JP3085762B2 - 厚肉細径管の製造方法 - Google Patents
厚肉細径管の製造方法Info
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Description
係り、特に伸管加工で生じる管内周面の微細クラックを
除去して高品質の厚肉細径管を製造する方法に関する。
る厚肉細径管では、管内の通過抵抗の減少と噴射ノズル
の閉塞防止のために管内面の平滑度が高いことが要求さ
れると共に、高圧力の繰返し疲労に耐えるため管内周面
の欠陥、特に微細クラックを減少させることが要求され
る。
素鋼鋼管)に伸管加工と熱処理加工の繰返しからなる冷
間引抜加工を施して作られるが、被加工パイプはシーム
レス管であり熱間圧延工程によって造られるために、管
内周面にクラック、凹状のしわを含んだ黒皮層を有す
る。この場合被加工パイプを酸液等の化学的手段による
黒皮層を除去する処理を施しても、黒皮層を完全に除去
して被加工パイプの内周面を一様な鋼肌面にすることは
困難であり、黒皮層が残ることが多い。
使用した場合に、使用中の黒皮層の一部が剥離してノズ
ルが詰まったりする。
おいて、被加工パイプを厚肉細径管に引落すに当って、
予め被加工パイプの内周面の黒皮層を機械的手段(機械
的切削、研削)により除去(以後初期内削と云う)して
管内全面を鋼肌にしておく厚肉細径炭素鋼々管の製造方
法を、本出願人は提案した。この提案の方法によって、
内面に黒皮層が殆んど存在しない内周面が高平滑度で、
真円度と均一性に優れた厚肉細径炭素鋼々管を得ること
ができる。
方法では、熱間圧延工程で製造される被加工パイプの管
内周面に残留する黒皮層、不純物、しわ、傷などを殆ん
ど除去することはできるが、被加工パイプに大きな偏
肉、偏芯があった場合、これらがわずかに残留する場合
があり、また、厚肉細径管の製造工程で被加工パイプに
対するその後の伸管工程で新たに生じる欠陥の除去はで
きない。
期内削後の被加工パイプの伸管加工時に、被加工パイプ
の内周面に凹状のしわが生じこのしわが閉じて微細なク
ラックに変化し、前述の提案の方法で内削を行って黒皮
層を除いておいても、最大80μmのクラック(図5に
一例として74μmのクラックが発生したものを示す)
が発生する場合もある。前述の初期内削を行わない場合
には、最大300μmのクラック(図6に一例として1
35μmのクラックが発生したものを示す)が生じるこ
ともある。また、被加工パイプは熱間圧延工程で製造さ
れているので、パイプには偏肉、偏心が生じていること
が多い。このような被加工パイプに対して従来は、深穴
加工工法の一つであるガンドリル工法に代表されるよう
に、切削工具を回転させながら、治具に固定された被加
工パイプに押し込むようにして切削加工を行なってい
た。(この加工はいわゆるガンドリルと云われる穴の直
進性を重視した工具を使用した工法であり、加工穴の偏
心及び曲がりを防ぐためにこの手法がとられていた。)
このように工具を押込みながら切削を行なうために、工
具には大きな切削抵抗がかかり、アーバーを太くしない
と特に押込力のためにたわみが生じて加工ができなくな
る。アーバーを太くして剛性を高めると工具は、偏肉の
為に偏芯した被加工パイプの場合にあってはその内周面
に倣わずに直進してしまい、内径より太い工具を使用し
ても切削し切れず黒皮が残留することがあった。
径管の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は例
え偏肉、偏芯のある被加工パイプであっても熱間圧延時
の黒皮層を完全に除去すると共に、例え初期内削後の伸
管加工時に新たに微細クラックが発生してもこれを確実
に除去し、内周面が高品質で、内圧繰返し保証圧力を特
に高めた厚肉細径管を得る方法を提供することにある。
に、本発明の厚肉細径管の製造方法では、被加工パイプ
に伸管加工と熱処理加工とを行う工程を複数回繰り返
し、厚肉細径管を製造する方法において、最終の前記工
程での伸管加工に先立って、前記被加工パイプの内周面
に削り加工を施している。
しくは初期内削後、被加工パイプに対する伸管加工と熱
処理加工とを含む工程を複数回繰り返し、所望の内、外
径を有する管を製造する際に、細径化した最終工程での
伸管加工に先立って、例えば一端に切削刃を有する芯金
を被加工パイプに対して相対的に引っ張って被加工パイ
プ内を移動させると共に、被加工パイプと芯金を相対回
転させることにより、例え被加工パイプに偏肉、偏芯が
あったとしてもその内周面に倣って削り加工が施されて
熱間圧延時の黒皮層が完全に除去されると共に、例え該
削り加工前の伸管工程で微細なクラック、凹状のしわ等
が新たに生じてもこれを除去することができる。この場
合最終伸管では細径化していると共に、引張りによる加
工なので、芯金には大きな切削抵抗は加えられず、切削
トルクと引張りによるスラスト力のみが作用するので、
被加工パイプに対して低剛性で倣い性のよい細径芯金が
使用でき、引張荷重下で切削加工が行なわれる。このた
め、細径芯金の切削刃は偏肉、偏心した被加工パイプで
もその内周面に倣うよう追従して切削を行ない、黒皮層
の除去が完全に行なわれる。
し、芯金を回転させると切削抵抗により長尺の芯金は自
励振動を生じ加工面の粗さが大きくなるが、芯金を回転
させずに被加工パイプを回転させることにより、芯金の
自励振動を防止して加工を安定させ加工面の粗さを減少
させることができる。
パイプに、最終工程の伸管加工及び熱処理加工が施され
て、高品質の、内圧繰返し保証圧力を特に高めた厚肉細
径管が作成される。
明する。
説明図、図2は図1のA−A線上の概略断面図である。
間引抜材であるJIS G 3455 STS 370
で外径34mm、肉厚4.5mmの炭素鋼々管が用いら
れ、まず、硫酸の20%溶液により、温度60℃で30
分乃至1時間の酸洗を行って内面及び外面のスケール落
しを行い、その後水洗及び苛性ソーダ水溶液による中和
処理が行われた。
グ社製)内に浸漬し、被加工パイプの内面及び外面がり
ん酸亜鉛被膜を形成された。
スに挿着するためのスエージング加工を行い、潤滑油内
に油漬された。そしてプラグ、ダイスを使用して外径2
7mm、肉厚3.7mmとなるように第1回目の伸管加
工が行われた後、光輝DXガスを使用し、800℃で1
0分間焼鈍が行われた。次いで外径21mm、肉厚3.
6mmとなるように第2回目の伸管、焼鈍加工が行わ
れ、更に外径15mm、肉厚3.0mmとなるように第
3回目の伸管、焼鈍加工が行われた。更に引続いて外径
9.5mm、肉厚2.55mmとなるように第4回目の
伸管加工が行われた後、矯正加工と定尺切断、片端面取
り加工が行われた。
要部である内周面の削り加工を行う。
2に基づいて説明すると、パイプ保持台1を挾むように
して保持移動体2と芯金保持体3とが、図1に矢印Yで
示す移送方向に基台(図示せず)上に移動自在に取り付
けられている。これらの保持移動体2と芯金保持体3に
保持される芯金4は、一端に切削刃5が連設されてい
る。
成されている一端側で保持固定して、芯金4の軸方向
(Y方向)に移動可能に、また保持移動体2は、この芯
金4を他端側で保持固定して、芯金4の軸方向(Y方
向)に移動可能に構成されている。これらの保持移動体
2と芯金保持体3とには、同時に多数本(例えば10
本)の芯金4が保持できるようになっている。
0Jに係合してチャックするようパイプチャック11が
設けられていて、このパイプチャック11には回転装置
6A〜6Jが設けられ、これらのパイプを軸心を中心に
回転させるように構成されている。
供給器7が設けられ、他側面側には製品受け台8が設け
られている。そして、パイプ保持台1、保持移動体2、
芯金保持体3、パイプ供給器7、製品受け台8及び回転
装置6A〜6Jを連設したパイプチャック11の動作
は、制御回路(図示せず)からの制御信号で行われるよ
うに構成されている。
刃5と反対方向の端部を保持固定した保持移動体2が、
パイプ保持台1に近付く方向に移動し、芯金4の切削刃
5側がパイプチャック11内を貫通し芯金保持体3に保
持固定される。
芯金保持体3と回転装置6A〜6Jを連設したパイプチ
ャック11が、パイプ保持台1から遠ざかる方向に移動
する。そしてパイプ供給器7から外径9.5mm、肉厚
2.55mmの被加工パイプ10A〜10Jがパイプ保
持台1に供給され、各パイプの面取りをした端部が芯金
保持体3に保持固定された芯金4の端部とそれぞれ対向
した位置に配設される。この状態から芯金保持体3、パ
イプチャック11及び回転装置6A〜6Jがパイプ保持
台1に近付く方向に移動し、芯金4が被加工パイプ10
A〜10J内にそれぞれ遊嵌されると共に、被加工パイ
プ10A〜10Jにパイプチャック11及び回転装置6
A〜6Jが外嵌されてパイプチャック11内に被加工パ
イプ10A〜10Jが挿通された状態となり、被加工パ
イプ10A〜10Jの一端から芯金保持体3に保持され
た切削刃5部分がそれぞれ突出し、芯金4はそれぞれ被
加工パイプ10A〜10Jを挿通して他端部側が、保持
移動体2側に突出することになる。
金4の被加工パイプ10A〜10Jの他端からの突出端
部が、保持移動体2に保持固定され、芯金4の切削刃5
側の芯金保持体3による保持固定が解除され、芯金保持
体3はわずかにY′方向に移動し内周面の削り作業の開
始状態となる。次いでパイプチャック11により被加工
パイプ10A〜10Jがそれぞれチャックされ、回転装
置6A〜6Jが回転駆動されることにより、被加工パイ
プ10A〜10Jは矢印で示されるように軸心を中心に
約3000〜4000rpmの回転速度で回転する。
mm/minの速度でパイプ保持台1から遠ざかる方向
Y″に移動され、回転していない切削刃5が回転駆動さ
れている被加工パイプ10A〜10Jの内周面に倣いな
がらY″方向に移動して、切削油の供給下で被加工パイ
プ10A〜10Jの内周面に削り加工を施す。この際切
削油を管端部などから切削刃5部に供給して切削刃5の
刃先の潤滑、冷却をすると共に、切粉を排出するよう削
り加工を行う。次いで芯金4の切削刃5が被加工パイプ
から抜けた時点で削り作業を完了し、被加工パイプの回
転が停止され、パイプチャック11が被加工パイプの端
部から外れるまで芯金保持体3と共に、Y′方向に移動
し、被加工パイプ10A〜10Jが製品受け台8に移さ
れる。
鈍し、次いで潤滑油に油漬し、第5回目の最終工程が開
始される。
m、肉厚が2.0mmとなるように最終伸管加工が行わ
れ矯正の後に寸法検査が行われ、定尺切断、面取り、ト
リエタン洗浄、焼鈍が行われて全工程が完了した。
工程中の第4の工程の後で、被加工パイプ10A〜10
Jの内周面に倣って削り加工が行われるため、例え偏
肉、偏芯があったとしても熱間圧延時の黒皮層が完全に
除去されると共に、それまでの伸管加工の過程で生じる
凹状のしわ及びこのしわに基づき形成される最大80μ
mの微細クラックが除去される。この実施例で製造され
た厚肉細径管の内周面の顕微鏡写真の結果を図3に示す
が、内周面は微細クラックが殆んどなく高平滑度を有
し、眞円度、均一性に優れた高品質の厚肉細径管が得ら
れた。
とを全5回繰返すが、第4回目の工程に先立って第1実
施例と同様の装置を用いて内周面の削り加工を行った例
を第2の実施例として示す。
mmとなる伸管加工を行った以外、第3回目までの工程
の条件は全て第1実施例と同じとした。
削り加工を行ったが、その条件は被加工パイプの回転速
度を約2000〜3000rpmとした以外は第1実施
例と同様であった。
しトリエタン洗浄、焼鈍の後外径が9.5mm、肉厚が
2.75mmとなる第4回目の伸管加工を行い、スェー
ジング落し、焼鈍をした後矯正と面取りを経て第5回目
の最終工程に移した。
厚が2.2mmとなるよう最終伸管加工が行われ、その
後の処理は第1実施例と同様とした。
の結果を図4に示すが、内周面に倣った削り加工により
熱間圧延時の黒皮層が完全に除去され、且つ伸管加工の
過程で生じる凹状のしわ及びこのしわに基づき形成され
る最大80μmの微細クラックは最大30μmと大幅に
改善され高平滑度を有し、真円度、均一性に優れた厚肉
細径管が得られた。
ローチ盤によるブローチ加工で施した例を第3の実施例
として説明する。
回目までの工程は全て第1実施例と同じとしたが、第3
回目の伸管加工では外径を16mm、肉厚を3.1mm
となるよう伸管した。
の内周面に削り加工を施すに当り、第3実施例ではブロ
ーチ盤にて刃数が8〜10枚、切込量が0.1mmで長
さ約600mmのブローチを用い強制潤滑しながら切削
速度150〜200mm/秒によるブローチ加工と、更
に切込量が0.1mmで他の条件は略等しい第2のブロ
ーチ加工を行った。
面に倣った削り加工を施した被加工パイプについて、そ
の後第2実施例同様の加工、処理を施し所期の特性を有
する厚肉細径管を得ることができた。
み込むと一層微細クラック及び熱間圧延時の黒皮層の除
去が効果的である。また上記実施例では切削による削り
加工の例を示したが、本発明はこのような切削加工のみ
ならず、被加工パイプの内周面に研削加工による削り加
工を施してもよい。この場合は被加工パイプを回転させ
るのみならず研削工具を被加工パイプの回転方向とは逆
方向に回転させ相対研削速度を向上させることが好まし
い。
させた被加工パイプの内周面に倣って移動させる例を説
明したが、芯金を移動せずに固定し、被加工パイプを回
転しつつ移動させたり、或いは両方を相対方向に移動さ
せたりすることにより芯金を被加工パイプに対し相対的
に引っ張った状態とすることができ、細くて剛性が低く
く内周面に倣って追随し易い芯金が使用可能となる。な
お被加工パイプが短寸の場合は被加工パイプを静止して
芯金を回転させてもよい。
m、肉厚が2.0〜2.2mmの自動車のディーゼル機
関の燃料噴射管に使用される厚肉細径管を製造する場合
を説明したが、この他にも例えば建設機械用、船舶用等
のディーゼル機関に使用される場合には、6mm〜15
mmの外径で肉厚が1.8mm〜5.5mmの厚肉細径
管が製造できる。
ラックが、最大30μm程度に少くとも減少し、内圧に
対する切欠き感度が低下し、内圧繰返し保証圧力を最大
1500kgf/cm2に高めた高品質厚肉細径管が得
られる。
ると被加工パイプの伸管加工と熱処理加工からなる工程
の繰り返しの最終工程での伸管加工に先立って被加工パ
イプの内周面に倣った削り加工を施すことにより、例え
偏肉、偏芯を有する被加工パイプであっても熱間圧延時
の黒皮層の除去が完全に行なわれると共に、内周面の微
細なクラックを減少し、内周面の平滑度が高まり、眞円
度、均一性に優れ、耐圧性が向上し、高耐圧性で高品質
の、内圧繰返し保証圧力を特に高めた厚肉細径管が得ら
れる方法を提供することが可能となる。
の説明図である。
細径管の内周面の断面拡大(×200)顕微鏡による金
属組織写真である。
写真である。
同様の顕微鏡による金属組織写真である。
る金属組織写真である。
Claims (7)
- 【請求項1】 被加工パイプに伸管加工と熱処理加工と
を行う工程を複数回繰り返し、厚肉細径管を製造する方
法において、最終の前記工程での伸管加工に先立って、
前記被加工パイプの内周面に削り加工を施すことを特徴
とする厚肉細径管の製造方法。 - 【請求項2】 前記削り加工は切削又は研削であること
を特徴とする請求項1に記載の厚肉細径管の製造方法。 - 【請求項3】 前記切削はブローチ加工により行うこと
を特徴とする請求項2に記載の厚肉細径管の製造方法。 - 【請求項4】 前記削り加工が、被加工パイプを軸心を
中心に回転させながら行うことを特徴とする請求項1又
は2に記載の厚肉細径管の製造方法。 - 【請求項5】 前記削り加工が、芯金の一端に切削刃を
設け、この切削刃を外部に突出させて、芯金を被加工パ
イプ内に遊嵌し、該被加工パイプを芯金に対して相対回
転させると共に、相対的に軸芯に平行に引っ張って切削
刃を被加工パイプ内で移動させることにより行われるこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の厚肉細径管の製
造方法。 - 【請求項6】 被加工パイプを定位置で回転させながら
芯金を引っ張ることを特徴とする請求項5に記載の厚肉
細径管の製造方法。 - 【請求項7】 芯金を固定し被加工パイプを回転させな
がら引っ張ることを特徴とする請求項5に記載の厚肉細
径管の製造方法。
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