JP3074148B2 - 動物繊維の改質法 - Google Patents

動物繊維の改質法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物繊維の改質
法、特に、動物繊維のスケール角質層を変質させ、動物
繊維の風合、触感、光沢等を改良する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】羊毛におけるスケールす角質層の除去は
業界長年の目的であり、種々の方法が提案されてきた
が、その殆どが強力な酸化剤の使用による酸化作用によ
りスケール角質層を剥離、破壊することを目的としてき
た。しかし、この方法は羊毛本体とスケール角質層の区
別がつけ難く、羊毛本体の脆化黄変も同時にきたす欠点
がある。羊毛本体の脆化黄変を防止すると、スケール角
質層の除去は充分でなく、本来の目的を達成するには不
充分な結果となる。
【0003】また、スケール角質層の酸化分解除去は酸
化剤溶液中で急激な酸化ガス発生により、接触的酸化分
解を行うため、羊毛糸、織物、編物等で羊毛繊維が密に
絡んだ内部迄酸化ガスを接触させることは不可能に近
い。従って、羊毛糸、織物、編物等に種々の方法で酸化
剤を作用させても、羊毛糸外層の単繊維のスケール角質
層を除去できても、内層単繊維のスケール角質層は殆ど
除去されず、この点でも、本来の目的は達成されない。
【0004】なお、スケール角質層を物理的、機械的に
除去する方法も提示されているが、この方法は設備コス
ト等の面で利用分野が限定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の問題点を解決し、羊毛等の動物繊維のスケー
ル角質層による欠点、例えば触感(チクリ感)、縮絨性
(フェルト化が生じやすい)、光沢(平滑性に欠けるた
め光沢がない)等を改良し、動物繊維を下着及び外衣の
あらゆる分野で衣料として風合よく利用可能とする方法
を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、ハロゲン化
ソーダ及びハロゲン酸ソーダからなる群から選ばれる少
なくとも一種の塩素化合物と少なくとも一種の臭素化合
物の混合物を動物繊維のスケール角質層に吸着させ、そ
の後、カルボン酸溶液で緩やかな酸化を行し、次いで、
燐酸ソーダ塩と還元剤で処理し、スケール角質層部分を
可溶ゲル化するという方法で、上記課題を解決した。
【0007】かかる方法では、動物繊維の粗密に関係な
く、スケール角質層が変質し、非常に薄い被膜となり、
動物繊維表面を覆うものとなる。その結果、処理後の動
物繊維は、表面が平滑で光沢のよいものとなり、しか
も、動物繊維の繊維本体は何ら影響を受けないので、風
合よく、動物繊維本来の形状保持性、強力、弾性等を保
持した、非常に扱い易い製品となる。
【0008】本発明の具体的な方法は次の通りである。
まず、第一工程では、動物繊維にハロゲン化ソーダとハ
ロゲン酸ソーダからなる群から選ばれる少なくとも一種
の臭素化合物と少なくとも一種の塩素化合物の混合水溶
液に十分浸透させた後、該動物繊維をカルボン酸水溶液
に浸漬し、穏やかな酸化を行い、その後、水洗する。こ
の工程では、動物繊維のスケール角質層の形状には、変
化が認められないが、続く第二工程でスケール角質層の
溶融ゲル化が可能となる。なお、前述の臭素化合物と塩
素化合物の混合水溶液の代わりに、臭化ソーダと次塩化
シアヌル酸ソーダを反応させて得ることができる臭化シ
アヌル酸の水溶液を使用することもできる。
【0009】続く第二工程は、第一工程で処理された動
物繊維を燐酸ソーダ塩と還元剤の混合溶液で処理するも
ので、この工程で、スケール角質層はゼリー状の溶融物
質となり、その後、中和水洗し、乾燥することにより、
改質された角質層が繊維本体を薄い被膜として均一に覆
うものとなる。その結果、動物繊維はスケールの存在し
ない、表面が平滑な、縮絨性のない、光沢及び触感に優
れた製品となるのである。
【0010】第一工程では、例えば塩化ソーダ、臭化ソ
ーダ、臭素酸ソーダ、次亜臭素酸ソーダ、塩化シアヌル
酸ソーダ、二塩化シアヌル酸ソーダ等から選ばれる塩素
化合物と臭素化合物を併含する水溶液又は臭化シアヌル
酸の水溶液に、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ソー
ダ、エチレンオキシアルキルエーテル等の界面活性剤を
加え、羊毛繊維を充分浸透し、残存水分率が約1:1と
なるように絞り、次いで、カルボン酸水溶液に浸漬し、
例えば10〜12時間緩やかな酸化を行い、その後、充
分な水洗をする。
【0011】この工程では、ハロゲン化合物中、特に臭
素化合物の効果が大であることが認められており、臭素
化合物を主とし、これに塩素化合物を添加することによ
り、スケール角質層のみを改質することが可能となる。
この工程における塩素化合物と臭素化合物の併用割合
は、重量比率で1:1〜6、特に1:2〜5程度である
のが好ましい。なお、前述した如く、臭化シアヌル酸を
単独で使用することも可能である。通常、処理液として
は、これらの薬剤を、1〜3%程度含有する水溶液を使
用すればよい。
【0012】また、第一工程で酸化反応に使用するカル
ボン酸は、蓚酸、クエン酸、酒石酸など炭素数2〜6程
度の脂肪族カルボン酸であるのが好ましい。
【0013】次に、第二工程では、第一工程で処理され
た動物繊維を、燐酸ソーダ塩と亜ジチオン酸ナトリウム
等の還元剤との混合溶液に10〜12時間浸漬し、第一
工程で変質した角質層をゼリー状の溶融物質とする。そ
の後、中和水洗、乾燥するすることにより、改質された
角質層は繊維本体に薄い被膜として均一平滑に残留す
る。その結果、動物繊維は、スケールは全く存在せず、
単に平滑な極薄被膜が繊維本体を被覆し、動物繊維の欠
点が全て改良された、縮絨性のない光沢触感の非常に優
れた繊維となるのである。
【0014】このようにした得た製品は、更に、可溶ゲ
ル化された角質層に反応型高分子化合物(グリオキザー
ル等)を架橋結合させることにより、動物繊維の形体保
持性、強力、弾性等の繊維性能を更に高度化させること
が可能である。
【0015】天然繊維(綿・麻・絹・羊毛等)の日常性
向上のため型体記憶加工として古くから種々の樹脂加工
が行われており、セルローズ繊維については繊維、−O
H基と各種反応型樹脂加工剤との架橋結合等を利用して
成果をあげるいるが、動物繊維に関しては繊維を構成す
るアミノ酸の種類が多種にわたり、−N基の形体も種々
であるため、セルローズ繊維程の成果が見られていな
い。
【0016】しかし、前述の如く、二段回の改質加工に
より、角質層をゲル状体とした動物繊維を反応型高分子
化合物と触媒を含む水溶液に浸漬し、該水溶液中で適当
な加温をするか、又は約1:1に絞った後、加熱乾燥
し、その後充分な水洗乾燥を行うことにより、防縮、弾
性、型体保持性等の日常性に非常に優れた動物繊維を得
ることができることとなる。
【0017】
【作用】本発明の方法は、動物繊維のスケール角質層を
特定の塩素化合物と臭素化合物の混合物で処理し、次い
でカルボン酸で酸化処理し、更に、燐酸ソーダ塩と還元
剤により角質層を溶融ゲル化し、動物繊維本体表面に均
一平滑な被膜として付着させることにより、動物繊維本
体の脆化や変色を全く起こさず、スケール角質層の持つ
欠点を除去することができるのである。更に、ゲル化し
た角質層に反応型高分子化合物を架橋結合させることに
より、動物繊維の日常性をより高めることも可能とな
る。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施例に従って更
に詳しく説明するが、本発明はこれによって限定される
ものではない。なお、実施例において、%とあるのは、
特に断らない限り重量%を示す。
【0019】
【実施例】
実施例1 ニュージーランド産羊毛46番平クラス(35.1〜3
7.0ミクロン)100mを、臭化ソーダ1.5%、塩
化シアヌル酸ソーダ0.5%及び界面活性剤0.5%を
含む水溶液に、常温、浴比1:10で30分間浸漬した
後、1:1の重量比に絞り、次いでクエン酸1%水溶液
に、浴比1:20で浸漬し、常温で8〜10時間緩やか
な酸化を行った後、充分水洗し、脱水した。このように
して処理した製品を、ピロ燐酸ソーダ1%と亜ジチオン
酸ナトリウム0.5%を含む水溶液に、常温、浴比1:
20で8〜10時間浸漬し、羊毛スケールを完全に溶融
ゲル化した。中和水洗乾燥により、ゲル化したスケール
(角質層)は薄い均一な被膜となり、羊毛本体表面を覆
った。このようにして処理した羊毛に、10分間フェル
ト加工ハーダー処理を行っても全く固まらなかった。こ
れに対して、未処理の羊毛は30秒間のフェルト加工ハ
ーダー処理で完全に固形化する。このことから、本発明
の方法で処理した製品は、羊毛スケールが完全に平滑な
被膜となり、羊毛繊維の縮絨性が完全に消失したことが
わかる。
【0020】実施例2 オーストラリア産メリノ種羊毛(21.3ミクロン)で
編み立てた編物を、次亜臭素酸ソーダ2%と塩化シアヌ
ル酸ソーダ0.5%を含む水溶液に、常温、浴比1:2
0で30分間浸漬した後、1:1の重量比に絞り、修酸
1%水溶液に、浴比1:20で浸漬し、常温で8〜10
時間処理した後、水洗脱水し、次いで、ピロ燐酸ソーダ
1%とジチオン酸ナトリウム0.5%を含む水溶液に、
常温、浴比1:20で8〜10時間浸漬後、中和水洗乾
燥した。このようにして処理した編物は光沢触感の非常
に優れており、編物を構成する糸の内層外層とも完全に
スケールは消失し、角質層が均一平滑な被膜として、羊
毛本体を被覆していることが顕微鏡下で確認された。ま
た、この製品は、洗濯機で数回洗っても収縮率は1%以
下であり完全に近い耐収縮性の羊毛編物を得ることがで
きた。
【0021】実施例3 実施例1で処理された乾燥前(角質層の溶融ゲル状物が
乾燥する前)の羊毛を、グリオキザール3%と燐酸アン
モン0.5%を含む水溶液に、浴比1:20で浸漬した
後、1:1の重量比に絞り、60℃30分間の加熱後、
水洗脱水乾燥した。その結果、羊毛は光沢触感に優れ、
防縮、弾性、型体保持性に富んだ羊毛糸となった。
【0022】実施例4 臭化ソーダ10%の水溶液100ccに、次塩化シアヌ
ル酸ソーダ10%の水溶液200ccを加えると、臭化
シアヌル酸の白色結晶体を得ることができる。この結晶
体の水溶液はpH7以下であり、この結晶粉末1.5%
を、実施例1の臭化ソーダ1.5%と塩化シアヌル酸ソ
ーダ0.5%の代わりに使用し、実施例1の方法を実施
したところ、実施例1と全く全様の結果を得ることがで
きた。
【0023】
【発明の効果】本発明では、羊毛等の動物繊維のスケー
ル角質層が変質し、スケールの形状がなくなり、繊維表
面には、角質層の極薄い被膜が形成されるため、動物繊
維はスケールの存在による触感(チクリ感)や縮絨性
(フェルト化が生じやすい)の消失した、表面が平滑
な、非常に風合のよい、製品となる。その結果、本発明
の製品は、従来動物繊維が使用できなかった、下着や外
衣のあらゆる分野で衣料として風合よく利用可能とな
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) 動物繊維を、ハロゲン化ソーダ及び
    ハロゲン酸ソーダ塩からなる群から選ばれる少なくと一
    種の塩素化合物と少なくとも一種の臭素化合物の混合物
    又は臭化シアヌル酸のいずれかを含む水溶液で処理し、
    その後、カルボン酸で酸化処理し、更に、(2) 燐酸ソー
    ダ塩と還元剤を含む処理液で処理することを特徴とする
    動物繊維の改質法。
  2. 【請求項2】 前記(1) で使用する水溶液に界面活性剤
    が含まれる請求項1の動物繊維の改質法。
  3. 【請求項3】 前記(2) の処理をした後、乾燥すること
    なく、動物繊維表面の角質層に反応型高分子化合物を架
    橋結合させることを特徴とする請求項1又は2の動物繊
    維の改質法。
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