JP3072378B2 - 自動二輪車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、特にエンジン後方に配されるエアクリーナ
ーの下方に比較的大容量のマフラー膨張室を配置した自
動二輪車に関する。

（従来の技術） 近年の傾向として長さの短い所謂ショートマフラーを
備える自動二輪車が出現しているが、斯かる自動二輪車
にあいては、車体前後方向の略中央下部に比較的大容量
のマフラー膨張室が配置される。

一方近年の自動二輪車の中には、後輪を指示するリヤ
アームがリンク機構及び単一のリヤクッションを介して
車体フレームに懸架されているものが多いが、斯かる自
動二輪車にあっては、リヤアームの前端枢着部近傍に配
される前記リンク機構とマフラー膨張室とが干渉するた
めに単一のリヤクッション（所謂モノサス）を採用する
ことができず、リヤアームの後半部と車体フレーム間に
介設される左右一対のリヤクッションを採用せざるを得
なかった。

（発明が解決しようとする課題） ところが、左右一対のリヤクッションを車体後部に配
すると、車体中央部へのマスの集中化が図れず、操縦性
の点で改善の余地が残る。

本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的
とする処は、車体中央部へのマスの集中化を図って操縦
性を高めることができる自動二輪車を提供することにあ
る。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するためは、本発明は、ヘッドパイプ
から後方に向かって延出する左右一対のメインフレーム
と該メインフレームの下方に斜め後下方に向かって延出
するダウンチューブとで囲まれる空間にエンジンを配置
して成る自動二輪車において、前記エンジンを中心とし
てこれの下方の前後にオイルタンクとマフラー膨張室を
それぞれ配置し、車幅方向に幅広の前記オイルタンクを
前記ダウンチューブの屈曲部にダウンチューブの形状に
沿って取り付けて該オイルタンクの下面と前記マフラー
膨張室の下面とを略曲面を成して連続させ、前記左右の
メインフレームの車幅方向に跨る前記マフラー膨張室を
リヤアームの前端ピボットシャフトの下方に該ピボット
シャフトの前後に亘って配置するとともに、マフラーの
サイレンサーを車幅方向一側に偏心させてマフラー膨張
室に接続し、左右の前記リヤアームの前半部に横架され
たクロスメンバーの上面に左右のブラケットを立設して
該ブラケットに単一のリヤクッションの下端を直結する
とともに、該リヤクッションの上端をシート底部の車体
側に直結し、該リヤクッションとエンジンシリンダとの
間に縦長のエアクリーナーをリヤクッション及びミッシ
ョンケースに近接して配したことを特徴とする。

（作用） 本発明によれば、エンジン、オイルタンク、エアクリ
ーナー、リヤクッション及びマフラー膨張室を車体中央
部に集約して配することができるため、車体中央部への
マスの集中化が図られて自動二輪車の操縦性の向上が図
られる。尚、リヤクッションの下端はリヤアームの前半
部に連結され、この連結点とリヤアームの前端枢着点
（ピボット点）との間には所定の距離が確保されるた
め、リヤアームの前端ピボット点を中心する揺動は該リ
ヤアームによってリヤクッションの伸縮動に変換され、
リヤクッションはその本来の減衰機能を十分に果たすこ
とができる。

又、マフラー膨張室をリヤアームの前端ピボットシャ
フトの下方に該ピボットシャフトの前後に亘って配置し
たため、リヤアームの揺動量が小さい箇所にマフラー膨
張室が配置されることとなって該マフラー膨張室とリヤ
アームの干渉が避けられ、マフラー膨張室を容量の制限
を受けることなくリヤアームに近接させて配置すること
ができる。

更に、車幅方向に幅広のオイルタンクをダウンチュー
ブの屈曲部にダウンチューブの形状に沿って取り付けた
ため、自動二輪車の走行中においてはオイルタンクに走
行風が効率良く当ってオイルの冷却性が高められ、エン
ジンの暖機時においてはオイルタンク内のオイルがエン
ジンによって効果的に暖められる。

（実施例） 以下に本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図は本発明に係る自動二輪車の一部を破断して示
す全体側面図、第２図は第１図のII−II線断面図であ
る。

第１図に示す自動二輪車１において、２は車体前方上
部に位置するヘッドパイプであり、該ヘッドパイプ２内
には不図示の操向軸が回動自在に挿通している。そし
て、この操向軸にはフロントフォーク３の上部が支持さ
れており、該フロントフォーク３の下端部には前輪４が
回転自在に軸支されている。

一方、前記ヘッドパイプ２からは左右一対のメインフ
レーム５が後方に向かって延出しており、該メインフレ
ーム５の延出端にはリヤアームブラケット６が略垂直に
取り付けられている。又、メインフレーム５の前端部か
らはダウンチューブ７が斜め後下方に向かって延出して
おり、該ダウンチューブ７は途中で曲げられて後方に向
かって略水平に延びてその延出端は前記リヤアームブラ
ケット６に結着されている。

而して、前記メインフレーム５と上記ダウンチューブ
７とで囲まれる空間には４サイクル４バルブエンジン８
が配置されており、該エンジン８の上方には燃料タンク
９が配され、この燃料タンク９の後方にはシート10が配
されている。

又、ダウンチューブ７の折曲部には、車体方向に幅広
のオイルタンク11がダウンチューブ７の形状に沿って取
り付けられており、該オイルタンク11の上方には同じく
ダウンチューブ７に取り付けられたオイルクーラー12が
配されている。そして、オイルクーラー12とオイルタン
ク11とはパイプ13によって連結されている。

他方、前記リヤアームブラケット６にはリヤアーム14
の前端がピボットシャフト15によって回動自在に枢着さ
れており、該リヤアーム14の後端部には後輪16が回転自
在に軸支されている。尚、図中、17はチェーンであっ
て、該チェーン17は後輪16と一体に回転するスプロケッ
ト18と前記エンジン８のミッションケース8aの側方に突
出する出力軸端に結着された不図示のスプロケット間に
巻装されている。

ところで、前記リヤアーム14の前半部であって、ピボ
ットシャフト15より後方へ所定距離だけ隔たった位置に
は、第２図に示すようにクロスメンバー19が横架されて
おり、このクロスメンバー19には左右一対のブラケット
20が立設されている。そして、これらのブラケット20に
は車体幅方向中央に配される単一のリヤクッション21の
下端がボルト22及びナット23によって取り付けられてお
り、該リヤクッション21の上端部は前記シート10の底部
の車体側に取り付けられており、斯くてリヤクッション
21は車体とリヤアーム14間に斜めに傾いた状態で直接介
設されている。

又、上記リヤクッション21の後方であって、前記シー
ト10の下方にはバッテリー24が配されており、リヤクッ
ション21と前記エンジン８のシリンダ8bとの間には、縦
長のエアクリーナー25がリヤクッション21及びミッショ
ンケース8aに近接して設けられている。尚、エアクリー
ナー25は左右２本の吸気管26及びキャブレター27を介し
てエンジン８の吸気系に接続されているが、これは前述
のように縦長に形成され、しかも、斜めに配置されるリ
ヤクッション21に沿ってその後面が傾斜しているために
大容量が確保される。

一方、エンジン８の排気系からは左右２本の排気管28
が導出しており、該排気管28はエンジン８から斜め後下
方に延出した後、折曲されて略水平に延び、その後端部
には全長の短い所謂ショートマフラー29が接続されてい
る。このショートマフラー29は、左右のメインフレーム
５の車幅方向に跨る幅広（第２図参照）で比較的容量の
大きな膨張室29aと、該膨張室29aの後端に車幅方向一側
に偏心して接続されるサイレンサー29bとで構成され、
比較的高重量の膨張室29aほ図示のようにピボットシャ
フト15の下方に該ピボットシャフト15の前後に亘って配
置されている。

従って、本実施例においては、エンジン８を中心とし
てこれの下方の前後に前記オイルタンク11とマフラー膨
張室29aとがそれぞれ配置され、オイルタンク11の下面
とマフラー膨張室29aの下面とは略曲面を成して連続し
ている。

而して、本実施例においては、エンジン８、オイルタ
ンク11、リヤクッション21、エアクリーナー25及びマフ
ラー膨張室29aが車体中央部に集約して配置されるた
め、車体中央部へのマスの集中化が図られ、これによっ
て当該自動二輪車１の操縦性の向上が図られる。

又、単一のリヤクッション21が用いられ、しかも、こ
のリヤクッション21は外部に露出しないため、自動二輪
車１の部品点数の削減、外観性の向上が図られる。尚、
リヤクッション21の下端はリヤアーム14の前半部に連結
され、この連結点とピボットシャフト15との間には所定
の距離が確保されているため、リヤアーム14のピボット
シャフト15を中心とする揺動は該リヤアーム14によって
リヤクッション21の伸縮動に変換され、リヤクッション
21はその本来の減衰機能を十分に果たすことができる。

更に、マフラー膨張室29aをリヤアーム14の前端ピボ
ットシャフト15の下方に該ピボットシャフト15の前後に
亘って配置したため、リヤアーム14の揺動量が小さい箇
所にマフラー膨張室29aが配置されることとなって該マ
フラー膨張室29aとリヤアーム14の干渉が避けられ、マ
フラー膨張室29aを容量の制限を受けることなくリヤア
ーム14に近接させて配置することができる。

又、車幅方向に幅広のオイルタンク11をダウンチュー
ブ７の屈曲部にダウンチューブ７の形状に沿って取り付
けたため、自動二輪車１の走行中においてはオイルタン
ク11に走行風が効率良く当ってオイルの冷却性が高めら
れ、エンジン８の暖機時においてはオイルタンク11内の
オイルがエンジン８によって効果的に暖められる。

（発明の効果） 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、エン
ジン、オイルタンク、エアクリーナー、リヤクッション
及びマフラー膨張室を車体中央部に集約して配すること
ができるため、車体中央部へのマスの集中化を図って自
動二輪車の操縦性を高めることができるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る自動二輪車の一部を破断して示す
全体側面図、第２図は第１図のII−II線断面図である。 １……自動二輪車、２……ヘッドパイプ、５……メイン
フレーム、７……ダウンチューブ、８……エンジン、8a
……ミッションケース、8b……エンジンシリンダ、10…
…シート、11……オイルタンク、14……リヤアーム、15
……ピボットシャフト、19……クロスメンバー、20……
ブラケット、21……リヤクッション、25……エアクリー
ナー、29……マフラー、29a……マフラー膨張室、29b…
…マフラーサイレンサー。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−53193（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−18790（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−46008（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−87389（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−65112（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−135886（ＪＰ，Ａ) 実公 昭63−37358（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B62M 7/02 B62J 31/00 B62J 39/00 F01N 7/08

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッドパイプから後方に向かって延出する
   左右一対のメインフレームと該メインフレームの下方に
   斜め後下方に向かって延出するダウンチューブとで囲ま
   れる空間にエンジンを配置して成る自動二輪車におい
   て、 前記エンジンを中心としてこれの下方の前後にオイルタ
   ンクとマフラー膨張室をそれぞれ配置し、車幅方向に幅
   広の前記オイルタンクを前記ダウンチューブの屈曲部に
   ダウンチューブの形状に沿って取り付けて該オイルタン
   クの下面と前記マフラー膨張室の下面とを略曲面を成し
   て連続させ、前記左右のメインフレームの車幅方向に跨
   る前記マフラー膨張室をリヤアームの前端ピボットシャ
   フトの下方に該ピボットシャフトの前後に亘って配置す
   るとともに、マフラーのサイレンサーを車幅方向一側に
   偏心させてマフラー膨張室に接続し、左右の前記リヤア
   ームの前半部に横架されたクロスメンバーの上面に左右
   のブラケットを立設して該ブラケットに単一のリヤクッ
   ションの下端を直結するとともに、該リヤクッションの
   上端をシート底部の車体側に直結し、該リヤクッション
   とエンジンシリンダとの間に縦長のエアクリーナーをリ
   ヤクッション及びミッションケースに近接して配したこ
   とを特徴とする自動二輪車。