JP3082348B2 - ニッケル−水素電池 - Google Patents
ニッケル−水素電池Info
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Description
関するものであり、特に正極に水酸化ニッケル電極を用
い、負極にAB5型水素吸蔵合金相を有する水素吸蔵電
極を用いたニッケル−水素電池に関するものである。
の小型軽量化および環境問題への社会的関心の高まりに
伴い、それら機器の携帯電源に用いられている電池に対
して、更なる高エネルギー密度化と無公害性とが強く要
求されて来ている。それら要求に適合するものとして、
密閉形ニッケル・金属水素化物蓄電池すなわちニッケル
−水素電池が注目され、ニッケル・カドミウム蓄電池に
替わるものとして開発実用化が進められている。
ケル電極、負極に水素吸蔵合金電極、セパレータに耐ア
ルカリ性不織布を用いて構成され、正極容量を負極容量
より小さくするいわゆる正極制限とすることによって密
閉化が成立している。従って、ニッケル水素電池の高容
量化を図るためには、正極の高エネルギー密度化が必要
不可欠の要素であり、そのための電極として従来の焼結
式ニッケル電極に替わり各種のペースト式ニッケル電極
の開発が行われている。
孔度の耐アルカリ性金属の基板に、活物資である水酸化
ニッケル粉末を充填して作製され、そのエネルギー密度
は、従来の焼結式電極の400mAh/mlに対して500mAh/ml程
度の値を示す。また、ニッケル電極の高密度性を維持さ
せるために、水酸化ニッケルに少量のカドミウムを固溶
状態で含有させて、電極膨潤を防止することが必要不可
欠とされている。
おいては、合金単位重量当たりの電気化学的容量は大き
いが、サイクル寿命が短く且つ高価なLaNi5合金に
替わって、安価なMmNi5系合金(Mmは希土類元素
の混合物)の研究開発が行われている。このMmNi5
系合金では、MmNi5組成のNiの一部を各種元素に
置換することによって、比較的に長寿命で高容量な水素
吸蔵合金が開発され実用化されている。密閉形ニッケル
水素電池では、上記のようなペースト式ニッケル電極お
よび水素吸蔵合金電極が適用され、ニッケルカドミウム
電池の1.5倍程度の高容量化が可能となり、実用化さ
れるに至っている。
レクトロニクス機器の多機能化、消費電力の増大や小型
集約化が進むに伴い、その携帯電源である電池は機器内
部に収納されるために、高温雰囲気下で使用される頻度
が多くなって来ている。しかしながら、このような高温
雰囲気下で、上記のニッケル水素電池を用いた場合、
充電効率の低下により電池容量が減少する、放置中に
大きな自己放電をする、サイクル寿命が短くなる、等
の問題があり、これら機器にニッケル水素電池を採用す
るにあたって解決しなければならない大きな課題となっ
ている。また、環境問題の観点から、少量と言えどもカ
ドミウムを使用しない無公害性のニッケル水素電池の開
発も残された課題となっている。
のであって、カドミウムを全く含有せず、高温時の充電
効率が優れ、且つ自己放電量が少ないニッケル水素電池
の提供を目的とするものである。
の発明によれば、原子数比による示性式がMmNiXA
lyCoZ(Mmはミッシュメタル、または希土類元素
の混合物、x,y,zは、3.5≦x≦4.5、0.05≦y≦0.9、
0.1≦z≦1.5、4.5≦x+y+z≦5.5)で、Mm中のLaを40
重量%以上含有した水素吸蔵合金電極を負極とし、亜鉛
及びコバルトを各々2重量%以上、好ましくは2〜10重
量%固溶させて半径が30オングストローム以上の遷移細
孔の発達を抑制することによって全細孔容積を0.1ml/
g以下にした水酸化ニッケルに、アルカリ電解液に溶解
してコバルト錯イオンを生成するコバルト化合物を5〜
15重量%物理混合して作製されたニッケル電極を正極
として構成されることを特徴とするニッケル−水素電池
が提供される。
類元素の混合物であり、そのミッシュメタルまたは希土
類元素の混合物のうちLaを35wt%以上含有させるの
が良く、さらに好ましくはLaを40wt%以上とするの
が良い。Laが35wt%未満では得られる水素吸蔵電極
の高温下における放電容量が不十分となり、Laが40
wt%以上であれば、高温下における放電容量の低下が少
ないからである。
吸蔵電極においては3.5<x≦4.5、0.05≦y≦0.9、0.1
≦z≦1.5、4.5≦x+y+z≦5.5とするのが良い。x
が3.5以下では放電電圧が低下し、逆に4.5を越えるとy
+zの比率が低下するのでAl、Co添加の効果が得ら
れなくなる。
結晶構造における格子間隔が小さく平衡解離圧が高いた
め、電気化学的に利用し得る水素量が減少する。逆に0.
9を越えると結晶構造の格子間隔が過剰に拡大し、平衡
解離圧が低下して水素吸蔵量が低下する。
が不十分で、La量の増加やAlの置換によって、得ら
れる水素吸蔵合金に寿命の低下がみられる。逆にzが1.
5を越えると得られる合金中のCo含有量が過剰とな
り、水素吸蔵量の低下がみられる。 4.5≦x+y+z
≦5.5の範囲外では、AB5構造の金属間化合物の化学量
論比から逸脱するため好ましくない。
数比による示性式がMmNIXAlyCoZMu(Mm
はミッシュメタル、または希土類元素の混合物、x,
y,z,uは、3.5≦x≦4.5、0.05≦y≦0.9、0.1≦z≦1.
5、4.5≦x+y+z+u≦5.5、MはFe、Mn、Cr、Cu、
Siから選ばれた少なくとも一種以上の元素)で、Mm
中のLaを35重量%以上、好ましくは40重量%以上含有
した水素吸蔵合金電極を負極とし、亜鉛及びコバルトを
各々2重量%以上、好ましくは2〜10重量%固溶させて
半径が30オングストローム以上の遷移細孔の発達を抑制
することによって全細孔容積を0.1ml/g以下にした水
酸化ニッケルに、アルカリ電解液に溶解してコバルト錯
イオンを生成するコバルト化合物を5〜15重量%物理
混合して作製されたニッケル電極を正極として構成され
ることを特徴とするニッケル−水素電池が提供される。
類元素の混合物であり、前述した第1の発明と同様に、
そのミッシュメタルまたは希土類元素の混合物のうちL
aを30wt%以上含有させるのが良く、さらに好ましく
はLaを40wt%以上とするのが良い。Laが30wt%未
満では得られる水素吸蔵電極の高温下における放電容量
が不十分となり、Laが40wt%以上であれば、高温下
における放電容量の低下がないからである。
ら選ばれた少なくとも1種以上の元素である。また、以
上のこの出願の第2の発明の水素吸蔵電極においては3.
5<x≦4.5、0.05≦y≦0.9、0.1≦z+u≦1.5、4.5≦
x+y+z+u≦5.5とするのが良い。 xが3.5以下
では放電電圧が低下し、逆に4.5を越えるとy+zの比
率が低下するのでAl、Co添加の効果が得られなくな
る。
結晶構造における格子間隔が小さく平衡解離圧が高いた
め、電気化学的に利用し得る水素量が減少する。逆に0.
9を越えると結晶構造の格子間隔が過剰に拡大し、平衡
解離圧が低下して水素吸蔵量が低下する。
o量が不十分で、La量の増加やAlの置換によって、
得られる水素吸蔵合金に寿命の低下がみられる。逆にz
+uが1.5を越えると得られる合金中のCo及びFeの
含有量が過剰となり、他の成分特にNi、Alの含有量
が相対的に抑制される結果となり、放電容量の低下等の
悪影響が生じ好ましくない。4.5≦x+y+z+u≦5.5
の範囲外では、AB5構造の金属間化合物の化学量論比
から逸脱するため好ましくない。
前記II族元素としては亜鉛を用いるのが好ましく、その
含有量は2wt%以上とするのが良く、さらに好ましくは
2〜10wt%とするのが良い。亜鉛の含有量が2wt%未満
では著しい電極膨潤を生じ、電池寿命の低下をきたすこ
とになり、逆に10wt%を越える場合には著しい放電電
圧の低下を生じるため好ましくない。
るコバルトの含有量は2wt%以上とするのが良く、さら
に好ましくは2〜10wt%とするのが良い。コバルトの
含有量が2wt%未満では高温下の充電効率向上作用が充
分得られず、逆に10wt%を越える場合には著しい放電
電圧の低下を生じるため好ましくない。
活物質粒子は半径が30オングストローム以上の遷移細
孔の発達を抑制することによって全細孔容積を0.1ml/
g以下とされる様にするのが良く、さらに好ましくは、
全細孔容積は0.05ml/g以下とされるのがよい。半径
が30オングストローム以上の遷移細孔が発達し、全細
孔容積が0.1ml/gを越える場合には、活物質の高密度
性は発現せず、エネルギー密度の低い粒子となり好まし
くない。また全細孔容積が0.1ml/g以下であれば高エ
ネルギー密度を有する高密度粉末となる。
前記コバルト化合物は5〜15wt%の範囲で物理混合さ
れる様にするのが良い。コバルト化合物の混合量が5wt
%未満では導電性ネットワークの形成が不十分で効果が
小さく、逆に15wt%を越える場合には活物質のエネル
ギー密度が低下するため好ましくない。
正極を構成するニッケル電極についても高容量化を図ら
なければならず、従来の焼結式電極では、エネルギー密
度は400mAh/ccが限界であった。しかし多孔性の耐ア
ルカリ性金属基板を集電体とし、活物質をペースト充填
したニッケル電極では、活物質の単位容積当りの充填量
が増加するために高容量化が可能となりエネルギー密度
も500mAh/ccと高い。
粒子間及び集電体との間の導電性が低いため、利用率が
焼結式に比べ低い問題があった。これに対し、活物質粉
末にコバルト化合物を添加することが有効であることが
知られている。ここでこの添加剤は、水酸化ニッケルの
結晶外において、アルカリ電解液中で溶解し、集電体と
水酸化ニッケル粒子間をHCoO2→β−Co(OH)2
反応によって接続する。さらに充電という電気化学的酸
化によって導電率の高いオキシ水酸化コバルトに変化し
(β−Co(OH)2→CoOOH反応)、集電体ニッ
ケル繊維と水酸化ニツケル粒子間の電子の流れをスムー
ズにし、利用率を増大させる作用をもつ。
めには、基板の多孔度に限界があることから、水酸化ニ
ッケル粉末そのものを高密度化する必要がある。そこで
その細孔半径が30オングストローム以上の内部遷移細
孔の発達を阻止し、更に全細孔容積を0.1ml/g以下に
制御した高密度なニッケル電極用活物質を利用すれば、
600mAh/ccのエネルギー密度も可能となる。
もない、電極寿命の低下を引き起こすことが明らかにな
った。ニッケル電極の充放電反応は、水酸化ニッケルの
結晶内をプロトンが自由に移動することによって起こ
る。ところが、高エネルギー密度化を図るため、内部遷
移細孔の発達を抑えた高密度な水酸化ニッケル粉末を用
いた場合は、水酸化ニッケルの高密度化にともない結晶
が微密になるため、結晶内のプロトン移動の自由さが限
定される。しかも比表面積の減少により電流密度が増大
し、高次酸化物γ−NiOOHが多量に生成するように
なり電極膨潤を引き起こす。その機構は、β−NiOO
Hからγ−NiOOHへの活物質の低密度化に伴うもの
である。この様な正極膨潤が発生すると電池内で電解液
の遍在が起こり、負極、セパレータでは電解液の枯渇状
態となり電池寿命に達してしまう。そのためにγ−Ni
OOHの生成を抑制する必要がある。そこで、亜鉛など
のII族元素を水酸化ニッケルに固溶体添加すると、結晶
に歪を生じるため、プロトンの動きに自由さが増しγ−
NiOOHの生成を減少する。
できるが、亜鉛を用いることで正極の無公害化を図るこ
とができる。以上のようにして改良した高性能なニッケ
ル極を正極とすることで、ニッケルーカドミウム電池と
差別化できる特性を有するニッケルー水素電池とするこ
とが可能となる。
減少する性質がみられる。この現象は、水素吸蔵合金の
結晶構造に関係しており、結晶構造における格子間隔の
大きい水素吸蔵合金は吸蔵速度が大きいため充電効率が
良い傾向がみられる。また結晶構造における格子間隔が
大きくなると水素吸蔵合金の平衡解離圧も下がる傾向が
あることから、この平衡解離圧を放電容量減少の程度に
ついての指標とすることができる。
は、Alの添加が効果的であることが知られている。し
かし、Alの添加によって格子間隔が拡大し平衡解離圧
が下がるのに伴い、逆に水素吸蔵量の低下が見られるこ
とから、Alの置換量には限界があり、0.05≦y≦0.9
が適当である。一方、AB5形水素吸蔵合金のAに相当
するMm(ミッシュメタル)中のLa量を増加させる
と、Mm全体の水素化熱の絶対量(△H)が低下するた
め、水素吸蔵合金全体の平均解離圧は下がる。また、L
a量を増加させると吸蔵量の増大もみられる。従って、
MmNi5のMm中のLa量を増加させ、Niの一部を
Alで適当量置換することにより、吸蔵量を低下させる
ことなく平衡解離圧を下げることができる。
カリ電解液中で水素電位よりも卑な平衡電位を持つた
め、合金腐食を進行させる作用を合わせ持ち、そのため
前述する様にAlを添加し、さらにLa量を増加する場
合には、得られる水素吸蔵合金が腐食し易いものとな
る。この様に耐腐食性が低い合金を電極として用いた場
合、使用過程における腐食の進行により電極の寿命が短
かくなるという問題が生じる。
oを含むと、腐食の進行にともなう電極特性の低下が抑
制されることを見いだし、さらにこの電極特性の低下を
抑制するCoの作用についても明らかにした。
劣化は、腐食生成物が粒子間に介在し、合金粉末の導電
性が低下するためであることが知られている。一方、C
oの酸化還元電位と水素吸蔵電極の充放電電位領域は重
なり、合金腐食により生成したCo(II)錯イオンは水
素吸蔵電極の充電電位でCo金属に還元され、その際合
金粒子間に導電性ネットワークを形成する。したがって
Coを含む合金ではこのような導電性ネットワークの形
成により、図1に示すように合金粒子間の導電性が補償
されていることが確認される。
を含まない合金と大きな差がみられる。Co粉末を合金
粉末と混合して添加した場合においてもこの差がみられ
ることから、この腐食形態の違いは析出したCo、ある
いは、放電の際溶出したCo錯イオンに起因するものと
考えられる。
蔵されている水素量を測定したところ、図2に示すよう
にCoを含む合金では深い放電が可能なことがわかる。
Coは水素のイオン化反応に対し優れた触媒活性を有す
ることが知られており、このような放電深度の深さは合
金表面に析出したCo層の触媒作用も加わって生じる現
象であると考えられる。
とで、La量の増加やAlの置換によっても寿命の低下
はみられず、高性能な電極として維持することができ
る。さらに、Co以外にCoの一部をFe、Mn、C
u、Cr、Siなどの元素で適当量置換すると、電極の
初期活性化が速やかになり、プラトーの平坦性が向上し
たり、耐食性が向上するなど、さらに高性能な電極とす
る事ができる。
で表面に緻密な酸化皮膜を形成する。したがってこの様
な不働態酸化皮膜が形成された合金素材を電極に用いた
場合、使用に先立ち、電極の活性化のために数サイクル
の充放電を繰り返すか、もしくは電極を作製する前に予
め合金粉末を酸やアルカリでエッチング処理し、表面皮
膜を除去する操作、あるいは電極作製工程すべてを不活
性雰囲気にするなどの対策が必要となる。
解消を目的として、各種合金組成による電極の初期容量
変化を調べたところ、図3に示すように合金組成中にF
eを含むと、初期から安定した電極特性を得ることがで
き、前述した各種操作、対策は全く必要なくなることが
わかった。これは可逆水素電位よりも僅かに卑な平衡電
位を持つFeが、開路状態あるいは放電中の電極におい
て溶出するため、前述した不働態酸化皮膜が容易に破壊
されるのではないかと考えられる。また、この様に合金
から溶出したFe錯イオンは、Co同様充電時に金属に
還元され、導電性ネットワークを形成しており、このF
eによる導電性ネットワーク形成作用によっても得られ
る電極の放電深度が深くなることから、Coの一部をF
e等によって置換しても、Co添加による水素吸蔵合金
の特性向上に対する悪影響はない。
前述の水酸化ニッケル電極によりニッケルー水素電池を
構成するにあたっては、密閉形ニッケルーカドミウム電
池と同様の構造をとることにより密閉化することができ
る。この構造では、負極の容量を正極よりも大きく持た
せることにより、充電時に正極の酸素ガスが負極からの
水素ガス発生よりも実質的に早い時期に始まるよう設計
されている。そのように正極から発生した酸素ガスは負
極上で還元され、電池内圧は一定に保たれる。
素ガス吸収は一般に負極の金属カドミウムが酸化カドミ
ウムに化学的に酸化されること、及び電解液中のH2O
との電気化学的反応により行われる。ところが、ニッケ
ルー水素電池の場合、水素吸蔵合金自体が化学的に酸化
を受けると、カドミウムのごとく再び還元されることな
く酸化物、あるいは水酸化物となり、その部分は水素吸
蔵能を失い機能し得なくなる。高温充電においては、ニ
ッケル電極のいわゆる充電受け入れ特性が、低下するた
めに、酸素ガス発生が充電初期から起こる。この様な状
態では、水素吸蔵合金の酸化が促進されるため、電池寿
命が低下する。従って、正極の高温充電受け入れ特性の
改善は高温時の容量低下を防ぐだけでなく、電池寿命の
向上にもつながる。
物質の酸化反応と酸素ガス発生反応が競合しやすくなる
ことによる。従って、これを改善するためには、これら
二つの反応の電位差を大きくすることが必要である。ま
ず亜鉛の水酸化ニッケル活物質への固溶体添加は、前述
したγ−NiOOHの生成を抑制する作用だけでなく、
ニッケル正極の酸素発生電位を、貴にシフトし、酸素過
電圧を増大させる作用も有する。一方、コバルトを水酸
化ニッケル活物質に固溶体添加すると、充電電位が卑に
シフトするため、亜鉛と同時に固溶体添加することでこ
とで酸素過電圧が大きくなり、正極の充電受け入れ特性
は向上する。この様な正極を用いることで高温特性の優
れたニッケルー水素電池が可能となり、さらに高温下で
のサイクル特性の向上もはかることができる。
ニッケル、亜鉛、コバルト、のアンミン錯イオンを混合
した溶液を出発物質とし、弱アルカリ性の析出浴で攬判
条件、pH等を制御し亜鉛及びコバルトを固溶状態で添
加した球状水酸化ニッケルを得た。出発物質中の各錯イ
オンの濃度比率を変化させることで亜鉛、コバルトの各
種添加比率の粉末を得た。これらの粉末は、細孔半径が
30オングストローム以上の内部遷移細孔の発達が抑え
られており、さらに細孔容積が0.1ml/g以下に制御さ
れた非常に高密度なものであった。
γ−NiOOHの比率を示す。図に示されるように、水
酸化ニッケルの結晶中に亜鉛を固溶状態で添加した実施
例のものでは、γ−NiOOHの生成はほとんど認めら
れないことがわかる。正極活物質の高密度化による比表
面積の減少により、電解液から反応種プロトンの出入口
が縮小するわけであるが、前述のように亜鉛を添加する
ことで水酸化ニッケル結晶中に歪を持たせることにより
固相でのプロトン移動がスムーズになったものと考察さ
れる。一方、コバルトを単独で添加した場合、γ−Ni
OOH生成防止効果はほとんどない。また、コバルト共
存状態で亜鉛を添加しても、亜鉛単独で添加した場合と
同様の効果があった。
た前記水酸化ニッケル粉末に、アルカリ電解液に溶解し
Co(II)錯イオンを生成するコバルト化合物として、
CoO粉末を10wt%混合した。これに1%のカルボキ
シルメチルセルロースを溶解した水溶液を加えて流動性
のあるペースト液を作製した。このペースト液を多孔度
95%のニッケル繊維基板に所定量充填させ、乾燥後プ
レスしてニッケル電極(A)とした。比較のため水酸化
ニッケル100%の粉末による電極(B)も作製した。
素をるつぼに投入し、高周波溶解炉を用いて溶解し、冷
却後機械粉砕することで、水素吸蔵合金粉末を得た。こ
の粉末に3%のPVA水溶液を加え、ペースト状態にし
て正極同様のニッケル繊維基板に充填し、乾燥後プレス
して、この発明の実施例組成としてMmNi3.7Al0 .3
Co0.7Fe0.3の水素吸蔵電極(a)、および比較例組
成としてMmNi4.5Al0.5の水素吸蔵電極(b)を得
た。これらの電極を組み合わせたニッケルー水素電池の
構成を以下表1に示す。
示すとの電池を用いて45℃において1CmAの高
電流密度で充電した場合の充電電圧を比較して示す。こ
の発明の実施例の電池は、比較例電池に比べ充電電
圧が低く、さらに酸素ガスサイクルが成立し始めたと考
えられる電圧との電位差ηが大きい。したがって充電の
受け入れ特性が、向上していることがわかる。表2には
20℃を100%としたときの、45℃における容量比
率を比較して示す。
極は同一であるが負極が比較例組成の前記(b)の電極
である比較例について放電電圧を比較して示す。この
発明の実施例電池は比較例電池に比べ高い放電電圧
を有することがわかる。カレントインタラプタにより調
べると実施例電池は、比較例電池に比べ活性化過電圧な
どの、IR以外の抵抗成分による過電圧が小さいことが
判明した。このことから、Co及びFeを合金組成中に
含むことで放電反応が、スムーズに行なわれることがわ
かった。
サイクル特性を図7に比較して示す。実施例電池は、
500サイクルを経過しても容量の低下がみられなかっ
たが、比較例電池、、は、10サイクル程度で容
量が低下した。またこれらの比較例電池、、を解
体して調べたところ、正極(B)を使った比較例電池
、はγ−NiOOHの生成によるニッケル電極の膨
潤と電解液の枯渇が確認され、負極(b)を使った比較
例電池は合金腐食によって合金粒子間の導電性が悪化
していることが確認された。以上より、高性能なニッケ
ル−水素電池を実現するには(A)及び(a)の高性能
な電極両方が同時に必要であることがわかる。なお、本
実施例ではアルカリ電解液中でCo(II)錯イオンを生
成するコバルト化合物としてCoOを用いたが、これに
限らず、α−Co(OH)2、β−Co(OH)2、ある
いは酢酸コバルトなどでも良いが、溶解度や効果の点で
CoOが最も好ましい。
ッケル繊維基板を用いたが、この発明はこれに限るもの
ではなく、エキスパンドメタル、発泡メタル、ニッケル
めっきパンチングメタル、などを用いてもよい。
ッケルー水素電池によれば、原子数比による示性式がM
mNiXAlyCoZである水素吸蔵合金電極を負極と
し、水酸化ニツケルにII族元素及びコバルトを固溶させ
た活物質粒子にアルカリ電解液に溶解しコバルト錯イオ
ンを生成するコバルト化合物を物理混合して作製された
ニッケル電極を正極として構成されるようにしたので、
高温特性に優れ長寿命でエネルギー密度が高く、かつ無
公害なニッケルー水素電池とすることができ、極めて工
業的価値の大きなニッケル−水素電池を得ることができ
るという優れた孔かが奏される。
素電池がによれば、原子数比による示性式がMmNiX
AlyCoZMuである水素吸蔵合金電極を負極とし、水
酸化ニツケルにII族元素及びコバルトを固溶させた活物
質粒子にアルカリ電解液に溶解しコバルト錯イオンを生
成するコバルト化合物を物理混合して作製されたニッケ
ル電極を正極として構成されるようにしたので、サイク
ル寿命などを低下させることなく高温特性を向上させる
ことができるのみならず、電池を活性化するために煩雑
な操作や対策を講じるまでもなく速やかに活性化し、放
電電圧も高い電池とすることができるという効果があ
る。
ある。 図2 電極の放電深度を示す図である。 図3 各種合金組成と放電容量の関係を示す図である。 図4 Co及びZn添加量とγ−NiOOHの生成量の
関係を示す図である。 図5 この発明の実施例と比較例の電池の充電電圧曲線
を示す図である。 図6 この発明の実施例と比較例の電池の放電電圧を示
す図である。 図7 この発明の実施例と比較例の電池の充放電サイク
ル数と放電容量を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】原子数比による示性式がMmNiXAly
CoZ(Mmはミッシュメタル、または希土類元素の混
合物、x,y,zは、3.5≦x≦4.5、0.05≦y≦0.9、0.1≦
z≦1.5、4.5≦x+y+z≦5.5)で、Mm中のLaを40重量%
以上含有した水素吸蔵合金電極を負極とし、亜鉛及びコ
バルトを各々2重量%以上、好ましくは2〜10重量%固
溶させて半径が30オングストローム以上の遷移細孔の発
達を抑制することによって全細孔容積を0.1ml/g以下
にした水酸化ニッケルに、アルカリ電解液に溶解してコ
バルト錯イオンを生成するコバルト化合物を5〜15重
量%物理混合して作製されたニッケル電極を正極として
構成されることを特徴とするニッケル−水素電池。 - 【請求項2】原子数比による示性式がMmNiXAly
CoZMu(Mmはミッシュメタル、または希土類元素
の混合物、x,y,z,uは、3.5≦x≦4.5、0.05≦y≦
0.9、0.1≦z≦1.5、4.5≦x+y+z+u≦5.5、MはFe、M
n、Cr、Cu、Siから選ばれた少なくとも一種以上
の元素)で、Mm中のLaを35重量%以上、好ましくは
40重量%以上含有した水素吸蔵合金電極を負極とし、亜
鉛及びコバルトを各々2重量%以上、好ましくは2〜10
重量%固溶させて半径が30オングストローム以上の遷移
細孔の発達を抑制することによって全細孔容積を0.1m
l/g以下にした水酸化ニッケルに、アルカリ電解液に
溶解してコバルト錯イオンを生成するコバルト化合物を
5〜15重量%物理混合して作製されたニッケル電極を
正極として構成されることを特徴とするニッケル−水素
電池。
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JPH06283170A JPH06283170A (ja) | 1994-10-07 |
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-
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