JP3081101B2 - チーズ様食品の製造法 - Google Patents
チーズ様食品の製造法Info
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Description
るチーズ様食品の製造法に関する。
物性蛋白食品が評価されている。特に良質の蛋白質を多
量に含有する大豆を原料とする食品はその評価も高く、
伝統的な大豆加工食品である豆腐、納豆をはじめとし
て、豆乳飲料、肉様食品等が商品化されている。大豆
(豆乳)を原料とするチーズ様食品も種々検討されてお
り、例えば特公昭57-3338号「大豆乳を利用したチーズ
様食品の製造法」、特開昭59-213358号「改良されたチ
ーズ様食品の製造法」等多くの特許出願もなされてい
る。
てチーズ様食品を製造する場合も、牛乳を原料とする場
合と同様、乳酸発酵と同時にカードを生成させることが
必要であるが、豆乳の場合には、牛乳で使用される凝集
酵素レンネットでは凝固が起こらず、従って良好なカー
ドを生成させるために、例えば耐熱性を有する乳酸菌を
使用して乳酸発酵後70〜80℃の高温下でカード生成
を促進させる方法も提案されている。しかしながらこの
方法は乳酸菌の耐熱性が要求されるため、有胞子乳酸菌
を使用せざるを得ないという欠点がある。また豆乳を凝
集させる特殊な凝集酵素を使用する方法も提案されてい
るが、一般的でない。本発明者等は、通常の中温性乳酸
菌を使用した乳酸発酵によって豆乳カードを生成させる
方法について検討したところ、原料大豆中の可溶性糖区
分の60%以上を除去した豆乳を用いることにより、良
質のカードを生成させることができるという知見を得て
本発明を完成した。
説明する。 (1)豆乳の調製工程 本発明の特徴は原料大豆中の可溶性糖区分の60%以上
を除去した豆乳を使用することを特徴の一つとしてい
る。このような豆乳の調製方法としては、予め原料大豆
から可溶性糖区分を除去し、これを磨砕して豆乳を得る
か、豆乳を限外濾過膜で濾過して可溶性糖区分を除去す
る方法がある。なお本発明でいう可溶性糖区分とは、水
浸漬や磨砕等によって溶出する水溶性糖区分を指し、そ
の総量は以下の方法で求められるものである。原料大豆
を一定量の水に浸漬したのち浸漬水と共に磨砕し、これ
を濾過して得た豆乳を塩酸でpH4.5に調節し、蛋白を
沈殿させ、遠心分離して上澄液の糖濃度をフェノール−
硫酸法でグルコース量として求める。
糖区分の60%以上を除去する方法としては、原料大豆
を水に浸漬することにより浸漬水中に可溶性糖区分を溶
出させる方法がある。例えば丸大豆の場合50〜55℃
で6〜10時間、脱皮大豆の場合30〜55℃で2〜1
0時間浸漬することにより、浸漬水中に可溶性糖区分の
60〜80%を溶出、除去させることができる。浸漬に
より可溶性糖区分を溶出させる際には、大豆の胚乳等の
部分に傷をつけることなく、なるべくそのままの形で用
いることが望ましい。なぜならば丸大豆や脱皮大豆を粉
砕又は割砕し、その細胞が壊れるとリポキシダーゼ等の
酵素がその基質と接触し、不快な臭いや味が出現し、ま
た糖の溶出と同時に蛋白の溶出も促され、蛋白の損失の
増加につながるからである。こうして可溶性糖区分が除
去された大豆は必要により水洗、水切りし、2〜8倍量
の水と共に磨砕機に投入し、磨砕する。
リポキシダーゼあるいはパーオキシダーゼ等の作用によ
る品質劣化を防止する目的で10℃以下の低温条件下あ
るいは80℃以上の高温条件下での磨砕が好ましい。磨
砕して得た生呉は95〜110℃で0.5〜5分間加熱
したのち濾過しておからと豆乳に分離し、可溶性糖区分
の60%以上を除去した豆乳を得る。また、豆乳を限外
濾過膜で濾過して可溶性糖区分を除去する方法も採用す
ることができ、例えば、丸大豆や脱皮大豆等の原料大豆
を通常の浸漬条件、例えば18〜25℃の水に12〜1
6時間浸漬し、必要により水洗、水切りし、2〜8倍量
の水と共に磨砕機に投入し、磨砕するか、あるいは浸漬
することなく4〜10倍量の水と共に磨砕機に投入して
磨砕して生呉を得、この生呉を95〜110℃で0.5
〜5分間加熱したのち濾過しておからと豆乳に分離し、
得られた豆乳を限外濾過膜で濾過して可溶性糖区分を除
去する。
効率を高めることができ、更にまた殺菌を目的として1
20〜150℃、0.5〜240秒の加熱処理を行なう
ことにより膜処理中の微生物汚染を防止することができ
る。使用する限外濾過膜は分画分子量30,000以
上、好ましくは30,000〜300,000であり、
分画分子量30,000以下の膜を使用した場合、濾過
効率が悪く、また分画分子量が大き過ぎる膜は豆乳中の
蛋白質も通過して原料利用率低下をもたらす。
ン、ポリアクリロニトリル等の合成高分子素材から成る
もの、あるいはジルコニアセラミック膜等であり、型状
は平膜、中空糸状等、通常のものが使用できる。可溶性
糖分の除去には、単に限外濾過膜で濃縮するだけでも多
少は行なえるが、蛋白質濃度が高い豆乳の場合、水を加
えながら低分子成分を積極的に除去する、いわゆる「ダ
イアフィルトレーション」が必要となる。可溶性糖区分
の除去の程度は、原料大豆中の可溶性糖区分の60%以
上であり、浸漬大豆を使用する場合には、浸漬中にある
程度の可溶性糖区分が溶出、除去されるのでこれらをあ
わせて60%以上となるように、限外濾過膜処理で除去
すればよい。
溶性糖区分の60%以上を除去した豆乳は135〜15
0℃、0.5〜120秒程度の加熱殺菌、冷却後、糖類
及び乳酸菌を添加する。糖類は乳糖、ブドウ糖、砂糖、
果糖等であり、特に乳糖が好ましい。添加量は豆乳に対
し0.2〜5%、好ましくは1〜2%である。 乳酸菌
は牛乳チーズの製造に使用される市販の乳酸菌でよく、
例えばラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス
・アシドフィルス、ストレプトカッカス・サーモフィル
ス、ラクトバチルス・フェルベチックス、ラクトバチル
ス・カゼイン、ストレプトコッカス・クレモリス、スト
レプトコッカス・ラクティス、ロイコノストック・クレ
モリス、ストレプトコッカス・ダイアセチラクティス等
の単一菌あるいは混合菌であり、またこれらは通常の方
法で前培養したものをスターターとして添加する。
ルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム等の二価
の金属塩類を添加してもよい。乳酸発酵は20〜45℃
で、2〜20時間、好ましくは30〜40℃で3〜6時
間行なう。こうすることによって豆乳は乳酸菌の発酵に
ともないpHが低下し、全体が均一に固まりカードが形成
される。
程は、牛乳を原料とするチーズの製造法となんら変わる
ところはない。以下カマンベール・チーズを製造する場
合を例に説明する。乳酸発酵によって形成されたカード
をカードナイフで1〜2cm角程度の大きさにカット
し、40℃程度に加温しながら静置し、ホエーを滲出さ
せたのち、そのホエーの一部を除去する。ついで反転機
にセットしたフープに均一に移し替えた後蓋をし、室温
で15分間隔で4〜5回反転させ、さらに30分間隔で
4〜5回、引き続き2時間間隔で3回程度反転させた
後、7〜8時間静置する。こうすることによってホエー
が排出され、適度な硬さを有するカードとなる。
り分け、防腐、発酵調製、風味付与の目的で、20%の
食塩水に10〜20分間浸漬する。次いで食塩水から取
出し、水切りし、湿度60%程度の部屋に2〜8時間放
置し乾燥させる。市販のカマンベールチーズ様かび粉
末、例えばクリスチャンハンセン社製ペニシリウム・ス
ーパー・アクティフを滅菌水に懸濁したものを、この乾
燥カード表面に噴霧する等の方法で接種する。
状の棚に載置し、10〜20℃で4〜10日間放置し、
菌糸を充分蔓延させる。この間1日1回程度カードを反
転させる。ついでカードをプラスチックフィルムで包
み、容器に1個づつ収納し、5〜10℃で7〜14日間
熟成させて製品とする。得られた製品は、牛乳を原料と
するカマンベールチーズと同様のなめらかなテクスチャ
ーを有し、大豆特有の風味のない製品である。もちろん
他のチーズにおいても同様である。以下実験例により本
発明の効果を説明する。
℃)に1時間浸漬した後、浸漬水を除去し、水洗、水切
り後、原料大豆重量の4倍量の95℃の熱水とともに磨
砕し、得られた呉を105℃、30秒間加熱処理後、8
0℃まで冷却し、次いでスクリューデカンターで固液分
離して豆乳を得た。この豆乳を脱気し、150℃、5秒
間の殺菌処理後、25℃に冷却した。この豆乳の可溶性
糖区分除去率は39.5%であった。
の水道水(20℃)に6時間浸漬した後、浸漬水を除去
し、水洗、水切り後、原料大豆重量の4倍量の95℃の
熱水とともに磨砕し、得られた呉を105℃、30秒間
加熱処理後、80℃まで冷却し、次いでスクリューデカ
ンターで固液分離して豆乳を得た。この豆乳を脱気し、
150℃、5秒間の殺菌処理後、25℃に冷却した。こ
の豆乳の可溶性糖区分除去率は50.2%であった。
の水(50℃)に2時間浸漬した後、浸漬水を除去し、
水洗、水切り後、原料大豆重量の4倍量の95℃の熱水
とともに磨砕し、得られた呉を105℃、30秒間加熱
処理後、80℃まで冷却し、次いでスクリューデカンタ
ーで固液分離して豆乳を得た。この豆乳を脱気し、15
0℃、5秒間の殺菌処理後、25℃に冷却した。この豆
乳の可溶性糖区分除去率は51.5%であった。
の水(50℃)に3時間浸漬した後、浸漬水を除去し、
水洗、水切り後、原料大豆重量の4倍量の95℃の熱水
とともに磨砕し、得られた呉を105℃、30秒間加熱
処理後、80℃まで冷却し、次いでスクリューデカンタ
ーで固液分離して豆乳を得た。この豆乳を脱気し、15
0℃、5秒間の殺菌処理後、25℃に冷却した。この豆
乳の可溶性糖区分除去率は61.0%であった。
の水(50℃)に1時間浸漬した後、浸漬水を除去し、
再度5倍量の水(50℃)に1時間浸漬した後、浸漬水
を除去し、水洗、水切り後、原料大豆重量の4倍量の9
5℃の熱水とともに磨砕し、得られた呉を105℃、3
0秒間加熱処理後、80℃まで冷却し、次いでスクリュ
ーデカンターで固液分離して豆乳を得た。この豆乳を脱
気し、150℃、5秒間の殺菌処理後、25℃に冷却し
た。この豆乳の可溶性糖区分除去率は70.3%であっ
た。
その豆乳10Lに乳糖が2%、塩化カルシウムが0.0
5%になるように添加し、これにスターターとして乳酸
菌ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカ
ス・ラクティス、ロイコノストック・クレモリス、スト
レプトコッカス・ダイアセチラクティスの混合菌CH-N-0
1(発売元クリスチャンハンセン社、スエーデン)の培
養液200mlを添加し、培養器内で30℃で豆乳のpH
が5.8前後となるまで乳酸発酵させ、その後32℃ま
で昇温させ、さらに1時間乳酸発酵させてカードを生成
させた。
1.5cm角に細断し、1時間静置しカード層の上部に
分離したホエーを排除したのち、カードを反転機にセッ
トしたフープに移し替えたのち蓋をし、これを室温で1
5分間隔で4回反転させ、さらに30分間隔で4回、引
き続き2時間間隔で3回反転させた後、8時間静置し
た。 その後フープ内のカードを取出し、カード重量及
び以下の方法で蛋白質量を測定した。結果を表1に示
す。
質濃度/原料豆乳容量×豆乳の蛋白質濃度 なお蛋白質濃度はケルダール法により全窒素量を定量
し、係数6.25を乗じて算出した。
性糖区分の60%以上を除去した大豆を原料として調製
した豆乳(試料4、5)を乳酸発酵させると、可溶性糖
区分の除去率が低い試料1〜3に比べ、重量で2倍強の
カードを生成し、蛋白質収率も高く、またカードの状態
も良好であった。
漬し、1時間後に浸漬水を除去し、再度新しい50℃の
水250Lに浸漬した。次いで浸漬水を除去後、水洗、
水切りし、これを200Lの95℃の熱水と共に磨砕し
たのち、スクリューデカンターで固液分離し豆乳を得
た。この豆乳を脱気したのち145℃、10秒間の加熱
殺菌後、30℃に冷却した。この殺菌豆乳の蛋白質濃度
は6.2%であった。この豆乳11.3Lに殺菌済みの
5%乳糖水溶液8Lと5%塩化カルシウム水溶液0.2
L及び殺菌水0.5Lを加えた。この豆乳の蛋白質濃度
は3.5%であり、これを30℃に保ち、実験例で用い
たと同様の乳酸菌カルチャーCH-N-01の粉末800mg
をO.5Lの水に溶解後添加し、培養容器内で乳酸発酵
させた。豆乳のpHが5.8になった時点で32℃に昇
温しこの温度で1時間保持した。
断し40℃に加温して1時間静置後、上部に分離したホ
エーを除去し、これを反転機にセットした円柱型のフー
プに移し、室温で15分間隔で4回反転させ、さらに3
0分間隔で4回、引き続き2時間間隔で3回反転させた
後、8時間静置した。その後フープ内のカードを取出
し、30mmの厚さに切断し、20%食塩水に10分間
浸漬、水切り後、無菌雰囲気下、20℃で5時間乾燥し
た。これにペニシリウム・カンディダム胞子をカード表
面に噴霧し、15℃で5日間放置した。この間1日1回
の反転を行なった。次いでこのカードを1枚毎にラップ
包装し10日間8〜10℃で静置した。
料とするカマンベールチーズに酷似し、風味の優れたも
のであった。
Claims (1)
- 【請求項1】 以下の(1)〜(4)の工程を含むチ
ーズ様食品の製造法。 (1)原料大豆中の可溶性糖区分の60%以上を除去し
た豆乳を調製する工程。 (2)該豆乳に乳糖、ブドウ糖、砂糖、果糖のいずれか
及び乳酸菌を添加し乳酸発酵させる工程。 (3)乳酸発酵で生成するカードを固液分離する工程。 (4)固液分離後のカードにかび付けし、発酵、熟成さ
せる工程。
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