JP3074349B2 - 広幅急冷凝固薄帯製造用ルツボ - Google Patents

広幅急冷凝固薄帯製造用ルツボ

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JP3074349B2 JP02133129A JP13312990A JP3074349B2 JP 3074349 B2 JP3074349 B2 JP 3074349B2 JP 02133129 A JP02133129 A JP 02133129A JP 13312990 A JP13312990 A JP 13312990A JP 3074349 B2 JP3074349 B2 JP 3074349B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は金属(合金を含む。以下同じ)の溶湯を、移
動する冷却基板の表面で急冷凝固させ、連続的に非晶質
金属あるいは結晶質金属の広幅薄帯を製造するために用
いられるルツボに関するものである。
〔従来の技術〕
溶融金属から連続的に薄帯を製造する方法(連続液体
急冷法)は、従来より種々の手段が開示されているが、
いずれも溶解した金属を所定の形状の開口部を有するノ
ズルから、所定の圧力でノズル開口部に面した移動冷却
基板の上に噴出し、凝固させて連続薄帯とするものであ
る。このとき重要な製造因子は、ノズル開口部の形状、
ノズルと冷却基板との相対的配置、溶融金属のノズルか
らの噴出圧、冷却基板の移動速度などである。これらの
製造因子に対する条件は一般に薄帯の幅が広くなるとと
もに狭く、厳しくなる傾向があった。
広幅薄帯を製造する方法として従来開示されている代
表的なものは、例えば特開昭53−53525号公報所載の
「金属ストリップの連続的鋳造法およびそれに使用する
装置」であって、その概要は、矩形状の開口部を持つス
ロットノズルを冷却基板に対して0.03〜1mmの間隔で対
向させ、該矩形状の開口部は冷却基板の表面の移動方向
に対してほぼ垂直に配置された状態で、100〜2000m/分
の予め定められた表面速度で移動する冷却基板上に、ス
ロットノズルから溶融金属を送り出し、熱的に接触させ
急冷凝固することにより連続的なストリップを製造する
ものである。この従来法は原理的には薄帯の幅に対する
制限はない。つまり、ノズルの矩形状開口部の長さ(冷
却基板の移動方向に直角な方向に測った開口部の長さ)
を大きくすれば、薄帯の幅を広くすることが出来る。し
かしながら、実際には矩形状開口部の長さを大きくする
に従い、開口部の平衡度を鋳造中保持することが難しく
なり、薄帯の板厚は、特にその幅方向で一様でなくな
る。因みに25mm幅の薄帯において、板厚偏差を5〜10%
程度に抑えることは現在可能であるが、150mm幅になる
と10%以下に抑えることは困難である。板厚偏差の大き
い薄帯は、例えば磁性材料として、積層したり巻加工し
たりする場合、占積率が低下するので好ましくない。こ
のことから、工業材料として急冷凝固薄帯を提供するた
めの従来法では実質的には薄帯の板幅に技術的限界があ
った。
本発明者らはそれまであった急冷凝固薄帯の板幅の制
限を取り除くために、例えば、特開昭63−220950号公報
において新しい鋳造方法を提案した。この方法は移動す
る冷却基板に、その移動方向に対しほぼ直角に配置さ
れ、かつ、それぞれが前記移動方向に対して10〜80゜の
角度を持つ複数の開口部から溶融金属を噴出させ、急冷
凝固させることを特徴とする金属薄帯の製造方法であ
る。この方法により、薄帯の幅が例えば150mm以上でも
板厚偏差が10%以下の薄帯の製造が可能になった。つま
り、従来あった薄帯の板幅における制限を取り除くこと
が出来た。
一方、急冷凝固薄帯の製造装置としては、基本的には
移動冷却体としては銅などの熱伝導率の高い金属からな
るロール、試料を保持するためのルツボおよび試料溶解
のための溶解設備からなるのが主である。また一般的
に、ルツボはその底部に試料溶解後溶融金属をロール上
に噴出するためのノズルを有している。溶解方式として
は、主に高周波誘導に依っている。使用されるルツボの
形状は概して円筒状のもので、溶解用に用いられる高周
波誘導溶解用ワークコイルも円筒状のものである。例え
ば、前記特開昭53−53525号公報に、使用する溶解用ル
ツボおよびワークコイルとして、どちらも深さ方向に対
する横断面が円形である円筒状のものが開示されてい
る。
本発明者らは本発明者らが提案した前述の鋳造方法に
より、150mm以上の幅の薄帯の製造について検討し、実
際に製造実験を試みた。そして、薄帯の幅を広げていく
と、従来の円筒状のルツボでは広幅薄帯の製造が困難に
なるという新たな問題点を発見した。すなわち、薄帯幅
を大きくするためには、溶融金属を噴出するための開口
部の数を多くしていく必要があり、当然のことながらル
ツボ底部の面積を大きくしなければならない。つまり、
円筒状のルツボの径を大きくしなければならない。しか
しながら、ルツボの径があまり大きくなると、溶解後溶
融金属を保持している間にルツボ底部がたわみ、高速回
転しているロール上に噴出する際ロールに衝突し、薄帯
は得られなくなる。たとえ、衝突しなくてもロールとノ
ズル間の距離が薄帯幅方向で不均一になると、板厚偏差
の小さい良好な形状の薄帯を得るのは困難になる。板厚
偏差が小さい薄帯を得るためには、ロールとノズル間の
距離を板幅方向で出来るだけ一定にする必要がある。ル
ツボの径が大きくなることにより発生するこのたわみを
解決するために、例えばルツボの底を厚くすることが考
えられる。しかしながら、ルツボの底を厚くするとノズ
ル底部(ロール表面に一番近い部分)の温度が下がり、
溶融金属がここで凝固してノズル詰まりを発生したりす
る。また、これを防止するために、ノズル底部を外部か
ら加熱することも考えられるが、装置が複雑になり装置
製造コストもかさむことになる。
さらに、ルツボ径があまり大きくなると、高周波誘導
の効率が悪くなり(試料溶解が困難になり)、溶解時間
がかなり長くなる。例えば径が300mm程度の円柱状のル
ツボの場合、鉄系の合金数kgを溶解するのに溶解時間と
して1時間近くになり、薄帯製造に要する時間が長くな
る。製造時間の延長は生産性の点から問題となる。
ルツボのたわみおよび溶解効率における問題を解決す
る方法として、例えば複数のルツボを薄帯幅方向に並べ
る方法がある(Proc.of 5th Int.Conf.on Rapidly Quen
ched Metals(1985)p.1591)。しかしながら、この方
法により広幅薄帯を製造するには、それぞれのルツボの
配置に充分な制御が必要であると思われる。なぜなら、
それぞれのルツボのノズル開口部の位置が例えば、薄帯
幅方向で離れてしまうと薄帯が板幅方向でつながらなく
なったり(つまり、広幅薄帯とならずに分割してしま
う)、逆にオーバーラップするとそこで板厚が大きくな
ってしまう(板幅方向での板厚変動が大きくなる)。こ
のため、この方法は商業的に量産する際、安定生産に適
した方式とは考えにくい。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、急冷凝固薄帯の板幅の拡大に障害となって
いたルツボにおける製造技術、生産性からの問題を解決
するために考え出されたものである。すなわち、ルツボ
下部のノズル開口部の数を増やしても(薄帯幅を大きく
しても)、たわみをほとんど発生させず、かつ溶解に要
する時間を長くすることなく、安定して量産を可能にす
る広幅薄帯製造用ルツボを提供することを目的としたも
のである。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明は、単ロール急冷凝固法で用いる幅が300mm以
上の広幅急冷凝固薄帯製造用ルツボであって、深さ方向
に対する横断面が楕円状もしくは長方形の形状で、短辺
の長さが100mm以下、長辺の長さが300mm以上であり、該
ルツボの底部に細長い平行四辺形、台形、楕円などの複
数の開口部を有し、これら各開口部の長手方向が冷却基
板の移動方向に対して10〜80゜の角度をなし、かつ各開
口部全体の配列状態が冷却基板の移動方向に対してほぼ
直角になるように配列したことを特徴とする広幅急冷凝
固薄帯製造用ルツボを要旨とするものである。
すなわち、本発明者らは広幅急冷凝固薄帯を製造する
際に発生するルツボのたわみを防止するために、従来用
いていたような円筒状のルツボの代わりに、第1図に示
すような深さ方向に対する横断面が楕円状もしくは長方
形の形状をしたルツボを考え出した。こうした形状のル
ツボはルツボ底部の強度を向上することが出来、実際に
使用してみても溶解中のルツボ底部のたわみをほとんど
発生させることなく溶解、噴出が可能であることがわか
った。さらに、このような形状のルツボは高周波誘導用
ワークコイルとして、深さ方向に対する横断面が楕円状
もしくは長方形の形状のもの(ルツボの相似形の形状の
もの)を用いることを可能にする。
本発明のルツボ形状について第1図を用いて具体的に
説明すると、第1図(a)はルツボの深さ方向に対する
横断面が楕円形の形状のルツボを示している。また、第
1図(b),(c)はルツボの深さ方向に対する横断面
が長方形の形状のルツボを示している。ここで言う深さ
方向に対する横断面が長方形の形状とは、短辺側が曲率
を持ったような形状のものも含むものである(たとえ
ば、ルツボについて第1図(c)に示すような形状)。
第1図中に示した全てのルツボにおいてルツボ上部にフ
ランジが付けられているが、これはルツボを装置に取り
付けるために必要なものである。本発明においてはルツ
ボを装置に取り付ける方法まで限定しておらず、他の方
法で装置に装着できれば必ずしもフランジ付きのルツボ
としなくてもよい。
また、本発明のルツボは、ルツボの深さ方向に対する
横断面の寸法として短辺の長さが100mm以下、長辺の長
さが300mm以上とする。これは本発明のルツボは薄帯の
板幅が特に300mm以上になるとその効果を充分に発揮で
きるためである。この時、短辺側の長さはルツボ底部の
強度および試料溶解効率の点から100mm以下にする。つ
まり、ルツボの長辺側の長さが300mm以上の場合、試料
溶解時にルツボ底部のたわみの発生を抑えるためにルツ
ボ短辺側の長さは100mm以下とする。さらに、試料溶解
の点からもルツボ短辺側の長さは100mm以下とすること
が好ましい。ルツボの長辺側の長さが300mm以上の場
合、用いるワークコイルの長辺側の長さは330mm以上と
なるが(溶融金属の保温を目的にルツボの周りに断熱材
を装備するための隙間を考慮してルツボよりやや大きく
する)、ワークコイルの短辺側の長さを130mm以上とす
ると、試料溶解に時間がかかり、本発明の目的に沿わな
くなる。このため、ルツボの短辺側の長さを100mm以下
にする。
ルツボ底部のノズル開口部は複数の細長い平行四辺
形、台形、楕円などの開口部からなり、かつその長手方
向に対して10〜80゜の角度をなし、さらに各開口部全体
の配列状態が冷却基板の移動方向にほぼ直角になるよう
に配列されたノズルである。また、複数の開口部の形状
を隣合う開口部の一部が冷却基板の移動方向で重複する
ようにし、かつ冷却基板の移動方向の開口部長さの合計
が、冷却基板の移動方向で、開口部が存在する範囲にわ
たってほぼ同じ長さとなるように配列したノズルの使用
も可能である。このようなノズルは広幅薄帯の製造を可
能にする。つまり、例えば板幅が300mmでも板厚変動が
良好な薄帯の製造を可能にする。いずれのタイプのノズ
ルにおいても、最適な開口部の形状は使用する合金の種
類などの製造要因によって異なってくるので、製造要因
に応じて適当な値を選択する。好ましいノズル開口部の
形状については後に実施例として示す。
本発明のルツボの使用を可能とするような装置の一例
として、第2図に深さ方向に対する横断面が長方形であ
るワークコイルを有する広幅急冷凝固薄帯製造装置を示
す。広幅急冷凝固薄帯製造装置はルツボ、ワークコイル
以外に、基本的には一個のロール、薄帯をロール表面か
ら剥離するための剥離板や剥離ノズル(ガス圧により剥
離する場合)から構成されるものである。その他の部品
として例えば、ローラを回転させるためのモーター、ル
ツボ昇降のためのモーター、高周波加熱電源などが挙げ
られる。もちろん、改良型として、例えば補助ロール
や、ロール表面温度制御装置を付属させた装置、あるい
は減圧下ないし真空中または不活性ガス中で鋳造できる
ようにチェンバーで覆った装置においても使用できる。
次に、本発明のルツボを用いて、広幅急冷凝固薄帯を
製造するときに採用される鋳造条件について説明する。
まずルツボ底部にあるノズルとロールとの間隔は0.05〜
3mmの範囲であり、ノズルの構造やその他の製造因子に
合わせて最適な値を選ぶ。溶融金属の噴出圧力は0.01〜
3kg/cm2、ロールの回転速度(表面速度)は5〜60m/秒
の範囲である。これらの条件もノズルの構造やその他の
製造因子に合わせて最適な値を選択する。実際に本発明
ルツボを用いて広幅薄帯を製造する場合、試料溶解時の
ルツボ底部とロールとの間隔は前述のような鋳造時の間
隔よりは広くする方が好ましい。つまり、溶解開始前に
予め鋳造時を想定してルツボ底部とロールとの最適な間
隔位置を記憶させ、その後一旦、ワークコイル内に移動
させてから試料を溶解する。そして、溶解後ロール回
転、噴出圧力をセットした後、再び予め記憶させておい
たロールとの最適間隔位置にルツボを戻し鋳造を開始す
る。このため、ワークコイルの位置はロール表面から少
し離れた位置とするのが好ましい。
本発明のルツボにより製造出来る薄帯の成分としては
非晶質になり易い金属や圧延などの加工が困難な金属の
場合に利点が大きいが、これらに限定されるものではな
い。もちろん、溶解する金属の種類によっては特に、そ
の反応性からルツボ材質として制限を受ける場合もあ
る。例えば、鉄と半金属(B,Si,Cなど)からなる非晶質
合金の場合、ルツボ材質として石英が使用できるが、Al
やTiなどの活性金属を含む場合は石英の使用は難しく、
例えば、窒化珪素、サイアロンなどが好ましい。また、
本発明のような形状のルツボを作製するには、例えば石
英を用いる場合は一体ものとして作製することが可能で
あるが、その他の材質の場合は一体ものとして作製する
ことが困難な場合もある。このような場合は、側面を割
型とし、底を挟み込むようにして固定することによって
ルツボとしたり、割型にしなくてもノズルだけを別に作
り、ノズルをルツボ内部に落し込み、ノズル付きのルツ
ボとする方法などがある。もちろん、ルツボの長辺部分
を窪ませたような形状も有効であると考えられるが、こ
のような形状のルツボは製造上困難となることからあま
り好ましくない。
これまで述べたように、本発明のルツボにより広幅急
冷凝固薄帯、特に板幅が300mm以上の場合でも板厚変動
が10%以下と板厚変動が良好な薄帯を生産性良く、安定
して製造出来るようになった。
〔実施例〕
次に本発明の実施例について説明する。
実施例1 本発明のルツボとして石英からなり、寸法が長辺側32
0mm、短辺側50mmの深さ方向に対する横断面が平行四辺
形であるものを用いて、板幅300mmの非晶質薄帯の製造
を行った。ルツボにはその下部にノズルとして、第3図
に示すノズルを使用し、各パラメーターをa=2mm、d
=1mm,b=0.7mm、α=30゜とし、開口部の個数を175本
とした。用いた装置は長辺側350mm、短辺側80mmの深さ
方向に対する横断面が長方形である試料溶解用ワークコ
イル、冷却用ロールとして幅600mm、直径600mmで銅製の
ものからなるものである。本発明のルツボに組成がFe72
Co10Mo2B12C4(at%)の合金2kgを挿入し、試料溶解後1
350℃で、溶融金属をロール上に噴出して薄帯を作製し
た。試料溶解に要した時間は20分であった。その他の鋳
造条件は噴出圧0.3kg/cm2、ロール表面速度25m/秒とし
た。
作製された薄帯は板幅が300mm、板厚45μm(マイク
ロメーター測定)であり、フリー面、ロール面とも180
゜密着曲げで破壊しなかった。また、X線回折、示差熱
(DSC)分析の結果は非晶質状態を示していた。
得られた薄帯の板厚変動を調べるために、薄帯長手方
向2mごとに5mm長さのサンプルを採取し、それぞれのサ
ンプルについてマイクロメーターを用いて板厚(最大
厚)を測定した。さらにそれぞれのサンプルについて重
量と比重(7.26)から板厚を算出し、この板厚のマイク
ロメーターから求めた板厚に対する比率を求めた。得ら
れた比率の平均値は96.5%と高い値であった。このこと
から試料溶解中ルツボのたわみはほとんど無かったもの
と考えられる。
実施例2 本発明のルツボとして石英からなり、寸法が長辺側32
0mm、短辺側40mmの深さ方向に対する横断面が平行四辺
形であるものを用いて、板幅300mmの結晶質薄帯の製造
を行った。ルツボ下部のノズルおよび使用した装置は実
施例1と同様である。組成Fe93.5Si6.5(wt%)の合金2
kgを1500℃に溶解し、ロール上に噴出して薄帯を作製し
た。試料溶解に要した時間は25分であった。その他の鋳
造条件は噴出圧0.3kg/cm2、ロール表面速度20m/秒とし
た。
作製された薄帯は板幅が300mm、板厚35μm(マイク
ロメーター測定)であった。
得られた薄帯の板厚変動を調べるために実施例1と同
様の要領で、マイクロメーターで測定した板厚(最大
厚)に対する重量と比重(7.48)から算出した板厚の比
率を求めた。得られた値は95.1%であった。このことか
ら試料溶解中ルツボのたわみはほとんど無かったものと
考えられる。
実施例3 本発明のルツボとして、寸法が長辺側420mm、短辺側5
0mmの深さ方向に対する横断面が平行四辺形であるもの
を用いた。また、ルツボ下部のノズルのパラメーターは
実施例1でのものと同じで、開口部の個数を234本とし
た。使用した装置は長辺側450mm、短辺側90mmの深さ方
向に対する横断面が長方形である試料溶解用ワークコイ
ルからなり、その他は実施例1と同様のものである。実
施例1と同様の合金3kgを1350℃に溶解し、ロール上に
噴出して薄帯を作製した。試料溶解に要した時間は25分
であった。その他の鋳造条件は噴出圧0.3kg/cm2、ロー
ル表面速度25m/秒とした。
作製された薄帯は板幅が400mm、板厚40μm(マイク
ロメーター測定)であり、フリー面、ロール面とも180
゜密着曲げで破壊しなかった。また、X線回折、DSC分
析の結果は非晶質状態を示していた。
得られた薄帯の板厚変動を調べるために実施例1と同
様の要領で、マイクロメーターで測定した板厚(最大
厚)に対する重量と比重(7.26)から算出した板厚の比
率を求めた。得られた値は96.1%であった。このことか
ら試料溶解中ルツボのたわみはほとんど無かったものと
考えられる。
〔比較例〕
ルツボとして、寸法が長辺側320mm、短辺側110mmの深
さ方向に対する横断面が平行四辺形であるものを用い
て、板幅300mmの非晶質薄帯の製造を行った。ルツボ下
部のノズルは実施例1でのものと同様である。用いた装
置のワークコイルは長辺側350mm、短辺側140mmの深さ方
向に対する横断面が長方形であるもので、冷却ロールな
どその他のものは実施例1と同じである。実施例1と同
様の合金2kgを1350℃に溶解し、ロール上に噴出して薄
帯を作製した。試料溶解に要した時間は45分であった。
その他の鋳造条件は噴出圧0.3kg/cm2、ロール表面速度2
5m/秒とした。
得られた薄帯の板厚は300mmであったが、板厚を薄帯
幅方向で調べてみたところ、薄帯幅の中央部付近でやや
薄くなっていた。鋳造中ルツボ下部がロールに衝突する
ことはなかったが、溶解中にルツボがたわみ、ルツボと
ロールとの間隔が不均一になり、薄帯の板厚が板幅方向
で不良になったものと思われる。薄帯の板厚変動を調べ
るために、実施例1と同様の要領で板厚測定を行った。
マイクロメーターで測定した板厚(最大厚)は52μm
で、マイクロメーターで測定した板厚に対する重量と比
重(7.26)から算出した板厚の比率は88.6%であった。
この値は実施例でのものに比べ低い値で、工業材料とし
て使用するには不十分であると思われる。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明のルツボを使用すること
により、任意に幅の広いかつ、占積率が低下しない(板
厚変動の小さい)急冷凝固薄帯の製造が可能になった。
本発明のルツボを用いて作製された非晶質合金は広幅
薄帯が得られるので、大型巻きトランスあるいは積みト
ランスへの適用が可能になる。また、Cuメッキなど導電
性の高い金属をメッキすることにより電磁波シールド
材、特に電磁暗室用のブラインド材に好適である。これ
まで入手できる非晶室合金の最大幅は15cmなので拡幅の
ためにはハンダ付けなどの工程が必要であったが、これ
を省略することが出来る。また、スリットとして細線化
することにより複合強化材として使用でき、Cuメッキし
てスパイラル化することにより同軸ケーブルの電磁波シ
ールド材として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明ルツボの形状を示す説明図、第2図は本
発明のルツボを装着した広幅急冷凝固薄帯製造装置を示
す説明図、第3図はルツボ底部に取り付けられるノズル
の開口部の形状および配列を示す説明図である。 1;ルツボ、2;ワークコイル、3;冷却用ロール、4;広幅薄
帯、5;薄帯剥離用ノズル、6;多孔ノズル、7;開口部、8;
冷却基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 健一 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新 日本製鐵株式會社第1技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−147752(JP,A) 特開 昭54−80203(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単ロール急冷凝固法で用いる幅が300mm以
    上の広幅急冷凝固薄帯製造用ルツボであって、深さ方向
    に対する横断面が楕円状もしくは長方形の形状で、短辺
    の長さが100mm以下、長辺の長さが300mm以上であり、該
    ルツボの底部に細長い平行四辺形、台形、楕円などの複
    数の開口部を有し、これら各開口部の長手方向が冷却基
    板の移動方向に対して10〜80゜の角度をなし、かつ各開
    口部全体の配列状態が冷却基板の移動方向に対してほぼ
    直角になるように配列したことを特徴とする広幅急冷凝
    固薄帯製造用ルツボ。
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