JP3084142B2 - シーケンシャルターボエンジンにおける吸気制御弁の制御方法 - Google Patents

シーケンシャルターボエンジンにおける吸気制御弁の制御方法

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JP3084142B2 JP04194878A JP19487892A JP3084142B2 JP 3084142 B2 JP3084142 B2 JP 3084142B2 JP 04194878 A JP04194878 A JP 04194878A JP 19487892 A JP19487892 A JP 19487892A JP 3084142 B2 JP3084142 B2 JP 3084142B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用エンジンとし
て、複数のターボ過給機を備えてシーケンシャルターボ
式に作動するシーケンシャルターボエンジンにおいて、
セカンダリターボ過給機側に設けられる吸気制御弁の開
時期を制御する制御方法に関し、詳しくは、種々の作動
遅れに対する補償に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両用の過給機付エンジンとし
て、多気筒の排気系にプライマリとセカンダリのターボ
過給機を並列的に装備し、このターボ過給機をシーケン
シャルターボ式に作動するものが提案されている。この
シーケンシャルターボエンジンでは、一般にセカンダリ
ターボ過給機に吸気制御弁、リリーフ弁、排気制御弁等
を設け、シングルターボモードからツインターボモード
への切換時には、先ずリリーフ弁を閉じ、次いでセカン
ダリターボ過給機を予備回転しながら排気制御弁を開
き、その後吸気制御弁をその上、下流の差圧が略等しく
なった時点で開いてセカンダリターボ過給機も作動する
ように制御される。このため吸気制御弁が開く際には、
各制御弁の機械的作動遅れ、ターボ過給機のターボラグ
等の作動遅れの影響を受けて差圧が種々に変化する。従
って、吸気制御弁を常にターボ作動状態に適正にマッチ
ングして開くことが困難になり、このことから種々の作
動遅れに対して補償することが要求される。
【0003】従来、上記シーケンシャルターボエンジン
の吸気制御弁の開閉制御に関しては例えば特開平1−3
15614号公報の先行技術がある。ここで排気カット
弁の開いた後に所定のエンジン運転条件になると、吸気
カット弁のアクチュエータを差圧検出弁に連通し、この
状態で吸気カット弁の上、下流の差圧が所定値になる
と、差圧検出弁により大気をアクチュエータに導入して
吸気カット弁を開くように動作することが示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記先行技
術のものにあっては、吸気カット弁の開時期が所定の運
転状態と、一定の差圧の条件により決められている。こ
のためターボラグ等により差圧が小さい場合は吸気カッ
ト弁が早く開き、逆に差圧が大きくなると吸気カット弁
の開時期が遅くなる。そこで吸気カット弁の開時期がセ
カンダリターボ過給機の作動状態とマッチしなくなり、
ターボ切換時にトルクショックを生じる等の問題があ
る。
【0005】本発明は、この点に鑑みてなされたもの
で、予備回転モードの種々の作動遅れによる差圧の変動
に対して、吸気制御弁の開時期をセカンダリターボ過給
機の作動状態とマッチするように補償し、ターボ切換を
常に円滑に行うことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、エンジン本体の吸、排気系にプライマリター
ボ過給機とセカンダリターボ過給機が並列的に配置さ
れ、シングルターボモードからツインターボモードへの
切換時に少なくともセカンダリターボ過給機を予備回転
して排気制御弁を開き、その後吸気制御弁をその上、下
流の差圧に基づいて開くように制御するシーケンシャル
ターボエンジンにおいて、シングルターボモードからツ
インターボモードへの切換時に、開時期決定マップによ
り予備回転移行直後の吸気制御弁上、下流の差圧に基づ
き吸気制御弁を開く差圧設定値を定め、吸気制御弁をそ
の差圧と差圧設定値との比較により開時期を可変して開
く手順を備える。
【0007】
【作用】上記制御方法により、エンジン運転時のシング
ルターボモードからツインターボモードへのターボ切換
時には、先ず予備回転移行直後の吸気制御弁上、下流の
差圧により、各制御弁の機械的作動遅れ、ターボラグ等
の作動遅れによる差圧の変動状態が判断され、これに応
じて開時期決定マップを参照し、吸気制御弁を開く差圧
設定値が設定される。そして予備回転移行直後の差圧が
小さい場合は、作動遅れが大きいと判断して吸気制御弁
を遅く開き、予備回転モード移行直後の差圧が大きい場
合には、作動遅れが小さいと判断して吸気制御弁を早く
開くように制御する。これにより吸気制御弁の開時期が
種々の作動遅れ、それに伴うターボ作動とマッチングす
るように補償されて、常に円滑にターボ切換動作される
ようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1において、水平対向式エンジンにシーケンシ
ャルターボ式過給機を装着した場合の全体の構成につい
て説明する。符号1は水平対向式エンジンのエンジン本
体であり、クランクケース2の左右のバンク3,4に、
燃焼室5、吸気ポート6、排気ポート7、点火プラグ
8、動弁機構9等が設けられている。またこのエンジン
短縮形状により左右バンク3,4の直後に、プライマリ
ターボ過給機40とセカンダリターボ過給機50がそれ
ぞれ配設されている。排気系として、左右バンク3,4
からの共通の排気管10が両ターボ過給機40,50の
タービン40a,50aに連通され、タービン40a,
50aからの排気管11が1つの排気管12に合流して
触媒コンバータ13、マフラ14に連通される。
【0009】吸気系として、エアクリーナ15から2つ
に分岐した吸気管16,17はそれぞれ両ターボ過給機
40,50のブロワ40b,50bに連通され、このブ
ロワ40b,50bからの吸気管18,19がインター
クーラ20に連通される。そしてインタークーラ20か
らスロットル弁21を有するスロットルボデー27を介
してチャンバ22に連通され、チャンバ22から吸気マ
ニホールド23を介して左右バンク3,4の各気筒に連
通されている。またアイドル制御系として、エアクリー
ナ15の直下流と吸気マニホールド23の間のバイパス
通路24に、アイドル制御弁25、負圧で開く逆止弁2
6が設けられ、アイドル時や減速時に吸入空気量を制御
するようになっている。
【0010】燃料系として、吸気マニホールド23のポ
ート近傍にインジェクタ30が配設され、燃料ポンプ3
1を有する燃料タンク32からの燃料通路33が、フィ
ルタ34、燃圧レギュレータ35を備えてインジェクタ
30に連通される。燃圧レギュレータ35は、吸気圧力
に応じて調整作用するものであり、これにより、インジ
ェクタ30に供給する燃料圧力を吸気圧力に対して常に
一定の高さに保ち、噴射信号のパルス幅により燃料噴射
制御することが可能になっている。点火系として、点火
プラグ8にイグナイタ36からの点火信号が入力するよ
うに接続されている。
【0011】プライマリターボ過給機40の作動系につ
いて説明する。プライマリターボ過給機40は、タービ
ン40aに導入する排気のエネルギによりブロワ40b
を回転駆動し、空気を吸入、加圧して常に過給するよう
に作動する。タービン側にはダイアフラム式アクチュエ
ータ42を備えたウエイストゲート弁41が設けられ
る。アクチュエータ42の圧力室にはブロワ40bの直
下流からの制御圧通路44がオリフィス48を有して連
通し、過給圧が設定値以上に上昇すると応答良くウエイ
ストゲート弁41を開くように連通される。またこの制
御圧通路44は更に過給圧をブロワ40bの上流側にリ
ークするデューティソレノイド弁43に連通し、このデ
ューティソレノイド弁43により所定の制御圧を生じて
アクチュエータ42に作用し、ウエイストゲート弁41
の開度を変化して過給圧を制御するようになっている。
ここで例えばデューティ比が大きい場合は、リーク量の
増大により制御圧を低下し、ウエイストゲート弁41の
開度を減じて過給圧を上昇する。逆にデューティ比が小
さくなると、高い制御圧で開度を増して過給圧を低下す
る。
【0012】一方、スロットル弁急閉時のブロワ回転の
低下や吸気騒音の発生を防止するため、ブロワ40bの
下流としてスロットル弁21の近くのインタークーラ2
0の出口側と、ブロワ40bの上流との間にバイパス通
路46が連通される。そしてこのバイパス通路46にエ
アバイパス弁45が、スロットル弁急閉時に通路47に
よりマニホールド負圧を導入して開き、ブロワ下流に封
じ込められる加圧空気を迅速にリークするように設けら
れる。
【0013】セカンダリターボ過給機50の作動系につ
いて説明する。セカンダリターボ過給機50は同様に排
気によりタービン50aとブロワ50bが回転駆動して
過給するものであり、タービン側にはアクチュエータ5
2を備えたウエイストゲート弁51が各別に設けられ
る。アクチュエータ52の圧力室には、ブロワ50bの
直下流からの通路67が大気にリークするデューティソ
レノイド弁53、制御圧通路54を介して連通され、過
給圧が設定値以上に上昇すると応答良くウエイストゲー
ト弁51を開き、デューティソレノイド弁53により制
御圧を生じて、同様に過給圧制御するようになってい
る。一方タービン50aの上流の排気管10には、ダイ
アフラム式アクチュエータ56を備えた排気制御弁55
が設けられ、ブロワ50bの下流には同様のアクチュエ
ータ57を備えた吸気制御弁58が設けられ、ブロワ5
0bの上、下流の間に過給圧リリーフ弁60を備えたリ
リーフ通路59が連通されている。
【0014】これらの各弁の圧力動作系について説明す
ると、吸気マニホールド23からの通路61がチェック
弁62を有してサージタンク63に連通されて、スロッ
トル弁全閉時に負圧を貯え且つ脈動圧を緩衝するように
なっている。過給圧リリーフ弁60の一方のスプリング
室には、サージタンク63からの負圧通路64と吸気制
御弁58の下流の正圧通路65が、切換用ソレノイド弁
70と通路66を介して連通される。そして電気信号に
より負圧を作用して過給圧リリーフ弁60を開き、正圧
を作用して過給圧リリーフ弁60を閉じる。吸気制御弁
58のアクチュエータ57は、一方のスプリング室に負
圧と大気圧に切換える切換用ソレノイド弁71が通路6
8を介して連通される。そして電気信号により負圧を作
用して吸気制御弁58を閉じ、大気開放でのスプリング
力で吸気制御弁58を開くように構成される。
【0015】排気制御弁55は下流開きの方式に構成さ
れ、アクチュエータ56の一方の室にスプリング56a
が排気制御弁55を閉じる方向に付勢されている。ここ
でスプリング56aのスプリング力が、中速域の予備回
転モードの排気圧による力と等しく設定される。またア
クチュエータ56のスプリング56aを有する一方の室
には、大気圧と負圧を切換える第2の切換用ソレノイド
弁74が通路69を介して連通され、他方の室には正圧
と大気圧を切換える第1の切換用ソレノイド弁73が通
路75を介して連通される。そしてシングルターボモー
ドでは電気信号による第1と第2の切換用ソレノイド弁
73,74の動作で、両方の室を大気開放してスプリン
グ力により排気制御弁55を全閉し、且つこのターボモ
ードでプライマリ側のウエイストゲート弁41が故障し
て排気圧が上昇する場合には、自動的に開弁してフェイ
ルセーフする機能を有する。また予備回転モードでもこ
の状態を所定時間保持し、排気圧とスプリング力とのバ
ランスにより微小開度だけ開いてプリコントロール弁の
機能を備える。更にツインターボモードでは、一方の室
に負圧を他方の室に正圧を作用して排気制御弁55を全
開し、且つその全開状態に保つように構成される。
【0016】各種のセンサについて説明すると、差圧セ
ンサ80が吸気制御弁58の上、下流の差圧を検出する
ように設けられ、絶対圧センサ81が切換用ソレノイド
弁76により吸気管圧力と大気圧を選択して検出するよ
うに設けられる。また、エンジン本体1にクランク角セ
ンサ82、ノックセンサ83、水温センサ84が設けら
れ、動弁機構9のカムシャフトに連設した図示しないカ
ムロータに対向してカム角センサ85が設けられ、排気
管10にO2 センサ86が設けられ、スロットル弁21
にスロットル開度センサ87が設けられ、エアクリーナ
15の直下流に吸入空気量センサ88が設けられてい
る。
【0017】図2において、電子制御系の全体の構成に
ついて説明する。先ず、マイクロコンピュータ等からな
る制御ユニット100は、I/O101、CPU10
2、RAM103、バックアップRAM104、ROM
105、定電圧回路106を備えている。またイグニッ
ションスイッチ90をONすると、リレー91をONし
バッテリ92から定電圧回路106に電力を供給して、
制御ユニット100の各種制御を実行し、駆動回路10
7によりリレー93をONし燃料ポンプ31を通電して
駆動する。CPU102はROM105に格納されてい
る演算プログラムに基づいて、I/O101から各種セ
ンサ80〜88、車速センサ89の信号を入力し、RA
M103,バツクアップRAM104に記憶されている
データ,及びROM105に格納されているマップ等の
固定データに基づき演算処理する。そして駆動回路10
7から各種切換用ソレノイド弁70,71,73,7
4,76に切換信号を、デューティソレノイド弁43,
53にデューティ信号を出力してシーケンシャルターボ
制御し、インジェクタ30に噴射信号を出力して燃料噴
射制御する。またイグナイタ36に点火信号を出力して
点火時期制御し、アイドル制御弁25に制御信号を出力
してアイドル制御する。
【0018】次に、図3ないし図6のフローチャートを
用いて制御ユニット100によるシーケンシャルターボ
制御について説明する。図3のメインルーチンは所定時
間毎に実行される。先ずステップS1でツインターボモ
ードで1にセットされるツインターボモード判別フラグ
F1の値を参照し、F1=0でセカンダリターボ過給機
50が不作動の場合はステップS2〜S4に進み、図7
(a)のターボモード判定マップに基づいて判定する。
【0019】このターボモード判定マップは、エンジン
負荷を示す一例としての基本燃料噴射量Tpとエンジン
回転数Nに対するセカンダリターボ過給機作動開始の設
定値Tps,Nb,Ncにより、予めシングルとツイン
の各ターボモードが与えられている。即ち、Tp≦Tp
s、N<Ncの低負荷低中速、またはTp>Tps、N
<Nbの高負荷低速の条件ではシングルターボモードに
設定される。またこれ以外のTp≦Tps、N≧Ncの
低負荷高速、またはTp>Tps、N≧Nbの高負荷中
高速の条件ではツインターボモードに設定される。尚、
セカンダリターボ過給機の作動、停止のハンチングを防
止するため、作動停止設定値Naにヒステリシスを設け
ている。
【0020】そこでS2で基本噴射量Tpと設定値Tp
sを比較して、Tp≦Tpsの場合にはステップS3へ
進み、エンジン回転数Nと設定値Ncとを比較して、N
<Ncの場合にシングルターボモードと判断してステッ
プ5へ進む。またステップS2でTp>Tpsの場合に
はステップS4へ進み、エンジン回転数Nと設定値Nb
とを比較して、N<Nbの場合に同様にシングルターボ
モードと判断する。
【0021】このシングルターボ制御ルーチンでは、ス
テップS5で切換用ソレノイド弁70への出力信号G1
を0にし、過給圧リリーフ弁60に負圧を作用して開
き、ブロワ50bの下流の過給圧をリークする。また、
ステップS6で切換用ソレノイド弁71への出力信号G
2を0にし、アクチュエータ57に負圧を作用して吸気
制御弁58を閉じ、プライマリターボ過給機40による
過給圧の洩れを防止する。
【0022】その後、ステップS7で第1の切換用ソレ
ノイド弁73への出力信号G3を0にし、アクチュエー
タ56の他方の室を大気開放し、ステップS8で第2の
切換用ソレノイド弁74への出力信号G4を0にし、ア
クチュエータ56の一方の室も大気開放する。そしてア
クチュエータ56のスプリング56aにより低中速域の
低い排気圧に抗して排気制御弁55を閉じ、排気がセカ
ンダリターボ過給機50に導入することを遮断するので
あり、こうしてプライマリターボ過給機40の単独作動
状態に確保される。
【0023】またステップS9でセカンダリ側デューテ
ィソレノイド弁53のデューティ比DseをFFH(1
00%)にして、ウエイストゲート弁51を全閉する。
その後、ステップS10でエンジン回転数Nとスロット
ル開度Thとに基づき、予め実験等により得られたシン
グルターボモード時の最適値がストアされているROM
105に格納されたシングルターボモード目標過給圧マ
ップを補間計算付きで参照して目標過給圧Ptを設定
し、ステップS11でツインターボモード判別フラグF
1をクリアする。またステップS90で差圧検索フラグ
F3をクリアし、その後ステップS12でディレー時間
のカウント値Cをクリアする。
【0024】次いで図5、図6の過給圧制御ルーチンで
は、先ずステップS13で目標過給圧Ptと実過給圧P
bの偏差Δpを算出して、ステップS14でその偏差の
絶対値|Δp|を設定値Δpsと比較して小さい場合
は、実過給圧Pbが目標過給圧Ptの許容範囲に収束し
ていると判断してステップS15で積分分制御量Diを
零にし、ステップS16で比例分制御量Dpも零にす
る。そしてステップS17でデューティ比Dを、前回の
値Doに積分分及び比例分の制御量Dp,Diを加算し
て求めるのであり、この場合は前回の値Doと同一にな
る。その後ステップS18でフラグF1の値を参照し、
既に0になっているので、ステップS19で上記デュー
ティ比Dをプライマリ側デューティソレノイド弁43の
デューティ比Dprとして出力し、ステップS20でこ
のデューティ比Dを前回の値Doとしてストアする。
【0025】このモードにおいて、目標過給圧Ptと実
過給圧Pbの偏差の絶対値|Δp|が設定値Δpsより
大きくなると、ステップS14からステップS21に進
んで実過給圧Pbの目標過給圧Ptに対する大小関係を
チェックする。そこで図8のt1のように実過給圧Pb
が低下した条件では、ステップS22でデューティ比D
のダウン補正時に1にセットされるPI制御判別フラグ
F2の値を参照し、F2=1でありデューティ比Dのア
ップが初回の場合は、ステップS23で積分分制御量D
iを零にする。そしてステップS24でフラグF1の値
を参照してステップS25に進み、偏差Δpに応じた比
例分アップ量Pup1を設定する。
【0026】ここでシングルターボモードでは、比例分
制御量Dpが、図7(c)の比例分補正量マップの実線
のように、積分分制御量Diが(d)の積分分補正量マ
ップの実線のように制御量の大きいステップ状に設定さ
れている。またツインターボモードでは、偏差Δpに対
する比例分制御量Dpと積分分制御量Diが、両ターボ
過給機40,50の作動配分に基づいて設定される。そ
こで、例えば両ターボ過給機40,50の作動配分を等
分に設定する場合は、比例分と積分分の制御量Dp,D
iが1種類で済むことになり、このため図7(c)、
(d)の破線のように1つの制御量に設定される。
【0027】このためS25では上記マップにより偏差
Δpに応じた比例分アップ量Pup1を大き目に設定
し、ステップS26でこれを比例分制御量Dpに定め、
ステップS27でPI制御判別フラグF2をクリアして
ステップS17以降に進む。従って、プライマリ側デュ
ーティソレノイド弁43のデューティ比Dprが比例分
制御量Dpだけ増大し、ウエイストゲート弁41の開度
が減じて実過給圧Pbが図8のように比較的大きく上昇
される。
【0028】また2回目以降は、ステップS22のフラ
グF2によりステップS28に進みフラグF1の値を参
照して、ステップS29で図7(d)のマップにより偏
差Δpに応じた積分分アップ量Iup1を検索して、ス
テップS30でこれを積分分制御量Diに定め、且つス
テップS31で比例分制御量Dpを零にする。そこで図
8のt2のような2回目以降の場合は、積分分制御量D
iにより実過給圧Pbが徐々に上昇され、これらの補正
により実過給圧Pbが目標過給圧Ptに追従する。そし
て、t3で偏差Δpが設定値Δpsより小さくなって収
束すると、ステップS14からステップS15以降に進
んで制御を中断する。
【0029】一方、図8のt5のように実過給圧Pbの
高い側で偏差Δpが設定値Δpsより大きくなると、ス
テップS21からステップS32に進み、この場合は上
述の制御でフラグF2が0になっていることで、このフ
ラグF2により初回の場合はステップS33以降に進
む。そこで、ステップS33で積分分制御量Diを0に
し、ステップS34でフラグF1の値を参照してステッ
プS35に進み、同様のマップにより偏差Δpに応じた
比例分ダウン量Pdo1を検索して、ステップS36で
これを比例分制御量Dpに定め、ステップS37でPI
制御判別フラグF2を1にしてステップS17以降に進
む。従って、プライマリ側デューティソレノイド弁43
のデューティ比Dprが比例分制御量Dpだけ減少し、
ウエイストゲート弁41の開度が増して実過給圧Pbが
図8のように比較的大きく低下される。
【0030】また、2回目以降は、ステップS32のフ
ラグF2によりステップS38に進みフラグF1の値を
参照して、ステップS39で同様のマップにより偏差Δ
pに応じた積分分ダウン量Ido1を検索し、ステップ
S40でこれを積分分制御量Diに定め、且つステップ
S41で比例分制御量Dpを0にする。そこで、図8の
t6のような2回目以降の場合は、積分分制御量Diに
より実過給圧Pbが徐々に低下される。こうしてこのシ
ングルターボモードでは、セカンダリターボ過給機50
が不作動でプライマリターボ過給機40のみが作動し、
且つPI制御制御量によるウエイストゲート弁41の開
度変化により、この場合の比較的低い目標過給圧Ptに
対して実過給圧Pbが常に応答良く追従するようにフィ
ードバック制御される。
【0031】次いで、ステップS2〜S4によりTp≦
Tps,N≧Ncの場合、又はTp>Tps,N≧Nb
の場合でツインターボモードと判断すると、図4の予備
回転制御ルーチンを実行する。先ずステップS91で差
圧検索フラグF3の値を参照して、F3=0のシングル
ターボモードから予備回転モードに移行した直後の初回
ルーチン実行時には、ステップS92に進んで差圧セン
サ80による差圧ΔPに基づき開時期決定マップを参照
し、吸気制御弁58を開とする差圧設定値−Aを定め
る。
【0032】ここで差圧センサ80による吸気制御弁5
8の差圧ΔPは、例えば吸気制御弁の上流圧Puから下
流圧Pdを減算して、ΔP=Pu−Pdにより算出され
る。ところで予備回転モードでの各制御弁の機械的作動
遅れ、ターボ過給機のターボラグ等の作動遅れによる差
圧の変動状態は、この予備回転モード移行直後(図9の
時間tsの時点)の差圧ΔPを検出することにより判断
される。そして予備回転移行直後の差圧ΔPが小さい場
合(ΔPがより0側)は、吸気制御弁58の下流圧、す
なわちプライマリターボ過給機40による過給圧が低い
ため、これを制御圧として動作する各制御弁の作動遅
れ,及びターボフラグ等が大きくなるので、これに対応
して吸気制御弁58の開時期を遅くし、予備回転移行直
後の差圧ΔPが大きい場合(ΔPがよりマイナス側)
は、プライマリターボ過給機40による過給圧が高く、
各制御弁の作動遅れ,及びターボラグ等が小さく、吸気
制御弁58の開時期を早くすることで、吸気制御弁58
の開時期を、種々の作動遅れ,及びそれに伴うターボ作
動とマッチングするように補償することができる。
【0033】このため開時期決定マップは、図11に示
すように、予備回転モード移行直後の差圧ΔPmがマイ
ナス側であるほど差圧設定値−Aがよりマイナス側に設
定されている。すなわち、負の関係で減少関数的に設定
される。そこでこのマップを参照することにより、予備
回転モード移行直後の差圧ΔPに対応した差圧設定値−
Aを定める。そして差圧検索完了によりステップS93
で差圧検索フラグF3を1にセットする。
【0034】その後ステップS50で、図9の予備回転
モード開始時点tsからの時間のカウント値Cを第1の
ディレー時間T1と比較して、C<T1の場合はステッ
プS51に進んでカウント値Cをインクリメントする。
そしてステップS52でプライマリ側デューティソレノ
イド弁43のデューティ比DprをFFHに定めてウエ
イストゲート弁41を全閉し、プライマリターボ過給機
40による実過給圧Pbが出力ダウンを生じないように
少し高めに制御される。またステップS53でセカンダ
リ側デューティソレノイド弁53もデューティ比Dse
をFFHに定めてウエイストゲート弁51を全閉し、効
率良く予備回転することが可能に準備される。
【0035】カウント値Cが第1のディレー時間T1に
達すると、ステップS50からステップS54に進み、
切換用ソレノイド弁70に対する出力状態をチェック
し、開信号(G1=0)の場合はステップS55で切換
用ソレノイド弁70への出力信号G1を1にし、正圧を
作用して過給圧リリーフ弁60を図9のように閉じる。
そこでこれ以降はステップS54からステップS56に
進み、カウント値Cを第2のディレー時間T2と比較し
て、その時間T2に達しない場合は上述と同様にカウン
ト値Cをインクリメントする。
【0036】一方、このとき排気制御弁55はアクチュ
エータ56のスプリング56aで閉じた状態にあり、こ
のスプリング力に排気圧が対向して作用している。そこ
でこの予備回転モードの運転条件で排気圧がスプリング
力に打勝つと、排気制御弁55が図9のように微小開度
θだけ開き、排気の一部がセカンダリターボ過給機50
のタービン50aに導入して滑らかに予備回転が開始さ
れる。
【0037】そして第2のディレー時間T2に達する
と、ステップS57で切換用ソレノイド弁73に対する
出力状態をチェックして、大気開放信号(G3=0)の
場合はステップS58で第1の切換用ソレノイド弁73
への出力信号G3を1にして、アクチュエータ56の一
方の室に正圧を作用する。またステップS59で切換用
ソレノイド弁74に対する出力状態をチェックし、大気
開放信号(G4=0)の場合にはステップS60で第2
の切換用ソレノイド弁74への出力信号G4を1にし
て、アクチュエータ56の他方の室に負圧を作用するの
であり、こうして図9のように排気制御弁55を全開す
る。これによりセカンダリターボ過給機50のタービン
50aに導入する排気の量が増大して、セカンダリ過給
圧が更に上昇するようになる。
【0038】その後ステップS61でカウント値Cを第
3のディレー時間T3と比較し、その時間T3に達する
と、ステップS62で差圧センサ80の差圧ΔPを差圧
設定値−Aと比較する。そしてΔP≧−Aになると、ス
テップS63で切換用ソレノイド弁71に対する出力状
態をチェックし、閉信号(G2=0)の場合はステップ
S64で切換用ソレノイド弁71への出力信号G2を1
にし、アクチュエータ57を大気開放してスプリング力
により図9のように吸気制御弁58を開く(時間t
g)。
【0039】そこで、予備回転モード移行直後(時間t
s)において差圧ΔPが小さい場合は、作動遅れが大き
く、図11の開時期決定マップにより差圧設定値−Aが
小さく定められるため、吸気制御弁58の開時期tgが
図9の実線のように遅れて、作動遅れとマッチしたもの
になる。一方、予備回転モード移行直後の差圧ΔPが大
きい場合は、作動遅れが小さく、差圧設定値−Aが負の
側で大きく設定されることで、吸気制御弁58の開時期
tgが図9の破線のように早くなり、この場合はターボ
作動とマッチする。こうして予備回転モードでの種々の
作動遅れに応じて、吸気制御弁58の開時期が常にマッ
チングするように補償される。
【0040】そして吸気制御弁58が開くと、ステップ
S63からステップS65に進んでツインターボモード
判別フラグF1を1にセットする。このため吸気制御弁
58の開時期tgで、セカンダリターボ過給機50が予
備回転を終了して実質的に作動し、この場合にその開時
期tgが種々の作動遅れを補償するように制御されるこ
とで、トルクショック等を生じることなく円滑にツイン
ターボモードに移行する。
【0041】そして、このツインターボモードでは、図
3のステップS1からステップS70に進みエンジン回
転数Nをセカンダリターボ過給機作動停止の設定値Na
に対してチェックする。そしてN≧Naの場合には、ス
テップS71〜74で各弁の切換用ソレノイド弁に対す
る出力信号G1〜G4を上述の状態に保持する。またス
テップS75でエンジン回転数Nとスロットル開度Th
とに基づき、ツインターボモード目標過給圧マップを補
間計算付きで参照してこのモードの目標過給圧Ptを、
図7(b)に示すように高か目に設定する。その後ステ
ップS86に進んでツインターボモード判別フラグF1
を1にし、ステップS12でディレー時間のカウント値
Cをクリアし、ステップS13,S14,S21で実過
給圧Pbの目標過給圧Ptに対する追従状態を判断す
る。ところで、このモードの初期においては、上述の予
備回転時のようにプライマリとセカンダリのターボ過給
機40,50のウエイストゲート弁41,51が共に全
閉してフル作動の状態にあり、このため一般的には実過
給圧Pbが上昇して、図8のt5のようにその高い側で
偏差Δpが大きくなる。
【0042】そこでこの場合の過給圧制御ルーチンで
は、初回の場合にステップS21からステップS32,
S33,S34を介してステップS76に進み、図7
(c)のマップの破線を用いて偏差Δpに応じた比例分
ダウン量Pdo2を検索し、ステップS77でこれを比
例分制御量Dpとしてデューティ比Dを算出する。また
ステップS18からS78,S79に進み、プライマリ
とセカンダリのデューティソレノイド弁43,53のデ
ューティ比Dpr,Dseが等しく上記デューティ比D
にセットされ、両ウエイストゲート弁41,51の開度
を等しく増して実過給圧Pbが低下される。そして、2
回目以降では、ステップS32からステップS38を介
してステップS80に進み、図7(d)のマップの破線
を用いて積分分ダウン量Ido2を検索し、ステップS
81でこれを積分分制御量Diにすることで、実過給圧
Pbが徐々に低下されて目標過給圧Ptに近ずく。
【0043】また図8のt1のように実過給圧Pbの低
い側で偏差Δpが大きくなると、初回の場合は、ステッ
プS21からS22,S23,S24を介してステップ
S82,S83に進み、同様にして偏差Δpに応じた比
例分アップ量Pup2で比例分制御量Dpを定める。2
回目以降では、ステップS22からS28を介してステ
ップS84,S85に進み、同様にして偏差Δpに応じ
た積分分アップ量Iup2で積分分制御量Diを定めて
デューティ比Dを算出する。そして、プライマリとセカ
ンダリのデューティソレノイド弁43,53のデューテ
ィ比Dpr,Dseが等しく上記デューティ比Dにセッ
トされ、両ウエイストゲート弁41,51の開度が等し
く減じて実過給圧Pbが上昇され、実過給圧Pbが目標
過給圧Ptに追従するようになる。こうして、このツイ
ンターボモードでは、プライマリとセカンダリのターボ
過給機40,50がそれらのウエイストゲート弁41,
51により常に等分に作動し、この両ターボ過給機4
0,50の共動により実過給圧Pbが適正な高いレベル
に制御される。
【0044】次いで、減速時にはステップS70でエン
ジン回転数Nがチェックされ、セカンダリターボ過給機
作動停止設定値Naより低下すると、ステップS70か
らステップS5以降に進む。そして各切換用ソレノイド
弁に対する出力信号G1〜G4を反転して、過給圧リリ
ーフ弁60を開き、吸気制御弁58と排気制御弁55を
閉じてシングルターボモードに戻る。以上、シングルタ
ーボモードとツインターボモードの制御の状態、出力特
性をまとめて示すと、図10のようになる。
【0045】尚、吸気制御弁58を開く差圧設定値−A
は更に種々のパラメータにより設定することができ、例
えば車速に対しては図12に示すように減少関数的に設
定される。そこで車速の高い程吸気制御弁58の開時期
tgが早くなって、一層円滑にターボ切換動作される。
【0046】以上、本発明の実施例について説明した
が、水平対向式以外のエンジンにも適用できる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シーケンシャルターボエンジンにおいてターボ切換時に
吸気制御弁の開時期が、各制御弁の機械的作動遅れ、タ
ーボラグ等の作動遅れを補償するように可変制御される
ので、常にターボ作動と適正にマッチングがとれて円滑
にターボ切換動作することが可能になる。このためター
ボ切換時のトルクショックが低減し、ターボ切換動作の
信頼性等が向上する。予備回転モード直後の吸気制御弁
の差圧を検出することで、種々の作動遅れによる差圧の
変動状態を確実に判断することができる。開時期決定マ
ップにより予備回転モード移行直後の差圧や、車速に対
して、吸気制御弁を開く差圧設定値が定められるので、
吸気制御弁の開弁制御を容易且つ正確に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシーケンシャルターボエンジンに
おける吸気制御弁の制御方法の実施に適した装置を示す
全体の構成図である。
【図2】制御系の全体の回路図である。
【図3】シーケンシャルターボ制御のメインルーチンを
示すフローチャートである。
【図4】予備回転制御ルーチンを示すフローチャートで
ある。
【図5】過給圧制御ルーチンの低下補正等を示すフロー
チャートである。
【図6】過給圧制御ルーチンの上昇補正等を示すフロー
チャートである。
【図7】種々のマップを示す図である。
【図8】過給圧制御の状態を示すタイムチャートであ
る。
【図9】予備回転モードの各弁の開閉状態、過給圧の状
態を示すタイムチャートである。
【図10】シングルターボモードとツインターボモード
の制御と出力特性を示す図である。
【図11】吸気制御弁の開時期決定マップを示す図であ
る。
【図12】同開時期決定マップの他の実施例を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 エンジン本体 40 プライマリターボ過給機 50 セカンダリターボ過給機 55 排気制御弁 58 吸気制御弁 80 差圧センサ 100 制御ユニット

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン本体の吸、排気系にプライマリ
    ターボ過給機とセカンダリターボ過給機が並列的に配置
    され、シングルターボモードからツインターボモードへ
    の切換時に少なくともセカンダリターボ過給機を予備回
    転して排気制御弁を開き、その後吸気制御弁をその上、
    下流の差圧に基づいて開くように制御するシーケンシャ
    ルターボエンジンにおいて、シングルターボモードから
    ツインターボモードへの切換時に、開時期決定マップに
    より予備回転移行直後の吸気制御弁上、下流の差圧に基
    づき吸気制御弁を開く差圧設定値を定め、吸気制御弁を
    その差圧と差圧設定値との比較により開時期を可変して
    開く手順を備えることを特徴とするシーケンシャルター
    ボエンジンにおける吸気制御弁の制御方法。
  2. 【請求項2】 開時期決定マップは、吸気制御弁を開く
    差圧設定値が、予備回転直後の差圧、運転や走行状態の
    パラメータに対して減少関数的に定められることを特徴
    とする請求項1記載のシーケンシャルターボエンジンに
    おける吸気制御弁の制御方法。
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