JP3097411B2 - 加速度センサ - Google Patents

加速度センサ

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JP3097411B2
JP3097411B2 JP05218590A JP21859093A JP3097411B2 JP 3097411 B2 JP3097411 B2 JP 3097411B2 JP 05218590 A JP05218590 A JP 05218590A JP 21859093 A JP21859093 A JP 21859093A JP 3097411 B2 JP3097411 B2 JP 3097411B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として車載用エアバ
ッグ装置に組み込んで使用される加速度センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、一般的な加速度センサとして
は、両主表面上に電極(図示していない)が形成された
平板形状のセラミックからなる圧電素子を加速度検出要
素として利用するものが知られており、この種の加速度
センサは、図11及び図12で示すように、加速度検出
要素である圧電素子21と、これから出力された加速度
信号を処理する加速度信号処理回路(図示していない)
を含むハイブリッドIC22と、これらの取り付け基台
である金属ベース板23と、この金属ベース板23上を
覆って圧電素子21などの所要部品を封止するシールド
ケース24とを備えている。そして、このとき、圧電素
子21は金属ベース板23上に固定された台座25を介
したうえで片持ち梁状として支持されており、この圧電
素子21の遊端部はその主表面と直交する垂直方向(加
速度作用方向)Gに沿って加速度が作用することにより
撓むようになっている。
【0003】すなわち、この加速度センサにおいては、
作用する加速度の大きさに応じて圧電素子21の遊端部
が撓むことになり、この遊端部が撓むことによって検出
された加速度信号が圧電素子21上の電極それぞれに半
田付け接続されたリード線26を介してハイブリッドI
C22の加速度信号処理回路に伝えられたうえで処理さ
れるようになっている。なお、図中の符号27は金属ベ
ース板23を貫通して外部に突出したうえで他の所要機
器などと接続される外部接続用のピン端子を示してお
り、これらピン端子27のそれぞれは金属ベース板23
と絶縁された状態になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
加速度センサにおいては、片持ち梁状として支持された
圧電素子21の加速度作用方向Gに沿った撓みに基づい
て加速度を検出する構造を採用したので、作用する加速
度が小さい場合には良好な応答性が得られにくく、ま
た、過大な加速度が作用した場合には圧電素子21の遊
端部が大きく振り動かされる結果として圧電素子21自
体の破壊を招くことがあり、良好な耐衝撃性が得られな
いという不都合が生じていた。また、この従来例では、
圧電素子21とハイブリッドIC22との間をリード線
26によって接続しているのであるから、リード線26
のそれぞれが加速度の作用に伴って振動することになる
結果、この振動による金属疲労に伴ってリード線26が
断線を起こす恐れもあり、この点からも信頼性に欠ける
ものとなっていた。なお、このような断線を防ぐために
は、リード線26の線径を大きくして強度を高めること
も考えられるが、このようにした場合には、加速度の作
用に伴う振動によって質量の大きなリード線26が共振
を起こすこともあり、圧電素子21による加速度検出に
対する悪影響が生じることにもなりかねなかった。
【0005】本発明は、このような不都合に鑑みて創案
されたものであって、耐衝撃性を高めることができ、信
頼性の大幅な向上を図ることができる加速度センサの提
供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の加速
度センサは、このような目的を達成するために、加速度
信号出力電極及びアース電極が並列配置され、かつ、加
速度信号処理回路を具備した回路基板と、加速度信号出
力電極上に固定された圧電素子と、アース電極上に固定
して接続された導電部材と、この導電部材及び圧電素子
上に架橋状に載置して固定されたウェイト(重り)とを
備えており、圧電素子はその分極軸が加速度作用方向に
沿って設定されたものである一方、ウェイトはその少な
くとも圧電素子及び導電部材に固定される一面部が導電
性を有するものであることを特徴としている。
【0007】また、第2の加速度センサは、加速度信号
出力電極,加振入力電極及びアース電極が並列配置さ
れ、かつ、加速度信号処理回路及び加振駆動回路を具備
した回路基板と、加速度信号出力電極及び加振入力電極
それぞれ上に固定された一対の圧電素子と、アース電極
上に固定して接続された導電部材と、この導電部材及び
圧電素子上に架橋状に載置して固定されたウェイトとを
備えており、圧電素子のそれぞれは各々の分極軸が加速
度作用方向に沿って設定されたものである一方、ウェイ
トはその少なくとも圧電素子及び導電部材に固定される
一面部が導電性を有するものであることを特徴としてい
る。
【0008】なお、本発明では、第1及び第2の加速度
センサを構成する導電部材が、少なくとも一方の主表面
上に個別電極が形成されたセラミック板の複数枚を互い
の厚み方向に沿って接合した積層体からなるものであ
り、ウェイト及びアース電極に固定される積層体の両主
表面上には個別電極と導通する共通電極が形成されてい
ることが好ましい。
【0009】
【作用】上記構成によれば、加速度検出要素である圧電
素子は加速度信号出力電極を介したうえで回路基板に対
して全面的に密着した状態で固定されているのであるか
ら、作用する加速度が小さくても敏感に応答することに
なる。また、このような構成の採用によって耐衝撃性が
向上することになるため、過大な加速度が作用しても圧
電素子が破壊されることはなくなる。そして、このと
き、圧電素子は加速度信号出力電極上に固定され、か
つ、導電性を有するウェイトの一面部及び導電部材を介
したうえでアース電極と直列接続されるのであるから、
リード線を用いての接続を行う必要もないことになる。
さらにまた、セラミックからなる導電部材を用いた場合
には、加速度検出要素における応力の不均衡が生じにく
いことになる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0011】第1実施例 図1ないし図4は本発明の第1実施例に係り、図1は加
速度センサの全体構造を簡略化して示す一部破断斜視
図、図2はその要部のみを拡大して示す一部破断斜視図
であり、図3及び図4のそれぞれは要部の変形例を示す
一部破断斜視図である。
【0012】この加速度センサは、図1で示すように、
取り付け基台である回路基板1と、各々が直方体形状と
されたうえで加速度検出要素を構成する圧電素子2,導
電部材3及びウェイト(重り)4のそれぞれと、この加
速度検出要素を一括的に封止するシールドケース5とを
備えている。なお、ここで、圧電素子2は分極処理が施
されたPZTのようなセラミックを用いて一体に作成さ
れたものであり、ウェイト4及び加速度信号出力電極
(後述する)の各々と固定される両主表面上には電極
(図示していない)がそれぞれ形成されている。
【0013】そして、この回路基板1の表面上には加速
度信号出力電極6及びアース電極7が並列配置されると
もに、圧電素子2から出力された加速度信号を処理する
ための加速度信号処理回路(図示していない)を含んで
構成されたハイブリッドIC8が取り付けられており、
上記電極6,7のそれぞれはハイブリッドIC8に対し
て接続されている。なお、このハイブリッドIC8は回
路基板1に内蔵されたものであってもよく、このような
内蔵構造を有する回路基板はハイブリッドIC基板など
と呼ばれている。
【0014】また、加速度検出要素を構成する圧電素子
2は回路基板1の加速度信号出力電極6上に接着剤(図
示していない)などを用いることによって固定されてお
り、図2で示すように、この圧電素子2における分極軸
Xは加速度作用方向Gに沿うようにして、すなわち、回
路基板1の拡がり方向で、かつ、圧電素子2及び導電部
材3の並列方向に沿う向きとして設定されている。さら
にまた、基準電圧を示すことになるアース電極7上には
42Fe−Ni合金のような金属材料やカーボン(炭
素)素材などを用いて作成された導電部材3が固定して
接続されており、この導電部材3及び圧電素子2上には
同様の導電性素材などからなる質量物としてのウェイト
4が架橋状に載置された状態で接着剤などを用いて固定
されている。そこで、これらの圧電素子2及び導電部材
3はウェイト4を通じて互いに短絡され、相互に導通し
ていることになる。
【0015】なお、このウェイト4はその少なくとも圧
電素子2及び導電部材3に固定される一面部のみが導電
性を有してさえいればよいものであり、図示していない
が、分極処理が施されていないセラミックからなる直方
体ブロックを作成したうえ、その一面のみに対する銀蒸
着処理などを行って電極が形成されたものであってもよ
い。また、本実施例では、導電部材3及びウェイト4が
互いに別体であるとしているが、これらの両者が金属材
料などを用いて一体に作成されたものであってもよいこ
とは勿論である。
【0016】すなわち、ここでの圧電素子2は、その一
面が加速度信号出力電極6上に固定される一方、他の一
面が導電性を有するウェイト4及び導電部材3のそれぞ
れを介したうえでアース電極7と直列に接続された構成
を有している。そして、このような構成とされた圧電素
子2に対し、その分極軸Xと平行な方向に沿う外力であ
る加速度が作用すると、この圧電素子2における加速度
作用方向Gに沿っては加わった加速度の大きさに対応し
たせん断歪みが生じ、かつ、このせん断歪みが生じるこ
とによって加速度信号出力電極6側の面上には正もしく
は負の電荷が誘起される。なお、このとき、加速度の作
用する向きと分極軸Xの向きとが一致している場合には
正、また、これらの向きが互いに逆である場合には負の
電荷が生じることになる。その結果、このようにして発
生した電荷は圧電素子2が容量を有しているために電圧
として表れることになり、加速度信号出力電極6を通じ
て出力されたうえで圧電素子2からの加速度信号として
処理されることになる。
【0017】さらに、この加速度センサを構成するシー
ルドケース5は金属や樹脂などからなる有底筒形状とし
て形成されたものであり、回路基板1上を覆って固定さ
れることによって圧電素子2,導電部材3及びウェイト
4やハイブリッドIC8などを封止している。なお、図
1ではシールドケース5によって回路基板1の全面を覆
う構造となっているが、これに限定されるものではな
く、このシールドケース5は上記した所要部品のみを一
括的に封止しうるものでありさえすればよいのである。
また、図1中の符号9は外部接続用のピン端子を示して
おり、これらのピン端子9は回路基板1を貫通して外部
に突出したうえで他の所要機器などと接続されるように
なっている。
【0018】つぎに、本実施例に係る加速度センサの動
作及び作用について説明する。
【0019】まず、上記構造とされた加速度センサに対
して加速度作用方向G、すなわち、回路基板1の拡がり
方向で、しかも、圧電素子2及び導電部材3の並列方向
に沿う方向の加速度が作用すると、この加速度が加わる
ことによって質量物であるウェイト4は加速度の作用す
る向きと同一向きに沿いつつ、その大きさに対応した範
囲で移動して変位することになる。そして、このウェイ
ト4が変位すると、これと回路基板1との間に介装さ
れ、かつ、加速度作用方向Gと平行な分極軸Xを有する
圧電素子2にはせん断歪みが生じることになり、加速度
信号出力電極6上に固定された側に位置する圧電素子2
の面上には正の電荷が誘起される。さらに、このとき、
圧電素子2は加速度信号出力電極6とアース電極7との
間に直列接続されているのであるから、その面上に誘起
された電荷は加速度信号出力電極6を通じて電圧として
取り出されたうえ、ハイブリッドIC8に含まれた加速
度信号処理回路を介して処理されることによって作用し
た加速度の向き及び大きさが検出されることになる。
【0020】なお、図1及び図2においては、加速度セ
ンサを構成する圧電素子2の分極軸Xが回路基板1の拡
がり方向かつ圧電素子2及び導電部材3の並列方向に沿
って設定されるとしているが、この分極軸Xは加速度作
用方向Gに対応し、その方向に沿う向きに設定されてい
ればよいのであり、図3や図4で示すような変形構造の
採用も可能である。すなわち、図3の変形例は圧電素子
2の分極軸Xが回路基板1の拡がり方向かつ圧電素子2
及び導電部材3の並列方向と直交する方向に沿う加速度
作用方向Gに基づいて設定された場合を示すものであ
り、図4の変形例は圧電素子2の分極軸Xが回路基板1
の法線方向に沿う加速度作用方向Gに基づいて設定され
た場合を示すものである。さらにまた、これらの圧電素
子2における分極軸Xそれぞれの向きが図面で示した場
合と逆向きであってもよいことはいうまでもない。
【0021】第2実施例 ところで、車載用エアバッグ装置に組み込んで使用され
る加速度センサは非常に高い信頼性を有するべきもので
あり、その故障は速やかに発見される必要がある。そし
て、最近では、別途設けられた外部故障診断装置を用い
ての故障診断を行う必要のない加速度センサ、すなわ
ち、いわゆる自己故障診断機能を有する加速度センサの
実現が強く求められている。そこで、以下、このような
自己故障診断機能を有する加速度センサであるところの
第2実施例について説明する。
【0022】図5ないし図7は本発明の第2実施例に係
る加速度センサを示しており、図5は加速度センサの全
体構造を簡略化して示す一部破断斜視図、図6はその要
部のみを拡大して示す一部破断斜視図、図7は要部の変
形例を示す一部破断斜視図である。なお、図5ないし図
7において第1実施例を示す図1ないし図4と互いに同
一もしくは相当する部品、部分には同一符号を付し、こ
こでの詳しい説明は省略する。
【0023】この加速度センサは、図5で示すように、
取り付け基台である回路基板1と、各々が直方体形状と
されたうえで加速度検出要素を構成する圧電素子2,導
電部材3及びウェイト4のそれぞれと、これらの部品と
共用されることによって故障検出要素を構成し、かつ、
圧電素子2と同等のものとして作成された圧電素子10
と、これらを一括的に封止するシールドケース5とを備
えている。そして、この回路基板1の表面上には加速度
信号出力電極6,加振入力電極11及びアース電極7が
並列配置されるともに、圧電素子2からの加速度信号を
処理する加速度信号処理回路及び故障診断用の疑似振動
信号を出力する加振駆動回路(ともに図示していない)
を含むハイブリッドIC8が取り付けられている。
【0024】すなわち、この実施例においては、図6で
示すように、加速度検出要素の構成部品でもある導電部
材3及びウェイト4と圧電素子10とを互いに組み合わ
せることによって故障検出要素が構成されているのであ
り、この圧電素子10は回路基板1の加振入力電極11
上に接着剤(図示していない)などを用いて固定されて
いる。そして、この圧電素子10における分極軸Yは、
圧電素子2の分極軸Xと同様、加速度作用方向Gに沿う
方向である回路基板1の拡がり方向で、かつ、圧電素子
2,10及び導電部材3の並列方向に沿うようにして分
極処理されている。
【0025】また、このとき、圧電素子2は回路基板1
の加速度信号出力電極6上に固定される一方、導電部材
3はアース電極7上に固定して接続されており、両圧電
素子2,10及び導電部材3上には少なくとも一面部が
導電性を有するウェイト4が架橋状に載置したうえで固
定されている。そこで、これらの加速度検出要素を構成
する圧電素子2及び導電部材3はウェイト4を介して圧
電素子10と一体化されていることになり、圧電素子2
と圧電素子10とは互いにウェイト4を通じて導通して
いることになる。
【0026】すなわち、ここでの圧電素子10は、その
一面が加振入力電極11上に固定される一方、他の一面
が導電性を有するウェイト4及び導電部材3のそれぞれ
を介したうえでアース電極7と直列に接続された構成を
有している。そこで、この圧電素子10に対してハイブ
リッドIC8に組み込まれた加振駆動回路から加振入力
電極11を通じて疑似振動信号を印加すると、圧電素子
10はその分極軸Yと平行な方向に沿って歪むことにな
り、この圧電素子10が歪むことによってウェイト4は
変位させられることになる。そのため、このウェイト4
を介して圧電素子10と一体的に連結された圧電素子2
にはせん断歪が生じることになり、この圧電素子2の加
速度信号出力電極6側の面上には第1実施例中で説明し
た理由に基づく電荷が誘起される。そこで、このように
して得られた疑似振動信号に基づく出力を通常の加速度
信号と同様に処理すると、加速度センサにおける故障の
有無が診断されることになる。
【0027】なお、図5及び図6においては圧電素子
2,10及び導電部材3がこの記載順序で並列配置され
ているが、この順序に限られるものではなく、図7で示
すように、両圧電素子2,10間に導電部材3を配置し
てもよい。また、このとき、圧電素子2,10それぞれ
における分極軸X,Yは加速度作用方向Gに沿って設定
されていればよく、これら分極軸X,Yの向きが限定さ
れないのは、第1実施例と同様である。
【0028】第3実施例 さらにまた、以上説明した第1及び第2実施例において
は、加速度センサを構成する導電部材3やウェイト4が
42Fe−Ni合金のような金属材料やカーボン素材な
どを用いて作成されたものであってよいとしている。し
かしながら、圧電素子2(10)がセラミック製である
のに対し、導電部材3やウェイト4、特には導電部材3
が金属材料などによって作成されたものである場合に
は、密度や硬さ、ヤング率などの機械的な性質や熱膨張
率において、金属材料やカーボン素材とセラミックとが
互いに大きく異なることに起因して圧電素子2(1
0),導電部材3及びウェイト4の組み合わせからなる
加速度検出要素(故障検出要素)における応力の均衡が
保たれなくなる結果、安定したセンサ出力が得られなく
なる恐れがある。
【0029】そこで、この種の加速度センサにおいて安
定したセンサ出力を得るためには、導電部材3及びウェ
イト4のそれぞれを圧電素子2(10)と同様のセラミ
ックによって作成しておくことが好ましいことになる。
そして、セラミック製のウェイト4を得るには、第1実
施例中でも述べたように、セラミックからなる直方体ブ
ロックの一面上に電極を形成しておけばよいことになる
一方、セラミックからなる導電部材3としては図8で示
すような構造の採用が考えられる。
【0030】すなわち、この図8で示す導電部材3は分
極処理が施されていないセラミックからなる直方体形状
の積層体12からなるものであり、この積層体12は、
図9で示すように、少なくとも一方の主表面上に銀ペー
ストを焼きつけてなる個別電極13が形成された短冊形
状のセラミック板14を互いの厚み方向に沿って複数枚
重ね合わせたうえで接着剤(図示していない)を用いて
接合することによって作成されている。そして、この積
層体12におけるウェイト4及びアース電極7と固定さ
れる両主表面、すなわち、個別電極13のそれぞれと直
交する両主表面上には各個別電極13と接続されて導通
する共通電極15が形成されており、この積層体12は
セラミック板14の重ね合わせ方向が加速度作用方向G
と一致するようにしたうえでアース電極7上に固定され
ている。
【0031】なお、この際における個別電極13がセラ
ミック板14の両主表面上に形成されていてもよいのは
勿論であり、これらの個別電極13及び共通電極15は
銀蒸着処理や銀ぺーストの焼き付け処理などによって形
成されるのが一般的である。また、セラミック製の導電
部材3を作成するにあたっては、当初から直方体形状と
して作成されたセラミック板を用意しておき、このセラ
ミック板の全面上にわたる電極を形成することも考えら
れるのであるが、このような構造を採用したのでは、セ
ラミック板の角部(稜線)における電極の厚みが薄くな
り過ぎてしまい、良好な導電性を得られなくなってしま
う恐れがある。
【0032】第4実施例 ところで、第3実施例によれば、セラミックからなる積
層体12を導電部材3として用いたことに基づき、ある
程度は安定したセンサ出力を得やすくなるのであるが、
図8で示したように、この積層体12を構成するセラミ
ック板14の重ね合わせ方向と加速度作用方向Gとが一
致しているために、十分満足しうる程にまで安定したセ
ンサ出力を得ることはできない恐れがある。すなわち、
この積層体12は複数枚のセラミック板14を接着剤で
接合したものであり、これらセラミック板14間には接
着剤が介在しているのであるから、この積層体12の有
するヤング率がセラミック単板に比べて低下したうえで
非対称状態となることは避けられず、セラミック板14
の重ね合わせ方向に沿って加速度が作用した場合におけ
る積層体12のせん断に対する抵抗状態が局部的に変化
することが考えられる。そして、このような不都合の発
生を防止するためには、図10において本発明の第4実
施例として示すような構成を採用すればよいことにな
る。
【0033】まず、この第4実施例に係る導電部材3と
しての積層体12は、第3実施例同様、分極処理が施さ
れておらずに少なくとも一方の主表面上に個別電極13
が形成された複数枚のセラミック板14を互いの厚み方
向に沿って重ね合わせたうえで接着剤を用いて接合され
たものであり、この積層体12におけるウェイト4及び
アース電極7のそれぞれと固定される各主表面上には個
別電極13の各々と接続されて導通する共通電極15が
形成されている。そして、この積層体12は、第3実施
例の場合と異なり、セラミック板14の重ね合わせ方向
が加速度作用方向Gと直交するようにしたうえでアース
電極7上に固定されている。そこで、加速度作用方向G
における積層体12の有するヤング率はセラミック単板
とほぼ同等となり、セラミック単板と同様の対称状態と
なる結果、加速度センサからは十分満足しうる程度に安
定したセンサ出力が得られるのである。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る第1
の加速度センサによれば、その加速度検出要素である圧
電素子が回路基板に対して全面的に密着した状態で固定
されているのであるから、作用する加速度が小さくても
敏感に応答しうることになり、また、耐衝撃性が向上す
ることになって過大な加速度が作用しても破壊されるこ
とはなくなる。そして、この圧電素子は加速度信号出力
電極上に固定され、かつ、導電性を有するウェイトの一
面部及び導電部材を介したうえでアース電極と直列接続
されているのであるから、従来例のようなリード線を用
いての接続構造を採用する必要がなくなる結果、断線の
発生を皆無とすることが可能となるばかりか、リード線
の共振による加速度検出の不良が生じる恐れもないとい
う効果が得られる。
【0035】また、本発明に係る第2の加速度センサに
よれば、故障検出要素としての圧電素子を設けたので、
加速度検出要素である圧電素子に対して疑似振動を加
え、かつ、この際に出力される加速度信号に基づいて加
速度センサの自己故障診断を行うことができることにな
った。さらにまた、セラミックからなる導電部材及びウ
ェイトを用いて加速度センサを構成することによって加
速度検出要素(故障検出要素)における応力の均衡を保
つことが可能となり、その結果としてセンサ出力の安定
化を図ることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る加速度センサの全体
構造を簡略化して示す一部破断斜視図である。
【図2】その要部のみを拡大して示す一部破断斜視図で
ある。
【図3】要部の変形例を示す一部破断斜視図である。
【図4】要部の他の変形例を示す一部破断斜視図であ
る。
【図5】本発明の第2実施例に係る加速度センサの全体
構造を簡略化して示す一部破断斜視図である。
【図6】その要部のみを拡大して示す一部破断斜視図で
ある。
【図7】要部の変形例を示す一部破断斜視図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る加速度センサの要部
のみを拡大して示す一部破断斜視図である。
【図9】その導電部材の作成手順を示す分解斜視図であ
る。
【図10】本発明の第4実施例に係る加速度センサの要
部のみを拡大して示す一部破断斜視図である。
【図11】従来例に係る加速度センサの全体構造を簡略
化して示す一部破断平面図である。
【図12】図11中のA−A線に沿って切断した構造を
示す側断面図である。
【符号の説明】
1 回路基板 2 圧電素子 3 導電部材 4 ウェイト 6 加速度信号出力電極 7 アース電極 10 加振入力電極 11 圧電素子 12 積層体 13 個別電極 14 セラミック板 15 共通電極 G 加速度作用方向 X 分極軸 Y 分極軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 宏志 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (72)発明者 井上 二郎 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特開 平3−20673(JP,A) 特開 平3−242555(JP,A) 特開 平5−133973(JP,A) 実開 平7−16168(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 15/09 B60R 21/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加速度信号出力電極(6)及びアース電
    極(7)が並列配置され、かつ、加速度信号処理回路を
    具備した回路基板(1)と、加速度信号出力電極(6)
    上に固定された圧電素子(2)と、アース電極(7)上
    に固定して接続された導電部材(3)と、この導電部材
    (3)及び圧電素子(2)上に架橋状に載置して固定さ
    れたウェイト(4)とを備えており、 圧電素子(2)はその分極軸(X)が加速度作用方向
    (G)に沿って設定されたものである一方、ウェイト
    (4)はその少なくとも圧電素子(2)及び導電部材
    (3)に固定される一面部が導電性を有するものである
    ことを特徴とする加速度センサ。
  2. 【請求項2】 加速度信号出力電極(6),加振入力電
    極(11)及びアース電極(7)が並列配置され、か
    つ、加速度信号処理回路及び加振駆動回路を具備した回
    路基板(1)と、加速度信号出力電極(6)及び加振入
    力電極(11)それぞれ上に固定された一対の圧電素子
    (2,10)と、アース電極(7)上に固定して接続さ
    れた導電部材(3)と、この導電部材(3)及び圧電素
    子(2,10)上に架橋状に載置して固定されたウェイ
    ト(4)とを備えており、 圧電素子(2,10)のそれぞれは各々の分極軸(X,
    Y)が加速度作用方向(G)に沿って設定されたもので
    ある一方、ウェイト(4)はその少なくとも圧電素子
    (2,10)及び導電部材(3)に固定される一面部が
    導電性を有するものであることを特徴とする加速度セン
    サ。
  3. 【請求項3】 導電部材(3)は、少なくとも一方の主
    表面上に個別電極(13)が形成されたセラミック板
    (14)の複数枚を互いの厚み方向に沿って接合した積
    層体(12)からなるものであり、ウェイト(4)及び
    アース電極(7)に固定される積層体(12)の両主表
    面上には個別電極(13)と導通する共通電極(15)
    が形成されていることを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の加速度センサ。
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JPH0611083U (ja) * 1992-07-09 1994-02-10 東洋通信機株式会社 コイン揚送装置

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