JP3071262B2 - 固体電解質用硬化性組成物及び高分子固体電解質 - Google Patents

固体電解質用硬化性組成物及び高分子固体電解質

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JP3071262B2
JP3071262B2 JP3259473A JP25947391A JP3071262B2 JP 3071262 B2 JP3071262 B2 JP 3071262B2 JP 3259473 A JP3259473 A JP 3259473A JP 25947391 A JP25947391 A JP 25947391A JP 3071262 B2 JP3071262 B2 JP 3071262B2
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昌夫 横山
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    • H01M6/18Cells with non-aqueous electrolyte with solid electrolyte
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  • Secondary Cells (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池、コンデンサ、セ
ンサー、エレクトロクロミック表示素子等に用いられる
電解質に関するものであり、特に素子を全固体化させる
ために利用される固体電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム電池は起電力が約3Vと高く、
エネルギー密度も高いことから、近年注目を集め研究開
発が盛んに行われており、1次電池だけではなく2次電
池に関しても既に商品化が始まっている。然しながら、
これらのリチウム電池は電解液を用いたタイプのもので
あり、固体電解質を用いた全固体型のリチウム電池は未
だ開発されていない。固体電解質電池は、液漏れしない
こと、比較的高温での使用にも耐えること等の理由か
ら、近年研究開発が盛んになり、高分子固体電解質を用
いた電池が製品化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】高分子固体電解質は、
可撓性があり、加工が容易で、かつ安価であることから
電池の電解質のみならず、エレクトロクロミック表示素
子等の全固体型素子に用いられているが、イオン伝導度
が低く、電極との接触抵抗が大きいため、電池に組み立
てたときの内部抵抗が大きくなり、大電流が取り出し難
い等の問題を抱えている。そのため、イオン伝導度が高
く、かつ電極との密着性が良好な高分子固体電解質が望
まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような現
状に鑑み、高分子固体電解質の上記課題を解決したもの
である。
【0005】即ち、本発明は、主成分として、(A)分
子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物、
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有す
る化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、及び(D)アル
カリ金属塩を含むことを特徴とする固体電解質用硬化性
組成物、及び上記4成分を主成分とする固体電解質用硬
化性組成物を硬化させた高分子固体電解質に関する。
【0006】本発明を、更に具体的に説明する。
【0007】本発明の(A)成分である、分子中に少な
くとも1個のアルケニル基を有する化合物としては、特
に制限はないが、低分子化合物から有機重合体に至る、
各種の化合物を用いることができる。このアルケニル基
としては、特に制限はないが、次の式(I)で示される
アルケニル基が好適である。
【0008】 H2 C=C(R1 )− (I) 式中、R1 は、水素又はメチル基である。
【0009】本発明の(A)成分を具体的に例示する
と、先ず、次の一般式(II)で表されるエーテル化合
物を挙げることができる。
【0010】 (H2 C=C(R1 )−R2 −O)a −R3 (II) 式中、R1 は水素又はメチル基、R2 は炭素数1〜20
の2価の炭化水素基で1個以上のエーテル結合が含有さ
れていてもよく、R3 は脂肪族又は芳香族の有機基であ
り、aは正の整数である。
【0011】この式(II)において、R2 は、炭素数
1〜20の2価の炭化水素基を表すが、R2 のなかには
1個以上のエーテル結合が含有されていてもよい。具体
的には、−CH2 −、−CH2 CH2 −、−CH2 CH
2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )CH2 −、−CH
2 CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 OCH2 CH
2 −、−CH2 CH2 OCH2 CH2 CH2 −等が挙げ
られる。合成上の容易さからは、−CH2 −であること
が好ましい。
【0012】この式(II)におけるR3 は脂肪族又は
芳香族の有機基であり、具体的には次のものを挙げるこ
とができる。
【0013】CH3 −、CH3 CH2 −、CH3 CH2
CH2 −、(CH3 2 CH−、CH(CH3 2 CH
2 −、−CH2 −CH(CH2 CH3 )−、(CH3
3 C−、−CH2 −、−CH(CH3 )−、−C(CH
3 2 −、−CH(フェニル)−、−C(フェニル)
(CH3 )−、−C(フェニル)2 −、−CH2 CH2
−、−CH2 CH(CH3)−、−CH2 CH2 CH2
−、−CH2 CH2 CH2 CH2 −、−CH2 −C(C
3 2 CH2 −、−CH2 CH(CH2 CH3 )−、
CH3 CH2 C(CH2 −)2 −、CH(CH2 −)2
−、
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】これらのうちで、好ましいのは、−CH2
CH2 −、−CH2 CH(CH3 )−、−(フェニル)
−、−(フェニル)−C(CH3 2 −(フェニル)
−、−(フェニル)−CH2 −(フェニル)−、−(フ
ェニル)−SO2−(フェニル)−、−(シクロヘキシ
ル)−C(CH3 2−(シクロヘキシル)−、であ
る。
【0017】更に、この式(II)におけるR3 は、有
機重合体であってもよく、各種の重合体を用いることが
できる。
【0018】具体的には、まず、ポリエーテル系重合
体、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレ
ン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレン共重合体等が好適に使用できる。
その他の主鎖骨格を持つ重合体として使用できるものを
例示すると、アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの
縮合、又はラクトン類の開環重合で得られるポリエステ
ル系重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイ
ソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合
体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンと
ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合
体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロ
ニトリル等との共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジ
エン、イソプレン或いはブタジエンとアクリロニトリ
ル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポ
リオレフィン系重合体、エチルアクリレート、ブチルア
クリレート、等のモノマーをラジカル重合して得られる
ポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチル
アクリレート等のアクリル酸エステルと、酢酸ビニル、
アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等
とのアクリル酸エステル系共重合体、前記有機重合体中
でビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体、
ポリサルファイド系重合体、ε−カプロラクタムの開環
重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジ
ピン酸との縮重合によるナイロン66、ヘキサメチレン
ジアミンとセバシン酸との縮重合によるナイロン61
0、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン1
1、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロ
ン12、上記のナイロンのうちで2成分以上の成分を有
する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体、例えばビ
スフェノールAと塩化カルボニルを縮重合して製造され
るポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重
合体等が挙げられる。
【0019】更に、本発明に用いる(A)成分として、
次の一般式(III)で表されるエステル結合を有する
化合物も使用することができる。
【0020】 [H2 C=C(R1 )−R2 −OC(O)]a −R4 (III) 式中、R1 は水素又はメチル基、R2 は、炭素数1〜2
0の2価の炭化水素基で、1個以上のエーテル結合を含
有していてもよく、R4 は脂肪族又は芳香族の有機基で
あり、aは正の整数である。
【0021】このR2 は式(II)におけるR2 と同一
である。また、R4 で表される基は脂肪族又は芳香族の
有機基であり、具体的に示すと、CH3 −、CH3 CH
2 −、CH3 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 −、−
(CH2 3 −、−(CH2 4 −、−(CH2
5 −、−(CH2 6 −、−(CH2 7 −、−(CH
2 8 −、
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】等を挙げることができる。そのうちで、−
CH2 CH2 −、−(CH2 3 −、−(CH2
6 −、0-フェニル、m-フェニル、p-フェニルが好まし
い。
【0025】更に、R4 は有機重合体であってもよく、
式(II)において例示した有機重合体は全て好適に用
いることができる。
【0026】更に、本発明に用いる(A)成分として、
次の一般式(IV)で表される化合物も使用することが
できる。
【0027】 [CH2 =C(R1 )]a −R5 (IV) 式中、R1 は水素又はメチル基であり、R5 は脂肪族又
は芳香族の有機基であり、aは正の整数である。
【0028】このR5 は脂肪族又は芳香族の有機基を表
わすが、具体的に示すと、CH3 (CH2 n −[n=
1〜10]、(CH3 2 CHCH2 −、CH3 CH2
CH(CH3 )−、(CH3 CH2 2 CH−、(CH
3 2 CHCH2 CH2 −、(CH3 2 CHCH(C
3 )−、(CH3 2 CHC(CH3 2 −、−(C
2 n −[n=1〜10]、−CH2 CH(CH3
CH2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )CH(C
3 )CH2 −、−CH2 CHClCH2 CH2 −、
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】等が挙げられる。これらのうちで、−(C
2 n−[n=1〜10]、
【0032】
【化7】
【0033】が好ましい。更に、−(CH2 n −[n
=1〜10]が特に好ましい。
【0034】このR5 は有機重合体であってもよく、式
(II)において例示した有機重合体は全て好適に用い
ることができる。
【0035】更に、本発明に用いる(A)成分として、
次の一般式(V)で表されるカーボネート結合を有する
化合物も使用することができる。
【0036】 (H2 C=C(R1 )−R2 −OC(O)O)a −R6 (V) 式中、R1 は水素又はメチル基、R2 は、炭素数1〜2
0の2価の炭化水素基で、1個以上のエーテル結合を含
有していてもよく、R6 は脂肪族又は芳香族の有機基で
あり、aは正の整数である。
【0037】このR2 は式(II)におけるR2 と同一
である。また、R6 としては、CH3 −、CH3 CH2
−、CH3 CH2 CH2 −、−CH2 CH(CH3
−、−C(CH3 2 CH2 −、−(CH3 CH2 )C
H(CH3 )−、(CH3 3 C−、−CH2 −、−C
H(CH3 )−、−C(CH3 2 −、−CH(フェニ
ル)−、−C(CH3 )(フェニル)−、−C(フェニ
ル)2 −、−CH2 C(CH3 2 CH2 −、−CH2
CH(CH2CH3 )−、CH3 CH2 −C(CH
2 −)2 −、CH(CH2 −)2 −、
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】−(CH2 CH2 O)n CH2 CH2
[nは1〜5の整数]、−(CH2 CH(CH3 )O)
n CH2 CH(CH3 )−[nは1〜5の整数]、−
(CH2 CH2 CH2 O)n CH2 CH2 CH2 −[n
は1〜5の整数]、−(CH2 CH2 CH2 CH2 O)
n CH2 CH2 CH2 CH2 −[nは1〜5の整数]、
等が挙げられる。これらのうちで−CH2 CH2 OCH
2 CH2−、−CH2 CH2 OCH2 CH2 OCH2
2 −、−CH2 CH(CH3 )OCH2 CH(C
3 )−が特に好ましい。
【0042】このR6 は有機重合体であってもよく、式
(II)において例示した有機重合体は全て好適に用い
ることができる。
【0043】本発明において(A)成分として有機重合
体を用いる場合に、アルケニル基を重合体に導入する方
法については、種々の提案されているものを用いること
ができるが、重合後に導入する方法と重合中に導入する
方法とに大別することができる。
【0044】重合後にアルケニル基を導入する方法とし
ては、例えば末端、主鎖又は側鎖に水酸基、アルコキシ
ド基等の官能基を有する重合体に、上記官能基に対して
反応性を示す活性基、及びアルケニル基を有する有機化
合物を反応させることにより、アルケニル基を末端、主
鎖又は側鎖に導入することができる。上記官能基に対し
て反応性を示す活性基及びアルケニル基を有する有機化
合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビ
ニル、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等
のC3 〜C20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物
や、アリルクロロホルメート、アリルブロモホルメート
等のC3 〜C20の不飽和脂肪酸置換炭酸ハライド、アリ
ルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチ
ル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリ
ル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)
エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1-ブテ
ニル(クロロメチル)エーテル、1-ヘキセニル(クロロ
メトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベ
ンゼン等が挙げられる。
【0045】重合中にアルケニル基を導入する方法とし
ては、例えばラジカル重合法で製造する場合に、アリル
メタクリレート、アリルアクリレート等の分子中にラジ
カル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマ
ー、アリルメルカプタン等のラジカル連鎖移動剤を用い
ることにより、重合体の主鎖又は末端にアルケニル基を
導入することができる。
【0046】アルケニル基含有有機重合体は、線状で
も、枝分かれ状でもよく、分子量は500〜50,00
0の任意のものが好適に使用できるが、1,000〜2
0,000のものが特に好ましい。アルケニル基は、分
子末端にあっても分子中にあっても良いが、本発明の組
成物を用いてゴム状硬化物を作成する場合には、分子末
端にある方が有効網目鎖長が長くなるので好ましい。
【0047】本発明の(B)成分である分子中に少なく
とも2個のヒドロシリル基を有する有機化合物として
は、特に制限はないが、ヒドロシリル基を含む基を具体
的に例示すると、−Si(H)n (CH3 3-n 、−S
i(H)n (C2 5 3-n 、−Si(H)n (C6
5 3-n [n=1〜3]、−SiH2 (C6 13)等の
珪素原子を1個有するヒドロシリル基、−Si(C
3 2 Si(CH3 2 H、−Si(CH3 2 CH
2 CH2 Si(CH3 2 H、−Si(CH3 2 Si
CH32 、−Si(CH3 2 (フェニル)Si(C
3 2 H、−Si(CH3 2 NHSi(CH3 2
H、−Si(CH3 2 N[Si(CH3 2 H]2
−Si(CH3 2 OC(CH3 )=NSi(CH3
2 H、−Si(CH3 2 N=CO(CH3 )Si(C
3 2 H等の珪素原子を2個有するヒドロシリル基、
−(SiR2 −O)m −(SiR2 n −H、[式中、
RはH、OSi(CH3 3 及び炭素数が1〜10の有
機基から選ばれる基であり、各々のRは同じでも異なっ
ていてもよい。m、nは正の整数で、かつ2≦m+n≦
50である。] −Si(R)[(O−SiH(R)−)m −R][(O
−SiH(R)−)n −R]、[式中、R、m、nは上
記と同じである。] −Si(R)[−(O−SiH(R)−)m (O−Si
2 −)p −R][−(O−SiH(R)−)n (O−
SiR2 −)q −R] [式中、Rは上記と同じであり、mは正の整数で、n、
p、qは0又は正の整数で、かつ1≦m+n+p+q≦
50である。]
【0048】
【化11】
【0049】[式中、Rは上記と同じであり、mは正の
整数で、nは0又は正の整数で、かつ2≦m+n≦50
である。] 等で示される鎖状、枝分かれ状、環状の各種の多価ハイ
ドロジェンシロキサンから誘導される基等が挙げられ
る。
【0050】これらの各種のヒドロシリル基のうち、本
発明のヒドロシリル基含有有機化合物の、(A)成分に
対する相溶性を損なう可能性が少ないという点から、ヒ
ドロシリル基を構成する基の部分の分子量は500以下
であることが望ましく、更にヒドロシリル基の反応性も
考慮すると、次のものが好ましい。
【0051】−Si(CH3 )[−(O−Si(C
3 )H−)p (O−Si(CH3 3 ][−(O−S
i(CH3 )H−)q (O−Si(CH3 3 ]、[式
中、pは正の整数、qは0又は正の整数であり、かつ2
≦p+q≦4である。] −Si[O−Si(CH3 3 2 −O−Si[O−S
i(CH3 3 2
【0052】
【化12】
【0053】この(B)成分であるヒドロシリル基含有
有機化合物において、同一分子中にヒドロシリル基が2
個以上存在する場合には、それらは互いに同一でも異な
っていてもよい。(B)成分中に含まれるトータルのヒ
ドロシリル基の個数については、少なくとも1分子中に
2個あれば良いが、2〜15個あるのが好ましく、3〜
12個あるのが特に好ましい。本発明のヒドロシリル基
含有有機化合物を、ヒドロシリル化触媒の存在下に、ア
ルケニル基を有する化合物[(A)成分]と混合してヒ
ドロシリル化反応によって硬化させる場合に、該ヒドロ
シリル基の数が2より少ないと硬化不良を起こす場合が
多い。また、該ヒドロシリル基の数が15より多くなる
と、(B)成分の安定性が悪くなり、その上、硬化後も
多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやク
ラックの原因となる。
【0054】本発明に用いる(B)成分のヒドロシリル
基含有化合物としては、特に制限はないが、低分子量の
ものから重合体に至る各種の化合物を用いることができ
る。本発明に用いる(B)成分のヒドロシリル基含有化
合物を具体的に例示すると、次の式(VI)で表される
エーテル化合物、 (X−CH2 CH(R1 )−R2 −O)a −R3 (VI) (式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する
基、R1 、R2 、R3 は式(II)におけるR1
2 、R3 とそれぞれ同じものを用いることができ、a
は正の整数である。) 次の式(VII)で表されるエステル結合を有する化合
物、 [X−CH2 CH(R1 )−R2 −OC(O)]a −R4 (VII) (式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する
基、R1 、R2 、R4 は式(III)におけるR1 、R
2 、R4 とそれぞれ同じものを用いることができ、aは
正の整数である。) 次の式(VIII)で表される炭化水素系化合物、 [X−CH2 CH(R1 )]a −R5 (VIII) (式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する
基、R1 、R5 は式(IV)におけるR1 、R5 とそれ
ぞれ同じものを用いることができ、aは正の整数であ
る。) 更に、次の式(IX)で表されるカーボネート結合を有
する化合物、 (X−CH2 CH(R1 )−R2 −OC(O)O)a −R6 (IX) 式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する基、
1 、R2 、R6 は式(V)におけるR1 、R2 、R6
とそれぞれ同じものを用いることができ、aは正の整数
である。)を挙げることができる。
【0055】本発明の(B)成分として有機重合体を用
いる場合、重合体は、線状でも、枝分かれ状でもよく、
分子量は500〜50,000の任意のものが好適に使
用できるが、500〜20,000のものが特に好まし
い。(B)成分のヒドロシリル基は、分子末端にあって
も分子中にあっても良いが、本発明の組成物を用いてゴ
ム状硬化物を作成する場合には、分子末端にある方が有
効網目鎖長が長くなるので好ましい。
【0056】本発明の(B)成分の製造方法には特に制
限はなく、任意の方法を用いれば良い。例えば、(i) 分
子内にSi−Cl基を持つ有機化合物をLiAlH4
NaBH4 等の還元剤で処理して該化合物中のSi−C
l基をSi−H基に還元する方法、(ii)分子内にある官
能基Xを持つ有機化合物と分子内に上記官能基と反応す
る官能基Y及びヒドロシリル基を同時に持つ化合物とを
反応させる方法、(iii) アルケニル基を持つ有機化合物
に対して少なくとも2個のヒドロシリル基を持つポリヒ
ドロシラン化合物を選択ヒドロシリル化することによ
り、反応後もヒドロシリル基を該化合物の分子中に残存
させる方法等が考えられる。これらのうちで (iii)の方
法が特に好ましい。
【0057】本発明における(A)成分と(B)成分と
の組合せとしては、任意のものを組合わせることができ
るが、(A)成分と(B)成分のいずれか一方又は両方
が有機重合体であることが好ましく、そのなかでもポリ
プロピレンオキシド系重合体が好ましい。
【0058】本発明の(C)成分であるヒドロシリル化
触媒としては、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボ
ンブラック等の単体に固体白金を担持させたもの、塩化
白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン
等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(C
2 =CH2 2 (PPh3 2 Pt(CH2 =C
2 2 Cl2 )、白金−ビニルシロキサン錯体(例え
ば、Ptn (ViMe2 SiOSiMe2 Vi)m 、P
t[(MeViSiO)4 m )、白金−ホスフィン錯
体(例えば、Pt(PPh3 4 、Pt(PB
3 4 )、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt
[P(OPh)3 4 )、[式中、Meはメチル基、B
uはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表
し、m、nは整数を表す]、ジカルボニルジクロロ白
金、またアシュビー(Ashby) の米国特許第 3,159,601号
及び 3,159,662号明細書に記載された白金−炭化水素複
合体、並びにラモロー(Lamoreaux) の米国特許第 3,22
0,972号明細書に記載された白金アルコラート触媒も挙
げられる。更に、モディック(Modic) の米国特許第 3,5
16,946号明細書に記載された塩化白金−オレフィン複合
体も本発明において有用である。
【0059】また、白金化合物以外の触媒の例として
は、RhCl(PPh3 3 、RhCl3 、RhAl2
3 、RuCl3 、IrCl3 、FeCl3 、AlCl
3 、PdCl2 ・2H2 O、NiCl2 ,TiCl4
が挙げられる。これらの触媒は単独で使用しても良く、
2種以上併用することもできる。触媒活性の点から、塩
化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキ
サン錯体が好ましい。
【0060】本発明の(C)成分である触媒の量として
は、特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1
モルに対して、10-1〜10-8モルの範囲で用いるのが
良い。好ましくは10-3〜10-6モルの範囲で用いるの
が良い。10-8モルより少ないと硬化が十分に進行しな
い。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性
であり、また、水素ガスが大量に発生して硬化物が発泡
してしまう場合があるので10-1モル以上用いないほう
が良い。
【0061】本発明においては、該硬化性組成物が、貴
金属触媒を用いた、アルケニル基に対するSi−H基の
付加反応によって硬化するので、硬化速度が非常に速
く、ライン生産を行う上で好都合である。
【0062】本発明における(D)成分であるイオン結
合性無機化合物としては、特に制限はないが、水溶液又
は有機溶媒中で容易に解離するものが用いられる。
【0063】具体的には、陽イオンとしてLi+ 、Na
+ 、K+ 、Cu+ 、Zn2+、Al3+、Mg2+、Ca2+
Ni2+、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Cr3+等から選ばれ
るが、電池の電解質としては二次電池のエネルギー密度
が大きいアルカリ金属イオンが好ましく、中でもL
+ 、Na+、K+ が好ましく、Li+ が特に好まし
い。陰イオンとしては、F- 、Cl- 、I- 等のハロゲ
ン化物イオン、ClO4 - 、BF4 - 、PF6 - 、Sb
4 - 、NO3 - 、SO4 2-、SO3 2-等の無機系陰イ
オン、及びHCOO- 、RCOO- [Rはアルキル基を
示す]、CF3 SO3 - 等の有機系陰イオンが用いられ
るが、本発明の(A)分子中に少なくとも1個のアルケ
ニル基を有する化合物、(B)分子中に少なくとも2個
のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル
化触媒、及び(D)アルカリ金属塩の4成分を主成分と
する固体電解質用硬化性組成物、及び該4成分を主成分
とする固体電解質用硬化性組成物を硬化させた高分子材
料中での、イオン化が容易であることから、F- 、Cl
- 、I- 、ClO4 - 、BF4 - 、PF6 - 、SbF4
- 、HCOO- 、RCOO- [Rはアルキル基を示
す]、CF3 SO3 -が好ましい。
【0064】本発明において、(B)成分であるヒドロ
シリル基含有化合物を前記の選択ヒドロシリル化によっ
て製造する場合、反応後にも(B)成分中にヒドロシリ
ル化触媒が含まれているので、一般にその安定性が良好
でなく、長時間放置したり、湿分が混入したりするとS
i−H基のSi−Cl基への転化が起こり、粘度増大や
ゲル化等の現象が見られる。従って、(B)成分の中に
貯蔵安定性改良剤を含有させることが好ましい。このよ
うな化合物としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合
物、有機燐化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、
錫系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができ
る。具体的には、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメ
チルマレート、2-ペンテンニトリル、2,3-ジクロロプロ
ペン等が挙げられ、特にポットライフ/速硬化性の両立
という点でチアゾールが好ましいが、これらに限定され
るわけではない。貯蔵安定性改良剤の使用量は(A)成
分及び(B)成分に均一に分散する限りにおいてほぼ任
意に選ぶことができるが、(B)成分のSi−H基含有
化合物1モルに対し10-6〜10-1モルの範囲で用いる
のが好ましい。これは10-6モル以下であると(B)成
分の貯蔵安定性が十分に改良されず、10-1モル以上あ
ると硬化を阻害するからである。貯蔵安定性改良剤は単
独で用いても、また2種以上を混合して用いても良い。
【0065】本発明の高分子固体電解質を電池の電解質
に用いる場合には、当該硬化性組成物をシート状に展開
することで可能になる。
【0066】この高分子固体電解質シートは、厚くなる
とインピーダンスが高くなり、電池の電解質を始めと
し、全固体素子として使用する場合に、内部抵抗が高く
なり過ぎて好ましくない。具体的には、250μmを越
える厚みを有する固体電解質フィルムでは、厚み方向の
イオン導電性が低くなり、かつ均質なフィルムが得られ
難くなる。また、薄すぎると、フィルムの機械的強度が
弱すぎるため、実用上は10〜250μmの範囲が望ま
しい。
【0067】また、イオン伝導度は25℃において1×
10-6S/cm以上、好ましくは1×10-5S/cm以上の
イオン伝導度を有することが非常に望ましい。
【0068】この高分子固体電解質を用いた二次電池
は、当該高分子固体電解質シートの両面に、当該固体電
解質の伝導イオンが利用できる二次電池の正極、負極材
料で挟み込むことにより達成される。具体的には、正極
材料としてLix TiS2 、Lix CoO2 、Lix
6 8 等が用いられる。負極材料としては、Li、Z
n、AlあるいはLi−Al合金、Zn−Al合金等が
用いられる。これらの正極材料、負極材料を当該高分子
固体電解質シートに挟み込むことにより電池が組み上が
る。
【0069】また、本発明の硬化性組成物には、イオン
伝導度が1×10-6S/cmを下回らない範囲で、必要に
応じて、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界
面活性剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
前記充填剤の具体例としては、例えば、シリカ微粉末、
炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛
華、ケイソウ土、硫酸バリウム、カーボンブラック等が
挙げられる。
【0070】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるも
のではない。
【0071】合成例 200mlの4つ口フラスコに、3方コック付冷却管を、
均圧滴下漏斗、温度計、マグネチック・チップ、ガラス
ストッパーを取付けたものを用意した。N2 雰囲気下で
次の式で示される環状ポリハイドロジェンシロキサン
(信越化学(株)製、LS8600)12.03g (5
0mモル)及びトルエン20mlをフラスコ内に仕込ん
だ。
【0072】
【化13】
【0073】1,9-デカジエン2.76g (20mモ
ル)、塩化白金酸触媒溶液(H2 PtCl6 ・6H2
1g をエタノール1g 、1,2-ジメトキシエタン9g に溶
かした溶液)20μlをトルエン30mlに溶解したもの
を滴下漏斗内に仕込んだ。フラスコを50℃のオイルバ
スにつけ、N2 雰囲気下で該トルエン溶液をフラスコ内
へ2時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で更に1
時間反応させた時点で、IRスペクトルを測定したとこ
ろ、1640cm-1の付近のオレフィンの吸収が完全に消
失していたので、この時点で反応を終了した。反応が終
了した該トルエン溶液を塩化アンモニウム飽和水溶液
(100ml×2)、交換水(100ml×2)で洗浄後、
Na2 SO4 で乾燥した。Na2 SO4 を濾過して取除
き、ベンゾチアゾール(13μl、0.12mモル)を
加え、揮発分をエバポレートして除去後、80℃で減圧
脱気することにより9.11g の無色透明の液体を得
た。該炭化水素系化合物中のヒドロシリル基は2170
cm-1の強い吸収として確認された。また300MHzの
NMRでSi−HのピークとSi−CH3 のプロトンの
強度比(実測値0.216)と計算上の強度比を比較す
ることによって該化合物は次の式の構造を有する
【0074】
【化14】
【0075】[n=1(MW=998)が53%、n=
2(MW=1377)が47%]混合物であることが判
った。これをもとに単位重量中のSi−H基の数を計算
すれば0.769モル/100g であった。
【0076】実施例1 特開昭53−134095号公報に開示された方法に従
って、末端アリル型オレフィン基を有するポリオキシプ
ロピレンを合成した。
【0077】平均分子量3,000であるポリオキシプ
ロピレングリコールと粉末苛性ソーダを60℃で撹拌
し、ブロモクロロメタンを加えて反応を行い、分子量を
増大させた。次に、アリルクロライドを加えて、110
℃で末端をアリルエーテル化した。これを珪酸アルミニ
ウムで処理して、精製末端アリルエーテル化ポリオキシ
プロピレンを合成した。このポリエーテルの平均分子量
は7960であり、沃素価から末端の92%がオレフィ
ン基であった。E型粘度計による粘度は130ポイズ
(40℃)であった。
【0078】次に窒素雰囲気下で、上記ポリエーテル1
00g に対して、合成例で得られたSi−H基含有化合
物を3.6g 、イルガノックス1010を1g 、チアゾ
ール5μl、塩化白金酸触媒溶液(H2 PtCl6 ・6
2 O1g をエタノール1g、1,2-ジメトキシエタン9g
に溶かした溶液)を125μl添加し、充分撹拌した
後、更に無水LiClO4 白色粉末を1g 添加して充分
撹拌し固体電解質用硬化性組成物を合成した。
【0079】この組成物を、テフロンフィルム上に20
0μmの厚みでシート状に引延ばし、大気中130℃で
5分熱処理することにより、リチウムイオン導電性固体
電解質シートを形成した。この固体電解質シートのイオ
ン伝導度は、シートの両面に1cm四方の厚み0.5mmの
金のプレートにリード線を取り付けた電極で挟み込み、
インピーダンスアナライザーYHP−4192Aを用い
て測定した。その結果、室温で1×10-4S/cmの伝導
度が得られた。
【0080】実施例2 最後にLiCF3 SO3 白色粉末を1.5g 添加した以
外は、実施例1と全く同様にして固体電解質用硬化性組
成物を合成した。
【0081】同様に、テフロンフィルム上に200μm
の厚みでシート状に引延ばし、大気中130℃で5分加
熱処理を行い、硬化させることによりリチウムイオン導
電性固体電解質シートを得た。この固体電解質シートの
イオン伝導度は6×10-5S/cmであった。
【0082】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物、及び当該硬化性
組成物を硬化させることにより得られる高分子固体電解
質シートは、化学的に安定で、均一性及び可撓性に優
れ、薄型化が可能であり、かつ密着性にも優れているた
め電池に組立てたときに電極と尾接触抵抗が小さくなる
ため非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 10/40 H01M 10/40 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の4成分を主成分とすることを特徴とす
    る固体電解質用硬化性組成物。 (A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する
    化合物、 (B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有す
    る次の一般式(VI)、(VII)、(VIII)又は
    (IX)で表わされる化合物(但し、ポリオキシアルキ
    レンユニット又はカルボキシル基含有炭化水素基を有す
    るものを除く)、 (X−CH2CH(R1)−R2−O)a−R3 (VI)、 [X−CH2CH(R1)−R2−OC(O)]a−R4 (VII)、 [X−CH2CH(R1)]a−R5 (VIII)、 (X−CH2CH(R1)−R2−OC(O)O)a−R (IX)、 [式中、Xはヒドロシリル基を1個以上有する基であ
    り、R1は水素又はメチル基であり、R2は炭素数1〜2
    0の2価の炭化水素基で1個以上のエーテル結合が含有
    されていてもよく、R3は脂肪族又は芳香族の有機基で
    あり、R4は脂肪族又は芳香族の有機基であり、R5は脂
    肪族又は芳香族の有機基であり、Rは脂肪族又は芳香
    族の有機基であり、aは正の整数である。]、 (C)ヒドロシリル化触媒、及び (D)アルカリ金属塩。
  2. 【請求項2】該硬化性組成物が貯蔵安定性改良剤を更に
    含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】(A)成分である分子内に少なくとも1個
    のアルケニル基を有する化合物が、数平均分子量が50
    0〜50,000のポリエーテル主鎖で構成されるオリ
    ゴマーである請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】(B)成分である化合物の一般式における
    X基が、ヒドロシリル基を構成する基の部分の分子量が
    500以下である請求項1又は2に記載の硬化性組成
    物。
  5. 【請求項5】(B)成分である化合物の一般式における
    X基が次の基から選ばれたものである請求項1又は2に
    記載の硬化性組成物。−Si(CH3)[−(O−Si
    (CH3)H−)p(O−Si(CH33][−(O−Si
    (CH3)H−)q(O−Si(CH33]、 [式中、p
    は正の整数、qは0又は正の整数であり、かつ2≦p+
    q≦4である。]、 −Si[O−Si(CH33]2−O−Si[O−Si(C
    33]2H、 【表1】
  6. 【請求項6】(D)成分であるアルカリ金属塩が、Li
    、Na、Kから選ばれるアルカリ金属陽イオン
    と、F、Cl、I、ClO4 、BF4 、PF6
    、SbF4 、HCOO、RCOO[Rはアルキル
    基を示す]、CF3SO3 から選ばれる陰イオンとの組
    合せによって得られる化合物である請求項1又は2に記
    載の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれかに記載の固体電
    解質用硬化性組成物を硬化して得られる高分子固体電解
    質。
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