JP3069241B2 - リフト式入浴装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、主に身体障害者や老
人等を入浴させる際に用いられるリフト式入浴装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】身体障害者等を入浴させる入浴装置とし
て、次に示すようなリフト式入浴装置が知られている。
すなわち、浴室の床面に昇降シリンダを立設し、該昇降
シリンダに支持アームを昇降自在にかつ水平方向に旋回
自在に設け、支持アームの先端に入浴者を着座状態で支
持する入浴用リフタを設けた構造のリフト式入浴装置が
知られている。また、昇降シリンダに支持された支持ア
ームの先端に、上下に分離可能とされた車椅子のうち上
側の椅子部を係合させ、車椅子上に載せられた入浴者
を、車椅子の椅子部ごと昇降させて、浴槽内に位置させ
る構造のリフト式入浴装置も知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来のリフト式入浴装置にあっては、いずれも昇降シリン
ダに対し、該昇降シリンダを駆動する油圧モータ等の液
圧供給源をそれぞれ備える構成であるので、広い浴槽に
複数のリフト式入浴装置を設置する場合、液圧供給源を
昇降シリンダの数だけ用意する必要がある。浴室という
限られた空間に同一の機能を有する液圧供給源を複数個
配置するのは、スペース的に無駄でありしかもコスト高
を招く。

【０００４】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、浴室を広く使用することができ、しかもコストを無
理なく低減することができるリフト式入浴装置を提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、請求項１記載の発明では、浴槽内に昇降自在に設
けられた複数の入浴用リフタと、それら入浴用リフタを
個々に昇降させるよう各入浴用リフタに付設された昇降
シリンダと、これら昇降シリンダに往管と還管を介して
接続された只一つの液圧供給駆動源とを備え、前記個々
の昇降シリンダには、該昇降シリンダへ延びる連通管を
前記往管と還管との何れかに択一的に接続する３方弁が
付随して設けられている構成とした。

【０００６】請求項２記載の発明では、前記入浴用リフ
タは、その上面に、上下に分離可能とされた車椅子のう
ち上側の椅子部の下面に設けられたローラを走行可能に
支持させるレールを備える構成とした。

【０００７】請求項３記載の発明では、前記入浴用リフ
タは、下板と上板とそれら両板間に設けられたリンクを
有するパンタグラフからなり、該パンタグラフの上板に
前記レールが設けられ、かつ、パンタグラフの上板と下
板との間に前記昇降シリンダが設けられている構成とし
た。

【０００８】

【作用】請求項１記載の発明にかかるリフト式入浴装置
では、共通の液圧供給駆動源により、各昇降シリンダを
駆動させてそれぞれ入浴用リフタを昇降させるものであ
るから、入浴用リフタが複数あっても液圧供給駆動源は
只一つで足りることから、仮に液圧供給駆動源を浴室に
配置する場合でも浴室を広く使えることができ、また、
液圧供給駆動源と昇降シリンダとを接続する配管工事の
簡素化が図れ、しかもコストダウンを無理なく図ること
ができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１は本発明にかかるリフト式入浴装置を備えた
浴室の平面図、図２はリフト式入浴装置の側断面図であ
る。

【００１０】図において符号１は浴槽、２は入浴用リフ
タである。入浴用リフタ２は、上板３ａと、下板３ｂ
と、それら上板３ａと下板３ｂを連結するように左右に
それぞれＸ字状に組まれた複数のリンク３ｃ，…からな
るパンタグラフ３を備える。リンク３ｃの一端は上板３
ａと下板３ｂのそれぞれの端部所定位置にピン結合さ
れ、リンク３ｃの他端は上板３ａおよび下板３ｂに形成
された長孔に沿って移動自在にピン結合される。パンタ
グラフ３には該パンタグラフ３の下板３ｂを水平状態に
セットするための調整手段が下板３ｂの下面に取り付け
られている。

【００１１】パンタグラフ３は、浴槽１の前部の深溝部
１ａ上に配置される。パンタグラフ３の上板３ａには、
平面視Ｕ字状の手摺４が支柱を介して設けられるととも
に手摺４の内側に左右のレール５，５が設けられてい
る。レール５，５は、上下に分離可能とされた車椅子１
０のうち上側の椅子部１１の下面に設けられたローラ１
２を走行可能に支持するものである。

【００１２】前記パンタグラフ３の上板３ａと下板３ｂ
との間には、下板３ｂに対して上板３ａを相対的に昇降
させる昇降シリンダ６が、上板３ａおよび下板３ｂの一
側部にそれぞれ突出する張出部に配置されている。昇降
シリンダ６は、図３に示すように、有底筒体６ａと、該
有底筒体６ａの下端をシール部６ｂを介して移動自在に
嵌挿するパイプ６ｃと、パイプ６ｃの上端を筒体６ａの
内周面に対し同芯状にガイドするガイド部６ｄからな
る。前記パイプ６ｃの下端はパンタグラフ３の下板３ｂ
に固定され、有底筒体６ａの下端は上板３ａに固定され
る。そして、パイプ６ｃから有底筒体６ａ内に水が供給
されると、水圧によって昇降シリンダ６は伸長し、逆に
有底筒体６ａから水が抜かれると昇降シリンダ６は短縮
する。

【００１３】前記レール５の手前側端部（図１において
右側端部）には中間レール７が垂直方向に回動自在にヒ
ンジ結合されている。中間レール７は、上板３ａが上方
移動限位置に位置とき浴槽１の縁部上面１ｂ側に倒され
ると該縁部上面１ｂによって支持されることとなり、こ
のとき、中間レール７はレール５と同一軸線上に配され
る。また、この状態で、上板３ａが下降すると、中間レ
ール７は浴槽１の縁部上面１ｂによって相対的に上方へ
押されることとなり、図２中２点鎖線で示すようにヒン
ジ部を中心に折り畳まれる。

【００１４】前記車椅子１０は、互いに分離可能とされ
た下側の台車１３と上側の椅子部１１とからなる。台車
１３は下部にキャスタ１３ａを備えるとともに上面に椅
子部１１側のローラ１２を走行自在に支持するレール１
３ｂを備える。椅子部１１は、前記ローラ１２を有する
下側の椅子部基台１１ａと、該椅子部基台１１ａに傾動
自在に設けられた椅子部本体１１ｂからなる。椅子部本
体１１ｂにはフットレスト１１ｃが連動され、椅子部本
体１１ｂが後方へ倒されるとき該フットレスト１１ｃは
上方へ持ち上がる。このとき、フットレスト１１ｃの下
端は、台車１３のレール１３ｂよりも上方ヘ持ち上が
る。

【００１５】図３は昇降シリンダ６へ水を供給するシス
テムを概略を示す。この図に示すように昇降シリンダ６
は複数（図１では３個）設けられているにも拘らず、該
昇降シリンダ６に接続される液圧供給駆動源１５は只一
つである。

【００１６】液圧供給駆動源１５は、水タンク１５ａに
往管１５ｂと還管１５ｃが接続されている。往管１５ｂ
には、ストレーナ１５ｄ、逆止弁１５ｅ、ポンプ１５
ｆ、圧力スイッチ１５ｇが水タンク１５ａから先端側に
向けて順に設けられている。なお、１６はオーバーフロ
ー管、１７はボールタップ１７ａが付設された水供給管
である。

【００１７】液圧供給駆動源１５から延びる前記往管１
５ｂおよび還管１５ｃには各昇降シリンダ６に付随して
設けられる操作部２０がそれぞれ接続され、これら操作
部２０を介して前記昇降シリンダ６が接続される。操作
部２０は、前記往管１５ｂおよび還管１５ｃに接続され
る３方弁２１と、該３方弁２１を切換操作する図示しな
い切換操作部からなる。３方弁２１は、前記往管１５ｂ
を昇降シリンダ６へ延びる連通管２２へ連通させる態様
と、還管１５ｃを連通管２２へ連通させる態様とのいず
れかを択一的に選択される。

【００１８】次に、上記構成のリフト式入浴装置を用い
て入浴者を入浴させる場合について説明する。まず、操
作部２０内の図示しない切換操作部を操作して３方弁２
１を切り換え、必要個所の入浴用リフタ２を上昇させ
る。このとき、中間レール７を浴槽１の縁部上面１ｂ側
に倒しておく。この状態で、車椅子１０上に入浴者を載
せ、前記上昇させた入浴用リフタ２に対向する位置まで
移送し、車椅子１０のレール１３ｂを入浴用リフタのレ
ール５と同軸状に配置する。そして、車椅子１０に設け
られた図示せぬロックを解除し、上側の椅子部１１を入
浴者を載せた状態のまま、該椅子部１１の下面のローラ
１２を利用して車椅子側のレール１３ｂおよび中間レー
ル７上を走行させることにより、入浴用リフタ２のレー
ル５上に移す。

【００１９】このように上部に入浴者を載せた状態のま
ま椅子部１１を入浴用リフタ２上へ移した後、前記操作
部２０内の切換操作部を再び操作して３方弁２１を切り
換え、入浴用リフタ２を下降させる。これにより、入浴
用リフタ２上の入浴者を入浴状態にさせることができ
る。

【００２０】上記の操作は、各入浴用リフタ２ごとにそ
れぞれ独立して行なうことができる。すなわち、只一つ
の液圧供給駆動源１５しか有していないにも拘らず、こ
の共通の液圧供給駆動源１５を用いることによって、各
入浴用リフタ２を個々に昇降操作させて、該入浴用リフ
タ２によって入浴者を入浴状態にさせることができる。
したがって、仮に、液圧供給駆動源１５を浴室に配置す
る場合でも浴室を広く使えることができ、また、液圧供
給駆動源１５と昇降シリンダ６とを接続する配管工事の
簡素化が図れ、しかもコストダウンを無理なく図ること
ができる。

【００２１】なお、前記実施例では、昇降シリンダ６と
して水圧式のシリンダを用いているが、これに限られる
ことなく、油圧式のシリンダを用いてもよい。また、上
記実施例では、液圧供給駆動源１５を浴室に配置した例
について説明しているが、これに限られることなく、液
圧供給駆動源１５を浴室に隣接する機械室等に配置して
もよい。

【００２２】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、共通の液
圧供給駆動源により、各昇降シリンダを駆動させてそれ
ぞれ入浴用リフタを昇降させるものであるから、入浴用
リフタが複数あっても液圧供給駆動源は只一つで足りる
ことから、仮に液圧供給駆動源を浴室に配置する場合で
も浴室を広く使えることができる。また、上記のように
液圧供給駆動源が只一つであるため、源液圧供給駆動源
と昇降シリンダとを接続する配管工事の簡素化が図れ、
しかもコストダウンを無理なく図ることができる。

【００２３】請求項２記載の発明によれば、入浴用リフ
タは、その上面に、上下に分離可能とされた車椅子のう
ち上側の椅子部の下面に設けられたローラを走行支持す
るレールを備えるから、入浴用リフタの高さを車椅子の
下側の台車にそろえることにより、入浴者を車椅子の椅
子部上に載せた状態のまま、車椅子から入浴用リフタへ
直接移し変えることができる。

【００２４】請求項３記載の発明によれば、入浴用リフ
タは、下板と上板とそれら両板間に設けられたリンクを
有するパンタグラフからなり、パンタグラフの上板にレ
ールが設けられ、かつ、パンタグラフの上板と下板との
間に昇降シリンダが設けられているから、入浴用リフタ
を上下方向へ案内する機能をパンタグラフが果たし、昇
降シリンダは入浴用リフタを昇降させる機能のみを果た
すことなり、昇降シリンダに側方からの余分な力が加わ
らず、昇降リフタを円滑に昇降させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるリフト式入浴装置の平面図であ
る。

【図２】同リフト式入浴装置の側断面図である。

【図３】同リフト式入浴装置の昇降シリンダにつながる
配管図である。

【符号の説明】

１ 浴槽 ２ 入浴用リフタ ３ パンタグラフ ３ａ 上板 ３ｂ 下板 ３ｃ リンク ５ レール ６ 昇降シリンダ ７ 中間レール １０ 車椅子 １１ 椅子部 １２ ローラ １３ 台車 １５ 液圧供給駆動源

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽内に昇降自在に設けられた複数の入
   浴用リフタと、それら入浴用リフタを個々に昇降させる
   よう各入浴用リフタに付設された昇降シリンダと、これ
   ら昇降シリンダに往管と還管を介して接続された只一つ
   の液圧供給駆動源とを備え、前記個々の昇降シリンダには、該昇降シリンダへ延びる
   連通管を前記往管と還管との何れかに択一的に接続する
   ３方弁が付随して設けられていること を特徴とするリフ
   ト式入浴装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の車椅子式入浴装置におい
   て、 前記入浴用リフタは、その上面に、上下に分離可能とさ
   れた車椅子のうち上側の椅子部の下面に設けられたロー
   ラを走行可能に支持するレールを備えることを特徴とす
   るリフト式入浴装置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の車椅子式入浴装置におい
   て、 前記入浴用リフタは、下板と上板とそれら両板間に設け
   られたリンクを有するパンタグラフからなり、該パンタ
   グラフの上板に前記レールが設けられ、かつ、パンタグ
   ラフの上板と下板との間に前記昇降シリンダが設けられ
   ていることを特徴とするリフト式入浴装置。