JP3096390B2 - 自動車用内装部品 - Google Patents

自動車用内装部品

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JP3096390B2 JP06233498A JP23349894A JP3096390B2 JP 3096390 B2 JP3096390 B2 JP 3096390B2 JP 06233498 A JP06233498 A JP 06233498A JP 23349894 A JP23349894 A JP 23349894A JP 3096390 B2 JP3096390 B2 JP 3096390B2
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Toyota Motor Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無塗装で使用できる、
エラストマー表皮を有する自動車用内装部品に関する。
より具体的に言えば、本発明は、光沢が低く、ソフト感
があり、表面のべとつきがない、射出成形外観に優れ
た、エラストマー表皮を有する自動車内装部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車用内装部品は、ポリプロピ
レンの単層成形体や貼り込み工法、スラッシュ工法、射
出成形工法等により成形されたポリ塩化ビニル(PV
C)シートを表皮とした成形体であった。しかし、ポリ
プロピレンの単層成形体ではソフト感に劣り、また、P
VCシートを表皮とした成形体においては、シート成
形、シボ付け真空成形、貼り込み等の極めて多くの工程
の組み合わせを要することから、生産効率が低い、素材
の歩留りが悪い、リサイクルが困難、といった問題点を
抱えていた。
【0003】これらの問題点を解決する試みの一つとし
て、基材に硬質の熱可塑性樹脂を用い、表層材に熱可塑
性エラストマーを用いた成形体が、既に自動車用内装部
品として実用化されている。このような従来の自動車内
装部品は、大別すると次の二通りの方法で成形されてい
る。 (1) 表皮(エラストマー)を予めシート状に成形し、そ
の後にスタンピング成形(フロースタンピング)、イン
サート成形等の各種成形法を利用して成形する方法。 (2) 表皮自体をインジェクションで成形する成形法(二
色(層)成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形
法)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにして構成される自動車用内装部品にはいずれも、エ
ラストマー特有のべとつきがあり、その結果ホコリが付
着しやすく、また取れにくい等の不具合や、エラストマ
ーにキズが付きやすいという問題点がある。このほかに
も、熱可塑性エラストマーを表層材とした場合、光沢、
成形外観等が問題となる。
【0005】そのために、表皮をエラストマーで構成し
た従来の自動車用内装部品のほとんどは表面コーティン
グが施されている。このことから、工程数が増え、歩留
りの低下や生産コストの上昇といった問題が生じてい
る。特に上述の(2) の成形法においては、製品自体にコ
ーティング又は塗装をしなければならないため、大幅な
コストの上昇になるばかりか、エラストマーの弾力性を
表面に伝えるために軟らかい塗料が必要で、塗料が限定
され、しかもそのほとんどがプライマー及びウレタン塗
料で構成されるため塗膜が厚くなり、シボ等の転写性も
悪くなっている。
【0006】本発明の目的は、塗装などの表面処理を必
要としない、触感と光沢の優れた、見た目にも軟らかさ
を感じるエラストマー表皮を備えた、自動車用の射出成
形内装部品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上
述の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特
定の重量平均分子量を持つスチレン系熱可塑性エラスト
マー成分と特定の樹脂成分とを特定の割合で配合した材
料から表皮(表層)を形成することにより、光沢が低
く、ソフト感があり、表面のべとつきがなく、射出成形
外観に優れた自動車用内装部品が得られることを見いだ
して、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は、曲げ弾性率が10,
000kg/cm2 以上のオレフィン系樹脂基材と、特
定成分を特定割合で配合したスチレン系熱可塑性エラス
トマーから形成された、JIS−A硬度が50〜95
で、平均肉厚が1.5〜3mmの表皮とで構成されてい
ることを特徴とする自動車用内装部品を提供するもので
ある。本発明の自動車用内装部品では、表皮は融着によ
って基材に結合している。
【0009】本発明の自動車用内装部品の表皮を形成す
る特定成分とは、次に掲げる(A)〜(F)の各成分で
ある。 (A)重量平均分子量150,000〜300,000
のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加
物。 (B)重量平均分子量100,000〜150,000
未満のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添
加物。 (C)重量平均分子量50,000〜100,000未
満のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加
物。 (D)パラフィン系オイル。 (E)ポリプロピレン樹脂。 (F)密度が0.940g/cm3 以下のポリエチレン
樹脂。
【0010】そして本発明では、これらの各成分を次の
割合で配合して、表皮の熱可塑性エラストマーを構成す
る。すなわち、成分(A)〜(C)を、A:B:C=
(1〜6):(1〜6):(1〜6)で、且つA+B+
C=10となる成分比で配合し、且つ、これらの成分
(A)〜(C)の合計40〜80重量%に対する成分
(D)の配合割合を60〜20重量%とし、そしてこれ
らの成分(A)〜(D)の合計100重量部に対して、
成分(E)を10〜60重量部、成分(F)を1〜40
重量部配合する。
【0011】なお、この明細書でいう「重量平均分子
量」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により
次の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量
である。 ・測定機器:150C ALC/GPC(MILLIPORE社
製) ・カラム :AD80M/S(昭和電工(株)製)3本 ・溶 媒 :o−ジクロロベンゼン ・温 度 :140℃ ・流 速 :1ml/分 ・注入量 :200μl ・濃 度 :2mg/ml(酸化防止剤2,6−ジ−t
−ブチル−p−フェノールを0.2重量%添加。濃度検
出はFOXBORO 社製赤外分光光度計MIRAN1Aにより
波長3.42μmで測定。)
【0012】次に、上記の各成分を個別に詳しく説明す
る。本発明に用いられる成分(A)は、重量平均分子量
150,000〜300,000のスチレン・共役ジエ
ンブロック共重合体の水素添加物である。このスチレン
・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、
スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物で
あるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体
(以下単に「SEBS」と略記することがある)、ある
いは、スチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添
加物であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン
共重合体(以下単に「SEPS」と略記することがあ
る)、あるいは、スチレン・イソプレン・ブタジエンブ
ロック共重合体の水素添加物を挙げることができる。
【0013】これらのスチレン・共役ジエンブロック共
重合体の水素添加物は、スチレン含有量が5〜50重量
%、好ましくは8〜45重量%、特に好ましくは10〜
40重量%、水素添加率が95%以上のブロック共重合
体を用いることが重要である。
【0014】これらのスチレン・共役ジエンブロック共
重合体の水素添加物の製造方法としては、例えば、特公
昭40−23798号公報に記載された方法により、リ
チウム触媒等を用いて不活性溶媒中でスチレン・ブタジ
エンブロック共重合体を合成し、次いで、例えば、特公
昭42−8704号、特公昭43−6636号、特開昭
59−133203号、特開昭60−79005号各公
報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触
媒の存在下に水素添加する方法等を挙げることができ
る。
【0015】成分(A)のスチレン・共役ジエンブロッ
ク共重合体の水素添加物の重量平均分子量が300,0
00を超えると、成形性が劣るものになる。
【0016】本発明に用いられる成分(B)は、重量平
均分子量100,000〜150,000未満のスチレ
ン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物である。
このスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加
物の代表例は、SEBS,SEPS、あるいはスチレン
・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加
物である。
【0017】これらのスチレン・共役ジエンブロック共
重合体の水素添加物は、スチレン含有量が5〜50重量
%、好ましくは8〜45重量%、特に好ましくは10〜
40重量%、水素添加率が95%以上のブロック共重合
体を用いることが重要である。また、これらの成分
(B)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素
添加物も、上記の成分(A)の製造方法と同様の方法で
製造することができる。
【0018】本発明に用いられる成分(C)は、重量平
均分子量50,000〜100,000未満のスチレン
・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物である。こ
のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
の代表例は、SEBS,SEPS、あるいはスチレン・
イソプレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物
である。
【0019】これらのスチレン・共役ジエンブロック共
重合体の水素添加物は、スチレン含有量が5〜50重量
%、好ましくは8〜45重量%、特に好ましくは10〜
40重量%、水素添加率が95%以上のブロック共重合
体を用いることが重要である。また、これらの成分
(C)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素
添加物も、上記の成分(A)の製造方法と同様の方法で
製造することができる。
【0020】成分(C)のスチレン・共役ジエンブロッ
ク共重合体の水素添加物の重量平均分子量が50,00
0未満であると、成形品がゴム弾性、機械的強度に劣る
ものになる。
【0021】本発明で用いる成分(D)のパラフィン系
オイルとしては、40℃での動粘度が20〜800cS
t、好ましくは50〜600cSt、流動点が0〜−4
0℃、好ましくは0〜−30℃、そして引火点(CO
C)が200〜400℃、好ましくは250〜350℃
のオイルが好適に使用される。
【0022】オイルは一般に、芳香族環、ナフテン環及
びパラフィン鎖の三者を組み合わせた混合物であって、
パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50%以上を占めるも
のがパラフィン系オイル、ナフテン環炭素数が30〜4
5%のものがナフテン系オイル、また、芳香族炭素数が
30%より多いものが芳香族系オイルとそれぞれ呼ばれ
て区別されている。これらの中でパラフィン系オイル以
外のオイルを使用した場合は、本発明の顕著な効果が得
られない。
【0023】本発明で用いる成分(E)は、ポリプロピ
レン樹脂である。具体的には、メルトフローレート(M
FR)(JIS K 6758、230℃、2.16k
g荷重)が0.01〜80g/10分、好ましくは0.
1〜70g/10分、特に好ましくは0.5〜50g/
10分で、エチレン含量が0〜15重量%、好ましくは
1〜13重量%、特に好ましくは2〜10重量%の範囲
の結晶性ポリプロピレン樹脂である。
【0024】メルトフローレートが上記範囲未満のもの
を成分(E)として用いた場合は射出成形性が悪化し、
得られた射出成形体の外観が悪化し、特にフローマーク
の発生が著しくなる。メルトフローレートが上記範囲を
越えるものを用いた場合は材料強度が低下する。また、
エチレン含量が上記範囲を越えたものを用いた場合に
は、耐熱性が悪化する。ここでいうエチレン含量とは赤
外スペクトル分析法等により測定される値である。
【0025】本発明において用いられる成分(F)のポ
リエチレン樹脂は、常法により製造され、密度が0.9
40g/cm3 以下、好ましくは0.939g/cm3
以下、特に好ましくは0.938g/cm3 以下のポリ
エチレン樹脂である。
【0026】このようなポリエチレン樹脂としては、高
圧法により得られる低密度ポリエチレン樹脂、中低圧法
により得られるエチレンとα−オレフィンの共重合体で
ある低密度、中密度ポリエチレン樹脂が挙げられる。コ
モノマーである直鎖α−オレフィンとしては、ブテン−
1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン
−1、オクテン−1等が挙げられ、これらを2種以上併
用しても良い。製造法としては、圧力5〜2,500k
g/cm2 、温度50〜300℃の条件下で、チーグラ
ー型触媒、バナジウム型触媒、カミンスキー型触媒等の
触媒を使用して、エチレンとα−オレフィンを共重合す
る方法が採られる。例えば、特公昭56−18132号
公報等の方法が知られている。
【0027】これらの中で、特に高圧法により得られる
ポリエチレン樹脂が好ましい。密度が上記範囲を超える
ものを用いた場合には、得られた射出成形体の外観が悪
化(表面の荒れやフローマーク等の発生)する。
【0028】本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー
には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を著しく損
なわない範囲で各種目的に応じ他の成分を配合すること
ができる。特に、本発明の自動車用内装部品は塗装をし
ないで使用することから、他の内装部品との色の統一
(色合わせ)が必須であるので、着色剤は重要な成分で
ある。
【0029】任意成分としては、例えば、酸化防止剤、
熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、潤
滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、分散
剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、架橋剤、金属
不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各
種添加剤、必須成分以外の熱可塑性樹脂、同エラストマ
ー、フィラー等を挙げることができ、これらの中から任
意のものを単独で又は併用して用いることができる。
【0030】ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・アクリル酸エステル共重合体、ポリフェニレンエー
テル、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリブテン−1等があ
る。
【0031】また、任意成分のエラストマーとしては、
例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EP
M)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴ
ム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合体ゴム、エチ
レン・プロピレン・ブテン共重合体ゴム等のエチレン系
エラストマーや、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、
スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラ
ストマーや、ポリブタジエン等がある。更に、フィラー
としては、タルク、炭酸カルシウム等がある。
【0032】次に、上記の各成分(A)〜(F)の量比
を説明する。本発明の無塗装で使用できる二色成形の自
動車用内装部品の表皮層を構成するスチレン系熱可塑性
エラストマーは、基本的に上記構成成分(必須成分)
(A)〜(F)を配合してなるものであるが、それらの
各成分の配合割合が特に重要である。
【0033】上記成分(A)の配合量は、前記成分
(B),(C)との成分比がA:B:C=(1〜6):
(1〜6):(1〜6)で、且つA+B+C=10、好
ましくは、A:B:C=(1〜5):(1〜5):(1
〜5)で、且つA+B+C=10の割合で使用される。
【0034】成分(A)の比率が上記範囲を超えるとフ
ローマーク性が悪くなり、成分(A)の比率が上記範囲
未満では成形品の光沢が上がり内装部品として不適であ
る。成分(B)の比率が上記範囲を超えるとフローマー
ク性、光沢ともに悪くなり、成分(B)の比率が上記範
囲未満では成形外観が悪くなる。成分(C)の比率が上
記範囲を超えると成形品の光沢が上がり内装部品として
不適であり、成分(C)の比率が上記範囲未満ではフロ
ーマーク性が悪くなる。
【0035】更に、これらの成分(A)〜(C)の合計
配合量は、前記成分(D)との合計量100重量部中に
40〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の割合
にて使用される。従って、成分(D)の配合量は、前記
成分(A)〜(C)との合計量100重量部中に60〜
20重量%、好ましくは60〜30重量%の割合にて使
用される。成分(D)の配合量が上記範囲を超えると成
形品表面にべとつきが発生する。また、上記範囲未満で
は成形時の流動性が悪くなる。
【0036】上記成分(E)の配合量は、前記成分
(A)〜(D)の合計100重量部に対して10〜60
重量部であり、好ましくは15〜58重量部である。成
分(E)の配合量が上記範囲を超えると成形品はソフト
感に劣り、上記範囲未満では耐熱性が悪化する。
【0037】上記成分(F)の配合量は、前記成分
(A)〜(D)の合計100重量部に対して1〜40重
量部であり、好ましくは5〜30重量部である。成分
(F)の配合量が上記範囲を超えると成形品はソフト感
に劣り、上記範囲未満では成形品表面にべとつきが発生
する。
【0038】次に、本発明の自動車用内装部品の製造に
ついて説明する。本発明の自動車用内装部品は、射出成
形された基材(芯材)に、表皮材を射出成形し製造され
た積層成形体である。
【0039】基材として用いることができるオレフィン
系樹脂材料としては、プロピレンホモポリマー、プロピ
レン・エチレンランダムコポリマー、又はプロピレン・
エチレンブロックコポリマーを挙げることができる。こ
れらは単独あるいは2種以上の混合物であってもよい。
更に、これらのプロピレンポリマーに対し、剛性・耐熱
性を付与するために、ガラス繊維、タルク、炭酸カルシ
ウム、ウイスカー等の無機フィラーを他の副資材、例え
ば酸化防止剤を含む各種添加剤とともに配合して用いて
もよい。
【0040】オレフィン系樹脂としては、JIS K
7203による曲げ弾性率が10,000kg/cm2
以上のものを用いることができる。曲げ弾性率が10,
000kg/cm2 未満のものでは、自動車用内装部品
に要求される剛性、強度等の機械的特性、耐熱性、耐久
性を満たすことができない。
【0041】表皮材は、上述の(A)〜(F)の各成分
からなる、JIS K 6301によるJIS−A硬度
が50〜95、好ましくは60〜93のスチレン系熱可
塑性エラストマーであり、JIS−A硬度が上記範囲を
超えるものはソフト感に劣り、上記範囲未満のものは表
面にべたつきが発生し、ホコリの付着性の点から好まし
くない。表皮の平均肉厚は1.5〜3mmであることが
重要であり、上記範囲を超えるものはソフト感に劣り、
上記範囲未満のものは基材と表皮との付着性が悪くな
る。
【0042】本発明の自動車用内装部品の製造に用いら
れる成形法としては、予め基材(芯材)を射出成形し、
賦形された成形品を金型内にインサートした後、該成形
品と金型との間の空隙に表皮材を射出成形するインサー
ト成形法、あるいは、2台以上の射出成型機を用いて、
基材を射出成形した後に、金型が回転又は移動すること
により金型のキャビティが交換され、該成形基材と金型
の間に空隙ができ、そこに表皮材を射出成形する二色成
形法、あるいは、溶融樹脂の層流状態を利用し表皮、コ
アをもった成形品をつくるサンドイッチ成形法等を挙げ
ることができる。
【0043】
【作用】本発明においては、上述の如く特定の重量平均
分子量を持つスチレン系熱可塑性エラストマー成分と特
定の樹脂成分とを特定の割合で配合した表皮材料が、完
成した自動車用内装部品の表皮を、光沢が低く、ソフト
感があり、表面のべとつきがなく、射出成形外観に優れ
たものにし、その結果表皮の塗装を不要にする。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに例示
的に示して、本発明を詳しく説明する。なお、ここで使
用した原材料、成形装置及び成形方法、表皮材の物性測
定方法、そして成形品の評価方法は、次に示す通りであ
る。
【0045】1.原材料 1)表皮(表層)材 ・成分(A) A−1: SEBS(重量平均分子量246,000、
スチレン含量33%、水素添加率≧98%) A−2: SEPS(重量平均分子量238,000
スチレン含量35%、水素添加率≧98%) ・成分(B) B−1: SEBS(重量平均分子量110,000、
スチレン含量28%、水素添加率≧98%) B−2: SEPS(重量平均分子量105,000、
スチレン含量30%、水素添加率≧98%) ・成分(C) C−1: SEBS(重量平均分子量85,700、ス
チレン含量29%、水素添加率≧98%) C−2: SEPS(重量平均分子量73,300、ス
チレン含量30%、水素添加率≧98%) ・成分(D) D−1: パラフィン系オイル(平均分子量746、環
分析0%、動粘度(40℃)381.6cSt、流動点
−15.0℃、引火点300℃) ・成分(E) E−1: JIS K 7203による曲げ弾性率が1
0,000kg/cm2 、MFR(230℃、2.16
kg)が33g/10分、且つエチレン含量が8.0重
量%のエチレン・プロピレンブロック共重合体 ・成分(F) F−1: 密度0.918g/cm3 、且つMFR(1
90℃、2.16kg)が4g/10分の低密度ポリエ
チレン F−2: 密度0.958g/cm3 、且つMFR(1
90℃、2.16kg)が20g/10分の高密度ポリ
エチレン
【0046】2)基材 S−1: JIS K 7203による曲げ弾性率が1
5,000kg/cm2 、且つMFR(230℃、2.
16kg)が30g/10分のエチレン・プロピレンブ
ロック共重合体 S−2: JIS K 7203による曲げ弾性率が
8,500kg/cm 2 、且つMFR(230℃、2.
16kg)が4g/10分のエチレン・プロピレンブロ
ック共重合体
【0047】2.成形装置及び成形方法 使用した成形装置と成形方法を次の表1にまとめて示
す。
【0048】
【表1】
【0049】3.表皮材の物性測定方法 1)JIS−A硬度 表1に示した成形条件で調製された厚さ4mmの射出
成形シート3枚を重ねて厚みを12mmとしたものを用
い、JIS K 6301に準拠して測定した。 2)メルトフローレート(MFR) JIS K 7210に準拠。230℃及び190℃、
2.16kg荷重。 3)曲げ弾性率 表1に示した成形条件で調製された厚さ4mmの射出
成形シートを用い、JIS K 7203に準拠して測
定した。
【0050】4.成形品の評価方法 1)射出成形性(離型性) 表1に示した成形条件による射出成形において、離型
性が良好で全く問題のないものを、下記の表2に示すよ
うに○とし、型開き又は離型時に成形品がキャビティ側
にとられたり、コア側から成形品がスムーズに取り出せ
ない場合は×として評価した。 2)射出成形体外観(フローマーク) 表1に示した成形条件で調製したピラー状射出成形体
を用い、目視にてフローマークの有無を評価し、その結
果ほとんどフローマーク等のないものを○とし、フロー
マーク等のあるものを×とした。 3)射出成形体外観(平滑性) 表1に示した成形条件で調製したピラー状射出成形体
を用い、目視にて平滑性を評価し、その結果ほとんど平
滑なものを○、表面荒れ等のあるものを×とした。 4)射出成形体外観(べとつき性) 表1に示した成形条件で調製したピラー状射出成形体
を用い、パネラー10人にて官能評価し、べとつきのな
いものを○、べとつきのあるものを×とした。 5)射出成形体外観(光沢) 表1に示した成形条件で調製された厚さ4mmの射出
成形シートを用い、光沢度計(グロス60°)(スガ試
験機製)にて光沢値を測定し、1.6以下を○、1.6
を超えるものを×とした。 6)熱変形性 上記の射出成形体外観(フローマーク)の評価で使用し
たのと同様の射出成形体を、−30℃(8時間)、80
℃(8時間)にて3サイクル処理し、目視によって成形
体の変形を評価し、変形の認められるものは×、変形の
ほとんどないものは○とした。 7)ソフト感 表1に示した成形条件で調製したピラー状射出成形体
を用い、パネラー10人にて官能評価し、ソフト感のあ
るものを○、ソフト感のないものを×とした。
【0051】実施例1〜9 各配合成分(A)〜(F)を、表2及び表3に示した配
合に従いヘンシェル型ミキサーでブレンドし、その後4
5mm径の二軸押出機にて、200℃で溶融混練してペ
レットを得た。このペレットを用い、表1の成形条件
及びに従って射出成形し、120×120×4mmの
成形シート及び図1に示したピラーガーニッシュ成形体
1の評価用サンプルを調製した。各サンプルについて、
上述の物性測定方法及び評価方法による測定及び評価を
行った。得られた結果を表2及び表3に示す。
【0052】比較例1〜12 配合成分(A)〜(F)を、表4〜6に示した配合に従
いヘンシェル型ミキサーでブレンドし、その後上記の実
施例と同様に評価用サンプルを調製し、物性測定及び成
形体の評価を行った。その結果を表4〜6に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】これらから明らかなように、本発明による
実施例のサンプルの評価では、射出成形性、射出成形体
外観、熱変形性の全てについて良好な結果が得られたの
に対し、比較例のサンプルにおいては、射出成形性、射
出成形体外観、熱変形性、ソフト感のいずれかに不良が
認められた。
【0059】実施例10 表3に示した配合に従いヘンシェルミキサーでブレンド
し、その後45mm径の二軸押出機にて、200℃で溶
融混練してペレットを得た。このペレットを用い、表1
の成形条件に従って射出成形したピラーガーニッシュ
成形体について、下記の条件で自動車内装品としての製
品評価をした。
【0060】 評価項目 条 件 規 格 耐熱性 80℃×20h 変形のないこと(±0.5 mm以下) 耐湿性 50℃、95 RH%×20h 変形のないこと(±0.5 mm以下) 耐老化性 80℃×400 h 割れ、亀裂、変色のないこと 湿老化性 50℃、95 RH%×400 h 割れ、亀裂、変色のないこと
【0061】結果は、いずれのピラーガーニッシュ成形
体についても、全ての項目について異常なしで、耐熱性
と耐湿性の評価における変形量はそれぞれ0.35m
m、0.45mmであり、著しい変形は認められなかっ
た。
【0062】このように、本発明による成形体は、自動
車用内装部品としての性能を満足することから、ピラー
ガーニッシュ以外にも、同様の自動車部品であるインス
トルメントパネル、インストルメントパネルロア、エア
バッグカバー、ドアグラブ、コンソールボックス、ドア
トリム、シフトノブ、アシストグリップ、シートアジャ
スタ、リモコンスイッチ、サンバイザー、バックミラー
カバー、ルームミラーカバー、カップホルダー、コイン
ボックス、レジスタ、灰皿アッパー、ドアフレームガー
ニッシュ、コラムカバー、アームレスト、インナーパネ
ル、ルーバーガーニッシュ等の、インジェクション成形
(射出成形、サンドイッチ成形、ガスインジェクショ
ン、二色成形、二層成形)で成形できる全ての自動車用
内装部品に適応できる。
【0063】一例として、本発明の成形品をリモコンス
イッチに応用した例を図2に示す。この図に示したリモ
コンスイッチ10は、基材11、表皮12、及びプッシ
ュスイッチ13から構成され、表皮を押圧することによ
り作動するものである。このようなリモコンスイッチ
は、例えば車内から遠隔操作により車庫を開閉するスイ
ッチ(ガレージオープナー)や、カーオーディオ用のリ
モコンスイッチとして使用されるものであり、そしてそ
れらをまるごとケースに収容して用いられるようなもの
である。
【0064】本発明の自動車用内装部品にあっては、基
材をオレフィン系樹脂以外の材料で製作することも可能
である。このようにオレフィン系以外の材料を使用した
場合、すなわち基材材料と表皮材料との溶着が期待でき
ない場合には、表皮を基材に対して固定するために、例
えば、図3に例示するように基材21に貫通孔25を設
け、表皮22を形成する材料の一部をこの貫通孔を通し
て基材21の裏側に回り込ませることができる。また、
もう一つの例として、図4に示すように基材31の末端
部で表皮32の先端を基材の裏側に回り込ませることで
表皮を固定してもよい。また、表皮が1.5mm未満の
ため基材と表皮との付着性が悪い場合も、同様の方法で
貫通孔又は末端部で表皮の先端を基材の裏側に回り込ま
せることにより表皮を固定することができる。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、エラストマー表皮を有する自動車用内装部品
の表皮のべとつきを防止することができるため、塗装等
による表面処理が不要の内装部品を提供することが可能
になる。本発明のエラストマー表皮を備えた自動車用内
装部品は、べとつき性以外の射出成形体外観にも優れて
おり、更に耐熱、耐湿性、熱老化、湿老化性も良好であ
り、もちろんながらその射出成形性にも優れていること
から、上記のように各種の内装部品として非常に都合よ
く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例で作製したピラーガ
ーニッシュを示す斜視図である。
【図2】本発明による内装部品の一例であるリモコンス
イッチを説明する図である。
【図3】基材をオレフィン系樹脂以外の材料で製作する
場合の基材と表皮との固定の仕方の一例を説明する図で
ある。
【図4】基材をオレフィン系樹脂以外の材料で製作する
場合の基材と表皮との固定の仕方のもう一つの例を説明
する図である。
【符号の説明】
1…ピラーガーニッシュ 10…リモコンスイッチ 11…基材 12…表皮 13…プッシュスイッチ 21…基材 22…表皮 25…貫通孔 31…基材 32…表皮
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 隆領 愛知県豊田市下市場町3丁目30番地 小 島プレス工業株式会社内 (72)発明者 青塚 和憲 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 伊藤 一夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 高橋 英樹 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化 株式会社 四日市総合研究所内 (72)発明者 西谷 吉憲 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化 株式会社 四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−143332(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 13/02 B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曲げ弾性率が10,000kg/cm2
    以上のオレフィン系樹脂基材と、下記の各成分(A)〜
    (F)を、成分(A)〜(C)をA:B:C=(1〜
    6):(1〜6):(1〜6)で、且つA+B+C=1
    0となる成分比で配合し、且つ、これらの成分(A)〜
    (C)の合計40〜80重量%に対する成分(D)の配
    合割合を60〜20重量%とし、そしてこれらの成分
    (A)〜(D)の合計100重量部に対して、成分
    (E)を10〜60重量部、成分(F)を1〜40重量
    部配合してなるスチレン系熱可塑性エラストマーから形
    成された、JIS−A硬度が50〜95、そして平均肉
    厚が1.5〜3mmの表皮とで構成されていることを特
    徴とする自動車用内装部品。 (A)重量平均分子量150,000〜300,000
    のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物 (B)重量平均分子量100,000〜150,000
    未満のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添
    加物 (C)重量平均分子量50,000〜100,000未
    満のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加
    物 (D)パラフィン系オイル (E)ポリプロピレン樹脂 (F)密度が0.940g/cm3 以下のポリエチレン
    樹脂
  2. 【請求項2】 前記成分(A)〜(C)のスチレン含有
    量が5〜50重量%であり、水素添加率が95%以上で
    ある、請求項1記載の自動車用内装部品。
  3. 【請求項3】 前記成分(D)の40℃での動粘度が2
    0〜800cSt、流動点が0〜−40℃、引火点が2
    00〜400℃である、請求項1又は2記載の自動車用
    内装部品。
  4. 【請求項4】 前記成分(E)のメルトフローレートが
    0.01〜80g/10分、エチレン含量が15%以下
    である、請求項1から3までのいずれか一つに記載の自
    動車用内装部品。
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