JP7127505B2 - 薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

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本発明は、回転する一対の冷却ドラムの外周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する装置として、例えば特許文献1,2に示すように、内部に水冷構造を有し互いに逆方向に回転する一対の冷却ドラムを備え、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの外周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で圧着して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置が提供されている。このような双ドラム式連続鋳造装置は、各種金属において適用されている。
上述の双ドラム式連続鋳造装置においては、冷却ドラムの上方に配置されたタンディッシュから浸漬ノズルを介して溶融金属プール部に溶融金属が連続的に供給され、回転する冷却ドラムの外周面上で溶鋼が凝固成長して凝固シェルが形成され、各冷却ドラムの外周面に形成された凝固シェルがドラムキス点で圧着され、薄肉鋳片が製出される。
また、特許文献3には、タンディッシュの上部位置に磁界発生装置を配置し、タンディッシュの湯面中央部近傍に配置された一対の冷却ロールの方向に湯面を流動保持し、一対の冷却ドラムの外周面に溶融金属を接触させて凝固シェルを成長させ、凝固シェル同士をドラムキス点で圧着し、得られた薄肉鋳片を上方に引き抜く構成とした薄肉鋳片の製造方法及び製造装置が開示されている。
特開平02-092438号公報 特開2017-087259号公報 特開昭62-130750号公報
ところで、従来、薄肉鋳片においては、例えば特許文献1,2に示すように、金属組織を均質化するために、等軸晶を積極的に生成することが志向されている。
しかしながら、柱状晶組織の鋳片を圧延して再結晶させた場合には、板厚方向に(100)Cube方位が強く集積した鋼板を得ることができる。このような鋼板は、無方向性電磁鋼板として用いた場合には、板厚方向に磁力線をより透過させることができ、極めて高い磁気特性を発揮する製品を得ることが可能となる。
特許文献1,2の双ドラム式連続鋳造装置を用いて製造された薄肉鋳片においては、等軸晶の生成状況が安定しておらず、局所的に等軸晶率が5%以上となり、柱状晶率が95%未満となるような箇所が生じることがあった。
無方向性電磁鋼板としては、全長にわたって板厚方向に(100)Cube方位が強く集積していることが好ましい。このため、全長にわたって柱状晶率が高く安定した薄肉鋳片が望まれていた。
ここで、特許文献1,2の双ドラム式連続鋳造装置における等軸晶の発生機構として、以下の2つがあることを確認した。
(1)溶鋼とドラム表面の接触部(メニスカス)において生成した凝固核が、溶融金属の流動によってドラム表面から剥離して結晶核となり、ドラム回転に伴って溶融金属プール部の下方に移動する。ここで、一対の冷却ドラムの押し付け力が一定値を上回ると、冷却ドラムの押し付けによる凝固シェルの圧着、絞り上げよって結晶核が滞留し、結晶核同士が合体して成長し、これが凝固シェル間に巻き込まれて等軸晶となる。
(2)冷却ドラムの押し付けによって凝固シェルが圧着される際に、押し付け力が過剰な場合には、圧下によって凝固シェルの先端が折損し、結晶核が発生する。そして、冷却ドラムの押し付けによる凝固シェルの圧着、絞り上げよって結晶核が滞留し、結晶核同士が合体して成長し、これが凝固シェル間に巻き込まれて等軸晶となる。
すなわち、溶融金属プール部において結晶核が滞留し、これら冷却ドラム間に巻き込まれることが等軸晶の発生の原因となる。
ここで、特許文献3に示すように、薄肉鋳片を上方に向けて引き抜く場合には、発生した結晶核が冷却ドラム近傍で滞留することがなくなり、等軸晶の発生を抑えることが可能となる。
しかしながら、特許文献3に記載された薄肉鋳片の製造方法においては、タンディッシュ内の溶融金属の湯面の上方に冷却ドラムが配設されており、磁界発生装置によって溶融金属を冷却ドラム側に供給する構成とされているが、十分に冷却ドラム側に溶融金属を供給できず、薄肉鋳片を安定して製造することは困難であった。
また、湯面変動等によって、湯面の表面に浮遊するスカムが冷却ドラム間に巻き込まれてしまい、薄肉鋳片の表面欠陥が多発し、高品質の薄肉鋳片を鋳造することができなかった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、鋳片の全長にわたって柱状晶率が高く、かつ、欠陥の少ない高品質な薄肉鋳片を安定して製造することができる薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムの外周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、溶融金属が貯留されたタンディッシュ内に、一対の前記冷却ドラムを、前記冷却ドラムの軸線が前記溶融金属の湯面よりも下方に位置するように浸漬配置し、前記タンディッシュ内に、前記冷却ドラムの外周面の一部及び側面を覆う保護カバーを配置し、前記凝固シェルを上方に引き上げるように、それぞれの冷却ドラムを回転させ、一対の前記冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で圧着し、製造された薄肉鋳片を上方に向けて引き抜くことを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法においては、一対の前記冷却ドラムに形成された前記凝固シェルを上方に引き上げるように、それぞれの冷却ドラムを回転させ、一対の前記冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で圧着し、製造された薄肉鋳片を上方に向けて引き抜く構成とされているので、冷却ドラムと溶融金属との接触点等で発生した結晶核が冷却ドラム近傍で滞留することがなく、等軸晶の発生を抑えることが可能となる。よって、柱状晶からなる薄肉鋳片を安定して製造することができる。また、湯面上に発生したスカムが薄肉鋳片に巻き込まれることがなく、高品質な薄肉鋳片を製造することができる。
そして、溶融金属が貯留されたタンディッシュ内に、一対の前記冷却ドラムを、前記冷却ドラムの軸線が前記溶融金属の湯面よりも下方に位置するように浸漬配置し、前記タンディッシュ内に、前記冷却ドラムの外周面の一部及び側面を覆う保護カバーを配置しているので、湯面変動等が生じた場合であっても、冷却ドラム間に溶融金属を十分に安定して供給することができ、安定して薄肉鋳片を製造することが可能となる。
また、前記冷却ドラムの外周面の一部及び側面を覆う保護カバーを配置しているので、前記保護カバーの配置位置により、前記冷却ドラムと前記溶融金属との接触開始点が決定されることになり、冷却ドラムと溶鋼との接触弧長が確保されて冷却条件が安定し、薄肉鋳片を安定して製造することができる。
ここで、本発明の薄肉鋳片の製造方法においては、前記冷却ドラムと前記溶融金属との接触開始点と、前記冷却ドラムの回転軸心を結ぶ線をイとし、前記ドラムキス点と前記冷却ドラムの回転軸心を結ぶ線をロとし、線イと線ロBのなす角度をθとし、角度θを90°<θ<180°の範囲内とすることが好ましい。(図4参照)
この場合、前記角度θをθ>90°とすることにより、前記接触開始点における冷却ドラムの回転方向が鉛直下方へ向かう成分を有するので、前記接触開始点で生成した結晶核が下方に排出され、冷却ドラム間に巻き込まれることを的確に抑制でき、等軸晶の生成をさらに抑制することができる。また、前記角度θを、θ<180°とすることにより、湯面高さや溶鋼温度の変動が生じても凝固開始点に大きく影響せず、安定して凝固シェルを形成することができる。
さらに、本発明の薄肉鋳片の製造方法においては、前記保護カバーの配置位置を変更することにより、前記冷却ドラムと前記溶融金属との接触開始点を調整する構成とすることが好ましい。
この場合、前記保護カバーの配置位置を変更することによって、前記冷却ドラムと前記溶融金属との接触開始点を調整することから、鋳造条件に応じて、溶融金属と冷却ドラムとの接触弧長を調整することができ、薄肉鋳片をさらに安定して鋳造することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、鋳片の全長にわたって柱状晶率が高く、かつ、欠陥の少ない高品質な薄肉鋳片を安定して製造することができる薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態における薄肉鋳片の製造装置の概略説明図である。 図1に示す薄肉鋳片の製造装置の断面説明図である。(a)がA-A断面図、(b)がB-B断面図、(c)がC-C断面図である。 本発明の実施形態における薄肉鋳片の製造装置の上面説明図である。 図3における冷却ドラム周辺の拡大図、及び、D-D断面図である。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である薄肉鋳片の製造方法においては、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼からなる薄肉鋳片1を製造するものとされている。
さらに具体的には、本実施形態において製造される薄肉鋳片1は、無方向性電磁鋼板として用いられるものである。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が300mm以上2000mm以下の範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
本実施形態における薄肉鋳片の製造装置10は、図1に示すように、取鍋11からロングノズル13を介して供給された溶鋼を貯留するタンディッシュ15と、タンディッシュ15内に配置された一対の冷却ドラム21、21と、タンディッシュ15内に配置された冷却ドラム21の外周面の一部及び側面を覆う保護カバー25と、タンディッシュ15の上方に配置されたピンチロール27,27とを備えている。
タンディッシュ15は、図1及び図3に示すように、ロングノズル13を介して溶鋼3が供給される溶鋼供給部15Aと、この溶鋼供給部15Aと仕切板16によって区画された溶鋼貯留部15Bとを備えている。このように、仕切板16によって溶鋼供給部15Aと溶鋼貯留部15Bとを区画することにより、溶鋼供給部15Aにロングノズル13を介して溶鋼3が供給された場合であっても、溶鋼貯留部15Bの湯面が波立つことを抑制することが可能となる。
冷却ドラム21は、図1から図4に示すように、タンディッシュ15の溶鋼貯留部15Bにおいて、その軸線が、タンディッシュ15内に貯留された溶鋼3の湯面よりも下方に位置するように浸漬配置されている。
ここで、溶鋼貯留部15Bの湯面の波立ちによる、凝固への影響を抑制するためには、冷却ドラム21の軸線の浸漬深さhの下限は10mm以上とすることが好ましく、15mm以上とすることがさらに好ましい。一方、冷却ドラム21の軸線の浸漬深さhの上限は、冷却ドラム21の半径未満とすることが好ましい。
保護カバー25は、図1から図4に示すように、冷却ドラム21の側面を覆う側面カバー部25Aと、冷却ドラム21の外周面の一部を覆う外周面カバー部25Bと、を備えている。
側面カバー部25Aは、図1に示すように、冷却ドラム21,21の軸部が挿通された構造とされている。
また、本実施形態においては、保護カバー25(外周面カバー部25B)の配置位置により、冷却ドラム21の外周面と溶鋼3との接触開始点Pが決定される構成とされている。すなわち、この保護カバー25(外周面カバー部25B)の配置位置によって、溶鋼3と冷却ドラム21との接触弧長が決定されることになる。
ここで、本実施形態においては、図4に示すように、冷却ドラム21と溶鋼3との接触開始点Pと、冷却ドラム21の回転軸心とを結ぶ線をイとし、ドラムキス点KPと冷却ドラム21の回転軸心とを結ぶ線をロとし、線イと線ロのなす角度をθと定義した場合、角度θを、90°<θ<180°の範囲内とすることが好ましい。
なお、凝固開始時点で生成した結晶核が下方に排出されて冷却ドラム21,21間に巻き込まれることを抑制し、等軸晶の生成をさらに安定して抑制するために、上述の角度θの下限は、95°以上とすることがさらに好ましく、100°以上とすることがより好ましい。一方、湯面高さや溶鋼温度の変動による、凝固への影響をより抑制するために、上述の角度θの上限は、170°以下とすることがさらに好ましく、160°以下とすることがより好ましい。
また、本実施形態においては、保護カバー25(外周面カバー部25B)が、冷却ドラム21の外周面に沿って周方向に移動可能な構成とされており、冷却ドラム21の外周面と溶鋼3との接触開始点P、及び、溶鋼3と冷却ドラム21との接触弧長を、調整することが可能な構成とされている。
次に、上述した薄肉鋳片の製造装置10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
タンディッシュ15の溶鋼貯留部15Bに浸漬された一対の冷却ドラム21,21を、一対の冷却ドラム21,21の外周面に形成された凝固シェル5を上方に引き上げるように、それぞれ回転させる。
すると、保護カバー25(外周面カバー部25B)の配置位置によって決定された冷却ドラム21と溶鋼3との接触開始点Pを起点として、冷却ドラム21の外周面には、凝固シェル5が形成される。
そして、冷却ドラム21の外周面の上で凝固シェル5が成長し、一対の冷却ドラム21,21にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点KPで圧着されることにより、薄肉鋳片1が鋳造される。
そして、得られた薄肉鋳片1は、ピンチロール27,27によって挟持されて上方に向けて引き抜かれる。
以上のようにして、所定厚みの薄肉鋳片1が連続的に製造されることになる。
なお、本実施形態である薄肉鋳片の製造方法によって製造された薄肉鋳片1においては、薄肉鋳片1の全長にわたり、冷却ドラム21の10回転毎(例えば冷却ドラム21の半径Rが0.3mの場合は、18.8mピッチ)で、薄肉鋳片1の全幅をサンプリングし、トリム代となる両端各20mmを除く幅方向の全断面の金属組織を観察した場合に、薄肉鋳片1の厚みに占める柱状晶厚の比率の最小値は通常95%超である。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法によれば、タンディッシュ15内に貯留された溶鋼3の湯面よりも下方に軸線が位置するように浸漬配置された一対の冷却ドラム21,21と、タンディッシュ15内に配置された冷却ドラム21,21の外周面の一部及び側面を覆う保護カバー25と、を備えており、一対の冷却ドラム21,21に形成された凝固シェル5を上方に引き上げるように、それぞれの冷却ドラム21,21を回転させ、一対の冷却ドラム21,21の外周面にそれぞれ形成された凝固シェル5,5同士をドラムキス点KPで圧着し、製造された薄肉鋳片1を上方に向けて引き抜く構成とされているので、冷却ドラム21と溶鋼3との接触点等で発生した結晶核が冷却ドラム21近傍で滞留することがなくなり、等軸晶の発生を抑えることが可能となる。よって、全長にわたって柱状晶率が安定した薄肉鋳片1を製造することができる。また、湯面上に発生したスカムが薄肉鋳片1に巻き込まれることがなく、高品質な薄肉鋳片1を製造することができる。
そして、溶鋼3が貯留されたタンディッシュ15内に、一対の冷却ドラム21,21を、冷却ドラム21,21の軸線が溶鋼3の湯面よりも下方に位置するように浸漬配置し、冷却ドラム21の外周面の一部及び側面を覆う保護カバー25を配置しているので、湯面変動等が生じた場合であっても、冷却ドラム21,21間に溶鋼3を十分に安定して供給することができ、安定して薄肉鋳片1を製造することが可能となる。
また、保護カバー25(外周面カバー部25B)の配置位置により、冷却ドラム21と溶鋼3との接触開始点Pが決定されるので、冷却ドラム21と溶鋼3との接触弧長が確保され、冷却条件が安定し、薄肉鋳片1を安定して製造することができる。
なお、保護カバー25の外周面カバー部25Bは、冷却ドラム21の外周面の一部を覆うことで、凝固開始点Pの位置を制御する機能を受け持ち、保護カバー25の側面カバー部25Aは、冷却ドラム21の側面を覆うことで、サイドシールの機能を受け持っている。保護カバー25の、冷却ドラム21の外周面の一部を覆う部分(外周面カバー部25B)と側面を覆う部分(側面カバー部25A)とは、一体で構成されてもよく、別体で構成されてもよいが、一体で構成されたほうが、冷却ドラム21の外周面の一部を覆う部分と側面を覆う部分との隙間が生じて、溶鋼3が差し込んで凝固するトラブルを、より安定的に防ぐことが可能となり好ましい。また、冷却ドラム21の側面を覆うに際しては、必ずしも側面全面を覆う必要はなく、溶鋼3が冷却ドラム21の側面に接しないように覆っていればよい。
さらに、本実施形態において、冷却ドラム21と溶鋼3との接触開始点Pと、冷却ドラム21の回転軸心とを結ぶ線をイとし、ドラムキス点KPと冷却ドラム21の回転軸心とを結ぶ線をロとし、線イと線ロのなす角度をθと定義した場合、角度θを、θ>90°とした場合には、接触開始点Pにおける冷却ドラム21の回転方向が下方成分を有しており、接触開始点Pで生成した結晶核が下方に排出されることになり、冷却ドラム21,21の間に結晶核が巻き込まれることを抑制でき、等軸晶の生成をさらに抑制することができる。
一方、角度θを、θ<180°とした場合には、タンディッシュ15の溶鋼貯留部15Bにおいて湯面変動が生じても、凝固開始点Pに大きく影響せず、冷却ドラム21の外周面に、安定して凝固シェル5を形成することができる。
さらに、本実施形態においては、保護カバー25(外周面カバー部25B)の配置位置を変更することによって、冷却ドラム21と溶鋼3との接触開始点Pを調整する構成とした場合には、鋳造条件に応じて、溶鋼3と冷却ドラム21との接触弧長を調整することができる。これによって、溶鋼3の温度むら等の影響によって、薄肉鋳片1の板厚が僅かに変動しても、保護カバー25(外周面カバー部25B)の移動によって、該接触弧長を微調整することで、板厚変動をキャンセルするように調整することができ、薄肉鋳片1をさらに安定して鋳造することが可能となる。
また、本実施形態において、冷却ドラム21の軸線の浸漬深さhを10mm以上とした場合には、タンディッシュ15の溶鋼貯留部15Bにおいて湯面変動が生じても、鋳造を安定して実施することができる。
一方、冷却ドラム21の軸線の浸漬深さhを冷却ドラム21の半径未満とすることにより、保護カバー25を簡易な構成としても、鋳造を安定して行うことができる。
さらに、本実施形態においては、タンディッシュ15に冷却ドラム21,21が浸漬配置され、上方に向けて薄肉鋳片1を引き抜く構成とされているので、薄肉鋳片の製造装置10を導入する場合に、設備高さを低く抑えることができる。よって、引用文献1,2に開示されたように、薄肉鋳片を下方に引き抜く構造の薄肉鋳片の製造装置に比べて、導入コストを低減することができる。
また、本実施形態である薄肉鋳片の製造方法によって製造された薄肉鋳片1は、上述のように、薄肉鋳片1の厚みに占める柱状晶厚の比率の最小値が95%超えとされているので、この薄肉鋳片1を圧延して再結晶させた場合に、板厚方向に(100)Cube方位が強く集積した鋼板を得ることができる。よって、無方向性電磁鋼板の素材として特に適している。
以上、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、タンディッシュに、一対の冷却ドラムを浸漬配置したものとして説明したが、これに限定されることはなく、複数の一対の冷却ドラムを浸漬配置し、複数の薄肉鋳片を鋳造する構成としてもよい。これにより、薄肉鋳片の製造効率を大幅に向上させることができる。
次に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
以下に示す比較例1,2、及び、本発明例の薄肉鋳片の製造装置を用いて、C;0.003mass%、Si;1.0mass%、Al;0.2mass%、Mn;0.2mass%を含有し、その他不可避的不純物からなる薄肉鋳片(厚さ2.0mm)を鋳造した。なお、比較例1,2、及び、本発明例の共通の条件を以下に示す。
冷却ドラム:直径300mm、幅700mm、鉄鋼心材に銅合金スリーブ+Niめっき
サイドシール部材:窒化ボロン製
湯面制御:光学カメラでセンシングして溶鋼供給量を制御
<比較例1>
引用文献1,2に示すように、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼プール部に溶鋼を供給し、一対の冷却ドラムに形成された凝固シェルを下方に引き下げるように、それぞれの冷却ドラムを回転させ、薄肉鋳片を下方に引き抜く構成の薄肉鋳片の製造装置を用いた。
なお、鋳造速度は、冷却ドラムと溶鋼との接触弧長を考慮して、40m/分とした。
<比較例2>
引用文献3の第1図に示すように、タンディッシュの湯面上に一対の冷却ドラムを配設し、タンディッシュ内の上部位置で冷却ドラムの下方に配設した磁界発生装置を用いて溶鋼を一対の冷却ドラム間に下方から供給し、薄肉鋳片を上方に引き抜く構成の薄肉鋳片の製造装置を用いた。
なお、鋳造速度は、冷却ドラムと溶鋼との接触弧長を考慮して、80m/分とした。
<本発明例>
本実施形態に記載された構成の製造装置を用いた。
なお、鋳造速度は、冷却ドラムと溶鋼との接触弧長を考慮して、80m/分とした。
比較例1,2、及び、本発明例で得られた薄肉鋳片について、以下の項目について評価した。
まず、薄肉鋳片の表面を目視観察し、鋳片表面の割れの単位面積当たりの個数(個/m)を評価した。評価結果を表1に示す。
また、得られた薄肉鋳片の板厚変動を評価した。評価結果を表1に示す。
ここで、板厚変動の評価方法について述べる。薄肉鋳片の全長にわたり、幅中央および1/4幅部の、鋳造長方向の板厚を、レーザー板厚計を用いて測定し、平均厚さ(2.0mm)に対する偏差を、板厚変動の評価指標とした。
さらに、得られた薄肉鋳片の柱状晶率を測定した。薄肉鋳片の全長にわたり、冷却ドラムの10回転毎(例えば冷却ドラムの半径Rが0.3mの場合は、18.8mピッチ)で、薄肉鋳片の全幅をサンプリングし、トリム代となる両端各20mmを除く幅方向の全断面の金属組織を観察し、板厚に占める柱状晶厚の比率の最小値を、その鋳造における柱状晶率とした。評価結果を表1に示す。
また、得られた薄肉鋳片から両端20mmをトリムし、酸洗し、トータル冷間圧下率75%で圧延し、1000℃×30秒の焼鈍を行い、さらに皮膜処理を行うことにより、板厚0.5mm×幅660mmの無方向性電磁鋼板を製造した。
得られた無方向性電磁鋼板について、JIS C 2550のエブスタイン法により、L/C方向の平均値をとって磁束密度を評価した。評価結果を表1に占めす。
Figure 0007127505000001
比較例1においては、溶鋼プール部の湯面に生じたスカムの巻き込みにより、鋳片表面割れ(単位面積当たりの割れの個数)が100個/m確認された。また、湯面変動に起因して±8%の板厚変動が確認された。金属組織は、板厚中心部に等軸晶が存在しており、柱状晶率が70~90%であった。そして、等軸晶の影響により、磁束密度(B50)が1.745Tとなった。
比較例2においては、薄肉鋳片を安定して製造することができなかった。このため、金属組織、磁気特性、板厚変動、鋳片表面割れの評価は実施できなかった。
これに対して、本発明例においては、鋳片表面割れは0個/mであった。また、板厚変動は±2%以内で、比較例にくらべて僅少であって、板厚がより安定していた。金属組織は、柱状晶率が100%であった。そして、磁束密度(B50)が1.765T以上となった。
以上のことから、本発明例によれば、鋳片の全長にわたって柱状晶率が高い薄肉鋳片を安定して製造できることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼
5 凝固シェル
15 タンディッシュ
21 冷却ドラム
25 保護カバー
25A 側面カバー部
25B 外周面カバー部

Claims (3)

  1. 回転する一対の冷却ドラムの外周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    溶融金属が貯留されたタンディッシュ内に、一対の前記冷却ドラムを、前記冷却ドラムの軸線が前記溶融金属の湯面よりも下方に位置するように浸漬配置し、
    前記タンディッシュ内に、前記冷却ドラムの外周面の一部及び側面を覆う保護カバーを配置し、
    前記凝固シェルを上方に引き上げるように、それぞれの冷却ドラムを回転させ、一対の前記冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で圧着し、製造された薄肉鋳片を上方に向けて引き抜くことを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
  2. 前記冷却ドラムと前記溶融金属との接触開始点と、前記冷却ドラムの回転軸心を結ぶ線をイとし、前記ドラムキス点と前記冷却ドラムの回転軸心を結ぶ線をロとし、線イと線ロのなす角度をθとし、90°<θ<180°の範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造方法。
  3. 前記保護カバーの配置位置を変更することにより、前記冷却ドラムと前記溶融金属との接触開始点を調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造方法。
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JPS58159949A (ja) * 1982-03-19 1983-09-22 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 薄板の連続鋳造装置

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