JP3097442B2 - 自動変速機の変速容量制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速容量制御装置

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JP3097442B2
JP3097442B2 JP5198794A JP5198794A JP3097442B2 JP 3097442 B2 JP3097442 B2 JP 3097442B2 JP 5198794 A JP5198794 A JP 5198794A JP 5198794 A JP5198794 A JP 5198794A JP 3097442 B2 JP3097442 B2 JP 3097442B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の変速に当
たって締結作動されることとなった摩擦要素の変速中に
おける締結容量、つまり自動変速機の変速容量を適切に
制御するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は、遊星歯車変速機構の伝動
経路を決定するクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素
を選択的に油圧作動させて締結することにより、対応す
る変速段を選択し、エンジンからの動力をこの変速段に
対応したギヤ比で変速して出力する。そして、自動変速
機を他の変速段へ変速するに当たっては、締結作動する
摩擦要素を切り換えることにより、当該変速を実行す
る。
【0003】このため、この変速に当たって締結作動さ
れることとなった摩擦要素の締結容量(摩擦要素の作動
圧で決まる)が大き過ぎると、摩擦要素の締結に伴う大
きな変速ショックを生ずる。逆に、上記摩擦要素の締結
容量が小さ過ぎると、該摩擦要素が滑ってこれに伴う自
動変速機の寿命低下を免れない。従って、特に変速中に
おける摩擦要素の締結容量、つまり自動変速機の変速容
量は適切に制御されるを要し、そのために従来例えば特
開平1−169164号公報に記載の如く、自動変速機
の全ての元圧であるライン圧(これによって摩擦要素の
締結容量、つまり自動変速機の変速容量が変化する)を
以下のように制御する技術が提案された。
【0004】即ち、上記遊星歯車変速機構の入出力回転
数比で表される実効ギヤ比が、変速前値から変速後値に
向け変化している時間、つまりイナーシャフェーズ時間
を計測し、このイナーシャフェーズ時間が変速ショック
対策上の最適値になるよう変速中のライン圧を一律に学
習制御するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来の変速容量
制御装置では何れにしても、変速中におけるライン圧を
一律に制御するというに過ぎないため、以下の問題を生
じていた。つまり、同じ変速期間中でも自動変速機変速
容量の好適な制御態様は、変速の進行につれて様々に異
なり、例えば変速指令から摩擦要素が締結を開始するま
での変速応答遅れ中と、その後のトルクフェーズ開始か
らトルクフェーズ終了までのトルクフェーズ中と、その
後の変速機入出力回転数比で表される実効ギヤ比が変速
前値から変速後値に向け変化しているイナーシャフェー
ズ中とで、変速容量を個別に制御するのが、変速ショッ
ク対策には最も良い。それにもかかわらず従来の変速容
量制御のように、変速中全般に亘ってライン圧を一律に
制御するというのでは十分な変速ショックの軽減を期し
がたいといった問題を生ずる。
【0006】本発明は、かかる従来装置の問題に鑑み、
変速進行状況を複数に区切って、区切られた変速進行区
分毎に、変速容量を個別に制御することを骨子とする
が、合わせて、これら変速進行区分に変速ショック上の
優先順位を設定して、高位の変速進行区分から順に変速
容量を最適値に持ち来すようにすることで、変速ショッ
クを最も効率的に、そして短期間のうちに軽減可能にす
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的のため、第1発
明による自動変速機の変速容量制御装置は、図1にその
概念を示す如く、複数の摩擦要素を選択的に締結させる
ことにより投入変速段を決定され、変速指令に応答して
前記摩擦要素の締結切り換えを行うことにより他の変速
段への変速を行うようにした自動変速機において、前記
変速の進行状況を、前記変速指令からトルクフェーズ開
始までの変速応答遅れ中と、トルクフェーズ開始からト
ルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのトル
クフェーズ中と、イナーシャフェーズ開始からイナーシ
ャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中とに区切っ
て、これら区切られた3個の変速進行区分のうち、選択
された2つ以上の変速進行区分の開始から終了までにお
ける所要時間を個々に計測する変速進行区分所要時間計
測手段と、該手段により計測された変速進行区分の所要
時間が、前記3個の変速進行区分毎に定められた、対応
する目標時間に対して長いか、短いかを比較する比較手
段と、該手段による比較結果に応答し、前記変速に際し
て締結されることとなった摩擦要素の締結容量を、前記
選択された変速進行区分の所要時間が、変速ショックに
大きく関与する変速進行区分の優先順位に従って順次、
前記対応する目標時間に収束するよう、該順次の変速進
行区分の期間中において加減する締結容量加減手段とを
設けたことを特徴とするものである。
【0008】第2発明の変速容量制御装置は、上記摩擦
要素の締結容量制御に際し、自動変速機の全ての摩擦要
素の締結を司どるライン圧を加減して、これを行うよう
構成したことを特徴とするものである。
【0009】第3発明の変速容量制御装置は、上記摩擦
要素の締結容量制御に際し、上記摩擦要素の締結を司ど
る作動圧を直接加減して、これを行うよう構成したこと
を特徴とするものである。
【0010】第4発明の変速容量制御装置は、第1発明
乃至第3発明のいずれか1発明における上記変速進行区
分所要時間計測手段が、上記変速指令からトルクフェー
ズ開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅れ時間
と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終了、イナ
ーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中におけるト
ルクフェーズ時間と、イナーシャフェーズ開始からイナ
ーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中におけ
るイナーシャフェーズ時間との、3個の全ての変速進行
区分の所要時間を個々に計測するよう構成したことを特
徴とするものである。
【0011】第5発明の変速容量制御装置は、上記第4
発明におけるトルクフェーズ開始と、トルクフェーズ終
了およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェー
ズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速前後の
変速機出力トルク算出値との比較によって判定すること
を特徴とするものである。
【0012】第6発明の変速容量制御装置では、上記第
4または第5発明において、前記締結容量加減手段は、
先ずイナーシャフェーズ中における前記摩擦要素の締結
容量を、イナーシャフェーズ時間が目標のイナーシャフ
ェーズ時間に収束するよう加減し、次いでトルクフェー
ズ中における前記摩擦要素の締結容量を、トルクフェー
ズ時間が目標のトルクフェーズ時間に収束するよう加減
し、最後に変速応答遅れ中における前記摩擦要素の締結
容量を、変速応答遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に
収束するよう加減する構成にしたことを特徴とするもの
である。
【0013】第7発明の変速容量制御装置は、第1発明
乃至第3発明のいずれか1発明における前記変速進行区
分所要時間計測手段が、前記3個の変速進行区分のうち
先に発生する2個の変速進行区分の所要時間の合計値で
ある、前記変速指令からトルクフェーズ開始までの変速
応答遅れ中における変速応答遅れ時間と、トルクフェー
ズ開始からトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開
始までのトルクフェーズ中におけるトルクフェーズ時間
との合計時間を計測すると共に、前記イナーシャフェー
ズ開始からイナーシャフェーズ終了までのイナーシャフ
ェーズ中におけるイナーシャフェーズ時間を計測するよ
う構成したことを特徴とするものである。
【0014】第8発明の変速容量制御装置は、上記第7
発明における上記トルクフェーズ終了およびイナーシャ
フェーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変
速機入出力回転数比で表される変速機の実効ギヤ比によ
って判定することを特徴とするものである。
【0015】第9発明の変速容量制御装置は、上記第7
発明における上記トルクフェーズ終了およびイナーシャ
フェーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変
速機出力トルク検出値と変速前後の変速機出力トルク算
出値との比較によって判定することを特徴とするもので
ある。
【0016】第10発明の変速容量制御装置では、上記
第7発明乃至第9発明のいずれか1発明において、前記
締結容量加減手段は、先ずイナーシャフェーズ中におけ
る前記摩擦要素の締結容量を、イナーシャフェーズ時間
が目標のイナーシャフェーズ時間に収束するよう加減
し、次いで変速応答遅れ中およびトルクフェーズ中にお
ける前記摩擦要素の締結容量を、前記合計時間が目標の
合計時間に収束するよう加減する構成にしたことを特徴
とするものである。
【0017】第11発明の容量制御装置は、第1発明乃
至第3発明のいずれか1発明における前記変速進行区分
所要時間計測手段が、前記変速指令からトルクフェーズ
開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅れ時間
と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終了、イナ
ーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中におけるト
ルクフェーズ時間、およびイナーシャフェーズ開始から
イナーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中に
おけるイナーシャフェーズ時間の合計時間とを個々に計
測するよう構成したことを特徴とするものである。
【0018】第12発明の変速容量制御装置は、上記第
11発明における上記トルクフェーズ開始と、イナーシ
ャフェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変
速前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定
することを特徴とするものである。
【0019】第13発明の変速容量制御装置では、上記
第11または第12発明において、前記締結容量加減手
段は、先ずトルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ
中における前記摩擦要素の締結容量を、前記合計時間が
目標の合計時間に収束するよう加減し、次いで変速応答
遅れ中における前記摩擦要素の締結容量を、変速応答遅
れ時間が目標の変速応答遅れ時間に収束するよう加減す
る構成にしたことを特徴とするものである。
【0020】第14発明の容量制御装置は、第1発明乃
至第3発明のいずれか1発明における前記変速進行区分
所要時間計測手段が、前記変速指令からトルクフェーズ
開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅れ時間
と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終了、イナ
ーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中におけるト
ルクフェーズ時間とを個々に計測するよう構成したこと
を特徴とするものである。
【0021】第15発明の変速容量制御装置は、上記第
14発明における上記トルクフェーズ開始と、トルクフ
ェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速前
後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定する
ことを特徴とするものである。
【0022】第16発明の変速容量制御装置では、上記
第14または第15発明において、前記締結容量加減手
段は、先ずトルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ
中のうち少なくともトルクフェーズ中における前記摩擦
要素の締結容量を、前記トルクフェーズ時間が目標のト
ルクフェーズ時間に収束するよう加減し、次いで変速応
答遅れ中における前記摩擦要素の締結容量を、変速応答
遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に収束するよう加減
する構成にしたことを特徴とするものである。
【0023】第17発明の容量制御装置は、第1発明乃
至第3発明のいずれか1発明における前記変速進行区分
所要時間計測手段が、前記変速指令から変速応答遅れ後
におけるトルクフェーズ開始よりトルクフェーズ終了、
イナーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中におけ
るトルクフェーズ時間と、イナーシャフェーズ開始から
イナーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中に
おけるイナーシャフェーズ時間とを個々に計測するよう
構成したことを特徴とするものである。
【0024】第18発明の変速容量制御装置は、上記第
17発明における上記トルクフェーズ開始と、トルクフ
ェーズ終了およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシ
ャフェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変
速前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定
することを特徴とするものである。
【0025】第19発明の変速容量制御装置では、上記
第17または第18発明において、前記締結容量加減手
段は、先ずイナーシャフェーズ中における前記摩擦要素
の締結容量を、イナーシャフェーズ時間が目標のイナー
シャフェーズ時間に収束するよう加減し、次いで変速応
答遅れ中およびトルクフェーズ中のうち少なくともトル
クフェーズ中における前記摩擦要素の締結容量を、トル
クフェーズ時間が目標のトルクフェーズ時間に収束する
よう加減する構成にしたことを特徴とするものである。
【0026】
【作用】第1発明において自動変速機は、複数の摩擦要
素を選択的に締結させることにより投入変速段を決定さ
れ、変速指令に応答して摩擦要素の締結を切り換えるこ
とにより他の変速段への変速を行い、投入変速段に応じ
たギヤ比で動力を伝達する。
【0027】ここで変速進行区分所要時間計測手段は、
上記変速の進行状況を、上記変速指令からトルクフェー
ズ開始までの変速応答遅れ中と、トルクフェーズ開始か
らトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までの
トルクフェーズ中と、イナーシャフェーズ開始からイナ
ーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中とに区
切って、これら区切られた3個の変速進行区分のうち、
選択された2つ以上の変速進行区分の開始から終了まで
における所要時間を個々に計測する。そして比較手段
は、上記変速進行区分所要時間計測手段により計測され
た変速進行区分の所要時間が、上記3個の変速進行区分
毎に定められた、対応する目標時間に対して長いか、短
いかを比較する。次に締結容量加減手段は、上記比較手
段による比較結果に応答し、前記変速に際して締結され
ることとなった摩擦要素の締結容量を、前記選択された
変速進行区分の所要時間が、変速ショックに大きく関与
する優先順位に従って順次、前記対応する目標時間に収
束するよう、該順次の変速進行区分毎に加減する。
【0028】よって、変速に際して締結されることとな
った摩擦要素の締結容量が、変速応答遅れ中、トルクフ
ェーズ中、およびイナーシャフェーズ中のうち選択され
た2つ以上の変速進行区分ごとに、しかも変速ショック
に大きく関与する優先順位に従って適切に制御されるこ
ととなり、選択された2つ以上の変速進行区分で確実に
変速ショックを軽減し得ると共に、変速ショックを効率
的に、そして短期間のうちに軽減することができ、的確
な変速ショック軽減効果を達成することが可能となる。
【0029】なお、上記締結容量の制御に当たっては第
2発明のように、自動変速機の全ての摩擦要素の締結を
司るライン圧を加減して、当該制御を行うことができ、
この方式が最も実際的であり、採用し易い。
【0030】また、上記締結容量の制御に当たっては第
3発明のように、変速に際して締結作動されることとな
った摩擦要素の作動圧を直接加減して、当該制御を行う
こともできる。この場合、制御系が煩雑になるものの、
締結作動中の摩擦要素に対する影響をなくすことがで
き、その点で有利となる。
【0031】第4発明の変速容量制御装置においては、
上記第1発明乃至第3発明のいづれか1発明における上
記変速進行区分所要時間計測手段が、変速指令からトル
クフェーズ開始までの変速応答遅れ中における変速応答
遅れ時間と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終
了、イナーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中に
おけるトルクフェーズ時間と、イナーシャフェーズ開始
からイナーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ
中におけるイナーシャフェーズ時間との、3個の全ての
変速進行区分の所要時間を個々に計測する。
【0032】この場合、3個に区切った全ての変速進行
区分の所要時間、つまり変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間と、イナーシャフェーズ時間との全てが個々
に、変速ショックに大きく関与する優先順に、対応する
変速進行区分の目標時間となるよう、変速進行区分毎に
変速容量を制御することとなって、現段階で考えられる
最もきめ細かな変速容量制御が可能となり、前記の作用
効果を一層確実なものにすることができる。
【0033】第5発明においては、上記第4発明におけ
るトルクフェーズ開始と、トルクフェーズ終了およびイ
ナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを
夫々、変速機出力トルク検出値と変速前後の変速機出力
トルク算出値との比較によって判定する。かかる判定方
式は、判定結果を正確なものにし、上記の変速応答遅れ
時間、トルクフェーズ時間、イナーシャフェーズ時間の
計測が正確になり、ひいては第4発明の上記作用効果を
更に確実にし得る。
【0034】第6発明においては、上記第4または第5
発明において、前記締結容量加減手段は、先ずイナーシ
ャフェーズ中における前記摩擦要素の締結容量を、イナ
ーシャフェーズ時間が目標のイナーシャフェーズ時間に
収束するよう加減し、次いでトルクフェーズ中における
前記摩擦要素の締結容量を、トルクフェーズ時間が目標
のトルクフェーズ時間に収束するよう加減し、最後に変
速応答遅れ中における前記摩擦要素の締結容量を、変速
応答遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に収束するよう
加減する。
【0035】この場合、変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間と、イナーシャフェーズ時間とが個々に目標
時間となるよう、摩擦要素の締結容量を制御するに際
し、それぞれに対応する変速応答遅れ中の締結容量と、
トルクフェーズ中の締結容量と、イナーシャフェーズ中
の締結容量とを個別に制御することとなり、しかも変速
ショックに大きく関与するイナーシャフェーズ時間、ト
ルクフェーズ時間、変速応答遅れの順にこれらが目標時
間となるよう当該容量制御を行うこととなって、変速シ
ョックを全ての変速進行区分で確実に軽減し得ると共
に、最も効率的に、そして短期間のうちに軽減するとい
う前記の作用効果を完璧に達成することができる。
【0036】なお第7発明では、第1発明乃至第3発明
のいずれか1発明における前記変速進行区分所要時間計
測手段が、前記3個の変速進行区分のうち先に発生する
2個の変速進行区分の所要時間の合計値である、前記変
速指令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ中に
おける変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ開始からト
ルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのトル
クフェーズ中におけるトルクフェーズ時間との合計時間
を計測すると共に、前記イナーシャフェーズ開始からイ
ナーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中にお
けるイナーシャフェーズ時間を計測する。
【0037】この場合、3個に区切った変速進行区分の
うち先に発生する2個の変速進行区分の所要時間の合計
値である変速応答遅れ時間およびトルクフェーズ時間の
合計時間と、イナーシャフェーズ時間とが個々に、変速
ショックに大きく関与する優先順に、対応する目標時間
となるよう、変速容量を制御することとなって、第4発
明乃至第6発明ほどのきめ細かな変速容量制御は得られ
ないものの、これに近い作用効果を一層簡易な制御で実
現することができる。
【0038】第8発明の変速容量制御装置では、上記第
7発明におけるトルクフェーズ終了およびイナーシャフ
ェーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変速
機入出力回転数比で表される変速機の実効ギヤ比によっ
て判定する。かかる判定方式は、判定結果を正確なもの
にして、上記の合計時間、およびイナーシャフェーズ時
間を正確に計測できる他、変速機入出力伝動比が既存の
回転センサ出力を用いて算出され得るために経済的でも
ある。
【0039】第9発明の変速容量制御装置では、上記第
7発明におけるトルクフェーズ終了およびイナーシャフ
ェーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変速
機出力トルク検出値と変速前後の変速機出力トルク算出
値との比較によって判定する。この判定方式も、上記の
合計時間、およびイナーシャフェーズ時間の計測が正確
になり、ひいては第7発明の上記作用効果を更に確実に
し得る。
【0040】第10発明においては、上記第7発明乃至
第9発明のいずれか1発明において、前記締結容量加減
手段は、先ずイナーシャフェーズ中における前記摩擦要
素の締結容量を、イナーシャフェーズ時間が目標のイナ
ーシャフェーズ時間に収束するよう加減し、次いで変速
応答遅れ中およびトルクフェーズ中における前記摩擦要
素の締結容量を、前記合計時間が目標の合計時間に収束
するよう加減する。
【0041】この場合、変速応答遅れ時間およびトルク
フェーズ時間の合計時間と、イナーシャフェーズ時間と
が個々に目標時間となるよう、摩擦要素の締結容量を制
御するに際し、それぞれに対応する変速応答遅れ中およ
びトルクフェーズ中の締結容量と、イナーシャフェーズ
中の締結容量とを個別に制御することとなり、しかも変
速ショックに大きく関与するイナーシャフェーズ時間、
変速応答遅れ時間およびトルクフェーズ時間の合計時間
の順にこれらが目標時間となるよう当該容量制御を行う
こととなってなって、変速ショックを全ての変速進行区
分で確実に軽減すると共に、変速ショックを効率的に、
そして短期間のうちに軽減するという作用効果を比較的
簡易な制御で達成することができる。
【0042】第11発明では、第1発明乃至第3発明の
いずれか1発明における前記変速進行区分所要時間計測
手段が、前記変速指令からトルクフェーズ開始までの変
速応答遅れ中における変速応答遅れ時間と、トルクフェ
ーズ開始からトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ
開始までのトルクフェーズ中におけるトルクフェーズ時
間、およびイナーシャフェーズ開始からイナーシャフェ
ーズ終了までのイナーシャフェーズ中におけるイナーシ
ャフェーズ時間の合計時間とを個々に計測する。
【0043】この場合、変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間と
が、個々に目標時間となるよう、変速容量を制御するこ
ととなって、第4発明乃至第6発明ほどのきめ細かな変
速容量制御は得られないものの、これに近い作用効果を
簡易な制御で実現することができる。
【0044】第12発明の変速容量制御装置では、上記
第11発明における上記トルクフェーズ開始と、イナー
シャフェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と
変速前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判
定する。かかる判定方式は、判定結果を正確なものに
し、上記の変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ時間お
よびイナーシャフェーズ時間の合計時間の計測が正確に
なり、ひいては第11発明の上記作用効果を更に確実に
し得る。
【0045】第13発明においては、上記第11または
第12発明において、前記締結容量加減手段は、先ずト
ルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中における前
記摩擦要素の締結容量を、前記合計時間が目標の合計時
間に収束するよう加減し、次いで変速応答遅れ中におけ
る前記摩擦要素の締結容量を、変速応答遅れ時間が目標
の変速応答遅れ時間に収束するよう加減する。
【0046】この場合、変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間と
が個々に目標時間となるよう、摩擦要素の締結容量を制
御するに際し、それぞれに対応する変速応答遅れ中の締
結容量と、トルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ
中の締結容量とを個別に制御することとなり、しかも変
速ショックに大きく関与するイナーシャフェーズ時間お
よびトルクフェーズ時間の合計時間、変速応答遅れ時間
の順に目標時間となるよう当該容量制御を行うこととな
ってなって、変速ショックを全ての変速進行区分で確実
に軽減すると共に、変速ショックを効率的に、そして短
期間のうちに軽減するという作用効果を比較的簡易な制
御で達成することができる。
【0047】第14発明では、第1発明乃至第3発明の
いずれか1発明における前記変速進行区分所要時間計測
手段が、前記変速指令からトルクフェーズ開始までの変
速応答遅れ中における変速応答遅れ時間と、トルクフェ
ーズ開始からトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ
開始までのトルクフェーズ中におけるトルクフェーズ時
間とを個々に計測する。
【0048】この場合、変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間とが、個々に目標時間となるよう、変速容量
を制御することとなって、第4発明乃至第6発明ほどの
きめ細かな変速容量制御は得られないものの、これに近
い作用効果を簡易な制御で実現することができる。
【0049】第15発明の変速容量制御装置では、上記
第14発明における上記トルクフェーズ開始と、トルク
フェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速
前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定す
る。かかる判定方式は、判定結果を正確なものにし、上
記の変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ時間の計測が
正確になり、ひいては第14発明の上記作用効果を更に
確実にし得る。
【0050】第16発明においては、上記第14または
第15発明において、前記締結容量加減手段は、先ずト
ルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中のうち少な
くともトルクフェーズ中における前記摩擦要素の締結容
量を、前記トルクフェーズ時間が目標のトルクフェーズ
時間に収束するよう加減し、次いで変速応答遅れ中にお
ける前記摩擦要素の締結容量を、変速応答遅れ時間が目
標の変速応答遅れ時間に収束するよう加減する。
【0051】この場合、変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間とが、個々に目標時間となるよう、摩擦要素
の締結容量を制御するに際し、それぞれに対応する変速
応答遅れ中の締結容量と、トルクフェーズ中の締結容量
とを個別に制御することとなり、しかも変速ショックに
大きく関与するトルクフェーズ時間、変速応答遅れ時間
の順に目標時間となるよう当該容量制御を行うこととな
ってなって、変速ショックを全ての変速進行区分で確実
に軽減し得ると共に、変速ショックを効率的に、そして
短期間のうちに軽減するという作用効果を、イナーシャ
フェーズ時間の計測なしに、比較的簡易な制御で達成す
ることができる。
【0052】第17発明では、第1発明乃至第3発明の
いずれか1発明における前記変速進行区分所要時間計測
手段が、前記変速指令から変速応答遅れ後におけるトル
クフェーズ開始よりトルクフェーズ終了、イナーシャフ
ェーズ開始までのトルクフェーズ中におけるトルクフェ
ーズ時間と、イナーシャフェーズ開始からイナーシャフ
ェーズ終了までのイナーシャフェーズ中におけるイナー
シャフェーズ時間とを個々に計測する。
【0053】この場合、トルクフェーズ時間と、イナー
シャフェーズ時間とが、個々に目標時間となるよう、変
速容量を制御することとなって、第4発明乃至第6発明
ほどのきめ細かな変速容量制御は得られないものの、こ
れに近い作用効果を簡易な制御で実現することができ
る。
【0054】第18発明の変速容量制御装置では、上記
第17発明における上記トルクフェーズ開始と、トルク
フェーズ終了およびイナーシャフェーズ開始と、イナー
シャフェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と
変速前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判
定する。かかる判定方式は、判定結果を正確なものに
し、上記のトルクフェーズ時間と、イナーシャフェーズ
時間の計測を正確になし、ひいては第17発明の上記作
用効果を更に確実にし得る。
【0055】第19発明においては、上記第17または
第18発明において、前記締結容量加減手段は、先ずイ
ナーシャフェーズ中における前記摩擦要素の締結容量
を、イナーシャフェーズ時間が目標のイナーシャフェー
ズ時間に収束するよう加減し、次いで変速応答遅れ中お
よびトルクフェーズ中のうち少なくともトルクフェーズ
中における前記摩擦要素の締結容量を、トルクフェーズ
時間が目標のトルクフェーズ時間に収束するよう加減す
る。
【0056】この場合、トルクフェーズ時間と、イナー
シャフェーズ時間とが、目標時間となるよう、摩擦要素
の締結容量を制御するに際し、それぞれに対応するトル
クフェーズ中の締結容量と、インナーシャフェーズ中の
締結容量とを個別に制御することとなり、しかも変速シ
ョックに大きく関与するイナーシャフェーズ時間、トル
クフェーズ時間の順に目標時間となるよう当該容量制御
を行うこととなってなって、変速ショックを全ての変速
進行区分で確実に軽減し得ると共に、変速ショックを効
率的に、そして短期間のうちに軽減するという作用効果
を、変速応答遅れ時間の計測なしに、比較的簡易な制御
で達成することができる。
【0057】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図2は、本発明変速容量制御装置の一実施例
を示す、車両のパワートレーンで、このパワートレーン
をエンジン1と、トルクコンバータ2と、自動変速機3
とのタンデム結合により構成する。自動変速機3は、コ
ントロールバルブ4を具え、このコントロールバルブは
変速制御弁等の各種弁や、これら弁間を連絡する油圧回
路の他に、複数のソレノイドを内蔵し、該ソレノイドの
デューティ制御や、ON、OFF制御により、自動変速
機3を摩擦要素の選択的締結作動を介し所定通りに変速
制御したり、該変速制御の元圧であって摩擦要素の締結
を司るライン圧を制御するものとする。
【0058】該変速制御を行うために、コントロールバ
ルブ4の各ソレノイドはコントローラ5によりデューテ
ィ制御またはON,OFF制御し、これがため、また本
発明が狙いとする変速容量制御のため、コントローラ5
には、エンジン1のスロットル開度Thを検出するスロ
ットルセンサ6からの信号、エンジン1の出力回転数N
eを検出するエンジン回転センサ7からの信号、自動変
速機3の出力トルクToを検出する変速機出力トルクセ
ンサ8からの信号、自動変速機3の出力回転数Noを検
出する変速機出力回転センサ9からの信号、トルクコン
バータ2のタービン回転数、つまり自動変速機3の入力
回転数Ntを検出するタービン回転センサ10からの信
号、および自動変速機3の作動油温Cを検出する油温セ
ンサ11からの信号を夫々入力する。
【0059】コントローラ5はこれら入力情報に基づく
演算結果から、変速制御については以下の通りにこれを
行う。つまり、変速機出力回転数Noから車速Vを演算
し、これと、スロットル開度Thとから、図13のテー
ブルデータを基に、第1速乃至第4速のうち、現在の運
転状態に好適な変速段を求める。そして、この好適変速
段が得られるようコントロールバルブ4のシフトソレノ
イドを選択的にONし、自動変速機3を現在の選択変速
段から好適変速段に変速させる。
【0060】コントローラ5は更に、かかる現在の選択
変速段から好適変速段への変速に当たり、図3の機能ブ
ロック図に示す作用を行って、コントロールバルブ4内
におけるライン圧ソレノイドのデューティ制御を介して
自動変速機3のライン圧を調圧し、これにより摩擦要素
の締結容量、つまり自動変速機の変速容量を、本発明が
狙った通りに制御するものとする。
【0061】図3により、変速容量(ライン圧)制御を
概略説明するに、検出部21は変速中におけるトルクフ
ェーズの開始(摩擦要素の締結開始)を検出し、検出部
22は変速中におけるトルクフェーズの終了(変速機入
出力回転数の比Nt/Noで表される実効ギヤ比が変速
前ギヤ比から変速後ギヤ比へと移行を開始するイナーシ
ャフェーズの開始でもある)を検出し、検出部23は変
速中におけるイナーシャフェーズの終了を検出する。ま
た、検出部24は上記変速を指令する変速指令38か
ら、トルクフェーズの開始検出時までの間における変速
応答遅れ時間を検出し、検出部25はトルクフェーズ開
始検出時からトルクフェーズ終了検出時までの間におけ
るトルクフェーズ時間を検出し、検出部26はトルクフ
ェーズ終了検出時(イナーシャフェーズ開始検出時)か
らイナーシャフェーズ終了検出時までの間におけるイナ
ーシャフェーズ時間を検出する。
【0062】算出部27は、車両の運転状態に応じた目
標変速応答遅れ時間を算出し、この目標変速応答遅れ時
間は変速ショック対策上最も好適な時間として、予め実
験等により設定する。また算出部28は、車両の運転状
態に応じた目標トルクフェーズ時間を算出し、この目標
トルクフェーズ時間は変速ショック対策上最も好適な時
間として、予め実験等により設定する。更に算出部29
は、車両の運転状態に応じた目標イナーシャフェーズ時
間を算出し、この目標イナーシャフェーズ時間は変速シ
ョック対策上最も好適な時間として、予め実験等により
設定する。
【0063】比較部30〜32は夫々、変速応答遅れ時
間、トルクフェーズ時間、イナーシャフェーズ時間が、
個々の目標時間に対して長いか、短いかを比較し、比較
結果をライン圧判定部33に入力する。この判定部33
は当該比較結果から、変速応答遅れ中、トルクフェーズ
中、イナーシャフェーズ中毎に、ライン圧が低過ぎた
か、高過ぎたかを判定し、ライン圧補正部34は当該判
定結果に基づき、変速応答遅れ中、トルクフェーズ中、
イナーシャフェーズ中毎に、ライン圧を過不足が解消さ
れる方向に学習制御する。
【0064】そしてライン圧制御部37は、次の同種お
よび同負荷での変速に際し、変速応答遅れ中のライン
圧、トルクフェーズ中のライン圧、イナーシャフェーズ
中のライン圧を、上記の学習制御された値となす。これ
により、変速応答遅れ時間、トルクフェーズ時間、イナ
ーシャフェーズ時間が、個々の目標時間に収束するよ
う、変速応答遅れ中のライン圧、トルクフェーズ中のラ
イン圧、イナーシャフェーズ中のライン圧が、個々に制
御されることとなり、変速期間中の全般に亘って変速シ
ョックの軽減を実現することができる。
【0065】ところでライン圧制御部37は上記の制御
に際し、先ずイナーシャフェーズ時間が目標時間に収束
するようイナーシャフェーズ中のライン圧を学習制御
し、これが達成された状態で、次にトルクフェーズ時間
が目標時間に収束するようトルクフェーズ中のライン圧
を学習制御し、これら両者が達成された状態で、最後に
変速応答遅れ時間が目標時間に収束するよう変速応答遅
れ中のライン圧を学習制御する。かように優先順位を設
定した理由は、変速ショックの原因となる変速機出力ト
ルク変動がトルクフェーズ中と、イナーシャフェーズ中
に発生し、しかもイナーシャフェーズ中のトルク変動が
最も大きく変速ショックに関与し、トルクフェーズ中の
トルク変動が次に大きく変速ショックに関与するためで
ある。なお、変速応答遅れ時間は変速ショックに殆ど関
与しないが、かと言ってこれが短か過ぎると、トルクフ
ェーズ開始時にショックを発生することから、優先順位
が最下位ながら、変速応答遅れ時間にも目標時間を設定
して、変速応答遅れ時間も目標時間に収束させることと
した。かかる優先順位に従って、先ずイナーシャフェー
ズ中のライン圧学習制御を実行し、次いでトルクフェー
ズ中のライン圧学習制御を実行し、最後に変速応答遅れ
中のライン圧学習制御を実行する場合、変速ショックを
最も効率的に、しかも短時間のうちに軽減することがで
きる。
【0066】上記のライン圧制御を行うに際しコントロ
ーラ5は実際上、図4乃至図11の制御プログラムを実
行して、本発明が狙いとする当該ライン圧制御を行う。
図4は、例えばΔT=10msec毎の定時割り込みに
よって実行されるメインルーチン、図5乃至図11はそ
れぞれ、該メインルーチン内におけるステップの詳細を
示すサブルーチンで、これらの処理を以下に詳述する。
【0067】図4においては、先ずステップ41でエン
ジン出力回転数Ne、変速機入力回転数Nt、変速機出
力回転数No、エンジンスロットル開度Th、変速機出
力トルクTo、および変速機作動油温Cを夫々読み込
む。次いで、ステップ42において変速判定を行うが、
この判定は図5に示す如きものとする。
【0068】図5のステップ61では、上記変速制御と
同じようにして変速機出力回転数Noから車速Vを演算
し、これと、エンジンスロットル開度Thとから、図1
3のテーブルデータから好適ギヤ位置(好適変速段)N
ext・Gpを求める。そして、ステップ62では、こ
の好適ギヤ位置Next・Gpと、現在選択中のギヤ位
置(選択変速段)Cur・Gpとが、不一致か、否かに
より、変速が行われるか、否かを判定する。変速が行わ
れる場合、ステップ63で、変速中を示すフラグf・s
hiftを1にセットし、変速開始1回目を示すフラグ
f・initを0にリセットし、当該変速開始(変速指
令)からの経過時間、つまり変速中の経過時間を計測す
るタイマTimerを0にリセットする。更にステップ
64において、当該変速開始時の作動油温C(ST)に
作動油温読み込み値Cをセットすると共に、変速開始時
のスロットル開度Th(ST)にスロットル開度読み込
み値Thをセットする。なお、フラグf・shift
は、変速中1にされ、変速後の定常状態で0にされるも
のとし、フラグf・initは、変速開始1回目のみ0
にされ、それ以外で1にされているものとする。ところ
で、ステップ62において、変速が行われないと判別す
る場合、ステップ63,64をスキップし、これらステ
ップ63,64は上記の変速判定の結果、変速指令が発
せられる時、1回のみ処理されることとなる。
【0069】図4における次のステップ43では、フラ
グf・shiftから変速中か、非変速中かを判定し、
変速中である限り制御をステップ44〜51に進める。
ステップ44では、上記タイマTimerを歩進させて
変速中の経過時間を計測し、ステップ45では、図6の
処理によりトルク比を演算する。
【0070】図6においては、先ずステップ71で、自
動変速機の変速前における変速機出力トルクTo1を以
下の計算により推定する。即ち、変速機出力回転数No
と、変速前ギヤ比とから、両者の乗算により、変速前に
おけるトルクコンバータ2の出力回転数(変速前タービ
ン回転数)Nt1を算出し、次いでこれと、エンジン出
力回転数Ne(トルクコンバータ入力回転数)との比か
ら、トルクコンバータ2の速度比を求める。そして、こ
の速度比からトルクコンバータ2の固有特性を基に、ト
ルクコンバータ2のトルク容量係数およびトルク比を求
め、最後に、変速前トルクコンバータ出力トルク(変速
前タービントルク)Tt1=トルク容量係数×トルク比
×Ne2 の演算により、変速前タービントルクTt1を
算出する。かようにして求めた変速前タービントルクT
t1に、変速前ギヤ比を掛けることにより、最終的に変
速前における変速機出力トルクTo1を計算して推定す
ることができる。
【0071】図6における次のステップ72では、自動
変速機の変速後における変速機出力トルクTo2を以下
の計算により推定する。即ち、変速機出力回転数No
と、変速後ギヤ比とから、両者の乗算により、変速後に
おけるトルクコンバータ2の出力回転数(変速後タービ
ン回転数)Nt2を算出し、次いでこれと、エンジン出
力回転数Ne(トルクコンバータ入力回転数)との比か
ら、トルクコンバータ2の速度比を求める。そして、こ
の速度比からトルクコンバータ2の固有特性を基に、ト
ルクコンバータ2のトルク容量係数およびトルク比を求
め、最後に、変速後トルクコンバータ出力トルク(変速
後タービントルク)Tt2=トルク容量係数×トルク比
×Ne2 の演算により、変速後タービントルクTt2を
算出する。かようにして求めた変速後タービントルクT
t2に、変速後ギヤ比を掛けることにより、最終的に変
速後における変速機出力トルクTo2を計算して推定す
ることができる。
【0072】図6のステップ73では、図3におけるト
ルクセンサ8で検出した変速機出力トルクToに対す
る、上記変速前変速機出力トルク推定値To1の比、つ
まり第1トルク比T1=To1/Toを算出する。ちな
みに、トルクセンサ8は例えば図12のような出力特性
をもつもので、該トルクセンサの出力から変速機出力ト
ルクToを検出することができる。次のステップ74で
は、変速機出力トルク検出値Toに対する、上記変速後
変速機出力トルク推定値To2の比、つまり第2トルク
比T2=To2/Toを算出し、その後、制御は図6か
ら図4のステップ46に戻る。
【0073】図4のステップ46では、フラグf・in
itから、変速開始1回目か否かをチェックし、変速開
始1回目なら、ステップ47,48,49でフラグf・
initを1にセットすると共に、変速進行状態検出フ
ラグf・tctを0にリセットし、更に変速指令からト
ルクフェーズ開始までの変速応答遅れ時間を計測するタ
イマTimer1、変速指令からトルクフェーズ終了ま
での時間を計測するタイマTimer2、および変速指
令からイナーシャフェーズ終了までの時間を計測するタ
イマTimer3を全て0にリセットする。上記のステ
ップ47でフラグf・initが1にセットされること
により、以後ステップ46はステップ47〜49をスキ
ップすることとなり、これらステップでの処理は変速開
始時に1回のみなされる。また、変速進行状態検出フラ
グf・tctは、変速中のトルクフェーズ開始時0から
1にされ、トルクフェーズ終了、従ってイナーシャフェ
ーズ開始時2にされ、イナーシャフェーズ終了時3にさ
れるものとし、以上のことから、上記のf・tct=0
は変速指令からトルクフェーズ開始前迄の間であること
を示す。
【0074】次のステップ50では図7の処理により、
前記の如くに求めたトルク比の判定によって変速進行状
態を検出する。図7のステップ81〜83では、フラグ
f・tctから前回の変速進行状態を判別し、上述した
処から明らかなように、このフラグが0なら、変速指令
からトルクフェーズ開始前までの変速応答遅れ中であっ
たことになり、1なら、トルクフェーズが開始された後
のトルクフェーズ中であったことを示し、2なら、トル
クフェーズが終了してイナーシャフェーズが開始された
後のイナーシャフェーズ中であったことを示し、3な
ら、イナーシャフェーズが終了して変速指令前までの間
であったことを示す。
【0075】ステップ81で、トルクフェーズ開始前で
あったと判別する場合、ステップ84で、第1トルク比
T1が第1基準値L1以上になったか否かにより、トル
クフェーズが開始されたか否かをチェックし、トルクフ
ェーズが開始されたところで、ステップ85において、
この変速進行状態であることを示すようにフラグf・t
ctを1にセットすると共に、ステップ86において、
この時の前記タイマTimerの値をタイマTimer
1にセットする。ここでタイマTimer1は、変速指
令からトルクフェーズ開始までの所謂変速応答遅れ時間
を表す。なお、この第1基準値L1を決定するに当たっ
ては、上記の目的に照らしてこの決定を、以下の如くに
行う。つまりトルクフェーズ開始までの間は、変速前出
力トルク推定値To1と出力トルク検出値Toとが等し
いので、第1トルク比1は1.0となり、従って第1ト
ルク比T1がこの値からずれた時をトルクフェーズ開始
と判断することができ、第1基準値L1はこのことを参
酌して決定する。しかして、実際にはこの決定に際し、
検出のタイミングや、バラツキを考慮したり、或は自動
変速機作動油温及び変速の種類毎の考慮が必要なこと、
勿論である。
【0076】ステップ82で、トルクフェーズの開始
後、トルクフェーズ中であったと判別する場合、ステッ
プ87で、第1トルク比T1が第2基準値L2以上にな
ったか否かにより、トルクフェーズが終了したか否か
を、つまりイナーシャフェーズが開始されたか否かをチ
ェックし、トルクフェーズが終了し、イナーシャフェー
ズ開始されたところで、ステップ88において、この変
速進行状態を示すようにフラグf・tctを2にセット
すると共に、ステップ89において、この時の前記タイ
マTimerの値をタイマTimer2にセットする。
ここでタイマTimer2は、変速指令からトルクフェ
ーズ終了、従ってイナーシャフェーズ開始までの所要時
間を表す。なお、この第2基準値L2を決定するに当た
っては、上記の目的に照らしてこの決定を、以下の如く
に行う。つまり、トルクフェーズ終了時点(イナーシャ
フェーズ開始時点)では変速機出力トルク検出値Toが
理論上、変速前ギヤ比×変速前タービントルクTt1に
等しくなることから、第1トルク比T1=変速前ギヤ比
×Tt1/To=(変速前ギヤ比×Tt1)/(変速後
ギヤ比×Tt1)=変速前ギヤ比/変速後ギヤ比になる
筈であり、この値が理論上、第1トルク比T1のピーク
値になることから、第2基準値L2はこのことを参酌し
て決定する。しかして、実際にはこの決定に際し、検出
のタイミングや、バラツキを考慮したり、或は自動変速
機作動油温及び変速の種類毎の考慮が必要なこと、勿論
である。
【0077】ステップ83で、イナーシャフェーズが開
始されていたと判別する場合、ステップ90で、第2ト
ルク比T2が第3基準値L3未満になったか否かによ
り、イナーシャフェーズが終了したか否かをチェック
し、イナーシャフェーズが終了したところで、ステップ
91において、この変速進行状態を示すようにフラグf
・tctを3にセットすると共に、ステップ92におい
て、この時の前記タイマTimerの値をタイマTim
er3にセットし、更にステップ93において、当該イ
ナーシャフェーズ終了時におけるスロットル開度読み込
み値ThをTh(IF)にセットする。ここでタイマT
imer3は、変速指令からイナーシャフェーズ終了ま
での所要時間を表す。なお、この第3基準値L3を決定
するに当たっては、上記の目的に照らしてこの決定を、
以下の如くに行う。つまり、イナーシャフェーズ終了
時、第2トルク比T2は、変速後出力トルク推定値To
2と、変速機出力トルク検出値Toとが、同じになるこ
とから、1.0になる筈であり、これを参酌して第3基
準値L3を決定する。しかして、実際にはこの決定に際
し、検出のタイミングや、バラツキを考慮したり、或は
自動変速機作動油温及び変速の種類毎の考慮が必要なこ
と、勿論である。
【0078】以上によるトルク比T1,T2の判定に基
づくフラグf・tctの設定の結果、当該フラグf・t
ctをチェックすれば、自動変速機の変速進行状態が検
出され得ることとなり、合わせて上記のタイマTime
r1、タイマTimer2、タイマTimer3から、
変速進行状況を3個に区切って個々の変速進行区分毎
の、つまり変速応答遅れ中、トルクフェーズ中、イナー
シャフェーズ中の所要時間を後述の如くに算出すること
ができる。よって、これらタイマTimer1、タイマ
Timer2、タイマTimer3が変速進行区分所要
時間計測手段に相当する。
【0079】なお、かかる変速進行状態の検出方式によ
れば、基本的に自動変速機の実効ギヤ比に関係なく変速
機出力軸のトルク変化をもって変速進行状態を検出する
ことから、実効ギヤ比変化を伴わない変速中のトルクフ
ェーズも確実に検出することができる。
【0080】加えて、変速機出力軸のトルク変化をもっ
て変速進行状態を検出するといっても、単に、そのトル
ク変化率やトルク変化量をもって変速進行状態を検出す
るものでなく、トルク検出値Toと、変速前トルク推定
値To1および変速後トルク推定値To2との間の第1
および第2トルク比T1,T2により変速進行状態を判
定することから、当該判定を高精度に行うことができ
る。
【0081】図4において、次のステップ51では、図
8の処理により変速終了を判定する。図8のステップ1
01では、前記のように変速指令からの経過時間、つま
り変速時間を計測するタイマTimerが変速終了を示
す設定時間Ts以上を計時しているか否かにより、変速
が終了したかどうかをチェックする。変速終了までの間
は、ステップ102,103,104をスキップして上
記の変速進行状態検出作用を継続させ、変速が終了した
ところで、ステップ102,103において、このこと
を示すようにフラグf・shiftを0にリセットする
と共に、次回の変速時における変速進行状態の検出に備
えて好適変速段Next・Gpを選択変速段Cur・G
pにセットし、更にステップ104において、図9およ
び図10につき後述するライン圧学習制御を行う。ここ
で、フラグf・shiftを上記の如く0にリセットす
ることで、変速終了後は図4のステップ43がステップ
44〜51の変速進行状態検出処理をスキップすること
ができる。
【0082】そして、図4のステップ52では、図11
の制御プログラムを実行して自動変速機のライン圧を制
御する。即ち、ステップ121において前記フラグf・
shiftのチェックにより変速中か、非変速中かを判
定し、ステップ123,126において前記フラグf・
tctのチェックにより変速応答遅れ中か、トルクフェ
ーズ中か、イナーシャフェーズ中かを判定する。非変速
中であれば、ステップ122において、図15の定常時
基準ライン圧テーブルデータDを基に、スロットル開度
Thに対応した基準ライン圧PL を読み出し、これをそ
のまま目標ライン圧Pにセットする。
【0083】しかして変速中であれば、変速応答遅れ中
と判定する時、ステップ124において、図15にAで
示す変速応答遅れ中のための変速時基準ライン圧テーブ
ルデータを基に、スロットル開度Thに対応した基準ラ
イン圧PL を読み出し、ステップ125において、この
基準ライン圧PL に、後述の如く学習制御される変速応
答遅れ中のためのライン圧補正値ΔPA を加算して、目
標ライン圧Pを求める。また、トルクフェーズ中と判定
する時、ステップ127において、図15にBで示すト
ルクフェーズ中のための変速時基準ライン圧テーブルデ
ータを基に、スロットル開度Thに対応した基準ライン
圧PL を読み出し、ステップ128において、この基準
ライン圧PL に、後述の如く学習制御されるトルクフェ
ーズ中のためのライン圧補正値ΔPB を加算して、目標
ライン圧Pを求める。更に、イナーシャフェーズ中と判
定する時、ステップ129において、図15にCで示す
イナーシャフェーズ中のための変速時基準ライン圧テー
ブルデータを基に、スロットル開度Thに対応した基準
ライン圧PL を読み出し、ステップ130において、こ
の基準ライン圧PL に、後述の如く学習制御されるイナ
ーシャフェーズ中のためのライン圧補正値ΔPC を加算
して、目標ライン圧Pを求める。
【0084】かようにして個々に求めた目標ライン圧P
を、コントロールバルブ4(図2参照)内における図示
せざるライン圧ソレノイドで達成するための、ソレノイ
ド駆動デューティ値を、ステップ131において、図1
6のテーブルデータから求め、次のステップ132でこ
のデューティを上記ライン圧ソレノイドに出力した後、
制御は図4の次のステップ53に戻る。
【0085】図4の当該最後のステップ53では、自動
変速機のエンジンブレーキ制御や、トルクコンバータ2
(図3参照)のロックアップ制御装置を含む、通常の変
速制御を実行する。
【0086】次に、図8のステップ104で変速終了の
度に行うべきライン圧の学習制御を詳述するに、このラ
イン圧学習制御は図9の制御プログラムにより、図10
に例示する態様に従ってなされる。
【0087】先ず、ステップ111において、変速機作
動油温Cが設定温度Cs未満の低温か否かをチェック
し、ステップ112において、前記した変速指令時スロ
ットル開度Th(ST)およびイナーシャフェーズ終了
時スロットル開度Th(IF)間の差の絶対値|Th
(ST)−Th(IF)|を設定値ΔThs以上にす
る、大アクセルペダル操作があったか否かをチェックす
る。低温時や、大アクセルペダル操作があった時は、ラ
イン圧の学習制御が不正確になることから、制御をその
まま終了して、当該ライン圧の学習制御を禁止する。
【0088】そして、これらの条件が満たされる時は、
以下の如くにしてライン圧の学習制御を行う。先ずステ
ップ113において、変速指令時スロットル開度Th
(ST)およびイナーシャフェーズ終了時スロットル開
度Th(IF)の和の1/2、つまり変速指令時からイ
ナーシャフェーズ終了時までにおけるスロットル開度T
hの平均値Th(AV)を〔Th(ST)+Th(I
F)〕/2を算出する。次いでステップ114におい
て、図14に示すテーブルデータを基に、当該スロット
ル開度平均値Th(AV)に対応する異常変速判定基準
時間TM(EM)、目標変速応答遅れ時間TM(D
R)、目標トルクフェーズ時間TM(TF)、目標イナ
ーシャフェーズ時間TM(IF)を夫々読み込む。次い
でステップ115において、トルクフェーズ時間Tim
er(TF)をTimer(TF)=Timer2−T
imer1により算出し、イナーシャフェーズ時間Ti
mer(IF)をTimer(IF)=Timer3−
Timer2により算出する。
【0089】次のステップ116では、変速指令からイ
ナーシャフェーズ終了までの変速総時間を表すTime
r3が異常変速判定基準時間TM(EM)以上であるか
否かにより、変速時間が異常に長い異常変速か否かをチ
ェックする。異常変速時は長い変速時間を短くするため
に、ステップ117において、変速応答遅れ中のための
ライン圧補正量ΔPA 、トルクフェーズ中のためのライ
ン圧補正量ΔPB 、およびイナーシャフェーズ中のため
のライン圧補正量ΔPC を一律に比較的大きなΔP
(G)だけ増大し、これにより次回の同じ変速時は、図
11により決定されるライン圧を変速期間中全般に亘っ
てΔP(G)だけ上昇させ、異常変速を解消する対策制
御を実行する。
【0090】正常変速であれば、比較手段および締結容
量加減手段に相当するステップ118において先ず、変
速応答遅れ時間を示すTimer1が上記の対応する目
標時間TM(DR)に対して長いか、短いかを判定し、
トルクフェーズ時間を示すTimer(TF)が上記の
対応する目標時間TM(TF)に対して長いか、短いか
を判定し、更にイナーシャフェーズ時間を示すTime
r(IF)が上記の対応する目標時間TM(IF)に対
して長いか、短いかを判定する。なお、この判定に当た
っては通常通りに、ヒステリシスを設定するのが、安定
した判定を行わせ得る点で有利なことは言うまでもな
い。そして、この判定結果に応じて、変速応答遅れ中の
ためのライン圧補正量ΔPA (これによって図11につ
き前述した如くに変速応答遅れ中のライン圧Pが決定さ
れる)を、変速応答遅れ時間Timer1が対応する目
標時間TM(DR)に収束するよう学習制御により修正
し、またトルクフェーズ中のためのライン圧補正量ΔP
B (これによって図11につき前述した如くにトルクフ
ェーズ中のライン圧Pが決定される)を、トルクフェー
ズ時間Timer(TF)が対応する目標時間TM(T
F)に収束するよう学習制御により修正し、更にイナー
シャフェーズ中のためのライン圧補正量ΔPC(これに
よって図11につき前述した如くにイナーシャフェーズ
中のライン圧Pが決定される)を、イナーシャフェーズ
時間Timer(IF)が対応する目標時間TM(I
F)に収束するよう学習制御により修正する。
【0091】ところで本例においては特に、かかるライ
ン圧補正量ΔPA ,ΔPB ,ΔPCの修正に際し、変速
ショックに大きく関与するものの順に優先順位を付け
て、当該修正を順次に行うこととする。この優先順位を
決定するに際しては図3につき前述したように、先ず変
速ショックに最も大きく影響するイナーシャフェーズ時
間に関与した制御を行わせ、これによりイナーシャフェ
ーズ時間Timer(IF)が対応する目標時間TM
(IF)に収まった後に、次に大きく変速ショックに影
響するトルクフェーズ時間に関与した制御を行わせ、こ
れによりトルクフェーズ時間Timer(TF)を対応
する目標時間TM(TF)に収束させる。そして最後
に、変速ショックに対する影響が最少の変速応答遅れ時
間に関与した制御を行わせ、これにより最後に変速応答
遅れ時間Timer1を対応する目標時間TM(DR)
に収束させるように、当該優先順位を決定する。
【0092】かかる優先順位に従って、変速進行区分毎
のライン圧補正量ΔPA ,ΔPB ,ΔPC を学習制御に
より修正する態様を図10に例示する。この図に基づき
上記の優先順位を、1例について説明すると、ケース番
号27のように変速応答遅れ時間Timer1が対応す
る目標時間TM(DR)より短く、またトルクフェーズ
時間Timer(TF)も対応する目標時間TM(T
F)より短く、更にイナーシャフェーズ時間Timer
(IF)も対応する目標時間TM(IF)より短いとい
うように、全ての変速進行区分でライン圧が高過ぎて変
速進行区分所要時間が目標時間より短い場合、先ずイナ
ーシャフェーズ中のライン圧補正量ΔPCをαだけ低下
させ、この修正を、イナーシャフェーズ時間Timer
(IF)が対応する目標時間TM(IF)に収束するま
で継続する。しかし、他のライン圧補正量ΔPA ,ΔP
B は修正を行わずそのままにする。これによりケース番
号26に示すようにイナーシャフェーズ時間Timer
(IF)が対応する目標時間TM(IF)に収束する
時、今度は、トルクフェーズ時間Timer(TF)と
対応する目標時間TM(TF)との比較結果に応答し、
ケース番号26に示すようにトルクフェーズ時間Tim
er(TF)が対応する目標時間TM(TF)よりも短
いことを受けて、トルクフェーズ中のライン圧補正量Δ
B をβだけ低下させ、この修正を、トルクフェーズ時
間Timer(TF)が対応する目標時間TM(TF)
に収束するまで継続する。しかし、他のライン圧補正量
ΔPA ,ΔPC は修正を行わずそのままにする。
【0093】これによりケース番号23に示すようにト
ルクフェーズ時間Timer(TF)も対応する目標時
間TM(TF)に収束する時、今度は、変速応答遅れ時
間Timer1と対応する目標時間TM(DR)との比
較結果に応答し、ケース番号23に示すように変速応答
遅れ時間Timer1が対応する目標時間TM(DR)
よりも短いことを受けて、変速応答遅れ中のライン圧補
正量ΔPA をγだけ低下させ、この修正を、変速応答遅
れ時間Timer1が対応する目標時間TM(DR)に
収束するまで継続する。しかし、他のライン圧補正量Δ
B ,ΔPC は修正を行わずそのままにする。以上によ
り、ケース番号14に示すように変速応答遅れ時間Ti
mer1が対応する目標時間TM(DR)に収束し、ま
たトルクフェーズ時間Timer(TF)も対応する目
標時間TM(TF)に収束し、更にイナーシャフェーズ
時間Timer(IF)も対応する目標時間TM(I
F)に収束するというように、全ての変速進行区分でラ
イン圧が適正に制御されて全変速進行区分所要時間が目
標時間に収束した場合、ライン圧補正量ΔPA ,Δ
B ,ΔPC を全て修正せず、そのままにする。
【0094】図17は、上記実施例の動作タイムチャー
トで、瞬時t0 において第1速から第2速への変速が指
令され、変速機出力トルクTo、第1トルク比T1,第
2トルク比T2,実効ギヤ比が図示の如くに経時変化を
たどる変速の進行中、実際上トルクフェーズが瞬時t1
において開始され、瞬時t2 においてトルクフェーズが
終了してイナーシャフェーズが開始され、瞬時t3 にお
いてイナーシャフェーズが終了したとすると、第1トル
ク比T1が第1基準値L1に達した時をもってトルクフ
ェーズの開始を検出し、第1トルク比T1が第2基準値
L2に達した時をもってトルクフェーズの終了およびイ
ナーシャフェーズの開始を検出し、第2トルク比T2が
第3基準値L3に低下した時をもってイナーシャフェー
ズの終了を検出する。
【0095】そして、変速指令瞬時t0 からT1≧L1
となった時までの時間Timer1によって変速応答遅
れ時間を計測し、変速指令瞬時t0 からT1≧L2とな
った時までの時間Timer2と、Timer1との差
Timer(TF)によってトルクフェーズ時間を計測
し、変速指令瞬時t0 からT2<L3となった時までの
時間Timer3と、Timer2との差Timer
(IF)によってイナーシャフェーズ時間を計測する。
ここでライン圧Pは、変速応答遅れ時間Timer1中
にPL +ΔPA にされ、トルクフェーズ時間Timer
(TF)中にPL+ΔPB にされ、イナーシャフェーズ
時間中にPL +ΔPC にされ、結果として当該1→2変
速に際し締結させるべき摩擦要素への締結圧、つまり変
速容量は図17の最下段に示す経時変化をもって上昇す
る。
【0096】ところで、上記のライン圧補正量ΔPA
ΔPB ,ΔPC は前記した学習制御により修正するか
ら、またこの修正に際し、変速ショックに大きく関与す
るものの順に優先順位を付けて、先ずイナーシャフェー
ズ時間Timer(IF)が対応する目標時間TM(I
F)に収まるようライン圧補正量ΔPC を学習制御によ
り修正し、次にトルクフェーズ時間Timer(TF)
が対応する目標時間TM(TF)に収束するようライン
圧補正量ΔPB を学習制御により修正し、最後に変速応
答遅れ時間Timer1が対応する目標時間TM(D
R)に収束するようライン圧補正量ΔPA を学習制御に
より修正するから、変速期間中全般に亘って変速ショッ
クを生じないよう変速容量制御が可能になる他、変速シ
ョックを最も効率的に、また最も速やかに軽減させるこ
とができる。
【0097】なお上述の例では、変速前後のタービント
ルクTt1,Tt2を求めるに当たって、トルクコンバ
ータ2の固有特性を用いたが、例えばエンジンスロット
ル開度をパラメータとし、エンジン回転/タービントル
ク・タービン回転のような2次元マップによる、テーブ
ルルックアップ方式により変速前後のタービントルクT
t1,Tt2を検索してもよい。
【0098】また、第1トルク比T1および第2トルク
比T2を夫々、基準値L1,L2,L3と比較すること
により、変速進行状態を判定することとしたが、この代
わりに、第1トルク比T1および第2トルク比T2の時
間変化率を求め、これらから変速進行状態を判定するよ
うにしても良いことは言うまでもない。
【0099】更に、変速機出力トルク検出値Toにはイ
ナーシャが含まれているのに対し、計算により求めるト
ルク値Tt1,Tt2,To1,To2には、イナーシ
ャが含まれず、当該計算に当りイナーシャを考慮する必
要がある場合は、例えば変速前出力トルクTo1につい
て例示すると、
【数1】 To1=変速前ギヤ比×伝動効率 ×{Tt1−〔変速前ギヤ比×(d/dt)No〕}・・・(1) の如き周知の手法により、トルクを計算して、イナーシ
ャを考慮することができる。
【0100】また、上述の例では、変速機出力トルクに
関するトルク比を用いて変速状態の判定を行ったが、こ
れに限らず、変速機入力軸等、変速中トルク変化を生ず
る回転部分なら、どの部分のトルクに関するトルク比を
用いても変速状態を判定することができること勿論であ
る。
【0101】なお上述の例では、変速応答遅れ時間Ti
mer1、トルクフェーズ時間Timer(TF)、お
よびイナーシャフェーズ時間Timer(IF)を全
て、個々に計測して、これらが個々の目標時間に収束す
るよう、対応する変速進行区分毎のライン圧補正量ΔP
A ,ΔPB ,ΔPC を、優先順位に従って学習制御によ
り修正する構成としたが、計測する時間は任意の2個の
みとしたり、或いはトルクフェーズ時間および変速応答
遅れ時間の合計時間と、イナーシャフェーズ時間との2
個としたり、変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ時間
およびイナーシャフェーズ時間の合計時間との2個とし
て、これら2個の時間が目標時間に収束するような学習
制御にしても良い。また、この学習制御の対象も、上記
3個の変速進行区分毎にライン圧補正量を学習制御する
代わりに、対応する変速進行区分を含む限りにおいて任
意に変速進行区分を2分し、これら2分された変速進行
区分毎にライン圧補正量を学習制御する構成にしてもよ
いことはいうまでもない。この考え方に基づく他の数例
を、以下に順次説明する。
【0102】図18乃至図25は、変速応答遅れ時間お
よびトルクフェーズ時間の合計時間と、イナーシャフェ
ーズ時間とが、それぞれの目標時間に収束するよう、変
速応答遅れ中およびトルクフェーズ中のライン圧補正量
を一律に学習制御により修正すると共に、イナーシャフ
ェーズ中のライン圧補正量を学習制御により修正するよ
う構成した例を示す。
【0103】これがため本例では、前記第1実施例の図
4に代わるメインルーチンを図18のように設定する。
このメインルーチンは、図4におけるステップ45,4
9,50,51,52を夫々、ステップ141,14
2,143,144,145に差し換えたものに相当
し、ステップ141では変速機の入出力回転数比で表さ
れる実効ギヤ比g(g=Nt/No)を算出する。ステ
ップ142では、変速指令からトルクフェーズ終了、イ
ナーシャフェーズ開始までの時間、つまり変速応答遅れ
時間およびトルクフェーズ時間の合計時間を計測するT
imer1を0にリセットすると共に、変速指令からイ
ナーシャフェーズ終了までの時間を計測するTimer
2を0にリセットする。
【0104】ステップ143では、図19の処理によ
り、前記の如くに求めた実効ギヤ比gの判定によって変
速進行状態を検出する。図19のステップ151,15
2では、フラグf・tctから前回の変速進行状態を判
別し、このフラグf・tctが変速指令時に、図18の
ステップ48で0にリセットされていることから、ステ
ップ153が選択されて、ここで実効ギヤ比gが変化開
始判定基準値G1未満になったか否かにより、トルクフ
ェーズ終了、イナーシャフェーズ開始に至ったか否かを
チェックする。トルクフェーズが終了し、イナーシャフ
ェーズが開始されると、ステップ154で、このことを
示すようにフラグf・tctを1にセットし、ステップ
155で、この時のタイマ値TimerをTimer1
にセットする。かくして、Timer1は本例の場合、
変速指令からトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ
開始までの時間を表す。かようにしてフラグf・tct
が1にセットされると、ステップ152はステップ15
6を選択するようになり、ここで実効ギヤ比gが変化終
了判定基準値G2未満になったか否かにより、イナーシ
ャフェーズ終了に至ったか否かをチェックする。イナー
シャフェーズが終了したと判定する場合、ステップ15
7で、このことを示すようにフラグf・tctを2にセ
ットし、ステップ158で、この時のタイマ値Time
rをTimer2にセットする。かくして、Timer
2は本例の場合、変速指令からイナーシャフェーズ終了
までの時間を表す。次いで、ステップ159において、
当該イナーシャフェーズ終了時におけるスロットル開度
読み込み値ThをTh(IF)にセットする。
【0105】以上による実効ギヤ比gの判定に基づくフ
ラグf・tctの設定の結果、当該フラグf・tctを
チェックすれば、自動変速機の変速進行状態が検出され
得ることとなり、合わせて上記のタイマTimer1、
タイマTimer2から、変速進行状況を2個に区切っ
て個々の変速進行区分毎の、つまり変速応答遅れ中およ
びトルクフェーズ中の所要時間と、イナーシャフェーズ
中の所要時間とを後述の如くに算出することができる。
よって、これらタイマTimer1、タイマTimer
2が変速進行区分所要時間計測手段に相当する。
【0106】図18において、次のステップ144によ
る変速終了判定は、図20の如きもので、前述した第1
実施例における図8の処理と同等のものである。しかし
て、図8におけるステップ104に代わるステップ16
1は、同じくライン圧の学習制御であると雖も、図21
の如くにこれを行う。
【0107】この図21におけるサブルーチンは、図9
におけるステップ114,115,116,117,1
18を夫々、ステップ171,172,173,17
4,175に差し換えたものに相当し、ステップ171
においては、図24に示すテーブルデータを基に、スロ
ットル開度平均値Th(AV)に対応する異常変速判定
基準時間TM(EM)、目標とすべき変速応答遅れ時間
およびトルクフェーズ時間の合計時間TM(DR・T
F)、目標イナーシャフェーズ時間TM(IF)を夫々
読み込む。次のステップ172においては、イナーシャ
フェーズ時間Timer(IF)をTimer(IF)
=Timer2−Timer1により算出する。
【0108】次のステップ173では、変速指令からイ
ナーシャフェーズ終了までの変速総時間を表すTime
r2が異常変速判定基準時間TM(EM)以上であるか
否かにより、変速時間が異常に長い異常変速か否かをチ
ェックする。異常変速時は長い変速時間を短くするため
に、ステップ174において、変速指令からトルクフェ
ーズ終了、イナーシャフェーズ開始までの期間中のため
のライン圧補正量ΔP A 、およびイナーシャフェーズ中
のためのライン圧補正量ΔPB 、を一律に比較的大きな
ΔP(G)だけ増大し、これにより次回の同じ変速時
は、図23により後述する如くに決定されるライン圧を
変速期間中全般に亘ってΔP(G)だけ上昇させ、異常
変速を解消する対策制御を実行する。
【0109】正常変速であれば、比較手段および締結容
量加減手段に相当するステップ175において先ず、変
速指令からトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開
始までの合計時間を示すTimer1が上記の対応する
目標時間TM(DR・TF)に対して長いか、短いかを
判定し、更にイナーシャフェーズ時間を示すTimer
(IF)が上記の対応する目標時間TM(IF)に対し
て長いか、短いかを判定する。なお、この判定に当たっ
ては通常通りに、ヒステリシスを設定するのが、安定し
た判定を行わせ得る点で有利なことは言うまでもない。
そして、この判定結果に応じて、変速指令からトルクフ
ェーズ終了までの期間中のためのライン圧補正量ΔPA
(これによって当該期間中のライン圧が決定される)
を、トルクフェーズ終了までの合計時間Timer1が
対応する目標時間TM(DR・TF)に収束するよう学
習制御により修正し、更にイナーシャフェーズ中のため
のライン圧補正量ΔPB (これによって当該期間中のラ
イン圧が決定される)を、イナーシャフェーズ時間Ti
mer(IF)が対応する目標時間TM(IF)に収束
するよう学習制御により修正する。
【0110】ところで本例においても第1実施例におけ
ると同様に、かかるライン圧補正量ΔPA ,ΔPB の修
正に際し、変速ショックに大きく関与するものの順に優
先順位を付けて、当該修正を順次に行うこととする。こ
の優先順位を決定するに際しては、先ず変速ショックに
最も大きく影響する方のイナーシャフェーズ時間に関与
した制御を行わせ、これによりイナーシャフェーズ時間
Timer(IF)が対応する目標時間TM(IF)に
収まった後に、トルクフェーズ終了までの合計時間に関
与した制御を行わせ、これにより当該合計時間を対応す
る目標時間TM(DR・TF)に収束させる。
【0111】かかる優先順位に従って、変速進行区分毎
のライン圧補正量ΔPA ,ΔPB を学習制御により修正
する態様を図22に例示する。この図に基づき上記の優
先順位を、1例について説明すると、ケース番号9のよ
うに変速指令からトルクフェーズ終了までの合計時間T
imer1が目標時間TM(DR・TF)より短く、ま
たイナーシャフェーズ時間Timer(IF)も対応す
る目標時間TM(IF)より短いというように、全ての
変速進行区分でライン圧が高過ぎて変速進行区分所要時
間が目標時間より短い場合、先ずイナーシャフェーズ中
のライン圧補正量ΔPB をαだけ低下させ、この修正
を、イナーシャフェーズ時間Timer(IF)が対応
する目標時間TM(IF)に収束するまで継続する。し
かし、他方のライン圧補正量ΔPA は修正を行わずその
ままにする。これによりケース番号8に示すようにイナ
ーシャフェーズ時間Timer(IF)が対応する目標
時間TM(IF)に収束する時、今度は、合計時間Ti
mer1と対応する目標時間TM(DR・TF)との比
較結果に応答し、ケース番号8に示すように合計時間T
imer1が対応する目標時間TM(DR・TF)より
も短いことを受けて、変速指令からトルクフェーズ終了
までの期間中におけるライン圧補正量ΔPA をβだけ低
下させ、この修正を、合計時間Timer1が対応する
目標時間TM(DR・TF)に収束するまで継続する。
しかし、他方のライン圧補正量ΔPB は修正を行わずそ
のままにする。これによりケース番号5に示すように、
合計時間Timer1が対応する目標時間TM(DR・
TF)に収束し、またイナーシャフェーズ時間Time
r(IF)も対応する目標時間TM(IF)に収束する
というように、全ての変速進行区分でライン圧が適正に
制御されて全変速進行区分所要時間が目標時間に収束し
た場合、ライン圧補正量ΔPA ,ΔPB を全て修正せ
ず、そのままにする。
【0112】そして、図18の次のステップ145で
は、図23の制御プログラムを実行して自動変速機のラ
イン圧を以下の如くに制御する。この図23に示すプロ
グラムは、図11におけるステップ123〜130をス
テップ181〜185に置換したものに相当する。ステ
ップ181では、前記フラグf・tctのチェックによ
り変速指令からトルクフェーズ終了までの期間中か、イ
ナーシャフェーズ中かを判定する。
【0113】変速指令からトルクフェーズ終了までの期
間中であると判定する時、ステップ182において、図
25にAで示す当該期間中のための変速時基準ライン圧
テーブルデータを基に、スロットル開度Thに対応した
基準ライン圧PL を読み出し、ステップ183におい
て、この基準ライン圧PL に、前述の如く学習制御され
た当該期間中のためのライン圧補正量ΔPA を加算し
て、目標ライン圧Pを求める。また、イナーシャフェー
ズ中と判定する時、ステップ184において、図25に
Bで示すイナーシャフェーズ中のための変速時基準ライ
ン圧テーブルデータを基に、スロットル開度Thに対応
した基準ライン圧PL を読み出し、ステップ185にお
いて、この基準ライン圧PL に、前述の如く学習制御さ
れたイナーシャフェーズ中のためのライン圧補正値ΔP
B を加算して、目標ライン圧Pを求める。
【0114】本例の構成においても、前述した第1実施
例ほどのきめ細かな制御ではないが、上記のライン圧補
正量ΔPA ,ΔPB を前記した学習制御により修正する
から、またこの修正に際し、変速ショックに大きく関与
するものの順に優先順位を付けて、先ずイナーシャフェ
ーズ時間Timer(IF)が対応する目標時間TM
(IF)に収まるようライン圧補正量ΔPB を学習制御
により修正し、次に変速指令からトルクフェーズ終了ま
での合計時間Timer1が対応する目標時間TM(D
R・TF)に収束するようライン圧補正量ΔPA を学習
制御により修正するから、第1実施例よりも簡易な構成
により、変速期間中全般に亘って変速ショックを生じな
いよう変速容量制御が可能になる他、変速ショックを最
も効率的に、また最も速やかに軽減させることができ
る。
【0115】なお本例においては、変速応答遅れ時間お
よびトルクフェーズ時間の合計時間と、イナーシャフェ
ーズ時間とを計測するに当って必要な、トルクフェーズ
終了(イナーシャフェーズ開始)の検出、並びにイナー
シャフェーズ終了の検出を、変速機入出力回転数比Nt
/Noで表される実効ギヤ比g=Nt/Noを用いて行
うこととしたが、当該検出は図4乃至図17の実施例に
おけると同様に、トルク比T1,T2の判定によっても
なし得ること勿論である。
【0116】この場合、図18のメインルーチンを図2
6のメインルーチンに置換し、図19のサブルーチンを
図27のサブルーチンに置換する。図26は、図28の
ステップ141を図4のステップ45に差し換え、図2
8のステップ143を、詳しくは図27のサブルーチン
によって処理される新規なステップ146に差し換えた
ものである。
【0117】ここで図27のサブルーチンは、図19の
ステップ153,155を夫々ステップ153’,15
6’に置換したもので、ステップ153’においてトル
ク比T1が基準値L2(図7,図17参照)以上になっ
たか否かにより、トルクフェーズ終了(イナーシャフェ
ーズ開始)か否かを判定し、ステップ156’において
トルク比T2が基準値L3(図7,図17参照)未満に
なったか否かにより、イナーシャフェーズ終了か否かを
判定する。
【0118】そして、トルクフェーズ終了(イナーシャ
フェーズ開始)時、ステップ155の処理により変速応
答遅れ時間およびトルクフェーズ時間の合計時間Tim
er1を計測し、イナーシャフェーズ終了時、ステップ
158の処理により変速指令からトルクフェーズ終了ま
での時間Timer2を計測して、Timer2とTi
mer1との差によりイナーシャフェーズ時間を計測可
能である。
【0119】図28乃至図35は、変速応答遅れ時間
と、トルクフェーズ時間およびイナーシャフェーズ時間
の合計時間とが、それぞれの目標時間に収束するよう、
変速応答遅れ中のライン圧補正量を学習制御により修正
すると共に、トルクフェーズ中およびイナーシャフェー
ズ中のライン圧補正量を一律に学習制御により修正する
よう構成した例を示す。
【0120】これがため本例では、前記第1実施例の図
4に代わるメインルーチンを図28のように設定する。
このメインルーチンは、図4におけるステップ49,5
0,51,52を夫々、ステップ191,192,19
3,194に差し換えたものに相当し、ステップ191
では、変速指令からトルクフェーズ開始までの変速応答
遅れ時間を計測するタイマTimer1を0にリセット
すると共に、変速指令からイナーシャフェーズ終了まで
の時間を計測するTimer2を0にリセットする。
【0121】ステップ192では、図29の処理によ
り、第1実施例において説明した如くに求めたトルク比
T1,T2の判定によって変速進行状態を検出する。図
29のステップ201,202では、フラグf・tct
から前回の変速進行状態を判別し、このフラグf・tc
tが変速指令時に、図28のステップ48で0にリセッ
トされていることから、ステップ203が選択されて、
ここでトルク比T1が第1実施例で詳述した設定基準値
L1以上にになったか否かにより、トルクフェーズ開始
に至ったか否かをチェックする。トルクフェーズが開始
されると、ステップ204で、このことを示すようにフ
ラグf・tctを1にセットし、ステップ205で、こ
の時のタイマ値TimerをTimer1にセットす
る。かくして、Timer1は本例の場合、変速指令か
らトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ時間を表す。
かようにしてフラグf・tctが1にセットされると、
ステップ202はステップ206を選択するようにな
り、ここでトルク比T2が第1実施例で詳述した設定基
準値L2未満になったか否かにより、イナーシャフェー
ズ終了に至ったか否かをチェックする。イナーシャフェ
ーズが終了したと判定する場合、ステップ207で、こ
のことを示すようにフラグf・tctを2にセットし、
ステップ208で、この時のタイマ値TimerをTi
mer2にセットする。かくして、Timer2は本例
の場合、変速指令からイナーシャフェーズ終了までの時
間を表す。次いで、ステップ209において、当該イナ
ーシャフェーズ終了時におけるスロットル開度読み込み
値ThをTh(IF)にセットする。
【0122】以上によるトルク比T1,T2の判定に基
づくフラグf・tctの設定の結果、当該フラグf・t
ctをチェックすれば、自動変速機の変速進行状態が検
出され得ることとなり、合わせて上記のタイマTime
r1、タイマTimer2から、変速進行状況を2個に
区切って個々の変速進行区分毎の、つまり変速応答遅れ
時間と、トルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中
の所要時間とを後述の如くに算出することができる。よ
って、これらタイマTimer1、タイマTimer2
が変速進行区分所要時間計測手段に相当する。
【0123】図28において、次のステップ193によ
る変速終了判定は、図30の如きもので、前述した第1
実施例における図8の処理と同等のものである。しかし
て、図8におけるステップ104に代わるステップ21
1は、同じくライン圧の学習制御であると雖も、図31
の如くにこれを行う。
【0124】この図31におけるサブルーチンは、図9
におけるステップ114,115,116,117,1
18を夫々、ステップ221,222,223,22
4,225に差し換えたものに相当し、ステップ221
においては、図34に示すテーブルデータを基に、スロ
ットル開度平均値Th(AV)に対応する異常変速判定
基準時間TM(EM)、目標とすべき変速応答遅れ時間
TM(DR)、トルクフェーズ時間およびイナーシャフ
ェーズ時間の合計時間TM(TF・IF)を夫々読み込
む。次のステップ222においては、トルクフェーズ開
始からイナーシャフェーズ終了までの時間、つまりトル
クフェーズ時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時
間Timer(TF・IF)をTimer(TF・I
F)=Timer2−Timer1により算出する。
【0125】次のステップ223では、変速指令からイ
ナーシャフェーズ終了までの変速総時間を表すTime
r2が異常変速判定基準時間TM(EM)以上であるか
否かにより、変速時間が異常に長い異常変速か否かをチ
ェックする。異常変速時は長い変速時間を短くするため
に、ステップ224において、変速指令からトルクフェ
ーズ開始までの変速応答遅れ中のためのライン圧補正量
ΔPA 、およびトルクフェーズ開始からイナーシャフェ
ーズ終了までの、つまりトルクフェーズ中およびイナー
シャフェーズ中のためのライン圧補正量ΔPB を、一律
に比較的大きなΔP(G)だけ増大し、これにより次回
の同じ変速時は、図33により後述する如くに決定され
るライン圧を変速期間中全般に亘ってΔP(G)だけ上
昇させ、異常変速を解消する対策制御を実行する。
【0126】正常変速であれば、比較手段および締結容
量加減手段に相当するステップ225において先ず、変
速指令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ時間
を表すTimer1が上記の対応する目標時間TM(D
R)に対して長いか、短いかを判定し、更にトルクフェ
ーズ時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間を示
すTimer(TF・IF)が上記の対応する目標時間
TM(TF・IF)に対して長いか、短いかを判定す
る。なお、この判定に当たっては通常通りに、ヒステリ
シスを設定するのが、安定した判定を行わせ得る点で有
利なことは言うまでもない。そして、この判定結果に応
じて、変速応答遅れ中のためのライン圧補正量ΔP
A (これによって当該期間中のライン圧が決定される)
を、変速応答遅れ時間Timer1が対応する目標時間
TM(DR)に収束するよう学習制御により修正し、更
にトルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中のため
のライン圧補正量ΔPB (これによって当該期間中のラ
イン圧が決定される)を、トルクフェーズ時間およびイ
ナーシャフェーズ時間の合計時間Timer(TF・I
F)が対応する目標時間TM(TF・IF)に収束する
よう学習制御により修正する。
【0127】ところで本例においても第1実施例におけ
ると同様に、かかるライン圧補正量ΔPA ,ΔPB の修
正に際し、変速ショックに大きく関与するものの順に優
先順位を付けて、当該修正を順次に行うこととする。こ
の優先順位を決定するに際しては、先ず変速ショックに
最も大きく影響する方のトルクフェーズ時間およびイナ
ーシャフェーズ時間の合計時間に関与した制御を行わ
せ、これにより合計時間Timer(TF・IF)が対
応する目標時間TM(TF・IF)に収まった後に、変
速応答遅れ時間に関与した制御を行わせ、これにより当
該時間を対応する目標時間TM(DR)に収束させる。
【0128】かかる優先順位に従って、変速進行区分毎
のライン圧補正量ΔPA ,ΔPB を学習制御により修正
する態様を図32に例示する。この図に基づき上記の優
先順位を、1例について説明すると、ケース番号9のよ
うに変速応答遅れ時間Timer1が目標時間TM(D
R)より短く、またトルクフェーズ時間およびイナーシ
ャフェーズ時間の合計時間Timer(TF・IF)も
対応する目標時間TM(TF・IF)より短いというよ
うに、全ての変速進行区分でライン圧が高過ぎて変速進
行区分所要時間が目標時間より短い場合、先ずトルクフ
ェーズ中およびイナーシャフェーズ中のライン圧補正量
ΔPB をαだけ低下させ、この修正を、トルクフェーズ
時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間Time
r(TF・IF)が対応する目標時間TM(TF・I
F)に収束するまで継続する。しかし、他方のライン圧
補正量ΔPA は修正を行わずそのままにする。これによ
りケース番号8に示すように上記の合計時間Timer
(TF・IF)が対応する目標時間TM(TF・IF)
に収束する時、今度は、変速応答遅れ時間Timer1
と対応する目標時間TM(DR)との比較結果に応答
し、ケース番号8に示すように変速応答遅れ時間Tim
er1が対応する目標時間TM(DR)よりも短いこと
を受けて、変速応答遅れの期間中におけるライン圧補正
量ΔPA をβだけ低下させ、この修正を、変速応答遅れ
時間Timer1が対応する目標時間TM(DR)に収
束するまで継続する。しかし、他方のライン圧補正量Δ
B は修正を行わずそのままにする。これによりケース
番号5に示すように、変速応答遅れ時間Timer1が
対応する目標時間TM(DR)に収束し、またトルクフ
ェーズ時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間T
imer(TF・IF)も対応する目標時間TM(TF
・IF)に収束するというように、全ての変速進行区分
でライン圧が適正に制御されて全変速進行区分所要時間
が目標時間に収束した場合、ライン圧補正量ΔPA ,Δ
B を全て修正せず、そのままにする。
【0129】そして、図28の次のステップ194で
は、図33の制御プログラムを実行して自動変速機のラ
イン圧を以下の如くに制御する。この図33に示すプロ
グラムは、図11におけるステップ123〜130をス
テップ231〜235に置換したものに相当する。ステ
ップ231では、前記フラグf・tctのチェックによ
り変速指令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ
中か、その後のトルクフェーズ中およびイナーシャフェ
ーズ中かを判定する。
【0130】変速応答遅れ中であると判定する時、ステ
ップ232において、図35にAで示す当該期間中のた
めの変速時基準ライン圧テーブルデータを基に、スロッ
トル開度Thに対応した基準ライン圧PL を読み出し、
ステップ233において、この基準ライン圧PL に、前
述の如く学習制御された当該期間中のためのライン圧補
正量ΔPA を加算して、目標ライン圧Pを求める。ま
た、トルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中と判
定する時、ステップ234において、図35にBで示す
トルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中のための
変速時基準ライン圧テーブルデータを基に、スロットル
開度Thに対応した基準ライン圧PL を読み出し、ステ
ップ235において、この基準ライン圧PL に、前述の
如く学習制御されたトルクフェーズ中およびイナーシャ
フェーズ中のためのライン圧補正値ΔPB を加算して、
目標ライン圧Pを求める。
【0131】本例の構成においても、前述した第1実施
例ほどのきめ細かな制御ではないが、上記のライン圧補
正量ΔPA ,ΔPB を前記した学習制御により修正する
から、またこの修正に際し、変速ショックに大きく関与
するものの順に優先順位を付けて、先ずトルクフェーズ
時間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間Time
r(TF・IF)が対応する目標時間TM(TF・I
F)に収まるようライン圧補正量ΔPB を学習制御によ
り修正し、次に変速応答遅れ時間Timer1が対応す
る目標時間TM(DR)に収束するようライン圧補正量
ΔPA を学習制御により修正するから、第1実施例より
も簡易な構成により、変速期間中全般に亘って変速ショ
ックを生じないよう変速容量制御が可能になる他、変速
ショックを最も効率的に、また最も速やかに軽減させる
ことができる。
【0132】図36乃至図39は、前記第1実施例にお
けると同様、フラグf・shiftにより変速進行状態
を判定し、且つ変速応答遅れ時間Timer1およびト
ルクフェーズ時間タイマTimer(TF)を計測し、
これら計測時間がそれぞれの目標時間に収束するよう、
変速応答遅れ中のライン圧補正量を学習制御により修正
すると共に、トルクフェーズ中のライン圧補正量を学習
制御により修正するよう構成した例を示す。
【0133】これがため本例では、前記第1実施例の図
9に代わる図36の如きライン圧補正量学習制御プログ
ラムを設定し、合わせて第1実施例の図11に代わる図
38の如きライン圧制御プログラムを設定する。なお図
36および図38において、図9および図11における
と同様の処理ステップは同一符号にて示すのみとし、重
複説明を避けた。
【0134】図36のライン圧補正量学習制御プログラ
ムは、図9のステップ114,115,117,118
に代えステップ241,242,243,244を設定
したものである。ステップ241においては、図39に
示すテーブルデータを基に、スロットル開度平均値Th
(AV)に対応する異常変速判定基準時間TM(E
M)、目標とすべき変速応答遅れ時間TM(DR)、お
よび目標とすべきトルクフェーズ時間TM(TF)を夫
々読み込む。次のステップ242においては、トルクフ
ェーズ時間Timer(TF)をTimer(TF)=
Timer2−Timer1により算出する。
【0135】次のステップ116では、変速指令からイ
ナーシャフェーズ終了までの変速総時間を表すTime
r3が異常変速判定基準時間TM(EM)以上であるか
否かにより、変速時間が異常に長い異常変速か否かをチ
ェックする。異常変速時は長い変速時間を短くするため
に、ステップ243において、変速指令からトルクフェ
ーズ開始までの変速応答遅れ中のためのライン圧補正量
ΔPA 、およびトルクフェーズ中のためのライン圧補正
量ΔPB を、一律に比較的大きなΔP(G)だけ増大
し、これにより次回の同じ変速時は、図38により後述
する如くに決定されるライン圧を変速期間中全般に亘っ
てΔP(G)だけ上昇させ、異常変速を解消する対策制
御を実行する。
【0136】正常変速であれば、比較手段および締結容
量加減手段に相当するステップ244において先ず、変
速指令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ時間
を表すTimer1が上記の対応する目標時間TM(D
R)に対して長いか、短いかを判定し、更にトルクフェ
ーズ時間を示すTimer(TF)が上記の対応する目
標時間TM(TF)に対して長いか、短いかを判定す
る。なお、この判定に当たっては通常通りに、ヒステリ
シスを設定するのが、安定した判定を行わせ得る点で有
利なことは言うまでもない。そして、この判定結果に応
じて、変速応答遅れ中のためのライン圧補正量ΔP
A (これによって当該期間中のライン圧が決定される)
を、変速応答遅れ時間Timer1が対応する目標時間
TM(DR)に収束するよう学習制御により修正し、更
にトルクフェーズ中のためのライン圧補正量ΔPB (こ
れによって当該期間中のライン圧が決定される)を、ト
ルクフェーズ時間Timer(TF)が対応する目標時
間TM(TF)に収束するよう学習制御により修正す
る。
【0137】ところで本例においても第1実施例におけ
ると同様に、かかるライン圧補正量ΔPA ,ΔPB の修
正に際し、変速ショックに大きく関与するものの順に優
先順位を付けて、当該修正を順次に行うこととする。こ
の優先順位を決定するに際しては、先ず変速ショックに
最も大きく影響する方のトルクフェーズ時間に関与した
制御を行わせ、これによりトルクフェーズ時間Time
r(TF)が対応する目標時間TM(TF)に収まった
後に、変速応答遅れ時間に関与した制御を行わせ、これ
により当該時間を対応する目標時間TM(DR)に収束
させる。
【0138】かかる優先順位に従って、変速進行区分毎
のライン圧補正量ΔPA ,ΔPB を学習制御により修正
する態様を図37に例示する。この図に基づき上記の優
先順位を、1例について説明すると、ケース番号9のよ
うに変速応答遅れ時間Timer1が目標時間TM(D
R)より短く、またトルクフェーズ時間Timer(T
F)も対応する目標時間TM(TF)より短いというよ
うに、全ての変速進行区分でライン圧が高過ぎて変速進
行区分所要時間が目標時間より短い場合、先ずトルクフ
ェーズ中のライン圧補正量ΔPB をαだけ低下させ、こ
の修正を、トルクフェーズ時間Timer(TF)が対
応する目標時間TM(TF)に収束するまで継続する。
しかし、他方のライン圧補正量ΔPA は修正を行わずそ
のままにする。これによりケース番号8に示すように上
記のトルクフェーズ時間Timer(TF)が対応する
目標時間TM(TF)に収束する時、今度は、変速応答
遅れ時間Timer1と対応する目標時間TM(DR)
との比較結果に応答し、ケース番号8に示すように変速
応答遅れ時間Timer1が対応する目標時間TM(D
R)よりも短いことを受けて、変速応答遅れの期間中に
おけるライン圧補正量ΔPA をβだけ低下させ、この修
正を、変速応答遅れ時間Timer1が対応する目標時
間TM(DR)に収束するまで継続する。しかし、他方
のライン圧補正量ΔPB は修正を行わずそのままにす
る。これによりケース番号5に示すように、変速応答遅
れ時間Timer1が対応する目標時間TM(DR)に
収束し、またトルクフェーズ時間Timer(TF)も
対応する目標時間TM(TF)に収束するというよう
に、全ての変速進行区分でライン圧が適正に制御されて
全変速進行区分所要時間が目標時間に収束した場合、ラ
イン圧補正量ΔPA ,ΔPBを全て修正せず、そのまま
にする。
【0139】そして、図11に代わるライン圧制御プロ
グラムは、図38の如きものとし、この図中、図11に
おけると同様の処理を行うステップは、同一符号を付し
て示すにとどめ、重複説明を避けたが、本例に特に関与
するステップについてのみ以下に概略説明する。つま
り、ステップ123,126で、第1実施例におけると
同様なフラグf・tctのチェックにより変速指令から
トルクフェーズ開始までの変速応答遅れ中か、次のトル
クフェーズ中か、その後のイナーシャフェーズ中か否か
を判定する。
【0140】変速応答遅れ中であると判定する時、ステ
ップ124において第1実施例におけると同様に、図1
5にAで示す当該期間中のための変速時基準ライン圧テ
ーブルデータを基に、スロットル開度Thに対応した基
準ライン圧PL を読み出し、ステップ125において、
この基準ライン圧PL に、上述の如く学習制御された当
該期間中のためのライン圧補正量ΔPA を加算して、目
標ライン圧Pを求める。また、トルクフェーズ中と判定
する時、ステップ127において第1実施例におけると
同様に、図15にBで示すトルクフェーズ中のための変
速時基準ライン圧テーブルデータを基に、スロットル開
度Thに対応した基準ライン圧PL を読み出し、ステッ
プ128において、この基準ライン圧PL に、上述の如
く学習制御されたトルクフェーズ中のためのライン圧補
正値ΔPB を加算して、目標ライン圧Pを求める。とこ
ろで、イナーシャフェーズ中と判別する場合、ステップ
251において第1実施例におけると同様に、図15に
Cで示すイナーシャフェーズ中のための変速時基準ライ
ン圧テーブルデータを基に、スロットル開度Thに対応
した基準ライン圧PL を読み出すも、第1実施例と異な
り本例ではこれをそのまま目標ライン圧Pにセットす
る。
【0141】本例の構成においても、前述した第1実施
例ほど完全な制御ではないが、上記のライン圧補正量Δ
A ,ΔPB を前記した学習制御により修正するから、
またこの修正に際し、変速ショックに大きく関与するも
のの順に優先順位を付けて、先ずトルクフェーズ時間i
mer(TF)が対応する目標時間TM(TF)に収ま
るようライン圧補正量ΔPB を学習制御により修正し、
次に変速応答遅れ時間Timer1が対応する目標時間
TM(DR)に収束するようライン圧補正量ΔPA を学
習制御により修正するから、第1実施例よりも簡易な構
成により、変速ショックを生じないような変速容量制御
が可能になる他、変速ショックを最も効率的に、また最
も速やかに軽減させることができる。
【0142】図40乃至図43は、前記第1実施例にお
けると同様、フラグf・shiftにより変速進行状態
を判定し、且つトルクフェーズ時間Timer(TF)
およびイナーシャフェーズ時間タイマTimer(I
F)を計測し、これら計測時間がそれぞれの目標時間に
収束するよう、トルクフェーズ中のライン圧補正量を学
習制御により修正すると共に、イナーシャフェーズ中の
ライン圧補正量を学習制御により修正するよう構成した
例を示す。
【0143】これがため本例では、前記第1実施例の図
9に代わる図40の如きライン圧補正量学習制御プログ
ラムを設定し、合わせて第1実施例の図11に代わる図
42の如きライン圧制御プログラムを設定する。なお図
40および図42において、図9および図11における
と同様の処理ステップは同一符号にて示すのみとし、重
複説明を避けた。
【0144】図40のライン圧補正量学習制御プログラ
ムは、図9のステップ114,117,118に代えス
テップ261,262,263を設定したものである。
ステップ261においては、図43に示すテーブルデー
タを基に、スロットル開度平均値Th(AV)に対応す
る異常変速判定基準時間TM(EM)、目標とすべきト
ルクフェーズ時間TM(TF)、および目標とすべきイ
ナーシャフェーズ時間TM(IF)を夫々読み込む。
【0145】次のステップ116で、変速指令からイナ
ーシャフェーズ終了までの変速総時間を表すTimer
3が異常変速判定基準時間TM(EM)以上であるとい
うように、変速時間が異常に長い異常変速であると判別
する場合、かかる長い変速時間を短くするために、ステ
ップ262において、トルクフェーズ中のためのライン
圧補正量ΔPA 、およびイナーシャフェーズ中のための
ライン圧補正量ΔPBを、一律に比較的大きなΔP
(G)だけ増大し、これにより次回の同じ変速時は、図
42により後述する如くに決定されるライン圧を変速期
間中全般に亘ってΔP(G)だけ上昇させ、異常変速を
解消する対策制御を実行する。
【0146】ステップ116で正常変速であると判別す
る場合、比較手段および締結容量加減手段に相当するス
テップ263において先ず、ステップ115で算出した
トルクフェーズ時間Timer(TF)が上記の対応す
る目標時間TM(TF)に対して長いか、短いかを判定
し、更に同じくステップ115で算出したイナーシャフ
ェーズ時間Timer(IF)が上記の対応する目標時
間TM(IF)に対して長いか、短いかを判定する。な
お、この判定に当たっては通常通りに、ヒステリシスを
設定するのが、安定した判定を行わせ得る点で有利なこ
とは言うまでもない。そして、この判定結果に応じて、
トルクフェーズ中のためのライン圧補正量ΔPA (これ
によって当該期間中のライン圧が決定される)を、トル
クフェーズ時間Timer(TF)が対応する目標時間
TM(TF)に収束するよう学習制御により修正し、更
にイナーシャフェーズ中のためのライン圧補正量ΔPB
(これによって当該期間中のライン圧が決定される)
を、イナーシャフェーズ時間Timer(IF)が対応
する目標時間TM(IF)に収束するよう学習制御によ
り修正する。
【0147】ところで本例においても第1実施例におけ
ると同様に、かかるライン圧補正量ΔPA ,ΔPB の修
正に際し、変速ショックに大きく関与するものの順に優
先順位を付けて、当該修正を順次に行うこととする。こ
の優先順位を決定するに際しては、先ず変速ショックに
最も大きく影響する方のイナーシャフェーズ時間に関与
した制御を行わせ、これによりイナーシャフェーズ時間
Timer(IF)が対応する目標時間TM(IF)に
収まった後に、トルクフェーズ時間に関与した制御を行
わせ、これにより当該時間を対応する目標時間TM(T
F)に収束させる。
【0148】かかる優先順位に従って、変速進行区分毎
のライン圧補正量ΔPA ,ΔPB を学習制御により修正
する態様を図41に例示する。この図に基づき上記の優
先順位を、1例について説明すると、ケース番号9のよ
うにトルクフェーズ時間Timer(TF)が目標時間
TM(TF)より短く、またイナーシャフェーズ時間T
imer(IF)も対応する目標時間TM(IF)より
短いというように、全ての変速進行区分でライン圧が高
過ぎて変速進行区分所要時間が目標時間より短い場合、
先ずイナーシャフェーズ中のライン圧補正量ΔPB をα
だけ低下させ、この修正を、イナーシャフェーズ時間T
imer(IF)が対応する目標時間TM(IF)に収
束するまで継続する。しかし、他方のライン圧補正量Δ
A は修正を行わずそのままにする。これによりケース
番号8に示すように上記のイナーシャフェーズTime
r(IF)が対応する目標時間TM(IF)に収束する
時、今度は、トルクフェーズ時間Timer(TF)と
対応する目標時間TM(TF)との比較結果に応答し、
ケース番号8に示すようにトルクフェーズ時間Time
r(TF)が対応する目標時間TM(TF)よりも短い
ことを受けて、トルクフェーズ中のライン圧補正量ΔP
A をβだけ低下させ、この修正を、トルクフェーズ時間
Timer(TF)が対応する目標時間TM(TF)に
収束するまで継続する。しかし、他方のライン圧補正量
ΔPB は修正を行わずそのままにする。これによりケー
ス番号5に示すように、トルクフェーズ時間Timer
(TF)が対応する目標時間TM(TF)に収束し、ま
たイナーシャフェーズ時間Timer(IF)も対応す
る目標時間TM(IF)に収束するというように、全て
の変速進行区分でライン圧が適正に制御されて全変速進
行区分所要時間が目標時間に収束した場合、ライン圧補
正量ΔPA ,ΔPB を全て修正せず、そのままにする。
【0149】そして、図11に代わるライン圧制御プロ
グラムは、図42の如きものとし、この図中、図11に
おけると同様の処理を行うステップは、同一符号を付し
て示すにとどめ、重複説明を避けたが、本例に特に関与
するステップについてのみ以下に概略説明する。つま
り、ステップ123,126で、第1実施例におけると
同様なフラグf・tctのチェックにより変速指令から
トルクフェーズ開始までの変速応答遅れ中か、次のトル
クフェーズ中か、その後のイナーシャフェーズ中か否か
を判定する。
【0150】変速応答遅れ中であると判定する時、ステ
ップ271において第1実施例におけると同様に、図1
5にAで示す当該期間中のための変速時基準ライン圧テ
ーブルデータを基に、スロットル開度Thに対応した基
準ライン圧PL を読み出すも、第1実施例と異なり本例
ではこれをそのまま目標ライン圧Pにセットする。ま
た、トルクフェーズ中と判定する時、ステップ127に
おいて第1実施例におけると同様に、図15にBで示す
トルクフェーズ中のための変速時基準ライン圧テーブル
データを基に、スロットル開度Thに対応した基準ライ
ン圧PL を読み出し、ステップ128において、この基
準ライン圧PL に、上述の如く学習制御されたトルクフ
ェーズ中のためのライン圧補正値ΔPA を加算して、目
標ライン圧Pを求める。更に、イナーシャフェーズ中と
判別する場合、ステップ129において第1実施例にお
けると同様に、図15にCで示すイナーシャフェーズ中
のための変速時基準ライン圧テーブルデータを基に、ス
ロットル開度Thに対応した基準ライン圧PL を読み出
し、ステップ130でこの基準ライン圧PL に、上述の
如く学習制御された当該期間中のためのライン圧補正量
ΔPB を加算して、目標ライン圧Pを求める。
【0151】本例の構成においても、前述した第1実施
例ほど完全な制御ではないが、上記のライン圧補正量Δ
A ,ΔPB を前記した学習制御により修正するから、
またこの修正に際し、変速ショックに大きく関与するも
のの順に優先順位を付けて、先ずイナーシャフェーズ時
間imer(IF)が対応する目標時間TM(IF)に
収まるようライン圧補正量ΔPB を学習制御により修正
し、次にトルクフェーズ時間Timer(TF)が対応
する目標時間TM(TF)に収束するようライン圧補正
量ΔPA を学習制御により修正するから、第1実施例よ
りも簡易な構成により、変速ショックを生じないような
変速容量制御が可能になる他、変速ショックを最も効率
的に、また最も速やかに軽減させることができる。
【0152】
【発明の効果】かくして第1発明の変速容量制御装置
は、請求項1に記載の如く、変速の進行状況を、変速応
答遅れ中と、トルクフェーズ中と、イナーシャフェーズ
中とに区切って、これら区切られた3個の変速進行区分
のうち、選択された2つ以上の変速進行区分の開始から
終了までにおける所要時間を個々に計測し、当該変速に
際して締結されることとなった摩擦要素の締結容量を、
上記選択された変速進行区分の所要時間が、変速ショッ
クに大きく関与する優先順位に従って順次、該選択され
た変速進行区分ごとの目標時間に収束するよう、該順次
の変速進行区分の期間中において加減するよう構成した
から、上記のごとくに区切られた3個の変速進行区分の
うち、選択された2つ以上の変速進行区分の所要時間を
それぞれの目標時間に、しかも変速ショックに大きく関
与する優先順位に従って順次収束させることができ、従
って変速ショックを、選択された変速進行区分ごとの要
求に符合する態様で、且つ確実に軽減することができ、
しかも上記優先順位の設定により変速ショックを最も効
率的に、そして短期間のうちに軽減することができて、
最適な変速ショック軽減効果を達成することが可能であ
る。
【0153】なお、上記締結容量の制御に当たっては請
求項2に記載された第2発明のように、自動変速機の全
ての摩擦要素の締結を司るライン圧を加減して、当該制
御を行うのが最も実際的であり、採用し易い。
【0154】また、上記締結容量の制御に当たっては請
求項3に記載された第3発明のように、変速に際して締
結作動されることとなった摩擦要素の作動圧を直接加減
して、当該制御を行うこともでき、この場合、制御系が
煩雑になるものの、締結作動中の摩擦要素に対する影響
をなくすことができ、その点で有利となる。
【0155】第4発明の変速容量制御装置は請求項4に
記載の如く、変速指令からトルクフェーズ開始までの変
速応答遅れ中における変速応答遅れ時間と、トルクフェ
ーズ開始からトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ
開始までのトルクフェーズ中におけるトルクフェーズ時
間と、イナーシャフェーズ開始からイナーシャフェーズ
終了までのイナーシャフェーズ中におけるイナーシャフ
ェーズ時間との、3個の全ての変速進行区分の所要時間
を個々に計測するから、3個に区切った全ての変速進行
区分の所要時間、つまり変速応答遅れ時間と、トルクフ
ェーズ時間と、イナーシャフェーズ時間との全てが個々
に、変速ショックに大きく関与する優先順に、対応する
変速進行区分の目標時間となるよう、変速進行区分毎に
変速容量を制御することとなって、現段階で考えられる
最もきめ細かな変速容量制御が可能となり、前記の作用
効果を一層確実なものにすることができる。
【0156】第5発明は請求項5に記載の如く、上記第
4発明におけるトルクフェーズ開始と、トルクフェーズ
終了およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェ
ーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速前後
の変速機出力トルク算出値との比較によって判定する構
成としたから、上記第4発明の判定結果を正確なものに
し、変速応答遅れ時間、トルクフェーズ時間、イナーシ
ャフェーズ時間の計測が正確になり、ひいては第4発明
の上記作用効果を更に確実にし得る。
【0157】第6発明は請求項6に記載の如く、上記第
4または第5発明において、締結容量を加減するに際
し、先ずイナーシャフェーズ中における摩擦要素の締結
容量を、イナーシャフェーズ時間が目標のイナーシャフ
ェーズ時間に収束するよう加減し、次いでトルクフェー
ズ中における前記摩擦要素の締結容量を、トルクフェー
ズ時間が目標のトルクフェーズ時間に収束するよう加減
し、最後に変速応答遅れ中における前記摩擦要素の締結
容量を、変速応答遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に
収束するよう加減する構成としたから、変速応答遅れ中
の締結容量と、トルクフェーズ中の締結容量と、イナー
シャフェーズ中の締結容量とを個別に制御することとな
り、しかも変速ショックに大きく関与するイナーシャフ
ェーズ時間、トルクフェーズ時間、変速応答遅れの順に
これらが目標時間となるよう当該容量制御を行うことと
なって、変速ショックを全ての変速進行区分で確実に軽
減し得ると共に、変速ショックを最も効率的に、そして
短期間のうちに軽減するという前記の作用効果を完璧に
達成することができる。
【0158】なお第7発明は請求項7に記載の如く、前
記3個の変速進行区分のうち先に発生する2個の変速進
行区分の所要時間の合計値である、変速指令からトルク
フェーズ開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅
れ時間と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終
了、イナーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中に
おけるトルクフェーズ時間との合計時間を計測すると共
に、前記イナーシャフェーズ開始からイナーシャフェー
ズ終了までのイナーシャフェーズ中におけるイナーシャ
フェーズ時間を計測するから、3個に区切った変速進行
区分のうち先に発生する2個の変速進行区分の所要時間
の合計値である変速応答遅れ時間およびトルクフェーズ
時間の合計時間と、イナーシャフェーズ時間とが個々
に、変速ショックに大きく関与する優先順に、対応する
目標時間となるよう、変速容量を制御することとなっ
て、第4発明乃至第6発明ほどのきめ細かな変速容量制
御は得られないものの、これに近い作用効果を一層簡易
な制御で実現することができる。
【0159】第8発明の変速容量制御装置は請求項8に
記載の如く、上記第7発明におけるトルクフェーズ終了
およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェーズ
終了とを夫々、変速機入出力回転数比で表される変速機
の実効ギヤ比によって判定する構成としたから、判定結
果を正確なものにして、上記の合計時間およびイナーシ
ャフェーズ時間を正確に計測できる他、変速機入出力回
転数比が既存の回転センサ出力を用いて算出され得るこ
とから経済的でもある。
【0160】第9発明の変速容量制御装置は請求項9に
記載の如く、上記第7発明におけるトルクフェーズ終了
およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェーズ
終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速前後の変
速機出力トルク算出値との比較によって判定する構成と
したから、この場合も判定結果を正確なものにして、上
記の合計時間およびイナーシャフェーズ時間の計測が正
確になり、上記第7発明の作用効果を更に確実にし得
る。
【0161】第10発明は請求項10に記載の如く、上
記第7発明乃至第9発明のいずれか1発明において、締
結容量を加減するに際し、先ずイナーシャフェーズ中に
おける摩擦要素の締結容量を、イナーシャフェーズ時間
が目標のイナーシャフェーズ時間に収束するよう加減
し、次いで変速応答遅れ中およびトルクフェーズ中にお
ける摩擦要素の締結容量を、前記合計時間が目標の合計
時間に収束するよう加減する構成としたから、変速応答
遅れ中およびトルクフェーズ中の締結容量と、イナーシ
ャフェーズ中の締結容量とを個別に制御することとな
り、しかも変速ショックに大きく関与するイナーシャフ
ェーズ時間、変速応答遅れ時間およびトルクフェーズ時
間の合計時間の順にこれらが目標時間となるよう当該容
量制御を行うこととなってなって、変速ショックを全て
の変速進行区分で確実に軽減し得ると共に、変速ショッ
クを効率的に、そして短期間のうちに軽減するという作
用効果を比較的簡易な制御で達成することができる。
【0162】第11発明は請求項11に記載の如く、変
速進行区分毎の所要時間を、変速指令からトルクフェー
ズ開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅れ時間
と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終了、イナ
ーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中におけるト
ルクフェーズ時間、およびイナーシャフェーズ開始から
イナーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中に
おけるイナーシャフェーズ時間の合計時間としたから、
変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ時間およびイナー
シャフェーズ時間の合計時間とが、優先順位の高い順に
個々の目標時間となるよう、対応する変速進行区分の変
速容量を制御することとなって、第4発明乃至第6発明
ほどのきめ細かな変速容量制御は得られないものの、こ
れに近い作用効果を簡易な制御で実現することができ
る。
【0163】第12発明は請求項12に記載の如く、上
記第11発明におけるトルクフェーズ開始と、イナーシ
ャフェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変
速前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定
する構成としたから、第11発明の判定結果を正確なも
のにし、上記の変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ時
間およびイナーシャフェーズ時間の合計時間の計測が正
確になり、ひいては第11発明の上記作用効果を更に確
実にし得る。
【0164】第13発明は請求項13に記載の如く、上
記第11または第12発明において、締結容量を加減す
るに際し、先ずトルクフェーズ中およびイナーシャフェ
ーズ中における前記摩擦要素の締結容量を、前記合計時
間が目標の合計時間に収束するよう加減し、次いで変速
応答遅れ中における前記摩擦要素の締結容量を、変速応
答遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に収束するよう加
減する構成にしたから、変速応答遅れ中の締結容量と、
トルクフェーズ中およびイナーシャフェーズ中の締結容
量とを個別に制御することとなり、しかも変速ショック
に大きく関与するイナーシャフェーズ時間およびトルク
フェーズ時間の合計時間、変速応答遅れ時間の順に目標
時間となるよう当該容量制御を行うこととなってなっ
て、変速ショックを全ての変速進行区分で確実に軽減し
得ると共に、変速ショックを効率的に、そして短期間の
うちに軽減するという作用効果を比較的簡易な制御で達
成することができる。
【0165】第14発明は請求項14に記載の如く、変
速進行区分毎の所要時間を、変速指令からトルクフェー
ズ開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅れ時間
と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終了、イナ
ーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中におけるト
ルクフェーズ時間としたから、変速応答遅れ時間と、ト
ルクフェーズ時間とが夫々、優先順位の高い順に個々の
目標時間となるよう、変速進行区分毎に変速容量を制御
することとなって、第4発明乃至第6発明ほどのきめ細
かな変速容量制御は得られないものの、これに近い作用
効果を簡易な制御で実現することができる。
【0166】第15発明は請求項15に記載の如く、上
記第14発明におけるトルクフェーズ開始と、トルクフ
ェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速前
後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定する
構成としたから、上記第14発明の判定結果を正確なも
のにし、変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ時間の計
測が正確になり、ひいては第14発明の上記作用効果を
更に確実にし得る。
【0167】第16発明は請求項16に記載の如く、上
記第14または第15発明において、締結容量を加減す
るに際し、先ずトルクフェーズ中およびイナーシャフェ
ーズ中のうち少なくともトルクフェーズ中における摩擦
要素の締結容量を、トルクフェーズ時間が目標のトルク
フェーズ時間に収束するよう加減し、次いで変速応答遅
れ中における摩擦要素の締結容量を、変速応答遅れ時間
が目標の変速応答遅れ時間に収束するよう加減する構成
にしたから、変速応答遅れ中の締結容量と、トルクフェ
ーズ中の締結容量とを個別に制御することとなり、しか
も変速ショックに大きく関与するトルクフェーズ時間、
変速応答遅れ時間の順にこれらが目標時間となるよう当
該容量制御を行うこととなってなって、変速ショックを
全ての変速進行区分で確実に軽減し得ると共に、変速シ
ョックを効率的に、そして短期間のうちに軽減するとい
う作用効果を、イナーシャフェーズ時間の計測なしに、
比較的簡易な制御で達成することができる。
【0168】第17発明の変速容量制御装置は請求項1
7に記載の如く、変速進行区分毎の所要時間を、変速指
令から変速応答遅れ後におけるトルクフェーズ開始より
トルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのト
ルクフェーズ中におけるトルクフェーズ時間と、イナー
シャフェーズ開始からイナーシャフェーズ終了までのイ
ナーシャフェーズ中におけるイナーシャフェーズ時間と
したから、トルクフェーズ時間と、イナーシャフェーズ
時間とが、優先順位の高い順に個々の目標時間となるよ
う、対応する変速進行区分の変速容量を制御することと
なって、第4発明乃至第6発明ほどのきめ細かな変速容
量制御は得られないものの、これに近い作用効果を簡易
な制御で実現することができる。
【0169】第18発明は請求項18に記載の如く、上
記第17発明におけるトルクフェーズ開始と、トルクフ
ェーズ終了およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシ
ャフェーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変
速前後の変速機出力トルク算出値との比較によって判定
する構成としたから、上記第17発明の判定結果を正確
なものにし、上記のトルクフェーズ時間と、イナーシャ
フェーズ時間の計測が正確になり、ひいては第17発明
の上記作用効果を更に確実になし得る。
【0170】第19発明は請求項19に記載の如く、上
記第17または第18発明において、締結容量を加減す
るに際し、先ずイナーシャフェーズ中における前記摩擦
要素の締結容量を、イナーシャフェーズ時間が目標のイ
ナーシャフェーズ時間に収束するよう加減し、次いで変
速応答遅れ中およびトルクフェーズ中のうち少なくとも
トルクフェーズ中における前記摩擦要素の締結容量を、
トルクフェーズ時間が目標のトルクフェーズ時間に収束
するよう加減する構成にしたから、トルクフェーズ中の
締結容量と、イナーシャフェーズ中の締結容量とを個別
に制御することとなり、しかも変速ショックに大きく関
与するイナーシャフェーズ時間、トルクフェーズ時間の
順に目標時間となるよう当該容量制御を行うこととなっ
てなって、変速ショックを全ての変速進行区分で確実に
軽減すると共に、変速ショックを効率的に、そして短期
間のうちに軽減するという作用効果を、変速応答遅れ時
間の計測なしに、比較的簡易な制御で達成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動変速機の変速容量制御装置を
示す概念図である。
【図2】本発明変速容量制御装置の一実施例を示す車両
のパワートレーンと、その制御系を示す略線図である。
【図3】同例におけるコントローラが実行する変速容量
制御を示す機能ブロック線図である。
【図4】同コントローラをマイクロコンピュータで構成
した場合において、該コントローが実行する変速容量制
御のメインルーチンを示す制御プログラムである。
【図5】同変速容量制御における変速判定用のサブルー
チンを示す制御プログラムである。
【図6】同変速容量制御におけるトルク比演算用のサブ
ルーチンを示す制御プログラムである。
【図7】同変速容量制御における変速進行状態判定用の
サブルーチンを示す制御プログラムである。
【図8】同変速容量制御における変速終了判定用のサブ
ルーチンを示す制御プログラムである。
【図9】同変速容量制御におけるライン圧補正量学習制
御用のサブルーチンを示す制御プログラムである。
【図10】同ライン圧補正量学習制御の一態様を示すラ
イン圧補正量修正マップを示す説明図である。
【図11】同変速容量制御におけるライン圧制御用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図12】トルクセンサの検出値と、変速機出力トルク
との関係線図である。
【図13】自動変速機の変速パターンを例示する変速線
図である。
【図14】変速進行区分毎の目標時間を示す線図であ
る。
【図15】自動変速機の基準ライン圧特性図である。
【図16】目標ライン圧に対するソレノイド駆動デュー
ティの関係線図である。
【図17】同例における変速容量制御の動作タイムチャ
ートである。
【図18】本発明の他の例になる変速容量制御のメイン
ルーチンを示す制御プログラムである。
【図19】同変速容量制御における変速進行状態判定用
のサブルーチンを示す制御プログラムである。
【図20】同変速容量制御における変速終了判定用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図21】同変速容量制御におけるライン圧補正量学習
制御用のサブルーチンを示す制御プログラムである。
【図22】同ライン圧補正量学習制御の一態様を示すラ
イン圧補正量修正マップを示す説明図である。
【図23】同変速容量制御におけるライン圧制御用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図24】同例における変速進行区分毎の目標時間を示
す線図である。
【図25】同例における自動変速機の基準ライン圧特性
図である。
【図26】同変速容量制御において、他の変速進行状態
判定方式を採用した場合の変速容量制御用メインルーチ
ンを示す制御プログラムである。
【図27】同変速進行状態判定用のサブルーチンを示す
制御プログラムである。
【図28】本発明の更に他の例になる変速容量制御のメ
インルーチンを示す制御プログラムである。
【図29】同変速容量制御における変速進行状態判定用
のサブルーチンを示す制御プログラムである。
【図30】同変速容量制御における変速終了判定用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図31】同変速容量制御におけるライン圧補正量学習
制御用のサブルーチンを示す制御プログラムである。
【図32】同ライン圧補正量学習制御の一態様を示すラ
イン圧補正量修正マップを示す説明図である。
【図33】同変速容量制御におけるライン圧制御用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図34】変速進行区分毎の目標時間を示す線図であ
る。
【図35】同例における自動変速機の基準ライン圧特性
図である。
【図36】本発明の更に別の例になる変速容量制御にお
けるライン圧補正量学習制御用のサブルーチンを示す制
御プログラムである。
【図37】同ライン圧補正量学習制御の一態様を示すラ
イン圧補正量修正マップを示す説明図である。
【図38】同変速容量制御におけるライン圧制御用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図39】変速進行区分毎の目標時間を示す線図であ
る。
【図40】本発明の更に他の例になる変速容量制御にお
けるライン圧補正量学習制御用のサブルーチンを示す制
御プログラムである。
【図41】同ライン圧補正量学習制御の一態様を示すラ
イン圧補正量修正マップを示す説明図である。
【図42】同変速容量制御におけるライン圧制御用のサ
ブルーチンを示す制御プログラムである。
【図43】変速進行区分毎の目標時間を示す線図であ
る。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トルクコンバータ 3 自動変速機 4 コントロールバルブ 5 コントローラ 6 スロットルセンサ 7 エンジン回転センサ 8 変速機出力トルクセンサ 9 変速機出力回転センサ 10 タービン回転センサ 11 油温センサ 21 トルクフェーズ開始検出部 22 トルクフェーズ終了検出部 23 イナーシャフェーズ終了検出部 24 変速応答遅れ時間検出部 25 トルクフェーズ時間検出部 26 イナーシャフェーズ時間検出部 27 目標変速応答遅れ時間算出部 28 目標トルクフェーズ時間算出部 29 目標イナーシャフェーズ時間算出部 30 比較部 31 比較部 32 比較部 33 ライン圧判定部 34 ライン圧補正部 35 ライン圧補正部 36 ライン圧補正部 37 ライン圧制御部

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の摩擦要素を選択的に締結させるこ
    とにより投入変速段を決定され、変速指令に応答して前
    記摩擦要素の締結切り換えを行うことにより他の変速段
    への変速を行うようにした自動変速機において、 前記変速の進行状況を、前記変速指令からトルクフェー
    ズ開始までの変速応答遅れ中と、トルクフェーズ開始か
    らトルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までの
    トルクフェーズ中と、イナーシャフェーズ開始からイナ
    ーシャフェーズ終了までのイナーシャフェーズ中とに区
    切って、これら区切られた3個の変速進行区分のうち、
    選択された2つ以上の変速進行区分の開始から終了まで
    における所要時間を個々に計測する変速進行区分所要時
    間計測手段と、 該手段により計測された変速進行区分の所要時間が、前
    記3個の変速進行区分毎に定められた、対応する目標時
    間に対して長いか、短いかを比較する比較手段と、 該手段による比較結果に応答し、前記変速に際して締結
    されることとなった摩擦要素の締結容量を、前記選択さ
    れた変速進行区分の所要時間が、変速ショックに大きく
    関与する変速進行区分の優先順位に従って順次、前記対
    応する目標時間に収束するよう、該順次の変速進行区分
    の期間中において加減する締結容量加減手段とを具備す
    ることを特徴とする自動変速機の変速容量制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記摩擦要素の締結
    容量は、自動変速機の全ての摩擦要素の締結を司どるラ
    イン圧を加減して制御するようにしたことを特徴とする
    自動変速機の変速容量制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記摩擦要素の締結
    容量は、該摩擦要素の締結を司どる作動圧を直接加減し
    て制御するようにしたことを特徴とする自動変速機の変
    速容量制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記変速進行区分所要時間計測手段が、前記変速指
    令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ中におけ
    る変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ開始からトルク
    フェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのトルクフ
    ェーズ中におけるトルクフェーズ時間と、イナーシャフ
    ェーズ開始からイナーシャフェーズ終了までのイナーシ
    ャフェーズ中におけるイナーシャフェーズ時間との、3
    個の全ての変速進行区分の所要時間を個々に計測するよ
    う構成したことを特徴とする自動変速機の変速容量制御
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記トルクフェーズ
    開始と、トルクフェーズ終了およびイナーシャフェーズ
    開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変速機出力
    トルク検出値と変速前後の変速機出力トルク算出値との
    比較によって判定することを特徴とする自動変速機の変
    速容量制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において、前記締結容
    量加減手段は、先ずイナーシャフェーズ中における前記
    摩擦要素の締結容量を、イナーシャフェーズ時間が目標
    のイナーシャフェーズ時間に収束するよう加減し、次い
    でトルクフェーズ中における前記摩擦要素の締結容量
    を、トルクフェーズ時間が目標のトルクフェーズ時間に
    収束するよう加減し、最後に変速応答遅れ中における前
    記摩擦要素の締結容量を、変速応答遅れ時間が目標の変
    速応答遅れ時間に収束するよう加減する構成にしたこと
    を特徴とする自動変速機の変速容量制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記変速進行区分所要時間計測手段が、前記3個の
    変速進行区分のうち先に発生する2個の変速進行区分の
    所要時間の合計値である、前記変速指令からトルクフェ
    ーズ開始までの変速応答遅れ中における変速応答遅れ時
    間と、トルクフェーズ開始からトルクフェーズ終了、イ
    ナーシャフェーズ開始までのトルクフェーズ中における
    トルクフェーズ時間との合計時間を計測すると共に、前
    記イナーシャフェーズ開始からイナーシャフェーズ終了
    までのイナーシャフェーズ中におけるイナーシャフェー
    ズ時間を計測するよう構成したことを特徴とする自動変
    速機の変速容量制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記トルクフェーズ
    終了およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェ
    ーズ終了とを夫々、変速機入出力回転数比で表される変
    速機の実効ギヤ比によって判定することを特徴とする自
    動変速機の変速容量制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項7において、前記トルクフェーズ
    終了およびイナーシャフェーズ開始と、イナーシャフェ
    ーズ終了とを夫々、変速機出力トルク検出値と変速前後
    の変速機出力トルク算出値との比較によって判定するこ
    とを特徴とする自動変速機の変速容量制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項7乃至9項のいずれか1項にお
    いて、前記締結容量加減手段は、先ずイナーシャフェー
    ズ中における前記摩擦要素の締結容量を、イナーシャフ
    ェーズ時間が目標のイナーシャフェーズ時間に収束する
    よう加減し、次いで変速応答遅れ中およびトルクフェー
    ズ中における前記摩擦要素の締結容量を、前記合計時間
    が目標の合計時間に収束するよう加減する構成にしたこ
    とを特徴とする自動変速機の変速容量制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記変速進行区分所要時間計測手段が、前記変速指
    令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ中におけ
    る変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ開始からトルク
    フェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのトルクフ
    ェーズ中におけるトルクフェーズ時間、およびイナーシ
    ャフェーズ開始からイナーシャフェーズ終了までのイナ
    ーシャフェーズ中におけるイナーシャフェーズ時間の合
    計時間とを個々に計測するよう構成したことを特徴とす
    る自動変速機の変速容量制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項11において、前記トルクフェ
    ーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変速機
    出力トルク検出値と変速前後の変速機出力トルク算出値
    との比較によって判定することを特徴とする自動変速機
    の変速容量制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項11または12において、前記
    締結容量加減手段は、先ずトルクフェーズ中およびイナ
    ーシャフェーズ中における前記摩擦要素の締結容量を、
    前記合計時間が目標の合計時間に収束するよう加減し、
    次いで変速応答遅れ中における前記摩擦要素の締結容量
    を、変速応答遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に収束
    するよう加減する構成にしたことを特徴とする自動変速
    機の変速容量制御装置。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記変速進行区分所要時間計測手段が、前記変速指
    令からトルクフェーズ開始までの変速応答遅れ中におけ
    る変速応答遅れ時間と、トルクフェーズ開始からトルク
    フェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのトルクフ
    ェーズ中におけるトルクフェーズ時間とを個々に計測す
    るよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速容量
    制御装置。
  15. 【請求項15】 請求項14において、前記トルクフェ
    ーズ開始と、トルクフェーズ終了とを夫々、変速機出力
    トルク検出値と変速前後の変速機出力トルク算出値との
    比較によって判定することを特徴とする自動変速機の変
    速容量制御装置。
  16. 【請求項16】 請求項14または15において、前記
    締結容量加減手段は、先ずトルクフェーズ中およびイナ
    ーシャフェーズ中のうち少なくともトルクフェーズ中に
    おける前記摩擦要素の締結容量を、前記トルクフェーズ
    時間が目標のトルクフェーズ時間に収束するよう加減
    し、次いで変速応答遅れ中における前記摩擦要素の締結
    容量を、変速応答遅れ時間が目標の変速応答遅れ時間に
    収束するよう加減する構成にしたことを特徴とする自動
    変速機の変速容量制御装置。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、前記変速進行区分所要時間計測手段が、前記変速指
    令から変速応答遅れ後におけるトルクフェーズ開始より
    トルクフェーズ終了、イナーシャフェーズ開始までのト
    ルクフェーズ中におけるトルクフェーズ時間と、イナー
    シャフェーズ開始からイナーシャフェーズ終了までのイ
    ナーシャフェーズ中におけるイナーシャフェーズ時間と
    を個々に計測するよう構成したことを特徴とする自動変
    速機の変速容量制御装置。
  18. 【請求項18】 請求項17において、前記トルクフェ
    ーズ開始と、トルクフェーズ終了およびイナーシャフェ
    ーズ開始と、イナーシャフェーズ終了とを夫々、変速機
    出力トルク検出値と変速前後の変速機出力トルク算出値
    との比較によって判定することを特徴とする自動変速機
    の変速容量制御装置。
  19. 【請求項19】 請求項17または18において、前記
    締結容量加減手段は、先ずイナーシャフェーズ中におけ
    る前記摩擦要素の締結容量を、イナーシャフェーズ時間
    が目標のイナーシャフェーズ時間に収束するよう加減
    し、次いで変速応答遅れ中およびトルクフェーズ中のう
    ち少なくともトルクフェーズ中における前記摩擦要素の
    締結容量を、トルクフェーズ時間が目標のトルクフェー
    ズ時間に収束するよう加減する構成にしたことを特徴と
    する自動変速機の変速容量制御装置。
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