JP3075765B2 - 画像処理式速度超過警告装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、画像処理技術を利用し
た“画像処理式速度超過警告装置”、詳しくは、一般道
路や高速道路などにおいて規制速度を超えて走行してい
る車輌のドライバーに対し、自車の車輌登録番号と共に
実走行速度、または超過速度を目視可能に表示して、規
制速度を遵守するよう警告を発することのできる画像処
理式速度超過警告装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のとおり、一般道路や高速道路にあ
っては、速度オーバーしやすい直進道路、減速の必要な
カーブの手前、または高速道路から一般道路への合流地
点にマイクロ波、または超音波式のドップラー効果を利
用した超音波式速度超過警告装置が設置してある。この
速度超過警告装置は、送波器が走行車輌に向かって前方
斜め上方より超音波を放射し、走行車輌からの反射波を
受波器が受け、その反射波に現われるドップラー効果に
よって速度判定器が車速を測定する。そして、速度判定
器が予め設定した規制速度を超えて走行している車輌を
検出すると警告表示器に出力を与え、警告表示器が「速
度を落とせ」という警告メッセージを表示する。

【０００３】しかしながら、上記超音波式速度超過警告
装置においては、超音波のドップラー効果を利用して車
速測定を行なった場合、気象条件によっては計測値に突
発的な大きなエラーが発生する可能性があって車速測定
の精度に問題がある上、警告メッセージの内容も不特定
多数のドライバーに対し減速運転する旨の表示をするに
止まることから、特に交通量の多い幹線道路や高速道路
において当事者である速度違反ドライバーがその警告を
見過ごしてしまうことがあった。それ故、かゝる不特定
多数のドライバーに対し警告表示を行う警告方式では、
速度違反当事者に減速運転の注意を強力に喚起させるこ
とができず、速度違反者に対してのみ具体的に警告メッ
セージを表示し減速運転を促さしめることの可能な速度
超過警告装置の開発が切望されていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、警告メッセ
ージを速度違反車に限定しドライバーに制限速度を遵守
するよう警告するという具体的要請を可能にしたもので
あって、速度違反ドライバーに対し、自車の車輌登録番
号と共に実走行速度、または超過速度を目視可能に表示
して、規制速度を遵守するよう警告を発することのでき
る高精度な画像処理式速度超過警告装置を提供すること
を技術的課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明が上記技術的課題
を解決するために採用した手段を、添附図面に基づいて
説明すれば、次のとおりである。即ち、本発明によれ
ば、道路の上方に設置され走行中の車輌を前方より定時
間間隔で撮影して映像信号を逐一出力する撮影手段１
と、この撮影手段１からの映像信号より車輌の進入を検
知して当該車輌の静止画像を複数枚格納し、これら個々
の静止画像について車輌のナンバープレート位置を検出
すると共に当該ナンバープレートに付された車輌登録番
号を認識して一致した車輌登録番号の車番信号を出力す
る一方、車輌登録番号の一致する２枚の静止画像のナン
バープレートの検出変位位置より車輌の実走行距離を求
め、かつその実走行距離と同静止画像を撮影した時の時
間差との関係より該当車輌の実速度を算出して実走行信
号を出力するか、または前記実速度が規制速度を超えた
場合に超過速度信号を出力する車番認識・速度判定手段
２とを包含し、前記車番認識・速度判定手段２からの車
番信号、実速度信号および超過速度信号に基づいて警告
対象となる車輌の車輌登録番号と共に実走行速度、また
は超過速度を目視可能に表示するという手段を採用する
ことによって、上述の技術的課題を解決したのである。

【０００６】

【作用】上記のように構成された画像処理式速度超過警
告装置においては、車番認識・速度判定手段２が、撮影
手段１より入力した映像信号の静止画像を逐一格納し、
これら静止画像について認識した車輌の車輌登録番号の
一致をチェックする一方、車輌登録番号の一致した２枚
の静止画像においてナンバープレートの検出変位位置よ
り求めた車輌の実走行距離および同静止画像を撮影した
時の時間差との関係より車輌の実速度を算出するので、
速度違反ドライバーに対し自車の車輌登録番号と共に実
走行速度、または超過速度を表示することが可能とな
る。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を添附図面に基づいて、更に詳
しく説明する。図において符号１にて指示するものは道
路の上方に支柱を介して固定された撮影手段であって
（図４参照）、本実施例では通常の連続照明下でも画像
ブレのない安定な状態で撮像できるシャッタ付きＴＶカ
メラ（以下、単にＴＶカメラという）が用いられてい
る。このＴＶカメラ１は、走行中の車輌を前方より定時
間間隔で撮影してその映像信号を後述の車輌認識・速度
判定装置２に逐一出力する。

【０００８】符号２は多量の画像データを高速に処理可
能な非ノイマン型画像処理プロセッサを用いた車番認識
・速度判定装置であって、図２に示すように、画像フリ
ーズ部２１、ナンバープレート位置検出部２２、車番認
識部２３、車番照合部２４、速度算出部２５および速度
判定部２６より構成されている。この車番認識・速度判
定装置２は、ＴＶカメラ１を設置した支柱に取付けられ
ていて（図４参照）、ＴＶカメラ１からの映像信号を画
像フリーズ部２１が入力する。

【０００９】画像フリーズ部２１は、前記ＴＶカメラ１
より入力した映像信号の１ラインの水平方向微分最大値
をリアルタイムで算出し、この値の時間変化から車輌の
進入を検知して当該車輌の静止画像を複数枚格納する。

【００１０】ナンバープレート位置検出部２２は、前記
画像フリーズ部２１において格納した個々の静止画像に
ついて撮影車輌のナンバープレート位置を検出するもの
であって、各静止画像についてナンバープレート位置を
検出するに当たり、先ず、画面下方から水平方向微分最
大値を算出し、この値が急激に増加するラインをナンバ
ープレートの最下部、この上方をナンバープレートエリ
アとしておおまかな垂直方向位置検出を行う。しかる後
に、同ナンバープレートエリアの水平方向微分画像を作
成し、この微分画像を夫々縦方向に積算した後に２値化
してこれらを加算し、このデータ列の“０”以外の連続
が最長となるところをナンバープレート部とする。

【００１１】車番認識部２３は、前記ナンバープレート
位置検出部２２において各静止画像における水平方向微
分画像に基づき当該各静止画像中の車輌の車輌登録番号
を認識する。即ち、水平微分画像のナンバープレート部
を横方向に積算した後に２値化し、“１”の連続が最長
となる部分を数字エリアとする。ここで、数字エリアの
しきい値を求めて２値化し、“０”が“１”よりも多い
ものを営業車、そうでないものを自家用車とする。こう
して営業車と自家用車を識別した後に、２値化した数字
エリアを縦方向に積算し、この値が“０”である部分を
文字の切れ目として５文字を切り出し、文字高さの相違
より記号「・」、「−」と数文字「１」を分類した後
に、左右のエッジ部から文字を構成する線分までの距離
特徴量を求めこれらを分類することによって他の数文字
「０」、「２」〜「９」を認識し、文字の並びから何桁
の車輌登録番号かを最終的に認識する。

【００１２】車番照合部２４は、前記車番認識部２３が
夫々の静止画像中の車輌について認識した車輌登録番号
を照合するものであって、各静止画像における車輌の車
輌登録番号データの一致をチェックし、一致した車輌登
録番号データを意味する車番信号を後述の表示データ生
成装置３に出力する。

【００１３】速度算出部２５は、前記画像フリーズ部２
１が格納した複数枚の静止画像にうち、車番照合部２４
が車番信号を出力する際に車輌登録番号を認識した２枚
の静止画像においてナンバープレートの検出変位位置デ
ータより車輌の実走行距離を求め、かつその実走行距離
と同静止画像についてＴＶカメラ１が撮影した時の時間
差データとの関係より該当車輌の実速度を算出する。

【００１４】速度判定部２６は、前記速度算出部２５よ
り実速度データを入力し当該実速度データに対応する実
速度信号を後述の表示データ生成装置３に出力する一
方、同実速度データを予め設定された規制速度データと
減算処理し、実速度データが規制速度データを超えた場
合に超過速度を意味する超過速度信号を表示データ生成
装置３に出力する。

【００１５】符号３は表示データ生成装置であって、前
記車番認識・速度判定装置２より車番信号、実速度信号
および超過速度信号を入力し、警告対象となる車輌の車
輌登録番号と実走行速度、または同車輌登録番号と超過
速度の表示データを生成して、後述の警告表示器４に表
示信号を出力する。なお、前記表示データ生成装置３
は、図４に示すように、後述の警告表示器４の支柱に配
置してある。

【００１６】符号４はドライバーに警告メッセージを表
示する警告表示器であって、前記ＴＶカメラ１の設置位
置から車輌の進行方向に所定距離離隔して設置してある
（図４参照）。そして、前記警告表示器４は、表示デー
タ生成装置３より表示信号を入力すると、例えば、規制
速度を超えて走行している車輌のドライバーに対し「ナ
ンバー○○○○の車、××キロオーバー速度落とせ」旨
の警告メッセージを目視可能に表示する。

【００１７】次に、本実施例装置の一連の動作を、図３
に示すフローチャートに基づいて説明する。先ず、ＴＶ
カメラ１が走行中の車輌を前方より定時間間隔で撮影し
てその映像信号を車番認識・速度判定装置２の画像フリ
ーズ部２１に出力すると（ステップ１）、画像フリーズ
部２１がその映像信号より車輌の進入を検知して当該車
輌の静止画像を複数枚格納する（ステップ２）。次に、
ナンバープレート位置検出部２２が各静止画像について
ナンバープレート位置を検出した後に（ステップ３）、
車番認識部２３が各静止画像における車輌登録番号を認
識し（ステップ４）、次いで、車番照合部２４が各静止
画像において車輌登録番号の一致をチェックし一致した
車輌登録番号の車番信号を表示データ生成装置３に出力
する（ステップ５）。そして、同車番認識・速度判定装
置２の速度算出部２５が車番信号に該当する車輌の実速
度を算出し（ステップ６）、速度判定部２６が表示デー
タ生成装置３に実速度信号または超過速度信号を出力す
る（ステップ７）。これにより、データ生成装置３が車
番認識・速度判定装置２からの車番信号、実速度信号お
よび超過速度信号に基づいて警告対象となる車輌の登録
番号と共に実走行速度、または超過速度の表示データを
生成して表示信号を警告表示器４に出力し（ステップ
８）、よって、警告表示器４が速度違反ドライバーに対
し「ナンバー○○○○の車、××キロオーバー速度落と
せ」旨の警告を表示する（ステップ９）。

【００１８】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、走行中の車輌を前方より定時間間隔で撮影した映像
信号の静止画像から車輌の車輌登録番号を認識して、こ
れら車輌登録番号の一致をチェックするので、車輌の登
録番号の認識精度が頗る向上する上、車輌登録番号の一
致した２枚の静止画像より車輌の実走行速度または制限
速度に対する超過速度を求めて、速度違反ドライバーに
対し自車の車輌登録番号と共に実走行速度または超過速
度を表示するので、速度違反者当事者に減速運転の注意
を強力に喚起させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る画像処理式速度超過警告装置の概
要を表わす機能ブロック図である。

【図２】同装置における車番認識・速度判定装置の機能
ブロック図である。

【図３】同装置の動作を示すフローチャート図である。

【図４】同装置の設置状態を示す設置図である。

【符号の説明】

１ シャッタ付きＴＶカメラ ２ 車番認識・速度判定装置 ３ 表示データ生成装置 ４ 警告表示器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G08G 1/00 - 1/16

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 道路の上方に設置され走行中の車輌を前
   方より定時間間隔で撮影して映像信号を逐一出力する撮
   影手段１と、この撮影手段１からの映像信号より車輌の
   進入を検知して当該車輌の静止画像を複数枚格納し、こ
   れら個々の静止画像について車輌のナンバープレート位
   置を検出すると共に当該ナンバープレートに付された車
   輌登録番号を認識して一致した車輌登録番号の車番信号
   を出力する一方、車輌登録番号の一致する２枚の静止画
   像のナンバープレートの検出変位位置より車輌の実走行
   距離を求め、かつその実走行距離と同静止画像を撮影し
   た時の時間差との関係より該当車輌の実速度を算出して
   実走行信号を出力するか、または前記実速度が規制速度
   を超えた場合に超過速度信号を出力する車番認識・速度
   判定手段２とを包含し、前記車番認識・速度判定手段２
   からの車番信号、実速度信号および超過速度信号に基づ
   いて警告対象となる車輌の車輌登録番号と共に実走行速
   度、または超過速度を目視可能に表示する如く構成した
   ことを特徴とする画像処理式速度超過警告装置。