JP3091614B2 - テレビ信号判別回路 - Google Patents

テレビ信号判別回路

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JP3091614B2
JP3091614B2 JP05300563A JP30056393A JP3091614B2 JP 3091614 B2 JP3091614 B2 JP 3091614B2 JP 05300563 A JP05300563 A JP 05300563A JP 30056393 A JP30056393 A JP 30056393A JP 3091614 B2 JP3091614 B2 JP 3091614B2
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文明 本多
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はテレビ信号判別回路に
関する。より特定的には、この発明は、SECAM方
式、PAL方式およびNTSC方式などのように放送方
式が異なるカラーテレビジョン信号を選択的に受信でき
るテレビジョン受像機またはテレビジョン信号記録再生
装置においてカラーテレビジョン信号方式を判別する、
テレビ信号判別回路に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来技術の一例が、昭和57年
12月20日付で出願公開された特開昭57−2074
94号公報において開示されている。この従来技術で
は、入力カラー信号を高いQのバンドパスフィルタを通
すことによってサブキャリア周波数に応じた電圧信号が
得られ、この電圧信号を水平周波数(fH)の1/2の
周波数を同調点とする共振アンプに与える。共振アンプ
の出力が正弦波なら、1水平走査期間(以下、1Hと略
す)毎にサブキャリア周波数が変化するSECAM方式
であることが判別できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来技術では、セ
ラミックフィルタや1/2fH 共振アンプを用いる必要
があり、信号判別回路を集積回路で構成するのが困難で
あるという問題点があった。
【0004】そこで、本出願人は、上述の欠点を解決す
べく、既に図11に示すテレビ信号判別回路を提案して
いる。
【0005】しかしながら、図11に示すテレビ信号判
別回路は、ノイズやクロストークに起図する誤判別の頻
度が大きいという欠点を有している。
【0006】以下、これについて詳述する。
【0007】まず、図11に示す技術では、サンプルホ
ールド回路46の充放電時定数は、バーストゲートパル
ス期間内で完全に充放電してしまうような短い時定数に
する必要がある。
【0008】なぜならば、SECAM時には、1H毎に
ホールドレベルが大きく変化するために、時定数を長く
するとバーストゲートパルス期間に所定のレベルまで充
電・放電が完了せず、SECAM信号時の判別感度が悪
くなってしまう。
【0009】そのために、サンプルホールド回路46の
特性としては、時定数を短く設計する必要がある。しか
し、サンプルホールド回路46の時定数を短くするとい
うことは、ノイズやクロストーク成分による影響を受け
易く、本来バースト周波数以外にノイズ等の周波数をも
ホールドしてしまう。
【0010】特に、PAL信号の場合には、バースト信
号の後部は無信号(キャリアがない)なので、この部分
に存在するノイズ、及びクロストーク成分に大きく左右
されてしまい、PAL信号であるのにSECAM信号と
判別するような場合が増えることになる。
【0011】それゆえに、この発明の主たる目的は、容
易に集積回路に組み込めるとともに、ノイズやクロスト
ークによる誤動作を発生しにくいテレビ信号判別回路を
提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、入力カラー信
号のサブキャリア周波数に応じたレベルの電圧信号を出
力する電圧信号出力手段と、前記電圧信号を入力信号と
する第1、第2のサンプルホールド手段と、前記第1、
第2のサンプルホールド手段の出力信号を1ライン毎に
交互に取り出す第1、第2の切換手段と、前記第1、第
2の切換手段からの信号に基づいて判別信号を出力する
判別信号出力手段とを備えるテレビ信号判別回路であ
る。
【0013】また、本発明の電圧信号手段は、サブキャ
リア周波数を位相を表す信号として出力する第1手段、
および前記位相を表す信号を電圧信号に変換する第2手
段を含む。
【0014】また、本発明の第1、第2のサンプルホー
ルド手段は、前記電圧信号のピーク値の平均レベルを出
力する同一特性のサンプルホールド手段であって、前記
第1、第2のサンプルホールド手段に供給されるコント
ロールパルスは互いに1水平走査期間(1H)ずれた2
水平走査期間(2H)間隔のパルス信号であることを含
む。
【0015】また、本発明の第1、第2の切換手段は、
前記第1、第2のサンプルホールド手段からの出力信号
を1水平走査期間(1H)毎に交互に取り出す切換手段
であり、かつ前記第1、第2の切換手段の出力信号は、
互いに異なったサンプルホールド手段からの信号である
ことを含む。
【0016】
【作用】電圧信号出力手段は、例えばオールパスフィル
タや位相比較器を含む。第1手段では、入力カラー信号
のサブキャリア周波数を位相を表す信号として第2手段
に与える。例えばローパスフィルタを含む第2手段では
その信号を電圧信号に変換する。この電圧信号を第1と
第2のサンプルホールド回路で2H間ホールドされる。
第1のサンプルホールド回路は、例えば奇数ラインのバ
ーストゲートパルスでサンプルホールドされ、第2のサ
ンプルホールド回路は、偶数ラインのバーストゲートパ
ルスでサンプルホールドされる。
【0017】前記第1、及び第2のサンプルホールド回
路の出力信号は、第2、及び第3の切換回路に入力され
て、1H毎に交互に取り出される。この切換回路では、
第2の切換回路に第1のサンプルホールド回路からの信
号が出力されるとき、第3の切換回路からは第2のサン
プルホールド回路からの信号が出力されるように制御さ
れる。逆に、第2の切換回路から第2のサンプルホール
ド回路からの信号が出力されているとき、第3の切換回
路からは第1のサンプルホールド回路からの信号が出力
されるように制御される。判別信号出力手段では、第
2、及び第3の切換回路から出力される信号を比較し
て、比較結果に応じて判別信号を得る。
【0018】SECAM方式では、サブキャリア周波数
が、1ライン毎に交互に4.25MHZまたは、4.41
MHZに変化されるので、全てのラインが同じサブキャ
リア周波数であるPAL方式やNTSC方式とは異なる
判別信号が得られる。
【0019】
【実施例】図1を参照して、この実施例のテレビ信号判
別回路10はマルチプレクサ12を含む。マルチプレク
サ12には、カラー信号および周波数信号fSCが入力さ
れる。周波数信号fscは、例えばPAL方式のサブキャ
リア周波数(4.43MHZ)またはSECAM方式のサ
ブキャリア周波数(4.41MHZまたは4.25MHZ)
いずれかに等しいか、またはその近傍の所定値に設定さ
れる。この実施例では、周波数信号fSCの周波数は、P
AL方式のサブキャリア周波数と等しい4.43MHZ
に設定される。従って、この実施例によれば、PAL方
式の周波数信号をそのまま用いることができるので、特
別な信号発生器を別途設ける必要がないという利点があ
る。但し、その周波数は4.43MHZに限定されないこ
とはいうまでもない。
【0020】そして、マルチプレクサ12には、バース
トゲートパルス(BGP)が与えられ、バーストゲート
パルスが与えられているバースト期間中にはマルチプレ
クサ12からはカラー信号が出力され、バースト期間以
外の期間には周波数信号fSCが出力される。マルチプレ
クサ12の出力は比較的低いQ(例えばQ=12)のオ
ールパスフィルタ(以下、「APF」と略す)14に与
えられる。
【0021】APF14は図2に示すように差動増幅器
16を含む。差動増幅器16の(+)入力には抵抗R1
を介してマルチプレクサ12からの出力が与えられる。
差動増幅器16の(+)入力と抵抗R1との間には抵抗
R2の一方端が接続され、抵抗R2の他方端は接地され
る。また、差動増幅器16の(−)入力には、抵抗R
3、バッファ18および抵抗R4の直列回路を介して、
マルチプレクサ12の出力が与えられる。また、バッフ
ァ18と抵抗R4との間には、可変インダクタであるジ
ャイレータLとコンデンサC1との並列回路が接続さ
れ、並列回路の一方端は接地される。すなわち、抵抗R
4、ジャイレータLおよびコンデンサC1によってバン
ドパスフィルタが構成され、差動増幅器16の(−)入
力には、バンドパスフィルタを経た出力が与えられる。
また、差動増幅器16の(−)入力には、差動増幅器1
6の出力が抵抗R5を介してフィールドバックされる。
したがって、図2に示す回路は全体としてAPF14を
構成する。
【0022】個々で、APF14の入力電圧をVin、
バッファ18の入力電圧をVaおよびAPF14の出力
電圧をVoutとすると、入力電圧Vaは数1によって
表される。
【0023】
【数1】
【0024】また、出力電圧Voutは数2によって表
される。
【0025】
【数2】
【0026】ここで、R1=2・R2、R5=2・R3
とすると、出力信号Voutは数3によって表される。
【0027】
【数3】
【0028】数3は、APF14の伝達特性を示す。
【0029】また、図2に示すAPF14に用いられる
ジャイレータLとしては、たとえば図3に示すものが用
いられる。
【0030】図3に示すジャイレータLは、差動増幅回
路20を含む。差動増幅回路20の(+)入力には、抵
抗R6およびバッファ22の直列回路が接続される。ま
た、差動増幅器20の(+)入力と抵抗R6との間には
抵抗R7の一方端が接続され、抵抗R7の他方端は接地
される。差動増幅器20の(−)入力には、他方端が接
地された抵抗R8の一方端が接続され、また差動増幅器
20の出力がコンデンサC2を介して(−)入力にフィ
ードバックされる。また、差動増幅器20の出力は抵抗
R9を介して増幅器26の一方入力に与えられ、また、
差動増幅器20の(+)入力と抵抗R7との接続点はバ
ッファ24および抵抗R10の直列回路を介して増幅器
26の他方入力に接続される。また、増幅器26の一方
入力と他方入力との間には抵抗R11が接続される。増
幅器26の出力はバッファ22の入力に接続され、電流
帰還される。ここで、バッファ22に与えられる入力信
号をV1、差動増幅器20の出力信号をV2、増幅器2
6の両入力間の電圧を示す信号をV3、増幅器26から
の電流帰還経路に流れる電流をi、および増幅器26の
増幅率をgmとすると、数4および数5が得られる。
【0031】
【数4】
【0032】
【数5】
【0033】したがって、信号V3は入力信号V1に比
べて、位相が90°遅れた信号となり、これをバッファ
22の入力に電流帰還させることにより、数6に示すよ
うに、電流iは入力信号V1に比べて90°遅れ位相と
なって、数7に示すように、ジャイレータLは等価的イ
ンダクタンスを形成する。
【0034】
【数6】
【0035】
【数7】
【0036】このAPF14は、いわゆる周波数−位相
変換を行う。この実施例では、図4に示すように、4.
43MHZのサブキャリア周波数を基準とし、4.43
MHZのサブキャリア周波数を有するカラー信号が与え
られると、そのカラー信号を180°移相する。したが
って、APF14に与えられるカラー信号のサブキャリ
ア周波数が4.43MHZでなければ、その周波数と
4.43MHZとの差に応じて移相量が180°からず
れる。
【0037】図1に戻って、マルチプレクサ12からの
出力は、90°移相器28にも与えられる。90°移相
器28は、たとえば図5に示すように構成される。
【0038】図5に示す90°移相器28では、入力端
30aは抵抗R12を介して、差動接続されたトランジ
スタQ1およびQ2のトランジスタQ2のベースに接続
される。入力端30bは負極を接地している定電圧源3
2の正極と接続され、また抵抗R13を介して、差動接
続されたトランジスタQ3およびQ4のトランジスタQ
4のベースに接続され、さらに抵抗R14を介してトラ
ンジスタQ1のベースに接続される。トランジスタQ1
およびQ2のエミッタは共通的に、トランジスタQ8お
よび抵抗R15の直列回路を介して、接地される。トラ
ンジスタQ1のコレクタは直接に電源Vccに接続さ
れ、トランジスタQ2のコレクタはトランジスタQ6と
抵抗R16との直列回路を介して電源Vccに接続され
る。トランジスタQ2のコレクタとトランジスタQ6の
コレクタとの接続点はトランジスタQ5のベースおよび
トランジスタQ3のコレクタに接続される。
【0039】トランジスタQ6のベースはトランジスタ
Q7のベースおよびコレクタに接続され、トランジスタ
Q7のエミッタは抵抗R17を介して電源Vccに接続
される。これらのトランジスタQ6およびQ7が電流ミ
ラー回路を構成する。トランジスタQ7のコレクタはト
ランジスタQ10および抵抗R18の直列回路を介して
接地される。トランジスタQ5のコレクタは直接に電源
Vccに接続され、そのエミッタはトランジスタQ9お
よび抵抗R19の直列回路を介して接地される。
【0040】トランジスタQ2のベースはコンデンサC
3および抵抗R20の直列回路を介してトランジスタQ
3のベースに接地される。コンデンサC3と抵抗R20
との接続点は出力端30cに接続され、出力端30bは
接地される。トランジスタQ3のベースとトランジスタ
Q4のベースとの間にはコンデンサC4が介挿され、そ
れらのエミッタは共通に、トランジスタQ11および抵
抗R21の直列回路を介して、接地される。トランジス
タQ8、Q9、Q10およびQ11のベースは共通に、
負極を接地している定電圧源34の正極に接続される。
【0041】すなわち、この90°移相器28は、トラ
ンジスタQ1、Q2、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9お
よびQ10と、ハイパスフィルタを構成する抵抗R1
2、コンデンサC3等からなり、かつ図5において1点
鎖線で取り囲んでいる交流的な負帰還増幅回路36を備
え、さらにローパスフィルタを構成する抵抗R20およ
びR13ならびにコンデンサC4と、トランジスタQ3
およびQ4等からなり、かつ図5において2点鎖線で囲
んだ、直流電圧を負帰還増幅回路36へ帰還させる、直
流的な負帰還回路38を備える構成となっている。
【0042】なお、トランジスタQ8、Q9、Q10お
よびQ11は定電流源を構成し、抵抗R15、R18、
およびR21は同抵抗値に設定される。そのため、トラ
ンジスタQ8、Q10およびQ11のコレクタ電流が等
しく、それぞれの電流値を2I0とすると、トランジス
タQ6およびQ7が電流ミラー回路を構成しているた
め、抵抗R16およびR17の抵抗値が同抵抗値であれ
ば、トランジスタQ6のコレクタ電流は2I0となる。
【0043】次に、90°移相器28の交流的動作を説
明する。
【0044】トランジスタQ1のベースは交流的に接地
されている。トランジスタQ6が、差動接続のトランジ
スタQ1およびQ2からの出力を電流で取り出すための
負荷となっており、交流負荷が非常に大きな値となるた
め、開ループゲインAは十分大きい。トランジスタQ2
のコレクタ電流が変化するとトランジスタQ5のベース
電流が変化し、トランジスタQ5のエミッタフォロワで
出力を電圧として導出する。トランジスタQ5のエミッ
タフォロワから出力された出力電圧e0は、コンデンサ
C3および抵抗R12のハイパスフィルタに供給され
る。
【0045】したがって、トランジスタQ2のベース電
位は数8で与えられる。
【0046】
【数8】
【0047】そして、トランジスタQ1のベース電位
は、交流的に接地されるため、入力電圧eiと出力電圧
e0との関係は、数9で与えられる。
【0048】
【数9】
【0049】ここで、開ループゲインAが十分大きいこ
とを考慮すると、数9は、次式の数10に変形され、移
相量が90°になることが理解されよう。
【0050】
【数10】
【0051】次に直流的な動作を説明する。
【0052】負帰還増幅回路36では交流的に負帰還さ
れるが、コンデンサC3により直流的には負帰還されて
いない。そのため、トランジスタQ5のエミッタ電圧
は、不定となり、このままでは負帰還増幅回路36は動
作しない。しかし、トランジスタQ5のエミッタフォロ
ワから出力される電圧の直流成分のみが、抵抗R20お
よびR13ならびにコンデンサC4のローパスフィルタ
へ供給され、差動接続されたトランジスタQ3およびQ
4のトランジスタQ3のベースに供給される。
【0053】また、トランジスタQ4のベースには定電
圧源32から一定電圧が要求されており、トランジスタ
Q3およびQ4のベース電流と抵抗R20およびR13
による電圧降下とを無視すると、両ベース電圧の差によ
って、トランジスタQ11のコレクタ炎流2I0の分流
比が変わり、トランジスタQ3のコレクタ電流が変化す
る。
【0054】トランジスタQ1およびQ2のベースの直
流電圧は定電圧源32の電圧に保持されるため、トラン
ジスタQ1およびQ2のベース電流と抵抗R12および
R14による電圧降下とを無視すると、トランジスタQ
1およびQ2にそれぞれ流れるコレクタ電流はトランジ
スタQ8のコレクタ電流2I0を等分したI0となる。
【0055】また、トランジスタQ6のコレクタ電流は
2I0となっているため、トランジスタQ5のベース電
流が小さく無視できるとすれば、トランジスタQ3のコ
レクタ電流はトランジスタQ6のコレクタ電流からトラ
ンジスタQ2のコレクタ電流を差し引いたI0となる。
【0056】そして、差動接続されたトランジスタQ3
およびQ4のトランジスタQ3のコレクタ電流がI0に
なるためには、トランジスタQ11のコレクタ電流が2
I0であるから、トランジスタQ3およびQ4のベース
電圧が等しくならなければならず、トランジスタQ5の
エミッタの直流電圧は定電圧源32の電圧に固定される
ので、この電圧を動作点として負帰還増幅回路36が正
常に動作する。
【0057】図1に戻って、APF14によって位相を
遅らせた信号と、90°位相器28によって90°位相
を遅らせた信号とが、位相比較器40に与えられる。位
相比較器40はたとえば図6に示すように構成され、図
7に示すように動作する。
【0058】すなわち、図6に示す入力端42および4
4には、図7(A)に示すような信号が入力され、入力
端46および48には、図7(B)に示すような信号が
入力される。
【0059】両信号が同相の場合、正の周期ではトラン
ジスタQ21およびQ25がオンし、かつ負の周期では
トランジスタQ23およびQ26がオンする。したがっ
て、出力端Aにおける電圧は図7(C)に示すように負
方向に半周期毎に脈動し、出力端Bにおける電圧は図7
(D)に示すように定電圧となる。そのため、出力端A
およびBから取り出されるこの位相比較器40の出力
は、図7(C)と図7(D)との差となり、図7(E)
に示すようになる。したがって、この位相比較器40の
出力を受けるローパスフィルタ(以下、「LPF」と略
す)42からは、図7(F)に示すように、両信号が同
相のときには負の電圧信号を出力する。
【0060】両信号が逆相の場合、入力端42および4
4からの信号が正の周期ではトランジスタQ24および
Q26がオンし、かつその信号が負の周期ではトランジ
スタQ22およびQ25がオンする。
【0061】したがって、出力端Aにおける電圧は図7
(C)に示すように一定となり、出力端Bにおける電圧
は図7(D)に示すように負方向に半周期毎に脈動す
る。そのため、出力端AおよびBから取り出されるこの
位相比較器40の出力は、図7(C)と図7(D)との
差となり、図7(E)に示すようになる。
【0062】この結果、LPF42は、図7(F)に示
すように、両信号が逆相のときには正の電圧信号を出力
する。
【0063】両信号が90°の位相差を有する場合に
は、図7(A)に示す入力端42および44からの信号
の前半周期の前半ではトランジスタQ21およびQ25
がオンし、後半ではトランジスタQ24およびQ26が
オンする。また、入力端42および44からの信号の後
半周期の前半ではトランジスタQ23およびQ26がオ
ンし、後半ではトランジスタQ22およびQ25がオン
する。
【0064】したがって、出力端Aにおける電圧は図7
(C)に示すように各半周期の前半にのみ負方向電圧と
なり、出力端Bにおける電圧は図7(D)に示すように
各半周器の後半にのみ負方向電圧として出現する。
【0065】この結果、出力端AおよびBから取り出さ
れるこの位相比較器40の出力は、図7(E)に示すよ
うになり、LPF42は、図7(F)に示すように、両
信号が90°位相差を有するときにはほぼゼロの電圧信
号を出力する。
【0066】このようにして、位相比較器40に入力さ
れる2つの信号の位相差が90°のときは、LPF42
からはほぼゼロの電圧信号が出力される。2つの信号の
位相差が90°からずれている場合には、そのずれ量に
応じた正または負の電圧信号がLPF42から出力され
る。
【0067】すなわち、位相比較器40およびLPF4
2では、APF14の入出力を位相比較して、位相−電
圧(Phase-Volt.)変換する。
【0068】また、位相比較器40からの図7(F)に
示すような制御信号は、キャリブレーション用に設けら
れたLPF44を介してAPF14にフィードバックさ
れる。ただし、LPF44は、バースト期間中には電圧
信号を出力することなく保持する。
【0069】このように、位相比較器40からの出力を
LPF44を介してAPF14にフィードバックするこ
とによって、APF14の位相遅延動作を安定化でき
る。つまり、バースト期間以外の期間に4.43MHZ
の周波数信号をAPF14に与えることによって、AP
F14の中心周波数が4.43MHZと一致するように
自動調整され、APF14に4.43MHZのサブキャ
リア周波数を有するカラー信号が与えられたとき、入出
力位相差が常に−180°となるように位相管理して、
中心周波数調整が行われる。
【0070】この結果、位相比較器40は、バースト期
間ではテレビ信号判別用として動作し、バースト期間以
外の期間ではAPF14の中心周波数の自動調整用とし
て動作する。
【0071】そして、LPF42からの電圧信号は、同
一特性のサンプルホールド回路55と56に与えられ
る。サンプルホールド回路55と56は、互いに1Hず
れた2H周期のバーストゲートパルスを用いて、バース
ト期間のLPF44からの電圧信号を2H期間ホールド
する。
【0072】ここで、サンプルホールド回路はたとえば
図10に示すように構成される。
【0073】今、ein>eoutのとき、ホールド用コン
デンサC5には、Q37エミッタからR24、C5の電
流icが流れ込み、C5は充電されてeoutは上昇す
る。この場合の充電定数τCはR24・ C5(se
c)となる。
【0074】次に、ein<eoutのとき、C5からR2
5、Q38へと電流が流れ、C5は放電されて、eout
は下がる。この場合の放電時定数はR25・C5(se
c)となる。ここで、放電時定数を充電時定数より長く
設定しておけば、所望のピークホールド回路が実現でき
る。
【0075】図1に戻って、サンプルホールド回路55
および56で出力された信号は、マルチプレクサ57お
よび58で、1H毎に交差に出力される。マルチプレク
サ57と58の出力は常に、相反するサンプルホールド
出力信号をセレクトするように、制御信号CNT4でコ
ントロールされる。マルチプレクサ57および58から
の信号は、位相比較器50に与えられ、この位相比較器
50は位相比較期40と同様に構成される。そして、位
相比較器50では、2つの信号の位相差が180°であ
れば、ハイレベルの信号を出力し、同相であれば、ロー
レベルの信号を出力する。
【0076】位相比較器50には、たとえば、SECA
M方式では、180°の位相差の信号が入力され、PA
L方式およびNTSC方式では、基本的には、直流のみ
(交流成分は0)が入力される。白黒ノイズでは、ラン
ダムな位相差で2信号が入力されるので、位相比較器5
0は、それぞれ異なったレベルの信号を出力する。そし
て、この信号はLPF52によってその信号のレベルに
応じたレベルを有する電圧信号に変換される。この電圧
信号はヒステリシス特性を有するコンパレータ54に与
えられ、基準電圧Vrefと比較される。LPF52から
の電圧信号が基準電圧Vrefより大きければ「ハイレベ
ル」、小さければ「ローレベル」の2値のいずれかの判
別信号がコンパレータ54からTTLレベルで出力され
る。この判別信号によって、テレビジョン方式がSEC
AM方式であるか否かを判別できる。
【0077】ここで、このようなテレビ信号判別回路1
0のSECAM方式とPAL方式との判別動作を、図8
および図9を参照して説明する。
【0078】まず、SECAM方式の場合には、各部の
動作波形は図8のようになる。
【0079】マルチプレクサ12からは、図8(A)に
示すような信号が出力される。マルチプレクサ12は、
バースト期間にはカラー信号のサブキャリア周波数を抽
出するためのカラーバースト信号を出力する。このカラ
ーバースト信号を出力することによって、1ライン毎に
4.25MHZと4.41MHZとのサブキャリア周波数が
交互に抽出される。そして、マルチプレクサ12は、バ
ースト期間以外の期間には周波数信号fscを出力する。
この実施例では、fscは、4.43MHZに設定されてい
る。
【0080】なお、バーストゲートパルス(BGP)は
図8(H)に示される。そして、LPF42からは、図
8(B)に示すような電圧信号が出力される。この電圧
信号は、基準となる4.43MHZの周波数を、サブキャ
リア周波数との差が大きくなるほど、大振幅として表さ
れ、カラー信号のサブキャリア周波数が4.25MHZの
場合には大きく、4.41MHZの場合には小さくなり、
1ライン毎に2種類のレベルの電圧信号が繰り返し出力
される。
【0081】この電圧信号が入力されるサンプルホール
ド回路55、56からは、各々図8(C)、(D)に示
すような波形が出力される。ここで、サンプルホールド
回路55は、図8(I)に示すCNT2パルスで制御さ
れる。また、サンプルホールド回路55の時定数は数1
0H程度と長く設定しているため、本回路55から出力
される信号は、現ラインの電圧信号〔図8(B)〕を含
めて、過去の数10Hの平均的なピークレベルとなる。
即ち、仮にノイズ等の影響により図8(B)のv3が0
となっても、図8(C)は影響されることはない。
【0082】一方、サンプルホールド回路56は、図8
(J)に示すCNT3パルスで制御される。それ以外の
動作はサンプルホールド回路55と同じである。
【0083】そして、図8(C)、(D)で示される信
号がマルチプレクサ57および58に入力される。
【0084】マルチプレクサ57は、制御信号CNT4
〔図8(K)〕がLow時に(C)信号をセレクトし、C
NT4がHigh時には(D)信号をセレクトするように
動作する。一方、マルチプレクサ58は、マルチプレク
サ57とは逆に、CNT4がLow時には(D)信号を、
High時には(C)信号を出力するように動作する。
【0085】このマルチプレクサ57および58の出力
波形を図8(E)および(F)に示す。
【0086】ここで、図8(E)、(F)は1ライン毎
に「ハイレベル」と「ローレベル」とを交互に繰り返
し、かつ位相差が180°である。これはSECAM方
式にかぎり、2種類のサブキャリア周波数が1ライン毎
に交互に出力されることに起因するものである。
【0087】一方、PAL方式の場合には、各部の動作
波形は図9に示す波形図となる。
【0088】PAL方式の場合には、SECAMと違っ
て、カラーサブキャリア周波数は全ライン同じなので、
図9(B)に示す如く、LPF42の出力信号にレベル
差は生じない。
【0089】したがって、図8(C)、(D)に示す如
く、サンプルホールド回路55、および56の出力信号
も等しくなり、これをマルチプレクサ57および58に
て1H毎に交互にセレクトしても、マルチプレクサ5
7、58からの出力は、SECAMの場合のように1H
毎のレベル差は生じず、図9(E)、(F)に示す如
く、一定レベルの直流信号が出力されるのみとなる。
【0090】この結果、上述の位相比較器50の2つの
入力信号〔図9(E)、(F)〕は、図9(G)に示す
如く、一定レベルの信号のため、位相比較器50からの
出力信号は0となる。
【0091】また、図8(G)および図9(G)に示す
電圧信号から分かるように、SECAM方式およびPA
L方式の各々の電圧信号は異なるため、コンパレータ5
4からの判別信号は、SECAM方式ではハイレベル、
PAL方式ではローレベルとそれぞれ異なった信号とし
て出力され、両方式を判別できる。
【0092】なお、図1に示す実施例において、90°
位相器28はAPF14とマルチプレクサ12との間に
介挿されてもよく、またAPF14と位相比較器40と
の間に介挿されてもよい。また、位相比較器40の2つ
の入力は、APF14のf0調整時には図1のように入
力し、信号判別時(BGP期間)には、位相比較器40
の2入力をAPF14の入出力部から供給してもよい。
【0093】次に、ノイズ、クロストークの多いPAL
信号が入力されたときの動作について、図12を用い
て、従来技術である図11と本発明の実施例である図1
を比較しながら説明する。
【0094】ここで、図12(A)はノイズのない場合
のPAL信号が入力されたときのLPF42の出力波形
である。この場合、ライン毎のレベルさはほとんどない
ので、従来技術、開発技術ともに正常に判別する。
【0095】また、図12(B)はノイズが多い場合の
PAL信号が入力されたときのLPF42の出力波形で
ある。
【0096】信号中にノイズが多く含まれている場合、
図12(A)と違ってライン毎にバースト周波数検出出
力にレベル差が生じる。図12(B)のような信号にお
いて、従来技術の各部波形は(C)〜(F)となる。
【0097】これから判るように、図11の位相比較器
50の2つの入力信号に該当する(C)および(D)信
号の位相差は、タイミングによって180°となってし
まう場合があり、そのため、図12(E)に示す如く、
LPF52の出力レベルが上昇して、コンバータのスレ
ッショルドレベルVrefを越えると、判別出力はSEC
AMに切換わってしまう。
【0098】一方、開発技術の場合には、各部波形は図
12(G)〜(J)のようになる。
【0099】図12(G)は図1のS&H55の出力波
形を示しており、図12(B)において、奇数ラインの
信号のピークを平均化したものである。
【0100】図12(H)は図1のS&H56の出力波
形を示しており、図12(B)において偶数ラインの信
号のピークを平均化したものである。
【0101】尚、図1のサンプルホールド回路55、5
6の時定数は、図8及び図9(C)、(D)に示すよう
に数10水平走査期間(H)の間ピーク値を保持するよ
うに長く設定されている。このため、サンプルホールド
回路55、56からの出力信号は、PAL信号受信時
に、図12の(B)に示す如く、3番目、7番目、9番
目および10番目の水平走査期間にノイズが含まれた信
号が入力されても、このノイズに変動することなく、平
均的なピークレベルを得ることができる。つまり、図1
2(B)の9番目および10番目の水平走査期間ような
数H程度の連続ノイズが発生しても、サンプルホールド
回路55、56からの出力は図9(C)(D)に示す如
く殆ど変動せず、LPF52の出力レベルはVrefを越
えないので、コンパレータ54の出力は安定して「ロー
レベル」となり、正常な判別信号が得られる。一方、S
ECAM信号受信時、サンプルホールド回路55、56
からの出力は、図8(C)(D)に示す如くハイレベル
若しくはローレベルの直流信号となっている。これらの
直流信号は、マルチプレクサ57、58にて1水平走査
期間毎に切り換えられ、互いに位相が180度異なる矩
形波に変換され、これらの矩形波が位相比較器50に入
力される。位相比較器50では、2つの矩形波の位相比
較(位相検波)が行われ、位相比較器50からはハイレ
ベルの判別信号が出力される。尚、サンプルホールド回
路55、56からの直流信号は、マルチプレクサ57、
58により交流信号(矩形波)に変換されて位相検波さ
れるため、入力信号中にノイズが生じてもこのノイズが
相殺される。
【0102】
【発明の効果】本発明はサブキャリア周波数に応じた電
圧信号に対して、比較的長い時定数を有し、かつ充電時
定数に比べて放電時定数を大きくして前記電圧信号のピ
ーク値をホールドするようなサンプルホールド手段を設
けた。これによりノイズ、クロストークの影響を小さく
できる。また、同一特性のサンプルホールド手段を2つ
有することにより、SECAMのように1H毎に電圧信
号レベルの大きく違う場合にも、時定数を短くしなくて
も判別感度が劣下することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示すブロック図である。
【図2】本実施例に用いられるAPFの一例を示す回路
図である。
【図3】図2に示すAPFに用いられるジャイレータの
一例を示す回路図である。
【図4】図2に示すAPFの周波数一移相量特性を示す
回路図である。
【図5】本実施例に用いられる90°移相器の一例を示
す回路図である。
【図6】本実施例に用いられる位相比較器の一例を示す
回路図である。
【図7】図6に示す位相比較器の動作波形図である。
【図8】本実施例におけるSECAM方式での各部の動
作波形図である。
【図9】本実施例におけるPAL方式での各部の動作波
形図である。
【図10】本実施例に用いられるサンプルホールド回路
の一例を示す回路図である。
【図11】従来技術を示すブロック図である。
【図12】従来技術と本発明とのノイズ大のPAL信号
入力時の動作比較図である。
【符号の説明】
10 テレビ信号判別回路 12 マルチプレクサ 14 APF 28 90°移相器 40 位相比較器 42 LPF 44 LPF 46 サンプルホールド回路 48 1H遅延回路 50 位相比較器 52 LPF 55 サンプルホールド回路 56 サンプルホールド回路 57 マルチプレクサ 58 マルチプレクサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−77390(JP,A) 特開 昭62−219788(JP,A) 特開 昭62−213497(JP,A) 特開 昭62−258577(JP,A) 特開 平1−233896(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 9/64 H04N 9/66 H04N 11/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力カラー信号からのサブキャリア周波
    数を取り出すためのサブキャリア周波数検出手段及び該
    サブキャリア周波数に応じた電圧信号を出力するLPF
    を有する電圧信号出力手段と、前記電圧信号を入力信号
    として互いに1水平走査期間(1H)位相が異なる2水
    平走査期間(2H)間隔のパルス信号でサンプルホール
    ドされる第1、第2のサンプルホールド手段と、前記第
    1、第2のサンプルホールド手段の出力信号を1水平走
    査ライン毎に交互に取り出す第1の切換手段と、該第1
    切換手段の切り換え状態と逆になるように前記第1、第
    2のサンプルホールド手段の出力信号を1水平走査ライ
    ン毎に交互に取り出す第2の切換手段と、前記第1の切
    換手段からの出力信号と第2の切換手段からの出力信号
    とを位相比較して判別信号を出力する判別信号出力手段
    とを備えるテレビ信号判別回路。
  2. 【請求項2】 前記第1、第2のサンプルホールド手段
    は、同一特性のサンプルホールド回路であることを含
    む、請求項1記載のテレビ信号判別回路。
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