JP3088715U - 絶縁工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被覆の厚みが薄くかつ絶縁効果が高く、また
耐久性のある絶縁工具を得る。 【解決手段】 活線状態にある設備の組付けに使用する
ボルト又はナット等の固定具を取り扱うスパナ、レンチ
等の絶縁工具１は、機械的強度を有する金属本体２と、
この金属本体の固定具に接触する掛合面３を除いて金属
本体表面全体を被覆するフッ素樹脂外被４とを有する。
このフッ素樹脂外被４は、少なくとも２層構造にし、各
層を互いに異なる色のフッ素樹脂層５，６をそれぞれ静
電塗装又は流動浸漬によるパウダーコーティングによっ
て形成する。フッ素樹脂は従来のゴム被覆の絶縁工具に
比べると被覆の厚さが小さくても絶縁効果に優れるた
め、金属本体の寸法に変わりがない寸法にできるため、
狭い作業箇所での作業性がよくかつ短絡事故を防止する
ことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、電話交換設備、又は電源廻り等、活線状態にある設備の組付けに使 用する固定具を取り扱う絶縁工具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来は、このような活線状態にある設備では、短絡事故を回避するため、ゴム 被覆の外被を有する絶縁工具が使用されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、ゴム被覆の外被を有する絶縁工具では、安全性を考慮して被覆の厚み を多くとり、工具全体がかさばるものとなっていた。従って、周囲とのクリアラ ンスが狭い、込み入った箇所での作業性が悪いという欠点があった。

【０００４】 従って、本考案の目的は、被覆の厚みが薄くかつ絶縁効果が高く、また耐久性 のある絶縁工具を得るにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するため、本考案は、活線状態にある設備の組付けに使用する 固定具を取り扱う絶縁工具において、機械的強度を有する金属本体と、この金属 本体の固定具に接触する掛合面を除いて金属本体表面全体を被覆するフッ素樹脂 外被とよりなることを特徴とする。

【０００６】 本考案によれば、金属本体を被覆する外被として絶縁効果に優れるフッ素樹脂 を使用するため、厚みが薄くても確実に短絡事故を防止することができるととも に、絶縁被覆部分の厚みが薄いため、工具全体のかさは金属本体とほぼ変わりな いものとなり、狭い空間での作業性も向上する。

【０００７】 本考案の好適な実施例においては、フッ素樹脂外被を少なくとも２層構造にし 、各層を互いに異なる色のフッ素樹脂層とする。

【０００８】 本考案絶縁工具としては、例えば、片口スパナ、片めがねレンチ、ラチェット レンチ、拡張アダプタとしてのソケット、圧着端子修正ツール、絶縁トルクレン チ等に本考案を適用することができる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

次に図面につき本考案の好適な実施の形態を説明する。

【００１０】 図１には本考案絶縁工具の好適な実施の形態として、片口スパナ１を示す。本 考案によれば、図１の（ａ）に示す金属本体２の周囲に、固定具としての六角ボ ルトのヘッドに掛合する掛合面３を除き、全体にほぼ均一にフッ素樹脂を、例え ば、静電粉体塗装、流動浸漬などのパウダーコーティング方法により被覆し、図 １の（ｂ）に示すように外被４を形成する。

【００１１】 図示の実施の形態では、このフッ素樹脂外被４を、金属本体２の周囲に直接コ ーティングする第１フッ素樹脂層５と、この第１フッ素樹脂層５の周囲を被覆す る第２フッ素樹脂層６とにより構成し、これら第１及び第２のフッ素樹脂層５， ６は互いに異なる色に着色したフッ素樹脂を使用する。

【００１２】 この第１フッ素樹脂層５は、例えば、高温下空焼きによる脱脂、及びスチール グリッド通過若しくはサンドブラストによる粗面化の前処理を行なった金属本体 ２の固定具掛合面３を後工程で剥離可能なカバーで保護し、ある色例えば、白色 のフッ素樹脂パウダーを装填した静電塗装機内で静電塗装をかけ、例えば０．５ ｍｍ〜１ｍｍの厚さになるまで第１フッ素樹脂層５を成長させる。

【００１３】 この後、静電塗装機に装填するパウダーを黄色のフッ素樹脂パウダーに入れ替 え、例えば、０．５ｍｍ〜１．５ｍｍの厚さになるまで第２フッ素樹脂層６を成 長させる。この後、約３００゜Ｃの高温で焼成して定着させる。最終的に、膜厚 検査、ピンホール検査等を行う。これら焼成又は検査の前又は後の段階で、掛合 面２を保護するカバーを剥ぎ取る。

【００１４】 静電塗装ではなく、流動浸漬により第１及び第２のフッ素樹脂層を被覆して外 被４を形成することもできる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案フッ素樹脂被覆を有する絶縁工具によれば、従来使用されてきたゴム被 覆による絶縁工具に比べると、外被の厚みが薄くてもフッ素樹脂の優れた絶縁特 性のため、ほとんど金属本体の寸法と変わらない寸法にすることができ、従って 、短絡事故を防止することができるとともに、狭い作業箇所での作業性が向上す る。

【００１６】 また、フッ素樹脂は、従来のゴム製の絶縁工具に比べると、耐化学薬品性、防 汚性にも優れ、かつ種々の色に着色することもでき、カラフルな工具が得られ、 作業に彩りを添えることができる。

【００１７】 更に、異なる色に着色した少なくとも２層のフッ素樹脂外被によれば、最外層 のフッ素樹脂の傷又は剥がれを生じても即座に視認でき、従って、短絡事故を未 然に防ぐことができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案による絶縁工具の好適な実施の形態と
しての片口スパナの斜視図である。

【符号の説明】

１ 片口スパナ ２ 金属本体 ３ 掛合面 ４ 外被 ５ 第１フッ素樹脂層 ６ 第２フッ素樹脂層

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 活線状態にある設備の組付けに使用する
   固定具を取り扱う絶縁工具において、機械的強度を有す
   る金属本体と、この金属本体の固定具に接触する掛合面
   を除いて金属本体表面全体を被覆するフッ素樹脂外被と
   よりなることを特徴とする絶縁工具。
2. 【請求項２】 前記フッ素樹脂外被を少なくとも２層構
   造にし、各層を互いに異なる色のフッ素樹脂層とした請
   求項１記載の絶縁工具。