JP3077376B2 - ボンディングツールおよびその製造方法 - Google Patents

ボンディングツールおよびその製造方法

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JP3077376B2
JP3077376B2 JP04109955A JP10995592A JP3077376B2 JP 3077376 B2 JP3077376 B2 JP 3077376B2 JP 04109955 A JP04109955 A JP 04109955A JP 10995592 A JP10995592 A JP 10995592A JP 3077376 B2 JP3077376 B2 JP 3077376B2
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敬一朗 田辺
利也 高橋
明彦 池ケ谷
直治 藤森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体チップの製造過
程で使用されるTAB用ボンディングツールとその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの実装において、TAB方式が急
速に利用され始めてきた。TAB方式とは、LSIチッ
プ上に形成された多数の電極とフィルムキャリアテープ
上のリード線を、加熱されたボンディングツールで一括
接合する方式である。
【0003】TAB方式に用いられるボンディングツー
ルは、パルス加熱方式のものと定常加熱方式のものの2
種類に大別することができる。
【0004】これらのうちパルス加熱方式のツールに
は、従来、ニクロム、ステンレス、インコネルまたはモ
リブデン等で構成されるツールが用いられてきた。しか
し、これら金属からなるツールは、先端面の平坦度が低
く、耐摩耗性に劣り、工具寿命が短い等の欠点を有して
いた。
【0005】また、金属からなるボンディングツール
は、少なくとも圧着時に所定の温度(たとえば400
℃)に加熱した状態で用いるため、ツールを構成する金
属に通電して抵抗加熱させる。しかしながら、ツール全
体に速やかに熱が伝達せず、特に圧着時における先端面
の温度にバラツキが生じる傾向にあった。
【0006】最近では、これら金属で構成されるボンデ
ィングツールの欠点を改良するため、圧着のための先端
部に、合成または天然のダイヤモンド単結晶、バインダ
レスcBN焼結体、ダイヤモンド焼結体等が接合された
ツールが用いられている。
【0007】このうち、天然のダイヤモンド単結晶は不
純物が多く含まれていたり、結晶方位が揃っていない等
の影響で性能のバラツキが大きく、さらに7〜8mm四
方以上の大型サイズのものは供給が困難であった。
【0008】一方、合成のダイヤモンド単結晶は性能的
には最も優れた素材ではあるが、他の材質に比較して非
常に高価なため、限定された用途でしか使われていない
のが実情である。
【0009】また、バインダレスcBN焼結体、ダイヤ
モンド焼結体については前者がダイヤモンドを主成分と
する材質に対して耐摩耗性の点で劣り、後者は結合材を
含有するため高温で先端面が大きく反り均一にリード線
を加圧できない、等の問題を抱えており、ユーザにとっ
ては必ずしも満足できる状態ではなかった。
【0010】これに対し、気相合成された多結晶ダイヤ
モンド(以下において気相合成ダイヤモンドと略す)
は、結合材が含有されないため、ダイヤモンド素材の特
徴を十分に生かすことができ、しかもサイズの大きいも
のを安価にかつ安定して供給できる。このようなことか
ら、気相合成ダイヤモンドは、ボンディングツールに適
切な素材として最近利用されてきている。
【0011】一般に、このような気相合成ダイヤモンド
は、メタン等の炭化水素と水素を主成分とする原料ガス
を低圧下で分解・励起させる化学蒸着(CVD)によっ
て作成される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、気相合
成ダイヤモンドを用いた従来のボンディングツールで
は、先端面の加熱が工具基材からの熱伝導によるため、
これをパルス加熱方式のツールに用いた場合、金属から
なるツールよりも熱応答性が悪かった。
【0013】すなわち、電流パルスに応答してツール先
端面を所定の温度まで加熱および冷却するのに、金属か
らなるツールよりも長い時間を要した。このため、1回
のボンディングに要する時間を短縮することが困難であ
った。
【0014】それゆえに、本発明の目的は、作動面を気
相合成ダイヤモンドで構成するボンディングツールにお
いて、より熱応答性の高いツールを提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】第1の発明に従うボンデ
ィングツールは、圧着のための先端部に気相合成ダイヤ
モンドを用いてなるボンディングツールにおいて、気相
合成ダイヤモンドは不純物の添加により導電性を有し、
かつ上記気相合成ダイヤモンドで圧着のための先端面を
構成する部分は、他の部分よりも不純物の濃度が低いこ
とを特徴とする。
【0016】第1の発明において、気相合成ダイヤモン
ドは、たとえば、Si3 4 、SiCまたはAlNを主
成分とする焼結体からなる基材上に形成されたものとす
ることができる。この場合、工具基体にこの基材がろう
付けされたボンディングツールを提供することができ
る。なお、このろう付けは、周期律表の第IVA族、第
IVB族、第VA族、第VB族、第VIA族、第VIB
族、第VIIA族および第VIIB族に含まれる金属な
らびにこれらの化合物のいずれかからなるメタライズ層
を介して行なわれることが好ましい。
【0017】一方、第1の発明に従って、気相合成ダイ
ヤモンドが単独で工具基体にろう付けされたボンディン
グツールを提供することもできる。この場合も、ろう付
けは上記メタライズ層を介してなされることが好まし
い。
【0018】以上に示したボンディングツールにおい
て、圧着のための先端面は、研磨仕上げされていること
が好ましく、その表面粗さRmax は、たとえば0.1μ
m以下が好ましい。
【0019】また、圧着のための先端部に気相合成ダイ
ヤモンドを用いるボンディングツールの製造方法を提供
することができる。
【0020】第2の発明の製造方法は、ダイヤモンドを
堆積させるべき面を有する基材を準備する工程と、上記
面上に、ドーピングを行ないながら気相合成によりダイ
ヤモンドを堆積させる工程と、続いてドーピングにおけ
る不純物の供給を抑制して気相合成によりさらにダイヤ
モンドを堆積させる工程と、堆積されたダイヤモンドを
先端部として基材を工具基体にろう付けする工程と、研
磨加工により圧着のための先端面を平坦にする工程とを
備える。
【0021】第3の発明の製造方法は、ダイヤモンドを
堆積させるべき鏡面仕上げされた面を有する基材を準備
する工程と、上記面上にドーピングを行ないながら気相
合成によりダイヤモンドを堆積させる工程と、ダイヤモ
ンドが堆積された基材を分離または除去してダイヤモン
ド材を得る工程と、ダイヤモンド材で基材に接触してい
た面側を先端面としてダイヤモンド材を工具基体にろう
付けする工程とを備え、かつ上記ドーピングにおいて、
気相合成を開始してから所定の間の不純物供給量が、そ
れ以降の不純物供給量よりも少なくされている。
【0022】第1〜第3の発明において、不純物には、
たとえば、B、Al、P、Sb、Si、Li、S、S
e、Cl、N、W、Ta、Re、Cr等の元素を用いる
ことができる。
【0023】ダイヤモンドの気相合成において、原料ガ
ス中に上記不純物ガスまたは上記不純物を含有するガス
を適当量添加することにより、これらの不純物がドーピ
ングされた気相合成ダイヤモンドを形成することができ
る。
【0024】また、公知の拡散法やイオン注入を用い
て、予め形成した気相合成ダイヤモンドに不純物を添加
してもよい。
【0025】このように、不純物を添加した多結晶ダイ
ヤモンドは、添加した不純物の種類により導電性の程度
は異なるが、同一不純物では含有量が多いほど導電性も
高くなる。しかし、本発明において、導電性を有する多
結晶ダイヤモンドの好ましい比抵抗率は、10-5〜10
5 Ω・cmの範囲であり、10-3〜103 Ω・cmの範
囲がより好ましい。比抵抗率が105 Ω・cmよりも大
きいと、直接通電して所定の温度まで抵抗加熱させるこ
とが困難であり、逆に10-5Ω・cmより小さい場合に
は簡単に通電できるが、ダイヤモンドの強度が低下す
る。
【0026】添加する不純物については、ダイヤモンド
は格子定数が3.56672Åで原子間距離が非常に短
いので、原子半径の小さいものが好ましい。また、金属
元素は多結晶ダイヤモンドの耐摩耗性や実用上の平坦度
に大きく影響するうえ、原子半径が大きいものが多いの
でダイヤモンドの格子間や置換型としては入り難く、粒
界に偏析して結晶性を低下させるので、その添加量は少
ないほど好ましい。このような観点から、導電性を付与
するため多結晶ダイヤモンドに添加する不純物として硼
素(B)が特に好ましい。
【0027】多結晶ダイヤモンドの炭素に対する不純物
の濃度は、不純物の種類により異なるが、多結晶ダイヤ
モンドの結晶性を維持したまま優れた耐摩耗性および平
坦度を備える先端面を形成することができ、かつ通電に
より加熱できる程度の導電性を付与し得る範囲とするこ
とが好ましい。
【0028】たとえば、硼素を不純物として用いた場
合、硼素の炭素に対する濃度は、0.1ppm未満では
比抵抗率が高すぎて通電による加熱が不可能となり、5
0000ppmを超えるとダイヤモンドの結晶性が劣化
し、低圧気相合成を用いた場合、グラファイトやアモル
ファスカーボン等が同時に析出するようになる。したが
って、不純物として添加される硼素の炭素に対する濃度
は、0.1〜50000ppmの範囲が好ましい。
【0029】第1〜第3の発明に従いツール先端部とさ
れる気相合成ダイヤモンドにおいて、不純物の濃度が低
くされた部分の厚みは、たとえば、ダイヤモンド全体の
厚みの2%〜80%が好ましく、5%〜30%がより好
ましい。
【0030】なお、他の部分よりも不純物濃度が低くさ
れた部分は、不純物が全く添加されていない状態でもよ
い。
【0031】また、ボンディングツールの先端部に用い
られる気相合成ダイヤモンドにおいて、不純物の濃度分
布は、ダイヤモンドの断面において連続的に変えられて
もよいし、段階的に変化させられてもよい。ダイヤモン
ドの断面において不純物濃度が連続的に変化させられて
いる場合、たとえば、不純物の濃度は、先端面を0とし
て先端面から遠ざかるほど増加させることができる。
【0032】第1〜第3の発明において、気相合成によ
るダイヤモンドの形成には、種々の気相法が適用でき
る。たとえば、熱フィラメントやプラズマ放電を利用し
て原料ガスを分解・励起させるCVDや、燃焼炎を用い
たCVD等が有効である。
【0033】原料ガスとしては、たとえば、メタン、エ
タン、プロパンなどの炭化水素、メタノール、エタノー
ルなどのアルコール、またはエステルなどの有機炭素化
合物と水素とを主成分として混合したガスを用いること
ができる。なお、これら以外に、アルゴンなどの不活性
ガスや、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、水などが、ダ
イヤモンドの合成反応やその特性を阻害しない範囲で原
料中に含有されていてもよい。
【0034】第1〜第3の発明において、多結晶ダイヤ
モンドを設けるべき工具基体(たとえばシャンク)は、
その材質を、たとえば、コバール、インコネル、インバ
ー合金、ステンレス鋼、Mo、W、W−Cu合金、W−
Ni合金、または超硬合金とすることができる。
【0035】第2の発明に用いられる基材には、たとえ
ば、Si、Si3 4 を主成分とする焼結体、SiCを
主成分とする焼結体、AlNを主成分とする焼結体、お
よびこれらの複合体からなる群から選択される少なくと
も1つの焼結体が好ましく用いられる。このような基材
は、ダイヤモンドとの密着性において特に優れたもので
ある。
【0036】第2の発明の方法において、ダイヤモンド
を形成させた基材は、工具基体にろう付けされる。この
ろう付けされるべき面には、上述したようなメタライズ
層がろう付けに先立って形成させてもよい。ろう付け
は、このメタライズ層を介して効果的に行なうことがで
きる。
【0037】第2の発明に従う方法において、研磨加工
により得られる先端面の面粗さは、たとえばRmax 0.
1μm以下とすることが望ましい。
【0038】第3の発明に用いられる基材には、たとえ
ば、SiおよびMo等が好ましく用いられる。このよう
な基材は、機械加工または化学的処理による分離または
溶解等によって、ダイヤモンドから分離・除去すること
ができる。この基材の表面は、面粗さRmax が1μm以
下、好ましくは0.2μm以下となるよう鏡面仕上げさ
れていることがより好ましい。
【0039】第3の発明においては、気相合成後、基材
を分離または除去して得られたダイヤモンド材は、工具
基体にろう付けされる。ろう付けにあたり、基材と接触
していたダイヤモンド面側、すなわち結晶成長開始面側
が、先端面側とされる。したがって、この面側と対向す
る面側、すなわち結晶成長の終了面側が、通常、ろう付
け面とされる。
【0040】このろう付けされるべき面には、上述した
ようなメタライズ層がろう付けに先立って形成されるこ
とが好ましい。ろう付けは、このメタライズ層を介して
効果的に行なうことができる。
【0041】なお、第1〜第3の発明において、ツール
先端部とされるダイヤモンドの厚みは、たとえば5〜3
000μmが好ましい。また、第2の発明においては5
〜500μmがより好ましく、第3の発明においては2
00〜3000μmがより好ましい。
【0042】
【発明の作用効果】第1の発明に従うボンディングツー
ルにおいて、圧着のための先端部に用いられる多結晶ダ
イヤモンドは、不純物の添加により導電性を有するの
で、この多結晶ダイヤモンドに直接通電し、その抵抗に
より発熱させることができる。
【0043】また、先端部のダイヤモンドは、その厚み
が高々数百μmであり、熱容量が小さく、しかもその熱
伝導率は10W/cm・℃以上と大きい。このようなダ
イヤモンドのみを通電により発熱させれば、圧着のため
の先端面を従来より短い時間で所定の温度にまで上昇さ
せることができる。一方、通電を停止すれば、速やかに
ダイヤモンドの温度を下げることができる。
【0044】このように、第1の発明に従うボンディン
グツールは、通電に対する熱応答性が優れており、従来
よりも作動面の加熱・冷却に要する時間が短い。したが
って、これをパルスヒート方式のツールに用いれば、従
来よりも1回のボンディングに要する時間を短縮するこ
とができ、ボンディングの生産効率を向上させることが
可能になる。
【0045】さらに、本発明のボンディングツールは、
多結晶ダイヤモンドにおいて圧着のための先端面を構成
する部分の不純物濃度が、他の部分よりも低く抑えられ
ている。このため、先端面を構成する部分の強度は高
く、耐摩耗性に優れている。また、不純物濃度を低く抑
えることにより、高温における先端面の平坦度も維持さ
れる。
【0046】なお、先端面部分は、その導電性が他の部
分よりも低く、通電によってこの部分を直接発熱させる
ことが困難になっているが、ダイヤモンドの熱伝導率は
高いため、不純物濃度の高い部分の発熱により、優れた
熱応答性で先端面の温度を制御することができる。
【0047】以上示したように、第1の発明に従うツー
ルは、熱応答性に優れているとともに、先端面の強度お
よび平坦度が高く、優れた耐久性を有するものである。
【0048】第2の発明に従う製造方法では、ドーピン
グを行ないながら気相合成によりダイヤモンドを堆積さ
せて、導電性を有するダイヤモンド層を形成させること
ができる。このダイヤモンド層の上に、引続いて不純物
の少ないダイヤモンドを堆積させれば、上述したよう
に、強度が高く、先端面に適した部分を構成することが
できる。
【0049】このように、ドーピングの条件を変えてダ
イヤモンドを堆積させた基材を工具基体にろう付けし、
その先端面を研磨加工により平坦にすれば、上述したよ
うにパルスヒート方式に適したボンディングツールを作
製することができる。
【0050】第3の発明に従う方法では、まず、鏡面仕
上げされた基材表面に気相合成によりダイヤモンドを堆
積させる。したがって、ダイヤモンド合成後、基材を分
離または除去して得られたダイヤモンド材において、基
材と接触していた面は鏡面となっている。この面は、研
磨仕上げを行なう必要がないか、必要があっても簡単な
研磨仕上げで十分である。
【0051】さらに、気相合成において初期の不純物添
加量はそれ以降の添加量よりも少なく抑えられているた
め、ダイヤモンド材において基材と接触していた面を構
成する部分は、上述したように、強度が強く耐摩耗性が
優れている。このような面が先端面となるようダイヤモ
ンド材を工具基体にろう付けすれば、上述したように熱
応答性に優れ、耐摩耗性および平坦度に優れた先端面を
有するツールを提供することができる。
【0052】
【実施例】
実施例1 長さ25mm、幅1.3mm、厚さ2mmのSiC焼結
体からなる基材を準備した。
【0053】フィラメントに直径0.5mm、長さ10
0mmのタングステン線を用いた公知の熱フィラメント
CVD法により、以下の条件でSiC基材上に厚さ約2
00μmのダイヤモンドをドーピングを行ないながら堆
積させていった。
【0054】原料ガス:CH4 /H2 =1.5%、総流
量1000sccm ガス圧力:80Torr 不純物ガス:B2 6 不純物濃度範囲:B/C=0〜700ppm フィラメント温度:2200℃ フィラメント−基板間距離:5mm 基板温度:920℃ 以上の条件において、不純物の濃度(原料ガスの炭素に
対する硼素の濃度)は、気相合成の開始から終了の間、
図1に示すように、700から0ppmまで指数関数的
に減少された。
【0055】次に、このようにして不純物を添加しなが
らダイヤモンドを蒸着させたSiC基材の表面に、Ti
およびNiをそれぞれ2μmずつ蒸着してメタライズ層
を形成した後、このメタライズ層を介してMo製のシャ
ンクに銀ろうを用い、SiC基材を真空ろう付けした。
その後、面粗さRmax 0.1μmの鏡面となるよう、気
相合成したダイヤモンドの表面をラップ処理した。
【0056】このようにして得られたボンディングツー
ルの主要部を図2に示す。ボンディングツール10にお
いて、Mo製のシャンク1上には、ろう付け層2、メタ
ライズ層3を介してSiC基材4が設けられる。また、
基材4上には、厚さ約200μmのダイヤモンド5が堆
積されている。また、ダイヤモンドからなる先端面15
は、面粗さRmax 0.1μmの鏡面とされている。
【0057】一方、ダイヤモンド5において炭素に対す
る硼素の濃度(B/C)は、図3に示すように連続的に
変化している。図に示すように、B/Cは先端面におい
て0ppmであり、SiC基材との接合部において10
0ppmである。B/Cは、ダイヤモンド5において0
から100ppmに至るまで指数関数的に増加してい
る。
【0058】実施例2 Rmax 0.2μm以下となるよう鏡面仕上げしたSi基
材を用い、実施例1と同様のタングステンフィラメント
を用いた熱フィラメントCVD法により、Si鏡面上に
厚さ約230μmの多結晶ダイヤモンドをドーピングを
行ないながら形成させた。形成条件は以下のとおりであ
る。
【0059】原料ガス:CH4 /H2 =1%、総流量3
000cc/min ガス圧力:80Torr 不純物ガス:B2 6 不純物濃度範囲:0〜1000ppm フィラメント温度:2180℃ フィラメント−基板間距離:7mm 基板温度:860℃ 以上の条件において、原料ガス中に添加させる不純物ガ
スの濃度は、気相合成から終了の間、図4に示すように
指数関数的に増加させていった。
【0060】次に、ダイヤモンドを蒸着させたSi基材
を弗硝酸により溶解除去してダイヤモンド材を得た。
【0061】得られたダイヤモンド材において、結晶成
長の終了面に厚さ1μmでTi、厚さ2μmでNiを順
次積層した後、このメタライズ層が形成された面を接合
面としてインバー合金製のシャンクに銀ろうを用いて上
記ダイヤモンド材を真空ろう付けした。ろう付け後得ら
れた先端面のRmax は0.1μmであった。
【0062】得られた工具についてその主要部を図5に
示す。ボンディングツール20において、インバー合金
製のシャンク11上には、ろう付け層12、メタライズ
層13を介してダイヤモンド材25が設けられる。ま
た、ダイヤモンド材25において、その先端面15から
接合面45に至るまでの不純物濃度(B/C)の分布は
図6に示すとおりである。
【0063】比較例1 実施例1と同じSiC基材を用いて、上述した熱フィラ
メントCVDにより、以下の条件で基材上に厚さ約20
0μmの多結晶ダイヤモンドをドーピングしながら形成
させた。
【0064】原料ガス:CH4 /H2 =2%、総流量1
000cc/min ガス圧力:60Torr 不純物ガス:B2 6 不純物濃度:8000ppm フィラメント温度:2400℃ フィラメント−基板間距離:10mm 基板温度:930℃ 以上の条件において、不純物は、気相合成の開始から終
了まで一定量で添加された。
【0065】このようにしてダイヤモンドを蒸着させた
SiC基材の表面に、厚さ1μmでTi、厚さ2μmで
Niを順次積層した後、このメタライズ層が形成された
面を接合面として、Mo製のシャンクに銀ろうを用いて
基材を真空ろう付けした。その後、ダイヤモンド面を研
磨仕上げ加工して、先端面の面厚さRmax が0.1μm
のボンディングツールを作製した。
【0066】以上のようにして得られたボンディングツ
ールを図7に示す。ボンディングツール30において、
シャンク21上には、ろう付け層22、メタライズ層2
3を介してSiC基材24が設けられる。また、基材2
4上には、厚さ約200μmで、その全体にわたって均
一の濃度で硼素を含有するダイヤモンド35が設けられ
ている。
【0067】比較例2 一方、上記ボンディングツールと同一寸法および形状を
有するMoからなるボンディングツールを準備した。
【0068】実施例1および2ならびに比較例1におい
て、ダイヤモンドに通電し、その先端面が400℃に到
達するまでの時間を測定した。また、比較例2において
は、Moシャンクに通電して先端面が400℃に到達す
るまでの時間を測定した。
【0069】次に、実施例および比較例のそれぞれの工
具について、空冷により先端面が420℃から200℃
に低下するまでの時間を求めた。またさらに、先端面を
420℃に到達させるべく、所定の時間、通電を行なっ
て発熱させたときの先端面の温度のバラツキを見た。以
上の結果を表1に示す。なお、先端面の温度は赤外温度
計を用いて測定した。
【0070】
【表1】
【0071】さらに、上記実施例および比較例のボンデ
ィングツールについて、耐久テストをボンディング装置
に実装して行なったところ、表2に示すとおりとなっ
た。耐久テストにおいて、先端面の温度は420℃、圧
着時間は0.2秒であり、ピン数1000本のICを繰
返しボンディングした。
【0072】
【表2】
【0073】表1および表2の結果から、本発明に従う
ボンディングツールは、従来例のボンディングツールに
比べて熱応答性がよく、しかも耐久性に優れていること
がわかる。一方、ダイヤモンド中に均一に硼素を添加し
た比較例1のボンディングツールは、優れた熱応答性を
有するが、耐摩耗性および耐久性について劣っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で添加される不純物について、その濃
度の時間的経緯を示す図である。
【図2】実施例1において作製されたボンディングツー
ルの概略を示す断面図である。
【図3】実施例1のボンディングツールにおいて不純物
の分布を示す図である。
【図4】実施例2において添加される不純物の濃度につ
いて時間的経過を示す図である。
【図5】実施例2において作製されたボンディングツー
ルの概略を示す断面図である。
【図6】実施例2のボンディングツールにおいて不純物
濃度の分布を示す図である。
【図7】比較例1において作製されたボンディングツー
ルの概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1、11、21 シャンク 2、12、22 ろう付け層 3、13、23 メタライズ層 4、24 SiC基材 10、20、30 ボンディングツール 15 先端面 25 ダイヤモンド材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤森 直治 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平4−96340(JP,A) 特開 平4−25138(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/60 311 H01L 21/603

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧着のための先端部に気相合成された多
    結晶ダイヤモンドを用いてなるボンディングツールにお
    いて、 前記多結晶ダイヤモンドは、不純物の添加により導電性
    を有し、かつ前記多結晶ダイヤモンドで、圧着のための
    先端面を構成する部分は、他の部分よりも前記不純物の
    濃度が低いことを特徴とする、ボンディングツール。
  2. 【請求項2】 圧着のための先端部に気相合成された多
    結晶ダイヤモンドを用いてなるボンディングツールの製
    造方法であって、 ダイヤモンドを堆積させるべき面を有する基材を準備す
    る工程と、 前記面上に、ドーピングを行ないながら気相合成により
    ダイヤモンドを堆積させる工程と、 続いて前記ドーピングにおける不純物の供給を抑制して
    気相合成によりさらにダイヤモンドを堆積させる工程
    と、 堆積されたダイヤモンドを前記先端部として前記基材を
    工具基体にろう付けする工程と、 研磨加工により圧着のための先端面を平坦にする工程と
    を備える、ボンディングツールの製造方法。
  3. 【請求項3】 圧着のための先端部に気相合成された多
    結晶ダイヤモンドを用いてなるボンディングツールの製
    造方法であって、 ダイヤモンドを堆積させるべき鏡面仕上げされた面を有
    する基材を準備する工程と、 前記面上に、ドーピングを行ないながら気相合成により
    ダイヤモンドを堆積させる工程と、 ダイヤモンドが堆積された前記基材を分離または除去し
    てダイヤモンド材を得る工程と、 前記ダイヤモンド材で前記基材に接触していた面側を先
    端面として前記ダイヤモンド材を工具基体にろう付けす
    る工程とを備え、かつ前記ドーピングにおいて気相合成
    を開始してから所定の間の不純物供給量が、それ以降の
    不純物供給量よりも少なくされる、ボンディングツール
    の製造方法。
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