JP3079819B2 - アクティブデバイスおよびその製造方法 - Google Patents

アクティブデバイスおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マトリクス状アクティ
ブデバイス型ディスプレイ素子等の画素駆動用アクティ
ブデバイスに係り、特に液晶表示素子の駆動等に利用す
るアクティブデバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電体の非線形性を利用し、これを2
端子素子として液晶をアクティブ・マトリクスにより駆
動する方法は、「Molecular Crystal
s and Liquid Crystals」(19
71.Vol.15、pp.95〜104)に発表され
ている。その応用例として、特開昭64−4721号公
報に開示されているようなアクティブデバイスが提案さ
れている。
【0003】図13は強誘電体のヒステリシス特性の説
明図であって、(a)は特性曲線、(b)(c)(d)
は分極状態を説明する模式図である。同図(a)におい
て、Prは残留分極、Ecは抗電界を表し、強誘電体に
電界を図の下から上に印加すると、電界を印加した方向
に分極配向し(b)に示した状態になる。すると、自発
分極の方向とは逆の図の上から下の方向に内部電界が発
生する。
【0004】また、十分大きな電界を上記とは逆方向に
印加すると、(c)に示したように自発分極が反転し、
図の下から上の方向に内部電界が発生する。このときに
印加する電界が抗電界Ecである、(d)に示したよう
に自発分極がランダムな配向状態となる。また、(b)
(c)に示したように、自発分極の向きが揃っている場
合には、残留分極Prに相当する電界が生じ、強誘電体
に直列あるいは並列に結線された液晶などに電界を印加
することができる。
【0005】図14は液晶表示素子の駆動に強誘電体を
用いたアクティブデバイスを適用した1構成例を説明す
る(a)断面図、(b)平面図、(c)斜視図であっ
て、(a)は(b)のX−X線に沿った断面に相当す
る。そして、1は絶縁基板(一般にガラス基板、以下ガ
ラス基板とも言う)、2は画素電極膜、3は強誘電体
層、4は信号線、5は絶縁基板(ガラス基板)、6は透
明電極膜、Dは絶縁基板1と画素電極(透明電極膜)2
からなる液晶表示素子の下側基板、Eはガラス基板5と
透明電極膜6からなる液晶表示素子の上側基板、Fは液
晶層である。
【0006】同図において、ガラス基板1上に透明電極
膜から成る画素電極2、この画素電極2を被覆するよう
に強誘電体層3が形成され、さらにこの強誘電体層3上
に信号線4が形成されている下側基板Dと、ガラス基板
5上に透明電極膜6で形成される上側基板Eの間に液晶
層Fを保持して液晶素子を構成している。図15は液晶
表示素子の駆動に強誘電体を用いたアクティブデバイス
を適用した他の構成例を説明する(a)断面図、(b)
平面図、(c)斜視図、また図16は液晶表示素子の駆
動に強誘電体を用いたアクティブデバイスを適用したさ
らに他の構成例を説明する(a)断面図、(b)平面
図、(c)斜視図で、前記図13と同一符号は同一部分
に対応する。
【0007】図14で説明したように、液晶表示素子の
下側基板D上に形成されているアクティブデバイスは、
画素電極(透明電極膜)2と信号線4の交差する領域に
強誘電体層が介在していればよいので、その構造は図1
5、図16のような構成としてもよい。ここで用いられ
る強誘電体は、自発分極が大きく、スイッチング速度の
速い無機系材料であることが有利である。この無機系強
誘電体層の形成方法として、製造プロセスも簡便で大面
積化が容易なMOD(Metallo−Organic
Deposition)法を採用するのが望ましい。な
お、このMOD法による強誘電体層の形成方法は本出願
人の出願にかかる特願平4−92510号、特願平4−
100810号に詳述されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記MOD法は印刷、
焼成という厚膜プロセスであるため、スパッタリング法
やCVD法等の所謂薄膜法よりも製造プロセスが簡便
で、組成制御が容易、かつ大面積化が可能であるなどの
メリットがあるが、薄膜法よりもプロセス温度が高いと
いう欠点がある。
【0009】上記した従来の構成から成るアクティブデ
バイスは、例えば強誘電体層にPZT(ジルコン酸チタ
ン酸鉛),透明電極膜にITO(インジウム・スズ・オ
キサイド)を用いているが、PZTを結晶化させて十分
な強誘電性を得るためには、500〜700°Cでの熱
処理が必要である。しかし、PZTとITOは、Pb,
In,Snという低融点金属を含んでいるため、PZT
とITOが相互に反応しやすく、そのためにPZTの結
晶化が阻害され、強誘電性の低下、すなわち自発分極の
低下の原因となり所望の特性が得られないという問題点
があった。
【0010】本発明の目的は、上記した従来技術の問題
点を解決し、強誘電性を損なうことなく、MOD法を用
いてアクティブデバイスを製造したアクティブデバイス
とその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、透明電極膜とこの透明電極膜に信号を伝
達する信号線とが強誘電体層を介して直列に接続された
アクティブデバイスにおいて、前記透明電極膜と強誘電
体層の間に貴金属から成るバッファ層を介在させたこと
を特徴とする。
【0012】すなわち、本発明は、図1に示したよう
に、絶縁基板1上に形成した透明電極膜2と、この透明
電極膜2に信号を伝達する信号線4とを強誘電体層3を
介して直列接続されてなるアクティブデバイスにおい
て、前記透明電極膜2と強誘電体層3との間に貴金属か
らなるバッファ層7を介在させ、前記透明電極膜2と強
誘電体層3の熱処理に伴う当該強誘電体層3の自発分極
の低下を防止して強誘電体層3の特性を維持する構成と
したことを特徴とする。
【0013】また、本発明は上記アクティブデバイスを
製造する方法が、図2に示したように、ガラス基板1上
にITOから成る透明導電膜を成膜し、これをフォトリ
ソエッチングプロセスでパターニングして個別の透明電
極膜2を形成する透明電極膜形成工程(a)と、上記透
明電極膜2上に貴金属層を形成し、この貴金属層をフォ
トリソエッチングプロセスでパターニングして貴金属か
らなるバッファ層7を形成するバッファ層形成工程
(b)と、上記透明電極膜2と、この透明電極膜2上に
形成されたバッファ層7を覆って、前記絶縁基板1の全
面に強誘電体の構成元素である金属の金属有機物の混合
溶液を塗布,焼成し、強誘電体層7を形成する強誘電体
層形成工程(c)と、上記強誘電体層7上に導電体層を
形成し、フォトリソエッチングプロセスでパターニング
して信号線4を形成する信号線形成工程(d)と、を少
なくとも含むことを特徴とする。
【0014】なお、上記の透明電極膜2はITOから成
り、このITOはEB蒸着法、スパッタ法、CVD法な
どの薄膜成長法で成膜することも可能で、上記のMOD
法に限るものではない。成膜したITO膜はフォトリソ
エッチングプロセスによって、適用する対象が液晶表示
素子の場合は、その画素対応で個別に分離される。
【0015】液晶表示素子に適用する場合には、上記基
板と液晶層を介して対峙する他方の基板にも同様の方法
でITOを形成する。また、上記バッファ層7は、A
u,Pt,Ru,Rh,Irなどの貴金属、あるいはそ
れらの内の2種類以上の合金から成ることを好適とし、
上記信号線4を形成する金属有機物はAuやPtの有機
物を好適とすることを特徴とする。
【0016】
【作用】上記バッファ層はPZTとITOの相互反応を
防止し、PZTのペロブスカイト構造の結晶化を促して
強誘電性を向上させる役割を持つ。図11はMOD法に
よってAu電極上またはPt電極上に形成されたPZT
強誘電体とITO透明電極上に形成されたPZT強誘電
体の結晶状態をX線回折の説明図であって、Au電極上
及びPt電極上、ITO透明電極上に形成されたPZT
強誘電体のX線回折の結果を示す図である。
【0017】図11においては、各回折ピークは明らか
にペロブスカイト構造を示しているが、ITO透明電極
上に形成されたPZTの回折ピークはAu電極上やPt
電極上のそれの約半分程度の強度しかなく、結晶化度が
低いことがわかる。図12はソーヤタワー回路を用いて
測定した強誘電体のヒステリシス特性の説明図であっ
て、(a)はAu電極上に形成されたPZT強誘電体の
ヒステリシス曲線、(b)はPt電極上に形成されたP
ZT強誘電体のヒステリシス曲線、また(c)はITO
透明電極上に形成されたPZT強誘電体のヒステリシス
曲線である。
【0018】同図に示されたように、ITO透明電極上
に形成されたPZTの残留分極はAu電極上やPt電極
上のそれの3分の2以下しかなく、また、ヒステリシス
曲線の形状も楕円に近く強誘電性が弱いことを示してい
る。すなわち、ITO上にPZTを形成するとPZTが
十分に結晶化されず、大きな残留分極を得ることができ
ないが、Au電極上またはPt電極上ならば、より大き
な残留分極を持つ非線形性の強いPZTの膜を得ること
ができる。
【0019】本発明は、上記の実験結果に基づき、透明
電極膜と前記透明電極膜に信号を伝達する信号線とが強
誘電体層を介して直列に接続されたアクティブデバイス
において、前記透明電極膜と強誘電体層の間に貴金属か
らから成るバッファ層を設けたものである。これによ
り、前記透明電極膜と強誘電体層の熱処理に伴う当該強
誘電体層の自発分極の低下を防止して強誘電体層の特性
を維持することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。図3〜図8は本発明によるアクティ
ブデバイスを液晶表示素子に適用した第1〜第6実施例
を説明するための(a)は本発明によるアクティブデバ
イスを用いた液晶素子の断面図、(b)は(a)に示し
た液晶素子の下部基板上に形成されているアクティブデ
バイスを上面から見た平面図、(c)は(a)に示した
液晶素子の下部基板上に形成されているアクティブデバ
イスの斜視図であって、(a)は(b)のX−X線に沿
った断面に相当する。
【0021】そして、同各図において、1は絶縁基板
(以下、一般にガラス基板を用い、以下ガラス基板とも
言う)、2は透明電極膜、3は強誘電体層、4は信号
線、7は貴金属からなるバッファ層である。また、5は
ガラス基板、6は透明電極、Dはガラス基板1と透明電
極膜からなる液晶表示素子の下側基板、Eはガラス5と
透明電極膜6からなる上側基板、Fは液晶層である。
【0022】以下、各実施例をそれぞれの図面を参照し
て説明する。図3は本発明によるアクティブデバイスの
第1実施例の説明図であり、ガラス基板1上に透明電極
膜2、貴金属から成るバッファ層7、強誘電体層3、信
号線4が順次積層され、信号線4はバッファ層7と透明
電極膜2のいずれとも接触のない(すなわち、接点のな
い)構造となっている。
【0023】このアクティブデバイスを構成する膜およ
び層を積層する順序は、信号線4がバッファ層7と透明
電極膜2のいずれにも接触のない構造であれば、ガラス
基板1上に信号線4を形成し、その上に強誘電体層3,
バッファ層7,透明電極膜2を順次積層するという前記
とは逆の積層順序でもよいものである。図4は本発明に
よるアクティブデバイスの第2実施例の説明図であっ
て、図1に示した第1実施例の変形例である。
【0024】この第2実施例では、貴金属から成るバッ
ファ層7、強誘電体層3、および信号線4が同一幅に成
るようにガラス基板1上に形成してあり、前記信号線4
が形成されている部分の下層にのみ強誘電体層3が存在
する構造となっている。本実施例においては、前記第1
実施例のようにアクティブデバイスを構成する膜および
層を積層する順序を逆にすることはできないが、信号線
4をパターニングする際のフォトマスクを使って強誘電
体層3を同時にエッチング処理することができるため、
製造プロセスにおいて必要とするフォトマスクを一枚減
らすことができるという効果がある。
【0025】図5は本発明によるアクティブデバイスの
第3実施例の説明図であり、前記第1実施例、および第
2実施例の変形例である。この第3実施例では、強誘電
体層3が透明電極膜2とバッファ層7のすべてを被覆
し、前記強誘電体層3上に信号線4を形成したものであ
る。アクティブデバイスを構成する膜および層の積層す
る順序は、信号線4を先に形成し、強誘電体層3が前記
信号線4のすべてを被覆してから、前記強誘電体層3上
にバッファ層7と透明電極2を順次積層する逆の順番で
もよい。
【0026】本実施例においては、前記第1実施例、お
よび第2実施例よりも製造プロセスにおけるフォトリソ
エッチング工程が1回少ないというメリットがある。本
発明によるアクティブデバイスでは、信号線4とバッフ
ァ層7とが交差する領域がスイッチングが機能する領域
であり、それ以外の領域には強誘電体層は不要である
が、本実施例で用いているPZT強誘電体は透光性が高
く、アクティブデバイスの全面を強誘電体層が被覆して
いても視認性は十分確保できる。
【0027】前記PZT以外にも、PbTiO3 やBa
TiO3 、またはそれらを含む無機系強誘電体材料も透
光性が高いものが多く、これらを用いても同様の効果が
期待できる。図6は本発明によるアクティブデバイスの
第4実施例の説明図であり、バッファ層7を引き出し
て、透明電極膜2と接続するプレーナ構造となってい
る。この場合も、信号線4がバッファ層7と透明電極膜
2のいずれにも接触のない構造であるならば、同一面内
に自由にレイアウトすることができる。
【0028】本実施例において、アクティブデバイスを
構成する膜および層を積層する順序は、バッファ層7と
透明電極膜2の上下が逆でも差し支えがなく、また信号
線4、強誘電体層3、バッファ層7の積層順序を図示の
順序と逆にしてもよい。図7は本発明によるアクティブ
デバイスの第5実施例の説明図であり、前記第4実施例
の変形例である。
【0029】この第5実施例では信号線4が形成されて
いる部分の下層にのみ強誘電体層3がある構造としたも
ので、このような構造とした場合には信号線4、強誘電
体層3、バッファ層7の順序を逆にすることはできない
が、前記第2実施例と同様に信号線4をパターニングす
る際のフォトマスクを使って強誘電体層3を同時にエッ
チングすることができるので、フォトマスクを一枚減ら
すことができるという効果もある。
【0030】図8は本発明によるアクティブデバイスの
第6実施例の説明図であり、前記第4実施例、および第
5実施例の変形例である。この第6実施例も前記第3実
施例と同様に、強誘電体層3が透明電極膜2とバッファ
層7のすべてを被覆し、その強誘電体層3上に信号線4
を形成した構造としたものである。
【0031】本実施例において、アクティブデバイスを
構成する膜および層を積層する順序は、信号線4を先に
形成し、強誘電体層3が前記信号線4のすべてを被覆し
てから、前記強誘電体層3上にバッファ層7と透明電極
膜2を順次積層する上記と逆の順序としてもよい。この
ときバッファ層7と透明電極膜2を積層する順序は上記
と逆の順序としてもよい。
【0032】本実施例においても前記第4実施例、およ
び第5実施例に較べて、その製造プロセスにおけるフォ
トリソエッチング工程が1回少なくて済むというメリッ
トがある。以上、実施例を用いて本発明によるアクティ
ブデバイスの構成について説明してきたが、本発明によ
るアクティブデバイスは特に前述した第1実施例〜第6
実施例に限定されるものではなく、透明電極と強誘電体
の間に貴金属から成るバッファ層を介在するものであれ
ば構わない。
【0033】次に、以上説明した本発明によるアクティ
ブデバイスの作用を説明する。図9は本発明による上記
各実施例で説明したアクティブデバイスを用いた液晶表
示素子の等価回路であって、30は強誘電体の等価表示
(以下、等価強誘電体)であり、静電容量Cfsを持つ。
また、F’は液晶層の等価表示(以下、等価液晶層とい
う)であり、静電容量Clcをもつ。
【0034】同図において、(a)は等価液晶層F’に
電圧Vddを印加したときの様子を表し、V1 、V2 はそ
れぞれCfe、Clcによって分配された等価強誘電体30
および等価液晶層F’にかかる電圧を示す。また、同図
(b)は等価液晶層F’に印加していた電圧Vddを除去
して等価強誘電体層30の一端を接地したときの様子を
示し、Sfeは前記バッファー層7と信号線4が強誘電体
層3をはさんで交差している部分の面積(能動領域)、
rは強誘電体層の残留分極、Sfe・Pr は残留分極に
よって保持される電荷量、V lcは残留分極によって等価
液晶層に印加される電圧を示している。
【0035】図10は図9に示した等価液晶層の液晶表
示素子に電圧Vddを印加したときの同等価液晶層にかか
る電圧Vlcを説明するタイミングチャートである。同図
において、液晶表示素子に電圧Vddを印加したときに強
誘電体層にかかる電圧V1 は V1 =Vdd・Clc/(Cfe+Clc) ・・・・・・・・(1) である。
【0036】また、液晶表示素子に印加していた電圧を
除去して接地したときに残留分極によって液晶に印加さ
れる電圧Vlcは Vlc=Sfe・Pr /(Cfe+Clc) ・・・・・・・・(2) となる。強誘電体の自発分極を反転させるためにはV1
>E0 である必要があり、液晶を回転させるためにはV
lc>2〜5Vでなければならない。したがって、できる
だけ駆動電圧Vddを小さくし、Vlcを大きくするために
はClcとCfeの比を大きくし、残留分極Pr が十分大き
いことが必要である。
【0037】前述したように、従来のアクティブデバイ
スはITO透明電極膜上にPZT強誘電体層を形成して
いたので残留分極Pr が小さく、(2)式からアクティ
ブデバイスの能動領域の面積を大きくしなければ液晶表
示ができないことがわかる。すなわち、残留分極Pr
小さいと液晶表示素子の開口率が低下し、その液晶表示
素子で構成した液晶パネル全体のコントラストが低下す
るばかりでなく、残留分極Pr があまりにも小さい場合
にはVlcが小さくて駆動可能な液晶がなくなる可能性も
ある。
【0038】上記各実施例で説明した本発明によるアク
ティブデバイスは、透明電極膜と強誘電体層の間に貴金
属から成るバッファ層を介在させることによって、PZ
TとITOの相互反応を防止し、PZTの強誘電体のペ
ロブスカイト構造の結晶化を促して強誘電性を向上さ
せ、残留分極を改善させることができる。その結果、従
来の問題点を克服し、開口率が大きくコントラストの高
い液晶表示素子を達成することができた。また、上記実
施例で説明した本発明によってMetallo−Org
anic Deposition法(MOD法)による
液晶表示素子の問題点が解消され、MOD法の持つメリ
ット、すなわち大面積化、組成制御の容易性、製造プロ
セスの連続化が可能となり、生産性に優れ、製造コスト
が安いなどのメリットを生かすことができ、低価格で性
能の高い液晶表示素子等、アクティブデバイス応用製品
を提供できる。
【0039】次に、本発明によるアクティブデバイスの
製造方法の実施例を説明する。ここでは、前記図8で説
明したアクティブデバイスを用いた液晶表示素子の製造
方法を例として図2の工程図を参照して説明する。前記
したように、図8に示した液晶表示素子において、
(a)は液晶表示素子の断面図で、(b)は(a)にお
けるアクティブデバイスが形成されている下側基板Dの
上面からみた平面図であり、(c)は(b)の斜視図で
ある。
【0040】このアクティブデバイスは、ガラス基板1
上にITOの透明電極膜2が形成され、この透明電極膜
2の一辺にまたがるようにAuからなるバッファ層7が
形成されている。そして、透明電極膜2とバッファ層7
の全面を被覆するようにPZTからなる強誘電体層3が
形成され、この強誘電体層3上にその下層にあるバッフ
ァ層7と交差するように信号線4が形成された下側基板
Dからなり、ガラス基板5上にITOからなる透明電極
膜6が形成された上側基板Eとの間に液晶層Fを保持さ
せて液晶表示素子を構成している。
【0041】このアクティブデバイスの製造方法は、ま
ず、ガラス基板1上にITOからなる透明電極膜2を形
成する。・・・・・・・・・・透明電極膜形成工程
(a) このITOはEB蒸着法,スパッタリング法,CVD法
などの薄膜成膜法で被着するか、またはMOD法を用い
て被着する。成膜したITO膜はフォトリソエッチング
プロセスによって、液晶表示素子の画素単位に個別に分
離される。上側基板Eの対向電極膜6も同様の方法で形
成する。
【0042】次に、ITOからなる透明電極膜2の上に
貴金属であるAuからなるバッファ層7を形成する。
・・・・・・・・・・バッファ層形成工程
(b) Auのバッファ層7はメタロオーガニックAuペースト
をスクリーン印刷法で塗布後、700°Cで1時間焼成
し、フォトリソエッチングによりパターニングし、その
一端がITOの透明電極膜2の一辺にまたがるように形
成する。
【0043】そして、ITOの透明電極膜2およびAu
のバッファ層7が形成されているガラス基板1の全面に
PZTからなる強誘電体層3を形成する。・・・・・・
・・・・強誘電体層形成工程(c) 強誘電体層3は以下の手順で形成する。まず、Pb,Z
r,Tiの金属有機物である2−エチルヘキサン酸鉛、
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムおよび2−エチルヘ
キサン酸チタンを所望の原子数比になるように秤量し、
溶媒や増粘剤または希釈剤と共に混合してよく攪拌し、
金属有機物の均一混合溶液とする。
【0044】上記金属の混合比はPb:Zr:Ti=
1:x:1−x(0<x<1)となるような原子数比で
あればよく、xの値によって自発分極及び誘電率を自由
に選択することができる。また、PZT中のPbは焼成
中に蒸発しやすく焼成後の原子数比が減少するので、P
bの原子数比は焼成条件に合わせて5〜20%の範囲で
過剰に添加する。そして、Auのバッファ層7上に前記
金属有機物の均一混合溶液をスクリーン印刷法で塗布
し、70°Cで20分間オーブン中で乾燥後、ベルト赤
外炉に入れて700°Cで20分間焼成する。この印
刷、乾燥、焼成を3回繰り返すことにより膜厚0.4μ
mのPZTの強誘電体層を形成する。
【0045】最後に、上記PZTの強誘電体層3上に、
その下層にある上記Auからなるバッファ層7と交差す
るようにAuからなる信号線4を形成する。・・・・・
・・・・・・・信号線形成工程(d) このAuからなる信号線4はメタロオーガニックAuペ
ーストをスクリーン印刷法で塗布後、700°Cで1時
間焼成して、フォトリソエッチングによりパターニング
することで形成される。
【0046】以上、説明したプロセスを経てアクティブ
デバイスの形成された下側基板Dが得られる。そして、
ITOからなる対向電極(透明電極膜6)が形成された
上側基板Eとの間に略々5μmのスペースをあけて、こ
のスペース中に液晶を注入し、封止することで液晶表示
素子が構成される。液晶層Fを構成する液晶としては、
DS(Dynamic Scattering mod
e)型、TN(Twisted Nematic)型、
ECB(Electrically Controll
ed Birefringence)型、GH(Gue
st Host)型、STN(Super Twist
edNematic)型、FLC(Ferroelec
tric LiquidCrystal)型等を用いる
ことができる。
【0047】そして、バッファ層7は、上記実施例で使
用したAu以外に、PtやRu,Rh,Irなどの貴金
属、あるいはこれらの貴金属から選んだ2種類以上の合
金を用いることができる。上記製造プロセスに使用され
る金属有機物は、有機配位子錯体を含有するものであれ
ば特に限定されないが、2−エチルヘキサン酸の他に
も、具体的な有機配位子としては、安息香酸,ナフテン
酸,ラウリル酸,ステアリン酸,アビエチン酸,カブリ
ル酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,リノール酸,オレ
イン酸などのカルボン酸、ビスアセチルアセトナトなど
のβ−ジケトン、カルバミン酸などを使用することがで
きる。
【0048】また上記金属有機物は、溶媒に溶解させて
ガラス基板等の耐熱性の絶縁基板に塗布して成膜される
が、その溶媒としては、石油系溶剤、ミネラルスピリッ
ト、ターペン油、ベンゼン、アルコール系溶剤、カルビ
トール系、トルエン、セロソルブ系などの有機溶媒を金
属有機物に応じて選択できる。また、金属有機物が溶媒
に溶けにくい場合は必要に応じて、トリオクチルフォス
フィンオキシド(TOPO)、リン酸トリブチル(TB
D)あるいはアミン類などの付加錯体を生成する配位子
を適量添加する。
【0049】さらに、上記金属有機物溶液は、そのまま
塗布しても構わないが、望ましくはその塗布法に応じて
増粘剤または希釈剤を添加して粘度調整をすることが好
ましい。増粘剤としては例えば、ロジン、アビエチン
酸、セルロース、アクリル樹脂などを使用することがで
き、希釈剤としてはα−ターピネオール、ブチルカルビ
トールアセテートなどを使用することができる。溶液の
粘度はスピンコート法の場合は1000cps以下、ス
クリーン印刷法の場合は3000〜50000cpsの
範囲で選択することが好ましい。また、溶液の粘度を塗
布法に応じた範囲内で変化させることで、1回の塗膜,
焼成で得られる薄膜の膜厚を自由に選択できることは言
うまでもない。
【0050】なお、本実施例でガラス基板とした絶縁基
板は、好ましくは600°C以上に加熱しても変形や相
変化のない基板であれば特に制限はなく、たとえばバリ
ウムホウケイ酸ガラス基板、石英ガラス基板などのガラ
ス系基板、およびアルミナ基板などが、その目的に応じ
て使用される。また、粘度調整された前記ペーストは、
スクリーン印刷法やスピンコート法などにより、基板上
に塗布され、目的とする金属の有機物溶液で形成された
塗膜を前記金属有機物が分解し、消失する温度(通常4
50〜600°C)で焼成することが望ましい。この焼
成のための加熱方法は、耐熱性基板を所定の温度に加熱
できるものであればよく、その方法は特に限定されな
い。具体的にはベルト式焼成炉などを使用することがで
きる。
【0051】液晶表示素子を構成する画素のサイズも、
フォトリソエッチングにより10ミクロンレベルにまで
小さくすることができ、これにより画素ピッチが高密
度、かつ高コントラストの液晶表示素子を得ることが可
能である。ただし、4line/mm程度の密度であれ
ば、フォトリソエッチングなしでスクリーン印刷により
直接パターニングすることができるので、フォトマスク
を1枚も使用せずにアクティブデバイスを作製すること
ができる。このことはフォトマスク作製コストの低減の
みならず、フォトリソエッチング工程にかかるコスト全
ての削減に大きく寄与することになる。
【0052】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
るアクティブデバイスは、透明電極膜と強誘電体層との
間に貴金属から成るバッファ層を介在させることによっ
て、PZTとITOの相互反応を防止し、PZTの強誘
電体のペロブスカイト構造の結晶化を促して強誘電性を
向上させ、残留分極性能を大幅に改善させることがで
き、その結果、従来の問題点を克服し、開口率が大きく
コントラストの高い液晶表示素子を得ることができる。
【0053】さらに、本発明によるアクティブデバイス
およびその製造方法は、印刷技術を用いるMODプロセ
スを適用するのに最適であり、スパッタリング法やCV
D法などの薄膜形成技術を用いる場合と比較して、製造
方法が簡易で安価であり、また、常圧操作であることか
ら製造プロセスの連続化が可能で生産性が高い。そし
て、広い面積に一度に素子を作製することが可能であ
り、特性のバラツキ等が少なく安定した大面積のアクテ
ィブデバイスを形成することができるので、液晶表示素
子に応用すればその画質を格段に良好なものとすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるアクティブデバイスの基本構成
を説明する斜視図である。
【図2】 本発明によるアクティブデバイスの製造方法
を説明する工程図である。
【図3】 本発明によるアクティブデバイスの第1実施
例の説明図である。
【図4】 本発明によるアクティブデバイスの第2実施
例の説明図である。
【図5】 本発明によるアクティブデバイスの第3実施
例の説明図である。
【図6】 本発明によるアクティブデバイスの第4実施
例の説明図である。
【図7】 本発明によるアクティブデバイスの第5実施
例の説明図である。
【図8】 本発明によるアクティブデバイスの第6実施
例の説明図である。
【図9】 本発明による各実施例のアクティブデバイス
を用いた液晶表示素子の等価回路である。
【図10】 本発明による各実施例のアクティブデバイ
スを用いた液晶表示素子の等価回路に示した等価液晶層
の液晶素子に電圧を印加したときの同等価液晶層にかか
る電圧を説明するタイミングチャートである。
【図11】 MOD法によってAu電極上またはPt電
極上に形成されたPZT強誘電体とITO透明電極上に
形成されたPZT強誘電体の結晶状態をX線回折の説明
図である。
【図12】 ソーヤタワー回路を用いて測定した強誘電
体のヒステリシス特性の説明図である。
【図13】 強誘電体のヒステリシス特性の説明図であ
って、(a)は特性曲線、(b)(c)(d)は分極状
態を説明する模式図である。
【図14】 液晶素子の駆動に強誘電体を用いたアクテ
ィブデバイスを適用した1構成例の説明図であって、
(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は斜視図であ
る。
【図15】 液晶表示素子の駆動に強誘電体を用いたア
クティブデバイスを適用した他の構成例の説明図であっ
て、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は斜視図
である。
【図16】 液晶表示素子の駆動に強誘電体を用いたア
クティブデバイスを適用したさらに他の構成例の説明図
であって、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は
斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・絶縁基板(ガラス基板)、2・・・・透明電
極膜、3・・・・強誘電体層、4・・・・信号線、7・
・・・貴金属からなるバッファ層、5・・・・ガラス基
板、6・・・・透明電極、D・・・・ガラス基板と透明
電極膜からなる液晶素子の下側基板、E・・・・ガラス
5と透明電極膜6からなる上側基板、F・・・・液晶
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1365

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に形成した透明電極膜と、こ
    の透明電極膜に信号を伝達する信号線とを強誘電体層を
    介して直列接続してなるアクティブデバイスにおいて、 前記透明電極膜と強誘電体層との間に貴金属からなるバ
    ッファ層を介在させ、前記透明電極膜と強誘電体層の熱
    処理に伴う当該強誘電体層の自発分極の低下を防止して
    強誘電体層の特性を維持する構成としたことを特徴とす
    るアクティブデバイス。
  2. 【請求項2】 絶縁基板上に形成した透明電極膜と、こ
    の透明電極膜に信号を伝達する信号線とを強誘電体層を
    介して直列接続してなるアクティブデバイスの製造方法
    において、 絶縁基板上にITOから成る透明導電膜を成膜し、これ
    をフォトリソエッチングプロセスでパターニングして個
    別の透明電極膜を形成する透明電極膜形成工程(a)
    と、 上記透明電極膜上に貴金属層を形成し、この貴金属層を
    フォトリソエッチングプロセスでパターニングして、貴
    金属からなるバッファ層を形成するバッファ層形成工程
    (b)と、 上記透明電極膜と、この透明電極膜上に形成されたバッ
    ファ層を覆って、前記絶縁基板の全面に強誘電体の構成
    元素である金属の金属有機物の混合溶液を塗布,焼成
    し、フォトリソエッチングプロセスでパターニングし
    て、強誘電体層を形成する強誘電体層形成工程(c)
    と、 上記強誘電体層を含む絶縁基板の全面に導電体層を形成
    し、フォトリソエッチングプロセスでパターニングして
    信号線を形成する信号線形成工程(d)と、を少なくと
    も含むことを特徴とするアクティブデバイスの製造方
    法。
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