JP3081275B2 - 氷蓄熱槽 - Google Patents

氷蓄熱槽

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JP3081275B2
JP3081275B2 JP03143751A JP14375191A JP3081275B2 JP 3081275 B2 JP3081275 B2 JP 3081275B2 JP 03143751 A JP03143751 A JP 03143751A JP 14375191 A JP14375191 A JP 14375191A JP 3081275 B2 JP3081275 B2 JP 3081275B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上方から供給される氷
を多数貯留する氷貯留域、その氷貯留域に冷却対象液を
供給する液供給部、及び、前記氷貯留域を通過させた液
を前記氷貯留域から取り出す液取り出し部を備える氷蓄
熱槽に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の氷蓄熱槽においては、図
4に示すように、氷貯留域2に対する液供給部Xと液取
り出し部Yとを、氷貯留域2の上部から下部へ冷却対象
液W1を通過させるように配置していた。
【0003】また、氷貯留域2の上部に冷却対象液W1
を供給する液供給部Xを構成するにあたり、同図4に示
すように、氷貯留域2における貯留氷A群に対し、その
上面部の全体にわたって冷却対象液W1をノズルnによ
り散布する構成とし、これによって、液冷却機能の低下
原因となる、貯留氷Aどうしの融着による貯留氷Aの大
氷塊化を防止するようにしたものもあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の如く氷
貯留域における貯留氷群に対し、その上面部の全体
にわたって冷却対象液W1を散布する構成を採用して
も、貯留氷どうしの融着による大氷塊化を充分に防止
できない場合もあり、このため、この貯留氷の大氷塊
化による液冷却機能の低下、すなわち、貯留氷の大氷
塊化により初期の貯留氷分離状態に比べ通過液W1と貯
留氷との接触伝熱面積が大巾に小さくなることによる
液冷却機能の低下を未だ確実には回避できないのが実情
であった。
【0005】本発明の目的は、氷貯留域に対し冷却対象
液を合理的な形態で通過させることにより、貯留氷どう
しの融着による大氷塊化を一層効果的に防止する点にあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による氷蓄熱槽の
第1の特徴構成は、上方から供給される氷を多数貯留す
る氷貯留域、その氷貯留域に冷却対象液を供給する液供
給部、及び、前記氷貯留域を通過させた液を前記氷貯留
域から取り出す液取り出し部を備える構成において、前
記液供給部と前記液取り出し部とを、前記氷貯留域に対
冷却対象液を前記氷貯留域の下部から上部へ通過させ
るように配置してあることにある。
【0007】
【作用】つまり、貯留氷どうしの融着による大氷塊化に
ついて種々の実験を行った結果、氷貯留域に対し氷を上
方から供給する形態においては、氷貯留域における下部
側の貯留氷の方が上部側の貯留氷に比べ貯留経過時間が
長くて氷どうしの融着化が進み、また、上部側貯留氷の
重力を受けて下部側貯留氷どうしの融着が促進されるこ
ともある等のことから、貯留氷どうしの融着による大氷
塊化傾向は氷貯留域の上部側に比べ下部側の方が強くな
ることを知見するに至った。
【0008】そして、このことから、氷貯留域における
貯留氷群に対し、その上面部の全体にわたって冷却対象
液(すなわち、冷却前の温液)を散布するといった構成
を採用しても、散布冷却対象液により貯留氷の融解を促
進して貯留氷どうしの融着を防止するといった作用は、
融着が未だ進んでいない上部側(特に表層部)の貯留氷
に対して融着防止から見れば必要以上に融解を促進する
ことに寄与するばかりで、融着傾向が強い氷貯留域の下
部側の貯留氷にまで及ばないため、貯留氷どうしの融着
による大氷塊化を充分に防止できない場合が生じること
が判明した。
【0009】これに対し、本発明の上記第1特徴構成に
よれば、冷却前の温液である冷却対象液を氷貯留域の下
部から上部へ通過させることにより、氷貯留域において
融着傾向の強い下部側の貯留氷に対し冷却対象液を融着
防止上で有効に融解促進作用させることができて、融着
傾向の強い下部側貯留氷どうしの融着による大氷塊化を
効果的に防止できる。
【0010】
【発明の効果】以上作用の結果、単に氷貯留域の上部か
ら下部へ液を通過させる従来形式に比べ、また、氷貯留
域における貯留氷群に対し、その上面部の全体にわたっ
て冷却対象液を散布する形式に比べても、全体として、
貯留氷どうしの融着による大氷塊化を一層効果的に防止
でき、これによって、貯留氷の大氷塊化による液冷却機
能の低下を一層確実に回避できて、高い液冷却機能を安
定的に維持し得るに至った。
【0011】〔本発明の第2特徴構成〕 本発明による氷蓄熱槽の第2特徴構成は、前記液供給部
を、前記氷貯留域の底部のほぼ全体に対して冷却対象液
を分散供給するように構成してあることにある。
【0012】つまり、上述の如く氷貯留域に対し冷却対
象液を氷貯留域の下部から上部へ通過させるにしても、
氷貯留域における底部の一部箇所からのみ冷却対象液を
供給するのでは、氷貯留域の下部側域で冷却対象液の供
給位置から離れた所に供給冷却対象液の融解促進作用、
すなわち、融解促進による融着防止作用が及び難い箇所
が局部的に生じ、このため、大氷塊化防止機能の向上が
制限されるといったことも考えられる。
【0013】この点、上記の第2特徴構成を採用すれ
ば、氷貯留域における下部側域の全体に対し冷却対象液
を確実かつ有効に融着防止作用させることができ、これ
によって、大氷塊化防止機能の向上、ひいては、液冷却
機能の低下防止をより一層効果的に達成できる。
【0014】
【実施例】次に実施例を説明する。
【0015】図1は氷蓄熱槽利用の空調設備を示し、1
は、多数の氷Aを一次冷水W1とともに槽内の氷貯留域
2に貯留して冷熱を蓄熱する氷蓄熱槽、3は空気冷却用
の冷水コイル4を初めとして種々の空調手段を内装した
空調機である。
【0016】5は、一次冷水循環路6a,6bにより氷
蓄熱槽1に接続するとともに、二次冷水循環路7a,7
bにより空調機3の冷水コイル4に接続した熱交換器で
あり、冷水コイル4に対して循環供給する二次冷水W2
を、この熱交換器5で氷蓄熱槽1からの一次冷水W1と
熱交換させて冷却するようにしてある。
【0017】図1及び図2に示すように、氷蓄熱槽1に
おいて、氷貯留域2の底はその全面を、貯留氷Aの通過
が不能で一次冷水通過のみが可能な多孔板8により形成
し、その多孔板8を仕切りとする状態で、氷貯留域2の
下方には冷水供給室9を形成してあり、また、氷貯留域
2の横側部には、縦壁10を氷貯留域2との仕切りとす
る冷水取り出し槽11を形成し、その縦壁10の上端縁
を、氷貯留域2から溢水により一次冷水W1を冷水取り
出し槽11へ流出させる溢水堰10aとしてある。
【0018】そして、一次冷水循環路6a,6bにおけ
る還流路6bの蓄熱槽側端は冷水供給室9に接続し、ま
た、一次冷水循環路6a,6bにおける往流路6aの蓄
熱槽側端は冷水取り出し槽11に接続してあり、もっ
て、二次冷水W2との熱交換により昇温した熱交換器5
からの戻り一次冷水W1は冷水供給室9から多孔板8を
介し氷貯留域2の下部へ供給し、また、この氷貯留域2
に対する一次冷水供給に伴い、熱交換器5に供給すべき
一次冷水W1を上記の溢水堰10aを介し氷貯留域2
上部から冷水取り出し槽11へ流出させて取り出すこと
で、氷貯留域2に対し一次冷水W1を氷貯留域2の下部
から上部へ通過させ、この通過過程で一次冷水W1を貯
留氷Aの融解を伴いながら貯留氷Aにより冷却するよう
にしてある。
【0019】図中、12は氷Aを連続的に製造する製氷
機、13は製氷機12により製造された氷Aを受け入れ
て貯えるストッカ、また、14はストッカ13から送出
される氷Aを揺動動作により分散落下させて氷貯留域2
の全域に分配供給する揺動漏斗式の氷分配供給装置であ
り、この氷分配供給装置14により、氷貯留域2での貯
留氷Aの融解消費に対し適時、氷Aを氷貯留域2に補充
するようにしてある。
【0020】そして、このように氷貯留域2に対し上方
から氷Aを供給する形態において、貯留氷Aどうしの融
着による大氷塊化の傾向が氷貯留域2の下部側で強くな
ることに対し、前述の如く、二次冷水W2との熱交換に
より昇温した戻り一次冷水W1を、多孔板8を介し氷貯
留域2の底部全体から氷貯留域2へ分散供給して、氷貯
留域2の下部側から上部側へ通過させるようにしたこと
により、貯留氷Aどうしの融着による大氷塊化を昇温戻
り一次冷水W1の氷融解作用をもって効果的に防止し、
これによって、貯留氷Aによる通過一次冷水W1の冷却
機能を高く維持するようにしてある。
【0021】氷貯留域2には、縦姿勢の板状区画具15
を所定間隔で多数並設してあり、これら板状区画具15
により氷貯留域2を多数の区域に区画することで、隣接
区域の貯留氷Aどうしが融着により両区域にわたって一
体化することを板状区画具15の区画機能をもって防止
し、これによって、氷貯留域2での貯留氷Aどうしの融
着による大氷塊化を一層確実に防止するようにしてあ
る。
【0022】尚、板状区画具15は貯留氷Aの通過が不
能で一次冷水W1の通過が可能な多孔板により形成して
あり、これによって、区画区域間にわたる一次冷水W1
の流通、特に、氷貯留域2の上部側において前記の溢水
堰10aに向かうための区画区域間にわたる一次冷水W
1の流通を許容するようにしてある。
【0023】〔別実施例〕 次に別実施例を列記する。
【0024】前述実施例の如く、氷貯留域2に板状区画
具15を多数並設するに代えて、図3に示すように、格
子状体16を氷貯留域2に内装配置しておくことによ
り、その格子状体16の構成長尺部材16aを貯留氷A
群中で隣接貯留氷A間に位置させるようにして、それら
隣接氷A間に間隙を確保するとともに、そのような間隙
を長尺部材16aそれぞれの長軸方向に連続させ、もっ
て、貯留氷A群中において一次冷水W1の流通路を確保
して一次冷水冷却機能の一層の向上を図るようにしても
よい。
【0025】氷貯留域2に対し冷水W1等の冷却対象液
を氷貯留域2の下部から上部へ通過させるにあたり、氷
貯留域2に対する液供給部の具体的構造は、前述実施例
の如く、氷貯留域2の底部を多孔板8により形成すると
ともに、その多孔板8を仕切りとして氷貯留域2の下方
に液供給室9を形成する構成の他に、種々の構造を採用
でき、例えば、冷却対象液W1の液供給路6bを形成す
る管路を氷貯留域2の下部側に直接接続する構成を採用
してもよい。
【0026】また、氷貯留域2を通過させた液W1を氷
貯留域2から取り出す液取り出し部の具体的構造も、前
述実施例の如きオーバーフロー堰構成を採用するに代え
て、種々の構造を採用でき、例えば、液取り出し路6a
を形成する管路を氷貯留域2の上部に直接接続する構成
を採用してもよい。
【0027】液取り出し部を、オーバーフローにより氷
貯留域2から液W1を取り出す構成とする場合、そのオ
ーバーフロー式液取り出し部を氷貯留域2の周部に複数
分散配置したり、また、氷貯留域2の周部全体にわたる
ものとしてもよい。
【0028】冷却対象液W1は水に限定されるものでは
なく、ブライン等種々の液体を適用できる。
【0029】本発明による氷蓄熱槽は、空調設備に限ら
ず各種の冷熱用途に適用できる。
【0030】尚、特許請求の範囲の項に図面との対象を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】氷蓄熱槽の断面構成と空調設備の設備構成を示
す図
【図2】氷蓄熱槽の斜視図
【図3】別実施例を示す氷蓄熱槽の断面図
【図4】従来例を示す氷蓄熱槽の断面図
【符号の説明】
2 氷貯留域 8,9 液供給部 10a,11 液取り出し部 A 氷 W1 液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−162236(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 5/00 F25C 1/00 F25C 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上方から供給される氷(A)を多数貯留
    する氷貯留域(2)、その氷貯留域(2)に冷却対象液
    (W1)を供給する液供給部(8,9)、及び、前記氷
    貯留域(2)を通過させた液(W1)を前記氷貯留域
    (2)から取り出す液取り出し部(10a,11)を備
    える氷蓄熱槽であって、 前記液供給部(8,9)と前記液取り出し部(10a,
    11)とを、前記氷貯留域(2)に対し冷却対象液(W
    1)を前記氷貯留域(2)の下部から上部へ通過させる
    ように配置してある氷蓄熱槽。
  2. 【請求項2】 前記液供給部(8,9)を、前記氷貯留
    域(2)の底部のほぼ全体に対して冷却対象液(W1)
    を分散供給するように構成してある請求項1記載の氷蓄
    熱槽。
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