JP3070939B2 - 放射線画像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネルの製造方法

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JP3070939B2
JP3070939B2 JP2275462A JP27546290A JP3070939B2 JP 3070939 B2 JP3070939 B2 JP 3070939B2 JP 2275462 A JP2275462 A JP 2275462A JP 27546290 A JP27546290 A JP 27546290A JP 3070939 B2 JP3070939 B2 JP 3070939B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、放射線画像変換パネルの製造方法に関し、
詳しくは、輝尽性蛍光体層を気相堆積法によって形成す
るに際して、雰囲気圧力を経時的に高くする点に特徴を
有する放射線画像変換パネルの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
例えば医療の分野においては、病気の診断にX線画像
のような放射線画像が多く用いられている。
放射線画像の形成方法としては、従来、被写体を透過
したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これ
により可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真を撮
るときと同じように、銀塩を使用したフィルムに照射し
て現像する、いわゆる放射線写真法が一般的であった。
しかるに、近年、銀塩を塗布したフィルムを使用しな
い蛍光体層から直接画像を取り出す方法として、被写体
を透過した放射線を蛍光体に吸収させ、しかる後にこの
蛍光体を例えば光または熱エネルギーで励起することに
より、この蛍光体に吸収されて蓄積されていた放射線エ
ネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を検出して画
像化する方法が提案されている。
例えば米国特許第3,859,527号明細書、特開昭55−121
44号公報には、輝尽性蛍光体を用い、可視光線または赤
外線を輝尽励起光として用いた放射線画像変換方法が示
されている。この方法は、基板上に輝尽性蛍光体層を形
成した放射線画像変換パネルを使用するものであり、こ
の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透
過した放射線を当てて、被写体の各部の放射線透過度に
対応する放射線エネルギーを蓄積させて潜像を形成し、
しかる後にこの輝尽性蛍光体層を輝尽励起光で走査する
ことによって各部に蓄積された放射線エネルギーを輝尽
発光として放射させ、この光の強弱による光信号を例え
ば光電変換し、画像再生装置により画像化するものであ
る。この最終的な画像はハードコピーとして再生される
か、またはCRT上に再生される。
このような放射線画像変換方法に用いられる輝尽性蛍
光体層を有する放射線画像変換パネルには、前述の蛍光
スクリーンを用いる放射線写真法の場合と同様に、放射
線吸収率および光変換率(両者を含めて以下「放射線感
度」と称する)が高いことが必要であり、しかも画像の
粒状性がよく、さらに高鮮鋭性であることが要求され
る。
しかるに、画像の鮮鋭性は、放射線画像変換パネルの
輝尽性蛍光体層の層厚が薄いほど高い傾向にあり、鮮鋭
性の向上のためには、輝尽性傾蛍光体層の薄層化が必要
であった。
一方、画像の粒状性は、放射線量子数の場所的ゆらぎ
(量子モトル)あるいは放射線画像変換パネルの輝尽性
蛍光体層の構造的乱れ(構造モトル)等によって決定さ
れるが、輝尽性蛍光体層の層厚が薄くなると、輝尽性蛍
光体層に吸収される放射線量子数が減少して量子モトル
が増加し、画質の低下を生ずる。従って、画像の粒状性
を向上させるためには、輝尽性蛍光体層の層厚は厚くす
る必要があった。また、放射線感度を高くし、それを粒
状性の向上に寄与させるという点でも層厚が厚い方が有
利である。
このように、従来の放射線画像変換パネルは、放射線
に対する感度および画像の粒状性と、画像の鮮鋭性とが
輝尽性蛍光体層の層厚に対してまったく逆の傾向を示す
ので、従来の放射線画像変換パネルは、放射線に対する
感度および粒状性と、鮮鋭性とがある程度相互に犠牲に
される状態で製造されてきた。
ところで、従来の放射線写真法における画像の鮮鋭性
が、蛍光スクリーン中の蛍光体の瞬間発光(放射線照射
時の発光)の広がりによって決定されるのは周知のとお
りであるが、これに対し、輝尽性蛍光体を利用した放射
線画像変換方法における画像の鮮鋭性は、放射線画像変
換パネル中の輝尽性蛍光体の輝尽発光の広がりによって
決定されるのではなく、すなわち放射線写真法における
ように蛍光体の発光の広がりによって決定されるのでは
なく、輝尽励起光の当該パネル内での広がりに依存して
決定される。詳しく説明すると、この放射線画像変換方
法においては、放射線画像変換パネルに蓄積された放射
線画像情報は時系列化されて取り出されるので、ある時
間(ti)に照射された輝尽励起光による輝尽発光は、望
ましくはすべて採光されその時間に輝尽励起光が照射さ
れていた当該パネル上のある画素(xi,yi)からの出力
として記録されるが、かりに輝尽励起光が当該パネル内
で散乱等により広がり、照射画素(xi,yi)の外側に存
在する輝尽性蛍光体をも励起してしまうと、当該照射画
素(xi,yi)からの出力としてその画素よりも広い領域
からの出力が記録されてしまう。従って、ある時間
(ti)に照射された輝尽励起光による輝尽発光が、その
時間(ti)に輝尽励起光が真に照射されていた当該パネ
ル上の画素(xi,yi)からの発光のみであれば、その発
光がいかなる広がりを持つものであろうと、得られる画
像の鮮鋭性には影響がない。
このような情況の中で、放射線画像の鮮鋭性を改善す
る方法がいくつか提案されている。例えば放射線画像変
換パネルの輝尽性蛍光体層中に白色粉末を混入する方法
(特開昭55−146447号公報参照)、放射線画像変換パネ
ルを輝尽性蛍光体の輝尽励起波長領域における平均反射
率が当該輝尽性蛍光体の輝尽発光波長領域における平均
反射率よりも小さくなるように着色する方法(特開昭55
−163500号公報参照)等である。しかし、これらの方法
では、鮮鋭性は改善されるが、その結果必然的に放射線
感度が著しく低下する問題がある。
一方、本願の出願人によって、輝尽性蛍光体を用いた
放射線画像変換パネルにおける従来の欠点を改良した技
術として、輝尽性蛍光体層が結着剤を含有しない放射線
画像変換パネルおよびその製造方法が提案されている
(特開昭61−73100号公報参照)。この技術によれば、
放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層が結着剤を含有
しないので、輝尽性蛍光体の充填率が著しく向上すると
共に、輝尽性蛍光体層中での輝尽励起および輝尽発光の
指向性が向上するので、放射線画像変換パネルの放射線
に対する感度と画像の粒状性が改善されると同時に、画
像の鮮鋭性も改善される。
さらに、本願の出願人によって、輝尽性蛍光体層が微
細の柱状結晶からなる放射線画像変換パネルおよびその
製造方法が提案されている(特開昭61−142497号〜1425
00号、同62−105098号公報参照)。この技術によれば、
輝尽励起光は、微細の柱状結晶の光誘導効果のため柱状
結晶内で反射を繰り返しながら、柱状結晶外に散逸する
ことなく柱状結晶の底まで到達するため、輝尽発光によ
る画像の鮮鋭性をより増大することができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、以上の従来の技術においても、いまだ画像の
鮮鋭性が不十分である問題がある。
すなわち、気相堆積法を利用して輝尽性蛍光体を層製
造するに際しては、柱状結晶が成長する条件下であって
も、同一条件では層厚が増加するにつれて柱状結晶が太
くなり、その結果、柱状結晶同士を隔てる空隙が狭くな
り、いずれは消失してしまうため、柱状結晶による効果
が十分に発揮されず、従って、画像の鮮鋭性が不十分と
なる。
そこで、本発明の目的は、放射線感度および画像の粒
状性の条件を満足しつつ、さらに画像の鮮鋭性をも十分
に満足する放射線画像を形成することができる放射線画
像変換パネルの製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
以上の目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究
を重ねた結果、輝尽性蛍光体層を気相堆積法によって形
成するに際して雰囲気圧力を経時的に高くする、という
きわめて簡単な手段により、柱状結晶が太くならず、空
隙が表面にまで到達し、放射線感度および画像の粒状性
のみならず、画像の鮮鋭性も十分に満足する放射線画像
を形成できる放射線画像変換パネルを製造し得ることを
見出して、本発明を完成するに至ったものである。
そこで、本発明の放射線画像変換パネルの製造方法
は、基板上に少なくとも一層の輝尽性蛍光体層を気相堆
積法によって形成する放射線画像変換パネルの製造方法
において、輝尽性蛍光体層を気相堆積法によって形成す
るに際して、雰囲気圧力を経時的に高くすることを特徴
とする。
以下、本発明を具体的に説明する。
第1図は、本発明の放射線画像変換パネル(以下適宜
「変換パネル」と略称する)の製造方法において、輝尽
性蛍光体層の形成に使用することができる製造装置の1
種である電子ビーム蒸着装置の一例の概略図である。
この第1図の蒸着装置において、1は真空槽、2は真
空槽基板、3は蒸発源容器、4は蒸発源、5は電子ビー
ム発生器、6は基板、7は基板の加熱用のヒータ、8は
排気口、9はガス導入管、10は層厚制御用の測定子、11
は真空計、12は微小量の気体流入を制御できるバリアブ
ルリークバルブ、13はメインバルブである。
蒸発源容器3内に充填された蒸発源4は、基板6面上
に輝尽性蛍光体層を形成するためのものであり、輝尽性
蛍光体または輝尽性蛍光体を構成する材料からなる。
基板6は、変換パネルを構成する基板であって、蒸発
源4の直上に配置されている。この基板6の背後には、
ヒータ6が配置されている。
電子ビーム発生器5は、真空槽1とは分離された状態
で取付けられている。
本発明においては、この蒸着装置を用いて例えば次の
ようにして輝尽性蛍光体層を形成する。
まず、基板6を真空槽1内に配置した後、装置内を排
気し、ヒータ7により基板6を加熱してその表面を清浄
にする。
次いで、基板6の温度を所定の温度に設定し、バリア
ブルリークバルブ12を開いて雰囲気ガスをガス導入管9
から真空槽1内に導入して、圧力を所定の真空度とす
る。雰囲気ガスとしては、N2、Ar、He、Neの少なくとも
1種を含むことが好ましい。
次に、電子ビーム発生器5からの電子ビームを蒸発源
4に向けて照射して、当該蒸発源4すなわち輝尽性蛍光
体またはその構成材料を蒸発させる。この蒸発によっ
て、蒸発物質が基板6上に付着して堆積すると同時に、
結晶成長して、輝尽性蛍光体層が形成されていく。この
場合、蒸着工程の条件によっては結晶の成長方向が基板
6面に対してほぼ垂直に伸びる柱状結晶となる。
しかるに本発明においては、この蒸着工程を、真空槽
1内の雰囲気圧力を経時的に高くする条件下で行う。こ
こで、「雰囲気圧力を経時的に高くする」とは、雰囲気
圧力を連続的に次第に高くする場合のみならず、雰囲気
圧力を段階的に高くする場合をも含む概念である。
雰囲気圧力は、例えば、バリアブルリークバルブ12に
よって真空槽1内に導入する雰囲気ガスの量を調整する
ことによって調整することができる。
また、蒸着開始時の雰囲気圧力をP1とし、蒸着終了時
の雰囲気圧力をP2とするとき、P2はP1の3倍以上である
ことが好ましく、特に10倍以上であることが好ましい。
また、蒸着終了時の雰囲気圧力P2は、1×10-4〜1×10
-1Torrの範囲が好ましい。
この蒸着工程においては、結晶成長が促進される結晶
面と、結晶成長が抑制される面が生ずる。結晶成長が促
進される面は、蒸発分子または原子が付着する方向にど
んどん成長する。結晶成長が抑制される面は、輝尽性蛍
光体層内に多数の微細な空洞あるいは空隙を形づくる。
空洞あるいは空隙の形状は、基板6面に対しほぼ垂直方
向に伸びた細長い形状が多い。
しかるに、本発明では、雰囲気圧力を経時的に高くす
るので、柱状結晶が太くならずに、空隙が確実に表面に
まで到達するようになる。このようにして基板6上に
は、多数の空隙を有する柱状結晶からなる輝尽性蛍光体
層が形成され、各柱状結晶は空隙により区画されて光学
的に独立した柱状ブロックとなっている。この柱状結晶
は、細く伸びた針状結晶が例えば数本〜数十本程度束ね
られたような状態でもよく、あるいは柱状結晶内に微細
な空洞を有していてもよい。
本発明においては、気相堆積法により輝尽性蛍光体層
を形成するが、気相堆積法としては蒸着法が好ましく、
上記のような電子ビーム蒸着法のほかに、抵抗加熱蒸着
法等を用いてもよい。
また、複数の電子ビーム発生器または抵抗加熱器を用
いて共蒸着を行ってもよい。すなわち、輝尽性蛍光体の
構成材料を複数の抵抗加熱器または電子ビームを用いて
共蒸着し、基板6上で目的とする輝尽性蛍光体を合成す
ると同時に、輝尽性蛍光体層を形成することも可能であ
る。
本発明においては、蒸着工程の終了後、必要に応じ
て、基板6上の輝尽性蛍光体層の表面に保護層を設けて
もよい。
本発明の製造方法により製造された変換パネルの具体
的構成例を第2図に示す。6は基板、14は当該基板6面
にほぼ垂直方向に伸びた微細柱状結晶からなる輝尽性蛍
光体層であり、14aは一つ一つの微細柱状結晶を表し、1
4bは14a間を隔絶する微細な空隙を表している。
微細柱状結晶14aの平均径は1〜50μmが好ましく、
特に2〜20μmが好ましい。また微細柱状結晶14a,14a
間の空隙14bの大きさは、微細柱状結晶14aが互いに光学
的に独立していれば特に限定されないが、その平均幅は
20μm以下が好ましく、特に5μm以下が好ましい。
輝尽性蛍光体層14の厚層は50〜1000μmが好ましく、
特に100〜600μmが好ましい。この層厚が厚すぎるとき
には、画像の鮮鋭性が低下しやすい。
15は必要に応じて設けられる保護層であって、輝尽性
蛍光体層14の上部に設けられている。
また、基板6と輝尽性蛍光体層14との間には、必要に
応じて各層間の接着性をよくするための接着層を設けて
もよいし、あるいは輝尽励起光および/または輝尽発光
の反射層もしくは吸収層を設けてもよい。
本発明の製造方法において使用することができる製造
装置としては、第1図に示すものには限定されず、ガス
雰囲気中で基板上に輝尽性蛍光体層を形成することので
きる装置であれば、その他の装置を用いることもでき
る。
本発明において、輝尽性蛍光体とは、最初の光もしく
は高エネルギー放射線が照射された後に、光的、熱的、
機械的、化学的または電気的等の刺激(輝尽励起)によ
り、最初の光もしくは高エネルギーの放射線の照射量に
対応した輝尽発光を示す蛍光体をいうが、実用的な面か
らは、波長500nm以上の輝尽励起光によって輝尽発光を
示す蛍光体が好ましい。
輝尽性蛍光体層を構成する輝尽性蛍光体としては、以
下のものを用いることができる。
(1)米国特許第3,859,527号明細書に記載のSrS:Ce,S
m、SrS:Eu,Sm、La2O2S:Eu,Sm、(Zn,Cd)S:Mn,X(ただ
し、Xはハロゲンを表す。)で表される蛍光体。
(2)特開昭55−12142号公報に記載の一般式が BaO・xAl2O3:Eu (ただし、xは0.8≦x≦10を満たす数を表す。)で表
されるアルミン酸バリウム蛍光体。
(3)同55−12142号公報に記載の一般式が MAO・xSiO2:A (ただし、MAは、Mg,Ca,Sr,Zn,Cd,Baを表し、Aは、Ce,
Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,Bi,Mnの少なくとも1種を表し、xは0.
5≦x<2.5を満たす数を表す。) で表されるアルカリ土類金属ケイ酸塩系蛍光体。
(4)特開昭55−12143号公報に記載の一般式が (Ba1-x-yMgxCay)FX:eEu2+ (ただし、Xは、Br,Clの少なくとも1種を表し、x,y,e
は、0<x+y≦0.6、xy≠0、10-6≦e≦5×10-2
満たす数を表す。) で表される蛍光体。
(5)特開昭55−12144号公報に記載の一般式が LnOX:xA (ただし、Lnは、La,Y,Gd,Luの少なくとも1種を表し、
Xは、Cl,Brの少なくとも1種を表し、Aは、Ce,Tbの少
なくとも1種を表し、xは0<x<0.1を満たす数を表
す。)で表される蛍光体。
(6)特開昭55−12145号公報に記載の一般式が (Ba1-x(MA)FX:yA (ただし、MAは、Mg,Ca,Sr,Zn,Cdの少なくとも1種を表
し、Xは、Cl,Br,Iの少なくとも1種を表し、Aは、Eu,
Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Erの少なくとも1種を表し、
x,yは、0≦x≦0.6、0≦y≦0.2を満たす数を表
す。) で表される蛍光体。
(7)特開昭55−160078号公報に記載の一般式が MAFX・xA:yLn (ただし、MAは、Mg,Ca,Ba,Sr,Zn,Cdの少なくとも1種
を表し、Aは、BeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al2O3,Y2O3,L
a2O3,In2O3,SiO2,TiO2,ZrO2,GeO2,SnO2,Nb2O5,Ta2O5,Th
O2の少なくとも1種を表し、Lnは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,
Ho,Nd,Yb,Er,Sm,Gdの少なくとも1種を表し、Xは、Cl,
Br,Iの少なくとも1種を表し、x,yは、5×10-5≦x≦
0.5、0<y≦0.2を満たす数を表す。)で表される希土
類元素付活2価金属フルオロハライド蛍光体。
(8)特開昭59−38278号公報に記載の 一般式〔I〕 xM3(PO4・NX2:yA 一般式〔II〕 M3(PO4・yA (式中、M,Nは、それぞれMg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cdの少なくと
も1種を表し、Xは、F,Cl,Br,Iの少なくとも1種を表
し、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Sb,Tl,Mn,S
nの少なくとも1種を表し、x,yは、0<x≦6、0≦y
≦1を満たす数を表す。) で表される蛍光体。
(9)特開昭60−84381号公報に記載の一般式 MAX2・aMAX′2:xEu2+ (ただし、MAは、Ba,Sr,Caの少なくとも1種のアルカリ
土類金属を表し、XおよびX′は、Cl,Br,Iの少なくと
も1種のハロゲンを表し、かつX≠X′であり、aは、
0.1≦a≦10.0を満たす数を表し、xは、0<x≦0.2を
満たす数を表す。) で表される2価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ
ゲン化物蛍光体。
(10)特開昭63−27588号公報に記載の一般式 MX2・aMX′2:bEu2+ (ただし、Mは、Ca,Sr,Baの少なくとも1種のアルカリ
土類金属を表し、XおよびX′は、Cl,Br,Iの少なくと
も1種のハロゲンを表し、aは、0.5≦a≦1.8を満たす
数を表し、bは、10-4≦b≦10-2を満たす数を表す。) で表される2価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ
ゲン化物蛍光体。
(11)第51回応用物理学会学術講演会の講演予稿集(19
90年秋季)第1086頁に記載されている一般式 BaX2:Eu(Xはハロゲン) で表わされる2価ユーロピウム賦活ハロゲン化バリウム
蛍光体。
(12)特開昭61−72088号公報に記載の一般式 MAX・aMBX′・bMCX″3:cA (ただし、MAは、Li,Na,K,Rb,Csの少なくとも1種のア
ルカリ金属を表し、MBは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu,Ni
の少なくとも1種の2価の金属を表し、Mcは,Sc,Y,La,C
e,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,In
の少なくとも1種の3価の金属を表し、X,X′,X″は、
F,Cl,Br,Iの少なくとも1種のハロゲンを表し、Aは、E
u,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,C
u,Mgの少なくとも1種の金属を表し、a,b,cは、0<a
<0.5、0≦b<0.5、0<c≦0.2を満たす数を表
す。) で表されるアルカリハライド蛍光体。
本発明においては、特に、アルカリハライド蛍光体
は、蒸着等の気相堆積法で蛍光体層を形成させやすいの
で好ましい。
ただし、本発明においては、以上の蛍光体に限定され
ず、放射線を照射した後、輝尽励起光を照射した場合に
輝尽発光を示す蛍光体であればその他の蛍光体をも用い
ることができる。
本発明においては、複数の輝尽性蛍光体を用いて二以
上の輝尽性蛍光体層からなる輝尽性蛍光体層群を形成し
てもよい。また、この場合には、それぞれの輝尽性蛍光
体層に含まれる輝尽性蛍光体は同一でも、異なっていて
もよい。
本発明において、基板としては、例えばアルミナ等の
セラミックス板、化学的強化ガラス等のガラス板、アル
ミニウム、鉄、銅、クロム等の金属板あるいは該金属酸
化物の被覆層を有する金属板が好ましいが、セルロース
アセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチ
レンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポ
リイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラ
スチックフィルムであってもよい。
また、これら基板の層厚は用いる基板の材質等によっ
て異なるが、一般的には80〜3000μmである。
これら基板の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍
光体層との接着性を向上させる目的でマット面としても
よい。また、基板の表面は特開昭61−142497号公報に述
べられているような凹凸面としてもよいし、特開昭61−
142498号公報に述べられているように隔絶されたタイル
状板を敷き詰めた構造でもよい。さらに、これら基板上
には、必要に応じて光反射層、光吸収層、接着層等を設
けてもよい。
本発明においては、輝尽性蛍光体層の表面に、これを
物理的にあるいは化学的に保護するための保護層を設け
ることが好ましいが、この保護層は、保護層用の塗布液
を輝尽性蛍光体層の上に直接塗布して形成してもよい
し、あらかじめ別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上
に接着してもよい。また、特開昭61−176900号公報で提
案されている放射線および/または熱によって硬化され
る樹脂を用いてもよい。保護層の材料としては、酢酸セ
ルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポ
リカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
リデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ
化一塩化エチレン、四フッ化エチレン/六フッ化プロピ
レン共重合体、塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体、
塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体等を挙げる
ことができる。
また、この保護層は、真空蒸着法、スパッタリング法
等により、SiC,SiO2,SiN,Al2O3等の無機物質を積層して
形成してもよい。
また、透光性に優れたシート状に成形できるものを輝
尽性蛍光体層上に密着させて、あるいは距離をおいて配
設して保護層とすることもできる。
保護層は、輝尽励起光および輝尽発光を効率よく透過
するために、広い波長範囲で高い光透過率を示すことが
望ましく、光透過率は80%以上が好ましい。
そのようなものとしては、例えば、石英、ホウケイ酸
ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラスや、PET、延伸
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の有機高分子化合物
が挙げられる。ホウケイ酸ガラスは330nm〜2.6μmの波
長範囲で80%以上の光透過率を示し、石英ガラスではさ
らに短波長においても高い光透過率を示す。
さらに、保護層の表面に、MgF2等の反射防止層を設け
ると、輝尽励起光および輝尽発光を効率よく透過すると
共に、鮮鋭性の低下を小さくする効果もあり好ましい。
また、保護層の厚さは、50μm〜5mmであり、100μm
〜3mmが好ましい。
保護層を輝尽性蛍光体層に対して距離をおいて配設す
る場合には、基板と保護層との間に、蛍光体層を取り囲
んでスペーサを設けるのがよく、そのようなスペーサと
しては、輝尽性蛍光体層を外部雰囲気から遮断した状態
で保持することができるものであれば特に制限されず、
ガラス、セラミックス、金属、プラスチック等を用いる
ことができ、厚さは輝尽性蛍光体層の厚さ以上であるこ
とが好ましい。
以上のように本発明の製造方法では、輝尽性蛍光体層
を気相堆積法によって形成するに際して、雰囲気圧力を
経時的に高くするようにしたので、輝尽性蛍光体層を構
成する柱状結晶が太くならず、空隙が輝尽性蛍光体層の
表面にまで到達するようになり、その結果、放射線感度
および画像の粒状性のみならず、画像の鮮鋭性をも十分
に満足する放射線画像を形成することができる変換パネ
ルを簡単に製造することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を比較例と共に説明するが、本
発明はこれらの態様に限定されるものではない。
〔実施例1〕 厚さが0.5mmで表面が平滑なアルミニウム板からなる
基板を蒸着装置内に配置した。
蒸発源容器内にRbBr:0.002TlBr(輝尽性蛍光体の材
料)を充填して、この蒸発源容器を蒸着装置内に配置し
た。
蒸着装置内を排気し、基板を加熱して基板表面を清浄
にした。
基板の温度を300℃に設定し、蒸着装置内にArガスを
導入して、蒸着開始時の雰囲気圧力P1を1×10-4Torrに
設定した。
Arガスを補給して雰囲気圧力を第3図の曲線(a)で
示すように除々に高くしながら、蒸着終了時の雰囲気圧
力P2が1×10-2Torrとなるような条件下で、電子ビーム
蒸着法により蒸発源容器内の輝尽性蛍光体を蒸発させて
これを基板上に堆積させて、層厚が200μmの輝尽性蛍
光体層を形成し、本発明の変換パネルAを製造した。第
4図(a)は、上記輝尽性蛍光体層の構造の一部を模式
的に示したものである。
なお、輝尽性蛍光体の基板上への堆積速度は15μm/分
となるように設定した。
この変換パネルAにCTFチャートを貼り付けた後、管
電圧80kVP-PのX線を10mR(管球からパネルまでの距離:
1.5m)照射した後、半導体レーザ光(発振波長:780nm、
ビーム径:100μmφ)で走査して輝尽励起し、CTFチャ
ート像を輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光として
読み取り、光検出器(光電子増倍管)で光電変換して画
像信号を得た。
この信号値により、画像の変調伝達関数(MTF)を調
べ、画像の鮮鋭性を評価したところ67%と高い値を示し
た。なお、変調伝達関数(MTF)は、空間周波数が3サ
イクル/mmの時の値である。
〔実施例2〕 蒸着開始時の雰囲気圧力P1が3×10-4Torrで、蒸着終
了時の雰囲気圧力P2が2×10-3Torrとなるように、雰囲
気圧力を第3図の曲線(b)で示すように除々に高くし
たほかは、実施例1と同様にして輝尽性蛍光体層を備え
た変換パネルBを製造した。第4図(b)は、上記輝尽
性蛍光体層の構造の一部を模式的に示したものである。
この変換パネルBについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ63%と高い値を示した。
〔実施例3〕 蒸着開始時の雰囲気圧力P1が7×10-4Torrで、蒸着終
了時の雰囲気圧力P2が1.5×10-3Torrとなるように、雰
囲気圧力を第3図の曲線(c)で示すように徐々に高く
したほかは、実施例1と同様にして輝尽性蛍光体層を備
えた変換パネルCを製造した。第4図(c)は、上記輝
尽性蛍光体層の構造の一部を模式的に示したものであ
る。
この変換パネルCについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ60%と高い値を示した。
〔実施例4〕 蒸着開示時の雰囲気圧力P1が1×10-4Torrで、蒸着終
了時の雰囲気圧力P2が1×10-2Torrとなるように、雰囲
気圧力を第3図の曲線(d)で示すように段階的に高く
したほかは、実施例1と同様にして輝尽性蛍光体層を備
えた変換パネルDを製造した。第4図(d)は、上記輝
尽性蛍光体層の構造の一部を模式的に示したものであ
る。
この変換パネルDについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ62%と高い値を示した。
〔実施例5〕 蒸着開始時の雰囲気圧力P1が3×10-7Torrで、蒸着終
了時の雰囲気圧力P2が3×10-5Torrとなるように、雰囲
気圧力を第3図の曲線(e)で示すように除々に高くし
たほかは、実施例1と同様にして輝尽性蛍光体層を備え
た変換パネルEを製造した。第4図(e)は、上記輝尽
性蛍光体層の構造の一部を模式的に示したものである。
この変換パネルEについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ55%と高い値を示した。
〔実施例6〕 蒸着開始時の雰囲気圧力P1が3×10-3Torrで、蒸着終
了時の雰囲気圧力P2が3×10-1Torrとなるように、雰囲
気圧力を第3図の曲線(f)で示すように除々に高くし
たほかは、実施例1と同様にして輝尽性蛍光体層を備え
た変換パネルFを製造した。第4図(f)は、上記輝尽
性蛍光体層の構造の一部を模式的に示したものである。
この変換パネルFについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ57%と高い値を示した。
〔実施例7〕 実施例1において、輝尽性蛍光体の材料をCs I:0.002
Na Iに変更し、基板の温度を260℃に変更したほかは同
様にして第4図(a)と同様の輝尽性蛍光体層を備えた
変換パネルGを製造した。
この変換パネルGについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ67%と高い値を示した。
〔実施例8〕 実施例2において、輝尽性蛍光体の材料をCs I:0.002
Na Iに変更し、基板の温度を260℃に変更したほかは同
様にして第4図(b)と同様の輝尽性蛍光体層を備えた
変換パネルHを製造した。
この変換パネルHについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ63%と高い値を示した。
〔実施例9〕 実施例3において、輝尽性蛍光体の材料をCs I:0.002
Na Iに変更し、基板の温度を260℃に変更したほかは同
様にして第4図(c)と同様の輝尽性蛍光体層を備えた
変換パネルIを製造した。
この変換パネルIについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ59%と高い値を示した。
〔実施例10〕 実施例4において、輝尽性蛍光体の材料をCs I:0.002
Na Iに変更し、基板の温度を260℃に変更したほかは同
様にして第4図(d)と同様の輝尽性蛍光体層を備えた
変換パネルJを製造した。
この変換パネルJについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ66%と高い値を示した。
〔実施例11〕 実施例5において、輝尽性蛍光体の材料をCs I:0.002
Na Iに変更し、基板の温度を260℃に変更したほかは同
様にして第4図(e)と同様の輝尽性蛍光体層を備えた
変換パネルKを製造した。
この変換パネルKについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ55%と高い値を示した。
〔実施例12〕 実施例6において、輝尽性蛍光体の材料をCs I:0.002
Na Iに変更し、基板の温度を260℃に変更したほかは同
様にして第4図(f)と同様の輝尽性蛍光体層を備えた
変換パネルLを製造した。
この変換パネルLについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ56%と高い値を示した。
〔比較例1〕 実施例1においては、雰囲気圧力を1×10-3Torrの一
定値としたほかは同様にして輝尽性蛍光体層を備えた変
換パネルaを製造した。第4図(g)は、上記輝尽性蛍
光体層の構造の一部を模式的に示したものである。
この変換パネルaについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ51%と低かった。
〔比較例2〕 実施例7において、雰囲気圧力を1×10-3Torrの一定
値としたほかは同様にして第4図(g)と同様の輝尽性
蛍光体層を備えた変換パネルbを製造した。
この変換パネルbについて、実施例1と同様にして鮮
鋭性を評価したところ50%と低かった。
以上の実施例および比較例の内容を後記第1表にまと
めて示す。
以上の第1表より明らかなように、実施例で得られた
変換パネルA〜Lは、比較例で得られた変換パネルa,b
に比較して、鮮鋭性が格段に優れている。
また、実施例で得られた変換パネルA〜Lについて、
放射線感度および粒状性を評価したところ、いずれも十
分なものであった。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明の製造方法によれ
ば、輝尽性蛍光体層を気相堆積法によって形成するに際
して、雰囲気圧力を経時的に高くするようにしたので、
柱状結晶が太くならず、空隙が輝尽性蛍光体層の表面に
まで到達するようになり、その結果、放射線感度および
画像の粒状性のみならず、画像の鮮鋭性をも十分に満足
する放射線画像を形成できる放射線画像変換パネルを製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造方法に使用することができる蒸着
装置の一例を示す説明図、 第2図は本発明の製造方法によって製造された放射線画
像変換パネルの具体的構成例を示す断面図、 第3図は各実施例における雰囲気圧力の変化を示す曲線
図、 第4図(a)〜(g)はそれぞれ実施例で形成された輝
尽性蛍光体層の状態の一部を模式的に示す断面図であ
る。 1……真空槽、2……真空槽基板 3……蒸発源容器、4……蒸発源 5……電子ビーム発生器、6……基板 7……ヒータ、8……排気口 9……ガス導入管、10……測定子 11……真空計 12……バリアブルリークバルブ 13……メインバルブ、14……輝尽性蛍光体槽 14a……微細柱状結晶、14b……空隙 15……保護層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも一層の輝尽性蛍光体層
    を気相堆積法によって形成する放射線画像変換パネルの
    製造方法において、 輝尽性蛍光体層を気相堆積法によって形成するに際し
    て、雰囲気圧力を経時的に高くすることを特徴とする放
    射線画像変換パネルの製造方法。
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