70は、筐体1aの内部フレーム1dに固定されるトレイ駆動モータ71と、このトレイ駆動モータ71によって回転駆動される駆動シャフト(ウォームシャフト)72とを備えている。駆動シャフト72は、紙幣挿入方向(D1方向)に延在するように内部フレーム1dに回転可能に支持されており、その外周面には雄ネジ72aが形成されている。また、駆動シャフト72の一端側は、ギヤトレイン73を介してトレイ駆動モータ71の出力軸に連結されている。
載置トレイ60の本体61の後端部には連結片66が形成されており、この連結片66には、駆動シャフト72を囲繞するように配設された摺動部材75が連結されている。摺動部材75には、駆動シャフト72の雄ネジ部72aと螺合する雌ネジ部(図示せず)が形成されており、駆動シャフト72が回転駆動されることにより、摺動部材75、すなわち、載置トレイ60は、軸方向に沿って往復駆動可能となっている。なお、摺動部材75をその往復動時に回り止めするため、摺動部材75は、駆動シャフト72と平行に配設されたガイド棒76に挿通されている。
また、載置トレイ駆動機構70には、載置トレイ60の移動量を検知することが可能な移動量検知手段80が設けられている。この移動量検出手段80は、例えば、トレイ駆動モータ71における反対側の出力軸に装着される円板状の回転体81と、所定の隙間をもって回転体81を挟み込むように配設される回転量検知センサ(光センサ)82とによって構成することが可能である。回転体81は、その周方向に沿って所定の間隔で複数の検出用開口が設けられたエンコーダ81aとして形成されており、トレイ駆動モータ71の回転に伴ってエンコーダ81a(回転体81)が回転すると、その回転量に応じたパルスを回転量検知センサ82によって得ることができる。したがって、そのパルス数から載置トレイ60の移動量を把握することが可能となる。このような移動量検知手段80を設けておくことで、載置トレイ60の突出方向の停止位置を正確に制御することが可能となり、トレイ駆動モータ70に対する負荷を軽減することが可能となる。
また、載置トレイ駆動機構70には、更に、載置トレイ60の収納位置(紙幣を収容できる位置;収容ポジション)を検知することが可能な位置検知手段85が設けられている。このような位置検知手段85は、例えば、載置トレイ60を駆動する摺動部材75に係止片(図示せず)を設けておき、この係止片が当接/離反することでON/OFFするリミットスイッチ86を内部フレーム1dに装着することによって構成することが可能である。このような位置検知手段85を設けておくことで、載置トレイ60の状態(収納位置にあるか、回収位置にあるか)を把握することが可能となり、紙幣回収作業時において、載置トレイ60を適切に駆動することが可能となる。
また、本実施形態において、載置トレイ60に積層収容された紙幣Pは、紙幣処理領域3において、紙幣挿入口3Aに隣接するように配設されるシャッタ機構90を開放駆動することで回収可能となっている。以下、図2、図3、図11〜図13を参照してこのシャッタ機構90の構成について説明する。
シャッタ機構90は、紙幣処理領域3に形成される矩形状の開口である突出口150を開閉可能に閉じるシャッタ(遮蔽板)91と、このシャッタ91を回動(開閉)駆動するシャッタ駆動機構(シャッタ駆動手段)92とを備えている。シャッタ91は、略矩形状の板材として構成されており、筐体1aの内部フレーム1dに回転可能に支持された支軸91aに対してその基端部が固定されている。
シャッタ駆動機構92は、シャッタ駆動モータ95を備えており、このシャッタ駆動モータ95は、その駆動軸95aに連結される減速機構を構成するギヤトレイン96と、ギヤトレイン96に順次連結されるアーム状のリンク部材97a,97bとを介して、支軸91aに連結されている。したがって、シャッタ駆動モータ95が駆動されて駆動軸95aが回転駆動されると、その回転駆動力は、ギヤトレイン96を介して減速される。このギヤトレイン96の出力ギヤ96aには、リンク部材97aの支軸が接続されており、シャッタ駆動モータ95の正転駆動により、リンク部材97aは、図13(a)に示す状態から、図13(b)に示す状態に回動駆動される。このリンク部材97aには、基端部が支軸91aに連結されたリンク部材97bの先端部が連結されており、リンク部材97aが図に示すように回動駆動されることで、シャッタ91は、リンク部材97bを介して、垂直な状態から、筐体内部に向けて、略90°回動駆動されるようになる。
なお、シャッタ駆動機構92には、シャッタ91の回動量を検知することが可能な回動量検知手段100が設けられている。この回動量検出手段100は、例えば、ギヤトレイン96の入力ギヤ96bの表面にその周方向に沿って所定の間隔で複数の検出用開口101を設けることによりエンコーダを形成すると共に、そのエンコーダの回転量を検知する回転量検知センサ(反射型光センサ)102を設けることにより構成することが可能である。このような回動量検知手段100を設けておくことで、シャッタ91を回動させて、その回動角が略90°となったときの停止位置を正確に制御することが可能となり、シャッタ駆動モータ95に対する負荷を軽減することが可能となる。
また、本実施形態においては、シャッタ機構90に関連して、シャッタ91が閉塞状態にあるときにその状態をロックするロック機構110が設けられている。
このロック機構110は、開閉駆動されるシャッタ91の先端端縁に長手方向に沿って連続的に形成される凹凸(凸凹部)112と、筐体1aの内部フレーム1dに支持され(具体的には筐体1aの溝に潜り込み)且つシャッタ91の長手方向(矢印方向)に沿って移動可能なロック板(ロック部材)113と、ロック板113をその長手方向(シャッタ91の長手方向)に沿って移動させるための駆動手段(ロック部材移動手段)、例えば、ソレノイド116とによって構成される。
また、ロック板113には、シャッタ91と隣接して対向するその対向部位に、凹凸112と噛み合う凹凸(凹凸部)114が形成(ロック板113の移動方向に沿って形成)されており、ロック板113は、付勢バネ(付勢手段)117によって、常時、両者の凹凸112,114が一致しない状態(すなわち、シャッタ91の開放を阻止するロック位置)へと付勢されている(図12参照)。そして、紙幣Pを回収するためにソレノイド116を駆動させると、ロック板113が付勢バネ117の付勢力に抗して移動し、両者の凹凸112,114が一致するようになる(図11参照)。これにより、シャッタ91のロック状態が解除され(すなわち、シャッタ91の開放が許容されるロック解除位置にロック板113が位置され)、シャッタ91をシャッタ駆動機構92を介して筐体1aの内部に向けて回動させ、載置トレイ60を排出可能な状態にすることができる。
図14は、紙幣処理装置1の動作を制御するための制御手段の構成例を示すブロック図である。
前述したように、前記制御手段は、蓋体31の裏面に装着され且つ前述した各種アクチュエータの動作を制御する制御回路基板40を備えている。この制御回路基板40は、搬送モータ20、プレート駆動モータ33、トレイ駆動モータ71、シャッタ駆動モータ95、ソレノイド116等、各種の駆動装置の制御動作機能を有するCPU130と、前述した各種の駆動装置の作動プログラムや正規の紙幣に関する検知データ等を格納したROM131と、制御RAM132とを備えて構成されている。
CPU130には、I/Oポート135を介して、前述した各種のモータを駆動するモータ駆動回路140〜143が接続されており、各駆動モータは、作動プログラムに従って、CPU130からの制御信号によりその駆動動作(正転、逆転、停止)が制御される。また、CPU130には、I/Oポート135を介して、紙幣挿入センサ25から紙幣の挿入を検知する信号、紙幣識別センサ26から紙幣の判別に関する検知信号、回動検知センサ42から押圧プレート32の押圧位置に関する検知信号、回動量検知センサ82から載置トレイ60の位置に関する検知信号、リミットスイッチ86から載置トレイ60が収容位置にあるか否かの検知信号、回転量検知センサ102からシャッタ91の回動位置に関する検知信号が入力されるようになっており、これらの検知信号に基づいて、前述した搬送モータ20、プレート駆動モータ33、トレイ駆動モータ71、シャッタ駆動モータ95、及びソレノイド116の駆動が制御されるようになっている。
また、CPU130は、図示しない遊技機本体内に配設された遊技処理を実行する制御回路200に接続されており、遊技機側に対して、挿入された紙幣の価値に応じた遊技価値情報が送信されるようになっている。
さらに、前述した制御回路基板40のCPU130には、前述したロック機構110におけるロック状態を解除する(ソレノイド116を駆動する)ための解除信号が入力されるようになっている。この解除信号を送信する信号送信手段300は、例えば、通信網400を介して接続され、島設備を管理する管理サーバの機能の一部として構成することが可能となり、これにより、例えば、回収作業時において島設備にある紙幣処理装置の各シャッタ91を一括して解除駆動することが可能となる。
次に、上記構成の紙幣処理装置1の動作について説明する。
まず、紙幣Pを載置トレイ60内へ順次に積層収容する手順について説明する。
図1〜図3に示すように、紙幣Pを、短片側を垂直に立てた起立状態で紙幣挿入口3Aに挿入すると、その挿入は、紙幣挿入センサ25によって検知される。紙幣挿入センサ25が紙幣Pの挿入を検知すると、搬送モータ20が正転駆動され、紙幣Pは、紙幣搬送機構7を構成する搬送ベルト17a,17bおよびこれに当接するピンチローラ21a,21b、22a,22bに挟持された状態で筐体1aの内部へ搬送される。
紙幣Pが筐体1aの内部へ搬送される際、紙幣識別センサ26が紙幣Pを検知し、前述した制御手段において、その有効性が判断される。この場合、紙幣識別センサ26が紙幣Pの有効性を判断できなかった場合、搬送モータ20が逆転駆動され、搬入途中にある紙幣Pは、差し戻し作用を受け、そのまま紙幣挿入口3Aから排出される。
また、紙幣Pの有効性が判断された場合には、紙幣Pの後端が搬送ベルト17a,17bとピンチローラ22a,22bとのニップ部を通過するまで、搬送モータ20が回転駆動される。なお、この時、紙幣Pは、図8(a)および図9(a)に示すように、搬送ベルト17a,17bおよびピンチローラ22a,22bの下流側に位置する紙幣押し込み領域10の押圧プレート32の押圧面と載置トレイ60の係止爪61cを含む平面との間の隙間R内に排出される。前述したように、この隙間Rは、ジャム等が生じることがないような範囲に設定されている。
紙幣Pが前記ニップ部を通過して押し込み領域10に位置すると、搬送モータ20の正転駆動が停止されると共に、プレート駆動モータ33が回転駆動される。これにより、押圧プレート32は、押し下げアーム38によって押し下げ方向に駆動され、その下面が紙幣Pを押圧するようになる(図9(b)参照)。押圧プレート32によって押圧される紙幣Pは、やがて載置トレイ60の一対の係合爪61cを乗り越えて、載置プレート62上に付勢バネ63の付勢力に抗して押し付けられる。押圧プレート32は、リンク部材35の支持位置によって紙幣方向に対して押圧力が異なるが、前述した押圧プレート32の両側に形成されたフランジ(張り)32cが係止爪61cに当て付くことにより、紙幣Pには長手方向に沿って略均等な押圧力が作用するようになる。すなわち、紙幣全体を均等に押さえ付けることが可能となり、紙幣が折れ曲がっていたり、腰の強い紙幣(積層枚数が多くなることによる)であっても、所定の枚数を確実に収容することが可能となる。なお、押し下げアーム38の位置は、回動検知センサ42によって検知されており、適切な位置となったとき(押圧プレート32のフランジ32cが係止爪61cに当て付いたとき)プレート駆動モータ33の駆動は停止される。そして、押圧プレート32に所定の押圧力をさせてフランジ(張り)32cが係止爪61cに当て付いた後、プレート駆動モータ33は逆転駆動され、押圧プレート32は初期位置に戻される。このとき、載置プレート62は、付勢バネ63の付勢力によって、係止爪61c側に付勢され、最上の紙幣Pは、図9(c)に示すように、係止爪61cに当て付けられて、次に搬入されてくる紙幣との間で仕分けが成される。そして、前述した動作が繰り返されることにより、載置トレイ60の載置プレート62上には、安定して紙幣Pが積層収容されて行く。
次に、載置トレイ60に収容された紙幣Pを回収する手順について説明する。
紙幣Pの回収時においては、例えば、ホール全体を管理する管理サーバ(信号送信手段300)側から、島に設置されている各紙幣処理装置1に対して、ロック機構110を解除する信号を送信する。この場合、管理サーバは、例えば、島全体の紙幣処理装置1のロック機構110を解除するように制御しても良いし、島一列の紙幣処理装置1のロック機構110を解除するように制御しても良い。紙幣処理装置1がこの解除信号を受信すると、ソレノイド116が駆動され、ロック板113が付勢バネ117の付勢力に抗してシャッタ91の長手方向に駆動される。これにより、ロック板113の凹凸114とシャッタ91に形成された凹凸112とが一致し、この状態で、シャッタ駆動モータ95が回転駆動されることで、シャッタ91が筐体1aの内側に向けて回動される開放状態となる(図13(b)参照)。なお、シャッタ駆動モータ95の回転量は、回転量検知センサ102によって検知されており、適切な位置(略90°倒伏した位置)で駆動停止される。
シャッタ駆動モータ95が停止駆動されると、トレイ駆動モータ71が回転駆動され、載置トレイ60は、筐体1aの前面から、前端側が排出される。前述したように、載置トレイ60の本体61は、その両側壁61bに切欠部61cが形成されていることから、倒伏状態にあるシャッタ91と干渉することなく、その前端側が突出口150を通じて排出(突出)される。なお、トレイ駆動モータ71の回転量は、回転量検知センサ82によって検知されており、載置トレイ60は、適切な位置で停止駆動される。
載置トレイ60が停止駆動された状態では、載置プレート62に載置された紙幣束は、図15に示すように、前端側が露出するように保持されていることから、作業者は、露出している紙幣束を摘んでそのまま引き出すことができ、紙幣の回収作業を効率的に行なえるようになる。特に、本実施形態では、図8に示したように、紙幣Pを載置する載置プレート62の長さが、紙幣Pの長さよりも短く形成されており、しかも載置プレート62の先端縁の中央に、凹部62aが形成されていることから、載置トレイ60が突出すると、積層収容された状態の紙幣束は、先端部分で容易に摘むことが可能となり、紙幣Pの回収作業が行ない易くなる。
そして、紙幣Pの回収作業時において、紙幣検知センサ128により載置プレート62上に紙幣Pが存在しないことを検知した場合(回収作業が終了した場合)、所定時間経過後に、前述した処理手順と逆の処理が実行される。すなわち、トレイ駆動モータ71を逆転駆動して、載置トレイ60を収容位置に戻し、リミットスイッチ86が載置トレイ60の存在を検知した段階で、シャッタ駆動モータ95を逆転駆動してシャッタ91を閉塞状態に回動させ、その後、ソレノイド116を消勢することで、ロック板113を初期位置に戻してロック機構110を作動させる。
このように、載置プレート62上に紙幣がなくなったことを検知すると、自動的にロック機構110を作動させることから、作業者は、紙幣の回収作業のみを行なえば良く、それ以外の操作を行なう必要がなくなって、紙幣の回収作業を効率良く行なうことが可能となる。また、このような構成によれば、紙幣回収作業時において、シャッタ91のロックのし忘れ(人為的なミス)が確実に防止されるため、セキュリティの向上が図れるようになる。
なお、前述した制御手段は、ロック機構110を解除する信号を受けた際、載置プレート62上に紙幣Pが存在しなければ、ロック機構110を解除しないような構成であっても良い。すなわち、紙幣Pが存在しない状態では、載置トレイ60を駆動することなく、ロック機構110がそのまま維持されるため、ロックのし忘れなどが確実に防止できる。
前述したロック機構110の解除は、作業者が所持する専用の携帯端末によって行なうようにしても良い。例えば、各紙幣処理装置1に、赤外線受光部500(図1、図14参照)を設けておき、この赤外線受光部を介して、携帯端末から所定のロック解除信号を受信した際にロック機構110を解除するようにしても良い。すなわち、このような構成によれば、多数ある紙幣処理装置に対して、個別にロック機構を解除して回収作業を行なうことが可能となる。或いは、このような解除操作は、携帯端末によって管理サーバを介して一括して行なうように構成しても良い。すなわち、携帯端末の操作によって、島全体、島一列毎にロック機構を一括して解除するようにしても良い。
以上説明したように、本実施形態の紙幣処理装置1は、紙幣収容部である載置トレイ60を筐体1aの外部に突出させるための突出口150と、突出口150を開閉可能に閉じるシャッタ91と、シャッタ91の開放を阻止するロック位置とシャッタ91の開放を許容するロック解除位置との間で移動可能なロック板113とが設けられているため、ロック板113をロック位置に位置させてシャッタ91の開放を阻止すれば、突出口150を通じて載置トレイ60を抜き取ることは勿論のこと、突出口150を通じて紙幣Pを直接に載置トレイ60から抜き取ることも防止できる。すなわち、紙幣Pの抜き取りを抜本的に防止でき、安全性が高い紙幣処理装置を提供することができる。また、特に、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、ロック板113の凹凸部114とシャッタ91の凸凹部112との噛み合いの有無によりロックの作動および解除を行なうため、ロック板113の少ない移動量で効率的且つ効果的にロック機構を機能させることができ、究極的には、装置の小型化を図ることも可能になる。
また、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、付勢手段としての付勢バネ117によりロック板113をロック位置に常時保持することができるため、紙幣Pの抜き取りに対する安全性を更に高めることができる。
また、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、シャッタ91が筐体1aの内側に向けて回動することにより突出口150が開放されるため、突出口150からは載置トレイ60のみが外部に突出することとなり、載置トレイ60からの紙幣の回収作業がシャッタ91によって邪魔されることがなくなり、紙幣Pの円滑な回収を行なうことができるようになる。なお、本実施形態において、載置トレイ60には、その突出方向に沿ってシャッタ91との干渉を避けるための切欠部61dが設けられているため、シャッタ91を筐体1aの内側に向けて回動させることによって載置トレイ60の突出動作がシャッタ91によって邪魔されることはない。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、前述した筐体内に配設される各種の駆動機構やセンサなどの構成部材は、一例を示したに過ぎず、その具体的な構成については、同様な処理や動作を行なうことができれば、適宜変形することが可能である。また、載置トレイ60は、筐体から突出したときに、紙幣束の先端が摘み出せるように紙幣束を露出保持するものであれば良く、その構造については、適宜変形することが可能である。さらに、紙幣処理装置のロック機構を解除するシステムについては、外部の管理サーバ等を介することなく、紙幣処理装置毎に行なうようにしても良い。すなわち、紙幣処理装置毎に個別に回収作業を行なうように構成しても良い。