JP3100010U - 鋼管杭先端部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力を得ることができる鋼管杭先端部材を提供する。
【解決手段】先端部材10は、鋼管20の下端開口を全面閉塞する円形の平坦な閉塞板部12と、鋼管20の下端から下端近くまでの外周面から張り出した掘削羽根部14とを備えている。閉塞板部12と掘削羽根部14とは一体であって、閉塞板部12は周縁において鋼管20の端縁と相互に溶接されており、掘削羽根部14は内周縁において鋼管20の外周面と相互に溶接されることにより、先端部材10は鋼管20に固定される。
【選択図】 図1
【解決手段】先端部材10は、鋼管20の下端開口を全面閉塞する円形の平坦な閉塞板部12と、鋼管20の下端から下端近くまでの外周面から張り出した掘削羽根部14とを備えている。閉塞板部12と掘削羽根部14とは一体であって、閉塞板部12は周縁において鋼管20の端縁と相互に溶接されており、掘削羽根部14は内周縁において鋼管20の外周面と相互に溶接されることにより、先端部材10は鋼管20に固定される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、地盤中に回転圧入させて建物の基礎に用いられる鋼管杭に関し、特に比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力が得られる鋼管杭先端部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベースマシンに搭載したオーガ等により地盤中に回転圧入させることにより、建物の基礎とする鋼管杭が用いられている。このような鋼管杭に要求される条件は、硬い地盤でも貫入抵抗が少なく、歪むことなく鉛直方向に正確に打ち込むことができ、打ち込んだ後は地盤支持力が十分に得られ、しかも安価に製造できることである。これらの条件を満足させるためにさまざまなタイプの鋼管杭の先端構造が提案されているが、例えばラセン羽根を鋼管の側面に溶接するものは位置決めが難しく、鋼管には相当の肉厚が必要となる。また鋼管の先端に2枚の平板な掘削板を取り付けたものは、加工は容易だが回転圧入時に土を乱すので地盤による杭の拘束力が弱くなる。鋼管の先端に掘削刃を取り付けると貫入抵抗を軽減でき、回転圧入時の方向性が改善されるが、土が乱れて地盤支持力に影響を及ぼし、また製造工程が多くなり製造費が高く付く。
【0003】
特開平8−326053には、鋼管杭の先端をラセン状に切り欠き、ここにラセン翼及び掘削刃として作用するラセン状底板を固定した鋼管杭が開示されている。
【0004】
特開2000−170159には、鋼管杭の先端部又は外周面に平坦な翼を取り付けた鋼管杭が開示されている。
【0005】
特開平7−331654には、パイルの先端に案内部と推進構造部分とを設けた金属製推進構造部分を取り付けた構成が開示されている。
【0006】
特開2001−73364には、鋼管の下端にラセン翼を固着し、ラセン翼からは逆円錐状の先導筒を突設した鋼管杭が開示されている。
【特許文献1】特開平8−326053
【特許文献2】特開2000−170159
【特許文献3】特開平7−331654
【特許文献4】特開2001−73364
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
よって本考案の目的は、比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力及び取付強度を得ることのできる鋼管杭先端部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本考案は、鋼管の下端開口の少なくとも一部を閉塞する閉塞板部と、前記閉塞板部と一体であり、鋼管の下端から下端近くまでの外周面から張り出す掘削羽根部とを備えて鋼管杭先端部材を構成した。
【0009】
本考案に係る鋼管杭先端部材は、閉塞板部と掘削羽根部とを備えている。閉塞板部は、鋼管の下端に取り付けられて、鋼管の下端開口の少なくとも一部を閉塞する。下端開口の他の部分は、他の部材により閉塞または半閉塞されていてもよく、開口されたままでもよい。閉塞板部を鋼管(任意の長さの鋼管の先端に取り付けることのできる短い鋼管製アタッチメントを含む)の先端に容易かつ強固に取り付けるためには、鋼管の下端は水平に切断されていて、閉塞板部と鋼管の下端との間が溶接されていることが好ましい。
【0010】
掘削羽根部は鋼管の外周面から半径方向外側に張り出しており、閉塞板部と繋がっていて鋼管の下端から張り出した部分と、鋼管の下端近くの側面から張り出した部分とを有する。従って、例えば掘削羽根部は閉塞板部から延びるアーチ型の帯状部分を有する。なおここで「一体」とは、特別な接合手段を用いることなく結合していることを指し、一枚の鋼板から閉塞板部と掘削羽根部が形成されている場合や、閉塞板部と掘削羽根部とが溶接されている場合などを含む。
【0011】
このような先端部材を取り付けた鋼管杭は掘削羽根部の作用によって、回転圧入することにより地盤中に貫入され、土中では掘削羽根部が鋼管の外周面から張り出しているので十分な地盤支持力が得られる。また、閉塞板部と掘削羽根部が一体となっているので、鋼管への取付強度が大きく、かつ鋼管への取付作業が容易で正確に行うことが可能である。
【0012】
掘削羽根部の一部、例えば上述の帯状部分はラセン形状のラセン掘削羽根である。このような先端部材は、まず閉塞板部を鋼管の先端に溶接したのち、この時にはまだ平坦である掘削羽根部の帯状部分を、鋼管の上端方向に向かって引っ張る(又は押す)ことによりラセン状に曲げて鋼管の下端部分に巻き付け、鋼管の外周面に接する部分を溶接することによりラセン掘削羽根を鋼管に取り付けるようにすることができる。
【0013】
閉塞板部は、軸線方向視円形の鋼管の下端開口を全部を閉塞するように構成してもよい。すなわち閉塞板部は、鋼管の直径と略同一の長さの直径を有する円形であり、掘削羽根部は円形の閉塞板部の周縁において閉塞板部と繋がっている。このような先端部材は一枚の円形鋼板から形成することができる。閉塞板部は、一枚の円形鋼板を、円形鋼板と中心を共通にし、取り付けられる鋼管と略同一の長さの直径を有する円弧に沿って切断して形成され、掘削羽根部は閉塞板部の周縁の一部において繋がっている部分を残して弧形部分を切断することにより閉塞板部と同時に形成される。
【0014】
掘削羽根部は閉塞板部に一つだけ繋がっていてもよく、また2つ以上の複数が繋がっていてもよい。例えば閉塞板部は鋼管の直径と略同一の長さの直径を有する円形であり、2枚の掘削羽根部は相互に180°位相をずらされて半円形の閉塞板部の周縁において閉塞板部と繋がっている。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係る鋼管杭先端部材の一つの実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明は考案をより深く理解するためのものであって、実用新案登録請求の範囲を限定するためのものではない。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜5はそれぞれ、本考案に係る鋼管杭先端部材の第1の実施の形態を示す正面図、背面図、底面図、左側面図及び右側面図である。
【0017】
各図において、鋼管20の下端及び下端近くの外周面には、1つの先端部材10が取り付けられている。本実施例においては、先端部材10が取り付けられる鋼管20の下端は水平に、すなわち鋼管20半径方向に延びる平面に沿って切断されているが、これに限定されるものではない。
【0018】
なお鋼管20は第1の実施の形態においては先端アタッチメントであり、より長い鋼管が上端方向に接続されて鋼管杭が完成される。しかし先端部材10は最初から長い鋼管に直接取り付けられてもよい。
【0019】
先端部材10は、鋼管20の下端開口を閉塞する平坦な閉塞板部12と、閉塞板部12と部分的に面一であり、鋼管20の下端から下端近くまでの外周面から張り出した掘削羽根部14とを備えている。
【0020】
第1の実施の形態においては、鋼管20の下端開口は閉塞板部12により全面閉塞されているが、一部を開口して一部を閉塞するようにしても良い。開口は、例えば閉塞板部を半月形にしたり、円形の閉塞板部の中心近くに円形の孔を空けて閉塞板部をドーナツ板状にして形成される。
【0021】
鋼管20の下端開口を全面閉塞するか、一部閉塞にするか、また一部閉塞にする場合にどの程度の開口を設けるかは、例えば鋼管杭を貫入させようとする地盤の硬さや土質等に応じて調整することができる。
【0022】
先端部材10の閉塞板部12は平板な円形であり、掘削羽根部14は中心に穴が開き、一箇所が開環した平板なドーナツ状または円形に湾曲した帯状である。掘削羽根部14は、閉塞板部12と面一の部分は平坦であり、その上方の部分はラセン形状である。平坦とラセンとのおおよその境界は図3の仮想線bである。
【0023】
第1の実施の形態においては先端部材10は一枚の円形の鋼板から製造された一体の部材である。図6は先端部材10の材料となる円形の鋼板を示す平面図である。鋼管20の直径よりも大きい直径を有する円形の鋼板は、切断線cに沿って切断される。切断線cは、円形の鋼板と中心を共通にし、鋼管20と略同一の半径を有する4分の3弧形部分と、4分の3弧形部分の一端における弧形の接線方向に円形の鋼板の周縁にまで達する接線部分とからなる。なお、第1の実施の形態においては、閉塞板部12と掘削羽根部14とは4分の1弧形部分、すなわち90°の角度の部分で繋がっているが、例えば8分の1〜16分の1弧形部分(45〜22.5°)のようなより小さい角度で繋がっていても良く、また4分の1弧形部分よりも大きい角度で繋がっていても良い。なお、閉塞板部12と掘削羽根部14とが8分の1以下(45°以下)の角度の部分で繋がっている場合には、後述する製造工程において掘削羽根部14を平面状から曲面状に形成する際に、ねじれにより掘削羽根部14の下端が閉塞板部12の下面よりも下方に位置するようになることがある。この場合、鋼管杭を地盤に貫入する際に、掘削羽根部14の下端に鋼管20を下方へ向かわせる力がより強く加わり、スムーズに地盤に貫入させることができる。よって弧形部分の角度やねじれが生じたかに拘わらず、意図的に、掘削羽根部14の下端が閉塞板部12の下面よりも下方に位置する他の実施例に構成することもある。
【0024】
このようにして形成された先端部材10においては、閉塞板部12は円形であり、掘削羽根部14は接線部分を切断することにより上端と下端との間で開環した平板なドーナツ状である。閉塞板部12と掘削羽根部14とは、掘削羽根部14の上端において閉塞板部12の弧形の4分の1の部分が繋がって一体に形成されている上記のような製造方法によると、先端部材10は一枚の円形の鋼板の全ての部分を使用して製造することができ、材料の無駄が生じないので安価に製造することができる。
【0025】
掘削羽根部14の下端は接線部分に沿って切断されているが、他の実施の形態では代わりに半径線に沿って切断されてもよい。図6のように接線部分に沿って切断したり、4分の3弧形部分と円形の鋼板の周縁とになめらかに連続するような曲線に沿って切断すると、掘削羽根部14の半径が徐々に大きくなっていくようにすることができ、これにより鋼管杭を回転圧入する際の貫入抵抗を軽減することができる。しかしこのような形状とすると掘削羽根部14の上端に突出した部分が生じるので、強度を確保するために、図3、4に示すような一辺が弧状の三角形である補強板50を掘削羽根部14の上端に溶接してある。他の実施の形態では突出部分は切除されていてもよい。
【0026】
この先端部材10を鋼管20に取り付ける工程について説明する。まず閉塞板部12を鋼管20の下端に溶接する。すなわち閉塞板部12の周縁部分と鋼管20の端縁との接触部分を溶接する。この時点では掘削羽根部14は平坦で、全面に渡って閉塞板部12と面一である。なお他の実施の形態においては、先端部材10はプレス加工され、鋼管20に溶接される前に閉塞板部12及び掘削羽根部14が形成される。
【0027】
閉塞板部12を鋼管20の下端に溶接したら、掘削羽根部14の上端近くの部分を、内周縁を鋼管20の外周円に当接させつつ、鋼管20の上端方向に向かって引っ張る(又は押す)。これにより、掘削羽根部14はラセン状に曲げられ、鋼管20の下端近くの外周面にほぼ一周に渡って巻き付けられる。また掘削羽根部14は常に鋼管20の半径線に沿って突出するように曲げられる。すなわちラセン状のどの部分でも掘削羽根部14は水平方向に突出している。掘削羽根部14のリード角が予定した角度に達したら、掘削羽根部14の内周縁と鋼管20の外周面とが接する部分を溶接する。
【0028】
このように先端部材10の掘削羽根部14は、従来の鋼管杭における掘削羽根と同様に内周縁において鋼管の外周面に溶接されているのに加えて、下縁が鋼管20の下端に溶接された閉塞板部12と一体になっているので、大きな取付強度が得られ、鋼管のみが掘削羽根に作用する荷重を支える従来の鋼管杭のように鋼管の肉厚を厚くする必要がなく、薄い鋼管でも大きな荷重を支持することができる。
【0029】
次に第1の実施の形態の作用について説明する。先端部材10を取り付けた鋼管杭は、閉塞板部12及び掘削羽根部14の作用によって回転圧入することにより地盤中に貫入していく。このとき、掘削羽根部14が鋼管20の外周面から張り出しているので十分な地盤支持力が得られる。また、閉塞板部12と掘削羽根部14とが一体となっているので、鋼管への取付作業が容易で正確に行うことが可能である。
【0030】
(第2の実施の形態)
図7〜9は、それぞれ本考案に係る鋼管杭先端部材の第2の実施の形態を示す正面図、平面図及び右側面図である。図7〜9において、図1〜6に示した部材と同様の機能を有する部材には、同一の符号を附して表してある。
【0031】
各図において、鋼管20の下端には先端部材10が取り付けられている。先端部材10は、第1の実施の形態のものと同じく閉塞板部12と掘削羽根部14とからなるが、掘削羽根部14は180°位相をずらされて2枚設けられており、鋼管20を約半周する長さである点が異なる。この先端部材10は、1枚の円形の鋼板から製造することができ、また補強部材50により補強されていることは第1の実施の形態のものと同様である。
【0032】
第2の実施の形態に係る鋼管杭先端部材は、第1の実施の形態のものとほぼ同様の作用・効果を奏するが、2枚の先端部材10が180°位相をずらされて設けられているので、鋼管杭の貫入時に地盤に働く回転圧入力が偏ることがなく、鋼管杭の正確な位置決めが可能である。
【0033】
以上、本考案の実施の形態について説明したが、本考案は上記実施の形態に限定されるものではなく、本考案の要旨の範囲内において、適宜変形実施が可能であることは言うまでもない。
【0034】
【考案の効果】
以上のように本考案に係る鋼管杭先端部材によると、比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力及び取付強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本考案に係る鋼管杭先端部材の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、図1と同じ先端部材を示す背面図である。
【図3】図3は、図1と同じ先端部材を示す底面図である。
【図4】図4は、図1と同じ先端部材を示す左側面図である。
【図5】図5は、図1と同じ先端部材を示す右側面図である。
【図6】図6は、図1と同じ先端部材の材料となる円形の鋼板を示す平面図である。
【図7】図7は、本考案に係る鋼管杭先端部材の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図8】図8は、図7と同じ先端部材を示す底面図である。
【図9】図9は、図7と同じ先端部材を示す左側面図である。
【符号の説明】
10 先端部材
12 閉塞板部
14 掘削羽根部
20 鋼管
【考案の属する技術分野】
本考案は、地盤中に回転圧入させて建物の基礎に用いられる鋼管杭に関し、特に比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力が得られる鋼管杭先端部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベースマシンに搭載したオーガ等により地盤中に回転圧入させることにより、建物の基礎とする鋼管杭が用いられている。このような鋼管杭に要求される条件は、硬い地盤でも貫入抵抗が少なく、歪むことなく鉛直方向に正確に打ち込むことができ、打ち込んだ後は地盤支持力が十分に得られ、しかも安価に製造できることである。これらの条件を満足させるためにさまざまなタイプの鋼管杭の先端構造が提案されているが、例えばラセン羽根を鋼管の側面に溶接するものは位置決めが難しく、鋼管には相当の肉厚が必要となる。また鋼管の先端に2枚の平板な掘削板を取り付けたものは、加工は容易だが回転圧入時に土を乱すので地盤による杭の拘束力が弱くなる。鋼管の先端に掘削刃を取り付けると貫入抵抗を軽減でき、回転圧入時の方向性が改善されるが、土が乱れて地盤支持力に影響を及ぼし、また製造工程が多くなり製造費が高く付く。
【0003】
特開平8−326053には、鋼管杭の先端をラセン状に切り欠き、ここにラセン翼及び掘削刃として作用するラセン状底板を固定した鋼管杭が開示されている。
【0004】
特開2000−170159には、鋼管杭の先端部又は外周面に平坦な翼を取り付けた鋼管杭が開示されている。
【0005】
特開平7−331654には、パイルの先端に案内部と推進構造部分とを設けた金属製推進構造部分を取り付けた構成が開示されている。
【0006】
特開2001−73364には、鋼管の下端にラセン翼を固着し、ラセン翼からは逆円錐状の先導筒を突設した鋼管杭が開示されている。
【特許文献1】特開平8−326053
【特許文献2】特開2000−170159
【特許文献3】特開平7−331654
【特許文献4】特開2001−73364
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
よって本考案の目的は、比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力及び取付強度を得ることのできる鋼管杭先端部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本考案は、鋼管の下端開口の少なくとも一部を閉塞する閉塞板部と、前記閉塞板部と一体であり、鋼管の下端から下端近くまでの外周面から張り出す掘削羽根部とを備えて鋼管杭先端部材を構成した。
【0009】
本考案に係る鋼管杭先端部材は、閉塞板部と掘削羽根部とを備えている。閉塞板部は、鋼管の下端に取り付けられて、鋼管の下端開口の少なくとも一部を閉塞する。下端開口の他の部分は、他の部材により閉塞または半閉塞されていてもよく、開口されたままでもよい。閉塞板部を鋼管(任意の長さの鋼管の先端に取り付けることのできる短い鋼管製アタッチメントを含む)の先端に容易かつ強固に取り付けるためには、鋼管の下端は水平に切断されていて、閉塞板部と鋼管の下端との間が溶接されていることが好ましい。
【0010】
掘削羽根部は鋼管の外周面から半径方向外側に張り出しており、閉塞板部と繋がっていて鋼管の下端から張り出した部分と、鋼管の下端近くの側面から張り出した部分とを有する。従って、例えば掘削羽根部は閉塞板部から延びるアーチ型の帯状部分を有する。なおここで「一体」とは、特別な接合手段を用いることなく結合していることを指し、一枚の鋼板から閉塞板部と掘削羽根部が形成されている場合や、閉塞板部と掘削羽根部とが溶接されている場合などを含む。
【0011】
このような先端部材を取り付けた鋼管杭は掘削羽根部の作用によって、回転圧入することにより地盤中に貫入され、土中では掘削羽根部が鋼管の外周面から張り出しているので十分な地盤支持力が得られる。また、閉塞板部と掘削羽根部が一体となっているので、鋼管への取付強度が大きく、かつ鋼管への取付作業が容易で正確に行うことが可能である。
【0012】
掘削羽根部の一部、例えば上述の帯状部分はラセン形状のラセン掘削羽根である。このような先端部材は、まず閉塞板部を鋼管の先端に溶接したのち、この時にはまだ平坦である掘削羽根部の帯状部分を、鋼管の上端方向に向かって引っ張る(又は押す)ことによりラセン状に曲げて鋼管の下端部分に巻き付け、鋼管の外周面に接する部分を溶接することによりラセン掘削羽根を鋼管に取り付けるようにすることができる。
【0013】
閉塞板部は、軸線方向視円形の鋼管の下端開口を全部を閉塞するように構成してもよい。すなわち閉塞板部は、鋼管の直径と略同一の長さの直径を有する円形であり、掘削羽根部は円形の閉塞板部の周縁において閉塞板部と繋がっている。このような先端部材は一枚の円形鋼板から形成することができる。閉塞板部は、一枚の円形鋼板を、円形鋼板と中心を共通にし、取り付けられる鋼管と略同一の長さの直径を有する円弧に沿って切断して形成され、掘削羽根部は閉塞板部の周縁の一部において繋がっている部分を残して弧形部分を切断することにより閉塞板部と同時に形成される。
【0014】
掘削羽根部は閉塞板部に一つだけ繋がっていてもよく、また2つ以上の複数が繋がっていてもよい。例えば閉塞板部は鋼管の直径と略同一の長さの直径を有する円形であり、2枚の掘削羽根部は相互に180°位相をずらされて半円形の閉塞板部の周縁において閉塞板部と繋がっている。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係る鋼管杭先端部材の一つの実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明は考案をより深く理解するためのものであって、実用新案登録請求の範囲を限定するためのものではない。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜5はそれぞれ、本考案に係る鋼管杭先端部材の第1の実施の形態を示す正面図、背面図、底面図、左側面図及び右側面図である。
【0017】
各図において、鋼管20の下端及び下端近くの外周面には、1つの先端部材10が取り付けられている。本実施例においては、先端部材10が取り付けられる鋼管20の下端は水平に、すなわち鋼管20半径方向に延びる平面に沿って切断されているが、これに限定されるものではない。
【0018】
なお鋼管20は第1の実施の形態においては先端アタッチメントであり、より長い鋼管が上端方向に接続されて鋼管杭が完成される。しかし先端部材10は最初から長い鋼管に直接取り付けられてもよい。
【0019】
先端部材10は、鋼管20の下端開口を閉塞する平坦な閉塞板部12と、閉塞板部12と部分的に面一であり、鋼管20の下端から下端近くまでの外周面から張り出した掘削羽根部14とを備えている。
【0020】
第1の実施の形態においては、鋼管20の下端開口は閉塞板部12により全面閉塞されているが、一部を開口して一部を閉塞するようにしても良い。開口は、例えば閉塞板部を半月形にしたり、円形の閉塞板部の中心近くに円形の孔を空けて閉塞板部をドーナツ板状にして形成される。
【0021】
鋼管20の下端開口を全面閉塞するか、一部閉塞にするか、また一部閉塞にする場合にどの程度の開口を設けるかは、例えば鋼管杭を貫入させようとする地盤の硬さや土質等に応じて調整することができる。
【0022】
先端部材10の閉塞板部12は平板な円形であり、掘削羽根部14は中心に穴が開き、一箇所が開環した平板なドーナツ状または円形に湾曲した帯状である。掘削羽根部14は、閉塞板部12と面一の部分は平坦であり、その上方の部分はラセン形状である。平坦とラセンとのおおよその境界は図3の仮想線bである。
【0023】
第1の実施の形態においては先端部材10は一枚の円形の鋼板から製造された一体の部材である。図6は先端部材10の材料となる円形の鋼板を示す平面図である。鋼管20の直径よりも大きい直径を有する円形の鋼板は、切断線cに沿って切断される。切断線cは、円形の鋼板と中心を共通にし、鋼管20と略同一の半径を有する4分の3弧形部分と、4分の3弧形部分の一端における弧形の接線方向に円形の鋼板の周縁にまで達する接線部分とからなる。なお、第1の実施の形態においては、閉塞板部12と掘削羽根部14とは4分の1弧形部分、すなわち90°の角度の部分で繋がっているが、例えば8分の1〜16分の1弧形部分(45〜22.5°)のようなより小さい角度で繋がっていても良く、また4分の1弧形部分よりも大きい角度で繋がっていても良い。なお、閉塞板部12と掘削羽根部14とが8分の1以下(45°以下)の角度の部分で繋がっている場合には、後述する製造工程において掘削羽根部14を平面状から曲面状に形成する際に、ねじれにより掘削羽根部14の下端が閉塞板部12の下面よりも下方に位置するようになることがある。この場合、鋼管杭を地盤に貫入する際に、掘削羽根部14の下端に鋼管20を下方へ向かわせる力がより強く加わり、スムーズに地盤に貫入させることができる。よって弧形部分の角度やねじれが生じたかに拘わらず、意図的に、掘削羽根部14の下端が閉塞板部12の下面よりも下方に位置する他の実施例に構成することもある。
【0024】
このようにして形成された先端部材10においては、閉塞板部12は円形であり、掘削羽根部14は接線部分を切断することにより上端と下端との間で開環した平板なドーナツ状である。閉塞板部12と掘削羽根部14とは、掘削羽根部14の上端において閉塞板部12の弧形の4分の1の部分が繋がって一体に形成されている上記のような製造方法によると、先端部材10は一枚の円形の鋼板の全ての部分を使用して製造することができ、材料の無駄が生じないので安価に製造することができる。
【0025】
掘削羽根部14の下端は接線部分に沿って切断されているが、他の実施の形態では代わりに半径線に沿って切断されてもよい。図6のように接線部分に沿って切断したり、4分の3弧形部分と円形の鋼板の周縁とになめらかに連続するような曲線に沿って切断すると、掘削羽根部14の半径が徐々に大きくなっていくようにすることができ、これにより鋼管杭を回転圧入する際の貫入抵抗を軽減することができる。しかしこのような形状とすると掘削羽根部14の上端に突出した部分が生じるので、強度を確保するために、図3、4に示すような一辺が弧状の三角形である補強板50を掘削羽根部14の上端に溶接してある。他の実施の形態では突出部分は切除されていてもよい。
【0026】
この先端部材10を鋼管20に取り付ける工程について説明する。まず閉塞板部12を鋼管20の下端に溶接する。すなわち閉塞板部12の周縁部分と鋼管20の端縁との接触部分を溶接する。この時点では掘削羽根部14は平坦で、全面に渡って閉塞板部12と面一である。なお他の実施の形態においては、先端部材10はプレス加工され、鋼管20に溶接される前に閉塞板部12及び掘削羽根部14が形成される。
【0027】
閉塞板部12を鋼管20の下端に溶接したら、掘削羽根部14の上端近くの部分を、内周縁を鋼管20の外周円に当接させつつ、鋼管20の上端方向に向かって引っ張る(又は押す)。これにより、掘削羽根部14はラセン状に曲げられ、鋼管20の下端近くの外周面にほぼ一周に渡って巻き付けられる。また掘削羽根部14は常に鋼管20の半径線に沿って突出するように曲げられる。すなわちラセン状のどの部分でも掘削羽根部14は水平方向に突出している。掘削羽根部14のリード角が予定した角度に達したら、掘削羽根部14の内周縁と鋼管20の外周面とが接する部分を溶接する。
【0028】
このように先端部材10の掘削羽根部14は、従来の鋼管杭における掘削羽根と同様に内周縁において鋼管の外周面に溶接されているのに加えて、下縁が鋼管20の下端に溶接された閉塞板部12と一体になっているので、大きな取付強度が得られ、鋼管のみが掘削羽根に作用する荷重を支える従来の鋼管杭のように鋼管の肉厚を厚くする必要がなく、薄い鋼管でも大きな荷重を支持することができる。
【0029】
次に第1の実施の形態の作用について説明する。先端部材10を取り付けた鋼管杭は、閉塞板部12及び掘削羽根部14の作用によって回転圧入することにより地盤中に貫入していく。このとき、掘削羽根部14が鋼管20の外周面から張り出しているので十分な地盤支持力が得られる。また、閉塞板部12と掘削羽根部14とが一体となっているので、鋼管への取付作業が容易で正確に行うことが可能である。
【0030】
(第2の実施の形態)
図7〜9は、それぞれ本考案に係る鋼管杭先端部材の第2の実施の形態を示す正面図、平面図及び右側面図である。図7〜9において、図1〜6に示した部材と同様の機能を有する部材には、同一の符号を附して表してある。
【0031】
各図において、鋼管20の下端には先端部材10が取り付けられている。先端部材10は、第1の実施の形態のものと同じく閉塞板部12と掘削羽根部14とからなるが、掘削羽根部14は180°位相をずらされて2枚設けられており、鋼管20を約半周する長さである点が異なる。この先端部材10は、1枚の円形の鋼板から製造することができ、また補強部材50により補強されていることは第1の実施の形態のものと同様である。
【0032】
第2の実施の形態に係る鋼管杭先端部材は、第1の実施の形態のものとほぼ同様の作用・効果を奏するが、2枚の先端部材10が180°位相をずらされて設けられているので、鋼管杭の貫入時に地盤に働く回転圧入力が偏ることがなく、鋼管杭の正確な位置決めが可能である。
【0033】
以上、本考案の実施の形態について説明したが、本考案は上記実施の形態に限定されるものではなく、本考案の要旨の範囲内において、適宜変形実施が可能であることは言うまでもない。
【0034】
【考案の効果】
以上のように本考案に係る鋼管杭先端部材によると、比較的安価かつ容易に製造でき、かつ十分な地盤支持力及び取付強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本考案に係る鋼管杭先端部材の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、図1と同じ先端部材を示す背面図である。
【図3】図3は、図1と同じ先端部材を示す底面図である。
【図4】図4は、図1と同じ先端部材を示す左側面図である。
【図5】図5は、図1と同じ先端部材を示す右側面図である。
【図6】図6は、図1と同じ先端部材の材料となる円形の鋼板を示す平面図である。
【図7】図7は、本考案に係る鋼管杭先端部材の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図8】図8は、図7と同じ先端部材を示す底面図である。
【図9】図9は、図7と同じ先端部材を示す左側面図である。
【符号の説明】
10 先端部材
12 閉塞板部
14 掘削羽根部
20 鋼管
Claims (5)
- 鋼管の下端開口の少なくとも一部を閉塞する閉塞板部と、
前記閉塞板部と一体であり、鋼管の下端から下端近くまでの外周面から張り出す掘削羽根部とを備えたことを特徴とする鋼管杭先端部材。 - 前記掘削羽根部の一部はラセン掘削羽根である請求項1に記載の鋼管杭先端部材。
- 前記閉塞板部は鋼管の直径と略同一の長さの直径を有する円形であり、前記掘削羽根部は円形の前記閉塞板部の周縁において前記閉塞板部と繋がっている請求項1または2に記載の鋼管杭先端部材。
- 一枚の円形鋼板を、円形鋼板と中心を共通にし、取り付けられる鋼管と略同一の長さの直径を有する円弧に沿って切断して形成された円形の前記閉塞板部と、前記閉塞板部の周縁の一部において繋がっている部分を残して弧形部分を切断することにより前記閉塞板部と同時に形成された前記掘削羽根部とを有する請求項3に記載の鋼管杭先端部材。
- 前記掘削羽根部は、複数設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼管杭先端部材。
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