JP3086474B2 - 胎児の栄養膜細胞層細胞の単離方法 - Google Patents

胎児の栄養膜細胞層細胞の単離方法

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    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
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Description

【発明の詳細な説明】 (政府許可参照) 本発明は,厚生省により認可された許可番号HD−2251
8,HD−22210およびNO1−HD−8−2903の下で政府援助に
より成し遂げられた。政府は,本発明に対して所定の権
利を有する。
(産業上の利用分野) 本発明は,比較的非侵入性の手段を使用する妊娠初期
の出生前診断による遺伝疾患の検出に関する。
(従来の技術) 様々な遺伝疾患が,胎児が子宮に存在する間に検出さ
れ得る。これらの疾患の中には胎児を極端に衰弱させる
ものがあり,その場合両親に妊娠を中止するよう決心さ
せることが望ましい。しかし,最も頻繁に使用される出
生前の診断技術,すなわち羊水穿刺および絨毛膜絨毛サ
ンプリング(CVS)には,重大な欠点がある。これらの
技術では,必然的に胎児または胎盤膜の妨害が生じる。
さらに,羊水穿刺には合併症を併発する危険はほとんど
ないが,第2トリメスターの中期まで行うことができな
い。中止が示される場合,このタイミングが遺伝分析に
必要とされる時間と組合わせると,母体が妊娠第2トリ
メスター後期に直面することになるので,母体の健康が
危険にさらされることになる。CVSは妊娠6ケ月後に行
われ得るが,高い中絶率を有しており,記録によると12
%である。さらに,核型分析に適切な絨毛膜絨毛を得る
のが困難であるというような他の関連したリスクは,こ
の技術を幅広く使用する妨げとなっている。
母体血液から得られた胎児細胞を使用する出生前の診
断方法は,上記の診断技術に特有の問題を減少させるで
あろう。しかし,この目的を達成するにあたって,例え
ば母体血液中に胎児細胞が出現することが通常比較的ま
れであるという主要な障害のために,その発展が阻まれ
ている。事実,それらの検出には,通常蛍光活性細胞分
離のような特殊な方法が必要である。
胎児細胞を,蛍光活性細胞分離により母体血液から単
離する試みがなされている。[Herzenbergら(197
9)]。これらの分離は,母体血液においてHLA A2陰性
細胞と結合するであろう標識された抗体プローブの検出
に基づいていた。この方法で分離された男子胎児細胞
は,Yクロマチンのキナクリン染色によってさらに同定さ
れた。単離された細胞は,起源がリンパ球のようであっ
た。しかし,胎児の雄性細胞と母体の雌性細胞との間の
キナクリン染色における相違は小さいので,このアッセ
イの決定には疑問がある。さらに,単離された胎児細胞
は通常刺激されて有系分裂することができない。有系分
裂は核型分析および結合分析(banding analysis)に重
要である。
他の方法もまた,母体血液における胎児Yクロマチン
陽性細胞を検出するために蛍光活性細胞ソーターを使用
している。これらの細胞の起源は不明であるが,これら
の形態はリンパ球の形態と類似している。フィトヘムア
グルチニンに対する非応答性[Zillacusら(1975)]
は,それらがリンパ球または赤血球前駆体であり得るこ
とを示唆している[ParksおよびHerzenberg(198
2)]。このような細胞が観察される頻度は,0.2%未満
[Zillacus(1975)]から4%(Siebersら(1975)]
であった。
また,胎児の栄養膜を血球流量計によって母体血液か
ら回収するための試みもなされた。[Covoneら(198
4)]。これらの研究に使用されたモノクローナル抗体
であるH315は,満期胎盤の合胞体栄養膜細胞層の刷子縁
から単離された微少絨毛を使用して生成された。それは
ヒト合胞体栄養膜細胞層および他の栄養膜細胞集団の表
面において発現され,末梢血液細胞には欠損している糖
タンパクを同定すると報告されている。フィコール−ト
リオシル(ficoll−triosil)勾配を使用して分画され
た細胞の副次集団は,分離実験に使用された。記述され
た細胞または細胞物質は,1)80%の母体細胞中,1−4/10
00の頻度で発見された多核の合胞体細胞;2)50%のサン
プル中,8/1000の頻度で発見された二倍体細胞;および3
3%のサンプル中,<3/1000頻度で発見され,恐らくこ
れらも合胞体由来である単核細胞断片であった。胎児細
胞の形態は示されなかった。また,抗体陽性細胞の特徴
をさらに決定づける試みもなかった。さらに,使用され
た抗体は,妊娠していない女性由来の凝集細胞または多
核細胞をも認識した。
ヒト胎盤の懸濁液からの胎盤細胞集団を単離する方法
は,Kawataら(1984)によって記述されている。この方
法は相関2色(co−ordinate two color)および光散乱
蛍光活性細胞ソーター(FACS)分析法および分離法を使
用する。5つの異なる細胞集団は,HLA−A,B,C単形性決
定子に対するモノクローナル抗体(MB40.5)およびヒト
栄養膜に対するモノクローナル抗体(抗Trop 1,および
抗Trop 2)により検出された細胞表面抗原の相関発現
(coordinate expression)における大きさおよび量の
差に基づいて単離された。抗Trop 1および抗Trop 2が両
方とも,大きさが中/大であり胎児細胞の特徴をいくつ
かもっているがHLA−A,B,C抗原を示さない種類の細胞と
結合したことが報告されている。
LokeおよびButterworth(1985)は,2つのモノクロー
ナル抗体,18B/A5および18A/C4を記述しており,それら
は第1トリメスター栄養膜細胞層と反応する。しかし,
これらのモノクローナル抗体は,他の胎児上皮組織とも
反応する。さらに,18B/A5,合胞体栄養膜細胞層とも反応
する。
(発明の要旨) 母体血液から胎児細胞を得ることは,出生前の遺伝子
分析のために胎児組織を得るために一般に使用されてい
る技術特有の問題を減少させるであろう。しかし,この
目的のためには,主として2つの障害によってその発展
が阻まれている。第1に,母体血液中に胎児細胞が現れ
ることは,通常比較的まれであり,検出のための蛍光活
性細胞分離のような特殊な方法が必要とされる。第2
に,胎盤および胎児血液由来のものを包含する幅広いス
ペクトルの細胞タイプが,母体循環に侵入し得る。本発
明は,妊娠第1トリメスター中の母体血液から胎児栄養
膜細胞層を単離するのに有用な方法および組成物を提供
することによってこれらの問題を解決するので,胎児サ
ンプルを得るための比較的非侵入性の技術を使用して妊
娠初期の出生前の遺伝子分析を可能にする。
従って,本発明の1つの目的は第1トリメスター栄養
膜細胞層細胞に対して特異的なモノクローナル抗体を提
供するハイブリドーマを調製する方法であって,以下の
工程を包含する: a.第1トリメスター栄養膜細胞層細胞の精製された調製
物を提供する工程; b.工程aの調製物で個体を免疫する工程; c.工程bで免疫された個体の抗体産生細胞を永久増殖化
する工程;および d.精製された栄養膜細胞層細胞と反応し,末梢血液中の
他の細胞とは反応しない抗体を産生する抗体産生永久増
殖化細胞のクローンを単離する工程。
本発明の他の目的は,第1トリメスター栄養膜細胞層
細胞に対して特異的なモノクローナル抗体を分泌するハ
イブリドーマまたはその子孫である。
本発明のもう1つの目的は,第1トリメスター栄養膜
細胞層細胞に対して特異的なモノクローナル抗体であ
る。
本発明のさらにもう1つの目的は,母体血液から胎児
栄養膜細胞層細胞を単離する方法であって,以下の工程
を包含する: a.母体血液のサンプルを提供する工程; b.母体血液サンプルを,免疫学的に特異に反応させる条
件下で,第1トリメスター栄養膜細胞層細胞に対して特
異的なモノクローナル抗体と接触させる工程;および c.母体血液成分の残物から抗体−栄養膜細胞層複合体を
単離する工程。
本発明のさらにもう1つの目的は,以下の工程を包含
する,母体血液中の胎児栄養膜細胞層を検出する方法で
あって,以下の工程を包含する: a.母体血液のサンプルを提供する工程; b.母体血液サンプルを,免疫学的に特異に反応させる条
件下で,第1トリメスター栄養膜細胞層細胞に対して特
異的なモノクローナル抗体と接触させる工程;および c.抗体−細胞複合体の形成を検出する工程。
本発明のさらにもう1つの目的は,ハイブリドーマ,
その子孫ならびにそれらの等価物であるハイブリドーマ
がATCC No.10096である。
本発明のさらにもう1つの目的は,ハイブリドーマ,
その子孫ならびにそれらの等価物であるハイブリドーマ
がATCC No.10097である。
(発明の構成) 本発明は,出生前の診断に適切な胎児細胞を母体血液
から単離するのに有用な方法および組成物に特徴を有し
ている。母体循環に侵入することができ,かつそのため
検出用に用いられ得る胎児胎盤細胞の可能性のある起源
を評価することによって,本発明の様々な実施態様およ
び母体血液中での単離または検出のための標的細胞とし
ての胎児栄養膜細胞層の重要性を理解することが容易に
なる。
母体−胎児界面の構造は,第1図に示されている。界
面において,2つのタイプの胎児細胞が母体血液に接触し
ている。すなわち,合胞体栄養膜細胞層細胞および栄養
膜細胞層細胞である。絨毛膜絨毛は合胞体栄養膜細胞層
細胞によって覆われており,これらの合胞体細胞または
多核細胞は,恐らく母体−胎児界面上に存在する最も多
数の胎児細胞タイプであり,第1図において「a」で示
されている。これらの細胞を覆う微絨毛刷子縁は,クラ
スIおよびクラスIIの組織適合性抗原を欠いている。完
全な合胞体栄養膜細胞層細胞またはそれらに覆われる絨
毛膜絨毛が,母体血液中で長時間にわたって循環する可
能性はほとんどない。これらの多核細胞は,それらの合
胞体特性のために極端に大きい(>100ミクロン)。従
って,それらは循環中に,例えば肺および肝臓のような
母体の毛細血管床において捕らわれるであろう。組織構
造検査の結果,多核合胞体栄養膜細胞層細胞が妊娠中の
女性の肺に存在し,[AtwoodおよびPark(1961)],そ
して,出産後間もなく子宮を廃液(drain)する脈管か
ら流れ出た血液中に存在することが示された[Douglas
ら(1959)]。母体−胎児界面において見られるもう1
つの細胞タイプは,立方体様の栄養膜細胞層細胞であ
り,それは1細胞当り1核を有し,約20ミクロンの大き
さである。これらの細胞の相対的な位置は第1図および
第2図に示されている。栄養膜細胞層細胞のタイプは,
形態学の基準およびそれらの異なる機能によって裏付け
されるように,2つの異なる集団に分類可能である[Ende
rs(1968)]。栄養膜細胞層の2つの集団の相対的な位
置は第2図に示されている。栄養膜細胞層細胞の1つの
集団は合胞体の下に存在する。これらの細胞は,合胞体
栄養膜細胞層細胞に対する前駆体であり,栄養膜細胞層
の融合に起因する(第2図a)。前駆体の部分集団は絨
毛膜絨毛内に埋め込まれ,恐らく母体血液にはさらされ
ることはほとんどないであろう。これらの前駆体細胞は
第1トリメスターにおいて最も多く存在し,第2トリメ
スターにおいてその数は急速に減少し,満期にはほとん
ど存在しない。栄養膜細胞層のこの前駆体部分集団を有
する絨毛膜絨毛は,子宮に付着しておらず,むしろ母体
血液中に浮遊しているので,「自由絨毛」と呼ばれる。
第1トリメスターにおける減圧吸引によって得られた胎
盤および満期胎盤は主として自由絨毛を含有する。
栄養膜細胞層細胞の第2集団は「侵入性」の栄養膜細
胞層である。これらの細胞の塊は,「細胞カラム」と呼
ばれ,絨毛膜絨毛を覆う栄養膜細胞層細胞を通る穴を堀
り,子宮に侵入する。最終的には,細胞カラムは子宮管
を侵食し,栄養膜細胞層細胞は母体内皮内層に取って代
わる[Pijnenborg(1981)]。(第1図パネルbおよび
第2図パネルb参照)。細胞カラムは,絨毛膜絨毛にお
いて見られる栄養膜細胞層幹細胞と連続しているので,
この工程によって形成された付着絨毛膜絨毛は胎盤を子
宮に付着させる。これらの侵入性栄養膜細胞層細胞は母
体血管に付着し,このようにして母体血液と接触する。
(第2図パネルb参照)。さらに,それらは比較的サイ
ズの小さい単一細胞なので,循環中に母体毛細血管床で
取り除かれないであろう。
インビボでの胎盤形成の初期段階において発生する特
定の事項がインビトロにおいて繰り返され得るという仮
定と首尾一貫する結果が得られている。初期の実験で
は,胎盤絨毛から移動する第1トリメスター栄養膜細胞
層細胞が,ウシ角膜内皮細胞(BCE−ECM)およびPF−HR
9奇形癌細胞系によって生成された細胞外マトリックス
に侵入したことが示された[Fisherら(1985)]。続い
て栄養膜細胞層細胞の精製調製物もまた,このマトリッ
クスに侵入したことが確かめられた[Fisherら(1989,a
and b)]。どちらの場合も,絨毛における細胞集団
の副次集団または精製細胞のみが,その上でそれらが培
養されるマトリックスを分解した。このことは,主とし
て自由絨毛に見られる幹細胞からなる,第1トリメスタ
ーヒト胎盤から単離された栄養膜細胞層細胞が,侵入性
となり得るものと融合して合胞体を形成するものとの混
合物であることを示唆している。さらに,結果は,イン
ビトロで培養された栄養膜細胞層細胞が,妊娠後12週間
で侵入が頂点に達するインビボにおいて表される侵入挙
動のタイムテーブルを保持することを示した。第2トリ
メスター絨毛および栄養膜細胞層細胞はマトリックスに
付着するが,侵入はしない。
最近行われた実験(調製におけるマニュスクリプト)
では,栄養膜侵入を調査するために腫瘍細胞の侵入を研
究するために考案されたもう1つの実験システム[(Al
biniら(1987):ErkellおよびSchirrmacher(1988)]
を使用している。3,5,および8μmの細孔を有するポリ
カーボネートフィルターを市販の膜状の基部材料である
Matrigelで均一にコーティングした。第1トリメスター
および満期栄養膜細胞層細胞をこれらのマトリックスで
コーティングしたフィルター上で培養した。これらの実
験からいくつかの興味深い発見がなされた。特に注目す
べきなのは,栄養膜細胞層細胞は,異なるタイプの細胞
外マトリックスにプレートされると,非常に異なる行動
を示すことである。単一細胞としてPF HR9マトリックス
上にプレートされた第1トリメスター栄養膜細胞層が単
一層を形成する[Fisherら(1985,1989)]のに対して,
Matrigel上にプレートされた同様の数の第1トリメスタ
ー栄養膜細胞層細胞は塊を形成する。さらに,これらの
構築物の多くは,隣接する塊と接触する伸長工程で連結
されるようである。これらの塊の構築物は,栄養膜細胞
層細胞の単一層よりも絨毛に類似している。これに対し
て,Matrigelにプレートされた同一の数の満期細胞は凝
集しない。
胎盤細胞の侵入特性を調べるためにこのシステムを使
用した。18時間後,第1および第3トリメスター栄養膜
細胞層の培養物から断片を切断した。第1トリメスター
構築物の底部に位置する細胞は,構築物全体がマトリッ
クス内へ沈むようなネット効果で,下にあるECMへ侵入
しているようであった。そのような侵入が発生したこと
は,下にあるMatrigelの多数の断片が,くり抜かれたチ
ャネル内に存在する栄養膜細胞層を埋め込んだことが観
察されたことによって確認された。これに対して,満期
栄養膜細胞層細胞は,侵入した形跡がなく見かけ上Matr
igelに付着した単一細胞として残存していた。
栄養膜細胞層によるMatrigel侵入を研究するために走
査電子顕微鏡も使用した。すでに観察されたように,PF
HR9マトリックス内の穴の端に沿って見られた栄養膜細
胞層は,非常に複雑な表面を有していた。走査電子顕微
鏡により,マトリックスと相互作用する細胞が,細胞表
面から光を放射するという複雑な工程により複雑な表面
を有していることが示された。栄養膜工程は,マトリッ
クス分解の部位と関連しているようである。これらの細
胞が成長したMatrigelでコーティングされたフィルター
の下部も調べた。第1トリメスター栄養膜細胞層細胞
は,3μmの細孔を有するフィルターを通過することがで
きなかったが,5μmおよび8μmの細孔の場合と同様に
これらを通じて多数の複雑な工程を伝えた。膜の最先端
には,しばしばしわが見られ,再び多数の複雑な工程が
見られた。一般に,これらの細胞突起物が最初に現れ,
次いで完全な細胞が細孔を通して現れた。第1トリメス
ターがMatrigelでコーティングされた8μmの細孔を有
するフィルター上にプレートされた際に,完全な細胞が
通過し得た。フィルターの底部のパワーの低いSEMによ
って,培養後わずか18時間で多数の細胞が上部表面から
Matrigelを通って移動したことが示された。第1トリメ
スターヒト胎盤から単離された繊維芽細胞もまた,Matri
gelでコーティングされたフィルター上にプレートされ
た。これらの細胞は塊よりもむしろ単一層を形成した。
フィルターの下部を調べると,フィルターを通過した細
胞がないことが分かった。このように,第1トリメスタ
ーヒト栄養膜細胞層はインビトロにおいてECMを分解
[(Fisherら(1985,1989 a,b)]し,ECMを通して移動
する。これに対して,妊娠後期の栄養膜細胞層細胞は分
解も移動もしない。これらの結果から,栄養膜細胞層細
胞は,インビボにおいて示した発展的に制御された侵入
性挙動をインビトロにおいても維持することが分かる。
さらに,フィルターの下部において出現する栄養膜細胞
層細胞の侵入性副次集団はMatrigelを通過しない非侵入
性細胞から分離され得る。
また,出生前の遺伝子分析に対して重要なことは,第
1トリメスターヒト栄養膜細胞層細胞が培養物中に維持
され得ることである。胎児循環から生じる細胞は,この
特性を有していないようである。
上記に基づいて,本発明の方法および組成物は,第1
トリメスター栄養膜細胞層の特性を示す胎児細胞の母体
血液中における同定および母体血液からの単離に関連す
る。なぜなら,これらの細胞が母体循環に最も到達しや
すく,そしてその後毛細血管床において取り除かれない
からである。
本発明において,第1トリメスターヒト栄養膜細胞層
により発現され抗原に対して特異的なモノクローナル抗
体のパネルを生成する。妊娠中,胎児は大きな形態変性
を受け,このことは多数の生化学的および機能的特性に
おける変化を反映している。これらの形態学的および機
能的変性は,妊娠初期において栄養膜細胞層細胞上に存
在する抗原が,満期胎盤由来の栄養膜細胞層細胞上にお
いて失われるかまたは変性され得ることを示唆してい
る。例えば,特定のプロテアーゼおよびインテグリン
(integrins,細胞粘着分子)は,第1トリメスター細胞
に対して特異である[Fisherら(1989 b)]。従って,
本発明において栄養膜細胞層抗原に対して特異なモノク
ローナル抗体を生成するハイブリドーマは,第1トリメ
スター栄養膜細胞層細胞の精製調製物をイムノゲンとし
て使用することによって作製される。この調製物は,侵
入性細胞および融合されて合胞体を形成する細胞により
構成されている。第1トリメスター栄養膜細胞層は,こ
れらの細胞により発現された抗原を特異的に検出するモ
ノクローナル抗体を生成する可能性を高めるためにイム
ノゲンとして使用される。
ハイブリドーマによるモノクローナル抗体を作製する
一般的方法は公知である。永久増殖化された抗体産生細
胞系は,細胞融合,および,腫瘍形成DNAでBリンパ球
を直接形質転換したり,またはEpstein−Barrウィルス
でトランスフェクションするような他の技術により作製
され得る。M.Schreierら(1980);Hammerlingら(198
1);Kennettら(1980);を参照。さらに,米国特許第
4,341,761号;第4,399,121号;第4,427,783号;第4,44
4,887号;第4,466,917号;第4,472,500号;第4,491,632
号;および第4,493,890号を参照。単離された栄養膜細
胞層細胞イムノゲンとして使用してモノクローナル抗体
を生成する方法については後述する。前述および後述さ
れる特許,特許出願ならびに引例はすべて,本願に参考
文献として取り入れられている。
モノクローナル抗体は次いでスクリーニングされ,合
胞体栄養膜細胞層に対する前駆体であるものおよび侵入
性であるものを含む第1トリメスター栄養膜細胞層細胞
の大半を検出するのに有用なものを同定する。スクリー
ニングは,特異性の緊縮性の程度を変える通常特異性の
緊縮性を高める多数の工程から構成される。スクリーニ
ング工程は以下の工程を包含する。
1.第1トリメスターヒト胎盤絨毛膜絨毛の断片における
栄養膜細胞層と特異的に反応する抗体を単離する工程。
2.栄養膜細胞層細胞と反応し,末梢血液成分とは反応し
ない抗体を単離する工程。
3.前駆体および侵入性タイプの分解された栄養膜細胞層
細胞の精製調製物と反応する抗体を単離する工程。
4.工程1−3を満たす抗体がまた,インビトロにおいて
細胞外マトリックスに活発に侵入する第1トリメスター
ヒト栄養膜細胞層細胞と反応するかどうかを決定する工
程。
スクリーニング工程は,第トリメスター栄養膜細胞層
細胞に対して産生されたモノクローナル抗体により同定
された抗原の発現の特異性を,正確にテストするために
設計されている。その方法は2つの重要な考察を反映し
ている。第1に,第1トリメスター胎盤および末梢血液
のスミアの断片を使用する最初の工程は迅速に比較的簡
単に行われる。従って,これらの工程は多数の抗体のス
クリーニングを可能にする。第2に,最終の2つの工程
(工程3および4)は実施がより困難なので,多数の抗
体の一般的スクリーニングとしては使用されない。スク
リーニング方法において,これらの工程によりスクリー
ニングされる抗体の数は,最初の2つのスクリーニング
工程のために,すでにかなり減少している。
断片の初期スクリーニングによって,第1トリメスタ
ー絨毛膜絨毛を覆う合胞体栄養膜細胞層の下に位置する
栄養膜細胞層と反応する抗体が同定される。これらの栄
養膜細胞層は前駆体細胞であり,融合されて合胞体を形
成するかまたは侵入特性を得る。従って,これらの細胞
は大多数の栄養膜細胞層細胞に共通する抗原を発現する
と予想される。
初期スクリーニング工程において使用され得る他の材
料は胎盤床の断片である。子宮組織,特に血管は侵入性
栄養膜細胞層細胞を含有する。
スクリーニング工程における第2工程は,母体血液と
反応する抗体を減少させることである。本発明のモノク
ローナル抗体が胎児細胞と母体血液細胞とをうまく区別
するのに使用されるなら,この工程またはそれと同等の
ものが特に重要である。重要なことは,リンパ球および
栄養膜細胞が共通の抗原を共有していることである。ネ
ズミ栄養膜および末梢血液リンパ球の間の抗血清の交差
反応はBeerら(1972)によって報告されている。同様の
クラスのヒト抗原は,McIntyreおよびFaulk(1979)によ
りTLX(栄養膜リンパ球交差反応抗原)と呼ばれ,Herzen
bergおよびその協力者によって使用された抗体は,この
特定クラスにおける抗原を同定し得た[Herzenbergら
(1979)]。
第2工程におけるスクリーニングは,抗体の末梢血液
細胞への結合または結合の欠失をモニターする技術を使
用して成し遂げられ得る。これらの技術は,当業者に既
知である。しかし,上記に引用した理由によりスクリー
ニングは末梢血液のスミアを使用して実施される。対照
血液スミア(妊娠していない個体由来)において成分細
胞と反応しない抗体は,高速細胞ソーターを使用してさ
らにスクリーニングされて抗体が血液細胞との免疫活性
を欠いていることを確認され得る。
スクリーニング工程における第3工程は,絨毛膜絨毛
において栄養膜細胞層細胞を特異的に同定するが,末梢
血液成分とは反応しないモノクローナル抗体が精製され
た栄養膜細胞層細胞の調製物において多数の細胞を染色
するかどうかを決定する。多数の細胞との陽性の反応
は,抗体が,融合されて合胞体を形成する前駆体細胞お
よび侵入性細胞の両方を同定することを示している。
最終スクリーニング工程は,先行する基準を満足する
抗体がまた,インビトロにおいて細胞外マトリックスを
積極的に分解する栄養膜細胞層細胞と反応するかどうか
を決定することである。母体組織の侵入は母体循環へ接
近するように進行し,侵入性表現型の発生がスクリーニ
ング工程の他の工程において検出されるいくつかの抗原
の破壊と同時に起こる可能性がある。従って,この工程
は,選択された抗体が前駆体および侵入性栄養膜細胞層
の両方に共通の抗原を認識することを確認する。このス
クリーニングに適切なインビトロシステムはFisherら
(1985,1989 a,b)において記述されており,詳細は後
述されている。
上記スクリーニング工程により単離されたモノクロー
ナル抗体を,母体血液のサンプルにおける栄養膜細胞層
の検出および/または単離のために使用する。この工程
において,抗体を母体血液と混合し,抗体細胞複合体を
血液細胞の残物から同定および/または分離する。同定
は抗体を適切な標識で標識することにより行われ得る。
適切な標識およびそれらを抗体に付着させる方法は当業
者に既知であり,蛍光性,化学ルミネセンス,放射性,
および染色分子を包含する。標識された抗体からシグナ
ルを増幅する技術もまた既知であり,例えば,ビオチン
およびアビジンを使用する検出システム,および酵素で
標識および仲介された免疫アッセイである。検出および
分離の好ましいシステムは,フルオレセインを使用して
抗体を標識し,次いで高速蛍光活性細胞ソータを使用し
て分離する。
栄養膜細胞層の単離および/または検出を成し遂げる
ために抗栄養膜細胞層モノクローナル抗体を固体層に付
着させることが望ましい。モノクローナル抗体を固体層
に付着させる方法は当該技術において既知であり,モノ
クローナル抗体の固体層への疎水性,イオン性,および
化学的結合の方法を包含する。有用な固体層は当該技術
において既知であり,例えば,磁性または非磁性ビー
ズ,プレート,および重合材料の小片を包含し得る。モ
ノクローナル抗体が磁気ビーズに付着する際に,磁気細
胞分離装置を使用して抗体細胞複合体を単離することは
可能である。
さらに,抗栄養膜細胞層モノクローナル抗体との特異
的反応の以前に母体血液サンプル中の栄養膜細胞層の濃
度を高めておくことが望ましい。これは陽性または陰性
選択技術により成し遂げられ得る。例えば,陽性選択技
術によると,スクリーニング前の混合物は栄養膜細胞層
特異的なモノクローナル抗体,および/または,栄養膜
細胞層および他の細胞タイプに存在し,血液細胞に存在
しないエピトープに結合するモノクローナル抗体を含有
し得る。後者の例としては,抗サイトケラチンがある。
我々の研究によると,第1トリメスター栄養膜細胞層が
サイトケラチンを含有し,抗サイトケラチンは母体血液
由来の栄養膜細胞層をスクリーニングするために使用さ
れた。[Khongら(1986)]さらに,サイトケラチンは
通常血液細胞の構成要素ではないことが予想される。
他の濃縮方法は,陰性選択技術に依存し得る。例え
ば,栄養膜細胞層を結合せず,血液中の他の細胞を結合
する抗体は,初期にこれらの細胞タイプをサンプルから
取り除くために使用され得る。これらの抗体は,上記の
ように,固体層に付着し分離を援助し得る。血液中の様
々なタイプの細胞に結合する抗体は,当該技術において
既知であり,例えば,単核細胞に対して特異的なHLE−
1がある。他の細胞タイプが取り除かれ,栄養膜細胞層
を含有する調製物は,次いで抗栄養膜細胞層モノクロー
ナル抗体で処理され栄養膜細胞層を単離および/または
検出し得る。
抗体−細胞複合体の単離および/または検出は像分析
を行う装置を使用して成し遂げられ得る。これらの装置
は,当業者に既知であり,例えば光顕微鏡,光学装置,
蛍光走査等を包含し,これらの装置はコンピュータ使用
して走査され得る。さらに,装置は抗体−細胞複合体を
含有すると思われる懸濁液の流れをモニターし得る。
本願で記載される工程により単離された抗栄養膜細胞
層モノクローナル抗体は,出生前の診断において使用さ
れる様々な技術に有用である。例えば,この工程により
同定された細胞は,核型形成のための既知の工程を使用
して,培養物および核型において成長し得る。細胞また
は,例えば,サラセミア,鎌状赤血球細胞貧血,青少年
インシュリン依存糖尿病およびHuntington病の様々な遺
伝子疾患に関連すると知られる制限長多形現象の同定に
も使用され得る。遺伝子疾患に関連する個体DNA配列も
また,ポリメラーゼ鎖反応技術のようなDNA増幅技術を
使用する技術によって検出され得る。
さらに,循環栄養膜細胞の増加が子癇前症のようなあ
る種の病的状態と関連し得ることが示されている。[Ja
ameriら(1965)]この増加しつつある胎児合併症は,
通常第2トリメスター中に現れ,母体の高血圧,タンパ
ク尿,および胎児子宮内成長妨害によって特徴づけられ
る。明白な兆候が現れる以前に,抗栄養膜細胞層モノク
ローナル抗体を使用して増加した循環栄養膜細胞層によ
ってこの状態が進行しているかどうかを決定するため
に,第1トリメスターの後期段階における母体血液サン
プルをモニターし得る。
以下,本発明の実施例について記述するが,例証的な
目的のためであってその範囲を制限するものではない。
本明細書を考慮して,特許請求の範囲内における多数の
実施例が当該技術において明かであろう。特定のハイブ
リドーマが実施例において示されているが,これらのハ
イブリドーマの等価物は当業者により容易に認識され
る。等価ハイブリドーマは,指定のハイブリドーマによ
って生成された抗体と免疫学的に反応するエピトープと
免疫学的に反応する抗体を生成するものを含む。但し,
結合親和力は異なり得る。抗体が免疫学的に同様のエピ
トープと反応するかどうかを決定する技術は当該技術に
おいて既知であり,例えば競合性結合の研究を包含す
る。
(実施例) 第1トリメスター栄養膜細胞層細胞の単離 栄養膜細胞層細胞を第1トリメスターヒト胎盤から単
離する。真空吸引後,素早く胎盤を取り出し,残存する
母体血液をできるだけ多く取り除くために10℃のリン酸
緩衝塩水(PBS)で洗浄する。固形血液を取り除くこと
ができなかった胎盤の断片はすべて捨てる。胎児組織を
粘着脱落膜から切開し,白絨毛膜絨毛が緩衝液中で浮遊
するまでいくらかのPBS中ですすぐ。大きな絨毛断片を
胎盤から取り除き,10%の胎児子ウシ血清(FCS)および
50ミクログラム/mlのゲンタマイシンを含有するDME H
−21に移す。遠心分離(180xg,5min)後,培地を吸引
し,組織の湿潤重量を決定する。絨毛を,さらに2回異
なった培地で洗浄する。
栄養膜細胞層細胞を単離するために,洗浄した絨毛ペ
レットを分離溶液1[コラゲナーゼ(シグマ,タイプI
V)500U/ml,ヒアルロニダーゼ(シグマ,タイプ1−
S)200U/ml,DNase(シグマ,タイプIV)0.2mg/mlおよ
びウシ血清アルブミン(BSA)1mg/mlを含有するPBS]中
で再懸濁(5:1,v/w/w)する。懸濁液を37℃水浴で静か
に振る。絨毛膜絨毛を覆う栄養膜細胞層細胞の層を取り
除くのに必要なインキュベーション時間をコラゲナーゼ
のロット,および年齢の異なる胎盤毎に組織学的に決定
する。一般に,第1トリメスター組織を20分間インキュ
ベートする。合胞体(syncytium)を含有する第1分離
溶液を取り除き,絨毛を分離溶液II[トリプシン(シグ
マ,タイプXIII)0.25%,EDTA2mMおよび DNase0.2mg/m
lを含有するPBS]中で再懸濁する。37℃の振とう水浴中
で10分間インキュベートした後,絨毛コア(core)およ
び分離細胞の混合物を10%のFCSを含有する同量の培地
で希釈する。大きな組織断片を取り除くため,絨毛およ
び培地をガーゼで濾し,上澄を上記のように遠心分離す
る。栄養膜細胞層を取り除くために必要なインキュベー
ション時間を組織学的に決定する。一般に,シングルサ
イクルで,栄養膜細胞層細胞は絨毛膜絨毛から取り除か
れる。
生じた細胞ペレットを10%のFCSを含有する4mlの培地
で再懸濁し,Klimanら(1986)の方法によりHankの平衡
塩溶液中に形成したPercoll勾配の上に積層した。勾配
は,90%Percoll(Percoll9部:10X Hank平衡塩溶液1
部)をカルシウムおよびマグネシウムを含まない(CM
F)Hank平衡塩溶液で希釈し,50mlの円錐形ポリスチレン
遠心分離管中に積層することによって,3ml毎の5%ステ
ップで70%から15%のPercoll(V/V)に形成する。上記
勾配を室温で25分間遠心分離(1000xg)し,その後栄養
膜細胞層細胞を含有する管の中央の広いバンドを取り除
き,10容量倍の培地で希釈する。細胞を遠心分離により
単離し,さらに2回洗浄し,20%の透析FCS,1%のグルタ
ミンおよび50ミクログラム/mlのゲンタマイシンを含有
するMEM D−バリン培地[GilbertおよびMigeon(197
5)]で再懸濁する。栄養膜細胞層細胞を血球計で測定
し,最終濃度5x105/mlに調整する。栄養膜細胞層細胞の
収率は,第1トリメスター胎盤毎に約105から106であ
る。
栄養膜細胞層の単離された調製物は,<1%の繊維芽
細胞を含む。1週間より長期にわたって維持されるであ
ろう培養調製物における繊維芽細胞の成長を防止するた
めに,培地を含有するD−バリンを使用する。
抗栄養膜細胞層モノクローナル抗体の生成 モノクローナル抗体を,栄養膜細胞層プラズマ膜,ま
たは栄養膜細胞層の洗剤抽出物,あるいは,サイトケラ
チン,Fcレセプター突起(process),および細胞粘着分
子のような単離分子をイムノゲン無傷栄養膜細胞層,と
して使用して,生じさせる。
栄養膜細胞層プラズマ膜をBrunetteおよびTill(197
1)に従って単離する。洗剤抽出物を調製する[Knudesn
(1985)]。後者の工程において,細胞を冷却下でTrit
on X−114で抽出し,30℃の「曇り点(cloud point)」
に調整する。抽出物を遠心分離した後,分離層を収集す
る。
以下のように,上記イムノゲンでマウスを免疫する。
3週間置きに,イムノゲンを,完全(注入1)または不
完全(注入2および3)フロイントアジュバントととも
にBALB/Cマウスの腹腔内に注入する。最終の一連の注入
においては,アジュバントを有さないイムノゲン注射を
尾静脈に3日間毎日行う。
ラットもまた,抗体を生成するための免疫化には適切
である。細胞または成分を完全フロイントアジュバント
とともに腹腔内に注射する。次いで,アジュバントを有
さない注射を2回腹腔内に注入する。
免疫してから3日後,脾臓を,免疫したマウスまたは
ラットから取り除き,実質的にKennett(1980)の工程
に従って,脾臓をSP2/0マウス骨髄腫細胞と融合する。
融合細胞を,50ミクロリットルKennettH−Y培地中でミ
クロタイターウェル当り1個の融合生成物が成功裏に得
られる予想濃度でプレート(plate)する。24時間後,
非融合SP2/0細胞を選択的に殺すために,各ウェルの細
胞に50ミクロリットルH−Yに加えて倍量のアミノプテ
リンを補給する。
所望の抗体を生成するハイブリドーマのスクリーニン
グを行うために,特定の融合に使用されるイムノゲン
を,Dynatech Laboratory,Alexandria,Va.のVollerらに
よって記述されるようにpH9.0緩衝液中で96ウェルミク
ロELISAプレートに固定する。関心のある抗原(例え
ば,胎盤繊維芽細胞または末梢血液細胞)を発現するこ
とが予想されない細胞または組織の抽出物を陰性対照と
して使用する。ハイブリドーマ上澄液を4℃で2時間加
える。洗浄後,結合した抗体の量を,βガラクトシター
ゼ結合ラビット抗マウスIgGを2時間加え,次いでp−
ニトロフェニールβ−d−ガラクトピラミド(BRL,Rock
ville,Md.)を加えることによって決定する。陽性ウェ
ルは鮮やかな黄色を示す。陽性ハイブリドーマ(例え
ば,固定されたイムノゲンと反応するが,陰性対照とは
反応しない抗体を生成するハイブリドーマ)を制限希釈
培養法によりクローン化し,再クリーニングする。陽性
クローンを下記のように,第1トリメスター絨毛膜絨毛
の,冷凍され,プラスチックに包埋された断片を使用し
て,さらにスクリーニングする。この選択の結果生じた
ハイブリドーマはJ1D8,N1C6,J2F6,P1B5,S8G4,J1B5,10D
3.D9,10108.C9,J2F6,およびJ2E8である。
モノクローナル抗体の効果的な生成は,プリスタンで
プライムされたBalb/Cマウスの腹腔内に,選択されたハ
イブリドーマの約107細胞を注入することによって成し
遂げられる。腹水液を取り出し,液体中の細胞をペレッ
トし,次いで連続して他のマウスに注入するために使用
する。
抗体を精製するために,腹水液または抗体生成細胞に
より条件を調節された培養培地中に存在する抗体をタン
パクA親和性クロマトグラフィーにより精製する。抗体
が異なったイソタイプで,タンパクAに結合しない場合
は,それらを,固定された抗マウスイムノグロブリンを
使用して親和性クロマトグラフィーにより精製する。あ
るいは,マウスIgのすべてのイソタイプは,ヒドロキシ
アパタイトカラム(BioRad)上でHPLCを使用して精製さ
れ得る。
第1トリメスターヒト絨毛膜絨毛の断片上でのモノクロ
ーナル抗栄養膜細胞層抗体のスクリーニング 上記の工程により選択されたハイブリドーマが栄養膜
細胞層細胞と特異的に反応する抗体を生成するかどうか
を決定するために,抗体を第1トリメスターヒト胎盤由
来の絨毛膜絨毛の断片を使用してスクリーニングする。
抗体位置を決定するための迅速な工程として,冷凍組織
片を使用する。
真空吸引後素早く得た第1トリメスターヒト絨毛膜絨
毛から冷凍断片を調製する。組織をC PBS中で,pH7.2
において3%のパラホルムアルデヒドで30分間固定す
る。サンプルを5%のスクロースを含有するCMF PBS中
ですすぎ,未反応のアルデヒド基をクエンチするために
0.1%のグリシンを含有するCMF中で洗浄する。5,10,お
よび15%のスクロースを含有するCMF PBS中ですすいだ
後,組織をOCT(Miles Scientific,Naperville,IL)に
包埋し,液体窒素において冷凍する。断片(5ミクロ
ン)をSleeHR低温槽を使用して切断し,22mm2のカバーグ
ラス上に集める。
これの代わりにまたはこれに加えて,抗体を,グリコ
メチルアクリレート(GMA,38−41)またはNewmannら(1
983)によるLRホワイトに包埋された半薄断片(semi−t
hin section)を染色することによってスクリーニング
する。染色前に,抗体による非特異的結合をブロックす
るためにカバーグラスを0.2%のBSAを含有するPBSに10
分間さらす。
GMA包埋方法は下記の通りである。組織を,新たに調
製された3%のパラホルムアルデヒドを含有する0.1Mリ
ン酸緩衝液を用いて,pH7.4で,2時間固定する。以下のよ
うに,段階的にアセトン中で脱水した後,反応させるこ
とにより組織をJB−4(Polysciences,Inc.により市販
されるGMA)に包埋する:1)50%のアセトンで2回各10
分間;2)95%のアセトンで2回各10分間;3)100%のア
セトンで2回各10分間;4)50%のアセトン:50%のJB−
4単量体(溶液A)で1回10分間;5)JB−4単量体で1X
10分間;および6)JB−4単量体で一昼夜。次いで,組
織をJB−4溶液A(20ml)ベンゾール過酸化物(0.09
g)およびJB−4溶液B(0.5ml,Polysciences,Inc.)包
埋を含有するモールドに移す。重合を,4℃で12時間,真
空下(15−20mmHg)で行う。室温まで暖めた後,厚さ2
ミクロンの断片をSorvalol JB−4ミクロトームを使用
してガラスナイフで切断する。断片を,水を介してカバ
ーグラスに移し,室温で空気乾燥する。染色する前に,
断片を有するカバーグラスをPBS中で洗浄し,加湿室に
おいて室温で30分間PBS中の3%正常ヤギ血清(NGS)に
さらす。
モノクローナル抗体の免疫学的反応性をモニターす
る。テストされる抗体の調製物をPBS中でNGSを使用して
希釈し,組織断片と共にで30から60分間インキュベート
する。スライドをPBS−NGSで洗浄し,モノクローナル抗
体の種およびイムノグロブリンクラスに対して特異性を
有する蛍光性またはローダミン結合第2抗体に30分間さ
らす。スライドを蛍光性Zeiss顕微鏡を使用して検査す
る。非免疫血清にさらすこと,第1抗体が存在しないこ
と,および不適切な第2抗体を使用することは,対照と
して役立つ。
第2抗体はペルオキシダーゼ結合し得る。そのような
場合,内因性のペルオキシダーゼ活性は,断片をメタノ
ール中の0.3%の過酸化水素に30分間さらし,PBSで洗浄
することによってブロックされる。断片を,ペルオキシ
ダーゼ結合第2抗体(1:20−1:100)で4℃で24時間イ
ンキュベートし,次いでPBSで洗浄する。反応はジアミ
ノベンジジン(5ミクロリットル30%過酸化水素を含有
する100mlPBS中の12.5mgのDAB)で10分間行われる。
末梢血液成分との交差反応性の欠如についてのスクリー
ニング 最初に,抗栄養膜細胞層モノクローナル抗体を全血液
から分画された細胞上でスクリーニングする。全白色細
胞をWintrobe管において分画遠心分離法により末梢血液
から単離する。白色細胞を含有する1滴の単黄褐色塗布
物をスライド上に塗り付け,抗体にさらす前に氷冷却メ
タノールアセトン(3:1 v/v)を使用して軽く固定す
る。抗体を上記のようにさらす。
スライド上で白色細胞と反応しない抗体の調製物を,
高速細胞ソーターを使用して末梢血液成分と反応させる
ためにさらにスクリーニングする。この場合,抗体を蛍
光標識する。
分離栄養膜細胞層細胞上のスクリーニング 上記の工程を使用して,栄養膜細胞層細胞を第1トリ
メスターヒト胎盤から単離する。細胞ペレットを液体窒
素冷却イソペンタン中で冷凍し,上記のように切断して
冷凍断面(cross−section)を形成する。冷凍断面はモ
ノクローナル抗体と反応し,免疫学的反応性が上記のよ
うに決定される。
次いで,冷凍部と積極的に反応する抗体を,GMAに包埋
された単離栄養膜細胞層との反応性についてスクリーニ
ングする。包埋および反応性モニターは,単離栄養膜細
胞層を有する細胞ペレットをヒト絨毛膜絨毛に置き換え
ること以外は,上記のように行う。
侵入性栄養膜細胞層に対する抗栄養膜細胞層モノクロー
ナル抗体の反応性の決定 このスクリーニングに使用される侵入性栄養膜細胞層
細胞を単離された細胞外マトリックス(ECM)上で成長
させる。侵入性細胞の存在は,マトリックスを浄化(cl
eaning)することによって証明される。異なる特性を有
する3つの異なるマトリックスが使用され得る。PF HR
9奇形癌マトリックスの構成は,天然基底膜の構成と類
似しており,主要な構成物はコラーゲンタイプIV,ラミ
ニン(両方とも基底膜の特徴を示すと見なされる),エ
ンタクチン,および硫酸ヘパリチンプロテオグリカンを
包含する。[Kramerら(1984)]。しかし,天然基底膜
と比較して,分子の架橋の程度は最小である。ウシ角膜
内皮(BCE)細胞はハイブリドマトリックスを分泌す
る。このマトリックスは基底膜および間質性のマトリッ
クス成分の両方を有し,また架橋される。[Robinsonお
よびGospodarowicz(1983)]。コラーゲンおよびエラ
スチンの架橋は,結果として物理的に安定で非侵入性の
層を形成することになる。従って,HR9マトリックス分解
に必要でない酵素は,BCEマトリックス侵入に必要であり
得る。
PF−HR9細胞系をLa Jolla Cancer Research Foundati
onにおいてDr.Erkki Ruoslahticより得た。細胞を通常
のようにDME(.45%グルコース,DMEM−H)において培
養し,10%のFBS(FBS,Sterile System,Logan,UT)およ
び10−50ミクログラム/mlのゲンタマイシンを補給し
た。すべての細胞をトリプシンのみまたはトリプシンED
TAを使用して,規則正しい間隔を置いて通過させる。
PF−HR9−ECMを,細胞をプラスチックカバーグラスま
たは1ウェル当り5x105細胞でプラスチックウェルに接
種することによって生成する。基底をウシプラズマフィ
ブロネクチン(PBS中50ミクログラム/ml,25℃で30分
間)でプレコーティングし,Kramerら(1982)およびKra
merら(1983)に記述されるように単離する。培養培地
を1日置きに,10%FBS,50ミクログラム/mlのアスコルビ
ン酸および10ミクログラム/mlのゲンタマイシンを含有
するDMEM−Hで置換する。
約10日後,PF−HR9−ECMを,Kramer(1984)によってす
でに記述されている工程の改変を利用して単離する。カ
バーガラスまたはウェルを低張緩衝液(hypotonic buff
er)(10 mM Tris HC1,0.5 mg/ml BSA,0.1 mM CaCl2,pH
7.5)を使用して37℃で2回洗浄し,次いで同様の緩衝
液により37℃で10分間インキュベートすると,その間に
細胞は膨張する。細胞溶解は,低張緩衝液で希釈した0.
5%のNP−40非イオン洗浄剤を使用した簡単な抽出(37
℃で2分間)により行う。カバーグラスまたはプレート
を蒸留水で4回洗浄し,0.1M水酸化アンモニウムととも
に室温で15分間インキュベートし,10%のFBSを含有する
PBSで3回すすぎ,次いで残存する洗浄剤を抽出するた
めにDMEM−Hプラス10%FBS中で1時間インキュベート
する。いずれの場合もPF−HR9−ECMを単離直後に使用す
る。
BCE細胞の培養物は,Gospodarowiczら(1983)に従っ
て,去勢ウシの目から確立される。保存種をゼラチンで
コーティングした組織培養皿上で維持し,15%のFBS,2mM
のグルタミンおよび50マイクログラム/mlゲンタマイシ
ンを補給したダルベッコ変性イーグル培地(0.1%のグ
ルコース,DMEM−L)中で成長させる。Gospodarowiczら
(1984)に従って単離された繊維芽細胞成長因子(FG
F)を,培養物が集密化(confluence)するまで,最終
濃度が1ng/mlになるように1日置きに加える。保存種を
1:64の分割比で1週間毎に通過させる。BCE−ECMでコー
ティングした表面を,3%のデクストラン(40,000 MW)
を補給した上記培養物中に細胞を接種することによって
生成する。集密化してから1週間後,培養物を20mMの水
酸化アンモニウムに5分間さらすことによって,BCE−EC
Mから細胞を除去する。このBCE−ECMはD−PBSプラス抗
体中で4℃にて貯蔵される前にダルベッコPBS(D−PB
S)で洗浄される。
上記の項で記述したように調製された単離栄養膜細胞
層細胞をECM上でプレートする。マトリックスの分解
は,細胞が集密化した直後に開始するようである。ほと
んど架橋しないPF−HR9−ECMの場合,可視穴は通常48か
ら72時間以内に形成されるが,BCE−ECMにおける同様の
浄化(cleaning)には2倍の時間がかかる。Matrigelで
コーティングしたフィルターの侵入は18時間で起こる。
侵入性栄養膜細胞層と免疫学的に反応する抗栄養膜細胞
層モノクローナル抗体についてのスクリーニングは,カ
バーグラス上またはMatrigelでコーティングされたフィ
ルターを通して侵入した細胞を使用してモニターされ
る。カバーグラスおよびフィルター上への材料の固定な
らびに固定材料の免疫学的反応は,上記の通り絨毛膜絨
毛の薄い断片のためである。
スクリーニングは,通常PF−HR9−ECMまたはMatrigel
に侵入する栄養膜細胞層上でまず行われる。さらにスク
リーニングが所望されるなら,BCE−ECMに侵入する細胞
をテストして,侵入がさらに進んだ後も栄養膜細胞層特
異性抗原が検出され得るかどうかを確認する。所望の特
異性を有するモノクローナル抗体を産生すると考えられ
るハイブリドーマのクローンは,J1D8(また,BD66とも呼
ばれる),10D3.D9,10D8.C9およびNIC6である。
JAR絨毛癌細胞を使用して生成された抗栄養膜細胞層モ
ノクローナル抗体 上記の方法を使用し,栄養膜細胞層と免疫学的に反応
するモノクローナル抗体を,JAR絨毛癌細胞をイムノゲン
として使用することによって生成する。この方法におい
て,ラットを免疫し,免疫された脾臓細胞をSP2/0細胞
と融合する。生じたハイブリドーマを上記の方法でスク
リーニングする。栄養膜細胞層とのみ免疫学的に反応す
る2つのクローンを単離する。これらのクローンの内の
1つをB4F2と名付ける。
JARヒト絨毛癌系をPatilloおよびGey(1968)の方法
を使用して生成し,10%のFCS,1%のグルタミンおよび50
マイクログラム/mlのゲンタマイシンを含有するDME H1
6中で成長させる。
母体血液における第1トリメスター栄養膜細胞層の検出 上記のように単離された栄養膜細胞層細胞を,これら
の細胞が抗栄養膜細胞層モノクローナル抗体によって同
定され得るかどうかを決定するために末梢血液のサンプ
ルに加える。栄養膜細胞層を男子胎児の墮胎児から精製
し,1/10から1/10,000の範囲の濃度で末梢血液のサンプ
ルに加える。モノクローナル抗体を,免疫学的反応をさ
せる条件下で血液サンプルとインキュベートする。次い
で,サンプルを含む抗体を高速細胞分離装置にかける。
結果として生じた分離抗体−細胞複合体をグラススライ
ド上に置き,固定し,Y特異的プローブを用いる蛍光性ハ
イブリダイゼーションを使用して染色し,それらが胎児
起源であることを確認する。
あるいは,Matrigel培養物システムが母体血液中の胎
児細胞を増殖させるために使用され得る。マクロファー
ジを除去した血液を,Matrigelでコーティングしたフィ
ルターおよびフィルターの反対側に集められた侵入性栄
養膜細胞層細胞上にプレートする。また,Matrigelでコ
ーティングされたカバーグラスを母体血液から単離され
た栄養膜細胞を成長させるために使用する。
以下に掲載する材料はAmericann Type Culture Colle
ction(ATCC),12301 Parklawn Dr.,Rockville,Marylan
d 20852とのブダペスト条約の条約項の下で寄託されて
おり,以下のような受託番号が与えられている。
米国特許としての本出願の許可および発行に際して,
これらの寄託物の入手制限はすべて取り除かれる。そし
て,37 CFR 1.14および35 USC 1.22の下で権限を与えら
れる長官により決定された者には,上記名の出願係属中
に指定の寄託物の入手が認められるであろう。さらに,
指定の寄託物は寄託の日から30年間,寄託の最終要求か
ら5年間,または米国特許の実施できる期間のどちらか
長い方の期間維持される。本出願で記載される寄託材料
は便宜上示されるだけで本発明の記述を実施するために
必要されるものではなく,さらにこれらの材料は参照と
してここに組み込まれている。
本発明の様々な実施例は,様々な商業的有用性をもっ
ている。本出願において記述されるスクリーニング工程
に従って単離されたハイブリドーマによって生成された
モノクローナル抗体は,その特異性のために,母体血液
における循環栄養膜細胞層の検出および単離に有用であ
る。また,これは,比較的非侵入性であり,妊娠第1ト
リメスターまたは妊娠第2トリメスター初期に行われ得
る出生前の分析の方法を提供する。さらに,モノクロー
ナル抗体は,母体血液中の栄養膜細胞層の濃度が増加す
るのに基づく,明白な兆候の発生前に子癇前症を検出す
る方法に有用である。本出願に記載のハイブリドーマを
スクリーニングする方法は,栄養膜細胞層に対して特異
的で,また上記有用性を有するモノクローナル抗体を生
成するハイブリドーマを単離するのに有用である。
(本出願の引用文献) Albiniら(1987)Cancer Res.47巻:3239−3245頁。
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(発明の要約) 妊娠初期における出生前の分析を行う比較的非侵入性
の工程は,抗栄養膜細胞層モノクローナル抗体を使用す
る。この工程では,これらの細胞を母体血液サンプルか
ら検出し,単離する。スクリーニング工程は,栄養膜細
胞層と反応するが,他の末梢血液成分とは反応しないと
いう特異性を有するモノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマのために開発された。
【図面の簡単な説明】
第1図は,母体血液中に胎児細胞の起源を含有する,母
体−胎児界面の構造を示す図である。パネルaは自由絨
毛;パネルbは付着絨毛,およびパネルcは分解絨毛で
ある。 第2図は,胎盤内に見られる栄養膜細胞層細胞の2つの
集団を示す図である。パネルaは融合して合胞体となる
幹細胞を示す。パネルbは子宮および母体管に侵入し,
最終的に内皮内層に取って代わる栄養膜細胞層細胞の副
次集団を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/553 G01N 33/577 B 33/577 A61K 39/395 N // A61K 39/395 C12N 15/00 C (72)発明者 キャロライン エイチ.ダムスキー アメリカ合衆国 カリフォルニア 92004 ベルモント,テラス ドライブ 1746 (72)発明者 クリフォード リーブラック アメリカ合衆国 カリフォルニア 94409 フォスター シティ,フライン グ フィッシュ ストリート 1032 (56)参考文献 特表 平4−502060(JP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA(1981)Vol.78,No. 8,p.5147−5150 Cell Tissue Res. (1986)Vol.246,p.189−195 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 5/10 C07K 16/18 C12N 15/02 C12P 21/08 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モノクローナル抗体を産生するハイブリド
    ーマを調製する方法であって,該モノクローナル抗体
    が: (i)第1トリメスターヒト胎盤絨毛膜絨毛の切片にお
    いて栄養膜細胞層の層と特異的に反応性であり、 (ii)侵入型の栄養膜細胞層細胞とインビトロで反応性
    であり、そして (iii)末梢血中のほかの細胞とは反応性ではなく、 該方法は,以下の工程を包含する: a.合胞体栄養細胞層細胞の層が除去されている絨毛膜絨
    毛から該第1トリメスター栄養膜細胞層細胞の精製調製
    物を提供する工程; b.個体を工程aの調製物で免疫する工程; c.工程bにおいて免疫された個体の抗体産生細胞を永久
    増殖化する工程;および d.特徴(i)〜(iii)を有する抗体を産生する抗体産
    生永久増殖化細胞のクローンを単離する工程。
  2. 【請求項2】前記モノクローナル抗体がまた: (iv)前駆体および侵入型の両方の分裂栄養膜細胞層細
    胞の精製された調製物と反応性である、 請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の方法により入手
    可能であり、前記第1トリメスター栄養膜細胞層細胞と
    反応性でありかつ末梢血細胞と反応性でないモノクロー
    ナル抗体を分泌する,ハイブリドーマまたはその子孫。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のハイブリドーマにより入
    手可能であり、第1トリメスター侵入性栄養膜細胞層細
    胞と反応性でありかつ末梢血細胞と反応性でない、モノ
    クローナル抗体。
  5. 【請求項5】第1トリメスター胎児栄養膜細胞層細胞を
    母体血液から単離する方法であって,該方法は,以下の
    工程を包含する: a.母体血液のサンプルを提供する工程: b.免疫学的に特異に反応させる条件下で,母体血液サン
    プルを、請求項3に記載のハイブリドーマから入手可能
    であり、第1トリメスター侵入性栄養膜細胞層細胞と反
    応性でありかつ末梢血細胞と反応性でないモノクローナ
    ル抗体と相接触させる工程;および c.抗体−栄養膜細胞層複合体を母体血液成分の残物から
    単離する工程。
  6. 【請求項6】前記母体血液のサンプルを,栄養膜細胞層
    上のエピトープおよび他の細胞と結合するが血液細胞と
    は結合しないモノクローナル抗体と接触させて,栄養膜
    細胞層に対して該サンプルを強化し,そして抗体−細胞
    複合体を単離する工程をさらに包含し,該強化工程が請
    求項5に記載の工程bに先行する,請求項5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】前記モノクローナル抗体が抗サイトケラチ
    ンである,請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記母体血液のサンプルを,栄養膜細胞層
    でない末梢血液中の細胞と結合する抗体と接触させ,栄
    養膜細胞層に対する該母体血液サンプルを強化し,そし
    て抗体−細胞複合体を取り除く工程を包含し,該強化工
    程が請求項5に記載の工程bに先行する請求項5に記載
    の方法。
  9. 【請求項9】前記抗体が単核細胞に結合する,請求項8
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】蛍光細胞分析分離装置において前記複合
    体の単離工程が行われる,請求項5に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記抗体が固体相に結合する,請求項5
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記抗体が磁気ビーズに結合し,前記単
    離工程が磁気分離装置によって実施される,請求項5に
    記載の方法。
  13. 【請求項13】前記抗体が固体相に結合する,請求項8
    に記載の方法。
  14. 【請求項14】前記抗体が磁気ビーズに結合し,前記単
    離工程が磁気分離装置によって実施される,請求項13に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】母体血液中の第1トリメスター胎児栄養
    膜細胞層の検出方法であって,該方法は,以下の工程を
    包含する: a.母体血液のサンプルを提供する工程: b.免疫学的に特異に反応させる条件下で,該母体血液サ
    ンプルを,請求項3に記載のハイブリドーマから入手可
    能であり、第1トリメスター侵入性栄養膜細胞層細胞と
    反応性でありかつ末梢血細胞と反応性でないモノクロー
    ナル抗体と接触させる工程;および c.抗体−細胞複合体の形成を検出する工程。
  16. 【請求項16】前記検出工程が画像解析が可能な装置に
    よって行われる,請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】前記検出工程が抗体−細胞複合体を含有
    しているであろうと予想される懸濁液の流れをモニター
    する装置によって行われる,請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】ハイブリドーマATCCNo.10097およびその
    子孫。
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