JP3084260B2 - 蒸気調理鍋 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気調理鍋に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の蒸気調理鍋としては、例えば特公
平５−５６９６５号がある。

【０００３】この蒸気調理鍋の構造を簡単に説明する
と、上部開口周縁部の内周面に段差部を設けた鍋本体
と、この段差部に上部周縁部に形成した係止鍔部を載置
係止して鍋本体内に収納配設するスチームトレー（トレ
ー体）と、この段差部に載置係止した係止鍔部に周縁を
載置してトレー体並びに鍋本体の上部開口部を閉塞架設
する透明な蓋体とから成り、トレー体は有底容器で、周
壁上部寄りの三・四箇所にスチーム噴出孔が貫通形成さ
れており、このトレー体を鍋本体にセットし、鍋蓋体を
被せて使用するものである。

【０００４】例えば鍋本体内に所定量の水を入れ、トレ
ー体上に調理物を載置若しくは入れて熱すると、調理物
は沸騰したスチームの熱でトレー体を介して熱せられる
と共に、スチーム噴出孔からトレー体内側に向けて噴出
されるスチームにより蒸されて加熱調理される構成であ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】出願人はこのような蒸
気調理鍋を開発するに当たって試作実験を繰り返した結
果、従来品のようにトレー体の周壁上部寄りの少数箇所
にスチーム噴出孔を形成してこの特定少数のスチーム噴
出孔から調理物にスチームを噴出する構造よりも、調理
物にトレー体の周壁全周に孔を設けるような構成として
トレー体周壁の全周方向からトレー体内にスチームが噴
出するような構造とした方が非常に効率良くしかも調理
物がムラ無く良好にスチーム加熱調理されることを見い
出した。

【０００６】しかしながら、この従来品のトレー体を改
良して上記構造を実現しようとしても、周壁全周に多数
のスチーム噴出孔を巡らしたり長孔を形成するような構
成とすることは制作上非常に厄介で製作コストもかかる
ため実現化が難しい。また、トレー体の係止鍔部に同様
にして多数のスチーム噴出孔を形成することも考えられ
るが、この係止鍔部には前述のように鍋蓋体の周縁を載
置係止する構成のため実際上スチーム噴出孔を形成する
ことはできない。

【０００７】本発明は、トレー体の周壁全周方向からス
チームが噴出して非常に効率良く、しかも調理物をムラ
無く良好にスチーム加熱調理できる構造となり、且つ製
造が厄介とならず製造コストも割高とならない画期的な
蒸気調理鍋を実現することが技術的課題である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【０００９】上部開口周縁部の内周面に段差部２を設
け、この段差部２より下方の内周面に係止部３を設けた
鍋本体１と，この鍋本体１内周面とに間隙４を介するよ
うに前記係止部３に上部周縁部６を係止して前記鍋本体
１内に収納配設するトレー体５と，前記段差部２に着脱
自在に載置係止して鍋本体１の上部開口部を閉塞架設す
る鍋蓋体７とから成る蒸気調理鍋であって、前記鍋本体
１の係止部３に対する前記トレー体５の係止構造を、前
記段差部２より下方の鍋本体１内周面に所定間隔を置い
て内側へ突出する複数の係止突起部３Ａを設けて前記係
止部３を構成し、この複数の係止突起部３Ａ上にトレー
体５の上部周縁部６を載置係止することによりこの載置
箇所を除いた上部周縁部６位置ではトレー体５の上部周
縁部６と鍋本体１の内周面との間に鍋本体１内と連通す
る前記間隙４が形成されるように構成し、このトレー体
５の略全周からこの間隙４を通って鍋本体１内の蒸気が
鍋蓋体７の内面側へと流出してトレー体５内へ流出する
ように構成し、前記段差部２に所定間隔を置いて前記鍋
蓋体７の周縁が当接し得る支承突起部８を設け、この支
承突起部８に鍋蓋体７の周縁を載置すると鍋蓋体７の周
縁と前記段差部２との間に鍋本体１内と連通する浮上間
隙９が形成されて、載置係止箇所を除いた位置では鍋蓋
体７の周縁部が浮上状態となるように構成したことを特
徴とする蒸気調理鍋に係るものである。

【００１０】また、前記鍋本体１の段差部２より下方の
内周面に所定間隔を置いて外周面が凹所となる突起部を
設けて前記係止突起部３Ａを構成したことを特徴とする
請求項２記載の蒸気調理鍋に係るものである。

【００１１】また、前記鍋本体１の段差部２の内周面に
所定間隔を置いて外周面が凹所となる突起部を設けて前
記支承突起部８を構成したことを特徴とする請求項１，
２のいずれか１項に記載の蒸気調理鍋に係るものであ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態
（発明をどのように実施するか）を、図面に基づいてそ
の作用効果を示して簡単に説明する。

【００１３】例えば、鍋本体１内に所定量の水を入れ、
トレー体５に調理物を載置若しくは入れ、鍋蓋体７をセ
ットして熱すると、鍋本体１内周面の係止部にトレー体
５の上部周縁部６が鍋本体１内周面とに間隙４を介する
状態で係止するために蒸気の流通が良好となり、この間
隙４を通ってトレー体５の上部周縁部６の略全周から鍋
本体１内の蒸気が鍋蓋体７の内面側へ流出し、トレー体
５内へ流出する。

【００１４】従って、トレー体５の略全周から鍋本体１
内の蒸気が流出するから、トレー体５内の調理物に全周
方向からまんべん無く蒸気が当たって調理物は非常に効
率良くしかもムラ無く良好にスチーム加熱調理されるこ
ととなる。

【００１５】また、単に鍋本体１の段差部２より下方の
内周面に所定間隔を置いて内側へ突出する係止突起部３
Ａを設けるだけの構成により前記係止部３を構成し、こ
の係止突起部３Ａ上にトレー体５の上部周縁部５を載置
係止するだけでこの載置箇所を除いた上部周縁部５位置
に前記間隙４が形成される非常に簡易な構成としている
ため、非常に容易に製作できて安価に提供できることに
なる。

【００１６】また、段差部２に所定間隔を置いて形成し
た支承突起部８に鍋蓋体７の周縁が 係止するように構成
しているから、鍋蓋体７と段差部２との間の浮上間隙９
から内部蒸気が良好に排出されてふきこぼれにくい蒸気
調理鍋となる上、鍋蓋体７内面を伝わり落ちるスチーム
滴や場合によっては調理汁などは、トレー体５内へ流れ
込むことなくこの浮上間隙９から段差部２へ伝わり、更
に鍋本体１内周面とトレー体５の上部周縁部６との間隙
４を通って鍋本体１内へ流入還元し易くなるなど一層実
用性に秀れることになる。

【００１７】また、請求項２の発明においては、請求項
１の発明の作用効果に加えて、単に鍋本体１の段差部２
より下方の内周面に所定間隔を置いて外周面が凹所とな
る突起部を設けて前記係止突起部３Ａを構成するから、
この係止突起部３Ａを例えばプレス加工などにより非常
に簡単に製作できることになる。

【００１８】また、請求項３の発明においては、請求項
１，２の発明の作用効果に加えて、単に鍋本体１の段差
部２の内周面に所定間隔を置いて外周面が凹所となる突
起部を設けて前記支承突起部８を構成するから、この支
承突起部８を例えばプレス加工などにより非常に簡単に
製作できることになる。

【００１９】

【実施例】本発明の具体的な実施例について図面に基づ
いて説明する。

【００２０】本実施例は、上部開口周縁部の内周面に段
差部２を設け、この段差部２より下方の内周面に係止部
３を設けた鍋本体１と，この鍋本体１内周面とに間隙４
を介するように前記係止部３に上部周縁部６を係止して
前記鍋本体１内に収納配設するトレー体５と，前記段差
部２に着脱自在に載置係止して鍋本体１の上部開口部を
閉塞架設する鍋蓋体７とから成る構成としている。

【００２１】鍋本体１は、立ち上がり周壁の上部途中部
の内周面に下がり傾斜状態の段差部２を形成して構成し
ている。

【００２２】本実施例では、この段差部２に所定間隔を
置いて上方へ突出する支承突起部８を設け、この各支承
突起部８に鍋蓋体７の周縁を載置係止すると、段差部２
と鍋蓋体７周縁との間に浮上間隙９が形成されるように
構成している。

【００２３】この各支承突起部８は、段差部２の鍋本体
１外周面を凹設することで内周面を突設して構成してい
るもので、本実施例では、この支承突起部８を段差部２
下方の鍋本体１内周面の所定範囲にまで延長する縦長の
突条に形成している。

【００２４】この各支承突起部８の下方の延長突起部
を、更に鍋本体１の内方へ突設して図２に示すように段
差部２の下方に段差突起を形成し、この延長突起部の段
差突起を前記係止部３としての係止突起部３Ａとしてい
る。

【００２５】従って、本実施例では、単にプレス加工で
鍋本体１外周面の所定位置を内方へプレスするだけで係
止突起部３Ａと支承突起部８とを簡単に形成でき、しか
も支承突起部８と係止突起部３Ａとを同じ位置に形成し
ているから、夫々を別々の位置に形成するような場合に
比して制作上の手間が掛からず、極めて容易に且つ製作
コスト安に製作できることとなる。

【００２６】トレー体５は、鍋本体１内に収納配設し得
る大きさの容器に構成し、上部周縁部６を鍔状に形成し
て、この上部周縁部６を前記段差状の係止突起部３Ａに
載置係止し得るように構成している。

【００２７】また、このトレー体５は、上部周縁部６の
外径幅を前記段差部２より下方の鍋本体１の内径幅より
も径小となる径幅に設定構成し、この上部周縁部６を前
記各係止突起部３Ａ上に載置係止すると、図３に示すよ
うにこの載置係止箇所を除いたトレー体５の上部周縁部
６の略全周位置と鍋本体１の内周面との間に間隙４が形
成されるように構成している。

【００２８】鍋蓋体７は、前記段差部２上に載置係止し
得る外径幅を有し、且つ蒸気排気孔の無い把手11付の透
明ガラス蓋を採用している。

【００２９】尚、図中符号10は引っ掛け具を用いて鍋本
体１内からトレー体５を取り出しするときに使用するフ
ック部、12は鍋本体１に設けた取手である。

【００３０】次に使用方法について説明する。

【００３１】例えば、鍋本体１内に所定量の水を入れ、
トレー体５に調理物を載置若しくは入れ、鍋蓋体７をセ
ットして熱する。

【００３２】すると、鍋本体１内周面の係止部にトレー
体５の上部周縁部６が鍋本体１内周面とに間隙４を介す
る状態で係止するために蒸気の流通が良好となり、図中
矢印のようにこの間隙４を通ってトレー体５の上部周縁
部６の略全周から鍋本体１内の蒸気が鍋蓋体７の内面側
へ流出し、トレー体５内へ流出する。

【００３３】従って、トレー体５の略全周から鍋本体１
内の蒸気が流出するから、トレー体５内の調理物に全周
方向からまんべん無く蒸気が当たって調理物は非常に効
率良くしかもムラ無く良好にスチーム加熱調理されるこ
ととなる。

【００３４】また、この加熱調理に際して、段差部２に
所定間隔を置いて形成した支承突起部８に鍋蓋体７の周
縁が係止するように構成しているから、鍋蓋体７と段差
部２との間の浮上間隙９から内部蒸気が良好に排出され
てふきこぼれにくい上、鍋蓋体７内面を伝わり落ちるス
チーム滴や場合によっては調理汁などは、トレー体５内
へ流れ込むことなくこの浮上間隙９から段差部２へ伝わ
り、更に鍋本体１内周面とトレー体５の上部周縁部６と
の間隙４を通って鍋本体１内へ流入還元し易くなる。

【００３５】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、例
えば鍋本体内に所定量の水を入れ、トレー体に調理物を
載置若しくは入れ、鍋蓋体をセットして熱すると、鍋本
体内周面の係止部にトレー体の上部周縁部が鍋本体内周
面とに間隙を介する状態で係止するために、この間隙を
通ってトレー体の上部周縁部の略全周から鍋本体内の蒸
気が鍋蓋体の内面側へ流出し、トレー体内へ流出するこ
とになる。

【００３６】従って、トレー体の略全周から鍋本体内の
蒸気が流出するから、一部の所定箇所からのみ蒸気が流
出する従来製品よりもトレー体内の調理物に全周方向か
らまんべん無く蒸気が当たって調理物は非常に効率良く
しかもムラ無く良好にスチーム加熱調理されることとな
る極めて実用性に秀れた蒸気調理鍋となる。

【００３７】また、単に従来製品において、トレー体の
スチーム噴出孔を無くすると共に、鍋本体の段差部の下
方にトレー体の上部周縁部を係止する係止部を設けるだ
けで足りる構成である上、この係止部は単に鍋本体の段
差部より下方の内周面に所定間隔を置いて内側へ突出す
る係止突起部を設けるだけの構成であって、この係止突
起部上にトレー体の上部周縁部を載置係止するだけでこ
の載置箇所を除いた上部周縁部位置に前記間隙が形成さ
れる非常に簡易な構成としているため、製造が厄介とな
らず製作コストが割高となることもないなど秀れた構造
の画期的な蒸気調理鍋となる。

【００３８】しかも、本発明では、段差部に所定間隔を
置いて形成した支承突起部に鍋蓋体の周縁が係止するよ
うに構成しているから、鍋蓋体と段差部との間の浮上間
隙から内部蒸気が良好に排出されてふきこぼれにくい蒸
気調理鍋となる上、鍋蓋体内面を伝わり落ちるスチーム
滴や場合によっては調理汁などは、トレー体内へ流れ込
むことなくこの浮上間隙から段差部へ伝わり、更に鍋本
体内周面とトレー体の上部周縁部との間隙を通って鍋本
体内へ流入還元し易くなるなど極めて実用性に秀れるこ
とになる。

【００３９】また、請求項２の発明においては、請求項
１の発明の作用効果に加えて、単に鍋本体の段差部より
下方の内周面に所定間隔を置いて外周面が凹所となる突
起部を設けて前記係止突起部を構成するから、この係止
突起部を例えばプレス加工などにより非常に簡単に製作
できることになる。

【００４０】また、請求項３の発明においては、請求項
１，２の発明の作用効果に加えて、単に鍋本体の段差部
の内周面に所定間隔を置いて外周面が凹所となる突起部
を設けて前記支承突起部を構成するから、この支承突起
部を例えばプレス加工などにより非常に簡単に製作でき
ることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の分解斜視図である。

【図２】本実施例の係止突起部を示す斜視図である。

【図３】本実施例の要部を示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 鍋本体 ２ 段差部 ３ 係止部 ３Ａ 係止突起部 ４ 間隙 ５ トレー体 ６ 上部周縁部 ７ 鍋蓋体 ８ 支承突起部 ９ 浮上間隙

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部開口周縁部の内周面に段差部を設
   け、この段差部より下方の内周面に係止部を設けた鍋本
   体と，この鍋本体内周面とに間隙を介するように前記係
   止部に上部周縁部を係止して前記鍋本体内に収納配設す
   るトレー体と，前記段差部に着脱自在に載置係止して鍋
   本体の上部開口部を閉塞架設する鍋蓋体とから成る蒸気
   調理鍋であって、前記鍋本体の係止部に対する前記トレ
   ー体の係止構造を、前記段差部より下方の鍋本体内周面
   に所定間隔を置いて内側へ突出する複数の係止突起部を
   設けて前記係止部を構成し、この複数の係止突起部上に
   トレー体の上部周縁部を載置係止することによりこの載
   置箇所を除いた上部周縁部位置ではトレー体の上部周縁
   部と鍋本体の内周面との間に鍋本体内と連通する前記間
   隙が形成されるように構成し、このトレー体の略全周か
   らこの間隙を通って鍋本体内の蒸気が鍋蓋体の内面側へ
   と流出してトレー体内へ流出するように構成し、前記段
   差部に所定間隔を置いて前記鍋蓋体の周縁が当接し得る
   支承突起部を設け、この支承突起部に鍋蓋体の周縁を載
   置すると鍋蓋体の周縁と前記段差部との間に鍋本体内と
   連通する浮上間隙が形成されて、載置係止箇所を除いた
   位置では鍋蓋体の周縁部が浮上状態となるように構成し
   たことを特徴とする蒸気調理鍋。
2. 【請求項２】 前記鍋本体の段差部より下方の内周面に
   所定間隔を置いて外周面が凹所となる突起部を設けて前
   記係止突起部を構成したことを特徴とする請求項２記載
   の蒸気調理鍋。
3. 【請求項３】 前記鍋本体の段差部の内周面に所定間隔
   を置いて外周面が凹所となる突起部を設けて前記支承突
   起部を構成したことを特徴とする請求項１，２のいずれ
   か１項に記載の蒸気調理鍋。