JP3097867U - 頸部用コルセット - Google Patents

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小川 泰弘
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Abstract

【課題】従来の頸部用コルセットの欠点である蒸れ感、体への馴染み性が悪いなどの着用性を改良した頸部用コルセットを提供することにある。
【解決手段】弾性重合体の不織繊維状集合体、又はその集合体にポリウレタンを含有した不織繊維状集合体の繊維状物を接合固定し、そこに形成した無数の不定形微細連通空間を有する三次元構造の弾性シート状物であって、この弾性シート状物は見掛け密度0.19〜0.27g/cmで、高い圧縮抵抗性と高い通気透湿性を有し、この弾性シート状物を厚さ6〜20mmとして、必要に応じて肌に接する側に厚さ2〜5mmのポリウレタン発泡体シート状物を接合して、頸部に適合する幅と長さに成形した成形体を機能性繊維布帛で被覆し、その被覆成形体の両端部を面ファスナーで係合固定する頸部用コルセットである。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、頸部を保護したり、頸部に疾患をもつ患者が使用する頸部用コルセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、頸部に疾患をもつ患者が治療に使用している頸部用コルセットは、例えば、厚さ約10mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡体シート(ほぼ独立気泡でなる通気性・透湿性の小さい材料)の一面に軟質発泡ポリウレタンシートを接着した複合シートをニット調布帛で被覆したものを頸部に当接し、両端を面ファスナーで固定するものである。一方、頸部用コルセットに関しては幾つかの提案がなされており、例えば、発泡ウレタン樹脂などの軟質合成樹脂材でなり、患者の首に巻回される長さを有し、その両端に係着手段を設けた頸椎固定具が特許第2931951号に、鞭打ち時に使用するやや厚めの合成樹脂シートを横長の長方形に形成し、その一表面側に被係合用面ファスナーをほぼ全面に被着し、他の表面には長手方向の一端部に係合用面ファスナーを被着した簡易ギプス帯が実公昭61−10659号公報に、頸部全体を包囲する長さと幅を有する細長い柔軟性の本体と、剛性の支持板とからなり、本体は両端相互を面ファスナー式に結合可能に形成した頸椎固定装具が実公平6−12746号公報に、また、喉に当てた際に顎を支持する強度を有するプラスチック製板の頸椎カラーであって、内表面には多孔質の弾性シートを配置した頸椎カラーを締結ベルトで頸部に固定する頸椎カラーが実公平7−13698号公報に提案されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、従来の頸部の保護や固定に使用するコルセットは、頸部を固定することに力点が置かれて着用の快適性は無視されてきた。例えば、頸部に巻き付けられたコルセットは、頸部の固定にはよいがあまりにも硬すぎて体を動かす動作に負担が大きく、更に、気温の高いときには汗をかき、蒸れて不快感が大きい。一方、従来のポリウレタン発泡体を主体とした構成では柔軟性が大きく、頸部の固定には期待する固定効果が得られない。また、現在広く使用されているエチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡体シートとポリウレタン発泡体の積層体を主材としたコルセットは、未だ着用の快適性は不十分であり、特に春から秋にかけての気温や湿度の高い場合の蒸れ感を解消したものではない、などの課題がある。
【0004】
本考案の目的は、頸部を保護したり、頸部に疾患をもつ患者が治療に使用する頸部固定性を有した頸部用コルセットであって、体の動きに対して違和感が少なく、高い通気透湿性を有して着用時の蒸れ感や不快感を解消した着用性のよいコルセットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は、弾性重合体の不織繊維状集合体、又はその不織繊維状集合体に弾性重合体を含有した不織繊維状集合体を繊維交絡部分・接触部分を主体に接合し、不織繊維状集合体全体が固定されて、そこに形成した無数の不定形微細連通空間を有する三次元構造の弾性シート状物であり、この弾性シート状物は見掛け密度0.19〜0.27g/cmであって、高い圧縮抵抗性と高い通気透湿性の特性を有し、この弾性シート状物を厚さ6〜20mmとして、必要に応じて肌に接する側に厚さ2〜5mmの高い通気透湿性のポリウレタン発泡体シート状物を接合して、頸部に適合する幅と長さに成形し、この成形体を通気透湿性の高い布帛で被覆してなる被覆成形体とし、その両端部を係合固定する機構体を配設したことを特徴とする頸部用コルセットである。
【0006】
また、本考案は、上記の弾性重合体がポリウレタンを主体とした重合体でなる頸部用コルセットである。
【0007】
更に、本考案は、上記の弾性重合体でなる弾性シート状物の通気性が少なくとも9l/dm・hr、透湿性が少なくとも8mg/cm・hrである特性を有する頸部用コルセットである。
【0008】
すなわち、 本考案は、弾性重合体でなる細繊維又は細繊維状繊維を主体とした不織繊維状集合体を、繊維状物の交絡部分や接触部分を熱処理や膨潤剤処理あるいはそれらの処理を組み合わせて行い、不織繊維状集合体の繊維交絡部分・接触部分を主体に接合し、不織繊維状集合体全体が接合密度の高い立体網目構造をとって固定され、そこに形成した無数の不定形微細連通空間を有する三次元構造の弾性シート状物であり、又は不織繊維状集合体に弾性重合体を含有して得た接合構造体に、上記と同様の処理を加えて不織繊維状集合体の繊維交絡部分や接触部分の接合を更に強い接合構造体とし、接合密度の高い立体網目構造体に形成した無数の不定形微細連通空間を有する三次元構造の弾性シート状物である。
【0009】
この弾性シート状物は単位体積当たりの接合点が通常の発泡体に比較して極めて多く、高い圧縮抵抗値を示すばかりではなく、高い通気性と高い透湿性を有するものとなる。この弾性シート状物の通気性は少なくとも9l/dm・hr、透湿性は少なくとも8mg/cm・hrである特性を有する。また、この弾性シート状物は固定処理して得た接合点の量によってその見掛け密度は異なるが、本考案の頸部用コルセットとしての高い圧縮抵抗値と形態安定性を確保し、更に、高い通気透湿性を確保するうえで好ましい見掛け密度は0.19〜0.27g/cm、より好ましい範囲は0.20〜0.25g/cmの範囲のものである。見掛け密度が低くなるにつれい圧縮抵抗性は小さくなり、柔らかなものになる。一方、見掛け密度が高くなるにつれて圧縮抵抗性は高くなるが硬めのゴム板様のものになるので、見掛け密度を適宜調節することで着用者の年齢や身体的特徴に応じて、また使用目的によって好まし硬さの弾性シート状物を選ぶことができる。
【0010】
また、本考案で使用する弾性重合体でなる繊維は、例えば、ポリウレタン系繊維、ナイロン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維などから選ぶことができるし、また混繊して所望する製品を得ることもできるが、好ましくはポリウレタンを主体とした弾性重合体でなる繊維であり、ポリウレタンを構成するソフトセグメント成分とハードセグメント成分の選択と組成比率で硬さ、弾性度、接合性を所望する状態に調節することが容易にできる。この弾性重合体は所望の紡糸法、例えば、メルトブロー法で紡糸して不織布状の繊維集合体とし、加圧処理、熱処理や加圧熱処理、繊維の膨潤剤や溶剤で処理、あるいはウレタン系樹脂液やアクリル系樹脂液、ゴム系樹脂液などを含浸処理するなどの処理を単独あるいは組み合わせて処理することで繊維の交絡部分や接触部分を主体に接合してシート状物全体が固定され、そこには不定形微細連通空間が形成されてシート状物全体が三次元構造体となり、所望する高い圧縮抵抗性の弾性シート状物とすることができる。得られた弾性シート状物の厚さは、コルセットの着用目的や着用者によって異なるが、通常の厚さは6〜20mmの範囲に選ぶ。また、この弾性シート状物を主材とし、必要に応じて肌に接する側に厚さ2〜5mmで高い通気透湿性のポリウレタン発泡体シート状物をクッション材として接合したシート状物としてもよい。
【0011】
この弾性シート状物は着用者の頸部に適合する幅と長さ、例えば、頸部をほぼ一巻きする長さに裁断成形し、この成形体を通気透湿性がよく、着用感や肌触りのよい布帛、例えば、涼感繊維布帛やドライ感覚の繊維布帛、吸湿発熱繊維布帛、消臭繊維布帛などの機能性繊維布帛で被覆し、あるいは通常のニット製品で被覆して被覆成形体とし、その被覆成形体の両端部分を係合固定する機構体、例えば、面ファスナーを被覆成形体の適宜な部位に一方は雄型面ファスナーを、他方に雌型面ファスナーを付けて面ファスナーで係合固定する方法、スライドファスナー又はホックやスナップなどの止め金具で係合固定する方法、などの機構体を付けて頸部用コルセット製品とした。
【0012】
【考案の実施の形態】
次に、本考案の頸部用コルセットを図面及び実施例で説明する。
【0013】
図1は、本考案の頸部用コルセットの一例の模式図でであり、頸部用コルセット(1)は、着用者のサイズに合わせて裁断した弾性シート状物でなる成形体を通気透湿性の布帛で被覆した被覆成形体(2)とし、その両端部近傍の一方に雄型面ファスナー(3)を、他方に雌型面ファスナー(4)を付けて面ファスナーで係合固定する構成の頸部用コルセットである。
【0014】
図2は、本考案の頸部用コルセットの一例の断面構造の模式図であり、図2−1は被覆成形体(2)の断面が弾性シート状物(5)を主材とし、肌に接する側に薄いポリウレタン発泡シート状物(6)を接合した成形体を通気透湿性の布帛(7)で被覆した構成の頸部用コルセットの断面模式図である。図2−2は被覆成形体(2)の断面が弾性シート状物(5)を主材として、その成形体を通気透湿性の布帛(7)で被覆した構成の頸部用コルセットの断面模式図である。
【0015】
図3は、治療用として使用されている頸部用コルセットの一例の断面構造の模式図であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体の微細発泡体シート(8)にポリウレタン発泡シート状物(9)を積層して得た成形体を布帛(10)で被覆した構成の頸部用コルセット(11)の断面模式図である。
【0016】
【実施例1】
ポリウレタン細繊維からなる不織繊維状集合体にバインダーを付与して得たシート状物を熱処理とプレスを組み合わせて処理し、繊維集合体の接合密度の高い立体網目構造を有する弾性シート状物とした。この断面構造体には無数の不定形状の微細連通空間を有しており、その見掛け密度は0.22g/cm、通気度は9.7l/dm・hr、透湿性は10.2mg/cm・hrである。この弾性シート状物を厚さ約12mm、幅8cm、長さ40cmに裁断し、この裁断した弾性シート状物を涼感繊維のニット生地で被覆してコルセット用成形体とした。この成形体は初期の圧縮抵抗が小さいために、体に当ててもほとんど剛直さを感じないが、一寸強く圧したり、曲げたりすると高い圧縮抵抗感を覚え、あたかもゴムシート様である。
【0017】
この被覆成形体の両端部近傍の一方に雄型面ファスナーを、他方に雌型面ファスナーを付けて面ファスナーで係合固定する構成の頸部用コルセットに仕上げて着用した。その結果、首の水平方向の動きには剛さを感ずることがなく容易に動かすことができ、また、前後の小さい動作には柔らかな感じであるが、少し大きく曲げると高い圧縮抵抗感を覚え、十分な固定性を確保したものである。更に、長時間の着用にも蒸れ感を覚えることはなかった。
【0018】
【実施例2】
ポリウレタン細繊維シート状物を加工した接合密度の高い立体網目構造の弾性シート状物〔商品名「POLIYOU」〕を用いた。この弾性シート状物を厚さ10mmにスライスして測定した見掛け密度0.21g/cm、通気度は9.4l/dm・hr、透湿性は9.8mg/cm・hrであった。この弾性シート状物の一面に厚さ約3mmの乾式発泡ポリウレタンシートを接合し、次いで、幅8cm、長さ40cmに裁断し、この裁断成形体をニット生地で被覆してコルセット用成形体とした。このものは初期の圧縮抵抗が小さく、着用した場合にほとんど剛直さを感じないが、強く圧したり、曲げたりすると高い圧縮抵抗感を覚えゴムシート様である。
【0019】
このコルセット用成形体を乾式発泡ポリウレタンシート側を体に接する面として両端部近傍の一方に雄型面ファスナーを、他方に雌型面ファスナーを付けて面ファスナーで係合固定する構成の頸部用コルセットに仕上げて着用した。その結果、首の左右の動きには剛さを感ずることがなく、感触もよく長時間の着用にも蒸れ感を覚えることはなかった。また、頸部固定にも十分に作用し、治療用としても十分に有効なものであった。
【0020】
【考案の効果】
本考案の頸部用コルセットは、全体としては高い圧縮抵抗性を有するが、初期圧縮抵抗性が大きくないため着用時の体の動きが制約される違和感が少なく、通気透湿性が高いために蒸れ感がなく、より快適性を確保することができ、かつ患部固定の目的も十分に果たすことができる製品である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の頸部用コルセットの一例の模式図である。
【図2】本考案の頸部用コルセットの断面構造の模式図である。
【図3】従来の頸部用コルセットの一例の断面構造の模式図である。
【符号の説明】
1  頸部用コルセット
2  被覆成形体
3  雄型面ファスナー
4  雌型面ファスナー
5  弾性シート状物
6  薄いポリウレタン発泡シート状物
7  被覆用布帛
8  微細発泡体シート
9  ポリウレタン発泡シート状物
10  被覆用布帛
11  現使用頸部用コルセット

Claims (3)

  1. 弾性重合体の不織繊維状集合体、又は該不織繊維状集合体に弾性重合体を含有した不織繊維状集合体を繊維交絡部分・接触部分を主体に接合し、不織繊維状集合体全体が固定され、そこに形成した無数の不定形微細連通空間を有する三次元構造の弾性シート状物であり、該弾性シート状物は見掛け密度0.19〜0.27g/cmであって、高い圧縮抵抗性と高い通気透湿性の特性を有し、この弾性シート状物を厚さ6〜20mmとして、必要に応じて肌に接する側に厚さ2〜5mmの高い通気透湿性のポリウレタン発泡体シート状物を接合し、頸部に適合する幅と長さに成形し、該成形体を通気透湿性の高い布帛で被覆してなる被覆成形体とし、その両端部を係合固定する機構体を配設したことを特徴とする頸部用コルセット。
  2. 弾性重合体がポリウレタンを主体とした重合体である請求項1記載の頸部用コルセット。
  3. 通気性が少なくとも9l/dm・hr、透湿性が少なくとも8mg/cm・hrでなる請求項1又は請求項2記載の頸部用コルセット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015522327A (ja) * 2012-06-11 2015-08-06 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 頸部伸展デバイス及び使用方法
JP2015213688A (ja) * 2014-05-13 2015-12-03 パネフリ工業株式会社 頸椎用カラー

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