JP3073124B2 - 部分放電試験における空中伝搬雑音防止装置 - Google Patents

部分放電試験における空中伝搬雑音防止装置

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JP3073124B2 JP05333380A JP33338093A JP3073124B2 JP 3073124 B2 JP3073124 B2 JP 3073124B2 JP 05333380 A JP05333380 A JP 05333380A JP 33338093 A JP33338093 A JP 33338093A JP 3073124 B2 JP3073124 B2 JP 3073124B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム・プラスチック絶
縁ケーブル等の被試験物の部分放電試験に適用するのに
好適な、部分放電試験における空中伝搬雑音防止装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、絶縁ケーブルの部分放電試験
を高電圧露出型で実施する場合、論理制御雑音弁別器を
用いて回路的な雑音消去法を行い、雑音除去対策として
いた。この種の雑音除去対策の施された従来の部分放電
試験装置の例を図6に示す。図6では、ゴム・プラスチ
ック絶縁ケーブル等の被試験物10はその導体と遮蔽層
間の等価容量Cxで示している。試験用変圧器12の2
次巻線は、コンデンサやリアクトルからなるフィルタ1
4を介して前記被試験物10の導体に接続されており、
前記被試験物10の他方極には、部分放電試験器(部分
放電測定器ともいう)18が接続される。
【0003】この部分放電試験器18にはゲートスイッ
チ20が設けられ、このゲートスイッチ20を介して測
定信号がシンクロスコープ22に入力される。また、前
記ゲートスイッチ20はその作動により雑音除去を行う
ものであり、論理制御雑音弁別器26の出力で制御され
る。その論理制御雑音弁別器26の端子Aは、前記被試
験物10他方極からの信号経路に(前記部分放電測定器
18内で)接続され、また、他の端子Bは、前記被試験
物10の一方極に結合コンデンサ27を介して接続され
る。
【0004】前記のような構成の部分放電試験装置にお
いて、試験用変圧器で被試験物10に高電圧を印加した
際に、被試験物10で発生する放電パルス28は、部分
放電試験器18に入力され、シンクロスコープ22に表
示される。その表示から部分放電を測定する。この測定
に際して、測定回路に侵入する外部雑音30は、そのま
ま測定したのでは、前記放電パルス28と同様に、部分
放電測定器18等により測定されてしまう。そこで、前
記の外部雑音30は、前記論理制御雑音弁別器26で次
のように除去する。
【0005】すなわち、外部雑音30は、部分放電試験
器18に入ると同時に、論理制御雑音弁別器26のA端
子にも入る。また同時に、外部雑音30は、検出インピ
ーダンス24で検出されて論理制御雑音弁別器26のB
端子にも入る。このように、A、B端子に同時に同極性
の信号が入ると、論理制御雑音弁別器26は、OFF信
号を出力して、このOFF信号が部分放電試験器18の
ゲートスイッチ20をOFFにする。そのため、外部雑
音30は部分放電試験器18等に入らず、測定されな
い。なお、前記被試験物10に生じる測定パルス28
は、A端子のみ入り、同時にB端子に入らないためゲー
トスイッチ20はONのままである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、外部雑音の
侵入源は、i)空中伝搬、ii)電源リードからの伝搬、
iii)接地からの伝搬に大別される。しかしながら、前
記の従来の雑音除去対策ではii)、iii)の主に静電的
に伝搬される雑音に対して有効なものであると考えられ
るが、空中伝搬される雑音に対しては、前記の論理制御
雑音弁別器26のA端子、B端子に同時に雑音が侵入し
ないときには有効なものでない場合がある。また、侵入
する雑音が多い場合には前記論理制御雑音弁別器26が
働き続けてしまって、放電試験信号までも、消去される
場合がまれに生じるという問題点もある。
【0007】本発明は前記従来の問題点を解消するべく
なされたものであって、空中伝搬雑音を確実に除去し、
高感度の優れた部分放電試験を可能にする空中伝搬雑音
防止装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、被試験物に高電圧を印加してその部分放電
を試験する部分放電試験において、試験用の高電圧を発
生する高電圧発生器と、高電圧発生器から被試験物に至
る高電圧伝達経路に配設される高圧電源フィルタと、前
記被試験物に接続されて被試験物の部分放電を検出する
部分放電検出器と、前記高電圧発生器から部分放電検出
器に至る経路に外部から部分放電検出器中に侵入する雑
音を除去する論理制御弁別器とを有し、空中伝搬信号を
遮蔽可能な遮蔽部材で、前記高電圧発生器、高圧電源フ
ィルタおよび被試験物の高電圧の印加端に至る高電圧経
路の露出している部分を外部から遮蔽し、かつ、被試験
物の印加端のみを遮蔽し他の部分は外部に置くことを特
徴とする部分放電試験における空中伝搬雑音防止装置の
構成を有する。
【0009】
【作用】発明者は、部分放電試験において、空中伝搬さ
れる雑音をいかにして除去するか種々の検討を行った。
前記図6に部分放電試験の設備において、回路的な雑音
除去は、論理制御雑音弁別器により行っているが、それ
だけでは、空中伝搬雑音を十分に除去できないことが下
記のように分かった。
【0010】図2の波形例により、論理制御雑音弁別器
により雑音除去した際の部分放電検出器の検出状態を説
明する。図2の(a)は雑音を除去しない状態の波形
で、(b)は、同条件下でこの信号を論理制御雑音弁別
器により雑音を除去した波形である。(a)においては
ベース雑音と突発的な雑音のいずれも大きいが、(b)
ではベース雑音は除去前の1/5程度に小さくなってい
る。しかしながら、除去しきれない突発的な雑音が検出
される。また、雑音が多い場合は図2の(c)に示すよ
うに、前記論理制御雑音弁別器が作動し続けて検出波形
がカットされてしまう。また、突発的な雑音に対する通
常の論理制御雑音弁別器の追従性は、論理制御雑音弁別
器の最大作動間隔が7μ秒程度であることから、(1/
7)×106(Hz)以上の周波数の雑音を除去するこ
とができないものである。
【0011】発明者は、空中伝搬雑音は高電圧発生器か
ら部分放電検出器に至る経路のうちの一部がアンテナの
作用をして当該経路に侵入するものであるとの考えに至
り、その雑音の侵入を排除するには、該経路を外部から
電磁波シールド材等の遮蔽部材で遮蔽する必要があると
発想したものである。
【0012】遮蔽部材による遮蔽の作用を知るため、空
中伝搬雑音の侵入する部分の一つと考えられる結合コン
デンサに対して、遮蔽部材により取り囲んで遮蔽した際
の外部雑音除去効果を確認した。結合コンデンサ27は
図3の(a)のように結線する。この場合、被試験物1
0を模して結合コンデンサ(例えば2000PF)27
にコンデンサ(例えば2000PF)50を繋ぐ。この
結合コンデンサ27の周囲を取り囲んで、遮蔽部材の金
属箔(符号38で示す)で遮蔽しない場合を図2の
(b)に、遮蔽した場合を(c)にそれぞれの雑音状況
を示す。この図2(b)、(c)から、遮蔽部材38で
結合コンデンサを取り囲んで電磁遮蔽すれば空中伝搬す
る外部雑音が部分放電検出器18に侵入することをかな
り防止できることが理解される。また、遮蔽部材は静止
して作用するものであるため、論理制御雑音弁別器のよ
うな作動速度による制限はなく常時に雑音を除去できる
ものである。したがって、前記図2の(b)に示したよ
うな突発的な雑音に対して効果的に除去作用を果たすも
のである。
【0013】上記の種々の考察から本発明はなされたも
のである。本発明によれば、論理制御雑音弁別器により
部分放電検出器に侵入する雑音を除去すると共に、遮蔽
部材で、前記高電圧発生器、高圧電源フィルタおよび被
試験物の高電圧の印加端に至る高電圧経路の露出してい
る部分を外部から遮蔽するので、前記論理制御雑音弁別
器では除去できない、空中伝搬雑音信号(特に突発的な
雑音信号)を高電圧経路の露出している部分の内部に伝
搬させず、部分放電試験器に検出されることを確実に防
止することが可能になる。したがって、空中伝搬雑音信
号を部分放電試験において確実に除去することができ
る。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図1は本発明に係る部分放電試験における
空中伝搬雑音防止装置の第1実施例である。図4は実施
例の空中伝搬雑音防止装置の外観図である。図1、図4
中前記図6と同様の部分には同一の符号を付してその説
明を略する。
【0015】図1に示すように、第1実施例の空中伝搬
雑音防止装置は、空中伝搬信号を遮蔽する遮蔽部材38
で、高電圧発生器12、高圧電源フィルタ14および被
試験物10の高電圧の印加端に至る高電圧経路の露出し
ている部分を外部から遮蔽するものである。また、被試
験物10は、高電圧用絶縁ケーブルであって、図1で等
価容量Cxで示されており、枠1に巻かれたままの状態
のものを試験する(いわゆる枠試験)。そして図2に示
すようにこの被試験物10の端末には試験用端末40が
接続される。
【0016】高電圧発生器12は試験用の高電圧トラン
スを用いることができ、高電圧フィルタ14はリアクト
ルおよびコンデンサからなるものである。
【0017】遮蔽部材38には、例えば鉄、銅、アルミ
ニウム等の金属を編組して構成された金網、あるいは、
アルミニウム等の金属箔を用いることができる。遮蔽部
材38の配設は、高電圧の経路が覆えて外部から遮蔽可
能であれば適宜の態様で行うことができ、例えば図2に
示すように、遮蔽部材38で他から独立したシールド室
38aを形成し、このシールド室38a中に高電圧発生
器12、高圧電源フィルタ14および被試験物10の試
験用端末40(高電圧の印加端)に至る高電圧経路の露
出している部分が収容される。高電圧の経路には、前記
高電圧発生器12と高電圧フィルタ14、結合コンデン
サ27と高電圧印加端40とのそれぞれの間を導体48
でつないでいる。実施例では、この導体48が裸導体で
あり、これが高電圧経路の露出している部分に含まれ
る。
【0018】第1実施例によれば、論理制御雑音弁別器
26により部分放電検出器18に侵入する雑音を除去す
ると共に、遮蔽部材38で、前記高電圧発生器12、高
圧電源フィルタ14および被試験物10の高電圧の印加
端40に至る高電圧経路の露出している部分を外部から
遮蔽するので、前記論理制御雑音弁別器26では除去で
きない、空中伝搬雑音信号(特に突発的な雑音信号)を
高電圧経路の露出している部分の内部に伝搬させず、部
分放電試験器18に検出されることを確実に防止する。
【0019】また、被試験物10において試験用端末4
0のみがシールド室38a内に収容され、他の部分は枠
1に巻いた状態で外部に置いておけるため、シールド室
38a内に被試験物10を収納する必要はない。したが
って、シールド室は小規模で済み、空間の有効利用がで
きる。また、枠試験を実施できるため、ケーブル等の被
試験物10の取り扱いが容易である。
【0020】次に第2実施例について説明する。この第
2実施例では、部分放電検出器18の測定精度を上げる
目的から、前記(第1の)論理制御雑音弁別器26の他
に、もう一台の(第2の)論理制御雑音弁別器40を設
ける。
【0021】この第2の論理制御雑音弁別器40は、前
記論理制御雑音弁別器18と同機能の本体42と共にO
R回路44を付加したものであって、外部からの雑音を
アンテナ(空中線あるいはアース接続してもよい)46
で受信して、この第1の論理制御雑音弁別器26のOF
F信号がOR回路44を介してゲートスイッチ20に入
るようになっている。これは、第1の論理制御雑音弁別
器18のOFF信号が直接にゲートスイッチ20に入力
されるのではなく、第2の論理制御雑音弁別器40の条
件を加味したものである。第2の論理制御雑音弁別器4
0は、前記アンテナ46から外部雑音が入ったときに本
体42からのOFF信号がOR回路44に入力される。
【0022】したがって、この第2実施例においては、
第1の論理制御雑音弁別器18の出力および前記第2の
論理制御雑音弁別器40の本体42の出力がOR回路4
4に入力されて、そのOR回路44の出力により前記ゲ
ートスイッチ20が作動するため、高電圧発生器12か
ら部分放電検出器18に至る経路に雑音が侵入した場
合、または、アンテナ入力されて雑音が侵入した場合の
いずれか一方または双方の場合に、OR回路44からゲ
ートスイッチ20にOFF信号が出力され、雑音が除去
される。
【0023】なお、前記実施例では本発明は限定される
ものではないし、他の形態の部分放電試験に種々対応可
能なものである。
【0024】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、空中
伝搬雑音を確実に除去し、高感度の優れた部分放電試験
を可能にする。特に突発的な空中伝搬雑音をも確実に除
去して、高精度部分放電試験を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る部分放電試験における空中
伝搬雑音防止装置の第1実施例である。
【図2】本発明を説明するための部分放電試験器の検出
波形例を示し、(a)は雑音除去前のもの、(b)は論
理制御雑音弁別器で除去したもの、(c)は雑音が大き
く論理制御雑音弁別器が連続して作動した例をそれぞれ
示す。
【図3】本発明を説明するための外部雑音の検出例を示
し、(a)は検出構成、(b)は遮蔽部材で遮蔽を設置
していないときの検出波形、(c)遮蔽を設置した際の
検出波形例のそれぞれを示すものである。
【図4】実施例の空中伝搬雑音防止装置の外観図であ
る。
【図5】第2実施例の空中伝搬雑音防止装置の回路構成
図である。
【図6】従来の部分放電試験装置の回路構成図ある。
【符号の説明】
10 被試験物 12 高電圧発生器 14 高圧電源フィルタ 18 部分放電検出器 26 論理制御雑音弁別器 38 遮蔽部材 40 端末(高電圧印加端) 48 導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩瀬 昇 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 (56)参考文献 特開 平1−148979(JP,A) 特開 昭61−251779(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/12 - 31/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被試験物に高電圧を印加してその部分放
    電を試験する部分放電試験において、 試験用の高電圧を発生する高電圧発生器と、 高電圧発生器から被試験物に至る高電圧伝達経路に配設
    される高圧電源フィルタと、 前記被試験物に接続されて被試験物の部分放電を検出す
    る部分放電検出器と、 前記高電圧発生器から部分放電検出器に至る経路に外部
    から部分放電検出器中に侵入する雑音を除去する論理制
    御弁別器とを有し、 空中伝搬信号を遮蔽可能な遮蔽部材で、前記高電圧発生
    器、高圧電源フィルタおよび被試験物の高電圧の印加端
    に至る高電圧経路の露出している部分を外部から遮蔽
    し、 かつ、被試験物の印加端のみを遮蔽し他の部分は外部に
    置くことを特徴とする部分放電試験における空中伝搬雑
    音防止装置。
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