JP3088774B2 - 熱転写記録方法 - Google Patents

熱転写記録方法

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JP3088774B2
JP3088774B2 JP03126692A JP12669291A JP3088774B2 JP 3088774 B2 JP3088774 B2 JP 3088774B2 JP 03126692 A JP03126692 A JP 03126692A JP 12669291 A JP12669291 A JP 12669291A JP 3088774 B2 JP3088774 B2 JP 3088774B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材表面に気化性又は
熱拡散性色素を含有する転写層を設けてなる転写シート
及びセルロース紙等の基材の一方の面に色素を受容する
受像層を設けてなる受像紙を用いた熱転写記録方法に関
するものであり、詳しくは、印画物の画質の改良を図っ
た熱転写記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ビデオカメラ、スチールビデ
オカメラ、テレビ、ビデオディスク、写真電送装置など
における電気的画像信号から写真のようなハードコピー
の形で画像を再生する方法が盛んに研究されており、そ
の一つの有力な方法として、現在、熱転写記録方法が注
目されている。
【0003】熱転写記録方法は、基材表面に気化性又は
熱拡散性色素を含有する転写層を設けてなる転写シート
及び基材の一方の面に色素を受容する受像層を設けてな
る受像紙を用い、給紙ローラにより、複数の発熱体を配
列してなるサーマルヘッドとプラテンローラとの間に前
記受像紙を供給し、その受像層と前記転写シートの転写
層とを対向させて重ね合わせ、発熱体からの転写シート
への加熱により転写層中の色素を受像層に受容させ、そ
して、発熱体配列方向と略直角方向に受像紙とサーマル
ヘッドとを相対的に移動させて記録を行う熱転写記録方
法である。
【0004】熱転写記録方法に用いる受像紙の基材に
は、種々のものが提案されているが、代表的なものとし
ては、セルロース紙またはこれに熱可塑性高分子物質を
ラミネートしたものが知られている。これらの基材は、
プラスチックフィルムなどの合成紙よりなる基材に比べ
て安価であり、紙質感が良好であるという特徴を有す
る。
【0005】ところで、印画物の画質品位の低下は、各
種の要因、例えば、画像の濃度むら、転写抜け、発熱体
の誤不動によるドット抜け等が複合的に関係して発生
し、従って、その内容と要因との関係を特定することは
必ずしも容易ではない。本出願は、先に、小さい濃度ム
ラや転写抜けに起因するとされている所謂ざらつき感に
ついて詳細に検討し、これの定量方法を提案した(特願
平2−269910号)。上記の提案に係る「ざらつき
の定量化方法」は、特定の指標により、曖昧に評価され
ていたざらつき感を定量的化したものであり、ざらつき
の要因解析を容易なものとして印画物の画質品位の改良
に有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、印画物
の画質の一層の改良を図るべく、上記の「ざらつきの定
量化方法」を利用して種々検討を重ねた結果、驚くべき
ことに、セルロース紙等を基材とした受像紙において
は、サーマルヘッドとプラテンローラとの間への給紙方
向により、得られる印画物のざらつき感の程度が異なる
との新規な知見を得た。本発明は、上記の知見を基に完
成されたものであり、その目的は、セルロース紙等を基
材とした受像紙を用いた熱転写記録方法であって、印画
物のざらつき感の問題を解決して画質の改良を図った熱
転写記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項1記載の発明の要旨は、基材表面に気化性又は熱拡散
性色素を含有する転写層を設けてなる転写シート及びセ
ルロース紙の一方の面に色素を受容する受像層を設けて
なる受像紙を用い、給紙ローラにより、複数の発熱体を
配列してなるサーマルヘッドとプラテンローラとの間に
前記受像紙を供給し、その受像層と前記転写シートの転
写層とを対向させて重ね合わせ、発熱体からの転写シー
トへの加熱により転写層中の色素を受像層に受容させ、
そして、発熱体配列方向と略直角方向に受像紙とサーマ
ルヘッドとを相対的に移動させて記録を行う熱転写記録
方法において、受像紙の発熱体の配列方向における引張
破壊強度または引張弾性率と、受像紙のサーマルヘッド
移動方向における引張破壊強度または引張弾性率との比
率が0.01〜0.9の範囲となる条件下に受像紙の給
紙を行うことを特徴とする熱転写記録方法に存し、請求
項2記載の発明は、受像紙として、セルロース紙と受像
層の間に熱可塑性高分子物質のラミネート層を有する受
像紙を使用するものであり、請求項記載の発明は、受
像紙として、背面処理層を有する受像紙を使用するもの
である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。図1は、
本発明の熱転写記録方法の概要を示す説明図である。
【0009】本発明の熱転写記録方法は、基本的には、
従来公知の方法と同様であり、基材表面に気化性又は熱
拡散性色素を含有する転写層を設けてなる転写シート
(1)及びセルロース紙等の基材の一方の面に色素を受
容する受像層を設けてなる受像紙(2)を用い、給紙ロ
ーラ(3)、(3′)により、複数の発熱体を配列して
なるサーマルヘッド(4)とプラテンローラ(5)との
間に前記受像紙を供給し、その受像層と前記転写シート
の転写層とを対向させて重ね合わせ、発熱体からの転写
シートへの加熱により転写層中の色素を受像層に受容さ
せ、そして、発熱体配列方向と略直角方向に受像紙とサ
ーマルヘッドとを相対的に移動させて記録を行う方法よ
りなる。
【0010】サーマルヘッドには、通常、1mm当り4〜
16ドットの電気発熱体が一列に配置されている。そし
て、これには、画像情報を含む電気信号が入力される。
【0011】本発明に用いる受像紙の1つは、セルロー
ス紙を基材とするものである。一般に、セルロース紙
は、広葉樹サルファイトパルプと広葉樹クラフトパルプ
の混合パルプを水中で機械的に処理することにより繊維
束を離解し、こう解機により切断し、抄紙機により製造
される。本発明においては、厚さ50μm〜300μmの
範囲のセルロース紙を使用するのが好ましい。
【0012】本発明に用いる他の受像紙は、熱可塑性高
分子物質をラミネートしたセルロース紙を基材とするも
のである。このようなラミネート品は、通常、RCペー
パー(Reson Coated)と呼ばれている。熱可塑性高分子
物質としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポ
リエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチ
レン、結晶性ポリプロピレン、結晶性エチレン−プロピ
レン・ブロック共重合体、ポリブテン、ポリ−3−メチ
ルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル
系樹脂、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−1
0、ナイロン11、ナイロン12等のアミド系樹脂、ポ
リスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体等
のスチレン系樹脂等が挙げられる。これらは、1種のみ
を使用してもよいし、公知の方法で2種以上を混合して
使用してもよい。
【0013】熱可塑性高分子物質のラミネート層の形成
方法としては、押し出しラミネート形成法、高分子フィ
ルムを接着剤にて貼合わせるドライラミネート法等が適
用可能である。押し出しラミネート成形は、公知の方法
および装置を用いて行うことができ、例えば、溶融させ
たラミネート用樹脂を押し出し機のダイから適当な温度
(ポリエチレンの場合では280〜340℃)で押し出
して溶融薄膜となし、該溶融薄膜を圧着ロールに導き、
同様に圧着ロールに導かれたセルロース紙と圧着ラミネ
ートすることにより行われる。そして、セルロース紙の
接着面は、必要に応じて表面活性処理が施される。
【0014】熱可塑性高分子物質のラミネート層の厚さ
は、通常5μm 〜40μm の範囲とされ、また、ラミネ
ート層には、通常、酸化チタン、蛍光増白剤、酸化防止
剤等が含有されている。
【0015】受像層は、色素染着性の合成樹脂を含有し
て構成される。そして、合成樹脂としては、ポリエステ
ル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹
脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等のエステル結合
を有する樹脂、ポリウレタン樹脂等のウレタン結合を有
する樹脂、ポリアミド樹脂等のアミド結合を有する樹
脂、尿素樹脂等の尿素結合を有する樹脂、その他、ポリ
カプロラクタン樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアク
リロニトリル樹脂等が挙げられる。また、これらの混合
物や共重合体等も使用できる。
【0016】上記の受像層中には、上記合成樹脂の他に
離型剤を含有させてもよい。離型剤としては、ポリエチ
レンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の
固形ワックス類、弗素系、リン酸エステル系の界面活性
剤、シリコーンオイル類等が挙げられるが、シリコーン
オイル類が好ましい。
【0017】上記のシリコーンオイル類としては、油状
のものも使用できるが、反応硬化型、光硬化型、触媒硬
化型等の硬化型のものが好ましい。特に、アミノ変性シ
リコーンオイル、エポキシ変性オイル、アルコール変性
シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル等
の反応硬化型シリコーンオイルが好ましい。離型剤の含
有量は、通常、受像層中の濃度として0.1〜10重量
%の範囲とするのがよい。
【0018】また、上記の受像層中には顔料を含有させ
てもよい。顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸
化チタン、酸化亜鉛等の体質顔料が好ましい。顔料の含
有量は、通常、受像層中の濃度として1〜30重量%の
範囲とするのがよい。
【0019】また、上記の受像層中には可塑剤を含有さ
せてもよい。可塑剤としては、プラスチック原料の流動
性を改善し、かつ成形品に柔軟性を与える機能を持つも
のが好ましい。このような可塑剤としては、アジピン酸
誘導体、グリコール誘導体、セバシン酸誘導体、フタル
酸誘導体、リン酸誘導体、重合可塑剤などが挙げられ
る。可塑剤の含有量は、通常、受像層中の濃度として5
〜30重量%の範囲とするのがよい。
【0020】本発明において、受像層の厚さは、通常
0.5〜20μm の範囲、好ましくは2〜10μm の範
囲とされる。
【0021】また、本発明においては、受像紙基材の受
像層を設ける側(表側)の反対側(裏側)の面に熱可塑
性高分子物質の背面処理層を設けることが好ましい。背
面処理層は、基材のカール防止性、給紙適性、帯電防止
性等を付与するために設けられる。使用する熱可塑性高
分子物質は、特に制限されないが、RCペーパーのラミ
ネート層に使用した熱可塑性高分子物質層と同様なもの
が好ましい。そして、背面処理層の厚さは、表側のラミ
ネート層とのバランスを考慮して適宜決定される。
【0022】また、上記の背面処理層の上には、更に、
次に説明する他の背面処理層を設けてもよい。この背面
処理層は、受像紙に裏移り防止性を付与したり、給紙適
性や帯電防止性等を向上させるために設けられる。ここ
で、裏移りとは、印画した受像紙を複数枚重ねて保存し
た場合、色素の移行により、表側の画像が上に重ねてあ
った受像紙の裏側へ転写し、商品価値が下がることをを
指す。
【0023】上記の他の背面処理層は、上記と同様に熱
可塑性高分子物質にて構成され、好適な熱可塑性高分子
物質としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブ
チラール樹脂等のポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂
等のアミド結合を有する樹脂が挙げられる。また、これ
らの混合物や共重合体等も使用できる。そして、これら
の樹脂に帯電防止剤を添加して帯電防止性能を強化する
こともできる。
【0024】本発明において、受像紙全体の厚さは、5
0μm 〜350μm の範囲とするのが好ましい。
【0025】本発明の特徴は、受像紙の発熱体の配列方
向における引張破壊強度または引張弾性率と、受像紙の
サーマルヘッド移動方向における引張破壊強度または引
張弾性率との比率が0.01〜0.9の範囲となる条件
下に受像紙の給紙を行う点にある。
【0026】従来、セルロース紙をロールの駆動力を利
用して移動させる場合には、その給紙方向は、機械的物
性の高い方向とするのが慣例である。すなわち、周知の
通り、セルロース紙は、パルプの水スラリーを主原料と
して抄紙工程を含む各工程を得て製造される。そして、
縦方向と横方向とで異方性があり、抄紙機において紙の
進む方向(繊維の流れ方向、すなわち配向方向)である
縦方向とそれと直角の方向の横方向とでは、機械的物性
や寸法安定性が異なる。従って、セルロース紙をロール
の駆動力を利用して移動させる場合には、ロール巻紙、
枚葉紙のいずれでも、その給紙方向は、通常、機械的物
性の高い方向(縦方向)とされている。
【0027】上記のことは、印刷用途においても例外で
はなく、特に、縦目の紙の場合は、湿度変化による収縮
が横目の紙よりも少ないとされ、縦目の紙の使用が常識
となっている。しかしながら、一般に感熱溶融型と呼ば
れる熱転写記録方法の場合には特に問題とはならない
が、一般に感熱昇華型と呼ばれる本発明のような熱転写
記録方法の場合には、受像紙の給紙方向により、得られ
る印画物の画質品位、特に、ざらつき感が著しく異なる
ことが見出された。
【0028】上記の原因は、必ずしも詳らかではない
が、サーマルヘッドの電気発熱体相互の間隔とセルロー
ス紙の繊維の配向方向のうねりの大きさとが関係してい
るものと推定される。すなわち、サーマルヘッドには、
前述のように、通常、1mm当り4〜16ドットの電気発
熱体が給紙方向に対する略垂直方向に一列に配置されて
いる。これに対し、セルロース紙の繊維のうねりは比較
的大きく、50〜60μm 以上もある。
【0029】そして、本発明で使用される受像紙におい
ては、前述のように、基材としてのセルロース紙の厚さ
が通常50μm 〜300μm の範囲であるのに対し、受
像層の厚さは、通常0.5〜20μm の範囲であるか
ら、受像紙には、セルロース紙のうねりが反映されるこ
とになる。また、セルロース紙と受像層の間に熱可塑性
高分子物質層を有し、セルロース紙の受像層を設けた側
と反対側の面に背面処理層を有する受像紙においても、
上記のセルロース紙の厚さに対し、高分子物質層の厚さ
は通常5μm 〜40μm の範囲であり、背面層を含む受
像紙全体の厚さは通常50μm 〜350μmの範囲とさ
れることから、中心的厚さをなすセルロース紙の前記う
ねりの問題がある。
【0030】従って、受像紙の発熱体の配列方向におけ
る引張破壊強度または引張弾性率と、受像紙のサーマル
ヘッド移動方向における引張破壊強度または引張弾性率
との比率が1以上の範囲となる条件下に受像紙の給紙を
行った場合は、繊維による表面のうねり方向と発熱体の
配列方向とは平行となる。このような場合は、受像紙の
うねりの高低(山、谷)の差により、高い部分はサーマ
ルヘッドの発熱体と十分に当接して熱伝達が十分に行わ
れるが、低い部分は当接が不十分で熱伝達が不十分とな
り、その結果、着色せずに白抜けとなってざらつき感が
大きくなる。これに対し、本発明に従って、受像紙の発
熱体の配列方向における引張破壊強度または引張弾性率
と、受像紙のサーマルヘッド移動方向における引張破壊
強度または引張弾性率との比率が0.01〜0.9の範
囲、特には0.3〜0.7の範囲となる条件下に受像紙
の給紙を行った場合は、繊維による表面のうねり方向と
発熱体の配列方向とは直交する。このような場合は、サ
ーマルヘッドの発熱体の一列全体がほぼ同程度のうねり
の部分に当接する結果、全体としてうねりの高い部分お
よび低い部分のいずれもが良好に着色して白抜けのない
印刷となり、ざらつき感が小さくなる。
【0031】このように、本発明は、受像紙の給紙方向
に関する従来の固定観念を打破したものであり、そし
て、従来とは逆方向の給紙方向を採用することにより、
熱転写記録の中でも一般に感熱昇華型と呼ばれる熱転写
記録方法の特有のざらつき感を小さくし、印画物の画質
の改良を図ったものである。
【0032】そして、本発明者等の知見によれば、通常
の熱転写記録装置(プリンター)を使用する限り、本発
明に従って、従来の給紙方向と逆方向に受像紙の給紙を
行っても特別な問題はなく、むしろ、印画物のザラツキ
感が少なく高画質で高品位の転写画像が得られる利益の
方が遙かに大きい。
【0033】本発明において、上記のざらつき感は、以
下に説明する、特願平2−269910号にて提案され
た「ざらつきの定量化方法」によって容易に評価するこ
とができる。すなわち、画像品位の低下は、前述の通
り、画像の濃度むら、転写抜け、発熱体の不動によるド
ット抜け等が複合的に関係して発生する。上記の「ざら
つきの定量化方法」は、発熱体の不動によるドット抜け
等により生じる着色していない白い部分を計測すること
により、ざらつき感の定量化を図ったものである。そし
て、上記の「ざらつきの定量化方法」は、次の(1)〜
(4)のステップにて構成される。
【0034】(1)転写シートの背面に一定密度の印画
エネルギーを供給して受像紙上に転写画像を得る。 (2)上記の転写画像を画像処理装置で処理して正規の
色濃度の部分の色濃度レベルのデータを得る。 (3)上記データの色濃度のレベルを上限とし、このレ
ベル未満の各色濃度レベルにおいて二値化し、該色濃度
レベル未満の色濃度の部分の面積、いわゆる白抜け面積
を算出する。 (4)各色濃度レベルをX軸値、白抜け面積の対数をY
軸値とする両者の相関を直線で近似し、該直線とX軸と
Y軸とで構成される三角形の面積(以下「面積指数」と
いう)を求め、これをざらつき感の尺度とする。面積指
数の値が小さい程ざらつき感が小さくて画像品位が高
い。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を越えない限り実施例に限
定されるものではない。なお、熱転写用受像紙の引張破
壊強度及び引張弾性率は下記条件で測定した。
【0036】(1)引張試験(強伸度) (株)インテスコ製の引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ50mm、幅15mmの受像紙の試
験片を200mm/min の速度で引張り、引張応力−ひず
み曲線より次の各値を求める。 引張破壊強度は次の
式によって計算する。 σ=F/A ここに、σ=引張破壊強度(Kg/mm2 ) F=破壊時に於ける加重(Kg) A=試験片の元の断面積(mm2 ) 引張破壊伸度は次の式によって計算する。 1=(L−L0 )/ L0 ×100 ここに、1=引張破壊伸度(%) L=破壊時の標点間距離(mm) L0 =元の標点間距離(mm)
【0037】(2)引張弾性率 (株)上記と同一の引張試験機用いて、温度23℃、湿
度50%RHに調節された室内において、長さ300m
m、幅20mmの受像紙の試験片を10%/min のひずみ
速度で引張り、引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分
を用いて次の式によって計算する。 E=Δσ/Δε ここに、E=引張弾性率(Kg/mm2 ) Δσ=直線上の2点間の元の平均断面積による応力差 Δε=同じ2点間のひずみ差
【0038】実施例1 広葉樹サルファイトパルプと広葉樹クラフトパルプ1:
1の混合パルプをこう解したのち抄造した。得られたセ
ルロース紙の厚さは190μm であった。次に、上記の
セルロース紙の表面に、低密度ポリエチレンと高密度ポ
リエチレンの7:3から成る樹脂組成物を樹脂温度33
0℃で溶融押出コーティングし、厚さ13μm の表面側
ラミネート層を形成した。上記のポリエチレンは、いず
れも、アナターゼ型酸化チタンを10%含有したもので
あり、低密度ポリエチレンとしては、酸化チタン添加前
のポリエチレンの密度が0.92g/m3 、MIが5の
ものを使用し、高密度ポリエチレンとしては、酸化チタ
ン添加前のポリエチレンの密度が0.96g/m3 、M
Iが5のものを使用した。次に、表面側ラミネート層と
逆の面(裏面)に、酸化チタンを含まない以外は上記と
同様の樹脂組成物を樹脂温度330℃で溶融押出コーテ
ィングし、厚さ13μmの裏面側ラミネート層を形成し
た。次に、表面側ラミネート層の表面にコロナ処理を施
して濡れ張力55dyn/cmとした後、下記の組成の受
像層をダイコーターを用いて塗布して乾燥させ、塗布厚
5μm の受像層を設けて熱転写用受像紙を得た。
【0039】<受像層形成用組成物> 飽和ポリエステル樹脂 10重量部 (TP−220:商品名 日本合成化学工業(株)製) アミノ変性シリコーンオイル 0.5重量部 (KF−393:商品名 信越化学工業(株)製) 溶剤(キシレン/メチルエチルケトン=1/1) 30重量部
【0040】上記により得られた受像紙をA6サイズに
断裁し、一方向(B方向)とこれに直角の他方向(A方
向)の機械的物性を測定した結果は表1の通りであっ
た。 表1 A方向 B方向 B/A ──────────────────────────────────── 引張破壊強度(Kg/mm2 ) 4.6 2.8 0.61 引張弾性率 (Kg/mm2 ) 273 153 0.56 引張破壊伸度(%) 3.8 8.3 ──── ────────────────────────────────────
【0041】図1に示す原理の市販の熱転写記録装置に
より、上記の受像紙をB方向より給紙ローラに送給し、
すなわち、受像紙の引張破壊強について言えば、受像紙
の発熱体の配列方向における引張破壊強度または引張弾
性率と、受像紙のサーマルヘッド移動方向における引張
破壊強度の比率が0.61となる条件下に給紙して印刷
を行った。なお、使用した転写シート及び印刷条件は次
の通りである。<転写シート>次の方法により製造した
転写シートを使用した。すなわち、背面に耐熱滑性層を
設けた厚さ6μm のポリエチレンテレフタレートフイル
ムの表面にバーコータ−により下記組成の塗料組成物を
乾燥後の塗布厚さが2μm となるように塗布してインク
層を形成した。 昇華性染料(住友化学工業(株)製スミプラスレッドFB) 5重量部 エチルセルロース(米国ハーキュリーズ製N−7) 5重量部 エチルアルコール 60重量部 ブタノール 30重量部 <印刷条件> 主走査および副走査の線密度 6ドット/mm 記録電力 0.156W/ドット ヘッドの加熱時間 8msec
【0042】得られた印画物について、特願平2−26
9910号記載の「ざらつきの定量化方法」に従って、
ざらつき(面積指数)を測定した結果は、表2に示す通
りであり、ざらつき感は小さく画質は良好であった。
【0043】実施例2〜4 実施例1に準じた方法により、一方向(B方向)とこれ
に直角の他方向(A方向)の機械的物性の異なる受像紙
を得て印刷を行った。すなわち、受像紙の発熱体の配列
方向における引張破壊強度または引張弾性率と、受像紙
のサーマルヘッド移動方向における引張破壊強度または
引張弾性率との比率が表2に示す条件下に受像紙を給紙
して印刷を行った。得られた印画物のざらつき(面積指
数)について、実施例1と同様の方法にて策定し、その
結果を表2に示す。いずれの受像紙の場合も、印画物の
ざらつき感は小さく画質は良好であった。
【0044】実施例5 実施例1で得られた厚さ190μm のセルロース紙の一
方の面に実施例1で使用したのと同様の受像層形成用組
成物をダイコーターにより塗布して乾燥させ、塗布厚5
μm の受像層を設けて熱転写用受像紙を得た。実施例1
に準じた方法により、一方向(B方向)とこれに直角の
他方向(A方向)の機械的物性の異なる受像紙を得て印
刷を行った。すなわち、受像紙の発熱体の配列方向にお
ける引張破壊強度または引張弾性率と、受像紙のサーマ
ルヘッド移動方向における引張破壊強度または引張弾性
率との比率が表2に示す条件下に受像紙を給紙して印刷
を行った。得られた印画物のざらつき(面積指数)につ
いて、実施例1と同様の方法にて策定し、その結果を表
2に示す。印画物のざらつき感は小さく画質は良好であ
った。 比較例1 公知の方法に従って、受像紙の発熱体の配列方向におけ
る引張破壊強度または引張弾性率と、受像紙のサーマル
ヘッド移動方向における引張破壊強度または引張弾性率
との比率が表2に示す条件下に受像紙を給紙して印刷を
行った。得られた印画物のざらつき(面積指数)を測定
した結果は、表2に示す通りであり、ざらつき感が大き
く画質は不良であった。
【0045】 表2 引張破壊強度比 引張弾性率比 面積指数 実施例1 0.61 0.56 6.12 実施例2 − 0.45 5.52 実施例3 0.53 − 5.10 実施例4 − 0.65 7.01 実施例5 − 0.51 7.53 比較例1 1.64 1.78 8.92 (注)受像紙の引張破壊強度比及び引張弾性率比は、発熱体の配列方向におけ る各値と、サーマルヘッド移動方向における各値の比率 である。
【0046】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、セルロー
ス紙等を基材とする受像紙の送給を特定の方法で行うこ
とにより、ざらつき感を小さくした、高画質、高品位の
転写画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写記録方法の概要を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
(1) :転写シート (2) :受像紙 (3)(3′):給紙ローラ (4) :サーマルヘッド (5) :プラテンローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 和広 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化 成株式会社水島工場内 (56)参考文献 特開 平2−235793(JP,A) 特開 昭60−125692(JP,A) 特開 昭62−23778(JP,A) 特開 平4−145772(JP,A) 特開 平5−169844(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40 B41M 5/24 - 5/34 D21H 11/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に気化性又は熱拡散性色素を含
    有する転写層を設けてなる転写シート及びセルロース紙
    の一方の面に色素を受容する受像層を設けてなる受像紙
    を用い、給紙ローラにより、複数の発熱体を配列してな
    るサーマルヘッドとプラテンローラとの間に前記受像紙
    を供給し、その受像層と前記転写シートの転写層とを対
    向させて重ね合わせ、発熱体からの転写シートへの加熱
    により転写層中の色素を受像層に受容させ、そして、発
    熱体配列方向と略直角方向に受像紙とサーマルヘッドと
    を相対的に移動させて記録を行う熱転写記録方法におい
    て、受像紙の発熱体の配列方向における引張破壊強度ま
    たは引張弾性率と、受像紙のサーマルヘッド移動方向に
    おける引張破壊強度または引張弾性率との比率が0.0
    1〜0.9の範囲となる条件下に受像紙の給紙を行うこ
    とを特徴とする熱転写記録方法。
  2. 【請求項2】 受像紙として、セルロース紙と受像層の
    間に熱可塑性高分子物質のラミネート層を有する受像紙
    を使用する請求項1記載の熱転写記録方法。
  3. 【請求項3】 受像紙として、受像層を設けた側と反対
    側の面に背面処理層を有する受像紙を使用する請求項1
    又は2記載の熱転写記録方法。
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