JP3090766B2 - Ac/dcコンバータ - Google Patents

Ac/dcコンバータ

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【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は,商用交流入力電源電圧
を,安定な直流出力電圧に変換するAC/DCコンバー
タ,特に高力率のAC/DCコンバータに関する。
【従来技術】商用交流電源を受けて直流電圧に変換する
AC/DCコンバータとしては,従来は例えば図5に示
すようなものがあった。同図において,交流入力電圧Ei
を全波整流する入力整流回路RC1,平滑用コンデンサC1,
スイッチング素子たる電界効果トランジスタQ1,トラン
スTr1,トランスリセット用ダイオードD4, 出力整流ダイ
オードD2, フライホイールダイオードD3, 出力平滑用チ
ョークコイルL2および出力平滑用コンデンサC2からなる
AC/DCコンバータにより交流入力電圧Eiを安定な直
流出力電圧Eoに変換している。しかしながら,このよう
な従来のAC/DCコンバータにあっては,出力直流電
圧については望ましい特性を有するが,入力電流の波形
が図6に示すように入力交流電圧のピーク値付近に対応
してしか流れないため,力率が低く,0.5 乃至0.7 程度
になる。この力率改善のため整流回路に十分大きなチョ
ークコイルを挿入接続する方法があるが,大型重量とな
る欠点がある。また近年では力率改善用の前置コンバー
タを設けて電子的に力率を改善する方法が一部に用いら
れているが,構成部品点数の増大,大型化,高価格,ス
イッチング素子の相互干渉を招来するという問題点があ
った。
【発明が解決しようとする課題】本発明は,簡素な回路
構成で,小型軽量,経済的な高力率AC/DCコンバー
タ回路を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】本発明はこの課題を解決
するために,交流入力電圧を整流・平滑し,この整流電
圧を半導体スイッチング素子により,高周波でオン・オ
フして変圧器の1次巻線に印加し,2次巻線に高周波交
流電圧を得て,この高周波交流電圧を整流・平滑して所
定の電圧を得るようにしたコンバータ回路において,入
力整流回路と入力平滑用コンデンサとの間に,昇圧用チ
ョークコイルとダイオードを挿入し,この昇圧用チョー
クコイルとダイオードの接続点とトランスとスイッチン
グ素子の接続点に共振用コンデンサを接続する。そして
半導体スイッチング素子のオン・オフ駆動周波数につい
ては,交流入力の整流直後の電圧の瞬時値に対応した周
波数で駆動することを特徴とする高力率AC/DCコン
バータを提案するものである。
【実施例】図1により,本発明にかかるAC/DCコン
バータを説明する。構成は図1に示すように,商用交流
電源Eiを入力端子X1,X2 を介してブリッジ型の整流回路
RC1 に接続する。整流回路RC1 の直流出力端子はチョー
クコイルL1とダイオードD1とを介して平滑用のコンデン
サC1に供給される。そしてチョークコイルL1とダイオー
ドD1との接続点にはコンデンサC3を介して電界効果トラ
ンジスタQ1のドレイン電極が接続され,そのエミッタは
コンデンサC1のマイナス電極に接続される。電界効果ト
ランジスタQ1のゲート端子はスイッチングレギュレータ
用の制御回路U1によって100kHz乃至200kHzの高周波でオ
ンオフ駆動される。ここで整流回路RC1 の出力端子には
抵抗器R1とR2とによる分圧器が接続され,この分圧電圧
は直列抵抗R3を介して制御回路U1の端子6 に接続され
る。ここで制御回路U1は普及しているスイッチング電源
用集積回路であるテキサスインストルメント社のTL494
または相当品に出力電流増幅回路と若干の補助部品を追
加して構成される一般的な回路である。制御回路U1の端
子6は内部の弛張発振回路の充電率を設定する端子であ
り,この端子に注入される電圧が高くなると充電周期が
長くなり,発振周波数は100kHzに低下し,逆に注入され
る電圧が低くなると発振周波数は200kHz程度まで高くな
るように設定してある。これらの部分は整流チョッパ回
路である。すなわち入力の商用交流電源Ei(100V 50Hz)
を整流回路RC1 で整流してチョークコイルL1とコンデン
サC3を経由して100kHz乃至200kHzの高周波で電界効果ト
ランジスタQ1はオンオフを繰り返す。ここでチョークコ
イルL1は約500 μH,コンデンサC3は0.02μF,コンデンサ
C1は200μF に選んである。まず電界効果トランジスタQ
1がオンしているときはチョークコイルL1からコンデン
サC3を充電する電流が流れる。この電流はコンデンサC3
の電圧がコンデンサC1の電圧に達するまでの期間流れ
て,これらチョークコイルL1とコンデンサC3にはエネル
ギーが蓄積される。つぎに電界効果トランジスタQ1がオ
フしたときにはチョークコイルL1に蓄えられた電流エネ
ルギーはダイオードD1をとおしてコンデンサC1を充電す
る。コンデンサC1の静電容量は十分大きい値であるで,
定常状態ではほぼ一定の直流電圧Ebを保つ。入力交流電
流は必ずチョークコイルL1を経由するので,電流は連続
する。つぎにコンデンサC1のプラス端子は変圧器Tr1 の
1次巻線n1を介して電界効果トランジスタQ1のドレイン
に接続される。変圧器Tr1 の2次巻線n2は整流用のダイ
オードD2と平滑用のチョークコイルL2とを介して平滑用
のコンデンサC2に接続されるとともに直流出力端子Y1,Y
2 にも接続される。この直流出力端子Y1,Y2 には検出・
比較回路DET1が接続され,その出力はフォトカプラQ2を
介して制御回路U1の検出入力端子に接続される。ここで
検出・比較回路DET1は抵抗分圧器と定電圧ダイオードで
構成される。そしてフォトカプラQ2は商用交流電源Eiを
絶縁するに充分な耐圧を選定する。そして変圧器Tr1 の
2次巻線n2の他方の端子とダイオードD2とチョークコイ
ルL2との接続点との間にはフライホイル作用をするダイ
オードD3が接続される。この部分はいわゆるフォワード
型コンバータといわれる機能と,コンデンサC3と変圧器
Tr1 の1次巻線n1との固有振動による変圧器Tr1 のリセ
ット機能がある。電界効果トランジスタQ1がオンしてい
るときはコンデンサC1の蓄積電荷が変圧器Tr1 の1次巻
線n1とそれ以降の回路とを通して出力端子に電力を供給
し, 電界効果トランジスタQ1がオフしているときは変圧
器Tr1 の1次巻線n1に流れていた電流のエネルギーはコ
ンデンサC3とダイオードD1の経路で流れて変圧器Tr1 の
リセットを行うと共にコンデンサC3の電圧を反転させ
る。つぎに動作を詳細に説明する。まず制御回路U1の内
部発振周波数が一定として考える。入力交流電源の周波
数に対して電界効果トランジスタQ1のスイッチング周波
数は十分高いものと仮定する。従って,スイッチングの
1サイクル期間中は入力電圧は一定とみなされ,また,
チョークコイルL1はスイッチング周波数に対して十分大
きいため,ほぼ定電流と見なすことができる。従って,
スイッチング1サイクルにおける入力電流の積分量は,
交流入力電圧の影響を受けるものの,交流周波数の一周
期についてシミュレーションを行えば,図3(f) に示す
ような正弦波に直流分が重畳された如き波形となる。こ
の波形は力率0.98程度で,入力電流の歪率は20%に対応
する。フォワード結合コンバータの出力電圧は,フィル
タ用チョークコイルL2の電流がカット・オフしない範囲
では,変圧器Tr1 の1次巻線n1に印加される電圧とその
時比率で決定される。従って出力電圧を負荷変動に対し
て一定電圧に保つように,制御回路U1によりコンバータ
回路の電圧変動を補償する時比率制御を行う。本コンバ
ータ回路においてはスイッチング素子たる電界効果トラ
ンジスタQ1一個のみで出力電圧を一定にするよう時比率
制御を行っている。一方交流入力電圧の変動に対して電
界効果トランジスタQ1はチョッパ回路のスイッチング素
子としても,同じ時比率で制御がなされるが結果的には
安定な直流出力電圧を保つよう内部回路相互で制御され
る。つぎに制御回路U1の内部発振周波数が整流回路RC1
の整流直後の電圧の瞬時値に対応して変化する場合につ
いて説明する。この場合には,制御回路U1の内部発振周
波数は図2(b) に示すように入力交流電圧Eiの波形に
応じて,増減する。そしてこの波形に対応しつつ,かつ
上記の時比率を有する波形として制御回路U1の出力駆動
信号は図2(c) に示すような波形となる。この場合であ
っても,スイッチング素子たる電界効果トランジスタQ1
のオンとオフの時比率が上記のように制御されていれ
ば,あい変わらず安定な直流出力電圧は得られる。そし
て,コンデンサC3の充電量は入力電圧Eiの位相に対
応して変化して,低電圧の位相においては,内部発振周
波数が高く,その短めの周期でのコンデンサC3への充
電量は小さくなる。また,高電圧の位相においては,内
部周波数が低く,その長めの周期でのコンデンサC3へ
の充電量は大きくなるので,入力電流Iiの波形が改善
されて,より入力交流電圧Eiの波形に近づく。本実施
例では図3(e) に示す波形が得られた。この波形では力
率は0.996 であり,入力電流の歪率は約5%であった。
尚,本実施例では整流回路の出力端子の瞬時値を抵抗器
を介して比例値を発振回路に注入しているが,他の波形
成形回路や関数発生回路を介して発振回路を制御するこ
とにより,入力の力率をさらに1に近づけることができ
る。また交流入力電圧の瞬時値に対応した電圧値を得る
ためには,本実施例のように主回路の整流回路の出力に
限らず,入力端子から他の整流回路や変圧器等を介して
得ることもできる。検出・比較回路DET1の接続場所は必
ずしも出力端子に限らず,遠隔地の負荷の両端に直接接
続する方法がある。あるいは変圧器Tr1 に電圧検出用の
巻線を設けて出力電圧を検出することができる。また変
圧器Tr1 に複数の2次巻線を設けてそれぞれに整流・平
滑回路と出力端子を設けることもできる。
【第2の実施例】図4は本発明の第2の実施例を示す。
この実施例は図1に示す実施例と同様の構成であるが,
構成上の相違点としては,変圧器Tr1 の接続極性が図1
の場合と逆極性になる点,2次側の整流回路がダイオー
ドD2とコンデンサC2のみからなる半波整流回路である
点,および変圧器Tr1 の1次巻線n1に直列にダイオード
D4が図示の極性で設けられている点である。そしてこの
構成上の相違点は,動作としては,コンバータ動作の部
分がいわゆるフォワード型からフライバック型に置き換
えられて対応する。それ以外の本発明の目的とする高力
率を得る点については共通である。この第2の実施例に
おけるダイオードD4は必須の構成要素ではないので省く
こともできるが,好ましい動作をさせるためにはダイオ
ードD4は有効である。一方,第1の実施例にはおいては
ダイオードD4に相当する部品はないが,これに相当する
構成要素を含んでも基本的動作には変化ない。
【発明の効果】本発明は以上述べたような特徴を有し,
一つのスイッチング素子で出力電圧の安定化制御を行う
と同時に,交流入力電流の波形の改善ができ,力率は0.
996 程度まで向上させることができる。またスイッチン
グ素子が一つであるので,従来の前置コンバータを設け
た場合の如き相互干渉は存在しない。さらにまたコンバ
ータの共振作用により,スイッチング素子はゼロボルト
スイッチングとなり,その共振用コンデンサはロスレス
スナバの役割を果たし,スイッチング素子のスナバ回路
は不要となる。さらにコンバータの共振作用はトランス
のリセット回路の役割をもはたしており,コンバータ変
圧器はリセット巻線およびリセットダイオードが不要と
なる。以上述べたように本発明に係るAC/DCコンバ
ータは簡素な構成であって,小型軽量,高力率,高効率
の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるAC/DCコンバータの第1の
実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明にかかるAC/DCコンバータの第1の
実施例の動作を説明する波形図である。
【図3】本発明にかかるAC/DCコンバータの交流入
力電流波形図である。
【図4】本発明にかかるAC/DCコンバータの第2の
実施例の構成を示す図である。
【図5】従来のAC/DCコンバータの構成の一例を示
す図である。
【図6】従来のAC/DCコンバータの交流入力電流波
形図である。
【符号の説明】 Co,C1,C2,C3 …コンデンサ D1,D2,D3,D4 …ダイオード DET1…比較検出回路 Ei…商用交流電源 L1,L2 …チョークコイル Q1…電界効果トランジスタ Q2…フォトカプラ Ro,R1,R2,R3 …抵抗器 RC1,RC2 …整流回路 Tr1 …変圧器 U1…制御回路 X1,X2 …入力端子 Y1,Y2 …出力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/00 - 7/40 H02M 3/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】商用交流電源に接続されるべき一対の入力
    端子と, 一対の交流入力端子と一対の直流出力端子とを備えたブ
    リッジ型の整流回路であって,その整流回路の交流入力
    端子が前記一対の入力端子に接続されるブリッジ型の整
    流回路と, このブリッジ型の整流回路の出力端子に接続される,互
    いに直列接続されたチョークコイルとダイオードとコン
    デンサと, 前記商用交流電源の周波数に比較して十分高い周波数で
    あって,前記交流入力端子の電圧の瞬時値に対応してそ
    の瞬時値が高いときは前記周波数が低くなり、その瞬時
    値が低いときは前記周波数が高くなるオンオフ駆動信号
    を発生する制御回路と, 一対の主電極と制御端子とを備えたスイッチング素子で
    あって,その制御端子が前記制御回路によってオンオフ
    駆動されるとともに,その主電極の一端は前記チョーク
    コイルと前記ダイオードとの接続点に第2のコンデンサ
    を介して接続され,主電極の他の一端は前記コンデンサ
    の一端に接続されるスイッチング素子と, 少なくとも1次巻線と2次巻線とを備えた変圧器であっ
    て,その1次巻線が前記コンデンサと前記ダイオードと
    の接続点と前記スイッチング素子の主電極との間に接続
    される変圧器と, この変圧器の2次巻線に接続された整流手段と, この整流手段に接続された出力端子とからなるAC/D
    Cコンバータ。
  2. 【請求項2】前記変圧器の2次巻線に接続された整流手
    段が,前記スイッチング素子のオン時に対応してエネル
    ギー伝達することを特徴とする請求項1記載のAC/D
    Cコンバータ。
  3. 【請求項3】前記変圧器の2次巻線に接続された整流手
    段が,前記スイッチング素子のオフ時に対応してエネル
    ギー伝達することを特徴とする請求項1記載のAC/D
    Cコンバータ。
  4. 【請求項4】前記変圧器の1次巻線に直列にダイオード
    が接続されることを特徴とする請求項1または請求項2
    または請求項3記載のAC/DCコンバータ。
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